JP2674000B2 - ガス器具における気化装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、液化ガスを充填
したガス源を有し、そこから供給される液化ガスをガス
通路によって送給し、燃焼部にて可燃混合気として燃焼
させるガス器具における気化装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば配管工事等で広く使用されている
ガス器具に作業用トーチバーナーがあるが、この種のバ
ーナーは、その作業内容から、燃料容器をどのような姿
勢にしても使用できる性能を有することが必要とされ
る。

【０００３】この目的を達するため、或るバーナーはガ
ス吸収剤を入れた小型ガス容器を使用する方式をとって
いる。容器が上下逆になっても吸収剤に含まれているガ
スが蒸発して出てくる仕組みであるが、このようなガス
容器は高価であり、しかもどこでも入手できる訳ではな
いという制約がある。

【０００４】また、前記のような特別のものでない標準
の小型ガス容器を使用するために、圧力調整器を付属し
たトーチランプも考案されている。これは本体が加熱さ
れると容器の姿勢を問わずに使用できるようになるが、
冬季など寒いときには本体が加熱されるまでに時間がか
かるという欠点がある。

【０００５】なお標準のガス容器を使用し、一般的な用
途に使用する目的を持ったバーナーは、完全なガス体を
燃焼させることを前提に設計されている。このため、質
量の大きな飽和ガスを燃焼させると空気混合率が低くな
り赤火燃焼が発生する、と同時にノズルから出るガス量
が多くなるため異常燃焼が発生し、火傷、火事等の原因
となる、というような危険を生ずる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この発明は以上のよう
な実情に着目してなされたもので、その課題はガス源の
姿勢変化に基づくガス密度の変動の影響をなくし、ガス
源がどのような姿勢にあろうとも、安定した燃焼が得ら
れるようにすることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この発明は、ガス器具において、内部に液化ガスを通す
中空なガス導管１３を前記ガス通路の一部として設け、
その液化ガスを燃焼部の燃焼熱で加熱し、完全にガス体
にするためガス導管１３の加熱部分１１を燃焼部１０の
近傍に配置し、ガス通路末端のノズル１２から噴出する
直前にてガスの圧力を調整する圧力調整機構２１をガス
導管とノズルとの間のガス通路に設けるという手段を講
じたものである。

【０００８】この発明のガス器具は、ガス導管１３の加
熱部分１１を燃焼部１０に配置し、加熱部分１１が採取
した熱によって、加熱部分１１の内部を通過する液化ガ
スを加熱するようにしているので、ガス源３０から液状
の生ガスが吐出しても、完全にガス体にして燃焼部１０
のノズルから噴出させることができる。

【０００９】液化ガスはガス導管１３の管壁を隔てて燃
焼熱を常時受ける。故に加熱によるガス化の作用は著し
く速やかである。完全なガス体となることによって圧力
が高くなったガスは圧力調整機構２１において圧力調整
される。

【００１０】完全にガス体となりかつ圧力調整された燃
料ガスは、燃焼部１０におけるガス通路の末端のノズル
１２から噴射され、可燃混合気流となるので着火により
安定した燃焼炎を形成する。この燃焼炎が前記加熱部分
１１を加熱し、ガス導管１３内を通る液化ガスを加熱す
る熱源となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は、この発明のガス器具にお
ける気化装置の実施の形態についての第１例を示す。

【００１２】このガス器具は液化ガスを充填した小型ガ
ス容器をガス源３０として使用するトーチバーナーであ
る。容器は器具本体２０の接続口３３にノズル弁３１を
挿し込んで取り付け、吐出した液化ガスはガス通路を通
って最終的に燃焼部１０のノズル１２から噴射される。

【００１３】第１実施例において、燃焼熱を採取するた
めの加熱部分１１は、ガス通路の一部を構成するガス導
管１３の一部である。逆にいえばガス導管１３はそこを
通過する液化ガスを燃焼熱によって加熱するための加熱
部分１１を設ける手段である。

【００１４】第１実施例の場合、ガス導管１３の加熱部
分１１はほぼＵ字状を有し、燃焼部１０のノズル１２か
ら噴射され、可燃混合気となった気流を曲管部が横切っ
て配置される。従って、第１実施例の加熱部分１１は燃
焼炎に直かにさらされるので、最も素早くかつ強力な加
熱効果を得る。図中、１５は火口である筒体、１６はそ
の基端近くに形成した空気取り入れ口、１７は器具本体
２０との接続部であり、図示の場合はねじ接続で示して
ある。

【００１５】前記ほぼＵ字状のガス導管１３は、ノズル
１２の両側に開口されたガス通路の接続口１８ａ、１８
ｂに気密に接続している。このような加熱部分１１にて
加熱され、完全にガス体となった燃料ガスの圧力を調整
する圧力調整機構２１が加熱部分１１とノズル１２との
間のガス通路に設けられている。

【００１６】第１実施例の圧力調整機構２１は、ガス通
路の一つの流入開口２２ａとノズル１２への流出開口２
２ｂが内端面に形成された圧力調整のための円筒室２２
内に組み込んである。その内端面側にピストン案内２３
が円筒室２２内にて摺動可能に設けてあり、またその中
心の孔を貫通してガス通路の開口２２ａを開閉可能な弁
２４ａを有するピストン２４が円筒室２２内にて摺動可
能に設けてある。２４ｂはピストン２４の軸管部であ
り、ピストン２４の両側を通じる通孔２４ｃ、中心孔２
４ｂを有する。

【００１７】ピストン２４には円筒室２２を閉じるシー
ル体２５との間に介在した第１弾性体２６とピストン案
内２３との間に介在した第２弾性体２７とで支持され、
ピストン案内２３はピストン２４との間に介在した第２
弾性体２７で支持されている。第１弾性体２６は摘み２
８の操作で前後動するシール体２５の動きをピストン２
４に伝え、開口２２ａを開閉可能であり（図２、図１参
照）、燃料ガスの圧力の調整のための第２弾性体２７よ
りもはるかに強く、ばね状でなくても良い。

【００１８】各摺動部はＯ−リングなどのシール手段に
よって気密に処理されている。燃焼により円筒室２２内
のガスが開口２２ｂから流出し圧力が低下すると、上流
のガス通路の開口２２ａから円筒室２２内にガスが流入
し、ピストン２４が従動してガス圧力を調整する。図
中、２９は摘み２８を螺装したキャップであり、そのね
じ部２９ａにより前記のようにシール体２５を進退可能
にする。２９ｃはピストン２４とピストン案内２３との
間にて本体内外を通じた空気逃がし孔であり、ピストン
２４が動く時の空気を逃す。

【００１９】図３はこの発明のバーナーの第２の実施例
を示しており、この例は受熱体１１がガス通路の一部を
構成し、そこを通過する液化ガスを燃焼熱で加熱するガ
ス導管１３を具備している点において第１引用例のもの
と共通しており、ガス導管１３の形態において相違して
いる。

【００２０】第２実施例のガス導管１３はノズル１２か
ら噴射される可燃混合気流とほぼ平行に配置された多重
管構造を有する。図３の場合、先端が閉じた外管１３ａ
を前記気流と平行に本体２０に取り付け、外管１３ａの
基端は上流のガス通路に接続し、より小径の内管１３ｂ
を外管１３ａ内に同心状に配置するとともに、その下流
側端部を圧力調整機構への開口２２ａに通じさせたもの
である。

【００２１】故に、ガス導管１３（の外管１３ａ）は燃
焼炎にさらされ、大径の外管１３ａから内管１３ｂへ折
り返して流れる間に、液化ガスが加熱される。つまり、
ガス導管１３は液化ガスを加熱するための加熱部分１１
を先端部に有している。他の構成は第１実施例と同様で
良いので符号を援用し、詳細な説明は略す。

【００２２】図４にこの発明のガス器具における気化装
置の第３の実施例を示す。

【００２３】第３実施例は第１実施例のものの変形であ
り、火口を構成する筒体１５の中にノズル１２を囲む混
合管４１を組み込んでいる。ガス導管１３はＵ字形の曲
がり部で構成された加熱部分１１を混合管４１の先端４
２に配置し、それで液化ガスを加熱する。またピストン
ガイド２３の前方の本体内に容積拡大部４３を設け、圧
力変動の影響を減少するようにしている。なお空気取り
入れ口１６は、外側の筒体１５のみならず混合管４１の
基部にも形成する。他の構成は第１実施例のものと同様
で良いので符号を援用し、説明に代える。

【００２４】さらに、圧力調整機構２１は以上のピスト
ン、シリンダーに限らず例えば図５のように構成するこ
とができる。図５の圧力調整機構２１は円筒室２２に代
わる圧力調整室４４をダイヤフラム４５で仕切り、該ダ
イヤフラム４５にシール手段４７を有する弁体４６を取
り付け、ガス通路の入口側開口２２ａ部に、シール手段
４７が接触可能なテーパ状座面４８を形成し、ダイヤフ
ラム４５に調整ばね４９を作用させたものである。この
場合、完全にガス体となった燃焼ガスは圧力調整室４４
を通ってノズル１２から噴出し、室圧力が低下すれば調
整ばね４９によりシール手段４７と座面４８との間隔が
開き、室圧力が上昇すれば前記間隔が閉じる方向に作用
する。

【００２５】以上の各実施例１〜３に記載のガス器具
は、本体２０に設けたアダプタ装置３２により、ガス源
３０である小型ガス容器を一体に取り付けて使用され
る。アダプタ装置３２はガス容器のノズル弁３１を押し
込み開弁状態で接続する接続口３３を有し、フランジ部
３４を外側から係止してガス容器を保持する保持片３５
を有する。３６は保持片３５を圧迫する押え部、３７は
アダプタ装置の外側部材３８を内側部材３９に結合する
ねじを示す。また４０はバーナー本体２０とアダプタ装
置３２とが別体の場合にそれらを接続した部分である。

【００２６】しかしながら、この発明の対象であるガス
器具はガス源３０を一体に有する構造を持っていても良
く、実施例で示した小型ガス容器を着脱交換可能とした
ものに限定されるものではない。

【００２７】次にこの発明の気化装置をトーチバーナー
以外のガス器具に組み込んだ例について説明する。

【００２８】図６はガス器具がランタンである場合の第
４実施例に関するもので、器具本体２０は竪型に構成さ
れており、ガス通路は下部から上部へ向かって設けら
れ、その途中から逆Ｕ字状に形成されたガス導管１３が
上方の燃焼部１０へ向けて立ち上がっている。そのＵ字
状の上端は受熱部分１１として混合管５１から燃焼発光
部５２にかけての位置に達する。５３はシェイドを示
す。

【００２９】第４実施例における圧力調整機構２１で
は、下端の流出開口２２ａを開閉する弁２４ａを一体に
有するピストン２４を、円筒室２２に上下動可能に収め
ている。ピストン２４はピストン案内２３との間に配置
した第２弾性体２７との相互作用によって調圧する。円
筒室２２はキャップエンド５４で止められたキャップ２
９を有し、ノズル１２及びそれに通じる流入開口２２ｂ
が設けてある。圧力調整機構２１の他の構成は図１の符
号を援用し、説明に代える。

【００３０】この第４実施例の場合もガス源３０は小型
ガス容器であるが、容器のフランジ部３４の下端３４′
に係止する軸方向の係止片５５と、フランジ部３４の切
欠口に係止する軸周り方向の係止片５６からなる保持手
段によって一体化される。ガス通路はその接続口３３か
らはじまり、その奥の接続口１８ａへの途中に弁口５７
を設け、それにニードル弁５８を進退させて通路を開閉
する。ニードル弁５８は摘み２８によって操作される。
５９は基台を示す。

【００３１】図７はこの発明をストーブについて実施し
た例を示す。ストーブとしてのガス器具は燃焼部１０を
取り囲む凹曲面状の反射板６１を有し、器具本体２０は
適当な角度で基台６２に取り付けられる。この例の加熱
部分１１及び圧力調整機構２１の構成は前記いずれかの
実施例のものと同じである。また図８はこの発明をシン
グルバーナ（こんろ）について実施した例を示す。この
例の加熱部分１１及び圧力調整機構２１の構成は図６の
第４実施例の場合と同じで良い。６５は火口６４周りに
設けた汁受け皿、６６は鍋等を支えるための五徳であり
汁受け皿に設けてある。６７は基台を示す。なお、図６
以降を参照する実施例についても図５以前のものと共通
する構成は符号を援用している。

【００３２】このように、この発明は液化ガスを加熱
し、完全な気体とするものであるが、そのためにガス導
管１３を用いその中に液化ガスを通す構成を有し、燃焼
熱を受ける部分と液化ガスを加熱する部分（１１）とが
一致する点、及び燃焼が安定かつ安全に行なわれるため
に圧力調整機構２１をガス通路に設けた点にこの発明の
特徴がある。

【００３３】

【発明の効果】この発明は以上の如く構成され、かつ作
用するものであるから、液化ガスが気化されない状態で
ガス通路に流出しても、燃焼熱を採取して作動する加熱
手段１４によって液化ガスを加熱し、完全にガス体とし
かつ圧力調整の上でノズル１２から噴射させるため、液
体燃焼バーナーとしての機能を併せ持つこととなり、従
ってガス源の姿勢変化に基づくガス密度の変動の影響を
なくし、安定した燃焼を得ることができるという効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るガス器具における気化装置の第１
実施例を示す断面図。

【図２】同上要部の作動説明図。

【図３】本発明の第２実施例を示す断面図。

【図４】本発明の第３実施例を示す断面図。

【図５】圧力調整機構の例を示す断面図。

【図６】本発明の第４実施例を示す断面図。

【図７】本発明のガス器具がストーブである例を示す側
面図。

【図８】本発明のガス器具がバーナコンロである例を示
す側面図。

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液化ガスを充填したガス源を有し、そこ
   から供給される液化ガスをガス通路によって送給し、燃
   焼部にて可燃混合気として燃焼させるガス器具におい
   て、内部に液化ガスを通す中空なガス導管１３を前記ガ
   ス通路の一部として設け、その液化ガスを燃焼部の燃焼
   熱で加熱し、完全にガス体にするためガス導管１３の加
   熱部分１１を燃焼部１０の近傍に配置し、ガス通路末端
   のノズル１２から噴出する直前にてガスの圧力を調整す
   る圧力調整機構２１をガス導管とノズルとの間のガス通
   路に設けたことを特徴とする気化装置。
2. 【請求項２】 ガス導管１３は、ノズル１２から噴射さ
   れる可燃混合気流を横切って配置されることにより燃焼
   炎にさらされるほぼＵ字状の加熱部分１１を有する請求
   項第１項記載のガス器具における気化装置。
3. 【請求項３】 燃焼部１０にノズル１２を囲む混合管４
   １を組み込み、ガス導管１３の加熱部分１１を混合管４
   １の先端４２部に可燃混合気流を横切って配置するよう
   にした請求項第１項記載のガス器具における気化装置。
4. 【請求項４】 ガス導管１３は、燃焼部１０にて噴射さ
   れる可燃混合気流とほぼ平行に配置され、一端から入っ
   た液化ガスが他の一端で折り返す間に加熱されるよう
   に、外管１３ａと内管１３ｂとを同心状に配置した多重
   管構造を有する請求項第１項記載のガス器具における気
   化装置。
5. 【請求項５】 圧力調整機構２１はガス通路末端のノズ
   ル１２から噴出する直前にてガスの圧力を調整するもの
   であり、ガス通路の開口２２ａとノズル１２への開口２
   ２ｂが内端面に形成された円筒室２２を有し、前記開口
   ２２ａの開閉のための弁２４ａを先端に有するピストン
   ２４が円筒室内に組み込まれており、ノズル１２へ続く
   円筒室２２内が低圧になると、加熱部分１１において加
   熱され完全に気化したガスを同室内に導入し、円筒室２
   ２内が高圧になると通孔２４ｃを通してその高圧を円筒
   室２２の外方部分に導きピストン２４を作動させるよう
   にした請求項第１項記載のガス器具における気化装置。
6. 【請求項６】 圧力調整機構２１はガス通路末端のノズ
   ル１２から噴出する 直前にてガスの圧力を調整するもの
   であり、ガス通路を通るガスの圧力によって変動可能な
   ダイヤフラム４５を具備しており、前記ガス通路を開閉
   可能なシール手段４７を有する弁体４６をダイヤフラム
   ４５の作動に連繋させた構成を有する請求項第１項記載
   のガス器具における気化装置。