JP2666911B2 - ニッケル基超合金及びその製法 - Google Patents

ニッケル基超合金及びその製法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は航空機のガスタービンエンジン、特に増大す
る性能と効率を求めて高温で作動する最新ガスタービン
エンジン内で回転するタービンブレードを支持するター
ビンディスク用材料に関する。
発明の背景 ガスタービンエンジン内で回転するタービンブレード
を支えるために使用されるタービンディスクは、その中
心部すなわちハブ部から外縁部すなわちリム部へと半径
方向に沿って異なる作動条件に遭遇する。ディスクのタ
ービンブレードと外縁部は、タービンディスクを回転さ
せる燃焼ガスにさらされる。その結果、ディスクの外縁
部すなわちリム部はハブ部すなわちボア部より高い温度
にさらされる。また、応力条件もディスクの面全体で変
化する。最近に至るまで、ディスク全体で変化する応力
および温度条件を満たすことができる単一合金ディスク
を設計することは可能であった。しかし、現代のガスタ
ービンにおいてはエンジン効率が増大したことや、エン
ジンの性能の改良に関する要請のため、今までこれらの
エンジンはさらに高い温度で作動することが要求されて
いる。その結果、これらの最新型エンジンのタービンデ
ィスクは以前のエンジンよりも高い温度にさらされるた
め、ディスク用途に使用する合金に課せられる要求はさ
らに大きくなっている。外縁部すなわちリム部の温度は
1500゜F以上にもなり得るのに、ボア部すなわちハブ部の
温度は通常それより低く、たとえば1000゜F程度である。
ディスク全体に亘るこの温度勾配の問題に加えて応力
の変化という問題もある。すなわち、厚みの均一なディ
スクの場合、温度の低いハブ部の方が応力が高くなり、
高温のリム部の方が応力が低くなる。このようにディス
ク全体で作動条件が異なるため、ディスクの異なる領域
で異なる機械的性質が求められるのである。最新型のタ
ービンエンジンで最高の作動条件を達成するためには、
高温クリープおよび応力破断耐性を有すると共に、リム
部では高温保持時間疲れ亀裂成長耐性を、かつハブ部で
は高い引張強さと低サイクル疲れ亀裂成長耐性を有する
ディスク合金を利用するのが望ましい。
最近のタービンディスク設計方法論では、通常、従来
からサイズおよび寿命分析用に用いられている引張、ク
リープおよび応力による破断特性と共に、疲れ特性が使
用されている。多くの場合、これらの分析用に疲れ挙動
を定量化する最も適切な手段は、線形弾性破壊力学
(「LEFM」)によって記述される亀裂成長速度を決定す
ることである。LEFMによると、サイクル毎の疲れ亀裂伝
播速度(da/dN)は、温度の影響を受けると思われKmax
−Kminと定義される応力強さ範囲ΔKによって記述する
ことができる関数である。ΔKは、亀裂の先端における
応力場の大きさを定義するのに目盛り係数として使用さ
れ、一般に、ΔK=f(能力、亀裂長、幾何学的形状)
として与えられる。
上記の疲れ分析方法論を複雑にしているのは、最新型
ディスクのリムの温度範囲内で引張保持力をかけること
である。典型的なエンジンの一回の使命(運転)の間、
タービンディスクは、ロータスピードの比較的頻繁な変
化、クルーブスピードの変化とコータスピードの変化の
組合せ、およびクルーズコンポーネントの大きなセグメ
ントという条件にさらされる。クルーズ状態の間応力は
比較的一定であって、「保持時間」サイクルといわれる
状態になる。最新型タービンディスクのリム部において
保持時間サイクルは高温で発生し得、そのような温度で
は環境、クリープおよび疲れが相乗的に組合って、存在
する傷からの亀裂の急速な進展が促進され得る。したが
って、これらの条件下での亀裂成長に対する耐性は、最
新型タービンディスクのリム部に適用するために選択さ
れる座にとって極めて重要な性質である。
改良型ディスクでは、高い引張、クリープおよび応力
−破断強さと共に遅くて安定した亀裂成長速度を示す材
料を開発して使用することが望まれるようになって来て
いる。航空機ガスタービン分野における進歩にとっては
必須である引張、クリープ、応力−破断および疲れ亀裂
成長耐性の改良と適当なバランスを両方とも示す新しい
ニッケル基超合金材料の開発は大きな課題となってい
る。この問題の原因は、望ましいミクロ組織、強化メカ
ニズム、および組成上の特徴の間の競合である。このよ
うな競合の典型例は次のようなものである。
(1)引張強さを改良するには、通常、細かい結晶粒
度、たとえばASTMが約10より小さい粒度が望ましいが、
クリープ/応力−破断および亀裂成長耐性はそうではな
い。(2)一定の条件下では疲れ亀裂成長耐性の改良に
とって小さい剪断可能な析出物が望ましいが、高い引張
強さに対しては剪断耐性の析出物が望ましい。(3)良
好な安定性、クリープ−破断耐性、およびおそらく良好
な疲れ亀裂成長耐性にとっては、通常、高い析出物−マ
トリックスコヒーレンシ−歪みが望ましい。(4)W、
TaまたはNbなどのような耐火元素は豊富に使用すると強
度を大幅に改善することができるが、合金の密度が望ま
しくないほど増大するのを避けると共に合金が不安定に
なるのを避けるには適度の量で使用しなければならな
い。(5)秩序化されたγ′相を低容積分率で有する合
金と比較して、この秩序化されたγ′相を高容積分率で
有する合金は、一般に増大したクリープ/破断強さおよ
び保持時間耐性をもっているが、同時に焼入れ割れの起
こる危険性が増大すると共に低温引張強さは限定され
る。
魅力のある機械的性質を示す組成物が実験室規模の研
究で確認された後、この技術を大きな実物大生産ハード
ウェアに首尾よく移行して、たとえば直径が25インチま
で(ただしこれに限られない)のタービンディスクを生
産する際にも大きな問題がある。これらの問題は冶金業
界では周知のことである。
Ni基超合金タービンディスクの実物大生産に伴う主要
な問題は、溶体化温度からの急冷の間に亀裂が発生する
という問題である。これは、焼入れ割れといわれること
が最も多い。溶体化温度から急冷することは、ディスク
用途、特にボア部に要求される強度を得るために必要で
ある。しかし、このディスクボア部はまた、リム部と比
べるとその厚さが厚くて熱応力が増大しているため、焼
入れ割れを最も起こし易い領域でもある。デュアル合金
タービンディスク中のタービンディスク用合金は焼入れ
割れに対して抵抗性であるのが望ましい。
比較的低い温度で作動するガスタービンエンジンでデ
ィスクとして使用する目的を有する現状の超合金の多く
は、そのような温度で疲れ亀裂伝播、強度、クリープお
よび応力破断寿命に対する高い抵抗性の満足な組合せを
達成するために開発されたものである。そのような超合
金の一例が、1986年9月15日に出願され本出願の譲受人
に譲渡されている米国特許出願第06/907,276号に記載さ
れている。そのような超合金は比較的低い温度で作動
し、最新型のエンジンの作動条件より要求される作動条
件がより緩いロータディスクとしては許容できるが、よ
り高い作動温度と最新型のガスタービンの応力レベルで
ロータディスクのハブ部に使用する超合金は、望ましく
は、より低い密度、異なる結晶粒界相をもつミクロ組
織、ならびに改良された結晶粒度の均一性を有するべき
である。また、そのような超合金は、低めの温度と高め
の応力で作動するガスタービンエンジンのロータディス
クのハブ部で見られる苛酷な条件に耐えることができる
超合金と接合できるものであるべきである。さらにま
た、そのような超合金から、低めの温度および/または
応力で作動するエンジンの完全なロータディスクが製造
されるのが望ましい。
本明細書中で使用する降伏強さ(「Y.S.」)は、ASTM
のE8規格[1984年ASTM規格年間(Annual Book of ASTM
Standards)第03.01巻、第130〜150頁の「金属材料の標
準引張試験法(Standard Methods of Tension Testing
of Metallic Materials)」]または同等の方法およびE
21に従って試験される引張試験片に0.2%の塑性歪みを
生ずるのに必要な応力に相当する0.2%オフセット降伏
強さのことである。単位「ksi」は、1平方インチ当た
り1,000ポンドに等しい応力を表わす。
「残部が本質的にニッケルからなる」という表現は、
合金の残部中に、ニッケルに加えて、性質および/また
は量の点でその合金の有利な面に悪影響を及ぼさない不
純物および不可避元素も少量含む場合も含めて使われ
る。
発明の概要 本発明のひとつの目的は、ガスタービンエンジン用の
ユニタリタービンディスクに使用するのに充分な引張、
クリープおよび応力破断強さ、保持時間疲れ亀裂耐性な
らびに低サイクル疲れ耐性をもつ超合金を提供すること
である。
本発明のもうひとつの目的は、最新型ガスタービンエ
ンジンのデュアル合金タービンディスクのリム部用の合
金として使用するのに充分な低サイクル疲れ耐性、保持
時間疲れ亀裂耐性ならびに充分な引張、クリープおよび
応力破断強さを有し、しかも約1500゜Fもの温度で作動す
ることができる超合金を提供することである。
以上の目的に従って本発明は、コバルトが約10.7%〜
約19.2%、クロムが約10.8%〜約14.0%、モリブデンが
約3.3%〜約5.8%、アルミニウムが約1.9%〜約4.7%、
チタンが約3.3〜約5.6%、ニオブが約0.9〜約2.7%、ホ
ウ素が約0.005%〜約0.042%、炭素が約0.010%〜約0.0
62%、ジルコニウムが0〜約0.062%、任意成分として
ハフニウムが約0.32%まで、および残部が本質的にニッ
ケルからなる重量組成を有する合金を提供することによ
って達成される。本発明の組成範囲の元素によると、約
1500゜Fまでの温度で高まった保持時間疲れ亀裂成長速度
耐性、応力破断耐性およびクリープ耐性によって特徴付
けられる超合金が得られる。
本発明の合金を製造するには各種の方法が使用でき
る。しかし、高品質の合金粉末は、本発明の組成のイン
ゴットを真空誘導溶融した後その液体金属を不活性ガス
雰囲気中でアトマイズして粉末を生成させる工程を含む
方法によって製造するのが好ましい。次に、そのような
粉末(粒径は約106ミクロンすなわち0.0041インチ以下
が好ましい)をステンレススチール製の缶に真空中で装
填し、締固めおよび押出プロセスによって密封または圧
密化して2つの相(すなわちγマトリックスとγ′折出
物)を有するビレットを得る。
好ましいことに、このビレットをソルバス温度より低
い任意の適切な高温で等温型鍛造法を用いて鍛造してプ
レフォームとすることができる。
本発明の合金組成物の好ましい熱処理は、γ′ソルバ
ス温度よりは高いが、実質的な初期融解が起こる点より
は低い温度で合金を溶体化処理することを必要とする。
すべてのγ′がγマトリックス中に完全に溶解できるく
らい充分な時間、この温度範囲内に合金を保つ。次に、
この溶体化温度から、焼入れ割れを防ぎなどから所望の
性質を得るのに適した速度で冷却した後、1500゜Fで使用
できる程の安定性を維持するのに適した時効処理をす
る。あるいは、この合金をまず機械加工して物にした
後、この物に対して上記の熱処理を施すこともできる。
これらの合金を上記のように処理すると、通常、平均
結晶粒度が約20〜約40ミクロンで、いくつかの粒子が約
90ミクロン程度の大きさをもつミクロ組織が得られる。
その結晶粒径はγ′の炭化物粒子とホウ化物粒子で装飾
されていることが多い。粒子内γ′のサイズは約0.3〜
0.4ミクロンである。また、これらの合金は通常、粒子
全体に亘り均一に分布しているサイズが約30nmの細かく
熟成したγ′も含んでいる。
上記のようにして本発明の合金から製造される物品
は、約1500゜Fまでの高温で応力破断およびクリープに対
して抵抗性である。また、本発明の合金から上記のよう
にして製造される物品は、市販のディスク用超合金と比
べて、1200゜Fで約15倍、また1400゜Fではそれよりさらに
改良された保持時間疲れ亀裂成長(「FCG」)速度も示
す。
本発明の合金は各種の粉末冶金プロセスで加工するこ
とができ、ガスタービンエンジンで使用される物品、た
とえば、通常の温度およびボア応力で作動するガスター
ビンエンジン用のタービンディスクを作成するのに使用
できる。なお、本発明の合金は、最新型ガスタービンエ
ンジン用のデュアル合金ディスクのリム部に使用するの
に特に適している。
発明の詳細な説明 本発明に従って、良好なクリープおよび応力破断耐
性、高温での良好な引張強さ、ならびに良好な疲れ亀裂
耐性を有する超合金が提供される。本発明の超合金は金
属粉末の締固めおよび押出によって加工することができ
るが、他に通常の粉末冶金プロセス、鍛練加工、鋳造、
または鍛造などの加工法も使用できる。
また本発明は、超合金を加工して、タービンエンジン
ディスク用途で、特に約1500゜F程度の高温で作動するこ
とができる最新型タービンエンジンディスクのリムとし
て使用される秀れた性質を組合せてもつ材料を製造する
方法も包含する。関連の米国特許出願第417,096号で論
じられているように、タービンエンジンディスクのリム
として使用する場合、このリムはハブと接合しなければ
ならない。このハブは関連の米国特許出願第417,097号
の主題であり、接合は関連の米国特許出願第417,095号
の主題である。したがって、重要なことは、ハブとリム
に使われる合金が、(1)化学組成(たとえば、ハブと
リムの界面で有害な相が形成されないこと)、(2)熱
膨張係数、そして(3)動的モジュラスの値、の点で適
合性でなければならないということである。また、ハブ
とリムに使用する合金がそれぞれの特徴的な性質は維持
したまま同じ熱処理を受けることが可能であるというこ
とも望ましい。本発明の合金は、関連の米国特許出願第
417,097号のハブ用合金と組合せたとき、上記の要件を
満足する。
超合金に対しても最も要求のきつい性質のいくつか
が、ガスタービンの構築と関連して必要とされるもので
あることは公知である。必要とされる性質のうち、エン
ジンの可動部品に対して要求される性質の方が静止部品
に対して要求される性質よりきついのが普通である。
リム合金の引張特性はハブ合金ほど臨界的な重要性は
ないが、本発明の合金を単一合金ディスクとして使用す
るには許容できる程度の引張特性が要求される。なぜな
らば、単一合金はディスク全体に亘って変化する作動条
件に合うようにディスク全体で満足な機械的性質をもっ
ていなければならないからである。
中〜高容積分率のγ′を有するニッケル基超合金のク
リープおよび亀裂成長に対する抵抗性は、低容積分率の
γ′を有する同様な超合金より高い。γ′含有率を高め
るには、アルミニウム、チタン、ニオブなどのような
γ′形成性元素の相対量を増加することができる。ニオ
ブは超合金の焼入れ割れ耐性に有害な影響を及ぼすの
で、強度を増大するためにニオブを使用するには、焼入
れ割れ耐性に悪影響が出ないように注意深く調節しなけ
ればならない。また、本発明の超合金中の中〜高容積分
率のγ′は、このγ′がアルミニウムおよびチタンなど
のように密度の低い合金を多めに含んでいることから、
この合金の多少低めの密度にも寄与している。高密度の
合金は、軽量化が重要な問題である航空機のエンジンに
使用するのは望ましくない。本発明の合金SR3およびNM4
の密度は、それぞれ、1立方インチ当たり約0.294ポン
ドおよび約0.288ポンドである。本発明の合金のγ′の
容積分率は約34%と約68%の間と計算される。合金SR3
中のγ′の容積分率は約49%で、合金KM4中のγ′の容
積分率は約54%となる。モリブデン、コバルトおよびク
ロムもまた、改良されたクリープ挙動と耐酸化性を促進
すると共にγ′析出物を安定化させるために使用され
る。
本発明の合金の保持時間疲れ亀裂伝播に対する抵抗性
は、ガスタービンディスクに使用されており当業者には
よく知られている市販のディスク超合金より約15倍も高
い。この従来の超合金は、クロムが約13%、コバルトが
約8%、モリブブンが約3.5%、タングステンが約3.5
%、アルミニウムが約3.5%、チタンが約2.5%、ニオブ
が約3.5%、ジルコニウムが約0.03%、炭素が約0.03
%、ホウ素が約0.015%であり、残部が本質的にニッケ
ルからなる公称組成を有する。また本発明の合金は、こ
の従来の超合金と比べると、高温でのクリープおよび応
力破断挙動も大きく改善されている。
本発明のクリープおよび応力破断特性は、ラーソン
(Larson)とミラー(Miller)により提案されたように
して説明される[1952年のアメリカ機械技師協会誌(Tr
ansactions of the A.S.M.E.)第74巻、第765〜771頁参
照]。このラーソン−ミラー(Larson−Miller)法で
は、クリープおよび応力破断のグラフとして、縦座標に
応力(ksi)を、横座標に下記ラーソン−ミラーパラメ
ーター(「LMP」)をプロットする。このLMPは、次式を
用いて実験データから得られる。
LMP=(T+460)× [25+log(t)]×10-3 ただし、 LMP=ラーソン−ミラー(Larson−Mill er)パラメーター T =温度(゜F) t =破断に至るまでの時間(時間) である。この式に設計応力と設計温度を当てはめると、
グラフから、または数理的に、これらの条件下の設計応
力破断寿命を計算することが可能である。本発明の合金
のクリープおよび応力破断強さを第1図に示す。これら
のクリープおよび応力−破断特性は、前述した市販のデ
ィスク超合金と比べて、60ksiで約195゜Fだけ、そして80
ksiでは約88゜Fだけ改良されている。
亀裂の成長速度すなわち伝播速度は負荷応力(σ)お
よび亀裂長(a)の関数である。これら2つのファクタ
ーが結びついて、応力強さKといわれるパラメーターを
構成する。このパラメーターは負荷応力と亀裂長の平方
根との積に比例する。疲れ条件下で、一回の疲れサイク
ルにおける応力強さは、繰返し応力強さの最大の変化Δ
K、すなわち最大のKと最小のKとの間の差を表わす。
適度な温度における亀裂成長は、静的破壊靱性KICに到
達するまで、主として繰返し応力強さΔKによって決定
される。亀裂成長速度は、数学的に次式で表わされる。
da/dN∝(ΔK)n ただし、N=サイクルの数、 n=定数(2≦n≦4)、 K=繰返し応力強さ、 a=亀裂長。
繰返し頻度および温度は亀裂成長速度を決定する重要な
パラメーターである。当業者の認識によると、高温での
所与の繰返し応力強さに対して、繰返し頻度が遅い方が
疲れ亀裂成長速度は速くなる可能性がある。この疲れ亀
裂伝播の時間に依存する望ましくない挙動は、現存する
ほとんどの高強度超合金において温度で起こる可能性が
ある。
最も望ましくない時間依存性の亀裂成長挙動は、サイ
クル中ピークの応力で保持時間が課せられると起こると
判明した。試験用のサンプルは一定のサイクルパターン
で応力をかけることができるが、サンプルに最大の応力
がかかっているときこの応力を保持時間といわれる時間
の間一定に保つ。この保持時間が完了したら、応力の繰
り返し負荷を再開する。この保持時間パターンによる
と、このサイクルパターン中応力が最大に達する毎に指
定された保持時間の間その応力が保持される。この応力
負荷の保持時間パターンは亀裂成長を研究するための独
立した基準であり、低サイクル疲れ寿命の指標である。
このタイプの保持時間パターンは、アメリカ航空宇宙局
(National Aeronautics and Space Administration)
との契約の下に実施された研究NASA CR−165123に基づ
いて、1980年8月にタウルズ(B.Towles)、ワレン(J.
R.Warren)およびハウヘ(F.K.Hauhe)により、「航空
機タービンディスク合金の繰返し挙動の評価(Evaluati
on of the Cyclic Behavior of Aircraft Turbine Disk
Alloys)」第II部と題する最終レポートに記載されて
いる。
低サイクル疲れ寿命は、設計上の習慣に応じて、ガス
タービンエンジンの部品のうちで回転運動や類似の周期
的または繰返し高応力にさらされる部品に対する制限的
要因と考えることができる。もし鋭い亀裂様の傷が最初
からあったと仮定すると、疲れ亀裂成長速度がタービン
ディスクの繰返し寿命に対する制限的要因である。
低温での疲れ亀裂伝播が、このような構造体の部品お
よび部材に繰返して加えられる応力の強さにほぼ全面的
に依存することはすでに確かめられている。高温での亀
裂成長速度は、かけられた繰返し応力強さの範囲ΔKの
関数として単純に決定することはできない。むしろ、疲
れ頻度も伝播速度に影響に与えることができる。前記の
NASAの研究によって立証されたように、繰返し頻度が遅
ければ遅いほど、負荷応力サイクル毎の亀裂成長はそれ
だけ速くなる。また、その疲れサイクルの間に保持時間
が課せられると亀裂伝播速度が速くなることも観察され
ている。時間依存性とは、疲れ頻度と保持時間が重要な
パラメーターとなる上記のごとき高温時亀裂挙動に適用
される用語である。
90秒の保持時間と20cpm試験で使用するのと同じ繰返
し負荷速度(1.5秒)とを使用して本発明の合金の疲れ
亀裂成長耐性を試験すると示されるように、すでに述べ
た市販のディスク用超合金と比べて1200゜Fでは30倍も改
善され、また1400゜Fではさらに大きく改善されている。
UTSおよびYSによって測定されるニッケル基超合金の
引張強さは、回転するディスクの中央部における応力レ
ベルに適合できるものでなければならない。本発明の合
金の引張特性は上述した市販のディスク用超合金より低
いというものの、その引張強さは、最新型ガスタービン
エンジンのリムで遭遇する応力レベル、およびそれより
低い温度で作動するガスタービンエンジンのディスクの
径全体に亘って経験する応力レベルに耐えられるほど適
切である。
本発明の性質とミクロ組織を達成するにはその超合金
の加工・処理が重要である。金属粉末は製造後締固めお
よび押出法を使用して加工してから熱処理を施したが、
本明細書中で規定した組成、結晶粒度およびミクロ組織
を生成できる方法およびそれと組合せられる熱処理のい
かなるものを使用してもよいことが当業者には理解でき
るであろう。
溶体化処理は、γ′がγマトリックスに溶解する温度
より高くて、合金の初期融解温度より低い任意の温度で
実施できる。γ′がγマトリックス中に最初に溶解し始
める温度はγ′ソルバス温度といわれ、そのγ′ソルバ
ス温度と初期融解温度との間の温度範囲はスーパーソル
バス温度範囲といわれる。このスーパーソルバス温度範
囲は超合金の実際の組成に依存して変化する。本発明の
超合金は約2110゜Fから約2190゜Fまでの範囲で約1時間溶
体化処理した。この溶体化処理の後、約1500゜Fから約15
50゜Fまでの温度で約4時間時効処理した。
実施例1 真空誘導溶融と鋳造法によって、次の組成を有するイ
ンゴット25ポンドを製造した。
次に上記組成のインゴットをアルゴンガス雰囲気中で
溶融し、その液体金属をアルゴンガスを用いてアトマイ
ズすることによって粉末を製造した。その後、この粉末
をふるいにかけて150メッシュより粗い粉末を除いた。
この得られた分級粉末は−150メッシュ粉末ともいう。
次に、この−150メッシュ粉末を圧密化用の缶に移
し、γ′ソルバスよりほぼ150゜F低い温度で型締固め法
を用いて初期高密度化を実施した後、γ′ソルバスより
ほぼ100゜F低い温度で押出圧下率を7:1として押出して充
分に密な押出物を得た。
この押出物を次にγ′ソルバス温度より高いほぼ2140
゜Fからほぼ2160゜Fまでの範囲の温度で約1時間溶体化処
理した。このスーパーソルバス溶体化処理によってγ′
相は完全に溶解して良好に焼きなまされた組織が形成さ
れる。またこの溶体化処理によって、細粒ビレット組織
の再結晶化・粗大化も起こり、後の加工処理の間のγ′
の再析出が制御できるようになる。
次に、この溶体化処理した押出物を、制御した焼入れ
によって、溶体化処理温度から急冷した。この焼入れ
は、γ′を組織全体に亘って均一に分布させながら焼入
れ割れは生じないようにできるだけ速い速度で実施する
べきである。実際には、冷却速度が約250゜F/分の制御
ファンによるヘリウム焼入れを利用した。
急冷後、ほぼ1500゜Fからほぼ1550゜Fまでの温度範囲で
約4時間の時効処理を利用して合金を処理した。合金SR
3の場合この処理の好ましい温度範囲は1515゜Fからほぼ1
535゜Fまでである。この時効処理は、追加のγ′の均一
な分布を促進し、約1500゜Fの運転用に設計された合金に
適している。
ここで、約2〜4図を参照すると、これらの図には完
全な熱処理後の合金SR3のミクロ組織的特徴が示されて
いる。第2図の合金SR3のミクロ組織の顕微鏡写真は、
結晶粒子の中には約90ミクロンほどの大きいものもいく
つかあるが、平均の粒度は約20〜約40ミクロンであるこ
とを示している。第3図に示されているように、冷却の
間早期に核生成し、その後粗大化した形状の不規則な粒
子内γ′が粒子全体に亘って分布している。このγ′は
炭化物粒子およびホウ化物粒子と共に結晶粒界に局在し
ている。このγ′は約0.40ミクロンで第3図と第4図で
観察できる。この均一に分布している細かい粒子の
γ′、すなわち1525゜Fでの時効処理の間に形成された二
次的なγ′は大きさが約30ナノメートルであり第4図で
大きい粒子内γ′の中に分布した小さい白色粒子として
観察できる。合金SR3に対して行なった時効処理の温度
は、低めの温度で作動するボア合金に対して現在使用さ
れている約1400゜F/8時間という典型的な時効処理の場合
の温度と比較して高く、そのため生成する二次γ′は多
少大きい。
第5図に合金SR3のUTSとYSを示す。これらの強さは前
述した市販のディスク用超合金よりも低いが、低めの温
度・応力で作動するガスタービンエンジン用ディスク、
およびデュアル合金ディスクのリム合金として使用する
ディスクの強度要件は充分に満たしている。
第6図は、繰返し負荷速度を1.5秒、保持時間を90秒
として1200゜Fで測定した合金SR3の保持時間疲れ亀裂成
長挙動を、前述の市販ディスク超合金と比較して示すグ
ラフである。また第7図は、繰返し負荷速度を1.5秒、
保持時間を90秒として1400゜Fで測定した合金SR3および
合金KM4の保持時間疲れ亀裂成長挙動を示すグラフであ
る。本発明の合金の保持時間疲れ亀裂成長挙動は前述の
市販ディスク超合金より大幅に改善されており、たとえ
ば1200゜Fでは約30倍、また1400゜Fではそれ以上の大幅な
改良が達成されている。
第1図は、合金SR3のクリープおよび応力破断強さの
グラフである。合金SR3のクリープおよび応力破断強さ
は基準の市販ディスク超合金のクリープおよび応力破断
強さより秀れており、たとえば80ksiで約73°、60ksiで
約170°の改良である。
合金SR3を最新型タービンのリムとして使用するとき
にはハブ合金と組合せなければならない。これらの合金
は適合可能な熱膨張能をもっていなければならない。ま
た、合金SR3を単一合金ディスクとしてタービン内で使
用する場合、熱膨張は、高温で使用したとき隣接部材と
の干渉が起こらないようなものてなければならない。合
金SR3の熱膨張挙動を表IIに示す。関連する米国特許出
願第417,097号に記載されているハブ合金(その一例が
ルネ(Rene′)95である)と適合可能であることが分か
るであろう。
実施例2 真空誘導溶融と鋳造法によって、次の組成を有するイ
ンゴット25ポンドを製造した。
次に上記組成のインゴットをアルゴンガス雰囲気中で
溶融し、その液体金属をアルゴンガスを用いてアトマイ
ズすることによって粉末を製造した。その後、この粉末
をふるいにかけて150メッシュより粗い粉末を除いた。
こうして得られた分級粉末は−150メッシュ粉末ともい
う。
次に、この−150メッシュ粉末を圧密化用の缶に移
し、γ′ソルバスよりほぼ150゜F低い温度で型締固め法
を用いて初期高密度化を実施した後、γ′ソルバスより
ほぼ100゜F低い温度で押出圧下率を7:1として押出して充
分に密な押出物を得た。
この押出物を次にγ′ソルバス温度より高いほぼ2140
゜Fからほぼ2160゜Fまでの範囲の温度で約1時間溶体化処
理した。このスーパーソルバス溶体化処理によってγ′
相は完全に溶解して良好に焼きなまされた組織が形成さ
れる。またこの溶体化処理によって、細粒ビレット組織
の再結晶化と粗大化も起こり、後の加工処理の間のγ′
の再析出が制御できるようになる。
次に、この溶体化処理した押出物を、制御した焼入れ
を使用して、溶体化処理温度から急冷した。この焼入れ
は、γ′を組織全体に亘って均一に分配させるのに充分
な速度で実施しなければならない。実際には、冷却速度
が約250゜F/分の制御ファンによるヘリウム焼入れを利
用した。
急冷後、ほぼ1500゜Fからほぼ1550゜Fまでの温度範囲で
約4時間の時効処理を利用して合金を処理した。合金KM
4の場合この処理の好ましい温度範囲は1515゜Fからほぼ1
535゜Fまでである。この時効処理は、追加のγ′の均一
な分配を促進し、約1500゜Fの運転用に設計された合金に
適している。
ここで、第8〜10図を参照すると、これらの図には完
全な熱処理後の合金KM4のミクロ組織的特徴が示されて
いる。第8図の合金KM4のミクロ組織の顕微鏡写真が示
しているように、ほとんどの結晶粒子の平均粒度は約20
〜約40ミクロンであるが、いくつかの結晶粒子は約90ミ
クロンもの大きさをもつ。第9図は、冷却の間の早期に
核生成し、その後粗大化して残存している立方体に近い
形状のγ′が粒子全体に亘って分布していることを示し
ている。このタイプのγ′は炭化物粒子およびホウ化物
粒子と共に結晶粒界に局在している。この冷却の際に形
成したγ′は約0.3ミクロンで第9図と第10図で観察で
きる。この均一に分布している細かい粒子のγ′、すな
わち1525゜Fでの時効処理の間に形成された二次的なγ′
は大きさが約30ナノメートルであり第10図で大きい一次
γ′の中に分布した小さい白色粒子として観察できる。
この時効処理の高めの温度によって、約1400゜Fでの標準
的な時効処理の場合より多少大きめの二次γ′が生成
し、それに応じて高めの温度でミクロ組織が安定化す
る。
第5図に合金KM4のUTSとYSを示す。これらの強さは基
準の市販ディスク超合金よりも低いが、低めの温度・応
力で作動するガスタービンエンジン用のディスク、およ
びデュアル合金ディスクのリム合金として使用するディ
スクの強度要件は充分に満たしている。
第6図は、繰返し負荷速度を1.5秒、保持時間を90秒
として1200゜Fで測定した合金KM4の保持時間疲れ亀裂成
長挙動を、前述の市販ディスク合金と比較して示すグラ
フである。また第7図は、繰返し負荷速度を1.5秒、保
持時間を90秒として1400゜Fで測定した合金KM4の保持時
間疲れ亀裂成長挙動を示すグラフである。本発明の合金
KM4の保持時間疲れ亀裂成長挙動は市販のディスク用超
合金より大幅に改善されており、たとえば1200゜Fでは約
30倍、また1400゜Fではそれ以上の大幅な改良が達成され
ている。
第1図は、合金KM4のクリープおよび応力破断強さの
グラフである。合金KM4のクリープおよび応力破断寿命
は、基準の市販ディスク超合金のクリープおよび応力破
断寿命と比べて、80ksiで約100゜F、60ksiで約220゜Fだけ
秀れている。
合金KM4を最新型タービンのリムとして使用するとき
にはハブ合金と組合せなければならない。これらの合金
は適合可能な熱膨張能をもっていなければならない。ま
た、合金KM4をガスタービンエンジン内でディスクとし
て使用する場合、熱膨張は、高温で使用したとき隣接部
材との干渉が起こらないようなものてなければならな
い。合金KM4の熱膨張挙動を表IVに示す。関連する米国
特許出願第417,097号に記載されているハブ合金(その
一例がルネ(Rene′)95である)と適合可能であること
が分かるであろう。
実施例3 前記実施例1に記載したのと同様にして合金SR3を製
造した。ただし、スーパーソルバス溶体化処理温度から
急冷した後、ほぼ1375゜Fからほぼ1425゜Fまでの温度範囲
で約8時間合金を時効処理した点が違っている。この温
度範囲で時効処理した合金SR3の引張特性を表Vに示
す。また、この温度で時効処理した合金SR3のクリープ
−応力特性を表VIに、疲れ亀裂成長速度を表VIIに示
す。
ほぼ1400゜Fの温度範囲で約8時間時効処理し合金SR3
のミクロ組織は、γ′のサイズが多少細かめで約0.35ミ
クロンであることを除くと、ほぼ1525゜Fで約4時間時効
処理した合金SR3のミクロ組織と同じである。また、粗
粒のγ′も多少細かくなっている。
本実施例の方法で熱処理した合金SR3は、約1350゜Fま
でのディスク用途に使用するのに適しており、たとえば
最新型タービンエンジンに使用するためのデュアル合金
ディスクより低めの温度で作動するガスタービンの単一
合金ディスクとして使用するのに適している。
実施例4 前記実施例2に記載したのと同様にして合金KM4を製
造した。ただし、スーパーソルバス溶体化処理温度から
急冷した後、ほぼ1375゜Fからほぼ1425゜Fまでの温度範囲
で約8時間合金を時効処理した点が違っている。この温
度範囲で時効処理した合金KM4の引張特性を表VIIIに示
す。また、この温度で時効処理した合金KM4のクリープ
−応力特性を表IXに、疲れ亀裂成長速度を表Xに示す。
ほぼ1400゜Fの温度範囲で約8時間時効処理した合金KM
4のミクロ組織は、γ′のサイズが多少細かめで約0.25
ミクロンであることを除くと、ほぼ1525゜Fで約4時間時
効処理した合金KM4のミクロ組織と同じである。また、
細粒のγ′も多少細かくなっている。
本実施例の方法で熱処理した合金KM4は、約1350゜Fま
でのディスク用途に使用するのに適しており、たとえば
最新型タービンエンジンに使用するためのデュアル合金
ディスクより低めの温度で作動するガスタービンの単一
合金ディスクとして使用するのに適している。
以上の説明に鑑みて、本発明が上記具体例の組成物に
限定されないことが当業者には明らかであろう。数多く
の修正、変更、代替および均等物が当業者には明らかと
なったであろうが、そのような態様はすべて本発明の範
囲内に入る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の合金に関して、ラーソン−ミラー
(Larson−Miller)パラメーターに対して応力破断強さ
をプロットしたグラフである。 第2図は、完全な熱処理後の合金SR3組織の光学顕微鏡
写真(倍率約200倍)である。 第3図は、完全な熱処理後の合金SR3組織の透過型電子
顕微鏡写真レプリカ(倍率約10,000倍)である。 第4図は、完全な熱処理後の合金SR3組織の透過型電子
顕微鏡暗視野写真(倍率約60,000倍)である。 第5図は、合金SR3とKM4の極限引張強さ(「UTS」)と
降伏強さ(「YS」)(いずれも単位はksi)を縦軸に、
温度(゜F)を横軸にプロットしたグラフである。 第6図および第7図は、合金SR3とKM4に関して、90秒の
保持時間と1.5秒の繰返し負荷速度を用い、さまざまな
応力強さ(ΔK)に対して1200゜F(第6図)と1400゜F
(第7図)で得られた保持時間疲れ亀裂成長速度(da/d
N)のグラフ(対数−対数プロット)である。 第8図は、完全な熱処理後の合金KM4組織の光学顕微鏡
写真(倍率約200倍)である。 第9図は、完全な熱処理後の合金KM4組織の透過型電子
顕微鏡写真レプリカ(倍率約10,000倍)である。 第10図は、完全な熱処理後の合金KM4組織の透過型電子
顕微鏡暗視野写真(倍率約60,000倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−205059(JP,A) 特開 平1−165741(JP,A) 特開 昭63−114933(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組成は、コバルト10.9〜12.9重量%、クロ
    ム11.8〜13.8重量%、モリブデン4.6〜5.6重量%、アル
    ミニウム2.1〜3.1重量%、チタン4.4〜5.4重量%、ニオ
    ブ1.1〜2.1重量%、ホウ素0.005〜0.025重量%、炭素0.
    01〜0.06重量%、ジルコニウム0.06重量%以下、及びハ
    フニウム0.1〜0.3重量%を含み、残部が本質的にニッケ
    ルからなり、ミクロ組織は、平均結晶粒度が20〜40ミク
    ロンで、粒子内には30nmの細かいγ′が粒子全体に亘り
    均一に分布していて、結晶粒界にはサイズ0.3〜0.4ミク
    ロンの粗いγ′が形成され、さらに結晶粒界には炭化物
    粒子とホウ化物粒子が分布していることにより、高温低
    サイクル疲れ破壊寿命が改善され、かつ応力破断耐性を
    有するガスタービンディスク用ニッケル基超合金。
  2. 【請求項2】1171〜1182℃(2140〜2160゜F)の温度範囲
    で1時間スーパーソルバス溶体化処理した後、急冷し、
    さらに824〜835℃(1515〜1535゜F)の温度で4時間時効
    処理することにより、組成は、コバルト10.9〜12.9重量
    %、クロム11.8〜13.8重量%、モリブデン4.6〜5.6重量
    %、アルミニウム2.1〜3.1重量%、チタン4.4〜5.4重量
    %、ニオブ1.1〜2.1重量%、ホウ素0.005〜0.025重量
    %、炭素0.01〜0.06重量%、ジルコニウム0.06重量%以
    下、及びハフニウム0.1〜0.3重量%を含み、残部が本質
    的にニッケルからなり、ミクロ組織は、平均結晶粒度が
    20〜40ミクロンで、粒子内には30nmの細かいγ′が粒子
    全体に亘り均一に分布していて、結晶粒界にはサイズ0.
    3〜0.4ミクロンの粗いγ′が形成され、さらに結晶粒界
    には炭化物粒子とホウ化物粒子が分布し、高温低サイク
    ル疲れ破壊寿命が改善され、かつ応力破断耐性を有する
    ガスタービンディスク用ニッケル基超合金を製造する方
    法。
  3. 【請求項3】1171〜1182℃(2140〜2160゜F)の温度範囲
    で1時間スーパーソルバス溶体化処理した後、急冷し、
    さらに746〜774℃(1375〜1425゜F)の温度で8時間時効
    処理することにより、組成は、コバルト10.9〜12.9重量
    %、クロム11.8〜13.8重量%、モリブデン4.6〜5.6重量
    %、アルミニウム2.1〜3.1重量%、チタン4.4〜5.4重量
    %、ニオブ1.1〜2.1重量%、ホウ素0.005〜0.025重量
    %、炭素0.01〜0.06重量%、ジルコニウム0.06重量%以
    下、及びハフニウム0.1〜0.3重量%を含み、残部が本質
    的にニッケルからなり、ミクロ組織は、平均結晶粒度が
    20〜40ミクロンで、粒子内には30nmの細かいγ′が粒子
    全体に亘り均一に分布していて、結晶粒界にはサイズ0.
    3〜0.4ミクロンの粗いγ′が形成され、さらに結晶粒界
    には炭化物粒子とホウ化物粒子が分布し、高温低サイク
    ル疲れ破壊寿命が改善され、かつ応力破断耐性を有する
    ガスタービンディスク用ニッケル基超合金を製造する方
    法。
  4. 【請求項4】組成は、コバルト17.0〜19.0重量%、クロ
    ム11.0〜13.0重量%、モリブデン3.5〜4.5重量%、アル
    ミニウム3.5〜4.5重量%、チタン3.5〜4.5重量%、ニオ
    ブ1.5〜2.5重量%、ホウ素0.001〜0.04重量%、炭素0.0
    1〜0.06重量%、及びジルコニウム0.06重量%以下を含
    み、残部が本質的にニッケルからなり、ミクロ組織は、
    平均結晶粒度が20〜40ミクロンで、粒子内には30nmの細
    かいγ′が粒子全体に亘り均一に分布していて、結晶粒
    界にはサイズ0.3〜0.4ミクロンの粗いγ′が形成され、
    さらに結晶粒界には炭化物粒子とホウ化物粒子が分布し
    ていることにより、高温低サイクル疲れ破壊寿命が改善
    され、かつ応力破断耐性を有するガスタービンディスク
    用ニッケル基超合金。
  5. 【請求項5】1185〜1196℃(2165〜2185゜F)の温度範囲
    で1時間スーパーソルバス溶体化処理した後、急冷し、
    さらに824〜835℃(1515〜1535゜F)の温度で4時間時効
    処理することにより、組成は、コバルト17.0〜19.0重量
    %、クロム11.0〜13.0重量%、モリブデン3.5〜4.5重量
    %、アルミニウム3.5〜4.5重量%、チタン3.5〜4.5重量
    %、ニオブ1.5〜2.5重量%、ホウ素0.001〜0.04重量
    %、炭素0.01〜0.06重量%、及びジルコニウム0.06重量
    %以下を含み、残部が本質的にニッケルからなり、ミク
    ロ組織は、平均結晶粒度が20〜40ミクロンで、粒子内に
    は30nmの細かいγ′が粒子全体に亘り均一に分布してい
    て、結晶粒界にはサイズ0.3〜0.4ミクロンの粗いγ′が
    形成され、さらに結晶粒界には炭化物粒子とホウ化物粒
    子が分布している、高温低サイクル疲れ破壊寿命が改善
    され、かつ応力破断耐性を有するガスタービンディスク
    用ニッケル基超合金を製造する方法。
  6. 【請求項6】1185〜1196℃(2165〜2185゜F)の温度範囲
    で1時間スーパーソルバス溶体化処理した後、急冷し、
    さらに746〜774℃(1375〜1425゜F)の温度で8時間時効
    処理することにより、組成は、コバルト17.0〜19.0重量
    %、クロム11.0〜13.0重量%、モリブデン3.5〜4.5重量
    %、アルミニウム3.5〜4.5重量%、チタン3.5〜4.5重量
    %、ニオブ1.5〜2.5重量%、ホウ素0.001〜0.04重量
    %、炭素0.01〜0.06重量%、及びジルコニウム0.06重量
    %以下を含み、残部が本質的にニッケルからなり、ミク
    ロ組織は、平均結晶粒度が20〜40ミクロンで、粒子内に
    は30nmの細かいγ′が粒子全体に亘り均一に分布してい
    て、結晶粒界にはサイズ0.3〜0.4ミクロンの粗いγ′が
    形成され、さらに結晶粒界には炭化物粒子とホウ化物粒
    子が分布している、高温低サイクル疲れ破壊寿命が改善
    され、かつ応力破断耐性を有するガスタービンディスク
    用ニッケル基超合金を製造する方法。
  7. 【請求項7】請求項2又は請求項5に記載の方法に従っ
    て製造されたガスタービンディスクのリム部。
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