JP2664198B2 - 車体傾斜装置 - Google Patents

車体傾斜装置

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車体傾斜装置に係り、特に高速度で曲線路
を通過する車両に好適な車体傾斜装置に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
従来の車体傾斜装置においては、車体傾斜動作時にお
いて車体の傾斜角が傾斜制御目標値を外れその値が規定
値範囲外となった際に、車体の傾斜制御動作を停止する
ものとなっていた。
なお、この種の装置として関連するものに例えば、特
公昭60−52018号等が挙げられる。
〔発明が解決しようとする課題〕 上記従来技術は異常時の検出方法について、傾斜角検
出器の異常とその他の制御要素の異常の区別について配
慮がされておらず、例えば傾斜角検出器の配線が断線
し、傾斜角検出結果が規定出力値を超えた場合において
も、傾斜制御目標値との比較により異常とみなされ、当
該車両の制御が停止状態となる。したがって、修理の機
会がくるまで、車体傾斜制御を中止し、乗心地が悪くな
ったままで、走行せざるを得なかった。
本発明の目的とするところは、傾斜角検出系が異常と
なっても車体傾斜制御を継続し、乗心地を、維持し得る
車体傾斜装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、車体の傾斜角度を検出する傾斜角検出器
からの検出結果について制御指令値に対する該傾斜角検
出系の異常を判定し、該傾斜角検出器の異常検出時にお
いて併設された車体傾斜制御系の傾斜角検出結果を用い
て車体傾斜制御を行なうことにより、達成される。
〔作用〕
通常、傾斜角検出器はアンプ部と一対で用いられ、振
子装置左右ストッパにより制限される最大傾斜角発生時
における出力値が規定(定格)出力以内となるように出
力ゲイン設定をされ用いられる。例えば、傾斜角検出器
とアンプ部間の配線が何らかの原因により断線した場
合、傾斜角検出器の出力は規定出力値を超えて振り切れ
た状態となる。よって、傾斜角検出器による検出結果が
規定出力値を超えたか否かを判定することにより、傾斜
角検出系統の断線を検知することができる。上記の手段
において傾斜角検出器系統の断線を検知した場合、当該
台車位置における傾斜制御目標値と傾斜角検出結果との
比較により行なっていたフィードバック制御を停止し、
他の車両の正常に動作をしている同一台車位置における
フィードバックのかかった状態での流体圧動機構制御指
令に基づいて当該台車位置の流体圧動機構を制御するこ
とにより、当該車両の傾斜制御を停止することなく継続
させることができる。ここで、他の車両の流体圧動機構
制御指令パターンは、各車両の個体差により若干異なる
ものの、同一曲線通過時における同一台車位置でのパタ
ーンにおいては大差はなく、又、当該車両の他方の台車
位置におけるフィードバック制御が正常状態にあれば、
若干の指令パターン差を補うべく制御がなされるので、
傾斜制御を停止して走行する場合に比べて曲線通過時の
乗心地を向上させることができる。
〔実 施 例〕
以下、本発明の一実施例を第1図ないし第6図により
説明する。まず、第1図および第2図により本発明によ
る車体傾斜装置の構成を説明する。なお編成車両の先頭
の1号車から最後尾車までをサフィックスa〜nで示
し、そのうち、進行方向に向って前位台車位置と後位台
車位置を区別して用いる場合は、前位台車についてa〜
n、後位台車についてa′〜n′で示す。第1図におい
て、車体1bは台車2b,2b′上の振子装置3b,3b′を介して
支持されている。流体圧作動機構4b,4b′は一端を台車2
b,2b′に、他端を振子装置3b,3b′に取り付けている。
端子制御装置5bは、走行速度検出器6と地点検知器7の
検出結果を入力として曲線情報およびタイミング指令を
各号車へ出力する曲線情報出力装置8の出力結果、走行
速度検出器6の検出結果および車体の台車に対する傾斜
角を検出する傾斜角検出器9b,9b′の検出結果を入力と
して流体圧作動機構4b,4b′を制御する指令値を演算し
出力する。入力制御部10a〜10nは動アンプ11a〜11n,11
a′〜11n′および動アンプ11a〜11n,11a′〜11n′と傾
斜角検出器9a〜9n,9a′〜9n′を結ぶ信号配線18a〜18n,
18a′〜18n′を経由して傾斜角検出器9a〜9n,9a′〜9
n′の検出結果を入力するための制御も行なう。演算部1
2a〜12nは通常の中央処理装置(CPU)であり、メモリ13
a〜13nに記憶されたプログラムに応じてデータの入力、
演算、出力を行なう。出力制御部14a〜14nは演算部12a
〜12nの演算結果を出力する制御を行ない、流体圧作動
機構4b,4b′への制御指令配線15b,15b′により流体圧作
動機構4b,4b′へ制御指令を送ると共に次の号車および
1つ先頭側の号車の入力制御部10b〜10nおよび10a〜10
(n−1)へも信号配線16a〜16(n−1)、16a′〜16
(n−1)′および17b〜17n,17b′〜17n′により制御
指令を送る。第2図に各車両間の制御指令信号配線を示
し、第3図に制御方法のフローチャート図を示す。各車
両の前位、後位台車ごとに傾斜角検出器9a〜9n,9a′〜9
n′の検出結果を入力制御部10a〜10nに取込み、動アン
プ11a〜11n,11a′〜11n′の出力が規定出力値を超えた
かどうかを判定する。そして、規定出力値未満である場
合は傾斜制御目標値と傾斜角検出結果の比較により制御
指令を演算し、出力制御部14a〜14nより流体圧作動機構
4a〜4n,4a′〜4n′へ制御指令を入力する。ここで、制
御指令の演算方法については本出願人が先に出願した特
願昭59−227778号に記載のように、入口緩和曲線始点の
手前から制御指令を出力し、その制御指令の初期値を対
軌道超過遠心加速度の最大値に応じて定めた0.2〜0.6倍
とし、入口緩和曲線通過時に制御目標値を増加させ最大
値とし、かつ、出口緩和曲線においてその始点手前から
最大値の0.2〜0.6倍に減少させ、出口緩和曲線通過時に
さらに減少させてその終点通過後に零とする方法であ
る。一方、傾斜角検出量の取込み値が規定出力値を超え
た場合、これは該当する傾斜角検出器9と動アンプ11と
の間の信号配線18の断線を意味しており、その際は、当
該車両の位置により決まる他の車両のフィードバックの
かかった制御指令に基づき、該当する流体圧作動機構4
を作動させ傾斜制御を継続させるものである。ここで、
当該車両が先頭車の場合は、1つ後方の車両の同一台車
位置における制御指令を使用し、又、当該車両が最後尾
車の場合は、1つ、前方の車両の同一台車位置における
制御指令を使用するものである。ここで、同一台車位置
における制御指令を使用する理由は、第4図に(イ)〜
(ハ)に110km/h、(ハ)〜(ヘ)に140km/hで走行した
状態での実車両における隣接する2つの車両の進行方向
に向って前台車位置と後台車位置における制御指令の実
測値を示すが、同一曲線を通過する際、制御指令波形台
車位置により異なったパターンとなるが、同じ台車位置
では時間差を除いてiafとibfまた、iarとibrの比較でわ
かるように類似の制御指令波形となるからである。第3
図において、当該車両が中間車の場合は、両隣の同一台
車位置における制御指令の平均値を演算し制御指令とし
て出力するものである。
前述の実施例における効果を第5図および第6図に示
す数値シミュレーション結果を例に挙げて説明する。第
5図(イ)には曲線の位置を示し、第5図(ロ)には正
常な場合の制御指令を前台車位置についてif、後台車位
置についてirで示す。また、第5図(ハ)ないし(ホ)
には当該車両の前台車位置の信号配線18が断線した場合
の制御指令についてそれぞれ示し、(ハ)は当該車両が
先頭車で1つ後方の同一台車位置の制御指令を用いた場
合であり、(ニ)は当該車両が中間車で両隣の車両の平
均値を用いた場合であり、(ホ)は当該車両が最後尾車
で1つ前方の同一台車位置の制御指令を用いた場合を示
す。なお、第5図(イ)ないし(ホ)において、制御指
令のサフィックスfは前台車位置、rは後台車位置を示
している。また、第6図には第5図の(ロ)ないし
(ホ)の状態に対応する曲線での乗心地の良否の判定基
準となる車体ロール角速度について、正常な場合φにつ
いて(ハ)に、断線当該車が先頭車の場合φaについて
(ニ)に、中間車の場合φbについて(ホ)に、最後尾
車の場合φnに(ヘ)にそれぞれ示す。さらに、第6図
(イ)に曲線上の位置を、また、第6図(ロ)に自然振
子で走行する場合の車体ロール角速度φoを示す。第6
図において、本発明の(ニ)〜(ヘ)はいずれも、従来
の信号配線18の断線検知時の走行に相当する(ロ)の自
然振子状態で走行する場合に生じる入口緩和曲線後半部
での急激な車体傾斜およびそのあとストッパに当ること
により生じる衝撃的な波形が改善されており、正常な状
態の(ハ)と同程度の乗心地改善効果を得ることができ
る。
上記一実施例では信号配線18の断線時に、両隣いずれ
かの車両の制御指令もしくは、その平均値に基づいて制
御を行なったが、本発明はこのようなものに限定されな
い。すなわち、前方の車両から当該車両までの距離と走
行速度によって遅れ時間を求め、この遅れ時間を基準と
した時間の後に、前方の車両の制御指令で当該車両を制
御しても良い。このような実施例によれば、正常時とほ
ぼ同じタイミングおよび制御指令パターンで制御される
のでより正常時に近い乗心地を供しうるという効果があ
る。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、傾斜角検出系の
異常時についても、車体傾斜制御動作を停止することが
なく、乗心地の維持することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による車体傾斜装置の一実施例を示す制
御回路図、第2図は第1図の車体傾斜装置を有する編成
車両の回路図、第3図は第1図の車体傾斜装置における
制御内容を示すフローチャート、第4図は第1図の車体
傾斜装置の同一台車位置における制御指令を示すグラ
フ、第5図は第1図の車体傾斜装置における制御指令を
示すグラフ、第6図は第1図の車体傾斜装置により制御
した場合あるいは従来の振子装置による場合等の車体に
作用する車体ロール角速度を示すグラフである。 3……振子装置、4……流体圧作動機構、5……振子制
御装置、9……傾斜角検出器、10……入力制御部、14…
…出力制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安井 敏 山口県下松市大字東豊井794番地 株式 会社日立製作所笠戸工場内 (56)参考文献 特公 昭62−35942(JP,B2) 特公 昭60−52018(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】台車上に振子装置を介して支持された車体
    と、該振子装置の振子動作部に設けられた流体圧動機構
    と、走行速度を検出する走行速度検出器と、地点を検知
    する地点検知器と、曲線情報およびタイミング指令を出
    力する曲線情報出力装置と、前記走行速度検出器の検出
    結果、前記地点検知器の検知結果および前記曲線情報出
    力装置の出力する前記曲線情報および前記タイミング指
    令を入力として傾斜制御目標値を演算し、車体の台車に
    対する傾斜角を検出する傾斜角検出器による検出結果と
    の比較により前記流体圧動機構を制御する振子制御装置
    から成る車体傾斜装置において、当該車両の前記傾斜角
    検出結果が規定出力値範囲外となった時、同一編成にお
    ける他の車両の同一台車位置における前記制御目標値と
    前記傾斜角検出結果との比較結果に基づいて該車両の前
    記流体圧動機構を制御することを特徴とする車体傾斜装
    置。
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