JP2671554B2 - 赤外線検知器の製造方法 - Google Patents

赤外線検知器の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、赤外線検知器に関し、特に高速応答型光起
電力型赤外線検知器の製造方法に関する。
〔従来の技術〕 従来より、半導体を使用した赤外線検知器において
は、特にHg1-XCdXTeを用いたものが高感度である事が知
られている。Hg1-XCdXTeを用いた赤外線検知器において
は、光電導型と光起電力型の二種類がある。特に、光起
電力型は高感度と高速応答性を両立した検知器として使
用されている。一般に用いられているHg1-XCdXTe光起電
力型赤外線検知器の構造断面図を第2図に示す。図にお
いて、1はCdTe基板、2はp型Hg0.8Cd0.2Te層、3はn
型Hg0.8Cd0.2Te層、4はp型電極、5はn側電極であ
る。この例においてはnp接合を用いたホトダイオードと
なっており使用したHg0.8Cd0.2Teの組成(x値)に対応
して、波長が10μm程度の赤外線を検知できるものとな
っている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、以上のような構造の光起電力型赤外線検知器
には以下の様な欠点が存在する。
高感度と共に高速応答性を両立させるには、np接合の
境界にできる空乏層の幅を十分に大きくしてこの部分の
電気容量を小さくしてやる必要がある。第2図の構造の
素子においては、例えばp型Hg0.8Cd0.2Te層2のキャリ
ア濃度が1×1016cm-3でn型Hg0.8Cd0.2Te層3のキャリ
ア濃度が1×1018cm-3の時、その空乏層幅は高々2000Å
程度であり、これでは高速応答性という観点からは不十
分である。空乏層幅を充分に大きく取るための構造とし
ては、例えばシリコンやIII−V族化合物半導体を用い
た可視光のホトダイオードにおいては、nip型ホトダイ
オードというものが開発されている。この構造断面図を
第3図に示す。図において、11はp型シリコン層、12は
真性シリコン層、13はn型シリコン層、14はp側電極、
15はn側電極である。この素子においては、第2図の素
子と比べて、n型シリコン層11とp型シリコン層13の間
に真性シリコン層12を挾んだ構造となっている。このダ
イオードに逆バイアスを印加する、即ちn側電極15にp
側電極14に対して負の電圧を印加すれば真性シリコン層
12は全て空乏化するために、空乏層幅は広くなり、空乏
層容量が小さくなるために高速応答性が向上する。
第3図の構造の素子を製造するためには、例えば、第
4図a〜cに示す様に、エピタキシャル成長によってp
型シリコン11の上に真性シリコン層12を成長させる(第
4図a)、更にその上にn型シリコン層13を成長させる
(第4図b)、電極14、15を形成する(第4図c)の製
造工程を経る。
第3図の構造の素子をHg1-XCdXTeで製造する、即ちHg
1-XCdXTeのnjp型ホトダイオードを製造する事は非常に
困難である。この理由を以下に述べる。
シリコンやIII−V族化合物半導体と違って、Hg1-XCd
XTeはそのキャリア濃度の制御が極めて難しい。この大
きな理由は、構成元素の一つであるHg(水銀)の蒸気圧
が大きいのでHgの空孔が発生しやすく、これがアクセプ
タとして働くためで、このために真性層を形成するのが
どんな成長方法(各種エピタキシャル成長法、バルク結
晶成長法)によっても困難である。そのために、どの成
長方法を用いても第2図の構造を形成するのが困難とな
っている。
〔課題を解決するための手段〕
上述の問題点を解決するため、本発明の赤外線検知器
の製造方法においては、n型或はp型の伝導型をもった
第一の狭禁制帯幅の半導体層の上に、前記第一の半導体
層よりキャリア濃度が小さく、前記半導体層よりも薄い
n型層とp型層を交互に複数段形成し、この上に前記第
一の半導体層と反対の伝導型を持った第二の半導体層を
形成した後に、高温中に曝す事により前記薄いn型層と
p型層の間で相互拡散を生じさせ、前記第一の半導体層
と前記第二の半導体層の間に真性半導体層を形成すると
いう特徴を有する。
〔作用〕
本発明の赤外線検知器においては、狭禁制帯幅の半導
体の真性層を直接形成せず、その代わりに薄いn型層と
p型層を交互に複数段積層し、これを高温でアニールす
る事によりn型、p型が交互に積層した部分に相互拡散
を生じさせ、真性層とするものである。この方法によっ
て真性層を形成し、nip型の赤外線検知器を製造する。
〔実施例〕
次に、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第1図a〜fは、本発明の赤外線検知器の製造方法の
一実施例を示す図である。図において、1はCdTe基板、
2はp型Hg0.8Cd0.2Te層(厚さ10μm、キャリア濃度1
×1016cm-3)、3はn型Hg0.8Cd0.2Te層(厚さ10μm、
キャリア濃度1×1017cm-3)、4はp側電極、5はn側
電極、6はp型層2よりもキャリア濃度の小さな薄いp
型層(厚さ5000Å、キャリア濃度1×1015cm-3)、7は
n型層3よりもキャリア濃度の小さな薄いn型層(厚さ
5000Å、キャリア濃度1×1015cm-3)、9は真性層であ
る。薄いp型層6と薄いn型層7は交互に10段ずつ積層
されている。
本実施例においては、まず第1図aに示す如く、CdTe
基板1上にエピタキシャル成長法により、厚いp型層2
を成長させ、次いで同図bに示すように、p型層2の上
に薄いn型層7と薄いp型層6を交互に50段成長させ
る。この後、第1図cの如く、この上にn型層3を形成
する。さらに第1図に示すように、この構造を250℃で
アニールする事により、交互に形成された薄いn型層7
と薄いp型層6を相互拡散させ、薄いn型層7のドナー
と薄いp型層6のアクセプタを補償させて第1図eに示
した様に真性Hg0.8Cd0.2Te層9を形成する。最後に、第
1図fに示すように、p側電極4とn側電極5を形成
し、nip型の赤外線検知器とする。この赤外線検知器に
おいては、空乏層の厚さはほぼ真性層9の厚さと等し
く、10μm程度となる。第2図の赤外線検知器において
は空乏層の厚さは高々2000Å程度であるので、空乏層容
量は1/50に減少しており、より高速応答可能な赤外線検
知器となる。この製造方法においては、第1図a〜cで
エピタキシャル成長法で厚いp型層、n型層2、3、或
は薄いp型層、n型層6、7を形成するが、この場合に
はエピタキシャル成長中に相互拡散するのを防ぐため
に、成長温度は充分低くなければならず、200℃以下で
成長可能な分子線エピタキシャル法を用いる事になる。
但し、第1図aの工程のみは相互拡散が生じても問題な
いので、液相エピタキシャル法による事も可能である。
Hg1-XCdXTeの真性層を形成する事が困難である事は先
に述べたが、1×1015cm-3程度のキャリア濃度のHg0.8C
d0.2Te層を形成する事は、p型、n型共に可能である。
また、5000Åの厚さを成長する事も分子線エピタキシャ
ル法を用いれば良好な制御性を持って可能である。従っ
て、本発明の赤外線検知器の製造方法によれば、高速応
答型のHg1-XCdXTe赤外線検知器が製造可能である。
〔発明の効果〕
以上説明した様に、本発明の赤外線検知器の製造方法
においては、高速応答性にすぐれた赤外線検知器を得る
事ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図a〜fは、本発明の赤外線検知器の製造方法の一
実施例を示す製造工程概略図であり、第2図は従来の赤
外線検知器の代表例の断面図である。第3図は可視光用
の高速応答型ホトダイオードの断面図であり、第4図a
〜cは第3図の素子の製造工程の一例を示す概略図であ
る。 図において、1……CdTe基板、2……p型Hg0.8Cd0.2Te
層、3……n型Hg0.8Cd0.2Te層、4……p型Hg0.8Cd0.2
Te用電極、5……n型Hg0.8Cd0.2Te用電極、6……薄い
n型Hg0.8Cd0.2Te層、7……薄いp型Hg0.8Cd0.2Te層、
9……真性Hg0.8Cd0.2Te層、11……p型シリコン層、12
……真性シリコン層、13……n型シリコン層、14……p
型シリコン用電極、15……n型シリコン用電極、をそれ
ぞれ示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】n型或はp型の伝導型をもった第一の狭禁
    制帯幅の半導体層の上に、前記半導体層よりキャリア濃
    度が小さく、前記半導体層よりも薄いn型層とp型層を
    交互に複数段形成し、この上に前記第一の半導体層と反
    対の伝導型を持った第二の半導体層を形成した後に、高
    温中に曝す事により前記薄いn型層とp型層の間で相互
    拡散を生じさせ、前記第一の半導体層と前記第二の半導
    体層の間に真性半導体層を形成する事を特徴とする赤外
    線検知器の製造方法。
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