JP2674796B2 - エラスターゼをコードする遺伝子 - Google Patents

エラスターゼをコードする遺伝子

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアルカリ性エラスターゼ活性を有するポリペ
プチドをコードする遺伝子、該遺伝子を含有するベクタ
ー、及びこのベクターにより形質転換された宿主を用い
る前記ポリペプチドの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
エラスターゼは蛋白分解酵素、すなわちプロテアーゼ
の一種で、通常のプロテアーゼでは分解しにくい蛋白質
の一つであるエラスチンをもよく分解する酵素である。
エラスチンは脊椎動物の動脈、項靭体、真皮等に存在し
ている弾性遷移を構成する蛋白質で、その構造中にデス
モシン、リジノノルロイシンなどの特殊な架橋構造を持
ち、またアイノ酸組成も偏った硬蛋白質であるために、
通常のプロテアーゼによっては容易に分解することが出
来ない。
従来、通常のプロテアーゼに関する報告は多数みられ
るがエラスターゼに関するものは少ない。現在知られて
いるエラスターゼには豚すい臓から得られるエラスター
ゼ(Pancreatic elastase)を始め、シュードモナス・
エルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ストレプト
マイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)およ
びフラボバクテリウム属(Flavobacterium sp.)等の微
生物が生産するエラスターゼが有る。しかし、これらは
いずれも至適pHが中性あるいは微アルカリ性にある、い
わゆる中性エラスターゼであり、アルカリ領域では活性
を示さないかあるいは活性が低い。例えば、豚すい臓エ
ラスターゼの至適pHは8.8である(酵素ハンドブック:
丸尾他、朝倉書店、1986)。
アルカリ域で活性のあるエラスターゼ、すなわちアル
カリ性エラスターゼとして、本発明者等の一部が先に見
出だした好アルカリ性バチルスYa−B株のエラスターゼ
が知られているのみである。これは、分子量約25,000の
蛋白質で、至適温度60℃、至適pH11.75と極めて高い至
適pHをもつエラスターゼである(Biochimica et Biohpy
sica Acta 883(1986)439−447)。
しかし、本菌株のエラスターゼ生産量は微量であり、
工業生産に必要な大量培養の方法なども確立されていな
い。そこで、本菌株からエラスターゼをコードする遺伝
子を取り出し、これをすでに大量培養技術が確立されて
いる宿主に導入することができれば、前記エラスターゼ
の大量生産が可能になると考えられる。
しかしながら、その様な技術はまだ確立されていな
い。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、本発明は遺伝子組換え法を用いてアルカリ性
エラスターゼを工業的に製造することができる方法を提
供するものであり、そしてその前提として目的とするア
ルカリ性エラスターゼ全体をコードするクローン化され
た遺伝子、及び該遺伝子を含有するベクターゼを提供す
るものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は好アルカリ性バチルスYa−B株(Bacill
us sp.Ya−B)が生産するアルカリ性エラスターゼの特
異性に着目し、該エラスターゼを容易に生産する方法を
見出だすべく鋭意研究を進めた結果、該エラスターゼを
コードする遺伝子をクローニングし宿主で発現させるこ
とに成功し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、アルカリ性エラスターゼ活性を有
するポリペプチドをコードする遺伝子;該遺伝子を含む
ベクター;及び該ベクターにより形質転換された宿主を
培養し、この培養物からアルカリ性エラスターゼ活性を
有するポリペプチドを採取することを特徴とする該ポリ
ペプチドの製造方法を提供しようとするものである。
〔具体的な説明〕
本発明の方法により生産されるアルカリ性エラスター
ゼ活性を有するポピペプチドとして、例えば次の性質: (1)分子量:25,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動による); (2)等電点:10.6; (3)至適反応温度:60℃; (4)至適反応pH:11.75;及び (5)安定pH範囲:5.0〜10.00; を有し、バチルス属微生物に由来するアルカリ性エラス
ターゼ活性を有するポリペプチドが挙げられる。上記の
様なアルカリ性エラスターゼ生産性バチルス属細菌の具
体例としてバチルスYa−B(Bacillus sp.Ya−B)が挙
げられ、本発明の遺伝子はこの株から得ることができ
る。この菌株は、工業技術院微生物工業技術研究所に備
工研条寄第2017号(FERM BP−2017)として寄託されて
いる。
バチルスYa−B株からクローン化されたアルカリエラ
スターゼ酵素の遺伝子の塩基配列及びそれから推定され
るアルカリエラスターゼのアミノ酸配列を第1−1図〜
第1−3図に示す。上列はクローン化された遺伝子の全
塩基配列であり、この内、123位のヌクレオチドから125
6位のヌクレオチドにより378個のアミノ酸(下行)から
成るポリペプチドがコードされている。このアミノ酸配
列のN−末端側には1位のMetから21位のSerまで又は27
位のAlaまでのシグナル配列、及び28位のAlaから110位
のMetまでのプロ配列を含む。活性酵素は111位のGlnか
ら378末のArgまでのアミノ酸配列を有する。
本発明においては、市販されているプラスミド、又は
その他の容易に入手することができるプラスミド、例え
ばpUC18、pBR322、pBR328、pHY300PLK等を使用すること
ができる。
以下に、本発明の内容を段階を追って説明する。
a.遺伝子のクローニング 最初に、バチルスYa−Bの染色体遺伝子にハイブリダ
イズさせ、遺伝子の選択に用いるプローブを作成する。
これには、まず、該エラスターゼのアミノ酸配列の一
部を構成する6個のアミノ酸配列Pro−Trp−Gly−Ile−
Asn−Argを選ぶ。この選定が重要である。このアミノ酸
配列の選定方法は本発明の研究の初期段階において、実
施例に詳述するごとく、バチルスYa−Bを培養し、培養
液から得た微量の該エラスターゼを精製分離し、これを
Edmanの方法に従いベックマン社製アミノの酸シークエ
ンサーを用いて化学分析を繰り返した結果得たN末端の
50個のアミノ酸配列の中から最適な配列部分を選ぶ。
つぎに、この6個のアミノ酸配列に対応する17塩基か
らなる塩基配列を化学合成する。化学合成法は、例え
ば、ホスホアミダイト法による合成法が用いられるが、
これに拘るものではない。また、詳細手順は市販DNA自
動合成機(例えば、Applied Biosystems社Model 380A D
NA Synthesizer)の取扱い説明書によることができる。
アミノ酸配列に対応する塩基配列は、複数の遺伝暗号
をもつアミノ酸が存在するため一種類ではなく、下記の
とうり合計96種類合成する必要があり、これらを混合し
てプローブとする。
このうち3位の塩基AはG,C又はTと置換され、9位
の塩基AはG,C又はTと置換され、12位の塩基AはC又
はTと置換され、15位の塩基CはTとそれぞれ置換さ
れ、合計96種類の組み合わせが得られる。
次に、プローブを用いて遺伝子のクローニングを行
う。
バチルスYa−Bを:グリコース2%、グリセロール2
%、カゼイン2%を含むpH10.0の培地で培養し、培養後
菌体を集め、菌体内のDNAを取り出す。これらの操作お
よび後述のクローニングに伴う操作の詳細は、成書、例
えば「Molecular Cloning」(Maniatisら著、Cold Spri
ng Harbor Laboratory 1982刊)記載の方法にしたがっ
て行うことができる。
得られたDNAを制限酵素Hind IIIで切断する。ここで
得られたDNA断片群を32Pで放射性ラベルした前記混合合
成プローブを用いサザンハイブリダイゼーション法(So
uthern hybridization法)によりハイブリダイズさせ、
プローブとハイブリダイズするDNA断片(Hind III2.2kb
断片)を得る。これには、まず、DNA断片群をアガロー
ス電気泳動で分画し、ゲルのままアルカリ溶液(0.5M N
aOH,1.5M NaCl)に浸し、ゲル内でDNAを変成させ一本鎖
とする。ゲルを中性にもどした後(0.5M Tris−HCl,3M
NaCl,pH7.0)ニトロセルロースフイルターを密着し、高
塩溶液で毛細管現象を利用して移動、ゲル内のDNA分画
区分を一本鎖のままフイルターに吸着保持させる。これ
を固定化後放射性ラベルした前記混合合成プローブとハ
イブリダイズさせる。余分のプローブを洗浄除去した
後、オートラジオグラフィーをとる。ポジティブシグナ
ルを示すバンドの位置が遺伝子を構成するDNA断片の位
置となる。
このようにして得たDNA断片(Hind III 2.2kb断片)
はしかし該エラスターゼ遺伝子の全部ではない。C末約
4分の1を欠いている。そこで、クロモソームウォーキ
ングによりこのHind III 2.2kb断片を新たなプローブと
して用い、次のごとく遺伝子の残部をコードするDNA断
片を得る。
バチルスYa−BのDNAを制限酵素Hap IIで切断する。
ここで得られたDNA断片群を32P放射性ラベルした前記Hi
nd III 2.2kb断片をプローブに用い、上記同様サザンハ
イブリダイゼーション法によりハイブリダイズさせ、プ
ローブとハイブリダイズするDNA断片(Hap II 2.5kb断
片)を得る。かくして得られたHap II 2.5kb断片中に遺
伝子の残部をコードするDNAが含まれる。
b.プラスミドの構築 ベクターとしてプラスミドpUC18を用いる。図2に示
すごとく、pUC18を制限酵素Hind IIIで切断し、前記Hin
d III 2.2kb断片と合わせ、リガーゼ処理して組換えプ
ラスミドpED11とし、カルシウム法により大腸菌(E. c
oli)MC1061株に導入し、目的のHind III 2.2kb断片を
持つクローンを、前記32P放射性ラベルした合成プロー
ブを用い、コロニー・ハイブリダイゼーション法によっ
て選択する。
同様にして、プラスミドpUC18のAcc I Siteに前記Hap
II 2.5断片を結合して組換えプラスミドpED102とし、
大腸菌(E. coli)MC1061に導入し、前記Hind III 2.2
kb断片をプローブとのコロニー・ハイブリダイゼーショ
ンにより、Hap II 2.5断片のクローンを得る。
これらの操作も、前述の、例えば「Molecular Clonin
g」(Maniatisら著、Cold Spring Harbor Laboratory 1
982刊)記載の方法にしたがって行うことができる。
これらpED11およびpED102をそれぞれアルカリSDS法に
より宿主株より分離し、これらを第3図に示すごとくそ
れぞれを制限酵素BamH IとHind IIIおよびBgl IIとHind
IIIで切断後再連結し、遺伝子全体を含む組換えプラス
ミド「pED103」を構築し、大腸菌(E. coli)MC1061に
導入しクローンを得る。
かくして得た遺伝子の塩基配列をダイデオキシ法によ
り求めた結果は第1−1図〜第1−3図のとうりであ
り、この塩基配列から得られるアミノ酸配列は同じく第
1−1図〜第1−図の示す所である。
c.発 現 こうして得られた遺伝子の機能は以下の方法で確認出
来る。
まず、pED103にクローン化された遺伝子を大腸菌(E.
coli)と枯草菌(Bacillus subtilis)のシャトルベ
クターpHY300PLK(TAKARA SHUZO CO.,LTD)に第3図に
示すとうり連結して新規組換えプラスミドpEX301を得
る。これを枯草菌(Bacillus subtilis)207−21株に
導入し、導入菌をNB1.8%を含む培地で37℃で振とう培
養し、上澄液のエラスチン分解活性を調べることにより
確認できる。
これら一連の操作に用いる技術、すなわち、サザンハ
イブリダイゼーション、染色体DNAの調製、制限・修飾
酵素によるDNAの切断・連結方法等は例えば「Molecular
Cloning」(Maniatisら著、Cold Spring Harbor Labor
atory 1982刊)記載の方法にしたがって行うことができ
る。
次に実施例により本発明をさらに詳しく述べる。
実施例1. 遺伝子のクローニング用プローブの作成 バチルスYa−B(微工研条寄第2017号)を、100の
グルコース2%、グリセロール2%、カゼイン2%を含
むpH10.0の培地で37℃、23時間培養し、得られた培養液
を10,000rpm、10分間遠心分離処理し、次に、ろ液に硫
安を加え酵素を沈殿分離した。この硫安全飽和沈殿物を
透析後、DEAE−Sephadex A−25のカラムクロマトグラフ
ィー(6×80cm,2,1ml/min)にかけ、その未吸着通過
区分を次にCM−Sephadex C−50カラムクロマトグラフィ
ー(5×80cm,1.4,0.5ml/min)に張り込み0.5M NaCl
で溶出することにより精製酵素をえた。
この精製酵素をEdmanの方法に従いベックマン社製液
相アミノ酸シークエンサーを用いN末端から約50アミノ
酸の配列を調べたところ以下のとうりであった。
Gln Thr Val Pro Trp Gly Ile Asn Arg Val Gln Ala Pr
o Ile Ala Gln Ser Arg Gly Phe Thr Gly Thr Gly Val
Arg Val Ala Val Leu Asp Thr Gly Ile Ser Asn His Al
a Asp Leu Arg Ile Arg Gly Gly Ala Ser Phe Val Pro
Gly Glu Pro Asn この列の一部Pro−Trp−Gly−Ile−Asn−Arg(上記下
線部分)に対応する下式の17塩基配列96種の混合合成プ
ローブをホスホアミダイト法により合成した。
このうち3位の塩基AはG,C又はTと置換され、9位
の塩基AはG,C又はTと置換され、12位の塩基AはC又
はTと置換され、15位の塩基CはTとそれぞれ置換さ
れ、合計96種類の組み合わせが得られる。
実施例2. 遺伝子のクローニング a・前半の遺伝子(クローンa)のクローニング バチルスYa−B(微工研条寄第2017号)を2のグル
コース2%、グリセロール2%、カゼイン2%を含むpH
10.0の培地で37℃、3時間培養し、培養後10,000rpmで1
0分間遠心分離して菌体を集め、染色体DNAを取り出し
た。染色体DNAの調整方法及び以下に述べる制限・修飾
酵素によるDNAの切断・連結方法は「Molecular Clonin
g」(Manitiasら著、Cold Spring Harbor Laboratory 1
982刊)記載の方法にしたがって行った。次に、この染
色体DNA50μgを制限酵素Hind IIIで切断した(37℃、
2時間、1unit酵素/1μg DNA)。ここで得られた断片群
から、サザンハイブリダイゼーション(Southern bybri
dization)の手法に従い、遺伝子を含む断片を探索し
た。これには、まず、断片群をアガロース電気泳動で分
画し、ゲルのままアルカリ溶液(0.5M NaOH,1.5M NaC
l)に室温で30分間浸し、ゲル内でDNAを変性させ一本鎖
とした。ゲルを中性に戻した後(0.5M Tris−HCl,3M Na
Cl,pH7.0)、ニトロセルロースフィルターを密着し、高
塩溶液(3M NaCl,0.3M Tri−sodium citrate,pH7.6)で
毛細管現象を利用して移動、ゲル内のDNA分画区分を一
本鎖のままフィルターに吸着保持させた。これを室温で
乾燥し、80℃で2時間加熱してDNAを固定化後、32Pで放
射線標識した上記混合合成プローブと溶液(1.8M NaCl,
0.2M Tri−Sodium citrate pH7.6)中で45℃、16〜24時
間ハイブリダイズさせた。余分のプローブを同溶液(1.
8M NaCl,0.2M Tri−Sodium citrate pH7.6)を用い45
℃、1時間洗浄除去した後、オートラジオグラフィーを
とったところより2.2kbの位置にポジティブシグナルを
示し、このバンドの位置を遺伝子を構成するDNAの位置
と同定した。同条件で分画したゲルの2.2kbの位置よりD
NAを抽出して、求めるDNA断片(Hind III 2.2kb断片)
を得た。この2.2kb DNA断片をプラスミドベクターpUC18
のHind III部位に結合して第2図に示すごとく、組換え
プラスミドpED11とした。これを塩化カルシウム法で大
腸菌(E. coli)MC1061株に導入し、寒天培地上で一晩
培養した。2.2kb DNA断片をもつクローン(クローン
a)は32Pで放射線標識した上記混合合成プローブによ
るコロニー・ハイブリダイゼーションによって選択し
た。これには、寒天培地上に生じたコロニー上にニトロ
セルロースフィルターを密着してコロニーをうつし、ア
ルカリ溶液(0.5M NaOH,1.5M NaCl)でDNAを変性、一本
鎖とした後中性に戻し(0.5M Tris−HCl,3M NaCl,pH7.
0)、室温で乾燥、80℃で2時間加熱してDNAを固定化
後、32Pで放射線標識した上記混合合成プローブとハイ
ブリダイズさせ、余分のプローブを洗浄除去した後、オ
ートラジオグラフィーでクローンを検出した。このクロ
ーン(クローンa)は、しかし、アルカリ性エラスター
ゼを発現せず、結局、2.2kb DNA断片は遺伝子の一部に
過ぎない事が判明した。また、この塩基配列を決定した
ところ、C末の一部を欠くことがわかった。
b.後半の遺伝子(クローンb)のクローニング そこで、次に、前記染色体DNA50μgを制限酵素Hap I
Iで切断(37℃、2時間、1unit酵素/1μg DNA)し、こ
こで得たDNA断片群を、上記と同様に、アガロース電気
泳動で分画後、クロモソーム・ウォーキング(Chromoso
me−walking)の手法にり、次のごとく、残りのDNAを含
む断片を得た。
アガロース電気泳動で分画したプレートに32Pで放射
線標識したHind III 2.2kb断片を新たなプローブとして
用い、前記サザンハイブリダイゼーション(Southern h
ybridization)と全く同じ手法でハイブリダイズさせた
結果、オートラジオグラフィーで2.5kbの位置にポジテ
ィブシグナルを示した。前記同様にゲルの2.5kbの位置
より抽出して新たなDNA断片(Hap II 2.5kb断片)を得
た。
これを第2図に示すごとく、プラスミドベクターpUC1
8のAcc I部位に結合し、組換えプラスミドpED102とし
た。これを塩化カルシウム法で大腸菌(E. coli)MC10
61株に導入し、Hap II 2.5kb断片をもつクローン(クロ
ーンb)は32Pで放射線標識したHind III 2.2kb断片を
プローブにしてコロニー・ハイブリダイゼーションによ
って選択した。このクローン選択操作は、プローブに32
Pで放射線標識したHind III 2.2kb断片を用いた他は、
前記2.2kb DNA断片をもつクローンの場合と全く同じ操
作で行った。
c.遺伝子全体をもつプラスミドの構築 前記クローンaおよびクローンbからそれぞれ組換え
プラスミドpED11,pED102をアルカリSDS法により分離
し、両プラスミドを第3図に示すごとく連結し、遺伝子
全体を包含するプラスミドpED103を構築した。
すなわち、pED11,pED102はそれぞれ重なり合う部分を
持つため、第3図に示すように、pED11及びpED102を種
々の制限酵素で処理し、制限酵素地図を作成したとこ
ろ、pED11とpED102は約900塩基対長にわたり重なり合う
部分があることが分かった。そこで、予め、pED11を制
限酵素Bgl IIとHind IIIで、また、pED102を制限酵素Ba
mH IとHind IIIで切断しておき、その後両者を合わせ、
T4DNAリガーゼを用いて繋いだ。これを塩化カルシウム
法で大腸菌(E. coli)MC1061株に導入し、寒天培地で
一晩培養し、生じたコロニーから無作為に20個を選び、
別々に一晩培養した後、アルカリSDS法によりプラスミ
ドを調整し、それぞれをアガロース電気泳動で分画し、
予定した組換え体を得た。このDNAが求めるpED103に相
当し、同様に、大腸菌(E. coli)MC1061株にクローン
化した。これらの操作も「Molecular Cloning」(Mania
tisら著、Cold Spring Harbor Laboratory 1982刊)記
載の方法にしたがって行った。
かくして得た遺伝子のDNA配列をダイデオキシ法によ
り調べた結果、および、このDNA配列から得られるアミ
ノ酸配列は第1−1図〜第1−3図に示す所であった。
この配列決定に当っては第4図に示すストラテジーを用
いた。
実施例3. 発現 pED103にクローン化された遺伝子を枯草菌で発現させ
た。このために、大腸菌(E. coli)と枯草菌(Bacill
us subtilis)のシャトルベクターpHY300PLK(TAKARA
SHUZO CO.,LTD)を用い、第3図に示すごとく、両プラ
スミド各10μgを制限酵素Sal IおよびEcoR Iで切断(3
7℃、1時間)後合わせてT4DNAリガーゼで連結して組換
えプラスミドpEX301を構築した。これを塩化カルシウム
法で大腸菌(E. coli)MC1061株に導入し、pED103の場
合と同じ操作で8.0kbのプラスミド、すなわちpEX301を
保有するクローンを選定した。かくして得た組換えプラ
スミドpEX301を今度は枯草菌(Bacillus subtilis)20
7−21株に塩化カルシウム法で導入した。導入菌を栄研
ブイヨン1.8%を含むNB培地に接種し、37℃で振とう培
養し、6時間、24時間、72時間後に培地を採り、それぞ
れエラスターゼ活性を測定した結果第1表のとうりであ
った。
比較のためpEX301を導入しない枯草菌(Bacillus su
btilis)207−21株を同様に培養しエラスターゼ活性を
測定した結果第1表のとうりであった。
エラスターゼ活性の測定方法は次のごとく行った。
水平部4cmのミニL字管に15mgのelastin−orsein(Si
gma社E1500)を採り、1mlの緩衝液(NaHCO3−Na2CO350m
M、pH10.5)と1mlの菌体培養上澄液を入れ、37℃で振と
うしながら反応させ、30分後、2mlの反応停止液(NaHPO
4−Na2PO40.7M、pH6.0)を添加し、遠心分離で基質elas
tin−orseinを除去し、上澄の590nm吸光度を測定した。
全量15mgのelastin−orseinの半分を分解できる酵素量
を10unitとした。
これら一連の操作に用いる技術すなわちサザン・ハイ
ブリダイゼーション(Southern hybridiza−tion)、染
色体DNAの調製、制限・修飾酵素によるDNAの切断・連結
方法等は「Molecular Cloning」(Maniatisら著、Cold
Spring Harbor Laboratory 1982刊)記載の方法にした
がって行った。
〔発明の効果〕
本発明の遺伝子は完全なアルカリ性エラスターゼ遺伝
子をコードしており、遺伝子を組み込んだプラスミドは
宿主細胞内で発現可能であり、アルカリ性エラスターゼ
の生産方法として有用なものである。遺伝子の塩基配列
は完全なアルカリ性エラスターゼ生産遺伝子の塩基配列
を示し、アルカリ性エラスターゼのアミノ酸配列をコー
ドしている。
【図面の簡単な説明】
第1−1図〜第1−3図は本発明のアルカリ性エラスタ
ーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列および該
ポリペフチドをコードする遺伝子の塩基配列を示す。 第2図は制限酵素による切断部位、並びにプラスミドpE
D11及びpED102の構築方法を示す。 第3図は本発明のプラスミドpED103およびpEX301の構築
方法を示す。 第4図は塩基配列の決定に用いたストラテジーを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:125) (72)発明者 蔡 英傑 台湾台北市北投区立農街2段155号 国 立陽明医学院学人宿舎14号 (72)発明者 金子 龍太 東京都世田谷区三軒茶屋1丁目14番15号 トキワハイツ303 (56)参考文献 昭和62年度 日本農芸化学会大会講演 要旨集 第29頁

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次のアミノ酸配列: を有し、アルカリ性エラスターゼ活性を有するポリペプ
    チドをコードする遺伝子。
  2. 【請求項2】次の塩基配列: を有する、請求項1に記載の遺伝子。
  3. 【請求項3】次のアミノ酸配列: を有し、アルカリ性エラスターゼ活性を有するポリペプ
    チドをコードする遺伝子。
  4. 【請求項4】次の塩基配列: を有する、請求項3に記載の遺伝子。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の遺伝
    子を含むベクター。
  6. 【請求項6】請求項5に記載のベクターにより形質転換
    された宿主を培養し、この培養物からアルカリ性エラス
    ターゼ活性を有するポリペプチドを採取することを特徴
    とする、該ポリペプチドの製造方法。
JP22639188A 1988-09-12 1988-09-12 エラスターゼをコードする遺伝子 Expired - Fee Related JP2674796B2 (ja)

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昭和62年度 日本農芸化学会大会講演要旨集 第29頁

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