JP2674217B2 - 熱交換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は燃焼ガス等の高温ガスにより冷媒を加熱し冷
暖房装置に利用する熱交換器に関するものである。

従来の技術 被加熱側流体に冷媒を用いて、燃焼ガスにより加熱し
て液状冷媒を蒸発気化させて潜熱により熱を運び暖房を
行うものに第５図に示すような冷媒加熱暖房機がある。
これは高温の燃焼排気ガスと冷媒との熱交換器１と放熱
器２を密閉管路３で連結すると共に密閉管路３中に設け
た冷媒ポンプや圧縮機等の冷媒搬送機４により冷媒を強
制循環するものである。第６図は、熱交換器１の従来例
を示したもので（特開昭59−107167号公報）、水平方向
に延びるアルミニウム製の円筒状内周面に複数のフィン
５を設け、外周面軸方向にはパイプ保持部６及び冷媒が
内部を流れる鋼材質からなるパイプ７を設けたもので、
バーナー８からの燃焼排気ガスを円筒状内面９に水平横
方向に流して、冷媒搬送機４により送られてきた水平横
方向のパイプ７内を流れる冷媒を加熱するものである。

しかし、この暖房システムでは冷媒搬送に外部動力が
必要であり、さらに熱交換効率の向上も含めた暖房運転
時のランニングコストを低減することが臨まれている。

また、この種熱交換装置の従来公知技術として、特開
昭63−105395号公報および実開昭63−179464号公報に示
されたものがある。

これらには縦方向の多数の冷媒通路を形成した２つの
冷媒通路部材が用いられているが、さらに冷媒の流れ抵
抗の低減、２つの冷媒通路部材への均等な分流、バーナ
ーからの燃焼排気ガスから冷媒への熱交換効率のアッ
プ、伝熱フィンから冷媒通路部材への熱のスムーズな伝
達と温度の均一化、熱交換装置の構成の簡略化と小形化
等の課題を有しているものである。

発明が解決しようとする課題 暖房運転時のランニングコスト低減には冷媒搬送用の
外部動力を無くして無動力で熱搬送することが有効であ
る。無動力熱搬送により、冷媒加熱暖房を行う場合、液
状冷媒が加熱されて発生する気体冷媒の自然循環力が重
要となる。

この種の暖房装置は、従来は第５図、第６図に示すよ
うに冷媒加熱用熱交換器１のような構成であり、冷媒は
水平方向で、且つ連続した一通路としてパイプ７内を流
れるので、加熱されて気液二相混合状態の冷媒の気体成
分がスムーズに出口に向かって流れないため冷媒の淀み
を生じ、局部的な異常過熱を発生したり、冷媒の流れ抵
抗が大きく、熱交換効率も低い。また燃焼室と熱交換部
が一体であるため熱交換量が燃焼状態により不均一であ
るため局部加熱を生じ冷媒の熱分解あるいは機器の異常
温度上昇など、機器の信頼性能上の課題があった。

また従来の公知技術である特開昭63−105395号公報お
よび実開昭63−179464号公報に示されたものは、多数の
通路を形成した冷媒通路部材が燃焼室の両サイドに設け
られ、この各々の冷媒通路部材に伝熱フィンからの熱を
伝えると共に、冷媒通路部材に連通した入口及び出口ヘ
ッダー管とこれら左右のヘッダー管を連通させる管を有
している。

この場合、液冷媒が１本の冷媒入口管から分岐して左
右２本の入口ヘッダー管に入り、各々の冷媒通路部材の
通路を上昇する過程で加熱され気液２相流となって出口
ヘッダー管に吹き上げる。この２本の出口ヘッダーから
１本の冷媒出口管に集合して放熱器に吐出する。

このように液冷媒の流れに対する分岐抵抗、冷媒通路
部材の通路抵抗、ガスと液の二相状態の冷媒の集合する
ところでの衝突による合流抵抗など、各々の冷媒の流れ
に対する抵抗変動が大きい。このため燃焼室を挟んで位
置する左右両サイドの冷媒通路部材の通路への冷媒流量
に差を生じる。

また、熱交換器が傾斜して設置された場合、前記冷媒
流量差がさらに大きくなる。さらに燃焼室内での燃焼火
炎、燃焼ガスの流れも変動しやすく、左右両サイドの冷
媒通路部材を均等に加熱することが困難である。このた
め左右両サイドの冷媒通路部材に温度差を生じ、冷媒の
過熱による熱分解を生じやすく、熱交換もバラツキが大
きく高効率を維持できないと共に、温度の不均一による
熱応力で変形、破損しやすいなど耐久性にも課題があ
る。

また、左右両サイドの冷媒通路部材の片方に過熱検知
センサーを配設しても熱交換器全体の代表温度とならず
安全に制御することができない。

また冷媒通路部材に形成した多数の通路が長方形の穴
形状をしているが、長方形の長辺壁が伝熱フィン側に位
置し短辺壁の数も少なくなる。これらのことから伝熱フ
ィンからの熱が短辺壁を経て伝熱フィンと反対側の長辺
壁全体に充分伝導せず冷媒通路部材の伝熱フィン側の長
辺壁の温度が高く、伝熱フィンと反対の長辺壁の温度が
低い状態となる。

このため伝熱フィンからの熱を通路を通過する液状冷
媒に効率よく伝達させることができず、さらに冷媒通路
部材全体の温度不均一から熱応力が大きくなり変形、破
損等を発生しやすく耐久的に課題がある。さらに構成が
複雑であり、製造時の加工バラツキも大きく、コストも
非常に高いなど実用上の課題を有している。

本発明は上記従来例の課題を解決するもので、冷媒の
均一な加熱と熱交換効率の向上、冷媒の円滑な流れと熱
交換装置の均一な温度分布と安全性、耐久性の向上、構
成の簡略化と小形化、低コスト化をはかることを目的と
する。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明の熱交換装置は、板
状の伝熱隔壁部材と、この一方の面に密着固定した上下
縦方向に多数の通路を有する冷媒通路部材と、この冷媒
通路部材に連通した下側に設けた入口ヘッダー管および
上側に設けた出口ヘッダー管と、前記伝熱隔壁部材の他
方の面に密着固定し上下に分割し間隔を有した伝熱フィ
ンと、この伝熱フィンを覆い伝熱隔壁部材の固定した高
温ガス通路部材と、この高温ガス通路部材に連設した燃
焼室と、この燃焼室に連通するバーナと、このバーナか
らの高温の燃焼排気ガスを上下に分割した間隔を介して
各々の伝熱フィンに導く高温ガス通路部材に形成した燃
焼排気ガス入口と、前記伝熱フィンを通った燃焼排気ガ
スを排出する排気部を備え、前記冷媒通路部材に形成し
た通路は長辺壁と短辺壁とからなる略長方形とし、その
短辺壁側を伝熱フィン側の伝熱隔壁部材に密着固定した
ものである。

作用 本発明は上記した構成によって、冷媒が入口ヘッダー
管より多数の通路を縦方向に設けた一つの冷媒通路部材
に流れることによって各々の通路に均一に分流すると共
に、燃焼排気ガスが燃焼ガス入口より上下に分割された
伝熱フィンに分流して流れ、この熱で伝熱フィンを介し
て冷媒通路部材を均一に加熱する。

また本発明は上記した構成によって、冷媒通路部材の
通路を形成した長辺壁の数が増すことおよび短辺壁の寸
法が短くなることによって伝熱フィンからの熱が伝熱フ
ィンと反対側の短辺壁にもスムーズに伝達し冷媒通路部
材全体が均一な温度となる。また冷媒通路部材が片側の
みの簡略化された基本構成となる。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。第１図〜第４図において、10は燃焼供給装置に接続
したバーナー８に連通して設けた燃焼室で、11は伝熱隔
壁部材であり、12は高温ガス通路部材で伝熱隔壁部材11
と密着し燃焼室10に連通して設けた燃焼排気ガス入口13
と排気部14を有している。15は伝熱隔壁部材11の一方の
面に密着固定した冷媒通路部材であり上下縦方向の通路
16が多数設けられている。この通路16は冷媒通路部材15
の短辺壁15a、長辺壁15bにより構成されており、短辺壁
15aの一方を伝熱フィン22A、22B側に位置している。17
は冷媒通路部材15の下側に設けた入口ヘッダー管、18は
冷媒通路部材15の上側に設けた出口ヘッダー管でありそ
れぞれ入口管19、出口管20を接続し、この各々により冷
媒回路と接続しており、入口ヘッダー管17の他端には下
方に曲折しオイル抜き管21を設けてある。入口ヘッダー
管17と出口ヘッダー管18はそれぞれ縦方向の通路16によ
り連通している。22A、22Bは伝熱隔壁部材11の他方の面
に上下に分割し間隔を有して密着固定した伝熱フィンで
あり波形状に屈曲させて多数枚としてある。燃焼室10の
高温ガス通路部材12と接しない残りの外面は全面を覆う
断熱材23が設けてある。燃焼排気ガス入口13部分に上下
に分割し間隔を有した伝熱フィン22A、22Bが位置し、フ
ィンに形成した上下の通路24、25と、前記伝熱フィン22
A、22Bの外周を通り集合する排気通路26、27を形成し、
排気部14に連通している。

上記構成に於いて、燃料の供給装置により供給した燃
焼をバーナー８で燃焼し、燃焼室10に発生した高温ガス
は燃焼排気ガス入口13を通り伝熱フィン22A、22Bの間の
通路24、25を通り、排気通路26、27を介して排気部14よ
り排気する。冷媒入口管19を通って入口ヘッダー管17に
入った液冷媒は冷媒通路部材15の下部より多数の縦方向
の通路16に分流し、伝熱フィン22A、22Bが燃焼排気ガス
からの熱を受け伝熱隔壁部材11を介して冷媒通路部材15
に伝熱する。この時、伝熱隔壁部材11に密着固定した短
辺壁15aから多数の長辺壁15bに、さらに電熱隔壁部11と
反対側の短辺壁15aにスムーズに伝熱することによって
冷媒通路部材15全体が均一な温度に加熱される。この冷
媒通路部材15の縦方向の通路16内の冷媒を均一に加熱し
液状冷媒は気化蒸発を開始し液の中に気泡を生じる気液
二相状態となる。発生した気泡は浮力効果で縦方向に設
けた通路16内を下方から上方に上昇する。また特に排気
ガスは燃焼室10から燃焼排気ガス入口13を出たのち上下
に分割された伝熱フィン22A、22Bに分流して伝熱隔壁部
材11を介して冷媒通路部材15をその側面から均一に加熱
する。均一加熱により気泡発生の増大と、通路16内の流
れ抵抗が低減し自然循環力が強くなると共にまだ気化し
ていない液冷媒を伴って通路16の上部へ冷媒を送る気泡
ポンプ作用が発生する。さらに通路16の上部、下部にお
いても設けた伝熱フィン22A、22B以外の伝熱隔壁部材11
全面も伝熱面積となり効率よく吸熱し通路16内の気液二
相状態の冷媒をさらに加熱して自然循環力を増大させ
る。通路16の上端に達した冷媒は出口ヘッダー管18に流
入し冷媒出口管20より放熱器（図示せず）に向かって流
出する。

このように縦方向の通路16の下部から上部に至るまで
均一に加熱することにより自然循環を高めるだけでな
く、下部に於いて伝熱フィン22Bにより強く加熱するこ
とで自然循環力をさらに増加させる。

発明の効果 以上のように本発明の熱交換装置は、板状の伝熱隔壁
部材と、この一方の面に密着固定した上下縦方向に多数
の通路を有する冷媒通路部材と、この冷媒通路部材に連
通した下側に設けた入口ヘッダー管及び上側に設けた出
口ヘッダー管と、前記伝熱隔壁部材の他方の面に密着固
定し上下に分割し間隔を有した伝熱フィンと、この伝熱
フィンを覆い伝熱隔壁部材の固定した高温ガス通路部材
と、この高温ガス通路部材に連接した燃焼室と、この燃
焼室に連通するバーナと、このバーナからの高温燃焼排
気ガスを上下に分割し間隔を介して各々の伝熱フィンに
導く高温ガス通路部材に形成した燃焼排気ガス入口と、
前記伝熱フィンを通った燃焼排気ガスを排出する排気部
を備え、前記冷媒連通部材に形成した通路は長辺壁と短
辺壁とからなる略長方形とし、その短辺壁側を伝熱フィ
ン側の伝熱隔壁部材に密着固定したもので、次のような
効果を有する。

（１） 従来公知技術のように燃焼室の左右側サイドに
冷媒通路部材を有し、それらの各々に出入り口ヘッダー
管を設けさらにこれら出入り口ヘッダー管を集合させる
管を有する構成に対して本発明は、多数の通路を設けた
一つの冷媒通路部材をその一方の側面から伝熱フィンを
介して加熱するので、熱交換装置が傾斜したとしても一
つの入口ヘッダー管から各通路に均一に分流されるので
冷媒の過熱を生じることがない。また各々の通路で均一
な気泡ポンプ効果が発揮され冷媒の円滑な流れと、冷媒
搬送の無動力化が可能となり低ランニングコストの暖房
ができる。

（２）伝熱隔壁部材を介して冷媒通路部材に対向する位
置に、上下に間隔を有し分割した伝熱フィンを設け、こ
の各々の伝熱フィンに燃焼ガスを分流して通過させるこ
とによって冷媒通路部材を側面の下部から上部まで巾広
く常に均一に加熱することができる。このように一つの
冷媒通路部材が燃焼排気ガスによって均一に過熱される
ので熱応力が抑制され変形、破損を生じることがない。

（３）冷媒通路部材の通路を形成した長辺壁の数が増す
ことによって伝熱フィンからの熱を伝熱フィンと反対側
の短辺壁にスムーズに伝達し、さらにこの短辺壁の長さ
が短いことにより冷媒通路部材の全体が均一な温度とな
る。従って、通路中の冷媒に効率よく熱伝達させること
ができ全体の小形化と共に熱応力が抑制され変形、破損
の発生がなく耐久性と安全性が向上する。

（４）冷媒通路部材の全体が均一温度にできることによ
って冷媒の過熱による熱分解も防止される。

（５）冷媒通路部材に温度検知センサーを複数個設ける
必要がなく熱交換装置におよび温度検知の制御回路が簡
略化できる。

（６）伝熱フィンの反対側の冷媒通路部材の表面に設置
した１つの温度検知センサーによる冷媒洩れ等による異
常温度上昇を応答よく検知して燃焼を停止させることが
でき耐久性を向上できる。

（７）この種交換器は冷媒の圧力が最高30kg/cm²まで使
用されるが従来の冷媒通路部材の通路では、伝熱フィン
と反対側の壁の耐圧力が低く応力疲労により変形破損に
対して余裕が少ない。これに対して本発明においては均
一な温度による熱応力の抑制と通路を形成する長辺壁の
数が増加し、且つ短辺壁の長さが短いことから耐圧力が
著しく向上する。

（８）冷媒通路部材が片側のみで構成が大幅に簡略化さ
れ、小形化と共に製造時の加工、組立バラツキが小さく
品質の向上、コストの低減が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す熱交換装置の断面図、
第２図は同冷媒通路部材の断面図、第３図は第１図の熱
交換装置の分解斜視図、第４図は第１図の熱交換装置の
燃焼ガス通路部の断面図、第５図は従来の冷媒加熱暖房
機の回路構成図、第６図は従来の熱交換器の外観斜視図
である。 ８……バーナー、10……燃焼室、11……伝熱隔壁部材、
12……高温ガス通路部材、13……燃焼排気ガス入口、14
……排気部、15……冷媒通路部材、15a……短辺壁、15b
……長辺壁、16……通路、22A、22B……伝熱フィン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜武 達規 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 山口 紘一郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−105395（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】板状の伝熱隔壁部材と、この一方の面に密
   着固定した上下縦方向に多数の通路を有する冷媒通路部
   材と、この冷媒通路部材に連通した下側に設けた入口ヘ
   ッダー管および上側に設けた出口ヘッダー管と、前記伝
   熱隔壁部材の他方の面に密着固定し上下に分割し間隔を
   有した伝熱フィンと、この伝熱フィンを覆い伝熱隔壁部
   材に固定した高温ガス通路部材と、この高温ガス通路部
   材に連接した燃焼室と、この燃焼室に連通するバーナ
   と、このバーナからの高温の燃焼排気ガスを上下に分割
   した間隔を介して各々の伝熱フィンに導く高温ガス通路
   部材に形成した燃焼排気ガス入口と前記伝熱フィンを通
   った燃焼排気ガスを排出する排気部を備え、前記冷媒通
   路部材に形成した通路は長辺壁と短辺壁とからなる略長
   方形とし、その短辺壁側を伝熱フィン側の伝熱隔壁部材
   に密着固定した熱交換装置。