JPH0697143B2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は燃焼ガス等の高温流体により冷媒などの被加熱
側流体を加熱する熱交換器に関するものである。

従来の技術 被加熱側流体に冷媒を用い、燃焼ガスにより加熱して液
状冷媒を蒸発気化させて潜熱により熱を運び暖房を行な
うものに第４図に示すような冷媒加熱暖房機がある。こ
れは燃焼ガスと冷媒との熱交換器１と放熱器２を密閉管
路３で連結するとともに密閉管路３中に設けた冷媒搬送
機４により冷媒を強制循環させるものである。第５図は
熱交換器１の従来例を示したもので（特開昭59−107167
号公報）、水平方向に延びる円筒状内周面に複数のフィ
ン５を設け、外周面軸方向にはパイプ保持部６および冷
媒が内部を流れるパイプ７を設けたもので、バーナ８か
らの燃焼ガスを円筒状内面９に水平横方向に流して、冷
媒搬送機４により送られてきた水平横方向のパイプ７内
を流れる冷媒を加熱するものである。

しかし、この暖房システムでは冷媒搬送に外部動力が必
要であり、暖房運転時のランニングコストを低減するこ
とが検討されている。

発明が解決しようとする問題点 暖房運転時のランニングコスト低減には冷媒搬送用の外
部動力をなくして無動力で熱搬送することが有効であ
る。無動力熱搬送により冷媒加熱暖房を行なう場合、液
状冷媒が加熱されて発生する気体冷媒の浮力による自然
循環力が重要となる。しかし、第５図に示した従来の熱
交換器１のような構成では冷媒は水平方向に延びるパイ
プ７内を流れるため、加熱され気液二相混合状態の冷媒
の気体成分がスムーズに出口に向って流れないため冷媒
のよどみを生じ、局部的な異常過熱が発生し、冷媒の熱
分解あるいは機器の異常温度上昇など、機器の信頼性上
の問題があった。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明の熱交換器は下部に
向かって拡がる拡大斜面の上側に平行接近面を有する伝
熱隔壁筒の外面に、縦方向の通路を有する冷媒通路部材
を配設し、伝熱隔壁筒の拡大斜面の内側を燃焼室とし平
行接近面の内側を燃焼ガス通路とするとともに、平行接
近面部に伝熱フィンを多数設けた構成としたものであ
る。

作 用 本発明は上記した構成によって、燃焼室を形成する伝熱
隔壁筒の拡大斜面において燃焼炎の輻射熱だけでなく対
流熱を積極的に吸熱し、縦方向通路内の冷媒を下部より
十分加熱して冷媒の気泡発生を下部位置から促進させて
気泡上昇による自然循環力を増大させ、さらに平行接近
面に設けた伝熱フィンにより効率よく吸熱して熱効率を
向上させるもので、無動力熱搬送を確実に行なわせ、冷
媒の熱分解を生じない信頼性の高いシステムを得ること
を目的とするものである。

実 施 例 以下本発明の実施例を第１図〜第３図で説明する。10は
伝熱隔壁筒であり、下部に向って拡がる拡大斜面11とこ
の拡大斜面11の上側に連らなる平行接近面12を有してい
る。13は伝熱隔壁筒10の外面に熱的に連結させた冷媒通
路部材であり縦方向の通路14が多数設けられている。15
は冷媒通路部材13の下端に設けた入口ヘッダー管、16は
冷媒通路部材13の上端に設けた出口ヘッダー管でありそ
れぞれ左右に一対ずつ設けられ、入口ヘッダー管15と出
口ヘッダー管16はそれぞれ縦方向の通路14により連通し
ている。17は平行接近面12の内側に熱的に接するように
設けられた伝熱フィンであり、伝熱フィン17には多数の
切込みを入れたスリツト18を保有している。19は入口ヘ
ッダー管15,15に接続された冷媒入口管、20は出口メッ
ダー管16,16に接続された冷媒出口管である。21は伝熱
隔壁筒10の下部の拡大斜面11に囲まれた燃焼室であり、
22は平行接近面12と伝熱フィン17に囲まれ下方は燃焼室
21に通じ上方は開放されている燃焼ガス通路である。

以上の構成において、冷媒入口管19を通って入口ヘッダ
ー管15,15に入った液状冷媒は冷媒通路部材13の下部よ
り多数の縦方向の通路14に分散し、まず燃焼室21を囲む
拡大斜面11において燃焼炎の輻射熱だけでなく対流熱を
も積極的に吸熱し、熱的に連結された冷媒通路部材13の
縦方向の通路14内の冷媒を入口ヘッダー管15に近い下部
より十分に加熱する。そこで加熱された液状冷媒は気化
蒸発を開始し液の中に気泡を生じる気液二相状態とな
る。

発生した気泡は浮力効果で縦方向に設けた通路14内を下
方から上方に上昇し、特に下部において輻射熱だけでな
く対流熱を加えて強く加熱されることにより気泡発生が
増大し、気泡上昇力は強められ自然循環力が強くなると
ともにまだ気化していない液状冷媒を伴って通路14の上
部へ冷媒を送る気泡ポンプ作用が発生する。さらに通路
14の上部においても平行接近面12に設けた伝熱フィン17
により燃焼ガス通路22を流れる加熱側流体より効率よく
吸熱し、また伝熱フィン17に設けたススリット18で吸熱
効率をさらに高くすることにより通路14内の気液二相状
態の冷媒をさらに加熱して自然循環力をさらに増大させ
る。通路14の上端に達した冷媒は出口ヘッダー管16に流
入し冷媒出口管より放熱器（図示せず）に向かって流出
する。

のように縦方向の通路14の下部から上部に至るまで加熱
することにより自然循環力を高めるだけでなく、下部に
おいて強く加熱することで自然循環力をさらに増大させ
下方から上方への強い上昇流により流れの撹拌乱流効果
を発生させて冷媒の局部異常過熱を防止することにより
冷媒の熱分解あるいは機器の異常温度上昇防止による信
頼性向上を図ることができる。

また燃焼ガス通路も下方から上方に流れる構成であるた
め燃焼ガスの自然対流力を利用できるため燃焼用空気を
送るための送風機を特に使用しなくても良く、燃焼機器
を低コストで形成することができる。

さらに、冷媒通路部材13を内部に多数の孔をもつアルミ
ニウム製の多穴偏平押出管とし、伝熱フィン17として帯
状のアルミニウム製の板を波形状に屈曲させて構成し、
かつ伝熱隔壁筒10はアルミニウム製芯材の表裏の両面に
ろう材を事前にククラッドしたブレージングシートして
この素材を用いた伝熱隔壁筒10の内外面にアルミニウム
製の伝熱フィン17およびアルミニウム製の多穴偏平押出
管の冷媒通路部材13を用いて組立て、同時に一体ブレー
ジングすることにより熱的に連結することで、接触熱抵
抗がない伝熱性能に優れる熱交換器を軽量でかつ低コス
トで実用に供することができる。

発明の効果 本発明は下部に向かって拡がる拡大斜面とその上に連な
り伝熱フィンをもつ平行接近面により伝熱隔壁筒と、伝
熱隔壁筒の外面に縦方向の通路を有する冷媒通路部材を
配設し、拡大斜面の内側を燃焼室とする構成とすること
により、 （１）冷媒の通路の下部より強く加熱するため気泡ポン
プ作用を強くすることができ、発生した気泡の上昇流に
より流れを撹拌乱流効果により冷媒の局部過熱防止およ
び機器の異常温度上昇防止により信頼性を向上できる。

（２）上昇気泡流による気泡ポンプ作用により無動力熱
搬送が可能となり、低ランニングコストの暖房ができ
る。

（３）燃焼ガス通路も下方から上方に流れる構成であ
り、燃焼用空気を送る送風機が不要な安価な燃焼機器を
使用可能となり、低コストの機器を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す熱交換器の外観斜視
図、第２図は冷媒通路部材のＡ−Ａ断面図、第３図は第
１図熱交換器の断面図、第４図は従来の冷媒加熱暖房機
の回路構成図、第５図は従来の熱交換器の外観斜視図で
ある。 10……伝熱隔壁筒、11……拡大斜面、12……平行接近
面、13……冷媒通路部材、14……通路、17……伝熱フィ
ン、21……燃焼室、22……燃焼ガス通路。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下部に向って拡がる拡大斜面の上側に平行
   接近面を有する伝熱隔壁筒の外面に、縦方向の通路を有
   する冷媒通路部材を配設し、前記伝熱隔壁筒の拡大斜面
   の内側を燃焼室とし、前記伝熱隔壁筒の平行接近面の内
   側を燃焼ガス通路とするとともに、前記平行接近面部に
   伝熱フィンを多数設けた熱交換器。
2. 【請求項２】冷媒通路部材は内部に多数の孔をもつアル
   ミニウム多穴偏平押出管とし、伝熱フィンは波形状に屈
   曲したアルミニウム板とし、伝熱隔壁筒は表裏面にろう
   材をクラツドしたアルミニウム板とし、前記伝熱隔壁筒
   の内外面には前記伝熱フィンおよび前記冷媒通路部材を
   同時ブレージングした構成の特許請求の範囲第１項記載
   の熱交換器。