JP2661669B2 - フランジ付き円筒部材の成形方法 - Google Patents

フランジ付き円筒部材の成形方法

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JP2661669B2 JP63176027A JP17602788A JP2661669B2 JP 2661669 B2 JP2661669 B2 JP 2661669B2 JP 63176027 A JP63176027 A JP 63176027A JP 17602788 A JP17602788 A JP 17602788A JP 2661669 B2 JP2661669 B2 JP 2661669B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、外周面にフランジを有する円筒部材の成
形方法に関するものである。
〔従来の技術〕
フランジ付きの円筒部材として例えば自動車エンジン
の回転トルク伝達機構に組込まれる等速ジョイントの外
輪がある。
第12図はダブルオフセット形等速ジョイント用の外輪
1を示しており、円筒部2の外周面で一方の端部にフラ
ンジ3を周設し、円筒部2の内面に六本のトラック溝4
と各トラック溝4間にケージ案内面5を設けた構造にな
っている。
第16図乃至第19図は、従来の外輪成形方法を示してお
り、先ず第16図のように、円筒部2の一端にフランジ3
を設けたワークAを熱間鍛造によって製作する。このワ
ークAは、円筒部2の内周面にトラック溝4とケージ案
内面5が形成され、フランジ3と反対側の端部が底板6
で閉鎖された構造になっている。
次に、第17図の如く、底板6を打抜いて除去したワー
クAに対し、第18図のように、円筒部2の端面と外周面
からフランジ3の外面及びインロー部分7、ケージ案内
面5等を旋盤により切削仕上げし、更にトラック溝4を
第19図のようにブローチ8で仕上げるようにしていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、旋盤による切削加工やブローチ加工は、加工
コストが高くつき、作業能率が悪く仕上げに手間がかか
るという問題がある。
この発明は上記のような問題を解決するためになされ
たものであり、フランジ付外輪のように、外周面にフラ
ンジを備えた円筒部材を極めて能率よく、しかも精度よ
く仕上げることができるフランジ付き円筒部材の成形方
法を提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記のような課題を解決するため、この発明は円筒部
の外周面における一方端部にフランジを設けたワークの
円筒部内に内面仕上げ用のポンチを挿入し、次に円筒部
の外側にダイスを挿入して軸方向にしごき加工を行な
い、このしごき加工中はポンチを軸方向にフリーとし、
円筒部軸方向の材料流れにポンチを追従させるようにし
たものである。
〔作用〕
予め鍛造にて円筒部の外周面にフランジを成形したワ
ークの上記円筒部内に内面仕上げ用のポンチを挿入し、
次にポンチと同じ方向から円筒部の外側にダイスを挿入
して軸方向にしごき加工を行なう。
このしごき加工時において、ダイスでしごかれた円筒
部は、軸方向に沿って材料の流れが生じ、このため、ポ
ンチを軸方向にフリーとし、軸方向の流れにポンチを追
従させることにより、円筒部の内外面を所定の寸法形状
に仕上げる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を添付図面の第1図乃至第15
図に基づいて説明する。
第1図と第2図のように、円筒部2の外周面で一端側
にフランジ3を設け、円筒部2の内面にトラック溝4と
ケージ案内面5を形成し、底板6を打抜いて除去したワ
ークAを亜熱間鍛造によって予め製作する。
ワークAを製作するための亜熱間鍛造は、850℃ぐら
いの温度であるため、ワークAに脱炭層ができにくいと
いう利点がある。
第3図は上記ワークAをしごき加工する成形装置を示
しており、ワークAをフランジ3の部分で支持する支持
台11の直上に、内面成形用のポンチ12と、このポンチ12
の外側に位置する外面成形用のダイス13と、ポンチ12と
ダイス13の間に位置するノックアウトリング14とが、油
圧シリンダ等を用いて昇降動自在に配置されている。
上記ポンチ12は、第5図のように、その外周面にトラ
ック溝4の成形用突条15と、ケージ案内面5の成形面16
とが設けられている。
ワークAのケージ案内面5は、ポンチ12の成形面16よ
りも少し小径になるように形成され、またトラック溝4
は、突条15よりも少し大径になるよう形成されている。
従って、第4図と第6図のように、フランジ3を下に
して支持台11上に載置したワークAの円筒部2内にポン
チ12を下降させながら挿入すると、第5図に示す如く、
ワークAのケージ案内面5は、ポンチ12の成形面16によ
って軸方向にしごき加工が施され、ケージ案内面5がポ
ンチ12の成形面16に一致する仕上面になる。
このとき、突条15はトラック溝4との間に隙間17が生
じ、トラック溝4を成形しない。
円筒部2内にポンチ12を挿入した状態で次にダイス13
を下降させ、第7図のように円筒部2の外側にダイズ13
を挿入して行く。
ダイス13は円筒部2をしごき加工しながら第8図のよ
うに、フランジ3上に当接する位置まで下降することに
より、円筒部2の外径を仕上げることになる。
ダイス13によるしごき加工時において、しごかれた円
筒部2は内径面が押し縮められ、第9図のようにトラッ
ク溝4がポンチ12の突条15に密着するように成形され、
トラック溝の形状が仕上ることになる。
また、ダイス13によるしごき加工時において、しごか
れた円筒部2は軸方向に延びが生じることになる。
ところで、円筒部2内にポンチ12を挿入しておいて、
円筒部2の外径からダイス13でしごくことによって内部
を充足させる場合に必要な板厚減少率は、第13図に示す
ように、内径部において13%以上は必要である。
上記充足を満足するために、内径部の板厚減少率を15
%にした場合に、ポンチ12のフリー時において、押しし
ごきを行なうダイス13の導入角αの限界は、第14図で示
すように、片側15゜で押ししごき可であるが、片側30゜
にすると、ワークAが前方に押しつぶされて押ししごき
は不可能である。
このとき、ポンチ12をフリーにしていないと、ワーク
Aとポンチ12の相対すべりが要求されるが、第15図の如
く、ポンチ12を固定化すると、ポンチ12とワークAの摩
擦力が大きく、ワークAが前方に押しつぶされると共
に、ポンチ12とワークAが局部的に固着し、応力差によ
るワーク内径面でのクラックが発生するという問題があ
る。
このため、ポンチ12を固定化すると、結果的に板厚減
少率をより小さくせざるを得なくなって充足を満足でき
なくなる。
そこで、この発明においてはダイス13でしごき工程を
行なうとき、ポンチ12を軸方向にフリーとし、円筒部2
の軸方向への材料流れにポンチ12を追従させるようにす
る。
これによって、ポンチ12とワークAの摩擦力が大きく
てワークが前方に押しつぶされることもなく、又ポンチ
12とワークAが局部的に固着し、応力差によるワーク内
径面でのクラック発生もなくなり、板厚減少率を大きく
でき、ワークがポンチにより充足することができ、しご
き加工を受けた円筒部2の成形が円滑に、しかも精度よ
く仕上がることになる。
ダイス13によるしごき加工が完了すると、第10図のよ
うに、ポンチ12を上昇位置に引上げてワークA内から抜
取り、次にダイス13を上昇させてワークAを支持台11上
から持上げる。
この状態で上昇位置に待機するノックアウトリング14
を下降動させ、第11図のようにダイス13で保持されたワ
ークAを押下げてダイス13からワークAを抜取れば成形
作業が完了する。
上記のように成形したワークAを、旋盤によってイン
ロー部分や円筒部の端面等を切削加工すれば第12図で示
したような外輪1が完成することになる。
〔効果〕
以上のように、この発明によると、外周面の一端にフ
ランジを周設した円筒部内に内面仕上用のポンチを挿入
し、円筒部の外側にダイスを挿入して軸方向にしごき加
工を施し、しごき加工時にポンチを軸方向にフリーにし
たので、しごき加工時における円筒部軸方向の材料流れ
が円滑となり、ダイスで円筒部の外径を確実にしごくこ
とができ、そのしごきにより円筒部の内周面が高精度に
仕上げられたポンチの外周面に密着するため、フランジ
を備えた円筒部材を極めて能率よく、高精度に冷間成形
することができる。
また、等速ジョイントの外輪成形に適用すると、ブロ
ーチ加工が不要となり、旋盤による切削加工も最少限に
できるので、外輪成形のコストダウンを図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図はワークの製造工程を示す説明図、第3
図は成形装置の縦断面図、第4図乃至第11図はワーク成
形工程を示す説明図であり、同上における第5図は第4
図の矢印V−Vに沿う断面図、第9図は第8図の矢印IX
−IXに沿う断面図、第12図は等速ジョイントの外輪を示
す斜視図、第13図は内径部板厚減少率を示すグラフ、第
14図はダイス導入角による成形性を示すグラフ、第15図
はポンチを固定した状態のワークしごき加工を示す説明
図、第16図乃至第19図は従来の成形工程を示す説明図で
ある。 1……外輪、2……円筒部、 3……フランジ、4……トラック溝、 5……ケージ案内面、11……支持台、 12……ポンチ、13……ダイス、 14……ノックアウトリング、 15……突条、16……成形面、 A……ワーク。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒部の外周面における一方端部にフラン
    ジを設けたワークの円筒部内に内面仕上げ用のポンチを
    挿入し、次に円筒部の外側にダイスを挿入して軸方向に
    しごき加工を行ない、このしごき加工中はポンチを軸方
    向にフリーとし、円筒部軸方向の材料流れにポンチを追
    従させることを特徴とするフランジ付き円筒部材の成形
    方法。
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