JP2665353B2 - 双特異性抗体の製造法 - Google Patents

双特異性抗体の製造法

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JP2665353B2 JP22719088A JP22719088A JP2665353B2 JP 2665353 B2 JP2665353 B2 JP 2665353B2 JP 22719088 A JP22719088 A JP 22719088A JP 22719088 A JP22719088 A JP 22719088A JP 2665353 B2 JP2665353 B2 JP 2665353B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、異なる2つの抗原のそれぞれに同時に反応
することのできる双特異性抗体の製造法に関するもので
ある。
異なる2つの抗原のそれぞれに同時に反応することの
できる双特異性抗体が、産業上実用的な品質および価格
で供給できるようになれば、免疫反応を利用したたとえ
ば次のような各種の用途にその有用性を発揮することが
できる。
(1)測定すべき物質に存在する抗原と、測定上有用な
標識化合物、たとえば蛍光色素や酵素などに存在する抗
原との双方に特異的に反応する抗体からなる双特異性抗
体を使用した前者の抗原を有する物質の定性的または定
量的測定。
(2)測定すべき物質に存在する抗原と、抗体を保持す
るに有用な担体に存在する抗原との双方に特異的に反応
する抗体からなる双特異性抗体を使用した前者の抗原を
有する物質の固相法による定性的または低量的測定。
(3)除去または精製すべき物質に存在する抗原と、抗
体を保持するに有用な担体に存在する抗原との双方に特
異的に反応する抗体からなる双特異性抗体を使用した前
者の抗原を有する物質の固相法による除去または精製。
(4)治療すべき標的細胞に存在する抗原と、治療に適
した薬物またはナチュラルキラー細胞などの攻撃細胞に
存在する抗原との双方に特異的に反応する抗体からなる
双特異性抗体を使用した標的細胞の治療。
(従来の技術および本発明が解決しようとする課題) 1分子の抗体はlgM抗体と分泌型lgA抗体を除き、1分
子の軽鎖(以下L鎖と略称)と1分子の重鎖(以下H鎖
と略称)がジスルフィド結合により結合して成り立つ半
分子が、さらに2つ会合し、H鎖間でジスルフィド結合
を介して、結合したものであることが知られている。1
分子の抗体は通常同価の抗原認識能を持つ半分子が2つ
結合することにより構成されているが、自然界には通常
存在しないと考えられている抗原認識能の異なる半分子
同士を結合させた2つの異なる抗原認識能を有する双特
異性抗体の作製法がいくつか報告されている。
たとえば(A)ニソノフ(Nisonoff)らは、Science,
vol.134,p376−379(1964)に、2種類のウサギ完全グ
ロブリンを用いて、まずH鎖間のジスルフィド結合を選
択的に還元し、得られた半分子の異なるもの同士を再結
合する双特異性抗体の作製法を報告している。
同じく(B)ニソノフ(Nisonoff)らは、Arch.Bioch
em.Biophys.,Vol.89,p230−244(1960)、ならびに同,V
ol.93,p460−462(1960)に、完全抗体の代わりに、た
とえばペプシンのような適当なプロテアーゼで切断した
F(ab′)を用いて同様に双特異性抗体を作成するこ
とができることを報告している。
(C)ラソ(Raso)およびグリフィン(Griffin)ら
は、Fed.Proc.,Vol.37,p1350(1978)に、細胞毒性薬剤
を所望の組織表面へ特異的に供給する手段としての双特
異性抗体の利用について報告している。
(D)ミルシュタイン(Milstein)らは、Proc.R.So
c.Lond.,Vol.B211,p393−412(1981)に、腫瘍細胞を特
異的に処理するために、毒性物質のキャリアとしてモノ
クローナル抗体を使用する可能性を述べ、F(ab′)
は良好な標的剤であると報告している。
(E)ポーラス(Paulus,Henry,P.)らは、特表昭58
−502182号に、2種類の異なる抗原に反応するF(a
b′)を、それぞれ還元剤としてメルカプトエチルア
ミンを用いて還元して半分子としたのち、一方の半分子
のチオール基を、5、5′−ジチオビス(2−ニトロ安
息香酸)(以下DTNBと略称)で修飾し、他方の半分子の
チオール基と反応させて双特異性抗体を作製する方法を
報告している。
(F)ミルシュタイン(Milstein)およびクエロ(Cu
ello)らはNature,Vol.305,p537−540(1983)に、それ
ぞれ異なる抗体を生成する2種類の細胞を融合させて、
双特異性抗体を産生しうるハイブリドーマを作成する方
法を報告している。すなわちこの方法は、異なるモノク
ローナル抗体を産生するマウスハイブリドーマをさらに
融合させて、得られたハイブリッド・ハイブリドーマよ
り双特異性抗体を得るという方法である。
(G)リーディング(C.L.Reading)らは、米国特許
4,474,893号および特開昭58−59994号に、ハイブリッド
・ハイブリドーマとしてクアドローマまたはトリオーマ
を作り、双特異性組換えモノクローナル抗体を製造する
方法を報告している。
同様の手法による双特異性抗体についてはこの他に、
(H)コルバラン(J.R.F.Corvalan)らが、Cancer lmm
unol.lmmunother.24:p133−137,(1987)に、癌胎児性
抗原(CEA)に対するモノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマとビンカアルカロイドに対するモノクローナル抗
体産生ハイブリドーマを融合させたハイブリッド・ハイ
ブリドーマを作成して双特異性抗体を作製する方法を報
告している。
また、(I)ランザベチア(A.Lanzavecchia)らは、
Europ.J.lmmunol.Vol.17,p105−111(1987)に、ヒト細
胞障害性T細胞に対する抗体産生ハイブリドーマと各種
抗原に対する抗体産生ハイブリドーマを融合させたハイ
ブリッド・ハイブリドーマを報告している。
このように双特異性抗体の調製および有用性について
は既に多くの報告または特許が公開されているが、それ
らには、それぞれ以下のような問題点がある。
たとえば、(E)の方法においては、異なる抗原に反
応する2種類のF(ab′)を、それぞれ還元剤で還元
して半分子とした後、還元剤を分離しなければならず、
操作が煩雑である。さらに一方の半分子のチオール基を
DTNBで修飾する際のDTNB濃度が低濃度であるため、反応
効率が悪く、かつ目的とするチオール基間以外の部位で
のジスルフィド化反応を惹起する恐れがある。
一般に、(A)〜(E)のような化学的手法による双
特異性抗体の製造においては、H鎖間にジスルフィド結
合が一つしか存在しないウサギ抗体などを使用すれば特
別な問題はないと考えられているが、マウスlgG抗体な
どのように、H鎖間のジスルフィド結合が3個所存在す
るような場合には、ジスルフィド結合を選択的に切断し
ても、抗原特異性の異なるH鎖間でジスルフィド結合を
再構成するときに、分子内ジスルフィド結合などの目的
以外のジスルフィド結合が生じるため、双特異性抗体を
高収率で得ることは難しいと考えられてきた。
そこで、このような問題を解決する方法として、目的
とするチオール基以外のチオール基を保護したのちにH
鎖間でジスルフィド結合を再構成する方法が報告されて
いる。
たとえば、(J)ポーラス(Paulus,Henry,P.)らは
特表昭61−501418号において、また(K)ブレナン(M.
Brennann)らは、Science Vol.229,p81−83(1985)に
おいて、2種類の異なる抗原に反応するF(ab′)
を、それぞれメルカプトエチルアミンで還元して半分
子とするが、その際に隣接するチオール基を保護し、同
一分子内でジスルフィド結合が生じないようにするため
に、亜ひ酸化合物(たとえば亜ひ酸ナトリウム)を使用
する方法について述べている。
しかしこの方法によれば、人体に有毒な亜ひ酸化合物
をその反応過程で使用するために、得られた双特異性抗
体を人体に投与することは、安全性の面で危険を伴うも
のと考えられる。
一方(F)〜(I)のようなハイブリッド・ハイブリ
ドーマから双特異性抗体を調製する方法によれば、2種
類の異なる初期L鎖とH鎖の可能な組合せのすべての抗
体分子が混合物として産生されるため、目的の双特異性
抗体を得るために、混合物をさらにイオン交換クロマト
グラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーに
より高度に精製する必要があり、目的の双特異性抗体を
低収率でしか得られないという問題点を有していた。
以上本発明者らが、本発明を完成した時点において
は、毒性上の問題がなく、人体に投与するに好適な双特
異性抗体を高収率に製造する方法は完成していなかっ
た。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、前記した従来の双特異性抗体の製造法
が抱える問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特定手
段を用いることにより抗体断片の還元反応に使用した還
元剤を分離せずに、引続き、ワンポットで、一方のFa
b′のチオール基の活性化を行った後、他方のFab′と抗
体半分子間の分子間結合反応を行えること、ならびにチ
オール基活性化剤を特定濃度で使用することにより反応
に関与しないチオール基を無保護状態で反応させても効
率よく分子間のジスルフィド結合反応が進行し、高収率
に双特異性抗体が得られることを見いだし、本発明を完
成した。
発明の要旨 本発明は、異なる抗原決定基を認識する抗体に由来す
る二種類のF(ab′)を、それぞれキレート化剤を共
存させながらジチオール型還元剤による還元反応に付
し、遊離のチオール基を有するFab′を得る反応工程
(a)、該反応液から還元剤を分離せずに、反応工程
(a)により得られた一方のFab′を含有する反応液
に、過剰濃度のチオール基活性化剤を存在させてFab′
のチオール基を活性化する反応工程(b)、ならびに反
応工程(b)で得られたチオール基の活性化されたFa
b′と反応工程(a)で得られた遊離のチオール基を有
する他方のFab′とを反応させ、異なる抗原決定基を認
識するF(ab′)を合成する反応工程(c)からなる
ことを特徴とする双特異性抗体の製造法である。
用語の定義 F(ab′)2:本発明では、免疫グロブリンのH鎖のN末
端側2本とL鎖の2本がジスルフィド結合を介して結合
した2価の免疫グロブリン断片を意味する。
Fab′:F(ab′)のH鎖間ジスルフィド結合を適当な
還元剤で処理してジスルフィド結合を切断したものとす
る。
Fab′−NB:Fab′の遊離チオール(SH)基に5,5′−ジチ
オビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)を反応させて、
チオニトロ安息香酸誘導体の形にしたもの。
抗体A:反応工程(b)において、Fab′−NBを製造する
ための原料となる抗体。
抗体B:反応工程(c)において、抗体A由来のFab′−N
Bと反応させる遊離チオール基を有するFab′の原料とな
る抗体。
DTNB:5,5′−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸) (5,5′−Dithio−bis(2−nitrobenzoic acid)) DTT:ジチオスレイトール(Dithiothereitol) SPDP:N−サクシニミジル3−(2−ピリミジルチオ)プ
ロピオン酸エステル(N−Succini−midyl3−(2−pyr
imidylthio)propionate) SAMSA:無水S−アセチルメルカプトコハク酸(S−Acet
hylmercaptosuccinic anhydride) CD3:(Cluster Designation3)リンパ球表面抗原に関す
るワークシヨップにより決められた成熟T細胞の表面抗
原(Rheinhertz,E.L.,Haynes,B.F.,Nad−ler L.M.and B
ernstein,l.D.(ed.):Leukocyte Typing ll.Springer
−Verlag,New York,(1986)参照) CD16:(Cluster Designation16) リンパ球表面抗原に関するワークシヨップにより決めら
れたNK細胞および好中球の表面抗原(Rheinhertz,E.L.,
Haynes,B.F.,Nadler,L.M.and Bernstein,l.D.(ed.):
Leukocyte Typing ll.Springer−Verlag,New York,(19
86)参照) NK細胞:ナチュラルキラー細胞 発明の具体的説明 抗体 本発明方法の原料として使用する抗体は、それが認識
する抗原の種類、抗体の免疫グロブリンとしてのクラス
およびサブクラス、その抗体の由来(動物種)、その製
造法によっては制限されない。
すなわち、抗体は動物細胞(T細胞,腫瘍細胞な
ど)、生理活性蛋白質(各種サイトカイン,ティシュー
・プラスミノーゲン・アクチベーター,アンチスロンビ
ンなどの線溶凝固因子,アビジン,ストレプトアジビン
など)、酵素(ペルオキシダーゼ,β−ガラクトシター
ゼ,ホスファターゼ,各種オキシダーゼなど)、癌マー
カー(CEA,AFPなどの癌胎児性抗原,CA19−9など)、蛍
光物質(フィコエリスリンなどのフィコビリ蛋白など)
ハプテン(各種芳香族化合物,各種ヌクレオシド,各種
ヌクレオチド,各種アミノ酸,ビオチンなど) 各種医薬品(ビンカアルカロイド,アドリアマイシ
ン,ブレオマイシン,アクチノマイシンD,ニトロソウレ
ア類,シスプラチン,シタラビン,5−フルオロウラシ
ル,リシンなどの抗腫瘍剤など)、微生物(各種ウィル
ス,各種細菌,各種カビなど)に特異性を有するものを
使用することができる。
免疫グロブリンの種類はIgG(IgG1、IgG2a、IgG2b、I
gG3など)またはIgAが好ましい。
抗体の由来としては、マウス、ラット、ヒト、ウサ
ギ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシなどの哺乳類、ニワトリ
などの鳥類を挙げることができる。これらのうち、とり
わけマウス由来の抗体が好ましい。
抗体の製法としては、公知の方法が適用される。すな
わち、ハイブリドーマ法、EBVトランスフフォーム法な
どのモノクローナル抗体を製造する方法、動物に抗原を
接種し、血清から抗体を製造する方法、抗体遺伝子によ
ってトランスフェクトされた細胞(微生物、動物など)
を培養して製造する方法などによって抗体を製造するこ
とができる。
本発明の反応の内発原料であるF(ab′)は公知の
方法によって製造することができる。
たとえば抗体を、その免疫グロブリンの種類により使
い分けて、ペプシンまたはパパインなどの蛋白分解酵素
を使用して分解し、H鎖のC末端側断片を除去すること
によって製造できる(たとえばパルハム(Parham,P.)
らl.lmmunol.Methods,Vol.53,p133−173(1982)参
照)。
還元反応(反応工程(a)) F(ab′)のジスルフィド結合を還元して、Fab′
を得る反応を、キレート化剤の存在下ジチオール型還元
剤を作用させることによって行うことができる。
ジチオール型還元剤としては、ジチオスレイトール
(DTT)が最も好ましいが、DDTの代わりにジチオエリス
リトールなど他のジチオール型還元剤を使用することも
できる。
反応は、キレート化剤(たとえば、エチレンジアミン
四酢酸(EDTA)など)を含有する緩衝液(たとえば、ト
リス塩酸緩衝液)中、室温付近で数十分〜数時間で完了
する。
なお、反応を、不活性ガス(たとえば、窒素ガスな
ど)の雰囲気下で行うことにより、より反応を効率よく
進行させることができる。
チオール基活性化反応(反応工程(b)) 反応工程(a)により得られた、一方のFab′(抗体
Aより得られたもの)の遊離のチオール基を活性化する
反応は、反応工程(a)の反応液から前記還元剤をを分
離除去せずに過剰量のチオール基活性化剤を作用させる
ことにより行うことができる。
チオール基活性化剤としては、DTNBが好ましいが、DT
NBの代わりに、たとえば2,2′−ジピリジルジスルフィ
ドまたは4,4′−ジピリジルジスルフィドを使用するこ
ともできる。
本発明において、反応液中のチオール基活性化剤の濃
度を過剰量とすることは、分子内ジスルフィド化反応を
防ぐために必須である。具体的には、可能な限りFab′
の遊離チオール基をチオニトロ安息香酸誘導体とするこ
とができる程度の過剰量であることが必要であり、通常
5〜20mM程度が好適である。
反応は、室温付近において数十分〜数時間で終了す
る。なお、反応を不活性ガス(窒素ガスなど)雰囲気下
で行ってもよい。
反応終了後、ゲル濾過などの分子ふるい処理を行うこ
とによって反応工程(c)の反応を阻害する試薬を除去
し、反応工程(c)に供する。
F(ab′)の再構成(反応工程(c)) 反応工程(b)により得られたチオール基の活性化さ
れたFab′(Fab′−NB)と、反応工程(a)により得ら
れた遊離のチオール基を有する他方のFab′(抗体Bよ
り得られたもの)を、ジスルフィド交換反応により反応
させ、抗体Aと抗体Bの双方にに対応する抗原決定基認
識能のあるF(ab′)を再構成し、本発明の目的物で
ある双特異性抗体を製造することができる。なお、Fa
b′−NBとFab′とを反応させて、F(ab′)に再構成
させること自体は公知である。
反応は、Fab′−NBを含む溶液とFab′を含む溶液を、
Fab′−NBとFab′が等モル数付近になるように混合し、
0℃〜室温程度で数時間〜数十時間反応することにより
完了する。
また、反応は、不活性ガス(窒素ガスなど)の雰囲気
下で行うことにより効率よく進行する。
反応後、公知慣用の方法(ゲル濾過など)により目的
物を精製することができる。
(実施例) 以下、実施例によって本発明の双特異性抗体の製造法
をより具体的に説明する。
実施例 1 抗体Aとして抗(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニ
ル)−アセチル抗体(抗NP抗体)、抗体Bとして抗2,4
−ジニトロフェニル抗体(抗DNP抗体)を使用した。ま
ずパルハム(Parham,P.)らの方法に従って両抗体を還
元剤非存在下でパパイン処理しそれぞれをF(ab′)
とした。次に抗NP抗体のF(ab′)を窒素ガスで飽和
させたTBS/EDTA溶液(以下、0.15Mの食塩と3mMのEDTAを
含有する10mMトリス塩酸緩衝液をTBS/EDTAという)に溶
解させ、DTTを最終濃度が0.5mMになるように加え、素早
く窒素ガスを反応溶液に吹き付けながら鎖間ジスルフィ
ド結合を還元して遊離チオール基にしたFab′を調製し
た。30分間反応後、反応溶液と等容量の10mM DTNB含有T
BS/EDTA溶液を加え還元反応を停止すると同時にFab′と
DTNBとの結合物であるFab′−NBを形成させた。反応終
了後、TBS/EDTAで充分に平衡化したセファデックスG25
の分子ふるいカラムに通し、過剰の試薬を除去してFa
b′−NBを得た。
一方、抗DNP抗体より得られたF(ab′)について
も、同様に窒素ガスで飽和したTBS/EDTA溶液中で1mM DT
Tを作用させ、鎖間ジスルフィド結合を還元して遊離チ
オール基にしたFab′を調製した。還元後セファデック
スG25カラムによって過剰のDTTを除去した。
抗DNP抗体よりFab′を調製した直後に、抗NP抗体より
調製したFab′−NBを、出発のF(ab′)のOD280から
計算して等量混合し、限外濾過で約10mg/mlになるよう
に濃縮し、窒素ガス置換を続けながら4℃、48時間反応
させた。反応溶液をゲル濾過することにより反応生成物
であるF(ab′)と未反応の化合物を分離した。これ
により、約85〜90%がF(ab′)として回収された。
また得られたF(ab′)の一定量をDNP結合セファロ
ース4B(ファルマシア製)またはNP結合セファロース4B
カラムにかけ、それぞれのハプテンに対する結合能を調
べた結果、約5%がNP結合セファロース4Bに結合せずに
溶出した。
実施例 2 ヒトT細胞表面抗原のCD3に対する特異的モノクロー
ナル抗体であるOKT3抗体(マウスlgG2a、オーソダイア
グノスティックシステム(株)製)と、抗腫瘍抗体とし
て全ての腫瘍細胞に反応するといわれているHBJ127抗体
(マウスlgG1、橋本嘉幸や、Gann,76,p386−394(198
5)参照)を用いた。前者はパパインで、後者はペプシ
ンで消化してそれぞれF(ab′)とした。ついで両者
を実施例1と同様にDTTで還元したのち、後者にはDTNB
を加えて遊離のチオール基を安定なチオニトロ安息香酸
誘導体とし、前者のDTTで還元したFab′の遊離のチオー
ル基と反応させ、双特異性抗体とした。またDTNBのかわ
りに、従来からの方法であるSPDPおよびSAMSAを用いる
方法でも双特異性抗体を調製し相互に比較した。
その結果、反応最終液をTSK2000(東ソー(株)製)
カラムにかけ0.01Mリン酸緩衝塩類溶液(PBS)で溶出し
分析したところ、DTNBをチオール基活性化剤として使用
した場合にはF(ab′)が80%の効率で検出された
が、SPDPを使用した場合には10〜20%であった(第2
図)。SAMSAを使用した場合は20〜30%であった。ま
た、NK細胞感受性のK562細胞またはNH細胞抵抗性のDaud
i細胞を標的細胞とし、正常ヒト末梢血単核球細胞(PMB
C)をエフェクター細胞として、双特異性抗体がエフェ
クター細胞の標準細胞に対する細胞障害活性を増強する
効果をみた。標的細胞(T)を51Crでラベルしたのち
に、正常ヒト末梢血より、Conray−Ficoll比重遠心法
(矢田純一ら,「リンパ球機能検索法」第17頁,1980
年,(株)中外医学社発行)で分離したPMBC(エフェク
ター細胞(E))と、TがK562細胞の場合にはE/T=0.
5、TがDaudi細胞の場合にはE/T=20で混合し双特異性
抗体を加えて、4時間培養し、51Crの遊離試験法(矢田
純一ら,「リンパ球機能検索法」第353頁,1980年,
(株)中外医学社発行)により細胞障害活性を測定し
た。
その結果、K562細胞、Daudi細胞のどちらに対してもD
TNBを使用して調製された双特異性抗体は他のチオール
基活性化剤を使用して調製された双特異性抗体に比べPM
BCの細胞障害活性を著しく増強した(第3図)。
実施例 3 ヒト細胞表面抗原のCD3に対する特異的モノクローナ
ル抗体であるOKT3抗体(マウスlgG2a、オーソダイアグ
ノスティックシステム(株)製)と、ヒトNK細胞表面抗
原のCD16に対するモノクローナル抗体であるMG12(マウ
スlgG1、久留米大学医学部横山三男教授から入手)を用
いた。前者はパパインで、後者はペプシンで消化してそ
れぞれF(ab′)とした。ついでDTTで還元したの
ち、後者にDTNBを加えてチオール基を安定なTNB誘導体
とし、前者の還元したFab′のチオール基と反応させ、
双特異性抗体とした。
(発明の効果) (1)ジスルフィド結合の還元反応において還元剤とし
てDTTを使用し、キレート化剤を存在させることによ
り、有害な亜ひ酸ナトリウムなどの分子内ジスルフィド
結合生成阻害剤を使用することなく、高収率にFab′を
生成させることができる。
(2)反応工程(a)終了後、Fab′と還元剤を分離せ
ずに遊離チオール基の活性化反応を行うことができるの
で反応工程が簡便である。
(3)反応工程(b)において高濃度のDTNBを使用する
ことにより、遊離チオール基のチオニトロ安息香酸化を
十分に行うことができ、分子内ジスルフィド結合反応の
生成を抑制することができる。
(4)以上の特徴が相まって、高い生物活性を有する相
特異性抗体を高収率に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本概念をしめしたものであり、第2
図は実施例2の方法で調製された双特異性抗体のゲル濾
過分析パターンであり、第3図は実施例2の方法で調製
された双特異性抗体の細胞障害活性を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−1556(JP,A) 特開 昭61−501418(JP,A) Bio Techniques,4 (5),424〜427,1986

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる抗原決定基を認識する抗体に由来す
    る二種類のF(ab′)を、それぞれキレート化剤を共
    存させながらジチオール型還元剤による還元反応に付
    し、遊離のチオール基を有するFab′を得る反応工程
    (a)、該反応液から還元剤を分離せずに、反応工程
    (a)により得られた一方のFab′を含有する反応液
    に、過剰濃度のチオール基活性化剤を存在させてFab′
    のチオール基を活性化する反応工程(b)、ならびに反
    応工程(b)で得られたチオール基の活性化されたFa
    b′と反応工程(a)で得られた遊離のチオール基を有
    する他方のFab′とを反応させ、異なる抗原決定基を認
    識するF(ab′)を合成する反応工程(c)からなる
    ことを特徴とする双特異性抗体の製造法。
  2. 【請求項2】ジチオール型還元剤が、ジチオスレイトー
    ルである請求項1記載の双特異性抗体の製造法。
  3. 【請求項3】チオール基活性化剤が5、5′−ジチオビ
    ス(2−ニトロ安息香酸)である請求項1記載の双特異
    性抗体の製造法。
  4. 【請求項4】チオール基活性化剤の濃度が5〜20mMであ
    る請求項1記載の双特異性抗体の製造法。
  5. 【請求項5】反応工程(a)および(c)を不活性ガス
    雰囲気下で行う請求項1記載の双特異性抗体の製造法。
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