JP2668543B2 - 打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板 - Google Patents
打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板Info
- Publication number
- JP2668543B2 JP2668543B2 JP63055394A JP5539488A JP2668543B2 JP 2668543 B2 JP2668543 B2 JP 2668543B2 JP 63055394 A JP63055394 A JP 63055394A JP 5539488 A JP5539488 A JP 5539488A JP 2668543 B2 JP2668543 B2 JP 2668543B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cold
- steel sheet
- content
- rolled steel
- workability
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、自動車用鋼板等打ち抜き加工を施し使用さ
れる、打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板に関するも
のである。
れる、打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板に関するも
のである。
(従来の技術) 冷延鋼板は自動車、家電、家具等に使用されている。
要求される特性は、プレス加工性は勿論であるが、その
殆どが何らかの打ち抜き加工が施され使用されるため、
打ち抜き加工性も要求される。
要求される特性は、プレス加工性は勿論であるが、その
殆どが何らかの打ち抜き加工が施され使用されるため、
打ち抜き加工性も要求される。
要求される打ち抜き加工特性としては、打ち抜き加
工成品の「かえり」高さが小さいこと、打ち抜きポン
チ、ダイスの摩耗が少ないこと、である。中でも打ち
抜き加工成品の「かえり」高さが大きいと塗装時に塗料
が乗り難く、耐食性が劣化し不良品となる等成品の品質
に直接影響する重要な特性である。
工成品の「かえり」高さが小さいこと、打ち抜きポン
チ、ダイスの摩耗が少ないこと、である。中でも打ち
抜き加工成品の「かえり」高さが大きいと塗装時に塗料
が乗り難く、耐食性が劣化し不良品となる等成品の品質
に直接影響する重要な特性である。
現在、自動車用鋼板等に供される加工性に優れた冷延
鋼板の例としては、特公昭44−18066号及び特公昭50−3
1531号公報によって提案されている含Ti冷延鋼板があ
り、広く使用されている。かかる含Ti冷延鋼板は、加工
性においては極めて優れているが、上記の打ち抜き加工
性は具備されていない。
鋼板の例としては、特公昭44−18066号及び特公昭50−3
1531号公報によって提案されている含Ti冷延鋼板があ
り、広く使用されている。かかる含Ti冷延鋼板は、加工
性においては極めて優れているが、上記の打ち抜き加工
性は具備されていない。
冷延鋼板の打ち抜き加工成品の「かえり」を良好なら
しめる方法として、従来から一般に考えられる方法は
(1)クリアランスの最適化、対向打ち抜き、切れ刃の
仕上げ面粗さの向上、刃の材質、等型条件の選択、
(2)被加工材の強度、伸び特性の選択、(3)打ち抜
き速度、潤滑、プレス機械の剛性、等の作業条件、等の
選択がある。
しめる方法として、従来から一般に考えられる方法は
(1)クリアランスの最適化、対向打ち抜き、切れ刃の
仕上げ面粗さの向上、刃の材質、等型条件の選択、
(2)被加工材の強度、伸び特性の選択、(3)打ち抜
き速度、潤滑、プレス機械の剛性、等の作業条件、等の
選択がある。
(発明が解決しようとする課題) これらは、いずれも適用する上で制限があったり、経
済性が悪くなる等問題がある。中でも、(2)の被加工
材の強度、伸び、を犠牲にして打ち抜き加工性を向上さ
せる方法は、プレス加工性が著しく劣化し電磁鋼板のよ
うに深絞り加工しない成品等、限られた用途にしか適用
出来ない。
済性が悪くなる等問題がある。中でも、(2)の被加工
材の強度、伸び、を犠牲にして打ち抜き加工性を向上さ
せる方法は、プレス加工性が著しく劣化し電磁鋼板のよ
うに深絞り加工しない成品等、限られた用途にしか適用
出来ない。
本発明は優れた深絞り性を有し且つ打ち抜き加工性に
も優れた冷延鋼板を提供せんとするもので、本発明の鋼
板は未だ提供されておらず、本発明の工業的な価値は大
きい。
も優れた冷延鋼板を提供せんとするもので、本発明の鋼
板は未だ提供されておらず、本発明の工業的な価値は大
きい。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、冷延鋼板の深絞り性を確保し、且つ、
良好な打ち抜き加工性を得ることについて種々検討し、
極低炭素系冷延鋼板にS:0.050〜0.150%添加し、且つ、
Mn:0.05〜1.5%、Ti:0.03〜0.15%、且つ、(Mn+5Ti)
/S:5以上、添加することにより、優れた深絞り性と優れ
た打ち抜き加工性とが両立することを初めて見出したも
のである。
良好な打ち抜き加工性を得ることについて種々検討し、
極低炭素系冷延鋼板にS:0.050〜0.150%添加し、且つ、
Mn:0.05〜1.5%、Ti:0.03〜0.15%、且つ、(Mn+5Ti)
/S:5以上、添加することにより、優れた深絞り性と優れ
た打ち抜き加工性とが両立することを初めて見出したも
のである。
本発明の要旨は下記のとおりである。
(1) C:0.0005〜0.0050%,Si:0.003〜0.30%,Mn:0.0
5〜1.5%,P:0.001〜0.100%,S:0.050〜0.150%,solAl:
0.001〜0.15%,N:0.0070%以下,Ti:0.03〜0.15%,且つ
(Mn+5Ti)/S:5以上、残部不可避的不純物及び鉄より
なることを特徴とする打ち抜き性の優れた深絞り用冷延
鋼板。
5〜1.5%,P:0.001〜0.100%,S:0.050〜0.150%,solAl:
0.001〜0.15%,N:0.0070%以下,Ti:0.03〜0.15%,且つ
(Mn+5Ti)/S:5以上、残部不可避的不純物及び鉄より
なることを特徴とする打ち抜き性の優れた深絞り用冷延
鋼板。
(2) 前項(1)記載の成分範囲に、更にBを0.0002
〜0.0025%含有することを特徴とする二次加工性が良好
な打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。
〜0.0025%含有することを特徴とする二次加工性が良好
な打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。
(3) 前項(1)記載の成分範囲に、更にNbを0.005
〜0.025%含有することを特徴とするr値の面内異方性
の少ない打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。
〜0.025%含有することを特徴とするr値の面内異方性
の少ない打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。
(4) 前項(1)記載の成分範囲に、更にBを0.0002
〜0.0025%、Nbを0.005〜0.025%含有することを特徴と
する二次加工性が良好で且つ、r値の面内異方性の少な
い打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。
〜0.0025%、Nbを0.005〜0.025%含有することを特徴と
する二次加工性が良好で且つ、r値の面内異方性の少な
い打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。
以下に本発明について詳細に述べる。
本発明が目的とする打ち抜き性に優れた深絞り用冷延
鋼板は、鋼の成分を以下のように規制することによって
得られる。
鋼板は、鋼の成分を以下のように規制することによって
得られる。
第1図はC,0.0017〜0.0025%,Si,0.01〜0.02%,Mn,0.
25〜1.15%,P,0.015〜0.021%,solAl,0.040〜0.055%,
N,0.0018%〜0.0027%,Ti,0.059〜0.081%を含有する冷
延鋼板のS含有量を0.016〜0.17%の範囲内で種々変化
させた場合のS含有量と打ち抜き加工性及び深絞り性を
示す値の関係を示したものである。
25〜1.15%,P,0.015〜0.021%,solAl,0.040〜0.055%,
N,0.0018%〜0.0027%,Ti,0.059〜0.081%を含有する冷
延鋼板のS含有量を0.016〜0.17%の範囲内で種々変化
させた場合のS含有量と打ち抜き加工性及び深絞り性を
示す値の関係を示したものである。
打ち抜き加工性試験は直径26.0φmmの円板に打ち抜い
た場合の「かえり」高さを評価したものである。
た場合の「かえり」高さを評価したものである。
而して本発明の第1のポイントは、第1図からも判る
様にS含有量が0.050〜0.150%でなければならない事で
ある。0.050%以上のS含有量は優れた打ち抜き加工性
を得る為の硫化物を一定量以上確保するのに必要不可欠
なもので、S含有量が0.050%未満になると優れた打ち
抜き加工性がられ無くなる。又、S含有量が0.150%を
超えると硫化物が多くなり過ぎ、優れた深絞り性(値
≧1.5)が確保できなくなるので上限を0.150%とした。
様にS含有量が0.050〜0.150%でなければならない事で
ある。0.050%以上のS含有量は優れた打ち抜き加工性
を得る為の硫化物を一定量以上確保するのに必要不可欠
なもので、S含有量が0.050%未満になると優れた打ち
抜き加工性がられ無くなる。又、S含有量が0.150%を
超えると硫化物が多くなり過ぎ、優れた深絞り性(値
≧1.5)が確保できなくなるので上限を0.150%とした。
本発明の第2のポイントは、Mn及びTi含有量を(Mn+
5Ti)/S:5以上とすることである。Mn並びにTiの硫化物
を一定量以上確保するには、S含有量が0.050%以上で
あると共に、(Mn+5Ti)/Sが5以上でなければならな
い。(Mn+5Ti)/Sが5未満ではMn,Tiが少ないため圧延
方向に伸びた大きなFaS系の介在物が生成し、打ち抜き
加工性が悪くなるとともにプレス加工性も劣化する。
又、熱間圧延時に耳荒れも発生するようになる。尚、
(Mn+5Ti)/Sの上限はMn及びTiのそれぞれの含有量の
上限による。
5Ti)/S:5以上とすることである。Mn並びにTiの硫化物
を一定量以上確保するには、S含有量が0.050%以上で
あると共に、(Mn+5Ti)/Sが5以上でなければならな
い。(Mn+5Ti)/Sが5未満ではMn,Tiが少ないため圧延
方向に伸びた大きなFaS系の介在物が生成し、打ち抜き
加工性が悪くなるとともにプレス加工性も劣化する。
又、熱間圧延時に耳荒れも発生するようになる。尚、
(Mn+5Ti)/Sの上限はMn及びTiのそれぞれの含有量の
上限による。
本発明の第3のポイントは、Ti含有量を(Mn+5Ti)/
Sを5以上とすると共に0.03〜0.15%とすることであ
る。優れた打ち抜き加工性を得る為のMn及びTiの複合及
び単独硫化物量を一定量以上確保し、且つ、前掲特許文
献に示される様な低硫のTi添加極低炭素鋼と同等以上の
優れた深絞り性をも確保するには、Ti含有量は少なくと
も0.03%以上必要である。
Sを5以上とすると共に0.03〜0.15%とすることであ
る。優れた打ち抜き加工性を得る為のMn及びTiの複合及
び単独硫化物量を一定量以上確保し、且つ、前掲特許文
献に示される様な低硫のTi添加極低炭素鋼と同等以上の
優れた深絞り性をも確保するには、Ti含有量は少なくと
も0.03%以上必要である。
尚、Ti含有量が0.15%を超えると合金量が多くなり過
ぎ硬質化するのでTi含有量の上限を0.15%とした。
ぎ硬質化するのでTi含有量の上限を0.15%とした。
Mn含有量は、(Mn+5Ti)/Sを5以上とすると共に0.0
5〜1.5%とすることである。優れた打ち抜き加工性を得
る為のMn及びTiの複合及び単独硫化物量を一定量以上確
保するには、Mn含有量を(Mn+5Ti)/Sを5以上とせね
ばならないが、Ti含有量が十分多く、Ti単独で(Mn+5T
i)/S≧5を満足する場合はMnは必ずしも必要ではな
い。尚、下限を0.05%としたのは現行の製鋼法ではそれ
より低い値には出来ないからである。又、Mn含有量が1.
5%を超えると合金量が多くなり過ぎ、硬質化するのでM
n含有量の上限を1.5%とした。
5〜1.5%とすることである。優れた打ち抜き加工性を得
る為のMn及びTiの複合及び単独硫化物量を一定量以上確
保するには、Mn含有量を(Mn+5Ti)/Sを5以上とせね
ばならないが、Ti含有量が十分多く、Ti単独で(Mn+5T
i)/S≧5を満足する場合はMnは必ずしも必要ではな
い。尚、下限を0.05%としたのは現行の製鋼法ではそれ
より低い値には出来ないからである。又、Mn含有量が1.
5%を超えると合金量が多くなり過ぎ、硬質化するのでM
n含有量の上限を1.5%とした。
C含有量は、0.0050%以下でなければならない。0.00
50%より多く含有すると深絞り性を示すr値が低下し深
絞り性が確保できなくなる。尚、下限を0.0005%とした
のは現在の製鋼法ではそれより低い値に低減するのが困
難となるからである。
50%より多く含有すると深絞り性を示すr値が低下し深
絞り性が確保できなくなる。尚、下限を0.0005%とした
のは現在の製鋼法ではそれより低い値に低減するのが困
難となるからである。
Si含有量は、0.30%以下でなければならない。Si含有
量が0.30%より多いと化成処理性が劣化するので上限を
0.30%とした。他方、下限を0.003%としたのは現在の
製鋼法ではそれより低い値に低減するのが困難となるか
らである。
量が0.30%より多いと化成処理性が劣化するので上限を
0.30%とした。他方、下限を0.003%としたのは現在の
製鋼法ではそれより低い値に低減するのが困難となるか
らである。
sol.Al含有量は、0.001〜0.15%でなければならな
い。sol.Alは溶鋼の脱酸に必要な元素で清浄な鋳片を得
るためには0.001%以上必要である。又、sol.Al含有量
が0.15%より多くなると固溶による硬化量が大きくなり
過ぎるとともに経済的にも不利となるので上限を0.15%
とした。
い。sol.Alは溶鋼の脱酸に必要な元素で清浄な鋳片を得
るためには0.001%以上必要である。又、sol.Al含有量
が0.15%より多くなると固溶による硬化量が大きくなり
過ぎるとともに経済的にも不利となるので上限を0.15%
とした。
N含有量は、0.0070%以下でなければならない。0.00
70%より多く含有すると深絞り性を示すr値が低下し深
絞り性が確保できなくなる。
70%より多く含有すると深絞り性を示すr値が低下し深
絞り性が確保できなくなる。
P含有量は、0.100%以下でなければならない。0.100
%より多く含有すると硬質化し、プレス加工性が劣化す
るため上限を0.100%とした。又、下限を0.001%とした
のは現在の製鋼法ではそれより低い値に低減するのが困
難となるからである。
%より多く含有すると硬質化し、プレス加工性が劣化す
るため上限を0.100%とした。又、下限を0.001%とした
のは現在の製鋼法ではそれより低い値に低減するのが困
難となるからである。
B含有量は、請求項(2)に示す如く、二次加工性を
良好ならしめた打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板を
得るためには0.0002%以上とする必要がある。Bを0.00
02%以上含有せしめることによって、Ti添加極低炭素鋼
の様な二次加工性が低下した冷延鋼板の二次加工性を改
善せしめることができる。尚、B添加量が0.0025%を超
えると硬質化し、プレス加工性が劣化するため上限を0.
0025%とした。
良好ならしめた打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板を
得るためには0.0002%以上とする必要がある。Bを0.00
02%以上含有せしめることによって、Ti添加極低炭素鋼
の様な二次加工性が低下した冷延鋼板の二次加工性を改
善せしめることができる。尚、B添加量が0.0025%を超
えると硬質化し、プレス加工性が劣化するため上限を0.
0025%とした。
Nb含有量は、請求項(3)に示す如く、冷延鋼板の板
面内異方性の少ない打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼
板を得るためには0.005%以上とする必要がある。Nbを
0.005%以上含有せしめることによって、圧延方向に対
し45度方向のr値が向上し、r値の面内異方性を改善せ
しめることができる。なお、Nb添加量が0.025%を超え
ると硬質化し、プレス加工性が劣化するため上限を0.02
5%とした。
面内異方性の少ない打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼
板を得るためには0.005%以上とする必要がある。Nbを
0.005%以上含有せしめることによって、圧延方向に対
し45度方向のr値が向上し、r値の面内異方性を改善せ
しめることができる。なお、Nb添加量が0.025%を超え
ると硬質化し、プレス加工性が劣化するため上限を0.02
5%とした。
又、B及びNbは請求項(4)に示す如く、複合添加に
より、Bを0.0002〜0.0025%、Nbを0.005〜0.025%含有
せしめた場合は二次加工性が良好で且つ、r値の面内異
方性の少ない打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板が得
られる。
より、Bを0.0002〜0.0025%、Nbを0.005〜0.025%含有
せしめた場合は二次加工性が良好で且つ、r値の面内異
方性の少ない打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板が得
られる。
本発明はその製造条件に就いては何ら規制されるもの
ではなく、請求項(1)〜(4)の成分組成を有する冷
延鋼板であれば打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板が
得られ、又、更に二次加工性が良好で、且つ、r値の面
内異方性も少ない冷延鋼板をも得られるが、以下の様な
製造条件で製造することが望ましい。
ではなく、請求項(1)〜(4)の成分組成を有する冷
延鋼板であれば打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板が
得られ、又、更に二次加工性が良好で、且つ、r値の面
内異方性も少ない冷延鋼板をも得られるが、以下の様な
製造条件で製造することが望ましい。
熱間圧延に際し、スラブ加熱温度を1020〜1150℃程度
の低温を選定した場合には更に打ち抜き性が良好な冷延
鋼板となる。スラブ加熱温度として1020〜1150℃程度の
低温を選定すれば硫化物の分散状態が比較的小さく且つ
より均一に分散するようになり、打ち抜き加工性がより
向上し又、微細析出物も無くなるため材質も軟質化しプ
レス加工性のより良好な冷延鋼板となる。
の低温を選定した場合には更に打ち抜き性が良好な冷延
鋼板となる。スラブ加熱温度として1020〜1150℃程度の
低温を選定すれば硫化物の分散状態が比較的小さく且つ
より均一に分散するようになり、打ち抜き加工性がより
向上し又、微細析出物も無くなるため材質も軟質化しプ
レス加工性のより良好な冷延鋼板となる。
又、更により優れた深絞り性を得るためには熱延時の
巻き取り温度を700℃以上と高くすれば良く、打ち抜き
加工性も損なわれない。
巻き取り温度を700℃以上と高くすれば良く、打ち抜き
加工性も損なわれない。
尚、焼鈍法は箱焼鈍でも連続焼鈍法でも良く何れの焼
鈍法のものでも打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板が
得られる。
鈍法のものでも打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板が
得られる。
(実施例) 次に本発明の効果を実施例により説明する。
<実施例−I> 所定の成分の鋼を連続鋳造法で鋳片とし、1100℃に加
熱し、連続熱延し700℃で巻き取った熱延板を75%の冷
延率で0.8mmの冷延板にし、焼鈍温度800℃で連続焼鈍し
た後0.8%の調質圧延を施し、第1表に示す冷延鋼板を
製造した。得られた冷延鋼板の材質および直径26.0mmの
円板打ち抜き加工性の調査結果を第1図に示す。
熱し、連続熱延し700℃で巻き取った熱延板を75%の冷
延率で0.8mmの冷延板にし、焼鈍温度800℃で連続焼鈍し
た後0.8%の調質圧延を施し、第1表に示す冷延鋼板を
製造した。得られた冷延鋼板の材質および直径26.0mmの
円板打ち抜き加工性の調査結果を第1図に示す。
S含有量が0.05%を超え、0.056%のB鋼は、打ち抜
き加工性を示す「かえり」高さが小さく、優れた打ち抜
き加工性が得られている。
き加工性を示す「かえり」高さが小さく、優れた打ち抜
き加工性が得られている。
又、本発明のS含有量の上限近傍のS含有量が0.135
%のD鋼でも本発明が目標とする深絞り性(値≧1.
5)が得られている。
%のD鋼でも本発明が目標とする深絞り性(値≧1.
5)が得られている。
<実施例−II> 所定の成分の鋼を連続鋳造法で鋳片とし、1100℃に加
熱し、連続熱延し710℃で巻き取った熱延板を80%の冷
延率で0.8mmの冷延板にし、焼鈍温度800℃で連続焼鈍し
た後0.8%の調質圧延を施し、第2表に示す冷延鋼板を
製造した。得られた冷延鋼板の材質、直径26.0mmの円板
打ち抜き加工性、二次加工性及びr値の面内異方性の調
査結果を第3表に示す。
熱し、連続熱延し710℃で巻き取った熱延板を80%の冷
延率で0.8mmの冷延板にし、焼鈍温度800℃で連続焼鈍し
た後0.8%の調質圧延を施し、第2表に示す冷延鋼板を
製造した。得られた冷延鋼板の材質、直径26.0mmの円板
打ち抜き加工性、二次加工性及びr値の面内異方性の調
査結果を第3表に示す。
F鋼は、従来法のTi添加極低炭素鋼の比較例で、Sが
0.016%と低く第3表に示す如く打ち抜き加工性を示す
「かえり」高さが0.105mmと悪い。
0.016%と低く第3表に示す如く打ち抜き加工性を示す
「かえり」高さが0.105mmと悪い。
G鋼は、S含有量を0.092%とした請求項(1)の例
である。実施例Iで示した様に打ち抜き加工性が改善さ
れ優れた打ち抜き加工性で且つ、深絞り性も良好であ
る。
である。実施例Iで示した様に打ち抜き加工性が改善さ
れ優れた打ち抜き加工性で且つ、深絞り性も良好であ
る。
H鋼は、B含有量を0.0005%とした請求項(2)の例
である。第3表に示す様にB含有量を0.0005%としたH
鋼は二次加工性割れ限界温度が−60℃とBを含有しない
F鋼、G鋼の−15℃に比べ顕著に改善されている。又、
優れた打ち抜き加工性も確保されている。
である。第3表に示す様にB含有量を0.0005%としたH
鋼は二次加工性割れ限界温度が−60℃とBを含有しない
F鋼、G鋼の−15℃に比べ顕著に改善されている。又、
優れた打ち抜き加工性も確保されている。
一方、I鋼は、B含有量が0.0032%と過剰に含有した
比較例である。第3表に示す様にB含有量が0.0032%と
過剰に含有したI鋼は、Elや値が低下し深絞り性が確
保出来ていない。
比較例である。第3表に示す様にB含有量が0.0032%と
過剰に含有したI鋼は、Elや値が低下し深絞り性が確
保出来ていない。
J鋼は、Nb含有量を0.008%とした請求項(3)の例
である。第3表に示す様にNb含有量を0.008%としたJ
鋼は、r値の面内異方性を表すΔrが0.15とNbを含有し
ないF鋼、G鋼、H鋼及びI鋼の0.45以上に比べ顕著に
改善されている。又、優れた打ち抜き加工性も確保され
ている。
である。第3表に示す様にNb含有量を0.008%としたJ
鋼は、r値の面内異方性を表すΔrが0.15とNbを含有し
ないF鋼、G鋼、H鋼及びI鋼の0.45以上に比べ顕著に
改善されている。又、優れた打ち抜き加工性も確保され
ている。
K鋼は、Nb含有量が0.035%と過剰に含有した比較例
である。第3表に示す様にNb含有量が0.035%と過剰に
含有したK鋼は、Elや値が低下し深絞り性が確保出来
ていない。
である。第3表に示す様にNb含有量が0.035%と過剰に
含有したK鋼は、Elや値が低下し深絞り性が確保出来
ていない。
L鋼は、B含有量を0.0005%且つ、Nb含有量を0.008
%とした請求項(4)の例である。第3表に示す様にB
含有量を0.0005%且つ、Nb含有量を0.008%としたL鋼
は、二次加工性割れ限界温度が−60℃、r値の面内異方
性を表すΔrも0.18と顕著に改善されている。又、優れ
た打ち抜き加工性も、深絞り性も確保されている。
%とした請求項(4)の例である。第3表に示す様にB
含有量を0.0005%且つ、Nb含有量を0.008%としたL鋼
は、二次加工性割れ限界温度が−60℃、r値の面内異方
性を表すΔrも0.18と顕著に改善されている。又、優れ
た打ち抜き加工性も、深絞り性も確保されている。
<実施例−III> 本実施例は製造条件の影響を調査したものである。
所定の成分の鋼を連続鋳造法で鋳片とし、第4表に示
す熱延、冷延、焼鈍条件で冷延鋼板を製造した。得られ
た冷延鋼板の材質及び打ち抜き加工性を第5表に示す。
す熱延、冷延、焼鈍条件で冷延鋼板を製造した。得られ
た冷延鋼板の材質及び打ち抜き加工性を第5表に示す。
A−1鋼は、Sの含有量が0.016%と少ないTi添加極
低炭素鋼で、比較例である。
低炭素鋼で、比較例である。
C−1,C−2,C−3,C−4鋼はいずれもS含有量が0.092
%の鋼で、種々の製造条件で製造した本発明例である。
%の鋼で、種々の製造条件で製造した本発明例である。
C−1鋼は、比較例A−1鋼に比べS含有量のみが0.
092%と高い本発明例で、第5表に示す如く打ち抜き加
工性を示す「かえり」高さが0.049mmと比較例に比べ顕
著に改善されていることがわかる。又、得られた材質
も、第5表に示すように比較例A−1鋼に比べ若干の劣
化が有るものの、優れた深絞り性は確保出来ている。
092%と高い本発明例で、第5表に示す如く打ち抜き加
工性を示す「かえり」高さが0.049mmと比較例に比べ顕
著に改善されていることがわかる。又、得られた材質
も、第5表に示すように比較例A−1鋼に比べ若干の劣
化が有るものの、優れた深絞り性は確保出来ている。
C−2鋼は、C−1鋼に比べ巻き取り温度を730℃高
温巻き取りとし、材質の向上を図った本発明例である。
打ち抜き加工性は第5表に示す様にC−1鋼と同レベル
が得られ、深絞り性は値が1.78から1.96と向上してお
り、本発明鋼は深絞り性を向上させる高温巻き取りによ
る製造法でも製造出来る事が判る。
温巻き取りとし、材質の向上を図った本発明例である。
打ち抜き加工性は第5表に示す様にC−1鋼と同レベル
が得られ、深絞り性は値が1.78から1.96と向上してお
り、本発明鋼は深絞り性を向上させる高温巻き取りによ
る製造法でも製造出来る事が判る。
C−3鋼は、C−1鋼に比べスラブ加熱温度が1060℃
のような低温加熱とし、打ち抜き加工性のより一層の向
上と材質の向上を図った本発明例である。打ち抜き加工
性は第5表に示す様にC−1鋼と比べ一段と向上し、深
絞り性も値が1.78から1.92と向上している。本発明は
その製造条件に於いてスラブ加熱温度を1060℃と低温加
熱を採用する事により、更に、打ち抜き加工性及び材質
が向上することがわかる。
のような低温加熱とし、打ち抜き加工性のより一層の向
上と材質の向上を図った本発明例である。打ち抜き加工
性は第5表に示す様にC−1鋼と比べ一段と向上し、深
絞り性も値が1.78から1.92と向上している。本発明は
その製造条件に於いてスラブ加熱温度を1060℃と低温加
熱を採用する事により、更に、打ち抜き加工性及び材質
が向上することがわかる。
C−4鋼は、箱焼鈍法による本発明例で打ち抜き加工
性及び材質ともに優れ、本発明は箱焼鈍法によっても本
発明の効果が十分に発揮されていることが判る。
性及び材質ともに優れ、本発明は箱焼鈍法によっても本
発明の効果が十分に発揮されていることが判る。
(発明の効果) 以上の実施例に示す様に、本発明の冷延鋼板は打ち抜
き加工性に優れ、且つ、深絞り性にも優れた冷延鋼板で
あり、工業的に価値のある発明である。
き加工性に優れ、且つ、深絞り性にも優れた冷延鋼板で
あり、工業的に価値のある発明である。
第1図はS添加量と打ち抜き加工性並びに深絞り性(
値)の関係を示す図面である。
値)の関係を示す図面である。
Claims (4)
- 【請求項1】C:0.0005〜0.0050%,Si:0.003〜0.30%,M
n:0.05〜1.5%,P:0.001〜0.100%,S:0.050〜0.150%,so
l.Al:0.001〜0.15%,N:0.0070%以下,Ti:0.03〜0.15
%,且つ(Mn+5Ti)/S:5以上、残部不可避的不純物及
び鉄よりなることを特徴とする打ち抜き性の優れた深絞
り用冷延鋼板。 - 【請求項2】請求項(1)記載の成分範囲に、更にBを
0.0002〜0.0025%含有することを特徴とする二次加工性
が良好な打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。 - 【請求項3】請求項(1)記載の成分範囲に、更にNbを
0.005〜0.025%含有することを特徴とするr値の面内異
方性の少ない打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。 - 【請求項4】請求項(1)記載の成分範囲に、更にBを
0.0002〜0.0025%、Nbを0.005〜0.025%含有することを
特徴とする二次加工性が良好で且つ、r値の面内異方性
の少ない打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63055394A JP2668543B2 (ja) | 1988-03-09 | 1988-03-09 | 打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63055394A JP2668543B2 (ja) | 1988-03-09 | 1988-03-09 | 打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01230748A JPH01230748A (ja) | 1989-09-14 |
JP2668543B2 true JP2668543B2 (ja) | 1997-10-27 |
Family
ID=12997305
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63055394A Expired - Lifetime JP2668543B2 (ja) | 1988-03-09 | 1988-03-09 | 打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2668543B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5786319B2 (ja) | 2010-01-22 | 2015-09-30 | Jfeスチール株式会社 | 耐バリ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62267455A (ja) * | 1986-05-15 | 1987-11-20 | Kawasaki Steel Corp | 被削性にすぐれた軟質フエライト系ステンレス鋼 |
JPS634024A (ja) * | 1986-06-23 | 1988-01-09 | Kawasaki Steel Corp | 薄鋳帯からの深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
-
1988
- 1988-03-09 JP JP63055394A patent/JP2668543B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01230748A (ja) | 1989-09-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5047970B2 (ja) | Eoe用dr鋼板およびその製造方法 | |
JP3886933B2 (ja) | プレス成形性,二次加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法 | |
CA2086283C (en) | Low-yield-ratio high-strength hot-rolled steel sheet and method of manufacturing the same | |
TW200403346A (en) | Nonoriented magnetic steel sheet, member for rotary machine and rotary machine | |
WO2010029012A1 (de) | Nichtrostender stahl, aus diesem stahl hergestelltes kaltband und verfahren zur herstellung eines stahlflachprodukts aus diesem stahl | |
KR930003598B1 (ko) | 딥드로잉용 냉연강판 및 제조방법 | |
CN110643894A (zh) | 具有良好的疲劳及扩孔性能的超高强热轧钢板和钢带及其制造方法 | |
JP5094887B2 (ja) | 延性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法 | |
EP0048351A1 (en) | High strength cold rolled steel strip having an excellent deep drawability | |
EP3556895A1 (en) | High-carbon hot-rolled steel sheet having excellent surface quality and manufacturing method therefor | |
JP2668543B2 (ja) | 打ち抜き性の優れた深絞り用冷延鋼板 | |
JP3280692B2 (ja) | 深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JP2980004B2 (ja) | バーリング加工性および打ち抜き加工性に優れた冷延鋼板とその製法 | |
JPH0567684B2 (ja) | ||
JP3379826B2 (ja) | 面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JPH10183253A (ja) | 表面性状及び加工性に優れた冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法 | |
JP2998582B2 (ja) | 深絞り性、打ち抜き加工性に優れた冷延鋼板とその製造方法 | |
JP3324348B2 (ja) | 成形性、切削性および打ち抜き加工性に優れた熱延鋼板とその製法 | |
JP2755014B2 (ja) | 耐2次加工脆性に優れた深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JP6822617B1 (ja) | 缶用鋼板およびその製造方法 | |
JP2906965B2 (ja) | 耐食性に優れた熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP3003495B2 (ja) | 加工性に優れた鋼材およびその製造方法 | |
JP3558745B2 (ja) | 耐二次加工性および表面品質に優れたプレス成形用熱延鋼板およびその製造方法 | |
JPH07157844A (ja) | 加工性に優れた熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP2733423B2 (ja) | 二次加工性および溶接性に優れためっき原板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080704 Year of fee payment: 11 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080704 Year of fee payment: 11 |