JP2665590C - - Google Patents

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JP2665590C
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Hitachi Metals Ltd
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、R(ただし、RはNdまたはPrの少なくとも1種を含むYおよび
希土類元素)、Fe、B、又はR、Fe、Co、Bを主成分とする磁性材料にお
いて、特に薄板の組織を改善し、高い磁気特性が得られるR−Fe−B系及びC
o置換R−Fe−Co−B系の磁気異方性焼結永久磁石原料となる合金薄板、合
金粉末、さらに磁気異方性焼結永久磁石に関する。 (従来の技術) 永久磁石は一般の家電製品から大型コンピューターの周辺端末機まで幅広い分
野で使われる極めて重要な電気・電子材料の一つである。近年、電気・電子機器
の小型化、軽量化、高効率化に伴い永久磁石はますます高性能化が要求されるよ
うになった。 最近、R−Fe−B系合金(R−Fe−Co−B系合金)が新しい高性能永久
磁石材料として注目されている。その成分はFe100-a-bab、又は(Fe1-X
CoX100-a-bab(ただし、0<X≦20at%であり、RはNdまたはPrの
少なくとも1種を含むYおよび希土類元素から成る成分、a、bは含有率でそれ
ぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)[特公昭61−34242号公報、IEEE Trans
.Magn.MAG-20,1584(1984)]が知られている。 さらに、希土類−鉄−ボロン系永久磁石合金としては、上記R−Fe−B系、
及びFeをCo置換したR−Fe−Co−B系を基本系とする合金に、残留磁化
、保磁力若しくは最大エネルギ積の向上、残留磁化若しくは保磁力の温度特性の
向上、又は耐食性の向上等を目的として種々の添加元素を加えたり、あるいは希
土類R、鉄、及びBを夫々、他の希土類元素、遷移金属、半金属(C、Si等)
で置換することが公知であり、また工業上不可避に混入する不純物を上記基本系
(磁気異方性正方晶化合物)を主相とする範囲で許容することが公知である。 例えば、特開昭59-46008号公報には、R−Fe−B系永久磁石合金が記載され
ており、特にNd、Prの一種以上を主体とする(少なくとも50%以上)ことが
好ましく、加えてRとして軽希土類、重希土類及びミッシュメタル、ジジムが使
用でき、Feの一部をCo、Niで置換することによりキュリー点の上昇ができ 、BをC、N、Si、Pで置換でき、R−Fe−Bの基本系にAl、Ti、V、
Cr、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、Sn、Bi、Sbの一種以上を添加
することにより高保磁力化が可能なことが記載されている。 特開昭60-32306号公報には、R−Fe−B系において、RがR1(Nd、Pr
を主体、80%以上)とR2(Dy、Tb、Gd、Ho、Er、Tm、Yb)から
なり、即ちRをDy等の重希土類で置換した保磁力の改善された(R1、R2)−
Fe−B系永久磁石合金が記載されている。 特開昭59-64733号公報には、残留磁化の温度特性が優れたR−Fe−Co−B
系永久磁石合金が記載されており、加えてRとして軽希土類、重希土類及びミッ
シュメタル、ジジムが使用でき、Feの一部をNiで置換することにより耐食性
の向上ができ、BをC、N、Si、P等で置換でき、R−Fe−Co−Bの基本
系にAl、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ni、Zn、Ge、Hf、Zr、Nb
、Mo、Ta、W、Sn、Bi、Sbの一種以上を添加することにより高保磁力
化が可能なことが記載されている。 特開昭60-34005号公報には、R−Fe−Co−B系において、RがR1(Nd
、Pr)とR2(Dy、Tb、Gd、Ho、Er、Tm、Yb)からなり、即ち
RをDy等の重希土類で置換した保磁力の改善された(R1、R2)−Fe−Co
−B系永久磁石合金が記載されている。 特開昭59-89401号公報には、R−Fe−B系にM元素を単独又は複合添加した
保磁力増大の効果を示すR−Fe−B−M系永久磁石合金が記載されている。M
元素としてはTi、Ni、Bi、V、Nb、Ta.Cr、Mo、W、Mn、Al
、Sb、Ge、Sn、Zr、Hfが記載されている。 特開昭59-132104号公報には、R−Fe−Co−B系にM元素を単独又は複合
添加した保磁力増大の効果を示すR−Fe−Co−B−M系永久磁石合金が記載
されている。M元素としてはTi、Ni、Bi、V、Nb、Ta、Cr、Mo、
W、Mn、Al、Sb、Ge、Sn、Zr、Hfが記載されている。また、R−
Fe−Co−B系にM元素(金属元素、半金属元素等)を添加した永久磁石合金
が記載されている。 希土類−鉄−ボロン系合金からなる永久磁石材料の製造方法として、大別して 粉末冶金法とメルトスピン法(液体超急冷法)の二つが知られている。 粉末冶金法は溶湯を鋳型に鋳込んだインゴットを出発素材とし、そのインゴッ
トをスタンプミル、ジョークラッシャーなどで粗粉砕し、さらにディスクミル、
ボールミル、アトライターミル、ジェットミルなどを用いて平均粒径が3〜5μ
mの粉末に微粉砕した後、磁場中プレスによって成形体を作成し、それを1000〜1
150℃の温度範囲で焼結する。その後、必要に応じ400〜900℃の温度範囲で時効
処理することにより保磁力を増大させる焼結永久磁石の製造方法である。 希土類−鉄−ボロン系永久磁石は、磁気特性、特に、残留磁束密度を向上させ
るために、以下RがNdの場合で述べるが、NdあるいはBの含有率を減少させ
る必要がある。ただし、少なくとも化学量論的にNd2Fe14Bを形成し、かつ
、過剰のFeが存在しないだけのNdあるいはBが必要である。(なお、一般的
には、このNdをRで代表させて同様な議論ができる。) しかし、NdあるいはBを減少させていくと、Nd≦15at%あるいはB≦8at
%の範囲においてインゴットの冷却過程で初晶としてγFeの析出が起こり、そ
れが冷却後αFeとしてインゴット中に偏析する。この残留αFeは本系合金を
磁石にした場合に磁気特性を低下させる相である。 そこでインゴットを1000〜1150℃の範囲で均質化焼き鈍しすることによって、
残留αFeを減少させる方法が考えられる(特開昭61-143553号公報参照)。 しかし、この焼き鈍しによって主相(Nd2Fe14B)が粗大化し磁気特性を
低下させる原因となる。現在、採用されている水冷銅鋳型(特公昭61−34242号
公報)へ鋳込む程度の冷却速度では不十分であり残留αFeは抑制されず結晶粒
が粗大化し不均質なインゴットとなる。そのため粉砕効率が低かった。Nd>15
at%あるいはB>8at%の範囲においては、残留αFeはほとんど存在しないが
、水冷銅鋳型へ鋳込む方法では結晶粒が粗大化し偏析が多く磁気特性を低下させ
る原因となる。 一方、溶湯を急冷し直接薄帯にする方法(特開昭61−15943号公報、特開昭61
−15944号公報)が発明されているが、これらは薄帯の状熊で等方性永久磁石と
して使用することが特徴であり、粉末冶金法を用いて製造する素材にはなり得ず
、磁気異方性焼結永久磁石の素材になり得ない。 また、特開昭60−89546号公報には、溶湯急冷法により5μm以下の微細な粒状
結晶からなる複合組織より構成され、主相が正方晶化合物であるリボン状細片が
記載されているが、このリボン状細片において結晶粒が5μm以下、特に3μm以
下になると、単磁区結晶粒子にすることが技術上困難であり、粉末冶金法の場合
配向性が劣化し磁気異方性を活かした高磁気特性が得られない。さらに、粉砕に
よって微細粒化しようとすると酸化の危険が増大する。 (発明が解決しようとする課題) 上述の如く、従来の知見によれば、粉末冶金法を用いて製造する焼結磁石用イ
ンゴットを水冷銅鋳型を用いて製造する場合、結晶粒の粗大化、αFeの残留・
偏析、さらに紛砕効率が低いと言う問題があった。しかしながら、それ以外の方
法では、高性能の特に磁気異方性焼結永久磁石を製造するための粉末冶金法を用
いる上で有用なR−Fe−B系ないしCo置換R−Fe−B系の合金片を得るこ
とは困難であり、さらに改善が望まれていた。 本発明は、従来法の上記問題点を解決し、磁気特性の高い磁性材料、特に永久
磁石の原料となるR−Fe−B系又はR−Fe−Co−B系合金からなる磁気異
方性焼結永久磁石原料用の薄板、粉末、及びこれらを用いた磁気異方性焼結永久
磁石を提供しようとするものである。 (課題を解決するための手段) すなわち、上記問題点を解決するために本発明の手段は以下の通りである。 第1の視点においては、Fe100-a-bab(ただし、RはNdまたはPrの
少なくとも1種を含むYおよび希土類元素から成る成分、a、bは含有率でそれ
ぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して
成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すR2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向
略板厚方向)に成長した柱状結晶の均質な組織を有し、かつ、前記柱状結晶の短
軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの範囲である。 第2の視点においては、Fe100-a-bab(ただし、RはNdまたはPrの
少なくとも1種を含むYおよび希土類元素から成る成分、a、bは含有率でそれ
ぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して
成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すR2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向に 成長した柱状結晶の均質な組織を有し、かつ、前記柱状結晶の短軸方向の平均結
晶粒径が3〜20μmの範囲である薄板を粉砕したことを特徴とする希土類−鉄−
ボロン系磁気異方性焼結永久磁石原料用合金粉末である。 第3の視点においては、Fe100-a-bab(ただし、RはNdまたはPrの
少なくとも1種を含むYおよび希土類元素から成る成分、a、bは含有率でそれ
ぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して
成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すR2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向に
成長した柱状結晶の均質な組織を有し、かつ、前記柱状結晶の短軸方向の平均結
晶粒径が3〜20μmの範囲である薄板を粉砕した粉末を用い粉末冶金法で製造し
たことを特徴とする希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石である。 第4の視点においては、(Fe1-XCoX100-a-bab(ただし、0<X≦20
at%であり、RはNdまたはPrの少なくとも1種を含むYおよび希土類元素か
ら成る成分、a、bは含有率でそれぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる
合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すCo置換
2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均質な組織を有
し、かつ、前記柱状結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの範囲であるこ
とを特徴とするCo置換希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石原料用合
金薄板である。 第5の視点においては、(Fe1-XCoX100-a-bab(ただし、0<X≦20
at%であり、RはNdまたはPrの少なくとも1種を含むYおよび希土類元素か
ら成る成分、a、bは含有率でそれぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる
合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すCo置換
2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均質な組織を有
し、かつ、前記柱状結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの範囲である薄
板を粉砕したことを特徴とするCo置換希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永
久磁石原料用合金粉末である。 第6の視点においては、(Fe1-XCoX100-a-bab(ただし、0<X≦20
at%であり、RはNdまたはPrの少なくとも1種を含むYおよび希土類元素か
ら成る成分、a、bは含有率でそれぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる 合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すCo置換
2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均質な組織を有
し、かつ、前記柱状結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの範囲である薄
板を粉砕した粉末を用い粉末冶金法で製造したことを特徴とするCo置換希土類
−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石である。 (好適な手段) 上記第1〜第6の視点において、好適な手段は、薄板の板厚が0.5〜2.5mmとす
るものであり、またαFeの偏析を実質的に含まないものである。 (作用) 本発明の溶湯急冷法によるR−Fe−B系又はCo置換R−Fe−Co−B系
磁気異方性正方晶化合物合金を主相として、微細で所定範囲の粒径を有し、基本
的に板厚方向(略板厚方向)に成長した柱状結晶粒子から成る均質な微細柱状組
を有する薄板、それから得られる粉末は、αFeの偏析が実質的に生じていず
、主相を成すR2Fe14B型結晶の柱状晶組織の均質化がなされているので、結
晶粒径の微細化かつ均質化が可能であり、これを用いて製造される磁気異方性焼
結永久磁石の高性能化、特に、保磁力を顕著に増加させることが可能になり、さ
らに、αFeの偏析を十分抑止できるので薄板の均質化焼き鈍しが不要となり、
特に微粉砕の際に酸化を抑制できるから工業的価値が高い。 また、さらに組成、製造条件等を定めれば本発明に係る磁気異方性焼結永久磁
石の一層の高性能化の可能性が大である。 上記構成のもと、本発明で用いる合金の成分組成はFeをベースとし、Rは本
発明の高性能磁石を得るために不可欠の希土類元素であり、通常一種をもって足
りるが実用上は二種以上の混合物を用いることができる。 本発明において主としてNdまたはPrの少なくとも1種を用いるのは、その
磁気特性が特に優れているからである。しかし、Rが10at%に満たないと充分な
保磁力が得られず、一方、20at%を超えて添加すると残留磁束密度が低下し磁気
特性が低下する。以上の理由からRを10〜20at%の範囲とした。Nd、Prの一
種以上は全Rの50at%以上が好ましく、より好ましくは80at%以上であり、Rは
実質的にNd、Prの1種以上のみであっても差し支えない。 Bは主相であるNd2Fe14B相(R2Fe14B相)の生成を安定させるが4at
%未満ではその生成が不安定で、10at%を超えると残留磁束密度が低下するので
4〜10at%の範囲とした。 CoはR−Fe−B型合金、化合物のキューリー温度を上昇させ、耐温度特性
を向上させるのでFeに対して20at%まで置換させてもよいが、それ以上置換す
ると他の磁気特性が低下する。 なお、本発明の薄板、粉末及び永久磁石をなす合金においては、本発明の特徴
とする組織を有する範囲で、公知の所定元素の置換、添加を行なうことができる
し、また工業上不可避の不純物を含むことがある。 次に本発明のポイントである上記成分を有する合金系の溶湯を急冷する方法に
ついて説明する。 溶湯急冷法としては、特開昭60-89546号公報等で公知のロール法(単ロール法
及び双ロール法)、回転ディスク法等を用いることができる。 本発明において、急冷する方法としては、双ロール法を用いることが望ましく
、実用的である。 冷却速度については、下記に述べるように本発明の所定の均質な結晶組織を得
るために適宜制御され、ロール周速を調節することにより生成薄板の結晶組織、
さらには結晶粒径の状態から実験的に最適化されるものであるが、102℃/s〜1
04℃/s程度のオーダが好ましく、おおよそ103℃/s〜104℃/s程度のオーダ
がさらに好ましい。 次に板厚の限定理由と短軸方向の結晶粒径とについて述べる。なお、短軸方向
の結晶粒径とは、主相を成すR2Fe14B型結晶の急冷によって成長する柱状晶
の成長方向に垂直な方向の粒径である。 板厚が0.05mmより薄くなると急冷効果が過大になり短軸方向の平均結晶粒径が
3μmより小さくなる確率が高くなり磁気特性が低下するので板厚を0.05mm以上
とした。逆に、板厚が3mmより厚くなると冷却速度が遅くなり柱状晶の組織が不
均質な組織となり、αFeが残留し磁気特性が低下するので板厚を3mm以下とし
た。なお、その場合短軸方向の平均結晶粒径が20μmを超える傾向がある。また
、板厚が0.5(好ましくは0.5mm超)〜2.5mmで、短軸方向の平均結晶粒径が20μm 以下、さらに好ましくは10〜15μmであることで一層保磁力が上昇し好ましい。 さらに、短軸方向の平均結晶粒径については、3μmより小さくなると、薄板
を単結晶まで粉砕する場合(磁場中プレスによる磁場配向度を高めるため薄板を
結晶粒径以下の単結晶サイズまで粉砕する必要がある)、酸化が非常に大きくな
るため磁気特性が低下する。逆に短軸方向の平均結晶粒径が20μmより大きくな
ると結晶の粒径分布が不均一となり、それらを粉砕した後の粒子の粒径分布も不
均一となる傾向があり、磁気特性が低下のおそれがある。従って、短軸方向の平
均結晶粒径は3〜20μmの範囲が好ましい。なお、実質的に所定の均質な組織が
得られる限り例えば40μm程度の粒径を有する粒子が存在してもよい。 さらに、板厚を0.5(好ましくは0.5mm超)〜2.5mmとして冷却速度を制御し結
晶粒径の微細化及び組織(基本的に板厚方向(略板厚方向)に成長した柱状晶組
織)の均質化がされることにより、あるいは短軸方向の平均結晶粒径を10〜15μ
mの一層均質な組織にすると、微粉砕後の粉末粒子の粒径分布が狭くなり磁気特
性がさらに向上し好ましい。 本発明により製造した板厚0.05〜3mmの薄板を粉砕し、磁場中プレス、焼結、
熱処理を行なって製造した磁気異方性焼結永久磁石の保磁力は、水冷銅鋳型に鋳
造したインゴットを用いて同一方法で製造した磁気異方性焼結永久磁石の保磁力
に比べて顕著に増加する。これは本発明によって結晶粒径が微細化され、特に残
留αFeが抑制されて基本的に板厚方向(略板厚方向)に成長した均質な柱状晶
組織が得られたためであると考えられる。なお、焼結時に補助成分を含むことが
でき(例、焼結助材)、その他公知の物質を含むことができる。 また、さらに組成、製造条件等を定めれば、本発明は磁気異方性焼結永久磁石
にした場合一層の高性能化の可能性が大であり、希土類−鉄−ボロン系磁気異方
性焼結永久磁石の磁気性能の理論的最大値に迫る期待がある。 以下、実施例を示す。 (実施例1) 出発原料として、純度99.9wt%の電解鉄、99.9wt%のNd、および、99.9wt%
のBをNd12.3Fe79.78になるように所定量配合して高周波誘導加熱により
溶解し、直径300mmの銅製ロール2本を併設した双ロール式薄板製造装置を用い て溶湯を双ロール間に滴下し、溶湯急冷法により板厚1.1mmの薄板材を得た。た
だし、すべてAr雰囲気中で行った。 この薄板を48メッシュ以下まで粗粉砕した。この段階で、粗粉砕粉に本系磁石
の焼結性を高めるために、予め水冷銅鋳型に鋳込んで作成したNd−Fe−B三
元共晶成分(Nd69.8Fe23.56.7)の48メッシュ以下の粗粉砕粉を焼結助材
として4.8wt%添加し充分混合した。 さらに、この混合粉をジェットミルによって微粉砕し平均粒径3.5μmの磁気異
方性合金粉末を得た。この磁気異方性合金粉末を16kOeの磁場中で配向させ1.5t
on/cm2の圧力で加圧し幅10mm×高さ10mm×長さ20mmの成形体を得た。この成形
体を1080℃×1h、真空中で焼結し、続いて600℃×1hAr中で時効処理し磁気
異方性焼結永久磁石を得た。 本発明の実施例による双ロール材(薄板)の組織写真を第1図に、および磁気
特性値を第1表(a)にそれぞれ示した。第1図において薄板組織中に残留αFe
はほとんど認められず、主相を成すR2Fe14B型結晶の急冷によって、本実施
例(第1図参照)では、R2Fe14B型結晶が基本的に板厚方向に均質に成長し
、かつ、基本的に板厚方向に成長している柱状晶の成長方向に垂直な方向である
短軸方向の平均結晶粒径が9μm程度であり、短軸方向の結晶粒径の分布の幅は3
〜20数μmの狭い範囲にあり、即ち均質な組織となっている。第1図の組織写真
に示した双ロール材においては、急冷面が2面あり、そして柱状晶の成長方向は
板厚方向とは完全には一致しないが、大部分の領域(少なくとも板厚方向の1/
2以上の範囲)において柱状晶が板厚方向を中心とする所定角度範囲に含まれる
方向をその成長方向としている。なお、単ロール材を用いた場合も同様に、板厚
方向の少なくとも1/2以上の範囲において少なくとも一方の主面側から他方の
主面側に成長する柱状晶の均質な組織が形成されることとなる。この双ロール材
を原料として作製した磁気異方性焼結永久磁石によれば、保磁力(iHc)11.0
kOe、残留磁束密度(Br)12.8kG、最大エネルギー積(BH)max37.0MGOeの磁
気特性値が得られた。なお、結晶粒径は、図中板厚方向に等間隔に(但し両側を
除く)4本、板長さ方向に伸長する基準線を引き、各々の基準線と交差する結晶
の交差点を基準として、その結晶幅の最短距離を測定することによって得た。 次に、比較のために同一成分の合金を水冷銅鋳型へ鋳造し、以下同一方法で磁
気異方性焼結永久磁石を得た。インゴットの組織写真を第2図に、および磁気特
性値を第1表(b)にそれぞれ示した。第2図において、水冷銅鋳型に接していな
い領域で残留αFeが多く認められ、柱状の結晶成長は認められるものの成長方
向にばらつきがあり、短軸方向の結晶粒径が50μmを超えた不均質な組織となっ
ている。比較材を用いたものからは保磁力7.3kOe、残留磁束密度12.8kG、最大
エネルギー積36.0MGOeの磁気特性値が得られた。 双ロール材と比較材を比較すると双ロール材を用いた方が保磁力が顕著に増加
した。 (実施例2) Nd15.5Fe76.38.2の双ロール材を実施例1と同一の方法で製造した。こ
の双ロール材を48メッシュ以下まで粗粉砕し、さらに、ジェットミルによって微
粉砕し平均粒径3.5μmの合金粉末を得た。この合金粉末を16kOeの磁界中で配向
させ、1.5ton/cm2の圧力で加圧し、幅10mm×高さ10mm×長さ20mmの成形体を得
た。この成形体を1080℃×1h、真空中で焼結し、続いて600℃×1hAr中で時効
処理し磁気異方性焼結永久磁石を得た。この時の磁気特性値を第2表(a)に示し
た。この磁石によれば保磁力13.5kOe、残留磁束密度12.2kG、最大エネルギー 積34.0MGOeの磁気特性値が得られた。 次に比較のために同一成分の合金を水冷銅鋳型へ鋳造し、以下同一方法で磁気
異方性焼結永久磁石を得た。この時の磁気特性値を第2表(b)に示した。比較材
を用いたものからは保磁力9.5kOe、残留磁束密度12.2kG、最大エネルギー積33
.0MGOeの磁気特性値が得られた。双ロール材と比較材を比較すると両材料とも
組成上の根拠からRが多いため残留αFeが認められなかったにもかかわらず、
双ロール材の方が短軸方向の結晶粒径の分布幅が狭くなって細かく均質化し、そ
の結果として磁気異方性焼結永久磁石の保磁力が顕著に増加した。 (実施例3) 板厚が2、3、4mmの双ロール材を実施例1と同一の方法で製造し、さらに、
これらの双ロール材から実施例1と同一方法で磁気異方性焼結永久磁石を得た。
板厚と短軸方向の平均結晶粒径および保磁力の関係を第3表に示す。第3表から
板厚を2mm(平均結晶粒径13μm)および3mm(平均結晶粒径18μm)に制御した
薄板を用いて得られる磁気異方性焼結永久磁石の保磁力は板厚4mm(平均結晶粒
径40μm)の薄板を用いて得られる磁気異方性焼結永久磁石の保磁力よりも顕著
に増加した。 (実施例4) 出発原料として、純度99.9wt%の電解鉄、99.9wt%のNd、99.9wt%のBおよ
び99.9wt%のCoを、Nd12.4Fe75.6Co4.08になるように所定量配合して
高周波誘導加熱により溶解し、以下500℃×1hAr中で時効処理する以外実施例
1と同様にして磁気異方性焼結永久磁石を得た。 その際得られた合金薄板には残留αFeは認められず、その主相を成すCo置
換R2Fe14B型結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの範囲にあり、結
晶の成長方向が揃った均質な組織が得られた。 そこで、第4表(a)に示す保磁力(iHc)10.6kOe、残留磁束密度12.9kG、最大
エネルギー積((BH)max)37.6MGOeの磁気特性値が得られた。 次に、比較のために同一成分の合金を水冷銅鋳型へ鋳造し、以下同一方法で磁
気異方性焼結永久磁石を得た。 双ロール材と比較材を比較すると双ロール材を用いた方が保磁力が顕著に増加
した。 (実施例5) Nd15.5Fe74.3Co4.06.2の双ロール材を実施例1と同一の方法で製造し
た。以下500℃×1hAr中で時効処理する以外は実施例2と同一方法で磁気異方性
焼結永久磁石を得た。 この時の磁気特性値を第5表(a)に示した。この双ロール材を用いたものから
は保磁力13.1kOe、残留磁束密度12.3kG、最大エネルギー積34.2MGOeの磁気特
性値が得られた。 次に比較のために同一成分の合金を水冷銅鋳型へ鋳造し、以下同一方法で磁気
異方性焼結永久磁石を得た。 この時の磁気特性値を第5表(b)に示した。この比較材を用いたものからは保
磁力8.8kOe、残留磁束密度12.3kG、最大エネルギー積32.9MGOeの磁気特性値
が得られた。双ロール材と比較材を比較すると両材料とも組成上の根拠からRが
多いため残留αFeが認められなかったにもかかわらず、双ロール材の方が柱状
晶の短軸方向の結晶粒径の分布幅が狭くなって細かく均質化し、基本的に板厚方
(略板厚方向)に柱状晶の発達が良好であり、その結果として磁気異方性焼結
永久磁石の保磁力が顕著に増加した。 (発明の効果) 以上述べたように、本発明の溶湯急冷法によるR−Fe−B系又はCo置換R
−Fe−Co−B系磁気異方性正方晶化合物合金を主相とする微細な柱状結晶粒
子から成る均質な微細柱状組織の薄板、それから得られる磁気異方性粉末は、α
Feの偏析が実質的に生じていず、主相を成すR2Fe14B型結晶の柱状組織の
均質化がなされているので、結晶粒径の微細化かつ均質化が可能であり、これを
用いて製造される磁気異方性焼結永久磁石の高性能化、特に、保磁力を顕著に増
加させることが可能になり、さらに、αFeの偏析を十分抑止できるので薄板の
均質化焼き鈍しが不要となり、特に微粉砕の際に酸化を抑制できるから工業的価
値が高い。 また、さらに組成、製造条件等を定めれば本発明に係る磁気異方性焼結永久磁
石の一層の高性能化の可能性が大である。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の実施例1による双ロール材の金属組織を示した金属顕微鏡
による金属組織写真である。 第2図は、比較材としてのインゴット材の金属組織を示した金属顕微鏡による
金属組織写真である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1) Fe100-a-bab(ただし、RはNdまたはPrの少なくとも1種を含む
    Yおよび希土類元素から成る成分、a、bは含有率でそれぞれa:10〜20at%、
    b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm
    、主相を成すR2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均
    質な組織を有し、かつ、前記柱状結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの
    範囲であることを特徴とする希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石原料
    用合金薄板。 (2) 前記板厚が0.5〜2.5mmであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石原料用合金薄板。 (3) αFeの偏析を実質的に含まないことを特徴とする特許請求の範囲第1項
    又は第2項記載の希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石原料用合金薄板
    。 (4) Fe100-a-bab(ただし、RはNdまたはPrの少なくとも1種を含む
    Yおよび希土類元素から成る成分、a、bは含有率でそれぞれa:10〜20at%、
    b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm
    、主相を成すR2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均
    質な組織を有し、かつ、前記柱状結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの
    範囲である薄板を粉砕したことを特徴とする希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼
    結永久磁石原料用合金粉末。 (5) Fe100-a-bab(ただし、RはNdまたはPrの少なくとも1種を含む
    Yおよび希土類元素から成る成分、a、bは含有率でそれぞれa:10〜20at%、
    b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急冷法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm
    、主相を成すR2Fe14B型結晶相が基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均
    質な組織を有し、かつ、前記柱状結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μm の範囲である薄板を粉砕した粉末を用い粉末冶金法で製造したことを特徴とする
    希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石。 (6) (Fe1-XCoX100-a-bab(ただし、0<X≦20at%であり、RはN
    dまたはPrの少なくとも1種を含むYおよび希土類元素から成る成分、a、b
    は含有率でそれぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急
    冷法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すCo置換R2Fe14B型結晶
    相が基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均質な組織を有し、かつ、前記柱状
    結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの範囲であることを特徴とするCo
    置換希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石原料用合金薄板。 (7) (Fe1-XCoX100-a-bab(ただし、0<X≦20at%であり、RはN
    dまたはPrの少なくとも1種を含むYおよび希土類元素から成る成分、a、b
    は含有率でそれぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急
    冷法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すCo置換R2Fe14B型結晶
    相が基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均質な組織を有し、かつ、前記柱状
    結晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの範囲である薄板を粉砕したことを
    特徴とするCo置換希土類−鉄−ボロン系磁気異方性焼結永久磁石原料用合金粉
    末。 (8) (Fe1-XCoX100-a-bab(ただし、0<X≦20at%であり、RはNd
    またはPrの少なくとも1種を含むYおよび希土類元素から成る成分、a、bは
    含有率でそれぞれa:10〜20at%、b:4〜10at%)なる合金の溶湯を溶湯急冷
    法で急冷して成り、板厚0.05〜3mm、主相を成すCo置換R2Fe14B型結晶相
    基本的に板厚方向に成長した柱状結晶の均質な組織を有し、かつ、前記柱状結
    晶の短軸方向の平均結晶粒径が3〜20μmの範囲である薄板を粉砕した粉末を用
    い粉末冶金法で製造したことを特徴とするCo置換希土類−鉄−ボロン系磁気異
    方性焼結永久磁石。

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