JP2670213B2 - トンネル掘削機のグリッパ装置 - Google Patents

トンネル掘削機のグリッパ装置

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JP2670213B2
JP2670213B2 JP22239692A JP22239692A JP2670213B2 JP 2670213 B2 JP2670213 B2 JP 2670213B2 JP 22239692 A JP22239692 A JP 22239692A JP 22239692 A JP22239692 A JP 22239692A JP 2670213 B2 JP2670213 B2 JP 2670213B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、掘進に必要な反力を保
持するトンネル掘削機のグリッパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のトンネル掘削機を図6,図7によ
り説明すると、1が掘削機本体の後胴、2が同じく前胴
で、同後胴1の前端部に円筒体が一体に取付けられて、
これに前胴2の後端部が嵌挿されている。また3が上記
後胴1と上記前胴2とを屈曲自在に連結する円周方向に
複数本のスラストジャッキ、4が上記前胴2の前後中間
周壁に円周方向に間隔を置いて設けた凹陥部に半径方向
への移動を可能に嵌挿した前胴グリッパ、5が上記後胴
1の前後中間周壁に円周方向に間隔を置いて設けた凹陥
部に半径方向への移動を可能に嵌挿した後胴グリッパ、
6,7が上記グリッパ4,5を半径方向に移動させるた
めの伸縮ジャッキで、同伸縮ジャッキ6,7が上記グリ
ッパ4,5背後の上記凹陥部内に設置されている。また
8が上記後胴1と上記前胴2との間をシールするシール
部材、9が上記グリッパ4,5のシール材、10が上記
前胴2の前端部に回転可能に取付けたカッタヘッド、1
0aが同カッタヘッド10の前面に取付けた多数の土砂
切削用ビットで、上記カッタヘッド10が上記前胴2内
に設置した駆動源(図示せず)により駆動されるように
なっている。また11が地盤、12が既設セグメント、
13が上記後胴1に取付けた円周方向に複数本のシール
ドジャッキである。
【0003】このトンネル掘削機において、前胴グリッ
パ4及び後胴グリッパ5を使用して地盤11をトンネル
状に掘進する場合は、前胴2の伸縮ジャッキ6を伸長方
向に作動して前胴グリッパ4を凹陥部内から突出させ、
これを地盤11に押しつけて前胴2を地盤11に固定す
る一方、後胴1の伸縮ジャッキ7を縮み方向に作動し、
後胴グリッパ5を凹陥部内へ退没させて後胴1の前進を
可能にし、次いでスラストジャッキ3を縮み方向に作動
して後胴1を前胴2の方向へ引き寄せ、次いで前胴2の
伸縮ジャッキ6を縮み方向に作動し、前胴グリッパ4を
凹陥部内へ退没させて前胴2の前進を可能にするととも
に、後胴1の伸縮ジャッキ7を伸長方向に作動し、後胴
グリッパ5を凹陥部内から突出させてこれを地盤11に
押しつけ、後胴1を地盤11に固定してトンネル掘削機
の掘削反力を保持可能にし、次いで前胴2の前面に取付
けたカッタヘッド10を回転させる一方、スラストジャ
ッキ3を伸長方向に作動し、前胴2を前進させて地盤1
1をトンネル状に掘削し、このときの掘削反力を上記地
盤11に押し付けた後胴グリッパ5により保持する。そ
してスラストジャッキ3がストロークエンドまで伸長し
たら、前胴2の伸縮ジャッキ6を伸長方向に作動して前
胴グリッパ4を凹陥部内から突出させ、これを地盤11
に押し付けて固定する一方、後胴1の伸縮ジャッキ7を
縮み方向に作動して後胴グリッパ5を凹陥部内へ退没さ
せ、次いでスラストジャッキ3を縮み方向に作動して後
胴1を前胴2の方向へ引き寄せる。それからも同じ要領
で地盤11をトンネル状に掘進していく。
【0004】また、シールドジャッキ13を使用して地
盤11をトンネル状に掘進する場合は、前胴2の前面に
取付けたカッタヘッド10を回転させる一方、シールド
ジャッキ13を伸長方向に作動し、後胴1及び前胴2を
前進させて地盤11をトンネル状に掘削し、シールドジ
ャッキ13を縮み方向に作動し、このシールドジャッキ
13と既設セグメント12との間に新たなセグメント1
2を打設し、次いでシールドジャッキ13を伸長方向に
作動し、後胴1及び前胴2を前進させて地盤11をトン
ネル状に掘進する。それからも同じ要領で地盤11をト
ンネル状に掘進してゆく。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来のトンネ
ル掘削機では、下記のような問題点があった。 (1)トンネル掘削機の掘進時、後胴グリッパ5を地盤
11に押し付けてトンネル掘削機の掘削反力を保持する
ので、地盤11の地質が半固結堆積層からなる軟岩(岩
盤の固結度、密度が低く、脆くて崩れ易い軟岩)の場合
には、掘削反力を保持し難く、トンネル掘削機が後退す
ることにより、ローリングやセグメント12の破壊が起
こる上に坑内の安全が脅かされる。 (2)曲率半径の小さい急曲掘進の場合には、余掘りを
大きくする必要があり、トンネル掘削機の機体は横方向
に過大な荷重を受ける。その際、上記のように掘削反力
を保持し難くて掘進速度が低下する。
【0006】本発明は前記の問題点に鑑み提案するもの
であり、その目的とする拠は、ローリングやセグメント
の破壊を防止できる上に坑内の安全を確保でき、また急
曲掘進時に掘削速度を低下させないトンネル掘削機のグ
リッパ装置を提供しようとする点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の、本発明の構成は、前胴及び後胴の外周部にトンネル
地盤を掴むためにグリッパ装置を複数設けたトンネル掘
削機において、前記グリッパ装置に、前記トンネル地盤
に対して第1のピストン・シリンダ機構により出没可能
であるとともに先端にカッタを装備してモータにより回
転可能なコアーチューブと、該コアーチューブ内を第2
のピストン・シリンダ機構により進退して前記トンネル
地盤に対して押付け可能な押圧体とを備える保持力付加
装置を設けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】前記構成によれば、トンネル掘削機の掘進動作
を行うにあたって、地盤の地質が半固結堆積層からなる
軟岩で、グリッパ装置の本来的な作動だけで掘削反力等
を保持し難い場合には、保持力付加装置のコアーチュー
ブを作動させて地盤中に環状溝を切削しながら貫入さ
せ、この状態でコアーチューブ内の円盤状の地盤に押圧
体を押し付けて押付圧を発生させれば、保持力が格段に
向上される。
【0009】
【実施例】以下添付図面に基づいて、本発明の一実施例
を説明する。図1〜図3に示すように、前胴20と後胴
21との間が可撓管22で閉じられ、後胴21とセグメ
ント23との間も可撓管24で閉じられて、トンネル掘
削機の内部に土砂,地下水等が浸入するのが防止されて
いる。
【0010】また、前記前胴20の前端部には球面部2
5を介してカッタヘッド26が回転可能に取り付けられ
る。図中27がカッタヘッド駆動用の駆動源で、28は
シール材、26aはビットである。
【0011】さらに、前胴20と後胴21との間には、
これらを屈曲自在に連結するスラストジャッキ29が円
周方向に複数本配設されるとともに、後胴21と既設の
セグメント23との間にはシールドジャッキ30が円周
方向に複数本配設される。
【0012】そして、前記前胴20及び後胴21の外周
部にはグリッパ装置31が円周方向の複数箇所(図中で
は4箇所)に設置され、このグリッパ装置31は胴構成
部材である円筒枠32及び支持枠33と一体の案内枠3
4内に収納されている。
【0013】前記グリッパ装置31は、そのグリッパパ
ッド35と支持枠33との間に半径方向に伸縮すべく一
対のグリッパジャッキ36を備えるとともに、これらグ
リッパジャッキ36の間に位置して保持力付加装置37
を備えている。
【0014】前記保持力付加装置37は、図4及び図5
に示すように、グリッパパッド35と一体に形成された
有底筒状のケース38内に半径方向に出没するコアーチ
ューブ39が摺動自在に嵌装される。このコアーチュー
ブ39の先端にはカッタ39aが一体形成されている。
【0015】また、前記ケース38の底部からはシリン
ダ40が突設されて前記コアーチューブ39内に挿入さ
れている。さらに、ケース38の底部には油圧モータ4
1及び減速機42が外設されてその出力軸43が前記シ
リンダ40内に突出している。
【0016】前記シリンダ40内には、隔壁40aを介
して第1油室44と第2油室45とがタンデムに画成さ
れ、それぞれに第1ピストン46と第2ピストン47と
がシール材48を介して摺動自在に収装されている。図
中49a〜49dは第1及び第2油室44,45に作動
油を給排する配管で、図示しない油圧源へ切換弁等を介
して接続される。
【0017】そして、前記第1ピストン46は、該ピス
トン46と一体形成されてシリンダ40外へ突出する連
結筒50を介してコアーチューブ39と連結されるとと
もに、第2ピストン47は前記隔壁40a、第1ピスト
ン46、連結筒50及びコアーチューブ39を貫通して
地盤11に対向する押圧体51と一体形成される。
【0018】また、前記第2ピストン47及び押圧体5
1と前述した出力軸43とがスプライン係合52すると
ともに、押圧体51とコアーチューブ39とが同じくス
プライン係合53する。
【0019】本発明に係るトンネル掘削機のグリッパ装
置は前記のように構成されており、前胴20のグリッパ
装置31及び保持力付加装置37を伸長方向に作動して
前胴20を地盤11に固定しているときに、後胴21の
グリッパ装置31及び保持力付加装置37を縮み方向に
作動してこれら後胴側の装置を地盤11から離す一方、
スラストジャッキ29を縮み方向に作動して後胴21を
前胴20の方へ引き寄せる。また、後胴21のグリッパ
装置31及び保持力付加装置37を伸長方向に作動して
後胴21を地盤11に固定しているときに、前胴20の
グリッパ装置31及び保持力付加装置37を縮み方向に
作動してこれら前胴側の装置を地盤11から離す一方、
スラストジャッキ29を伸長方向に作動し、前胴20を
前進させて掘進を行うのは従前と同様である。
【0020】そして、前記前胴20及び後胴21の伸縮
並びにグリッパ装置31の作用に伴って、保持力付加装
置37は以下の如く作用する。即ち、グリッパジャッキ
36によってグリッパパッド35が半径方向に拡張(地
盤11に接触する方向)した後、油圧モータ41、減速
機42の回転により、スプライン係合52,53を介し
てコアーチューブ39が回転し、カッタ39aも回転す
る。次に、第1ピストン46の押出側に圧油を送ると、
コアーチューブ39が半径方向に突出する。この際、地
盤11に対してカッタ39aが回転しながら突出するの
で、環状溝が切削されて円形地盤11aが形成される
(図5参照)。このように、円形地盤11aにコアーチ
ューブ39、カッタ39aが噛み込んでいるので、グリ
ッパ装置31の地盤11との摩擦力(前胴20、後胴2
1の進行方向保持力)は相当増大するが、この状態で第
2ピストン47の押出側に圧油を送り円形地盤11aを
押圧体51で圧縮するとこの効果はさらに大きくなる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、グ
リッパ装置のグリッパパッドと地盤との間の摩擦によっ
て生じる保持力に加えて、コアーチューブが地盤中に貫
入しているので、そのコアーチューブ壁面に隣接した地
盤の土圧が作用することにより生じる保持力の増大が期
待できる。さらに、コアーチューブに取囲まれた円形地
盤部に押圧体で荷重を付加するので、コアーチューブと
円形地盤が一体となって挙動し、その結果、押圧体摩擦
面と地盤との境界摩擦力に代って、コアーチューブ先端
を結ぶ円形地盤面において押圧体と地盤との摩擦係数よ
りも大きい摩擦係数値を示す地盤同士の摩擦力が発生す
るので、さらに大きな保持力を期待することができる。
従って、地盤が半固結堆積層から成る固結度が低く破壊
しやすい軟岩の場合であっても、余裕を持って掘削反力
を保持することが可能となり、トンネル掘削機を後退さ
せることなく機体のローリングやセグメントの破壊を防
止できるので、坑内の安全施工を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体側断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】同じく保持力付加装置の断面図である。
【図5】図4の作用状態図である。
【図6】従来例の全体側断面図である。
【図7】図6のVII −VII 線断面図である。
【符号の説明】
11 地盤 20 前胴 21 後胴 31 グリッパ装置 37 保持力付加装置 39 コアーチューブ 39a カッタ 40 シリンダ 46 第1ピストン 47 第2ピストン 51 押圧体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 清美 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番 1号 三菱重工業株式会社 神戸造船所 内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前胴及び後胴の外周部にトンネル地盤を
    掴むためにグリッパ装置を複数設けたトンネル掘削機に
    おいて、前記グリッパ装置に、前記トンネル地盤に対し
    て第1のピストン・シリンダ機構により出没可能である
    とともに先端にカッタを装備してモータにより回転可能
    なコアーチューブと、該コアーチューブ内を第2のピス
    トン・シリンダ機構により進退して前記トンネル地盤に
    対して押付け可能な押圧体とを備える保持力付加装置を
    設けたことを特徴とするトンネル掘削機のグリッパ装
    置。
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