JP2660519B2 - 高温ガス炉高温プレナムブロック間すき間の漏れ流れ防止方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本願発明は高温ヘリウムガス冷却原子炉炉床部黒鉛製
炉心支持用高温プレナムブロック間すき間の冷却材漏れ
流れ防止方法に関するもので、ブロック間に段差が生じ
てもシール性能が劣化しないことを特徴とする。 （従来の技術） 従来の高温ガス炉高温プレナムブロック間のシール方
法は、ブロック間すき間上面に長方形の溝を加工しすき
間の上に平板形のシール要素を置いたものであった。 （発明が解決しようとする問題点） 高温ガス炉においては、数多くの黒鉛ブロックより構
成されている炉心は炉床部の高温プレナムブロックで支
えられている。原子炉の温度が上昇すると高温プレナム
ブロックは熱膨張するため、高温プレナムブロック設定
時にブロック間にすき間が開けられている。このすき間
は冷却材の漏れ流れを起こす原因となるため、ここを漏
れ流れる冷却材をシールすることが必要である。従来か
らのシール機構では、原子炉内の温度分布によりブロッ
ク間同士に段差が発生すると漏れ流れのシール性能が大
幅に劣化するのが欠点であった。 （問題点を解決するための手段） 本発明は、高温ガス炉炉床部高温プレナムブロック間
すき間にＶ字形の溝を加工し、その角度と合う三角形断
面を持つ黒鉛製シール要素を設置することにより、ブロ
ック間に段差が生じてもシール要素がブロックの動きに
追従して滑りながらその位置を変化させ、ブロック同士
が原子炉内で予測されるどのような相対的配置になって
も、シール性能が劣化しないよう（冷却材漏れ流れを小
さく保つよう）にしたものである。 第１図にブロック間の漏れ流れを防止するためのシー
ル機構の概念図を示す。シール要素は等方性高密度黒鉛
で製作した。また、シール要素先端の角度は90度とし
た。 （作用） 本発明におけるシール機構は、予め高温プレナムブロ
ック周囲に溝を加工しておき、原子炉内部構造を組み上
げる時に三角形の断面をもつ黒鉛シール要素を設定して
おけば、後は原子炉の運転状態にかかわらずシール性能
が保たれる。 （実施例） シール機構の漏れ流れ防止特性を調べるには、シール
部に圧力差をつけてそこから漏れるガスの流量を測定す
ればよい。 実験は常温大気圧の空気を用いて行った。温度分布に
よる高温プレナムブロック間の段差を模擬するため、第
２図に示すような原子炉内で予測されるブロック間段差
を設定して漏れ流れ実験を行った。実験では、本発明に
よるシール機構と従来からの平板形シール機構を同じ条
件の下で比較した。 黒鉛シール要素としては198mmの長さのものを用い、
シール要素の両端に1mmづつすき間を開けて実験を行っ
た。 実験の結果を、シール部の圧力損失の目安としての漏
れ流れ圧力抵抗係数と漏れ流れ流量の目安としてのレイ
ノルズ数の関係で第３図に示した。この図では、漏れ流
れ圧力抵抗係数が高い程シール性能がよいことになる。
図より、段差が無い場合では両方のシール機構ともほぼ
同じシール特性を示しているが、ブロック間に段差が発
生すると、従来からの平板形シール機構では急激にシー
ル特性が悪くなるのが分かる。これに比較して本発明に
よるシール機構では種々の段差に対して安定したシール
特性を持っている。 （発明の効果） 高温ガス炉炉心内漏れ流れの割合が大きくなると、燃
料棒の温度が上昇したり黒鉛ブロックに大きな熱応力が
発生するため、高温ガス炉の特徴である原子炉出口温度
を高くすることができなくなる。本発明による黒鉛シー
ル機構を高温ガス炉高温プレナムブロック間すき間に設
置することにより、炉心内において通常の流路以外を流
れる冷却材の漏れ流れを減少することができ、高い出口
温度を出す場合の炉心熱流動設計の制約を軽減できる。
また、原子炉の運転状態が変化して高温プレナムブロッ
クの段差の分布が変化しても、本発明によるシール機構
では安定したシール性能を保つため、炉心内の熱流動特
性の予測が容易になる。

【図面の簡単な説明】 第１図は、高温ガス炉炉内構造の概要と本発明によるシ
ール機構の概要の説明図である。 第２図は、原子炉内で予測される高温プレナムブロック
間の相対段差を示す。 第３図は本発明によるシール機構と従来のシール機構の
シール性能の比較実験の結果を示すグラフである。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．高温ヘリウムガス冷却原子炉炉床部黒鉛製高温プレ
   ナムブロック間すき間上面のＶ字形溝と三角形の断面を
   持つ黒鉛シール要素の組み合せによることから成る高温
   プレナムブロック間すき間の漏れ流れ防止方法。