JP2660232B2 - 浴室用扉 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、浴室の出入口に設置す
るための折畳み式の浴室用扉に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】特にマンション等の集合住宅における浴
室の出入口には、周知の２枚折戸が多用されている。こ
の２枚折戸は、出入口を十分に大きく開放できるように
し、しかも、扉の開閉のための回転運動範囲を小さくし
て、比較的狭い浴室のスペースを少しでも広く利用でき
るようにする、という目的達成のためには有効なもので
あるが、それでも折戸の開閉のための回転運動範囲が十
分に小さいとは言えず、その運動範囲内には物を置くこ
とができないなど、満足できる効果を発揮していない。

【０００３】このような問題を解決するためには、上記
２枚折戸に代えて合成樹脂等の防水性シートからなるカ
ーテン状のものを用いることも考えられる。この場合に
は、理屈として、上述した扉の回転運動範囲等がなく、
コンパクトに折り畳めることにはなるが、実際上は、そ
のカーテンが開閉に伴って揺動するため、その揺動範囲
内に物を置いたりすることはできず、また、カーテンに
勢いよく湯水がかかった時には、それが脱衣・洗面室側
に押されてその脱衣・洗面室に湯水がたれるおそれもあ
り、それを防止するためにカーテンを長くすると、裾を
踏み付けるとか、カーテンの揺動範囲が一層大きくなる
という問題があり、結果的に、比較的狭い浴室のスペー
スを少しでも広く利用できるようにする、という目的達
成のために有効ではない。さらに、カーテン状のもので
は施錠できないなどの不都合もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、比較的狭い浴室のスペースを少しでも広く利用でき
るようにするため、扉の回転運動範囲等がなく、しかも
浴室の出入口を十分に大きく開放することができ、ま
た、可撓性のシート状材料を用いながらも、勢いよく湯
水がかかった時に殆ど変形することがない浴室用扉を提
供することにあり、さらに、その開閉を可動框により極
めて容易に行えるようにした浴室用扉を提供することに
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の折畳式扉は、上下枠及び左右の側枠からなる
扉枠における一方の側枠に、左右に伸縮自在のスクリー
ンの基端を固定すると共に、該スクリーンの他端を上下
枠にガイドされて左右に摺動する開閉操作用の可動框に
取付け、上記スクリーンは、可撓性のシート状材料から
なる筒状部を順次その長手方向に沿って接合した形態を
有し、且つそれらの筒状部を重ねて折り畳むことにより
表裏両面に山形突出部が列設されたものとし、上記スク
リーンにおける少なくとも浴室側面に防水性を付与した
ことを特徴とするものである。

【０００６】上記浴室用扉においては、スクリーンに取
付けた可動框に適宜間隔で複数の張紐の各一端を固定
し、それらの張紐を、スクリーンにおける各筒状部間に
形成される一定巾の接合部分に開設した通孔を通して、
スクリーン中に水平に挿通し、該スクリーンの一端を取
付けた側枠内の転向子に巻き掛けたうえで、上下枠のい
ずれかの枠内を通して他方の側枠側に導き、該他方の側
枠において転向子に巻き掛けて折り返し、それらの張紐
の他端を可動框における上下端に固定し、これにより可
動框の姿勢を拘束する平行移動機構を構成させることが
できる。

【０００７】

【作用】上記浴室用扉においては、スクリーンを、可撓
性のシート状材料からなる筒状部を順次その長手方向に
沿って接合した形態を有し、且つそれらの筒状部を重ね
て折り畳むことにより表裏両面に山形突出部が列設され
るものとしているので、そのスクリーンの折り畳みによ
りそれが極めてコンパクトに側枠と可動框の間に収容さ
れ、出入口が十分に大きく開放される。しかも、扉の回
転運動範囲等がなく、比較的狭い浴室のスペースを十分
に広く利用することが可能になる。

【０００８】また、上述したように、スクリーンを比較
的強度の小さい可撓性のシート状材料で形成している
が、互いに接合した筒状部を重ねて折り畳むことにより
表裏両面に山形突出部が列設された形態をもたせている
ので、そのスクリーンの表裏面に作用する力に対して比
較的大きい耐変形強度を示し、シャワー等により勢いよ
く湯水がかかるようなことがあっても、可及的に変形す
るのを抑止することができる。しかも、その表面には山
形突出部が列設されているので、それに湯水がかかった
時にも、湯水の力が直ちにスクリーンを変形させるため
の力として作用することなく、山形突出部の斜面におい
て分散し、スクリーンの変形が効果的に抑止される。さ
らに、可動框の姿勢を拘束する平行移動機構を付設する
ことにより、該可動框の姿勢を一定に保持してスクリー
ンの開閉を該可動框により極めて容易に行うことが可能
になる。

【０００９】

【実施例】図１及び図２は、本発明にかかる浴室用扉の
実施例を示している。この浴室用扉は、浴室の出入口に
設置するための扉枠１を備えている。この扉枠１は、上
枠１１、下枠１２及び左右の側枠１３，１４を連結する
ことにより構成され、一方の側枠１３には左右に伸縮自
在のスクリーン２の基端を固定し、該スクリーン２の他
端には、上下枠１１，１２にガイドされて左右に摺動す
る開閉操作用の可動框１６を取付けている。なお、１７
は可動框１６の下端に取付けて下枠１２上を転動するよ
うにした転動輪を示している。

【００１０】上記スクリーン２は、織布、不織布、紙、
合成樹脂シート等の可撓性シート状材料で形成すること
ができるが、そのシート状材料が防水性を有していない
場合には、樹脂をコーティングしたり防水剤を塗布する
などの手段により防水性を付与する必要がある。この場
合に、スクリーン２の表裏両面に防水性を付与すること
が望ましいが、少なくともその浴室側面には防水性を付
与することが必要である。また、このスクリーンは、採
光等のためにある程度の透光性を有する素材により形成
することができ、必要があれば、部分的に透光性を有す
るものとすることができる。そして、このスクリーン２
は、上記シート状材料により形成した多数の筒状部２１
を順次その長手方向に沿う一定巾の接合部分２２におい
て接合した形態をもたせ、且つそれらの筒状部２１を重
ねて折り畳むことにより表裏両面に山形突出部２３が列
設されたものとしている。

【００１１】このような形態のスクリーン２は、上記シ
ート状材料を一旦筒状に形成してから、それらを順次接
合部分２２において接着等により接合して製作すること
もできるが、図３に示すように、二つ折りにした表面用
及び裏面用のシート材３１，３２の多数を、二つ折りに
より形成された山形部分３３，３４を外側に向けると同
時に、それらのシート材の遊端３５，３６を互いに突き
合わせて配置し、隣接する表面用シート材３１，３１の
互いに接する遊端３５，３５及びそれらの遊端に対向す
る他方のシート材３２における遊端３６，３６を接合用
のシート材３７に接着等で接合することによっても構成
することができる。この場合には、一対の表面用シート
材３１及び裏面用シート材３２における両遊端３５，３
６を接合用シート材３７で接合することにより、前記筒
状部２１が形成され、また、接合用のシート材３７が前
記接合部分２２に相当することになる。

【００１２】また、上記スクリーン２は、図４に示すよ
うに、図３の表面用及び裏面用シート材３１，３２をそ
れらの一方の遊端で互いに接合した状態のシート材４１
とすることもでき、即ち、シート材４１の両側端を内側
に折り返して、それらの遊端４５，４６を互いに突き合
わせ、それらの遊端４５，４６を、隣接する筒状部を形
成するところのシート材４１の中央部４７の接着で接合
することにより構成することもできる。

【００１３】一方、上記浴室用扉においては、可動框１
６の姿勢を拘束してそれを安定的に開閉移動させるため
に、図１に示すような平行移動機構５を付設している。
この平行移動機構５は、スクリーン２に取付けた可動框
１６に適宜間隔で複数の張紐５１〜５３の各一端を固定
し、それらの張紐５１〜５３を、スクリーン２における
各筒状部２１間に形成される一定巾の接合部分２２に開
設した通孔を通して、スクリーン２中を水平に挿通し、
該スクリーン２を取付けた側枠１３内の転向子（プーリ
ー）５４〜５６及び側枠１３の下端の転向子５７（プー
リー）に巻き掛けたうえで、下枠１２内を通して他方の
側枠１４側に導き、該側枠１４において転向子５８，５
９（プーリー）に巻き掛けて折り返し、可動框１６の上
部に一端を取付けた張紐５１は転向子５８から直接折り
返して可動框１６の下端に、可動框１６の中間部及び下
部に一端を取付けた張紐５２，５３の他端は転向子５９
を介して可動框１６における上端に固定することにより
構成している。

【００１４】なお、図示した実施例では、一端を可動框
１６に取付けた張紐５１〜５３を、側枠１３から下枠１
２内を通して他方の側枠１４に導くようにしているが、
その全部または一部を上枠１１内を通して他方の側枠１
４に導くこともできる。また、上記可動框１６からスク
リーン２中を水平に挿通する張紐５１，５３を、スクリ
ーン２の上下端に近い位置に配設し、それらの張紐５
１，５３を、上下枠１１，１２に設けた溝１１ａ，１２
ａを通してそれらの枠に係合しながらスクリーン２と共
に移動する係合子６１，６２に挿通しておくことによ
り、風等によってスクリーン２の上下端が上下枠１１，
１２から離脱するのを抑止することができる。さらに、
上記実施例では、可動框１６を手動で開閉するようにし
た構造を示しているが、それを張紐に連結したバネや重
錘の力、あるいはモータ等の駆動装置における駆動力に
より自動開放させ、または自動閉鎖するように構成する
こともできる。

【００１５】上記構成を有する浴室用扉においては、ス
クリーン２を、可撓性のシート状材料からなる筒状部２
１を順次その長手方向に沿って接合した形態をもたせ、
且つそれらの筒状部２１を重ねて折り畳むことにより表
裏両面に山形突出部２３が列設されるものとしているの
で、そのスクリーン２を折り畳みにより極めてコンパク
トに側枠１３と可動框１６の間に収容することができ、
試作例においては、通常の浴室出入口に設置する２枚折
戸に代えてこの浴室用扉を設置した場合に、折り畳んだ
スクリーン２の厚さを２ｃｍ以内にとどめることができ
た。従って、上記扉によれば、一般的に比較的狭い浴室
の出入口を十分に大きく開放することができ、しかも、
従来の２枚折戸のように、扉の開閉時における回転運動
範囲等がなく、比較的狭い浴室のスペースを十分に広く
利用することが可能になる。

【００１６】また、上述したように、スクリーン２を比
較的強度の小さい可撓性のシート状材料で形成している
が、互いに接合した筒状部２１を重ねて折り畳むことに
より表裏両面に山形突出部２３が列設される形態をもた
せているので、そのスクリーン２の表裏面に作用する力
に対して比較的大きい耐変形強度を示し、シャワー等に
より勢いよく湯水がかかるようなことがあっても、可及
的に変形するのを抑止することができる。しかも、その
表面には山形突出部２３を列設しているので、それに湯
水がかかった時にも、湯水の力が直ちにスクリーンを変
形させるための力として作用することなく、山形突出部
２３の斜面において分散し、スクリーンの変形が効果的
に抑止され、かかった湯水も山形突出部２３の間を通し
て直ちに流下させることができるので、脱衣・洗面室側
に湯水がたれるのを防止することができる。

【００１７】さらに、上記スクリーン２に、可動框１６
の姿勢を拘束する平行移動機構５を付設すれば、その可
動框１６の姿勢が張紐５１〜５３により常に一定に保持
されるので、スクリーン２の開閉を該可動框１６により
極めて容易に行うことが可能になる。

【００１８】また、上記スクリーン２においては、筒状
部２１により内部に空気層が設けられるため、可撓性の
シート状材料で形成しているにも拘らず断熱性に優れ、
特に冬期における浴室を効果的に断熱することができ、
さらに、扉として単なるカーテン状のものを用いる場合
に比して、側枠１４と可動框１６との間で安定的に施錠
することができ、それにも拘らず、浴室内で事故があっ
た時などにはスクリーンを強い力や刃物で比較的容易に
切り裂くことによりその事故に対処することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上に詳述したように、本発明によれ
ば、浴室用扉として、可撓性のシート状材料からなる筒
状部を順次その長手方向に沿って接合した形態を有し、
且つそれらの筒状部を重ねて折り畳むことにより表裏両
面に山形突出部が列設されたスクリーンを用いているの
で、従来の２枚折戸のように扉の回転運動範囲等がな
く、比較的狭い浴室のスペースを少しでも広く利用する
ことができ、しかも浴室の出入口を十分に大きく開放す
ることができる。また、扉を構成するスクリーンとして
上述したような可撓性のシート状材料を用いながらも、
勢いよく湯水がかかった時に殆ど変形することがなく、
さらに、平行移動機構を付設することにより、そのスク
リーンの開閉を可動框により極めて容易に行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る浴室用扉の実施例の縦断面図であ
る。

【図２】同水平断面図である。

【図３】上記実施例において用いるのに適したスクリー
ンの要部拡大断面図である。

【図４】上記実施例において用いるのに適した他の構造
のスクリーンの要部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 扉枠、 ２ スクリーン、 ５ 平行移動機構、 １１ 上枠、 １２ 下枠、 １３，１４ 側枠、 １６ 可動框、 ２１ 筒状部、 ２２ 接合部分、 ２３ 山形突出部、 ３１，３２，３７，４１ シート材、 ５１〜５３ 張紐、 ５４〜５９ 転向子。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】浴室の出入口に設置するための扉であっ
   て、 上下枠及び左右の側枠からなる扉枠における一方の側枠
   に、左右に伸縮自在のスクリーンの基端を固定すると共
   に、該スクリーンの他端を上下枠にガイドされて左右に
   摺動する開閉操作用の可動框に取付け、 上記スクリーンは、可撓性のシート状材料からなる筒状
   部を順次その長手方向に沿って接合した形態を有し、且
   つそれらの筒状部を重ねて折り畳むことにより表裏両面
   に山形突出部が列設されたものとし、 上記スクリーンにおける少なくとも浴室側面に防水性を
   付与した、ことを特徴とする浴室用扉。
2. 【請求項２】請求項１に記載の浴室用扉において、 スクリーンに取付けた可動框に適宜間隔で複数の張紐の
   各一端を固定し、それらの張紐を、スクリーンにおける
   各筒状部間に形成される一定巾の接合部分に開設した通
   孔を通して、スクリーン中に水平に挿通し、該スクリー
   ンの一端を取付けた側枠内の転向子に巻き掛けたうえ
   で、上下枠のいずれかの枠内を通して他方の側枠側に導
   き、該他方の側枠において転向子に巻き掛けて折り返
   し、それらの張紐の他端を可動框における上下端に固定
   し、これにより可動框の姿勢を拘束する平行移動機構を
   構成させた、ことを特徴とする浴室用扉。