JP2661407B2 - 鉛蓄電池用陰極板および鉛蓄電池用陰極板の製造法 - Google Patents

鉛蓄電池用陰極板および鉛蓄電池用陰極板の製造法

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JP2661407B2
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勝由 河合
健介 弘中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉛蓄電池を薄形にする
のに適した鉛蓄電池用陰極板およびその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】密閉形鉛蓄電池の極板群構造は、電解液
保持体であるリテイナを介して陽極板と陰極板を積層し
た構造となっている。少なくとも陽極板1枚、陰極板2
枚の構成とするのが一般的である。密閉形鉛蓄電池を電
源とする機器の小型化に伴って、密閉形鉛蓄電池自体の
薄形化も望まれているが、ペースト式極板の格子基体は
鋳造方式やエキスパンド方式で製造されておりその薄形
化には製造限界があるため、上記のような極板枚数が3
枚となる極板群構成では薄形化の要求に十分に対応でき
ない。そのため、電池の薄形化に対しては、陽極板1
枚、陰極板1枚の極板群構成を余儀なくされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の陽極板1枚、陰
極板1枚の極板群構成では、極板が薄くなる程、電池反
応に関与しない格子基体の重量比率が高くなり、かつ、
陽極板の片面にしか陰極板が存在しないので陽極活物質
の利用率が十分に高くならず、重量エネルギ密度の低い
鉛蓄電池となってしまう。本発明が解決しようとする課
題は、陰極板を改良することで、薄形軽量で重量エネル
ギ密度の高い鉛蓄電池の製造を可能にすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る密閉形の鉛蓄電池用陰極板は、電解液
保持体であるリテイナの片面に薄く付着せしめた活物質
層に、その活物質層以下の厚さの鉛箔ないし鉛板を埋設
して極板耳部としことを特徴とする。また、この陰極
板の製造は、電解液保持体であるリテイナの片面に活物
質ペーストを薄く塗布して付着せしめ、その塗布層以下
の厚さの鉛箔ないし鉛板を埋設して極板耳部とし、乾燥
後化成することを特徴とする。リテイナの片面に薄く付
着している活物質層の周囲は、化成後に320〜400
℃でプレスするのが望ましい。また、リテイナの片面に
薄く付着している活物質層の周囲に、化成後に溶融鉛を
注いで鉛枠を形成することも望ましいものである。
【0005】本発明に係る陰極板は、従来使用していた
格子基体を用いないので、その分軽量で薄形化が可能に
なる。この陰極板は、活物質層を形成している面とは反
対側のリテイナ面を陽極板に当接して極板群を構成する
が、陽極板の両面に陰極板を配置して極板3枚の極板群
構成として陽極活物質の利用率向上を図っても、従来の
極板3枚構成の極板群構成ほど厚さが増えない。化成後
に活物質層の周囲を320〜400℃でプレスすると、
プレス部分の鉛が一旦溶融して枠状に固化するので、極
板としての機械強度を十分なものにすることができる。
また、溶融鉛を注いで活物質層の周囲に鉛枠を形成した
場合も同様である。すなわち、活物質層がリテイナに
しており、且つ活物質層周囲の鉛枠部分が溶融状態か
の固化と共に極板耳部に固着されるため、陰極板の構
造および製造法が簡略化できる。
【0006】
【実施例】電解液保持体であるリテイナ1上に、陰極用
活物質ペーストを塗布して、長さ86mm、幅56mm、厚
さ0.6mmの活物質層2を形成した。長さ10mm、幅5m
m、厚さ0.3mmの鉛箔の一部を活物質層2に埋め込み、
露出部分を極板耳部3とした。この極板を乾燥後化成
し、活物質層2の周囲を330℃の金型でプレスして陰
極板とした。4は、プレス部である。
【0007】長さ86mm、幅56mm、厚さ1.4mmの陽
極板の両面に、前記陰極板の活物質層2とは反対側のリ
テイナ面を当接して、3枚構成の極板群とし密閉形鉛蓄
電池を組み立てた(本発明品)。一方、比較のために、
鋳造により製作した格子基体に活物質を保持させた従来
の陰極板1枚と陽極板1枚の2枚構成の極板群の密閉形
鉛蓄電池を組み立てた(従来品)。
【0008】図2に、本発明品と従来品の初期における
1A定電流放電の容量比較を示した。従来品の放電持続
時間は65分間であったが、本発明品は90分間となっ
ており、従来品に比べて38%の容量増加となってい
る。
【0009】また、本発明品は、陰極板に格子基体を使
用していないため、表1に示すように電池重量が軽くな
っており、エネルギ密度は59%の増加となっている。
電池寿命は、本発明品、従来品とも、充放電200サイ
クルで差がなかった。
【0010】
【表1】
【0011】上述のように、本発明に係る陰極板は薄
て軽量であり、陽極板の両面に配置して極板群を構成し
ても電池の厚さ増えない。小型軽量化を図りつつ陰極板
を陽極板の両面に配置できるので陽極活物質の利用率が
高くなり、重量エネルギ密度が幅に向上する。本発明
に係る陰極板の製造において、溶融した鉛の固化により
活物質層周囲に鉛枠を形成すると、鉛枠が極板耳部に固
着されるため、陰極板の構造および製造が簡略化でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る陰極板の実施例を示す平面図であ
る。
【図2】本発明品と従来品の初期における放電容量を比
較した曲線図である。
【符号の説明】
1はリテイナ 2は活物質層 3は極板耳部 4はプレス部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解液保持体であるリテイナの片面に薄く
    付着せしめた活物質層に、その活物質層以下の厚さの鉛
    箔ないし鉛板を埋設して極板耳部とした密閉形の鉛蓄電
    池用陰極板。
  2. 【請求項2】電解液保持体であるリテイナの片面に活物
    質ペーストを薄く塗布して付着せしめ、その塗布層以下
    の厚さの鉛箔ないし鉛板を埋設して極板耳部とし、乾燥
    後化成することを特徴とする密閉形の鉛蓄電池用陰極板
    の製造法。
  3. 【請求項3】リテイナの片面に薄く付着している活物質
    層の周囲を、化成後に320〜400℃でプレスするこ
    とを特徴とする請求項2記載の密閉形の鉛蓄電池用陰極
    板の製造法。
  4. 【請求項4】リテイナの片面に薄く付着している活物質
    層の周囲に、化成後に溶融鉛を注いで鉛枠を形成するこ
    とを特徴とする請求項2記載の鉛蓄電池用陰極板の製造
    法。
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JPS5023066U (ja) * 1973-06-25 1975-03-14

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