JP2673167B2 - 鋼管杭切断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、港湾構造物を構築するためのトラベラーパ
イリングシステムに好適な鋼管杭切断装置に関する。

〔従来の技術〕

先ず、第３図により海洋、港湾構造物を構築するため
のトラベラーパイリングシステムを説明する。

図（イ）は、既に打設された鋼管杭〜上にプレキ
ャストビーム１を架設し、更に鋼管杭〜の上に前記
プレキャストビームの上に一部重ねてクレーンガーダ２
を配置し、杭打機３を搭載したワゴン４を移動させて鋼
管杭を打設している状態を示している。図（ロ）にお
いて、鋼管杭の打設が終了して、クレーン５により鋼
管杭と間にプレキャストビーム１を架設し、鋼管杭
に横ビーム６を架設する。次いで、図（ハ）において
鋼管杭と間にクレーンガーダ２を据付け、パイルガ
イド７を取り外した後、ワゴン４を移動させ、以下順次
前記工程を繰り返して次々と鋼管杭を打設してゆくシス
テムである。

このトラベラーパイリングシステムの特徴は、以下の
通りである。

（イ）波高、うねり、潮流等の海象条件の影響を殆ど受
けないため、稼動率が高くなると共に、通常の作業船で
は浸入できない浅瀬での作業が容易である。

（ロ）パイルガイドが海象条件の影響を受けず安定して
いるため、杭打精度が向上し上部構造のプレキャスト化
が容易となる。

（ハ）杭打船に比較してコストが減少すると共に、メイ
ンテナンスが容易である。

（ニ）パイルガイド等の一部の装置を除き、既存の建設
機械と一般的な材料の組み合わせでシステムが構成され
るため、設備の多目的利用が可能である。

上記トラベラーパイリングシステムにおいては、後続
のワゴンの通過をスムースにするために、鋼管杭の高さ
を一定に保つ必要があり、何等かの理由で杭頭が所定の
高さ以上になった場合には、鋼管頭部を切断している。
従来、この切断作業は、足場を組んで人力によるアーク
溶断を実施している。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来の切断作業においては、基本
的には必要とない足場を鋼管杭を支点として海上で製作
しているために、作業工程が長くなり安全、作業性にも
問題があり、また、切断面が平滑でなく、後処理作業を
必要としていた。

そこで、従来からある鋼管矢板を切断する水中切断機
を採用することが考えられる。

この水中切断機を第２図により説明すると、切断機本
体11は、ワイヤー12により鋼管13内の所定位置に吊り下
げられる。切断機本体11の下部には、特殊合金製の円盤
型カッタ14を有する切断機構15が設けられると共に、切
断機本体11の中央外周部には、複数のグリッパシリンダ
16を有する鋼管内面固定機構17が設けられ、このグリッ
パシリンダ16を油圧により伸長させることにより、切断
機本体11を鋼管13の内面に押しつけて固定している。ま
た、切断機本体11の上部には、油圧モータ18が取付けら
れ、旋回シャフト19を回転させ円盤型カッタ14を鋼管13
内面に押し付けながら回転させることにより、鋼管13を
切断している。

しかしながら、この水中切断機においては、鋼管の切
断面より上部でグリッパを押し付けているために、前記
した鋼管の杭頭高さが短い場合（通常は50cm〜1m）には
十分なグリッパの反力が確保できず、従って、トラベラ
ーパイリングシステムに採用できなかった。

本発明は上記問題を解決するものであって、鋼管の杭
頭高さが短い場合であっても、必要なグリッパの反力を
確保することができる鋼管杭切断機装置を提供すること
を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

そのために本発明の鋼管杭切断装置は、複数のグリッ
パシリンダを有する鋼管内面固定機構と、該鋼管内面固
定機構の上部に設けられる切断機構との有する。

〔作用〕

本発明においては、切断機構を鋼管内面定機構の上部
に設けることにより、鋼管の杭頭高さが短い場合であっ
ても、必要なグリッパの反力を確保することができる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。

第１図は本発明の鋼管杭切断装置の１実施例を示す断
面図である。

切断機本体11は、ワイヤー12により鋼管杭13内の所定
位置に吊り下げられる。切断機本体11の下部には、複数
のグリッパシリンダ16を有する鋼管内面固定機構17が設
けられ、このグリッパシリンダ16を伸長させることによ
り、切断機本体11を鋼管杭13の内面に押しつけて固定し
ている。また、鋼管内面固定機構17の上部には、円盤型
カッタ14を有する切断機構15が設けられると共に、切断
機本体11の上部には、油圧モータ18が取付けられ、旋回
シャフト19を回転させることにより、円盤型カッタ14を
鋼管杭13内面に押しつけながら回転させて、鋼管杭13を
切断する。

本実施例においては、切断機構15が鋼管内面固定機構
17の上部にあるため、鋼管の杭頭高さが短い場合であっ
ても、必要なグリッパの反力を確保することができるも
のである。

〔発明の効果〕

以上のように本発明によれば、切断機構を鋼管内面固
定機構の上部に設けることにより、鋼管の杭頭高さが短
い場合であっても、必要なグリッパの反力を確保するこ
とができ、鋼管杭を切断することができる。

また、専用の足場を必要としないため、工期が短縮さ
れると共に、安全性が確保できる。

さらに、杭打ちクレーンを用いて切断装置を吊り下げ
るので、別設備が不要である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の鋼管杭切断装置の１実施例を示す断面
図、第２図は従来の鋼管杭切断装置の断面図、第３図は
トラベラーパイリングシステムを説明するための図であ
る。 11……切断機本体、12……ワイヤー、13……鋼管杭、14
……円盤型カッタ、15……切断機構、16……グリッパシ
リンダ、17……鋼管内面固定機構、18……油圧モータ、
19……旋回シャフト。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のグリッパシリンダを有する鋼管内面
   固定機構と、該鋼管内面固定機構の上部に設けられる切
   断機構とを有することを特徴とする鋼管杭切断装置。