JP2668656B2 - アルカリホスファターゼ用乾式分析素子 - Google Patents
アルカリホスファターゼ用乾式分析素子Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリホスファター
ゼ(以下ALPと略記する)を定量するための改良され
た乾式分析素子に関する。 【0002】 【従来の技術】ALPは、りん酸モノエステラーゼの1
種であり、りん酸モノエステルの加水分解を触媒する酵
素である。これは動物の組織に広く分布し、殊に、骨、
腸粘膜、腎皮質、乳腺、乳汁、肝臓、胆汁、血清及び胎
盤に存在していることが知られている。そして、ALP
活性の増加は、例えば、肝、腸又は骨に関連する病気、
あるいは受精の指標とされている。そこで、1930年
から、このALPの検出、更に進んで定量分析するため
の方法の研究が進められている。従来、ALPの検出又
は定量方法としては各種の方法が開発されている。それ
らは大別して、ALPの基質、すなわちりん酸のモノエ
ステル又はその塩にALPを作用させ、直接色素を放出
させて、その色素濃度を測定する方法(例えば、特公昭
45−34872号、同52−42438号、特開昭5
4−104390号各公報等参照)と、直接色素を放出
しない基質にALPを作用させ、その生成物を、酸化又
は他の化合物と反応させて色素を生成させ、その濃度を
測定する方法(例えば、特公昭49−42949号、同
45−27199号、特開昭55−102400号各公
報等参照)とがある。これらは、いずれも操作が煩雑で
あるという問題点がある。他方、上述のごとき従来の分
析方法に対して操作性の簡便なドライ・ケミストリイー
を用い、その上高い定量性を有する多層分析素子が知ら
れている。例えば特公昭53−21677号、特開昭5
5−164356号、同57−125847号、同57
−197466号及び同58−90167号各公報等に
上記多層分析素子が記載されている。これら素子は、支
持体上に、試薬層及び/又は展開層等を設けたもので、
その定量分析操作が簡便なものである。しかしながら、
既述のALPの定量分析用に、前記の多層分析素子を使
用した公知例はない。そこで本発明者らは、ALPの定
量分析用に、前記の多層分析素子を使用することについ
て検討を重ねた結果、本発明に到達した。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、操作
が簡便であり、且つ保存安定性の優れたALP定量用乾
式分析素子を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明はALP定量用乾式分析素子に関する発明であっ
て、支持体上にALPの基質が含有されている層を有す
るALPを定量するための乾式分析素子において、固体
の基質を溶媒に溶解して溶液を作製し、前記基質を溶解
しない溶媒中に前記溶液を分散させて作製した分散液を
用いることによって、前記基質が前記層中に微粉末の状
態で含有されていることを特徴とする。 【0005】ALPの基質としては、既述のように各種
の物質が知られているが、本発明の分析素子において
は、ALPの作用によって直接色素を放出する基質が好
適である。そのような基質としては、p−ニトロフェニ
ルりん酸、チモールフタレインりん酸、フェノールフタ
レインりん酸及びそれらの塩が知られている。これらの
うち、ALPの作用で生成するチモールフタレインは、
高アルカリ性(pH≧12)でないと発色しない点で、
またフェノールフタレインは発色が極端に低い点で、い
ずれもあまり適当でなく、それに対して、p−ニトロフ
ェニルりん酸(以下、p−NPPと略記する)又はその
塩は、ALP活性が最高のpH10.4前後で直接発色
する色素を放出する点で、本発明の分析素子用に最適の
ALP基質である。 【0006】一般に、分析試薬を多層分析素子中に組込
むには、その均一分散を確保するために、通常該試薬を
適当な溶媒中に溶解して溶液を造り、それを試薬層塗布
液中に溶解させて使用するか、該溶液をまず粉末ろ紙に
含浸させ、それを展開層中に分散させる方法が採られて
いる。本発明者らは、この常法に従って、前記ALPの
基質を多層分析素子に組込んだところ、いずれの場合に
も、程度の差はあるが、素子の作成直後から強く呈色を
示すため、また更に5℃における1日の保存で基質の分
解を示すフェノール類の生成が確認され、実用上不適当
なものであることが判明した。そこで本発明者らは鋭意
検討した結果、本発明における微粉末分散法を見出し
た。 【0007】本発明の分析素子におけるALP基質の粒
度は、均一分散の面から小さい程好ましいが、微粒子化
の操作及びコスト上からの制限がある。しかして、本発
明者らの実験によれば、平均粒径が50μm以下であれ
ば、大なる影響はなく、1μm程度で、十分定量分析に
実用できることを見出した。また、これらALPの基質
粉末は、多層分析素子の展開層中に分散させるのが好適
であることも見出した。したがって、識別能は劣るが、
ALPの基質粉末を、試薬層又は反射層中に分散させて
もよい。 【0008】それ故、本発明の分析素子の構成は、支持
体上に展開層のみを有する構成、又は支持体上に少なく
とも1層の親水性コロイド層及び展開層を有する構成、
あるいはこれらに必要に応じて他の試薬層及び/又は反
射層を設けた構成としてよい。 【0009】そして、ALPの基質を組込む方法として
は、基質を混入させる層の塗布液として、該基質を溶解
しない液を用い、それに予め基質を溶解した溶液を添加
し、均一に分散させればよく、それには、分散剤、助
剤、粉末ろ紙等を更に添加してもよい。しかして、この
基質は、その添加後(すなわち液中)に微粉砕して微粉
末の状態とすれば良い。該基質を溶解しない液として
は、好ましくはキシレン、トルエン等の有機溶媒が用い
られる。また、基質を溶解する溶媒としては、好ましく
はメタノール等の低級アルコールが用いられる。 【0010】定量分析は、本発明の分析素子にALP含
有被検液、例えば血清を滴下し、インキュベートしなが
ら、生成する加水分解物、例えばp−NPPの場合はp
−ニトロフェノールの濃度の経時変化を特定スペクトル
で光学測定することにより行えばよい。本発明の分析素
子は、5℃における保存で3ヵ月以上も安定である。 【0011】 【実施例】以下、本発明を実施例及び参考例により具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されな
い。 【0012】参考例1 (1)塗布液調製 (a)試薬層−1 ゼチラン7.5g、トリイソプロピルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム1g及び炭酸水素ナトリウム2.52g
を蒸留水80mlに溶解後、4モル/リットルの水酸化
ナトリウム水溶液でpH10.4に調整し、次いで蒸留
水を加えて全量を100gに調整して、試薬層−1用塗
布液とした。 (b)試薬層−2 ゼチラン10g及びトリイソプロピルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム1gを蒸留水70mlに溶解後、1,2
−ビス(ビニルスルホニル)エタン0.333gを添加
し、蒸留水を加えて全量を100gに調整して、試薬層
−2用塗布液とした。 (c)展開層 キシレン280mlにスチレン−グリシジルメタクリレ
ート共重合体〔共重合比9:1(重量比)〕15g、ト
ライトンX−100(ロームアンドハース社製)10g
を加え溶解してキシレン溶液とした。硫酸マグネシウム
・7水和物をふるいにかけ200メッシュ以上の細かい
ものを4.2g、及び同じく200メッシュ以上の細か
いp−NPP・2ナトリウム・6水和物0.526gを
前記キシレン溶液に添加後、サンドグラインダーにより
4時間かくはんした後、ガーゼでろ過し、ろ液135.
7gに粉末ろ紙C〔東洋ろ紙(株)製、300メッシュ
以上〕45gを加え、よくかくはんして展開層用塗布液
とした。 【0013】(2)分析素子製造 透明な膜厚約180μmの下塗り済ポリエチレンテレフ
タレート支持体上に、試薬層−1用塗布液を250μm
の厚さにドクターブレードで塗布し、42±2℃で40
分間乾燥して、試薬層−1を得た。この試薬層−1上
に、試薬層−2用塗布液を125μmの厚さにドクター
ブレードで塗布し、42±2℃で30分間乾燥して、試
薬層−2を得た。この試薬層−2上に展開層用塗布液を
375μmの厚さにドクターブレードで塗布し、42±
2℃で30分間乾燥して、参考例1の分析素子を得た。 【0014】こうして得た、分析素子の各層の組成を以
下に示す。 (a)試薬層−1 ゼラチン 18.75 g/m2 トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 2.5 g/m2 炭酸水素ナトリウム 6.3 g/m2 (b)試薬層−2 ゼラチン 12.5 g/m2 トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.25 g/m2 1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン 0.417g/m2 (c)展開層 粉末ろ紙(C) 93.75 g/m2 トライトンX−100 10.417g/m2 スチレン−グリシジルメタクリレート(9:1)共重合体 15.625g/m2 硫酸マグネシウム・7水和物 4.375g/m2 p−NPP・2ナトリウム・6水和物 0.548g/m2 【0015】この分析素子に、種々のALP活性を有す
る血清を滴下し、37℃で5分間保温した時の反射光学
濃度(DR )の経時変化をp−ニトロフェノールの41
0nm付近の吸収で測定した。その結果を図1に示す。
すなわち図1は、各種のALP活性をもつ血清滴下時の
濃度の経時変化を、時間(分)(横軸)と反射光学濃度
(DR )(縦軸)との関係で示したグラフである。図1
に明らかなように、濃度と経時変化が比例しているの
で、これからALP活性を定量することができる。 【0016】実施例1 以下のようにして、素子の保存安定性を対比試験した。 (1)水溶液 親水性コロイド溶液に、あらかじめ蒸留水中に溶解した
p−NPP・2ナトリウム・6水和物を添加して、試薬
層塗布液とした。この塗布液は黄色を呈していた。これ
を支持体に塗布し、乾燥して展開層とし、素子を作成し
た。この素子自体も黄色を呈しており、反射吸収スペク
トルを測定すると410nm付近に強いピークを示し
た。また、本素子を5℃で1日保存後、同様に反射吸収
スペクトルを測定すると、410nmの反射光学濃度は
更に増大しており、経時劣化の著しいことが判明した。 (2)有機溶液(本発明) 前記(1)の基質をメタノール中に溶解し、キシレン中
に分散させた後、この液を粉末ろ紙に含浸させた。この
粉末ろ紙を減圧乾燥し、展開層塗布液中に分散させた。
こうして得た塗布液、及びこれを支持体に塗布し、乾燥
して得た本発明の素子も淡黄色を呈した。そして、この
素子の反射吸収スペクトルを測定すると、410nm付
近に弱いピークしか示さなかった。しかし、この素子を
5℃で1日保存すると黄色を呈し、反射吸収スペクトル
は410nm付近に強いピークを示した。 (3)参考例の微粉末 前記(1)の基質を微粉末状に粉砕し、非溶解性の展開
層塗布液中に直接分散した。こうして得た塗布液、及び
これを支持体に塗布し、乾燥して得た素子も、共に白色
を呈した。これを5℃で1日保存後、その反射吸収スペ
クトルを測定すると、保存前と同様に、410nm付近
にピークが見られなかった。そこで、40℃で強制劣化
試験を行ったところ、3日目までスペクトルの変化はな
く、10日目でようやく弱いピークが確認できる程度の
DR 変化を示した。 【0017】参考例2 粒度の差による性質の差を調べた。前記参考例1のもの
を標準とし(1)、対照として、参考例1の基質をふる
いにかけ500メッシュ以上の細かいものを用い、サン
ドグラインダー分散を行わない展開層用塗布液を用いた
素子(2)、また、同様に200メッシュ以上の細かい
ものを用いるがサンドグラインダー分散を行わない展開
層塗布液を用いた素子(3)について試験した。まず、
各展開層用塗布液中の各基質の平均粒径を光学顕微鏡で
測定した。その結果を下記表1に示す。 【0018】 【表1】 【0019】次に、各種のALP活性を有する人血清
を、これら3つの素子に滴下し、37℃でインキュベー
トしながら、反射光学濃度(DR )を4分間測定した。
図2に、ALP活性(K−U)(横軸)と、滴下4分後
のDR と2分後のDRの差(ΔDR )(縦軸)との関係
で表した検量線を示す。図2から明らかなように、3本
の検量線に有意差はない。次に、これらの検量線にΔD
R を代入して、同時再現性(分析精度)を検討した。そ
の結果を下記表2に相対標準偏差(%)として示す。 【0020】 【表2】 【0021】表2から明らかなように、p−NPP・2
Na・6H2 Oの粒径が小さくなるほど、相対標準偏差
が小さく、且つ一定であって良好である。これは、基質
粒子が小さくなるほど均一分散が可能となり、且つ分散
状態が安定となり、単位面積当りの付着量が一定化する
ためと推定される。更に、保存安定性について試験した
ところ、3つの素子共、ほぼ同じ安定性を示した。 【0022】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の分析素子
は、ALP活性の定量測定を従来の分析技術よりも簡便
に行えるものであり、また問題となる保存安定性につい
ても常法の溶液適用よりもはるかに優れており、もちろ
ん分析精度も十分満足できるという顕著な効果を奏する
ものである。
ゼ(以下ALPと略記する)を定量するための改良され
た乾式分析素子に関する。 【0002】 【従来の技術】ALPは、りん酸モノエステラーゼの1
種であり、りん酸モノエステルの加水分解を触媒する酵
素である。これは動物の組織に広く分布し、殊に、骨、
腸粘膜、腎皮質、乳腺、乳汁、肝臓、胆汁、血清及び胎
盤に存在していることが知られている。そして、ALP
活性の増加は、例えば、肝、腸又は骨に関連する病気、
あるいは受精の指標とされている。そこで、1930年
から、このALPの検出、更に進んで定量分析するため
の方法の研究が進められている。従来、ALPの検出又
は定量方法としては各種の方法が開発されている。それ
らは大別して、ALPの基質、すなわちりん酸のモノエ
ステル又はその塩にALPを作用させ、直接色素を放出
させて、その色素濃度を測定する方法(例えば、特公昭
45−34872号、同52−42438号、特開昭5
4−104390号各公報等参照)と、直接色素を放出
しない基質にALPを作用させ、その生成物を、酸化又
は他の化合物と反応させて色素を生成させ、その濃度を
測定する方法(例えば、特公昭49−42949号、同
45−27199号、特開昭55−102400号各公
報等参照)とがある。これらは、いずれも操作が煩雑で
あるという問題点がある。他方、上述のごとき従来の分
析方法に対して操作性の簡便なドライ・ケミストリイー
を用い、その上高い定量性を有する多層分析素子が知ら
れている。例えば特公昭53−21677号、特開昭5
5−164356号、同57−125847号、同57
−197466号及び同58−90167号各公報等に
上記多層分析素子が記載されている。これら素子は、支
持体上に、試薬層及び/又は展開層等を設けたもので、
その定量分析操作が簡便なものである。しかしながら、
既述のALPの定量分析用に、前記の多層分析素子を使
用した公知例はない。そこで本発明者らは、ALPの定
量分析用に、前記の多層分析素子を使用することについ
て検討を重ねた結果、本発明に到達した。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、操作
が簡便であり、且つ保存安定性の優れたALP定量用乾
式分析素子を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明はALP定量用乾式分析素子に関する発明であっ
て、支持体上にALPの基質が含有されている層を有す
るALPを定量するための乾式分析素子において、固体
の基質を溶媒に溶解して溶液を作製し、前記基質を溶解
しない溶媒中に前記溶液を分散させて作製した分散液を
用いることによって、前記基質が前記層中に微粉末の状
態で含有されていることを特徴とする。 【0005】ALPの基質としては、既述のように各種
の物質が知られているが、本発明の分析素子において
は、ALPの作用によって直接色素を放出する基質が好
適である。そのような基質としては、p−ニトロフェニ
ルりん酸、チモールフタレインりん酸、フェノールフタ
レインりん酸及びそれらの塩が知られている。これらの
うち、ALPの作用で生成するチモールフタレインは、
高アルカリ性(pH≧12)でないと発色しない点で、
またフェノールフタレインは発色が極端に低い点で、い
ずれもあまり適当でなく、それに対して、p−ニトロフ
ェニルりん酸(以下、p−NPPと略記する)又はその
塩は、ALP活性が最高のpH10.4前後で直接発色
する色素を放出する点で、本発明の分析素子用に最適の
ALP基質である。 【0006】一般に、分析試薬を多層分析素子中に組込
むには、その均一分散を確保するために、通常該試薬を
適当な溶媒中に溶解して溶液を造り、それを試薬層塗布
液中に溶解させて使用するか、該溶液をまず粉末ろ紙に
含浸させ、それを展開層中に分散させる方法が採られて
いる。本発明者らは、この常法に従って、前記ALPの
基質を多層分析素子に組込んだところ、いずれの場合に
も、程度の差はあるが、素子の作成直後から強く呈色を
示すため、また更に5℃における1日の保存で基質の分
解を示すフェノール類の生成が確認され、実用上不適当
なものであることが判明した。そこで本発明者らは鋭意
検討した結果、本発明における微粉末分散法を見出し
た。 【0007】本発明の分析素子におけるALP基質の粒
度は、均一分散の面から小さい程好ましいが、微粒子化
の操作及びコスト上からの制限がある。しかして、本発
明者らの実験によれば、平均粒径が50μm以下であれ
ば、大なる影響はなく、1μm程度で、十分定量分析に
実用できることを見出した。また、これらALPの基質
粉末は、多層分析素子の展開層中に分散させるのが好適
であることも見出した。したがって、識別能は劣るが、
ALPの基質粉末を、試薬層又は反射層中に分散させて
もよい。 【0008】それ故、本発明の分析素子の構成は、支持
体上に展開層のみを有する構成、又は支持体上に少なく
とも1層の親水性コロイド層及び展開層を有する構成、
あるいはこれらに必要に応じて他の試薬層及び/又は反
射層を設けた構成としてよい。 【0009】そして、ALPの基質を組込む方法として
は、基質を混入させる層の塗布液として、該基質を溶解
しない液を用い、それに予め基質を溶解した溶液を添加
し、均一に分散させればよく、それには、分散剤、助
剤、粉末ろ紙等を更に添加してもよい。しかして、この
基質は、その添加後(すなわち液中)に微粉砕して微粉
末の状態とすれば良い。該基質を溶解しない液として
は、好ましくはキシレン、トルエン等の有機溶媒が用い
られる。また、基質を溶解する溶媒としては、好ましく
はメタノール等の低級アルコールが用いられる。 【0010】定量分析は、本発明の分析素子にALP含
有被検液、例えば血清を滴下し、インキュベートしなが
ら、生成する加水分解物、例えばp−NPPの場合はp
−ニトロフェノールの濃度の経時変化を特定スペクトル
で光学測定することにより行えばよい。本発明の分析素
子は、5℃における保存で3ヵ月以上も安定である。 【0011】 【実施例】以下、本発明を実施例及び参考例により具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されな
い。 【0012】参考例1 (1)塗布液調製 (a)試薬層−1 ゼチラン7.5g、トリイソプロピルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム1g及び炭酸水素ナトリウム2.52g
を蒸留水80mlに溶解後、4モル/リットルの水酸化
ナトリウム水溶液でpH10.4に調整し、次いで蒸留
水を加えて全量を100gに調整して、試薬層−1用塗
布液とした。 (b)試薬層−2 ゼチラン10g及びトリイソプロピルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム1gを蒸留水70mlに溶解後、1,2
−ビス(ビニルスルホニル)エタン0.333gを添加
し、蒸留水を加えて全量を100gに調整して、試薬層
−2用塗布液とした。 (c)展開層 キシレン280mlにスチレン−グリシジルメタクリレ
ート共重合体〔共重合比9:1(重量比)〕15g、ト
ライトンX−100(ロームアンドハース社製)10g
を加え溶解してキシレン溶液とした。硫酸マグネシウム
・7水和物をふるいにかけ200メッシュ以上の細かい
ものを4.2g、及び同じく200メッシュ以上の細か
いp−NPP・2ナトリウム・6水和物0.526gを
前記キシレン溶液に添加後、サンドグラインダーにより
4時間かくはんした後、ガーゼでろ過し、ろ液135.
7gに粉末ろ紙C〔東洋ろ紙(株)製、300メッシュ
以上〕45gを加え、よくかくはんして展開層用塗布液
とした。 【0013】(2)分析素子製造 透明な膜厚約180μmの下塗り済ポリエチレンテレフ
タレート支持体上に、試薬層−1用塗布液を250μm
の厚さにドクターブレードで塗布し、42±2℃で40
分間乾燥して、試薬層−1を得た。この試薬層−1上
に、試薬層−2用塗布液を125μmの厚さにドクター
ブレードで塗布し、42±2℃で30分間乾燥して、試
薬層−2を得た。この試薬層−2上に展開層用塗布液を
375μmの厚さにドクターブレードで塗布し、42±
2℃で30分間乾燥して、参考例1の分析素子を得た。 【0014】こうして得た、分析素子の各層の組成を以
下に示す。 (a)試薬層−1 ゼラチン 18.75 g/m2 トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 2.5 g/m2 炭酸水素ナトリウム 6.3 g/m2 (b)試薬層−2 ゼラチン 12.5 g/m2 トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.25 g/m2 1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン 0.417g/m2 (c)展開層 粉末ろ紙(C) 93.75 g/m2 トライトンX−100 10.417g/m2 スチレン−グリシジルメタクリレート(9:1)共重合体 15.625g/m2 硫酸マグネシウム・7水和物 4.375g/m2 p−NPP・2ナトリウム・6水和物 0.548g/m2 【0015】この分析素子に、種々のALP活性を有す
る血清を滴下し、37℃で5分間保温した時の反射光学
濃度(DR )の経時変化をp−ニトロフェノールの41
0nm付近の吸収で測定した。その結果を図1に示す。
すなわち図1は、各種のALP活性をもつ血清滴下時の
濃度の経時変化を、時間(分)(横軸)と反射光学濃度
(DR )(縦軸)との関係で示したグラフである。図1
に明らかなように、濃度と経時変化が比例しているの
で、これからALP活性を定量することができる。 【0016】実施例1 以下のようにして、素子の保存安定性を対比試験した。 (1)水溶液 親水性コロイド溶液に、あらかじめ蒸留水中に溶解した
p−NPP・2ナトリウム・6水和物を添加して、試薬
層塗布液とした。この塗布液は黄色を呈していた。これ
を支持体に塗布し、乾燥して展開層とし、素子を作成し
た。この素子自体も黄色を呈しており、反射吸収スペク
トルを測定すると410nm付近に強いピークを示し
た。また、本素子を5℃で1日保存後、同様に反射吸収
スペクトルを測定すると、410nmの反射光学濃度は
更に増大しており、経時劣化の著しいことが判明した。 (2)有機溶液(本発明) 前記(1)の基質をメタノール中に溶解し、キシレン中
に分散させた後、この液を粉末ろ紙に含浸させた。この
粉末ろ紙を減圧乾燥し、展開層塗布液中に分散させた。
こうして得た塗布液、及びこれを支持体に塗布し、乾燥
して得た本発明の素子も淡黄色を呈した。そして、この
素子の反射吸収スペクトルを測定すると、410nm付
近に弱いピークしか示さなかった。しかし、この素子を
5℃で1日保存すると黄色を呈し、反射吸収スペクトル
は410nm付近に強いピークを示した。 (3)参考例の微粉末 前記(1)の基質を微粉末状に粉砕し、非溶解性の展開
層塗布液中に直接分散した。こうして得た塗布液、及び
これを支持体に塗布し、乾燥して得た素子も、共に白色
を呈した。これを5℃で1日保存後、その反射吸収スペ
クトルを測定すると、保存前と同様に、410nm付近
にピークが見られなかった。そこで、40℃で強制劣化
試験を行ったところ、3日目までスペクトルの変化はな
く、10日目でようやく弱いピークが確認できる程度の
DR 変化を示した。 【0017】参考例2 粒度の差による性質の差を調べた。前記参考例1のもの
を標準とし(1)、対照として、参考例1の基質をふる
いにかけ500メッシュ以上の細かいものを用い、サン
ドグラインダー分散を行わない展開層用塗布液を用いた
素子(2)、また、同様に200メッシュ以上の細かい
ものを用いるがサンドグラインダー分散を行わない展開
層塗布液を用いた素子(3)について試験した。まず、
各展開層用塗布液中の各基質の平均粒径を光学顕微鏡で
測定した。その結果を下記表1に示す。 【0018】 【表1】 【0019】次に、各種のALP活性を有する人血清
を、これら3つの素子に滴下し、37℃でインキュベー
トしながら、反射光学濃度(DR )を4分間測定した。
図2に、ALP活性(K−U)(横軸)と、滴下4分後
のDR と2分後のDRの差(ΔDR )(縦軸)との関係
で表した検量線を示す。図2から明らかなように、3本
の検量線に有意差はない。次に、これらの検量線にΔD
R を代入して、同時再現性(分析精度)を検討した。そ
の結果を下記表2に相対標準偏差(%)として示す。 【0020】 【表2】 【0021】表2から明らかなように、p−NPP・2
Na・6H2 Oの粒径が小さくなるほど、相対標準偏差
が小さく、且つ一定であって良好である。これは、基質
粒子が小さくなるほど均一分散が可能となり、且つ分散
状態が安定となり、単位面積当りの付着量が一定化する
ためと推定される。更に、保存安定性について試験した
ところ、3つの素子共、ほぼ同じ安定性を示した。 【0022】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の分析素子
は、ALP活性の定量測定を従来の分析技術よりも簡便
に行えるものであり、また問題となる保存安定性につい
ても常法の溶液適用よりもはるかに優れており、もちろ
ん分析精度も十分満足できるという顕著な効果を奏する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例の分析素子に各種ALP活性をもつ血清
を滴下したときの時間と反射光学濃度との関係を示すグ
ラフである。 【図2】本発明の分析素子における基質の粒径差に伴う
ALP活性と反射光学濃度差との関係を示すグラフであ
る。
を滴下したときの時間と反射光学濃度との関係を示すグ
ラフである。 【図2】本発明の分析素子における基質の粒径差に伴う
ALP活性と反射光学濃度差との関係を示すグラフであ
る。
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フロントページの続き
(72)発明者 神山 幹夫
東京都日野市さくら町1番地 小西六写
真工業株式会社内
(72)発明者 栗山 治子
東京都日野市さくら町1番地 小西六写
真工業株式会社内
(72)発明者 ▲アベ▼野 裕子
東京都日野市さくら町1番地 小西六写
真工業株式会社内
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.支持体上に、アルカリホスファターゼの基質が含有
されている層を有するアルカリホスファターゼを定量す
るための乾式分析素子において、固体の基質を溶媒に溶
解して溶液を作製し、前記基質を溶解しない溶媒中に前
記溶液を分散させて作製した分散液を用いることによっ
て、前記基質が前記層中に微粉末の状態で含有されてい
ることを特徴とするアルカリホスファターゼ定量用乾式
分析素子。 2.該分析素子が、支持体上に少なくとも1層の親水性
コロイド層及び展開層を有して構成されており、該基質
が該展開層中に含有されている請求項1記載のアルカリ
ホスファターゼ定量用乾式分析素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6234492A JP2668656B2 (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | アルカリホスファターゼ用乾式分析素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6234492A JP2668656B2 (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | アルカリホスファターゼ用乾式分析素子 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9303184A Division JPS60237999A (ja) | 1984-05-11 | 1984-05-11 | アルカリホスフアタ−ゼ用乾式分析素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07147998A JPH07147998A (ja) | 1995-06-13 |
JP2668656B2 true JP2668656B2 (ja) | 1997-10-27 |
Family
ID=16971882
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6234492A Expired - Lifetime JP2668656B2 (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | アルカリホスファターゼ用乾式分析素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2668656B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54104390A (en) * | 1978-01-20 | 1979-08-16 | Sclavo Inst Sieroterapeut | Composite substance for measuring activity of alkaline phosphatase |
JPS55164356A (en) * | 1979-06-08 | 1980-12-22 | Fuji Photo Film Co Ltd | Multi-layer analysis sheet for liquid sample analysis |
JPS57197466A (en) * | 1981-04-29 | 1982-12-03 | Konishiroku Photo Ind Co Ltd | Analysis element |
-
1994
- 1994-09-05 JP JP6234492A patent/JP2668656B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54104390A (en) * | 1978-01-20 | 1979-08-16 | Sclavo Inst Sieroterapeut | Composite substance for measuring activity of alkaline phosphatase |
JPS55164356A (en) * | 1979-06-08 | 1980-12-22 | Fuji Photo Film Co Ltd | Multi-layer analysis sheet for liquid sample analysis |
JPS57197466A (en) * | 1981-04-29 | 1982-12-03 | Konishiroku Photo Ind Co Ltd | Analysis element |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07147998A (ja) | 1995-06-13 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |