JP2668414B2 - エチレン/多環モノマー共重合体およびその製法 - Google Patents

エチレン/多環モノマー共重合体およびその製法

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JP2668414B2 JP25080588A JP25080588A JP2668414B2 JP 2668414 B2 JP2668414 B2 JP 2668414B2 JP 25080588 A JP25080588 A JP 25080588A JP 25080588 A JP25080588 A JP 25080588A JP 2668414 B2 JP2668414 B2 JP 2668414B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、エチレンと多環モノマーとのランダム共重
合体およびその製造方法に関する。
このランダム共重合体は、透明性に優れ、光学的に均
質で複屈折が小さく、しかも、バランスのとれた耐熱
性、耐薬品性、寸法安定性および剛性その他の機械的性
質を有している。
[従来の技術] 透明性に優れた樹脂としては、従来より、ポリスチレ
ン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリ
−4−メチルペンテン−1などが知られている。ポリス
チレンは優れた透明性を有し、寸法安定性も良く、高い
剛性を持っているが、ケトン、エステル、芳香族炭化水
素に侵されやすく、また、耐熱性も低いという問題があ
る。ポリメタクリル酸メチルは非常に透明性に優れた機
械的強度も高いが、耐熱性が低く、ケトン、エステル、
芳香族炭化水素などに侵されやすい。ポリカーボネート
は透明性、耐熱性、寸法安定性、機械的性質には優れる
ものの、アルカリには弱く、また、複屈折が大きいため
光学的異方性が大きいなどの問題がある。ポリ−4−メ
チルペンテン−1は結晶性であるため寸法安定性が悪
く、複屈折が大きいなどの問題がある。
これまで、透明性、光学的性質、耐熱性、耐薬品性、
寸法安定性および機械的性質のバランスを十分に満足し
得る樹脂材料は知られていない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、かかる事情に鑑み、優れた透明性を
有し、しかも光学的に均質で複屈折の小さいことなどの
光学的性質に加えて、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性お
よび機械的性質にも優れた樹脂材料を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明は、その一面において、 (A) エチレンと下記一般式(I): 〔式中、l,m,nは0または1であり、pは0、1または
2であり、R1,R2,R3およびR4は水素原子または炭素数が
多くとも10個のアルキル基であり各々同一または異なっ
ていてもよく、又、R3とR4とは互に環を形成していても
よい。〕 で示される多環モノマーから導かれる繰返し単位を有す
るランダム共重合体であって、 (B) エチレン/一般式(I)で示される多環モノマ
ーのモル比が90/10ないし10/90であり、 (C) 一般式(I)で示される多環モノマーから導か
れる単位が主として下記一般式(II) 〔式中のl,m,n,p,R1,R2,R3およびR4は前述のとおり〕 で示される構造をとり、 (D) 135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕
が0.2ないし15dl/gである、 ランダム共重合体を提供する。
本発明は、他の一面において、炭化水素可溶性パナジ
ウム化合物およびハロゲン含有有機アルミニウム化合物
とから形成される触媒の存在下に炭化水素溶媒中で、エ
チレンと上記一般式(I)で示される多環モノマーを共
重合させて上記ランダム共重合体を製造する方法を提供
する。
本発明のランダム共重合体において、エチレンと共重
合されている一般式(I)で示される多環モノマーは、
主として一般式(II)で示される構造をとっており、下
記一般式(V) 〔式中のl,m,p,R1,R2,R3およびR4は前述のとおり〕 で示される開環重合に起因する構造は実質的に有してい
ないか、たとえ有していても非常に少量である。そのた
め、本発明のランダム共重合体は化学的に安定である。
本発明において、エチレンと共重合される一般式
(I)で示される多環モノマーの代表的な例は、下記一
般式(III): 〔式中、l,nは0または1であり、R1,R2,R3およびR4
水素原子または炭素数が多くとも10個のアルキル基であ
り、各々同一または異なっていてもよく、又、R3とR4
は互に環を形成していてもよい。〕 で示されるペンタシクロ〔10.2.1.15,8.02,11.04,9〕ヘ
キサデカ−6−エン類(PCHD類)であり、該多環モノマ
ーから導かれる単位が主として下記一般式(IV) 〔式中、l,n,R1,R2,R3およびR4は前述のとおり〕 で示される構造をとり、開環重合に起因する構造は実質
的に有していないか、有していても非常に少量である。
一般式(III)で示されるPCHD類は例えば次の反応式
に従って、トリシクロ〔6.2.1.02,7〕ウンデカ−4−エ
ン類(VI)とシクロペンタジエン類(VII)とのディー
ルス・アルダー反応により合成される。
〔式中、l,n,R1,R2,R3およびR4は前述のとおり〕 本方法において、シクロペンタジエン類はモノマーと
して反応系に加えてもよいが、また反応条件下で熱分解
してシクロペンタジエン類(VII)を生成するジシクロ
ペンタジエン類を原料として用いてもよい。
トリシクロ〔6.2.1.02,7〕ウンデカ−4−エン類(V
I)とシクロペンタジエン類(VII)とのモル比は、1:1
〜10:1とすることができる(ジシクロペンタジエン類を
用いた場合は2:1〜20:1)。一般には、この比が増加す
ると、特に定温の場合に、選択率、転化率および収率も
増加するが、比が5:1(ジシクロペンタジエン類を用い
た場合は10:1)を越えると選択率は増加しつづける転化
率および収率は若干低下する。従って、好ましい比率は
2:1〜5:1である(ジシクロペンタジエン類を用いた場合
は4:1〜10:1)。反応温度は100℃および300℃の間の温
度、好ましくは200℃および250℃の間の温度を用いるこ
とができる、反応時間は、反応温度によって変わるが、
いずれの場合も10分〜40時間、好ましくは30分〜30時間
である。これらの反応に際してはハイドロキノン、tert
−ブチルカテコール、p−フェニレンジアミン等の重合
禁止剤を添加して重合体の生成を抑制することも可能で
ある。またこれらの反応をメタノールまたはエタノール
のような低級アルコール、トルエン、シクロヘキサン等
の炭化水素あるいはクロロホルム、四塩化炭素等のハロ
ゲン化炭化水素など反応を阻害しない溶媒中で行なって
もよい。反応を実施するにあたって回分式、反回分式あ
るいは連続式の反応様式のいずれも採用できる。
斯くして製造される物質が式(III)で表わされる構
造を有することは、その1H−NMRおよび13C−NMRスペク
トルにより容易に確認することができる。更にそのマス
スペクトルからも、式(III)の構造であることが裏付
けられる。
本発明において、エチレンと共重合される一般式
(I)で示される多環モノマーの他の例を表1に示す。
表1に示すような多環モノマーは、ペンタシクロ〔6.
6.11,8.110,13.02,7.09,14〕−ヘキサデカ−4−エン類
とシクロペンタジエン類とのディールス・アルダー反応
などによって容易に得られる。
本発明のランダム共重合体において、エチレンから導
かれる単位と一般式(I)で表わされる多環モノマーか
ら導かれる単位との割合は10/90〜90/19(モル比)、好
ましくは20/80〜80/20である。
なお、本発明の目的を損わない範囲で、エチレンと一
般式(I)で表わされる多環モノマーにさらに、他の共
重合可能なモノマーを共重合させてもよい。共重合され
るモノマーの例としては、炭素数3〜10の直鎖状または
分岐状のα−オレフィンおよび炭素数5〜18のシクロオ
レフィンが挙げられる。
α−オレフィンの具体例としてはプロピレン、1−ブ
テン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メ
チル1−ペンテン、1−オクテン、1−デンセンなどが
挙げられる。なかでも炭素数が3ないし6のα−オレフ
ィンが好ましい。
シクロオレフィンの具体例としては、シクロペンテ
ン、シクロヘキセン、ノルボルネン、メチルノルボルエ
ン、エチルノルボンルネン、4,7−メタノ−3a,5,6,7a−
テトラヒドロ−1H−インデンなどが挙げられる。
エチレンと一般式(I)で示される多環モノマー(特
に、一般式(III)で示されるPCHD類)上記α−オレフ
ィンおよび/またはシクロオレフィンからなる共重合体
の場合、共重合体中の各単量体単位の割合は、エチレン
/PCHD類(モル比)が10/90ないし90/10、好ましくは20/
80ないし80/20であり、(α−オレフインおよび/また
はシクロオレフィン〕/PCHD類(モル比)90/10以下、好
ましくは80/20ないし15/85である。
なお、α−オレフィンおよび/またはシクロオレフィ
ンの代りに、または併用して、さらに少量(共重合体
中、一般式(I)で示される多環モノマーの15モル%未
満)の他の共重合可能なモノマーを用いることができ
る。このような共重合可能なモノマーの具体例として
は、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類、
あるいはジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−
ノルボルネン、1,4−ヘキサジエンなどのポリエンを挙
げることができる。
本発明のランダム共重合体はエチレンと一般式(I)
で示される多環モノマーと必要に応じてその他のモノマ
ーとを炭化水素溶媒中で炭化水素可溶性のバナジウム化
合物とハロゲン含有有機アルミニウム化合物よりなる触
媒の存在下で共重合することによって得られる。
この際用いられるバナジウム化合物としては、VCl4,V
Cl3などのハロゲン化バナジウムあるいは一般式VO(O
R)tX3-t〔ここでRは炭素数が多くとも10個のアルキル
基、Xはハロゲン、0≦t≦3である〕で示されるバナ
ジウム化合物が挙げられる。これらの中で好適な化合物
の例としては、 VOCl3,VOBr3, VO(OCH3)Cl2, VO(OCH32Cl, VO(OCH33, VO(OC2H5)Cl2, VO(OC2H51.5Cl1.5, VO(OC2H52Cl, VO(OC2H53, VO(OC3H7)Cl2, VO(OC3H71.5Cl1.5, VO(OC3H72Cl, VO(OC3H73, VO(O・n−C4H9)Cl2, VO(O・n−C4H92Cl, などが挙げられる。これらの化合物は単独でも、または
2種以上の混合物として用いてもよい。
バナジウム化合物と共に使用するハロゲン含有有機ア
ルミニウム化合物は一般式R′uAlX′3-u〔ここでR′
は炭素数が多くとも10個のアルキル基、X′はハロゲ
ン、0<u<3〕で示される。なかでも1≦u≦2の範
囲のものが好ましく用いられる。好適なものの例として
は、ジメチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニ
ウムジクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、
エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニ
ウムジクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロ
ライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、ジイ
ソブチルアルミニウムクロライド、イソブチルアルミニ
ウムジクロライドなどが挙げられる。これらの化合物は
単独でも、または2種以上のジクロライド混合物として
用いてもよい。
バナジウム化合物とハロゲン含有有機アルミニウム化
合物の使用割合はAl/V(モル比)が1〜30、好ましくは
2〜20である。
共重合は、炭化水素溶媒中で実施されるが、炭化水素
溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、
灯油などの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素あるいはシクロヘキサンなど
の脂環族炭化水素が挙げられる。これらは、単独もしく
は混合物として用いることができる。
共重合においては、触媒として用いるバナジウム化合
物の炭化水素溶媒中の濃度は、0.1〜30ミリモル/、
好ましくは0.2〜10ミリモル/である。
エチレンと一般式(I)で示される多環モノマーとの
仕込割合は、共重合体の組成、重合温度あるいは溶媒の
種類によって異なるが、一般には、エチレン/多環モノ
マー(モル比)は1/1〜1/100である。また、エチレンと
一般式(I)で示される多環モノマー(特に、一般式
(III)で示されるPCHD類)とα−オレフィンおよび/
またはシクロオレフィンとを共重合する場合、一般に、
エチレン/PCHD類(モル比)=1/1〜1/100、(α−オレ
フィンおよび/またはシクロオレフィン)/PCHD類(モ
ル比)=10/1以下、好ましくは1/50〜10/1である。
重合濃度は通常−60〜100℃であり、好ましくは−30
〜50℃である。重合圧力は、一般には0〜50kg/cm2であ
り、好ましくは0〜30kg/cm2である。本発明においては
共重合体の分子量調節のために、水素を使用することが
できる。
本発明の共重合体の135℃、デカリン中で測定した極
限粘度〔η〕は0.2〜15dl/gであり、好ましくは0.5〜8d
l/gである。耐熱性、機械的性質および成形加工性のバ
ランスをとるためには、〔η〕が上記範囲にあるのが好
ましい。
本発明の新規ランダム共重合体は通常は非晶性もしく
は低結晶性であるが、優れた透明性を発現するためには
結晶性であるのが好ましい。X線による結晶化度は5%
以下、多くは0%であり、多くのものは示差走査形熱量
計(DSC)で融点が観察されない。また、本発明の共重
合体は、高いガラス転移温度を示し、DSCによるガラス
転移温度は通常80〜230℃、多くのものは、100〜200℃
であり、優れた耐熱性を有する。一般式(I)で示され
る多環モノマーのうちp=1または2である多環モノマ
ーを用いて得られる共重合体は、p=0である多環モノ
マー(すなわち、一般式(III)で示されるPCHD類)を
用いたものと比較して、同一エチレン割合であればガラ
ス転移点が高い。また、エチレンとPCHD類とα−オレフ
ィンおよび/またはシクロオレフィンを共重合したもの
は、エチレンとPCHD類のみの共重合体と比較して、PCHD
類の含量を少なくしても、高いガラス転移点を示すもの
で、単価の高いPCHD類の使用量を少なくすることができ
る。
本発明の新規ランダム共重合体は、一般の合成樹脂に
おいて用いられている圧縮成形法、押出成形法、射出成
形法、中空成形法などの方法により、種々の形成に成形
することができる。この際に必要に応じて光、熱、酸素
およびオゾンに対する安定剤、難燃化剤、可塑剤、滑
剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤、補強剤などの添加剤
を配合することができる。
さらに本発明の新規ランダム共重合体は公知の種々の
重合体と配合して使用することも可能である。これらの
重合体としては、たとえば、エチレン、プロピレン、ブ
チン−1、ヘキセン1、4−メチルペンテン、1などの
α−オレフィン類の単独重合体およびこれらのモノマー
の2種以上から構成される共重合体などのポリオレフィ
ン類、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体、アクロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体などのスチレン系重合体、ポ
リブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン類、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン11、ナイロン12などのポリアミド類、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有重合体、
ポリメチルアクリルレート、ポリメチルメタクリレート
などのポリ(メタ)アクリレート類、ポリカーボネー
ト、ポリアセタールなどが挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明す
る。
実施例 1 ペンタシクロ〔10.2.1.15,8.02,11.04,9〕ヘキサデカ−
6−エン(PCHD)の合成 トリシクロ〔6.2.1.02,7〕ウンデカ−4−エン(4.04
kg,27.2mol)、ジシクロペンタジエン(0.6kg,4.54mo
l)を10オートクレーブに仕込み、窒素置換を行なっ
た後、230℃で10時間、最大圧力2.2kg/cm2で加熱撹拌す
る。反応混合物を減圧蒸留し、沸点107℃/2mmHgの留分
としてペンタシクロ〔10.2.1.15,8.02,11.04,9〕ヘキサ
デカ−6−エンを1.35kg得た。
上記化合物であることは、GC−MASSスペクトル、1H−
NMRおよび13C−NMRによって確認した。
エチレンとPCHDとの共重合 撹拌機、温度計、滴下ロートおよびガス吹込管を備え
た10の四つ口フラスコを充分に窒素置換し、脱水トル
エン5を仕込んだ。ついでPCHD700g、VOCl2(OEt)10
mmolをフラスコに仕込み、滴下ロートにはEt3Al2Cl320m
molを含むトルエン溶液20mlを仕込んだ。ガス吹込管か
ら、エチレン140/hr、窒素400/hrの混合ガスを氷水
によって10℃に冷却したフラスコに15分間通した。滴下
ロートからEt3Al2Cl3を滴下することにより、共重合反
応を開始し、10℃で30分間共重合反応を行なった。共重
合反応中、重合系内は均一であり、共重合体の析出は認
められなかった。メタノール60mlを添加することにより
共重合反応を停止した。重合溶液を大量のメタノール中
に投入することにより、共重合体を析出させ、さらにメ
タノールで洗浄後、50℃で真空乾燥することにより、共
重合体を350g得た。
共重合体のエチレン組成は13C−NMR分析によると、55
モル%であり、135℃デカリン中で測定した極限粘度
〔η〕は1.2dl/gであった。不飽和結合の目安であるヨ
ウ素価は0.6であった。
透明性は、射出成形により作成した直径50mm、厚さ1m
mの円板を用いて、ASTM D1003−52に基づき測定したと
ころ、Haze=8%であった。複屈折は同じ試験片を用い
エリプソメーター法(光源波長830nm)により測定した
ところ、7nmであった。
さらに、パーキンエルマー社7型DSCによって融点Tm
とガラス転移温度Tgとを測定したところ、融解極性は−
30℃〜400℃の範囲で観察されず、Tgは150℃であった。
曲げ弾性率と降伏強度は2mm厚プレスシートを用い、A
STM D790に基づき測定したところ、それぞれ2.0×104k
g/cm2、910kg/cm2であった。
さらに耐薬品性を評価するために、1mm厚プレスシー
トを、室温でアセトン、酢酸エチル、硫酸(98%)、ア
ンモニア水(28%)に20時間浸して、外観の変化を観察
したところ、色、透明性などの変化はなく、変形、クラ
ック発生なども見られなかった。
本共重合体の赤外線吸収スペクトルは、第1図に示す
通りである。
実施例 2〜7 実施例1において共重合条件を表2に記載のように変
える以外は実施例1と同様に光重合反応を行ない、表2,
表3の結果を得た。
実施例 8〜10 実施例1において、PCHDの代わりに表4に示すモノマ
ーを用いた以外は、実施例1と同様に共重合反応を行な
い表2,表3の結果を得た。
実施例 11 エチレンとPCHDとプロピレンとの共重合 撹拌機、温度計、滴下ロートおよびガス吹込管を備え
た10の四つ口フラスコを充分に窒素置換し、脱水トル
エン5を仕込んだ。ついで、実施例1と同様に合成し
たPCHD 500g、VO(OEt)Cl210mmolをフラスコに仕込
み、滴下ロートには、Et3Al2Cl320mmolを仕込んだ。ガ
ス吹込管から、エチレン140/hr、プロピレン180/h
r、窒素1000/hrの混合ガスを氷水によって10℃に冷却
したフラスコに15分間通した。滴下ロートからEt3Al2Cl
3を滴下することにより、共重合反応を開始し、10℃で3
0分間共重合反応を行なった。共重合反応中、重合系内
は均一であり、共重合体の析出は認められなかった。メ
タノール60mlを添加することにより共重合反応を停止し
た。重合溶液を大量のメタノール中に投入することによ
り、共重合体を析出させ、さらにメタノールで洗浄後、
50℃で真空乾燥することにより、共重合体を310g得た。
共重合体中のエチレン組成は13C−NMR分析によると、
45モル%であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘
度〔η〕2.3であった。
実施例1と同様に共重合体の物性を測定したところ、
Haze=8%であり、複屈折は10nmであった。融解曲線は
−30℃から400℃の範囲で観察されず、ガラス転移点Tg
は125℃であった。曲げ弾性率は1.7×104kg/cm2であ
り、降伏強度は800kg/cm2であった。1mm厚プレスシート
を室温でアセトン、酢酸エチル、硫酸(98%)、アンモ
ニア(28%)に20時間浸して、外観の変化を観察したと
ころ、色、透明性などの変化はなく、変形、クラック発
生なども見られなかった。
実施例 12〜21 共重合条件を表5に記載のように変える以外は実施例
11と同様に共重合反応を行ない表5,表6の結果をえた。
実施例 22 エチレンと表1の多環モノマー(a)との共重合 撹拌機、温度計、滴下ロートおよびガス吹込管を備え
た10の四つ口フラスコを充分に窒素置換し、脱水トル
エン5を仕込んだ。ついで、表1の(a)の化合物70
0g、VO(OEt)Cl210mmolをフラスコに仕込み、滴下ロー
トには、Et3Al2Cl320mmolを仕込んだ。ガス吹込管か
ら、エチレン140/hr、窒素1000/hrの混合ガスを氷
水によって10℃に冷却したフラスコに15分間通した。滴
下ロートからEt3Al2Cl3を滴下することにより、共重合
反応を開始し、10℃で3分間共重合反応を行なった。共
重合反応中、重合系内は均一であり、共重合体の析出は
認められなかった。エタノール60mlを添加することによ
り共重合反応を停止した。重合溶液を大量のメタノール
中に投入することにより、共重合体を析出させ、さらに
メタノールで洗浄後、50℃で真空乾燥することにより、
共重合体を225g得た。
共重合体のエチレン組成は13C−NMR分析によると、65
モル%であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度
〔η〕は1.1であった。
実施例1と同様に共重合体の物性を測定したところ、
Haze=10%であり、含屈折は10nmであった。融解曲線は
−30℃から400℃の範囲で観察されず、ガラス転移点Tg
は142℃であった。曲げ弾性率は2.4×104kg/cm2であ
り、降伏強度は890kg/cm2であった。1mm厚プレスシート
を室温でアセトン、酢酸エチル、硫酸(98%)、アンモ
ニア(28%)に20時間浸して、外観の変化を観察したと
ころ、色、透明性などの変化はなく、変形、クラック発
生なども見られなかった。
実施例 23〜28 多環モノマー成分および共重合体条件を表7に記載の
ように変える以外は実施例22と同様に共重合反応を行な
い表7,表8の結果をえた。
〔発明の効果〕 本発明のランダム共重合体は、従来の樹脂材料ではバ
ランスのとれた光学的性質、機械的性質、熱的性質、化
学的性質を示す。すなわち、本発明共重合体は、優れた
透明性を有し、光学的に均質で複屈折が小さく、しかも
耐熱性、耐薬品性、寸法安定性および剛性などの機械的
性質に優れている。
本発明の共重合体は、たとえば、光ディスク、光学繊
維、プラスチックレンズ、光フィルターなどの光学用材
料、建築物や乗物の窓ガラス、注射器、ビーカー、メス
シリンダーなどの医用・化学分野などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1の共重合体の赤外線吸収スペクトル
である。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレンと下記一般式(I) 〔式中、l,m,nは0または1であり、pは0、1または
    2であり、R1,R2,R3およびR4は水素原子または炭素数が
    多くとも10個のアルキル基であり各々同一または異なっ
    ていてもよく、又、R3とR4とは互に環を形成していても
    よい。〕 で示される多環モノマーから導かれる繰返し単位を有す
    るランダム共重合体であって、 (B)エチレン/一般式(I)で示される多環モノマー
    のモル比が90/10ないし10/90であり、 (C)一般式(I)で示される多環モノマーから導かれ
    る単位が主として下記一般式(II) 〔式中、l,m,n,p,R1,R2,R3およびR4は前述のとおり〕で
    示される構造をとり、 (D)135℃のデカリン中で測定した極限粘度(η)が
    0.2ないし15dl/gであるランダム共重合体。
  2. 【請求項2】多環モノマーが下記一般式(III) 〔式中、l,nは0または1であり、R1,R2,R3およびR4
    水素原子または炭素数が多くとも10個のアルキル基であ
    り、各々同一または異なっていてもよく、又、R3とR4
    は互に環を形成していてもよい。〕で示されるペンタシ
    クロ〔10.2.1.15,8.02,11.04,9〕ヘキサデカ6−エン類
    (PCHD類)であり、該多環モノマーから導かれる単位が
    主として下記一般式(IV) 〔式中、l,n,R1,R2,R3およびは前述のとおり〕 で示される構造をとる請求項(1)記載のランダム共重
    合体。
  3. 【請求項3】実質的にエチレンと一般式(III)で示さ
    れるペンタシクロ〔10.2.1.15,8.02,11.04,9〕ヘキサデ
    カ−6−エン類から導かれる繰返し単位のみからなる請
    求項(2)記載のランダム共重合体。
  4. 【請求項4】(A)エチレン、一般式(III)で示され
    る多環モノマー、ならびに、炭素数3〜10のα−オレフ
    ィンおよび炭素数5〜18のシクロオレフィンの中から選
    ばれた少くとも一種のモノマーから導かれる繰返し単位
    からなるランダム共重合体であって、 (B)エチレン/一般式(III)で示される多環モノマ
    ーのモル比が90/10ないし10/90であり、 (C)α−オレフィンおよびシクロオレフィンの中から
    選ばれた少くとも一種のモノマー/一般式(III)で示
    される多環モノマーのモル比が90/10以下であり、 (D)一般式(III)で示される多環モノマーから導か
    れる単位が主として一般式(IV)で示される構造をとる 請求項(2)記載のランダム共重合体。
  5. 【請求項5】(A)炭化水素可溶性バナジウム化合物お
    よびハロゲン含有有機アルミニウム化合物から形成され
    る触媒の存在下に炭化水素溶媒中で (B)エチレンと下記一般式(I) 〔式中、l,m,nは0または1であり、pは0、1または
    2であり、R1,R2,R3およびR4は水素原子または炭素数が
    多くとも10個のアルキル基、シクロアルキル基またはア
    リール基〕 で示される多環モノマーを共重合させて、 (C)エチレン/一般式(I)で示される多環モノマー
    のモル比が90/10ないし10/90であり、 (D)一般式(I)で示される多環モノマーから導かれ
    る単位が主として下記一般式(II) 〔式中のl,m,n,p,R1,R2,R3およびR4は前述のとおり〕 で示される構造をとり、 (E)135℃のデカリン中で測定した極限粘度(η)が
    0.2ないし15dl/gであるランダム共重合体を製造する方
    法。
  6. 【請求項6】多環モノマーとして下記一般式(III) 〔式中、l,nは0または1であり、R1,R2,R3およびR4
    水素原子または炭素数が多くとも10個のアルキル基であ
    り、各々同一または異なっていてもよく、又、R3とR4
    は互に環を形成していてもよい。〕 で示されるペンタシクロ〔10.2.1.15,8.02,11.04,9〕ヘ
    キサデカ−6−エン類(PCHD類)を用いて共重合し、該
    多環モノマーから導かれる単位が主として下記一般式
    (IV) 〔式中、l,n,R1,R2,R3およびR4は前述のとおり〕 で示される構造をとる共重合体を得る請求項(5)記載
    のランダム共重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】実質的にエチレンと一般式(III)で示さ
    れるペンタシクロ〔10.2.1.15,8.02,11.04,9〕ヘキサデ
    カ−6−エン類が導かれる繰返し単位のみからなる単量
    体混合物を共重合させる請求項(6)記載のランダム共
    重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】(A)エチレン、一般式(III)で示され
    る多環モノマー、ならびに、炭素数3〜10のα−オレフ
    ィンおよび炭素数5〜18のシクロオレフィンの中から選
    ばれた少くとも一種のモノマーを共重合させて、 (B)エチレン/一般式(III)で示される多環モノマ
    ーのモル比が90/10ないし10/90であり、 (C)α−オレフィンおよびシクロオレフィンの中から
    選ばれた少くとも一種のモノマー/一般式(III)で示
    される多環モノマーのモル比が90/10以下であり、 (D)一般式(III)で示される多環モノマーから導か
    れる単位が主として一般式(IV)で示される構造をとる
    共重合体を得る、 請求項(6)記載のランダム共重合体の製造方法。
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