JP2532630B2 - 冷媒加熱機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、燃焼ガス等の高温ガスにより冷媒を加熱し
冷暖房装置に利用する冷媒加熱機に関するものである。

従来の技術 被加熱側流体に冷媒を用いて、燃焼ガスにより加熱し
て液状冷媒を蒸発気化されて潜熱により熱を運び暖房を
行うものに第４図に示すような冷媒加熱暖房機がある。
これは燃焼ガスと冷媒との熱交換器１と放熱器２を密閉
管路３で連結すると共に密閉管路３中に設けた冷媒搬送
機４により冷媒を強制循環するものである。第５図は、
熱交換器１の従来例を示したもので（特開昭59−107167
号公報）、水平方向に延びる円筒状内周面に複数のフィ
ン５を設け、外周面軸方向にはパイプ保持部６及び冷媒
が内部を流れるパイプ７を設けたもので、バーナ８から
の燃焼ガスを円筒状内面９に水平横方向に流して、冷媒
搬送機４により送られてきた水平横方向のパイプ７内を
流れる冷媒を加熱するものである。

しかし、この暖房システムでは冷媒搬送に外部動力が
必要であり、暖房運転時のランニングコストを低減する
ことが望まれている。

発明が解決しようとする課題 暖房運転時のランニングコスト低減には冷媒搬送用の
外部動力を無くして無動力で熱搬送することが有効であ
る。無動力熱搬送により、冷媒加熱暖房を行う場合、液
状冷媒が加熱されて発生する気体冷媒の浮力による自然
循環力が重要となる。

この種の暖房装置は、従来は、第５図に示すように冷
媒加熱熱交換器１のような構成であり、冷媒は水平方向
に延びるパイプ７内を流れるため、加熱されて気液二相
混合状態の冷媒の気体成分がスムーズに出口に向かって
流れないため冷媒の淀みを生じ、局部的な異常過熱を発
生し、冷媒の熱分解あるいは機器の異常温度上昇など、
機器の信頼性能上の課題があった。

本発明はかかる従来の課題を解消するもので、バーナ
等で加熱する冷媒加熱器の自然循環サイクルを気泡上昇
による自然循環力を増進させることによりスムーズに循
環させ、さらに効率よく伝熱して熱効率を向上させるも
ので、無動力熱搬送を確実におこなわせる冷媒の熱分解
を生じなく、また冷媒の燃焼ガス部への洩れ防止とオイ
ル抜きにより冷媒の均一循環の維持とにより冷媒の熱分
解を生じなく信頼性の高いシステムとすることを目的と
する。

課題を解決するための手段 本発明はかかる従来の課題を解消するもので、燃料ガ
ス供給装置に接続したバーナと、前記バーナの上方に連
通して設けた燃焼室、高温ガス通路、排気通路と、燃焼
ガスが通過する前記高温ガス通路の外周伝熱隔壁に密着
した多数の伝熱フィンと、前記排気通路の出口に接続し
た燃焼ファンと、前記燃焼室と前記高温ガス通路の外壁
を構成する外周伝熱隔壁と縦方向の通路を有する多穴管
構成の冷媒通路部材で構成した二重壁構成と、前記外周
伝熱隔壁と一体に構成した前記排気通路と、前記冷媒通
路部材の冷媒通路の底部にオイル抜き管と、前記高温ガ
ス通路の高温ガスと前記冷媒通路部材の冷媒の流れ方向
を同一方向に設けた構成としたものである。

作用 本発明は、上気した構成によって、バーナ等で加熱す
る冷媒加熱器の自然循環サイクルを、高温ガス通路の外
周伝熱隔壁と縦方向の通路を有する多穴管構成の冷媒通
路部材で構成した冷媒加熱器でスムーズに冷媒を循環さ
せ、排気通路と高温ガス通路の高温ガスと前記冷媒通路
部材の冷媒の流れ方向を同一方向に設けることにより、
冷媒を加熱器の下部の入口で十分加熱して冷媒の気泡発
生を下部の位置から促進させて気泡上昇による自然循環
力を増進させ、さらに外周伝熱隔壁と一体に構成した高
温ガス通路の排気通路によるこの通路からは冷媒に効率
よく伝熱することと、燃焼ファンの吸引により前記高温
ガス通路の外周伝熱隔壁に密着した多数の伝熱フィン内
を燃焼ガスが均一に流れるため冷媒に効率よく伝熱して
熱効率を向上させるもので、無動力熱搬送を確実におこ
なわせ冷媒の熱分解を生じなく、また多穴管構成の冷媒
通路部材で構成した二重壁構成による冷媒の燃焼ガス部
への洩れ防止と冷媒通路の底部にオイル抜き管により確
実にオイルを加熱器から除去し冷媒の均一循環の維持に
より局部過熱による冷媒の熱分解を生じなく信頼性の高
いシステムである。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづいて説明す
る。第１図〜第３図において、10は伝熱隔壁筒であり、
下部に向かって広がる拡大斜面11床の拡大斜面11の上面
に連なる平行近接面12と排気通路13を有している。14は
伝熱隔壁筒10の外面に熱的に連結させた冷媒通路部材で
あり縦方向の通路15が多数設けられている。16は冷媒通
路部材14の下端に設けた入口ヘッダー管、17は冷媒通路
部材14の上端に設けた出口ヘッダー管でありそれぞれ左
右に一対ずつ設け集合管16a、16b、17a、17bにておのお
のを連通し入口管19と出口管20により冷媒回路と接続し
ており、入口ヘッダーに接続した集合管16aを下方に曲
折しオイル抜き管21を設けてある。入口ヘッダー管16と
出口ヘッダー管17はそれぞれ縦方向の通路15により連通
している。22は平行近接面12の内側に熱的に接するよう
に設けられた伝熱フィンであり波形状に屈曲させて多数
枚としてある。23は伝熱隔壁筒10下部の拡大斜面11に囲
まれた燃焼室であり、24は平行近接面12と伝熱フィン22
に囲まれ、下方は燃焼室23に通じ上方は排気通路13に連
通する高温ガス通路である。燃焼室23の下部には燃料ガ
ス供給装置25に接続したバーナー26を設け、排気通路13
の出口に燃焼ファン27を設けてある。

上気構成に於て、燃料ガス供給装置25により供給した
燃料ガスをバーナー26で燃焼し、発生した高温ガスは高
温ガス通路24の伝熱フィン22の間を通り、排気通路13か
ら燃焼ファン27により吸引排気する。冷媒入口管19、集
合管16bを通って入口ヘッダー管16、16に入った液冷媒
は冷媒通路部材14の下部より多数の縦方向の通路15に分
流し、まず燃焼室23を囲む拡大斜面11において燃焼炎の
輻射熱だけでなく対流熱をも積極的に吸熱し熱的に連結
された冷媒通路部材14の縦方向の通路15内の冷媒を入口
ヘッダーに近い下部より十分に加熱する。そこで加熱さ
れた液状冷媒は気化蒸発を開始し液の中に気泡を生じる
気液二相状態となる。発生した気泡は浮力効果で縦方向
に設けた通路15内を下方から上方に上昇し、特に下方に
おいて輻射熱だけでなく対流熱を加えて強く加熱される
ことにより気泡発生が増大し、気泡上昇力は強められ自
然循環力が強くなると共にまだ気化していない液冷媒を
伴って通路15の上部へ冷媒を送る気泡ポンプ使用が発生
する。さらに通路15の上部においても平行接近面12に設
けた伝熱フィン22により燃焼ガス通路24を流れる加熱流
体より効率よく吸熱し通路15内の気液二相状態の冷媒を
さらに加熱して自然循環力をさらに増大させる。通路15
の上端に達した冷媒は出口ヘッダー管17に流入し冷媒出
口管20より放熱器（図示せず）に向かって流出する。

このように縦方向の通路15の下部から上部に至るまで
加熱することと燃焼ガス通路も下方から上方に流れる構
成であるため燃焼ガスの高温部が通路15の下部を加熱す
ることにより自然循環を高めるだけでなく、下部におい
て強く加熱することで自然循環力をさらに増加させ下方
から上方への強い上昇流により流れの撹伴乱流効果を発
生させて冷媒の局部異常過熱を防止することにより冷媒
の熱分解あるいは機器の異常温度上昇防止による信頼性
向上を図ることができる。

さらに冷媒通路部材14を内部に多数の穴を持つアルミ
ニウム製の多穴偏平押し出し管とし、伝熱フィン22とし
て帯状のアルミニウム製の板を波状に屈曲させて構成
し、かつ伝熱隔壁棟10はアルミニウム製心材の表裏にろ
う材を事前にクラッドしたブレージングシートとしてこ
の素材を用いた伝熱隔壁棟10の内外面にアルミニウム製
の伝熱フィン22およびアルミニウム製の多穴偏平押し出
し管の冷媒通路部材14をもちいて組立て、同時に一体ブ
レージングすることにより熱的に連結でき、接触熱抵抗
が無い伝熱性能に優れる熱交換器を軽量でかつ低コスト
で実用に共することができる。

また外周の伝熱隔壁10と一体に構成した排気通路13に
より伝熱フィン22を通過した燃焼ガスから排気通路13に
伝熱した熱は伝熱隔壁10を通り通路15、出口ヘッダー17
内の冷媒に伝達するため熱交換率が上昇し熱交換器を高
効率コンパクトに出来、一体化は簡単な構成でかつ気密
性を維持でき排ガスが洩れることがなく安全性が高いも
のである。

排気通路24の出口に接続した燃焼ファン27を設けるこ
とにより燃焼ファン27の吸引により高温ガス通路24の外
周伝熱隔壁10に密着した多数の伝熱フィン22内を燃焼ガ
スが均一に流れるため冷媒に効率よく伝熱して熱効率を
向上させるもので、無動力熱搬送を確実におこなわせ冷
媒の熱分解を生じなく信頼性の高いものである。冷媒中
にはコンプレッサーのオイルが常に溶存しており加熱器
で冷媒を気化させると次第にオイルが溜ってくる。オイ
ルが多く溜るとその粘性と低熱伝導のため冷媒の気化、
循環を阻害する。冷媒通路部材10の冷媒通路15の底部の
入口ヘッダー16に接続した集合管17aを下方に曲折しオ
イル抜き管21を設けてあるため加熱器にオイルが溜ると
冷媒と一緒にオイルをオイル抜き管から排出し確実にオ
イル加熱器から除去することが可能であるため、冷媒の
均一循環の維持により局部過熱による冷媒の熱分解を生
じなく信頼性の高いシステムである。

発明の効果 以上のように本発明の冷媒加熱機によれば、燃料ガス
供給装置に接続したバーナと、前記バーナの上方に連通
して設けた燃焼室、高温ガス通路、排気通路と、燃焼ガ
スが通過する前記高温ガス通路の外周伝熱隔壁に密着し
た多数の伝熱フィンと、前記排気通路の出口に接続した
燃焼ファンと、前記燃焼室と前記高温ガス通路の外壁を
構成する外周伝熱隔壁と縦方向の通路を有する多穴管構
成の冷媒通路部材で構成した二重壁構成と、前記外周伝
熱隔壁と一体に構成した前記排気通路と、前記冷媒通路
部材の冷媒通路の底部にオイル抜き管と、前記高温ガス
通路の高温ガスと前記冷媒通路部材の冷媒の流れ方向を
同一方向に設けた構成で次の効果が得られる。

（１） 冷媒の通路の下部より強く加熱し、高温ガス通
路の高温ガスと前記冷媒通路部材の冷媒の流れ方向を同
一方向に設け、縦方向の通路の下部から上部に至るまで
加熱することと燃焼ガス通路も下方から上方に流れる構
成であるため燃焼ガスの高温部が通路の下部を加熱する
ことにより自然循環を高めるだけでなく、下部において
強く加熱することで自然循環力をさらに増加させ下方か
ら上方への強い上昇流により流れの撹伴乱流効果を発生
させて冷媒の局部異常過熱を防止することにより冷媒の
熱分解あるいは機器の異常温度上昇防止による信頼性向
上を図ることができる。

（２） 上昇気泡流による気泡ポンプ作用により無動力
熱搬送が可能となり、低ランニングコストの暖房ができ
る。

（３） 外周伝熱隔壁と一体に構成した排気通路により
伝熱フィンを通過した燃焼ガスから排気通路に伝熱した
熱は伝熱隔壁を通り通路、出口ヘッダー内の冷媒に伝達
するため熱交換効率が上昇し熱交換器を高効率コンパク
トに出来、一体化は簡単な構成でかつ気密性を維持でき
排ガスが洩れることがなく安全性が高いものである。

（４） 排気通路の出口に接続した燃焼ファンを設ける
ことにより、燃焼ファンの吸引により高温ガス通路の外
周伝熱隔壁に密着した多数の伝熱フィン内を燃焼ガスが
均一に流れるため冷媒に効率よく伝熱して熱効率を向上
させるもので、無動力熱搬送を確実におこなわせ、冷媒
の熱分解を生じなく信頼性の高いものである。また燃焼
ガス通路が負圧となり通路に穴が生じた場合も燃焼ガス
が洩れることがなく安全性を維持し、通路は気密構成が
必要でないことにより簡単で安価な方法である。

（５） 冷媒通路部材の冷媒通路の底部の入口ヘッダー
に接続した集合管を下方に曲折しオイル抜き管を設けて
あるため加熱器にオイルが溜ると冷媒と一緒にオイルを
オイル抜き管から排出し確実にオイルを加熱器から除去
し冷媒の均一循環の維持により局部過熱により冷媒の熱
分解を生じなく信頼性の高いシステムである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す冷媒加熱機の外観斜視
図、第２図は別図に示す冷媒通路部材のＡ−Ａ線断面
図、第３図は同冷媒加熱機の断面図、第４図は従来の冷
媒加熱機の回路構成図、第５図は従来の冷媒加熱機の外
観斜視図である。 10……伝熱隔壁筒、13……排気通路、14……冷媒通路部
材、15……通路、21……オイル抜き管、22……伝熱フィ
ン、23……燃焼室、24……高温ガス通路、25……燃料ガ
ス供給装置、26……バーナー、27……燃焼ファン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粉川 勝蔵 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 板沢 幹雄 東京都杉並区西荻北５丁目17番５号 (72)発明者 向井 正 大阪府大阪市東区平野町５丁目１番地 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 押谷 孝司 愛知県名古屋市熱田区桜田町19番18号 東邦瓦斯株式会社内

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料ガス供給装置に接続したバーナと、前
   記バーナの上方に連通して設けた燃焼室、高温ガス通
   路、排気通路と、燃焼ガスが通過する前記高温ガス通路
   の外周伝熱隔壁に密着した多数の伝熱フィンと、前記排
   気通路の出口に接続した燃焼ファンと、前記燃焼室と前
   記高温ガス通路の外壁を構成する外周伝熱隔壁と縦方向
   の通路を有する多穴管構成の冷媒通路部材で構成した二
   重壁構成と、前記外周伝熱隔壁と一体に構成した前記排
   気通路と、前記冷媒通路部材の冷媒通路の底部にオイル
   抜き管と、前記高温ガス通路の高温ガスと前記冷媒通路
   部材の冷媒の流れ方向を同一方向に設けた冷媒加熱機。