JPH0610154Y2 - 排気マニホ−ルド構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、耐久性・信頼性の向上を図り得る排気マニホ
ールド構造に関する。

［従来の技術］ 一般にターボ過給機を備えた内燃機関の場合タービンに
は、内燃機関から排出される排気の熱損失をできるだけ
抑えてエネルギ大の高温な排気を供給する方が望まし
い。また、可動ノズルベーン等を有した可変容量ターボ
過給機を装着する場合には、供給する排気流の脈動等に
よる圧力変動をできるだけ少なくするために、その上流
側に位置するシリンダに接続された排気マニホールド
に、排気を一旦集合させるための静圧室（以下、「排気
室」という。）を形成しておく必要がある。

このため、第５図に示すように、従来上記排気マニホー
ルドａは、内燃機関の各気筒から排気を直方体状の内殻
ｂとして形成した内殻ｂ内の排気室ｃ内に集合させて、
その脈動を緩衝した後に、排出下流側、即ち、過給機タ
ービン側へ流出させるようになっている。

排気室ｃは、ステンレス鋼板等の耐熱金属により形成さ
れ、その一側には、内燃機関の各気筒から排気を流入さ
せるための流入口ｄがその長手方向に沿って形成されて
おり、流入口ｄの外方にはシリンダヘッド（図示せず）
に連絡するための流入管ｅが設けられている。また他側
には、排気室ｃ内の排気を、排出下流側へ導くための排
出管ｆが形成されている。

そして、排気の高温を維持させるために、断熱層ｇが排
気室ｃを被覆して形成されており、アルミナ（Ａｌ_２Ｏ
_３）繊維等により、外方への放熱を遮断するようになっ
ている。さらに断熱層ｇを囲繞して鋳鉄製の外殻ｈが形
成されており、流入管ｅの外周には、これを覆って設け
られた取付管ｉと、取付管ｉをシリンダヘッドに接続す
るためのボルトｊを下流側からシリンダヘッド側へ挿通
させるためのボルト支持部ｋとを形成している。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで、上記のような排気マニホールド構造において
は、排気室ｃ内の排気の温度が850℃にも達するため、
断熱層ｇを隔てた外殻ｈも500℃程度にまで昇温され
る。このうち外殻ｈのシリンダヘッド側ではシリンダヘ
ッド内に備えられた冷却水の影響により、その反対側で
ある排気の排出下流側よりも温度が低くなる傾向にあ
る。

第６図に示すように、その温度差によって熱膨張量の差
が生じ、図中、破線にて示したような、長手方向両端に
位置されるボルトｊを支点とし、下流側に凸状となる変
形がおこることになる。この変形により取付管ｉと各気
筒との接続状態が劣化することとなり、排気が取付管ｉ
外方へ漏出されるおそれが生ずる。さらに、外殻ｈの表
面および内殻ｂの継ぎ目等に亀裂が発生して重大な損傷
につながる可能性もある。

そこで、本考案は上記問題点となっている変形を防止し
て、耐久性を向上させた排気マニホールド構造を提供す
べく創案されたものである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、エンジンの気筒列方向に沿って長い静圧室を
区画する直方体状の内殻と、該内殻をその外側から包囲
する断熱層と、上記内殻をその断熱層の外側から包囲す
る直方体状の外殻とを備えた排気マニホールド構造にお
いて、前記外殻にそのエンジン取付け側面部と反対側の
側面部外面に、そのエンジン取付け側面部とその反対側
の側面部との温度差をなくすべく冷却フィンを設けたも
のである。

［作用］ 本考案の作用について述べると、断熱層は内殻から外殻
への熱伝導を阻み、冷却フィンは、その放熱により、外
殻のエンジン取付け側面部の反対側の側面部を冷却し
て、外殻のエンジン取付け側面部とその反対側の側面部
との温度差を小さくする。よって、熱膨張差に起因した
外殻の変形は抑制される。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図面に従って説明する。

第１図〜第３図は、本考案に係る排気マニホールド構造
の一実施例を示したものであり、排気マニホールド１は
従来と同様に、シリンダヘッドに接続されて各気筒から
の排気を集合させて排出するために、直方体状の内殻２
として形成された排気室３と、排気室３を被覆する断熱
層４と、断熱層４を囲繞するように被覆して排気マニホ
ールド１の外壁を形成する外殻５とにより構成されてい
る。内殻２の一側、即ち、シリンダヘッド側６には流入
口７および流入管８が備えられており、他側、即ち、排
気の排出下流側９には排出管１０が形成されている。ま
た外殻５には取付管１１とボルト１２を挿通させるため
のボルト支持部１３とが備えられている。

ところで排気マニホールド１のシリンダヘッド側より排
出下流側の外殻５には、これに一体的に冷却フィン１４
が形成される。本実施例にあっては冷却フィン１４は、
シリンダヘッドに接続される流入管８を有する側壁（エ
ンジン取付け側面部）１５と相対向する排出下流側とな
る反対側の側壁１６に、その長手方向に沿って且つ互い
に間隔を隔てて複数突出形成されている。このように、
シリンダヘッド側よりも高温となる排出下流側の側壁１
６に冷却フィン１４を形成して放熱させることにより、
温度差を小さくして熱膨張量の差を減ずることができ、
排気マニホールド１の変形を規制して排気の漏出や損傷
を防止することができる。

またこのようにして側壁１６に形成した冷却フィン１４
は、大きく膨脹しようとする側壁１６の剛性を高める補
強リブとしても機能し、冷却フィン１４の放熱効果と相
俟って上述したような排気マニホールド１の反り返るよ
うな変形を規制することができる。特に本実施例にあっ
ては、ボルト支持部１３相互間を連結するように冷却フ
ィン１４を形成しており、ボルト取付間隔Ｌの拡大を規
制して排気マニホールド１の変形を抑制でき、シリンダ
ヘッドへの取付けを強固なものとしている。更に第４図
に示すように、排気マニホールド１には、これをシリン
ダヘッドに取り付けるために、ボルト支持部１３からス
リーブ状に形成されてボルト１２を案内するボルト挿通
部１７が内設されている。そして殊に、このボルト挿通
部１７のシリンダヘッド側の側壁１５側及び排気下流側
の側壁１６側には、相当の角度で斜めに面取りされて口
広な拡径部１８が形成される。この拡径部１８は、シリ
ンダヘッド側に対して排出下流側の側壁１６が膨脹する
際のボルト１２の傾斜をある程度許容して、ボルト１２
とボルト支持部１３とのかじりつき等を防止してボルト
１２の変形や損傷を抑止するように機能する。

次に、本実施例の作用を説明する。

排気室３は、各気筒からの排気を集合させて、排気流の
脈動等による圧力変動を抑制する。断熱層４は、この高
温な排気の熱が外殻５に伝達するのを遮断し、排気の熱
損失を少なくする。そして特に排出下流側の側壁１６に
形成した冷却フィン１４はこれより放熱して、冷却水に
影響されるシリンダヘッド側の側壁１５との熱膨張量の
差を生じにくくする。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば、次のような優れた効果を
発揮する。

外殻のエンジン取付け側面部の反対側の側面部を冷却フ
ィンの放熱により冷却することができるようにしたの
で、外殻のエンジン取付け側面部とその反対側の側面部
との温度差を小さくして熱膨張量の差を減じることがで
き、排気マニホールドの変形を規制して排気の漏出や損
傷を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の好適一実施例を示す側断面図、第２図
はその正面図、第３図はその平面図、第４図は第２図に
おけるIV-IV線矢視図、第５図は従来例を示す平面図、
第６図は問題点を説明するための概略平面図である。 図中、１は排気マニホールド、１４は冷却フィン、１６
は排出下流側の外壁として例示した側壁である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンの気筒列方向に沿って長い静圧室
   を区画する直方体状の内殻と、該内殻をその外側から包
   囲する断熱層と、上記内殻をその断熱層の外側から包囲
   する直方体状の外殻とを備えた排気マニホールド構造に
   おいて、前記外殻にそのエンジン取付け側面部と反対側
   の側面部外面に、そのエンジン取付け側面部とその反対
   側の側面部との温度差をなくすべく冷却フィンを設けた
   ことを特徴とする排気マニホールド構造。