JP2676373B2 - 防虫製剤および防虫材 - Google Patents

防虫製剤および防虫材

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はゴキブリ、ダニ等の害虫を忌避するための防
虫製剤および防虫材に関するものである。
より詳しくは、害虫忌避性化合物であるN,N−ジエチ
ル−m−トルアミド(以下、ジエチルトルアミドと称す
る。)を内包した徐放性マイクロカプセルを用いた防虫
製剤および防虫材に関するものである。
[従来の技術] 昆虫類は180万種以上が知られており、この中には直
接、間接に人間生活にマイナス影響を与える衛生害虫と
呼ばれるグループがある。
衛生害虫の主要なものとして、次のようなものがあ
る。
刺されると激しいかゆみと発赤、腫脹を起こすほか、
日本脳炎、デング熱、黄熱、マラリア、フィラリア症等
の伝染病を媒介する蚊類;雌成虫が人畜を激しく刺し、
伝染病を媒介することもあるブヨ類、アブ類、ヌカカ
類;コレラ菌、チフス菌、赤痢菌等の伝染病菌や結核菌
等の病原菌を撒き散らすゴキブリ類;ツツガムシ病を引
き起こすツツガムシ;人畜を激しく吸血するほか、アレ
ルギーの原因ともなるダニ類など。このほか、衛生害虫
はイガ、コイガ等の衣料害虫、ノミ、ハエ類、さらには
アリ等にも及ぶ。
これら衛生害虫の駆除方法として、殺虫剤の散布、殺
虫剤を有効成分とするエアゾール剤、燻蒸剤等の使用が
一般的に行なわれている。しかし高濃度の殺虫剤の使用
は人体への有害な影響が予想されるほか、一定時間が経
過して殺虫剤の有効性が消失した後に害虫が再度侵入す
る、殺虫剤の連続使用により害虫が薬剤耐性を獲得して
殺虫剤が無効になる、死虫の処理を必要とする等の問題
がある。
これらの問題を回避する方法として、衛生害虫の忌避
剤について従来から研究がなされ、多くの忌避効果物
質、例えばジエチルトルアミド、N−ブチルアセトアニ
リド、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチ
ル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、プロピルマ
ンデレート等が見い出された。
忌避剤の適用方法としては、防虫紙、防虫シート、防
虫テープ等の防虫材;カーペットのパイル糸、基布、パ
ッキング材等にジエチルトルアミド等の忌避剤原体を適
当な溶媒、ラテックスに溶解して塗布、含浸、混入等し
てダニ等を回避する;タンスの天井、側板、引き出し、
食器棚の部材に忌避剤を含浸させて防虫家具、防虫食器
棚を作る等である。
中でも防虫材は、切断や敷設等の使い勝手がよいこと
から、従来より汎用されているが、その材型は殺虫剤ま
たは忌避剤をそのまま紙に含浸させたもの、あるいはシ
ート状物の片面に殺虫剤または忌避剤を塗布したものが
一般的である。しかしながら、生体への影響を考慮する
と殺虫剤、特に有機リン系殺虫剤を使用した防虫紙や防
虫シートを住居内で使用することは、人間、ペットに対
する安全性の面で問題があり、忌避剤がより好ましいと
言える。
しかしながら、従来の忌避剤には以下のような欠点が
あった。
すなわち、忌避剤は、ある程度の蒸気圧を有し、有効
成分が徐々に揮散することが望ましく、揮散が大きすぎ
ると忌避有効期間が短くなり、また、揮散が小さすぎる
と忌避効果が発現しない。
また、前記のような忌避剤の材型(例えば、シートな
どの忌避剤を含浸させたもの等)では、揮散速度の制御
が難しい上、防虫紙あるいは防虫シート等を敷設する場
所の環境要因、例えば日光、温度、水分などによって、
有効期間が大きく左右されるという問題があり、忌避効
果を安定して持続させることは困難であった。
このような忌避剤の中では、従来忌避対象が広いこ
と、安全性が高いこと、人間が嫌わない匂いであること
等の理由で、ジエチルトルアミドが最も理想的であると
されているが、前述の各種忌避剤と同様に長期持続性に
劣る欠点があった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは、忌避効果の長期持続性を達成すべく鋭
意検討の結果、先に特開昭63−192702号として、芯物質
がジエチルトルアミドからなり、かつ壁材が徐放性を有
するマイクロカプセルからなる徐放性マイクロカプセル
化防虫製剤を提唱した。
この防虫製剤によれば薬効の揮散を自由に調整でき、
必要最小限とすることが可能であり、ジエチルトルアミ
ド原体と比較して極めて長期に亘り、各種害虫に対する
忌避効果を付与することができるが、基材等に塗工した
防虫製剤の保持力(結着力)が弱いという問題があっ
た。
すなわち、例えば防虫紙、防虫シート、防虫カーペッ
ト等では、折り曲げたり切断する作業時にマイクロカプ
セル剤が脱落し、また防虫家具等の場合にも機械的接触
によって防虫剤が脱落するという問題があった。
従って本発明の課題は、ジエチルトルアミドをマイク
ロカプセルすることによって薬剤の揮散を制御するとと
もに、周囲の環境から保護し、またマイクロカプセルを
基材に安定に結着、保持することによって、折り曲げ、
ひっかき、切断等の作業による基材からのマイクロカプ
セルの脱落を防止して、忌避効果の長期持続性を可能に
した防虫製剤および防虫材を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らはかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ね
た結果、ジエチルトルアミドを芯物質とし、かつ壁材が
徐放性を有するマイクロカプセルを、ポリビニルアルコ
ールをバインダーとして基材に結着、保持することによ
って前記課題を解決し得ることを見い出し、本発明を完
成したものである。
すなわち、本発明は、 1)N,N−ジエチル−m−トルアミドを内包する徐放性
マイクロカプセルとポリビニルアルコールとを、それぞ
れ固形分換算で、徐放性マイクロカプセル:ポリビニル
アルコール=1:0.05〜1:1の配合割合で含有することを
特徴とする防虫製剤、 2)徐放性マイクロカプセルをポリビニルアルコール水
溶液に分散してなることを特徴とする前記1)の防虫製
剤、 3)N,N−ジエチル−m−トリアミドを内包する徐放性
マイクロカプセルを、ポリビニルアルコールによって、
N,N−ジエチル−m−トルアミド含有量が1〜100g/m2
なるように基材に保持してなることを特徴とする防虫
材、 4)前記基材が、紙、織布、不織布、合成樹脂フィルム
および木材から選ばれる材料からなることを特徴とする
前記3)の防虫材、 に関するものである。
[作用] 本発明においては、ジエチルトルアミドをマイクロカ
プセル化することによって薬剤の揮散を制御するととも
に、周囲の環境から保護し、またマイクロカプセルをポ
リビニルアルコールを用いて基材に安定に結着、保持す
ることによって折り曲げ、ひっかき、切断等の作業によ
る基材からのマイクロカプセルの脱落を防止して、忌避
効果の長期持続性を可能にした。
本発明におけるジエチルトルアミドを内包する徐放性
マイクロカプセルは、特開昭63−192702号に具体的に開
示したように、芯物質がジエチルトルアミドからなり、
つまり壁材が徐放性を有するものである。
マイクロカプセル化する方法としては、マイクロカプ
セル生成技術において広く公知の界面重合法、in−situ
法、相分離法、液中硬化被覆法(オリフィス法)、液中
乾燥法、噴霧・造粒法等が利用できるが、なかでも界面
重合法およびin−situ法は目的とするジエチルトルアミ
ドのマイクロカプセル化を効果的、かつ経済的に可能な
らしめるので特に有用である。
壁材料は、ジエチルトルアミドに対して徐放性を有し
得る物質であれば、いずれでも使用可能であるが、特に
はポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレア樹
脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、メ
ラミン樹脂、およびこれらの複合材料が好ましい。
芯物質と壁材料の好ましい割合については特に限定さ
れないが、経済性を考慮し、また本発明におけるマイク
ロカプセル壁材は内包される液状のジエチルトルアミド
を充分保持するとともに、内包物質を保護しなければな
らないことから、芯物質と壁材の好ましい重量比は1:1
〜1:0.01であり、さらに好ましくは1:0.3〜1:0.03であ
る。
本発明においては上記徐放性マイクロカプセルととも
に、該マイクロカプセルを基材に結着、保持するための
バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる。
バインダーに要求される性質としては、その中にマイ
クロカプセルを均一に分散させることができ、基材から
マイクロカプセルが脱落することを防ぐために接着性が
高く、ジエチルトルアミドを内包するマイクロカプセル
の徐放性に与える影響の小さいことが必要である。
このようなバインダーとして有機溶剤に溶解した油溶
性バインダーを用いることは、これが徐放性マイクロカ
プセル内のジエチルトルアミドをカプセル外に急速に溶
出してしまうので不適当である。
したがって、水溶性あるいは水に分散することのでき
るバインダーであることが望ましいが、このようなバイ
ンダーであってもジエチルトルアミドと相溶性のあるも
のではジエチルトルアミドをカプセル外に溶出してしま
うので、バインダーとして不適当である。
さらには、水溶性であっても耐環境性の点から、塗布
乾燥したものは易溶性でないことが望まれる。
このような観点からバインダーについて鋭意検討を重
ねた結果、水溶性高分子であるポリビニルアルコールが
上記要件を満たすことを見い出すに至ったものである。
本発明において、ポリビニルアルコールをバインダー
として使用することにより、基材の表面特性、特に紙の
表面特性、例えば平滑性、耐摩耗性、耐油性が改善さ
れ、忌避効果の長期持続性が維持される。
本発明においてポリビニルアルコールは、その重合
度、鹸化度の如何にかかわらず、従来公知のものを特に
限定することなく使用することができる。
本発明おいてジエチルトルアミドを内包する徐放性マ
イクロカプセルと、これとともにバインダーとして用い
るポリビニルアルコールの配合割合は、それぞれ固形分
換算で、徐放性マイクロカプセル固形分:バインダー固
形分が1:0.05〜1:1であり、好ましくは1:0.1〜1:0.6で
ある。この比率よりバインダーが少ないと、結着力が弱
くなってマイクロカプセルを基材に安定に保持するのが
困難となり、一方、マイクロカプセルあるいはバインダ
ー量がこれより多くなると、経済的に不利である。
また、ジエチルトルアミドを内包する徐放性マイクロ
カプセルの使用量には特に制限はないが、例えばゴキブ
リ、ダニ、ノミ、アリ等の害虫に対して長期に亘って忌
避を必要とする場合には、ジエチルトルアミド量として
1〜100g/m2、好ましくは3〜25kg/m2含有させる。
本発明においては上記マイクロカプセルとバインダー
とを配合した防虫製剤は、好適にはマイクロカプセルを
バインダー水溶液に分散した塗工液として用いられる。
このときのマイクロカプセルを分散させたバインダー水
溶液中の固形分含量は5〜50%、好ましくは10〜30%で
ある。
本発明では前記の塗工液を各種の基材、例えば紙、織
布、不織布、合成樹脂フィルム、木材等に塗布あるいは
含浸させて防虫紙、防虫シート、防虫テープ、防虫布等
の防虫材を形成することができる他、該塗工液をタン
ス、食器棚、衣装箱等の家具、カーペットあるいはフト
ンカバーやシーツ等に塗布あるいは含浸させるなどして
防虫処理を施すことが可能である。
さらには上記塗工液を塗布あるいは含浸させた基材を
用いて、タンス、食器棚、衣装箱等の家具、カーペット
あるいはフトンカバーやシーツ等の成型品を製作するこ
とができ、この製作作業時に防虫製剤が脱落することが
ない。
また、上記防虫製剤は、着香料や着色料等を含有して
もよい。
[実施例] 以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する
が、本発明はこれにより特に制限されるものではない。
なお、以下の記載において配合割合を表わす「部」お
よび「%」は、特に断わらない限り重量基準である。
〔供試マイクロカプセルの調製〕
スチレン−無水マレイン酸樹脂を少量の水酸化ナトリ
ウムとともに溶解して調製したpH4.5の3%水溶液200部
に、ジエチルトルアミド135部を加え、ウルトラホモジ
ナイザーを使用してエマルジョンの粒径が10μとなるよ
うに乳化した。
メラミン8.1部および37%ホルムアルデヒド水溶液6.8
部を65部の水に加え、20%水酸化ナトリウム水溶液でpH
9.5と80℃で15分間加熱後、前記乳化物に加えた。
これを液温75℃で2時間撹拌し、ジエチルトルアミド
を内包したメラミン壁の徐放性マイクロカプセル分散液
を得た。
分散液中の固形分は約36%、有効成分は約32%であっ
た。
〔供試バインダー〕
本発明に係る水溶性バインダーとして、下記(A)、
(B)に示す市販のポリビニルアルコールを用いた。
また、下記(C)に示す水溶性バインダーおよび下記
(D)に示す水分散性バインダーを比較対照用バインダ
ーとして用いた。
バインダーA;ユニチカ(株)製ポリビニルアルコール
(商品名 VP−240G) バインダーB;日本合成化学(株)製ポリビニルアルコー
ル(商品名 ゴセノールNH−18) バインダーC;三光化学工業(株)製ポリビニルメチルエ
ーテル(商品名 PVM−30W) バインダーD;旭化成(株)製SBR(スチレン・ブタジェ
ンゴム)ラテックス(商品名 L−1876) 実施例1 前述のようにして得た供試マイクロカプセルに供試バ
インダー(A)および(B)を、マイクロカプセル固形
分に対して固形分として10および20%(W/W)となるよ
うにそれぞれ添加した。
これをクラフト紙にジエチルトルアミド換算で6g/m2
となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、塗布後60℃
で3分間乾燥して表1の防虫紙(ア)〜(エ)を得た。
比較例1 供試バインダーを(C)および(D)としたこと以外
は実施例1と同様にして、表1の防虫紙(オ)〜(ク)
を得た。
また、バインダー無添加の比較対照として、供試マイ
クロカプセルをジエチルトルアミド換算で6g/m2となる
ようにワイヤーバーを用いて塗布し、塗布後60℃で3分
間乾燥して表1の無添加防虫紙を得た。
実施例2 実施例1で調製した防虫紙の基材とマイクロカプセル
との結着性を、防虫紙を数回折り曲げて塗工面よりマイ
クロカプセルが脱落するか否かで評価するとともに、防
虫紙上のマイクロカプセルを電子顕微鏡で観察した。評
価結果を表2に示す。
なお、表中における塗工面からのマイクロカプセルの
脱落の程度は、 (−):全く脱落せず、 (+):ごく一部が脱落、 (++):塗工面の数箇所より脱落、 を示す。
比較例2 比較例1で調製した防虫紙を用いたこと以外は実施例
2と同様にして、基材とマイクロカプセルとの結着性を
評価するとともに、防虫紙上のマイクロカプセルを電子
顕微鏡で観察した。評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明に係るバインダーを
用いた(ア)〜(エ)の防虫紙では基材からのマイクロ
カプセルの脱落のない強固な結着性を示すとともに、基
材上のマイクロカプセルは特に押しつぶされることもな
く球形状を維持していた。
これに対して、比較対照として示した無添加防虫紙で
は、基材上のマイクロカプセルは球形状を維持している
ものの、基材とマイクロカプセルとの結着性が弱く、マ
イクロカプセルの脱落が見られた。
また、本発明範囲外のバインダーを用いた防虫紙
(オ)〜(ク)では、基材との結着性は比較的良好であ
るものの、基材上のマイクロカプセルが押しつぶされた
形状をしており、後述するように忌避効果の長期持続性
を発揮することができなかった。
実施例3 実施例1で調製した防虫紙(ア)〜(エ)を用い、こ
れを23℃、65%RHの恒温恒湿室に静置して、1ヶ月およ
び3ヶ月経過後のジエチルトルアミド残存量を測定し
た。結果を表3に塗布量に対する残存率として示した。
比較例3 比較例1で調製した防虫紙(オ)〜(ク)および無添
加防虫紙を用いたこと以外は実施例3と同様にして、1
ヶ月および3ヶ月経過後のジエチルトルアミド残存量を
測定した。結果を表3に示す。
これとは別の比較対照として、ジエチルトルアミド原
体をエタノールで希釈し、ジエチルトルアミド原体換算
で6g/m2を上質紙に塗布したものを「原体塗布紙」とし
て、上記と同様の試験をした結果を表3に示す。
表3から明らかなように、本発明範囲外のバインダー
を使用した防虫紙(オ)〜(ク)および原体塗布紙の有
効成分がいずれも急速に失われたのに対し、本発明に係
るバインダーを用いた防虫紙(ア)〜(エ)は無添加紙
と同様の有効成分の高い保持性を有していた。
実施例4:ダニに対する忌避効果試験 実施例1で調製した防虫紙(ア)〜(エ)を用いて、
ケナガコナダニおよびコナヒョウヒダニに対する忌避効
果を調べた。
まず、(ア)〜(エ)の各防虫紙を7×7cmに切り、
この切断紙を25℃、90%RHのチャンバー内に置かれたホ
ーローパットにそれぞれ並べた。
次に、各防虫切断紙の表面に含水率15%の粉末飼料を
2.0gずつ均一に置き、さらにこれら防虫切断紙の間にダ
ニを大量に繁殖させた培地を少量置いた。
忌避効果の評価は、ダニ接種の1日後、1ヶ月、3ヶ
月および6ヶ月後に、5×5cmに切った黒色ラシャ紙を
防虫切断紙上に1枚ずつ置き、3時間後に表裏に見られ
た生ダニ数をカウントすることによって行なった。結果
を表4に示す。
比較例4 比較例1で調製した防虫紙(オ)〜(ク)および無添
加防虫紙と、比較例3で調製した原体塗布紙を用いたこ
と以外は実施例4と同様にして、それぞれの防虫紙のケ
ナガコナダニおよびコナヒョウヒダニに対する忌避効果
を調べた。結果を表4に示す。
表4から明らかなように、本発明に係るバインダーを
用いた防虫紙は、いずれもダニ類に対して高い忌避効果
を示した。
実施例5 供試マイクロカプセルに供試バインダー(A)および
(B)を、マイクロカプセル固形分に対して固形分とし
て5および15%(W/W)となるようにそれぞれ添加し
た。
これを合成紙(王子油化合成紙社製、ユポ#130(商
品名))にジエチルトルアミド換算で、5および10g/m2
となるようにワイヤーバーで塗布し、塗布後105℃で2
分間乾燥して表5の防虫シート(ケ)〜(タ)を得た。
これら防虫シートの基材とマイクロカプセルとの結着
性を、防虫シートを手でもみほぐして塗工面からマイク
ロカプセルが脱落するか否かで評価するとともに、防虫
シート上のマイクロカプセルを電子顕微鏡で観察した。
評価結果を表6に示す。
なお、表中における塗工面からのマイクロカプセルの
脱落の程度は、 (−):全く脱落せず、 (+):ごく一部が脱落、 (++):塗工面の数個所より脱落、 を示す。
比較例5 供試バインダー(C)および(D)としたこと以外は
実施例5と同様にして、表5の防虫シート(チ)〜
(ネ)を得た。
また、バインダー無添加の比較対照として、供試マイ
クロカプセルをジエチルトルアミド換算で5および10g/
m2となるように塗布、乾燥して、表5に「無添加−5」
および「無添加−10」として示した防虫シートを得た。
これら防虫シートの基材とマイクロカプセルとの結着
性を、実施例5と同様に評価するとともに、防虫シート
上のマイクロカプセルを電子顕微鏡で観察した。評価結
果を表6に示す。
表6から明らかなように、本発明に係るバインダーを
用いた(ケ)〜(タ)の防虫シートでは基材からのマイ
クロカプセルの脱落のない強固な結着性を示すととも
に、基材上のマイクロカプセルは特に押しつぶされるこ
ともなく球形状を維持していた。
これに対して、比較対照として示した無添加−5およ
び無添加−10の防虫シートでは、基材上のマイクロカプ
セルは球形状を維持しているものの、基材とマイクロカ
プセルとの結着性が弱く、マイクロカプセルの脱落が見
られた。
また、本発明範囲外のバインダーを用いた(チ)〜
(ネ)の防虫シートでは、基材との結着性は比較的良好
であるものの、基材上のマイクロカプセルが押しつぶさ
れた形状をしており、忌避効果の長期持続性を発揮する
ことができなかった。
実施例6;チャバネゴキブリに対する忌避効果試験 実施例5で調製した表5に例示の防虫シート;
(コ)、(シ)、(セ)および(タ)を用いてチャバネ
ゴキブリに対する忌避効果試験を行なった。
チャバネゴキブリに対する忌避効果試験は下記のよう
に行ない、評価結果を表7にまとめた。
まず、上記の各防虫シートのそれぞれを用い、これら
防虫シートの塗工面を内側にして、2×10×7cmの直方
体の箱を作り、この箱の2×7cmの面の1ヶ所に1cmの穴
を開けた。
次に、大型のパットを準備し、このパット上に上記の
防虫シートから得た箱の各1こと、薬剤処理がなされて
いない箱(コントロール)1個を並べた。
同様のパットを計4枚用意した後、これらを23℃、65
%RHの恒温恒湿室中に静置し、塗工の1日後、1ヶ月
後、4ヶ月後および6ヶ月後に、チャバネゴキブリの成
虫の雌雄各50頭の計100頭をそれぞれ1枚ずつのパッド
に投入し、チャバネゴキブリ投入の3日後に各箱の中の
チャバネゴキブリをカウントすることによって忌避効果
を評価した。
比較例6 比較例5で調製した(ツ)、(ト)、(ニ)および
(ネ)の防虫シート、および無添加−10の防虫シートを
用い、また、これとは別にジエチルトルアミド原体をエ
タノールで希釈し、ジエチルトルアミド原体換算で10g/
m2となるように塗布して調製した防虫シートを「原体塗
布−10」として用いる以外は実施例6と同様にして、そ
れぞれの防虫シートのチャバネゴキブリに対する忌避効
果を調べた。結果を表7に示す。
表7から明らかなように、本発明に係るバインダーを
用いた(コ)、(シ)、(セ)および(タ)の防虫シー
トは、無添加シートと同様に忌避効果が長期に亘って持
続した。
しかしながら、本発明範囲外のバインダーを用いた
(ツ)、(ト)、(ニ)および(ネ)の防虫シートと原
体塗布シートでは、忌避効果が早期に失われてしまっ
た。
実施例7 供試マイクロカプセルに供試バインダー(A)および
(B)を、マイクロカプセル固形分に対して固形分とし
て10%(W/W)となるようにそれぞれ添加し、これをボ
ール紙にジエチルトルアミド換算で、10g/m2となるよう
に塗布、乾燥後、衣装箱に成型して防虫衣装箱を得た。
この衣装箱は忌避効果の長期持続性に優れたものであ
った。
実施例8 供試マイクロカプセルに供試バインダー(A)および
(B)を、マイクロカプセル固形分に対して固形分とし
て15%(W/W)となるようにそれぞれ添加し、これを剥
離紙の付いた合成紙の表面に塗布し、防虫テープを得
た。
この防虫テープは忌避効果の長期持続性に優れたもの
であった。
実施例9 カーペット材料の第1次基布(ポリプロピレン)の表
面に、マイクロカプセル固形分に対して固形分として20
%(W/W)となるように供試バインダー(A)および
(B)を添加したものを、ジエチルトルアミド換算で10
g/m2となるように1.5cm間隔の0.5mm幅で縞状に塗布し
た。
この第1次基布にポリプロピレンのパイル糸を織り込
んだ後、第2次基布(ジュート)を接着させ、防虫カー
ペットを作成した。
この防虫カーペットは忌避効果の長期持続性に優れた
ものであった。
実施例10 マイクロカプセル固形分に対して固形分として10%
(W/W)の供試バインダー(A)および(B)を添加
し、これにアクリルのパイル糸を含浸させた。
乾燥後、このパイル糸を第1次基布に固定化した後、
この上に第2次基布を接着して防虫カーペットを作成し
た。
この防虫カーペットは忌避効果の長期持続性に優れた
ものであった。
[発明の効果] 以上に説明したように、本発明においては、ジエチル
トルアミドをマイクロカプセル化することによって薬剤
の揮散を制御するとともに、周囲の環境から保護し、ま
たマイクロカプセルをポリビニルアルコールを用いて基
材に安定に結着、保持することによって折り曲げ、ひっ
かき、切断等の作業による基材からのマイクロカプセル
の脱落を防止した、忌避効果の長期持続性を有する防虫
製剤を提供することが可能になった。
また、この防虫製剤は広範な分野での利用が可能あ
り、これを用いることによって各種基材に忌避効果の長
期持続性に優れた防虫処理を容易に行なうことができ、
忌避効果の長期持続性に優れた防虫材および成型品を提
供することもできるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇高 恵一 東京都小平市鈴木町1丁目183番地 (72)発明者 小野 久美子 東京都府中市武蔵台3丁目28番地12 (56)参考文献 特開 昭55−154904(JP,A) 実開 昭62−79801(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N,N−ジエチル−m−トルアミドを内包す
    る徐放性マイクロカプセルとポリビニルアルコールと
    を、それぞれ固形分換算で、徐放性マイクロカプセル:
    ポリビニルアルコール=1:0.05〜1:1の配合割合で含有
    することを特徴とする防虫製剤。
  2. 【請求項2】徐放性マイクロカプセルをポリビニルアル
    コール水溶液に分散してなることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項に記載の防虫製剤。
  3. 【請求項3】N,N−ジエチル−m−トルアミドを内包す
    る徐放性マイクロカプセルを、ポリビニルアルコールに
    よって、N,N−ジエチル−m−トルアミド含有量が1〜1
    00g/m2となるように基材に保持してなることを特徴とす
    る防虫材。
  4. 【請求項4】前記基材が、紙、織布、不織布、合成樹脂
    フィルムおよび木材から選ばれる材料からなることを特
    徴とする特許請求の範囲第3項に記載の防虫材。
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