JP2659260B2 - 感光材料処理装置の加水方法 - Google Patents

感光材料処理装置の加水方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は感光材料処理装置の処理槽に貯留された処理
液の濃度を一定に保持するための感光材料処理装置の加
水方法に関する。
〔従来技術〕
感光材料処理装置の一部である自動現像機では、例え
ば、現像槽、漂白槽、定着槽、水洗槽及び安定槽等の各
槽が設けられ、それぞれ現像液、漂白液、定着液、水洗
水及び安定液等が貯留されている(以下総称して処理液
という)。焼付処理された感光材料は、順次各処理槽へ
浸漬され、現像処理がなされた後、乾燥装置へと至り乾
燥されて取り出される。
処理液は、感光材料の処理量に応じて補充処理液の補
充を行っているため、一定の組成に保たれる。ところ
が、蒸発による処理液の減量は、処理液中の水分のみが
減るため、処理液の濃度が変化し、処理の性能が悪化す
ることになる。このため、本来の処理液濃度を保つため
には、補充液とは別に蒸発された分の水を加える必要が
ある。しかし、蒸発量は、周囲の環境、すなわち、温度
や湿度によって異なり、また、装置が稼働中が休止中か
によっても異なるため、演算によって一義的に定めるこ
とはできない。
このため、各処理槽に処理液中にフロート等の液面セ
ンサを取付け、この液面センサからの検出値に基づいて
加水することが提案されている(一例として特開昭1−
281446号公法参照)。これによれば、液面センサで処理
液の濃度変化が認識でき、適量の加水を行うことができ
る。
ところが、液面センサは信頼性が低く、誤検出する場
合があり、適正な加水を行えないことがある。これは、
濃度センサ(比重計等)についても言えることであり、
かつこれらの液面センサや濃度センサはコストが高く、
実用性に乏しい。このため、実際の処理槽とは別にモニ
タ用の処理槽を設け、この処理槽の蒸発度合いに基づい
て実際の処理槽へ加水することが提案されている(特開
平1−254959号、特開平1−254960号公報参照)。
これによれば、実際の蒸発量と同等のデータを得るこ
とができるので、信頼性が向上する。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記のような加水システムでは、実際
の処理槽とは別にモニタ用の処理槽が必要であるため、
装置が大型化され部品点数も増加するこという問題点が
ある。また、実際の処理槽と同等の条件とするための管
理やメンテナンスが煩雑となるという問題点もある。
本発明は上記事実を考慮し、装置自体に蒸発量を得る
ための装備が不要で信頼性の高い適正な加水量を得るこ
とができ、かつ管理、メンテナンス性を向上することが
できる感光材料処理装置の加水方法を得ることが目的で
ある。
〔課題を解決するための手段〕
請求項(1)に記載の発明は、感光材料処理装置に用
いられ感光材料を処理する処理液が貯留された処理槽か
らの蒸発分を加水して処理液の濃度を一定に保持するた
めの感光材料処理装置の加水方法であって、前記処理槽
から蒸発する蒸発量データを前記感光材料処理装置の運
転時間中、スタンバイ時間中及び停止時間中のそれぞれ
において、各種の環境条件で予め測定しておき、この測
定された蒸発量データと感光材料処理装置の稼働状態及
び稼働時の環境とに基づいて加水量を定めることを特徴
としている。
請求項(2)に記載の発明は、前記請求項1記載の感
光材料処理装置の加水方法であって、前記感光材料処理
装置の稼働状態である運転、スタンバイ及び停止のそれ
ぞれの継続時間に基づいて加水量を定めることを特徴と
している。
〔作用〕
請求項(1)に記載の発明によれば、感光材料処理装
置の処理槽からの蒸発量を予め測定しておき、例えば装
置内部の制御装置の記憶部へ記憶しておく。この記憶す
る蒸発量データは、稼働状態(運転時間中、スタンバイ
時間中、停止時間中)毎に記憶され、実際の稼働時に
は、稼働状態とこの稼働時の環境条件とをパラメータと
して所定の演算式で演算し、加水量を得る。
なお、運転とは、処理槽内の処理液が処理に十分な温
度に加温され、感光材料の駆動系が駆動している場合を
言い、スタンバイとは、処理槽内の処理が少なくとも運
転に切り換わるときに迅速に前記十分な温度に立ち上が
ることができる温度に保持され、駆動系が停止している
場合を言い、停止とは、温度調整、駆動系が共に非作動
状態の場合を言う。
このようにすれば、蒸発量を正確に予測することがで
きるので、処理液の濃度をほぼ一定に保持することがで
き、安定した現像処理を行うことができる。
このため、感光材料処理装置へ蒸発量を定めるための
装備が不要となり、装置自体をコンパクトにすることが
できる。また、処理槽へフロート等の液面センサを設け
たり、実際に処理液の濃度を測定する比重計を設ける必
要がないので、この液面センサや濃度センサの経時的な
劣化による誤検出で、不適正な加水をするような不具合
も解消することができる。
請求項(2)に記載の発明によれば、感光材料処理装
置の運転時間、スタンバイ時間及び停止時間の各時間に
より、蒸発量は異なる。このため、これらの各時間に基
づいて加水量を定めることにより、一定量の加水を行う
のに比べ、感光材料処理装置の稼働状態に応じた加水を
行うことができる。
〔実施例〕
第1図には本発明に係る感光材料処理装置としての自
動現像機が示されている。この自動現像機では現像槽
(N1)12、漂白槽(N2)14、漂白定着槽(N3−1)16、
定着槽(N3−2)18、水洗槽(NS−1、NS−2)22、2
4、安定槽(N4)26が直列に載置され各々現像液、漂白
液、漂白定着液、水洗水、安定液の各処理液が所定量充
填されており、感光材料Fは図示しない搬送系によりこ
れらの処理槽へ順次搬送されるようになっている(以下
総称する場合に処理槽10という)。この搬送系は制御装
置78によって制御されている。この制御装置78には、現
像槽12の入口に設けら、感光材料Fの通過を検出するセ
ンサ76の信号線が接続され、制御装置78で感光材料Fの
有無を認識することができるようになっている。
第1図に示される如く、処理槽10の近傍には水タンク
36が配設されている。この水タンク36は配管34を介して
漂白槽14と連通されている。配管34の中間部には制御装
置78によって駆動制御されるポンプ32が介在されてお
り、このポンプ32の駆動によって漂白槽14へ水が供給さ
れる構成となっている。また、水タンク36に隣接して、
補充液タンク44が配設されており、配管42を介して漂白
槽14と連通されている。この配管42の中間部には制御装
置78によって駆動制御されるポンプ38が介在され、前記
水供給と同様に、ポンプ38の駆動によって漂白補充液が
漂白槽14へ補充される構成となっている。
なお、漂白槽14へ水補充を行う配管34には、ポンプ32
の上流側で分岐配管35が設けられている。この分岐配管
35は現像槽12へ延設されている。分岐配管35の中間部に
は制御装置78によって駆動制御されるポンプ33が介在さ
れポンプ33の駆動によって現像槽12へ水が供給されるよ
うになっている。
前記漂白槽14以外の処理槽である現像槽12、定着槽1
8、安定槽26には、それぞれ補充処理液を供給するため
の配管56、58、62が設けられている。また水洗槽24へは
水供給管64が配置され水洗水補充用となっている。水洗
槽24からはオーバーフロー66によって水洗水が水洗槽22
へと送られ、また定着槽18からはオーバーフロー67によ
って漂白定着槽16へと定着液が送られるようになってい
る。水洗槽22の水洗水はポンプ72及び配管73によって定
着槽18へと送られる構成である。なお、これらのポンプ
の駆動においても、前記制御装置78によって制御されて
いる。
第1図に示される如く、制御装置78はマイクロコンピ
ュータ80を含んで構成されている。マイクロコンピユー
タ80は、CPU82、RAM84、ROM86、入出力ポート88及びこ
れらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス
90で構成されている。入出力ポート88へは、前記ポンプ
32、33、38、46、72がそれぞれドライバ32A、33A、38
A、46A、72Aを介して接続されている、また、この入出
力ポート88へはセンサ76が接続されている。また、この
入出力ポート88には、搬送系への信号線92も接続されて
いる。
マイクロコンピユータ80のRAM84には、第1表に示す
蒸発補正のための各種運転条件における本実施例に係る
自動現像機の加水量の条件を示すデータが記憶されてい
る。この蒸発補正データは各処理槽10毎の蒸発速度をス
タンバイ状態、運転状態及び夜間休止状態の各稼働状態
で測定し、かつ5種の環境条件で測定したデータ(第2
表左側参照)と、1日の稼働状態を6種の組み合わせを
想定してそれぞれの環境条件で測定した測定データ(第
2表右側参照)とによって定められるものである。
また、マイクロコンピユータ80のROM86には、第2図
及び第3図に示される補充液補充プログラム及び加水制
御プログラムが記憶されている。また、ROM86には加水
制御プログラムで適用される前記第1表のパラメータに
基づいて加水量を求めるための演算式(下式参照)が記
憶されている。
加水量=TS×VS+(TD×VD+TO×VO)×fi−α ……(1) 但し、 TS:スタンバイ時間(hour) TD:運転時間(hour) TO:休止時間(hour) VS:スタンバイ時の蒸発速度(ml/hour) VD:運転時の蒸発速度(ml/hour) VO:休止時の蒸発速度(ml/hour) fi:補正係数(i=0、1、2) i=1……標準条件 i=2……低湿度条件 i=3……高湿度条件 α:定数(洗浄水の補正) である。
ここで、補正係数fiは、第2表の蒸発速度の32℃/80
%及び15℃/20%を両極端とし、その平均を1.0(f0)と
して、それぞれの比率を定めている(f2=0.8、f1=1.
2)。但し、適用される自動現像機が載置される環境の
変化度合い(ふれ幅)や目標とする蒸発補正レベルによ
って変わるものである。
従って、本実施例では第1表に示される如く、各補正
係数をf1=1.2、f2=0.8としたが、それぞれ下記の値の
範囲を取り得る。すなわち、これらは各環境条件で求め
た蒸発速度の比率から求めるため、前記環境のふれ幅が
異なることにより、補正係数もこれに応じて変換するた
めである。
1.0<f1≦1.4 ……(2) 0.6<f2≦1.0 ……(3) 次に本実施例の作用を第2図及び第3図の制御フロー
チャートに従い説明する。
感光材料Fは現像槽12から順次漂白槽14、漂白定着槽
16へと案内されて現像、漂白等の処理が行われ、安定槽
26から引出された後に乾燥される。
ステツプ100では、加水処理制御が行われるが、これ
については後述する。制御装置78はセンサ76の検出によ
り所定期間内における感光材料Fの処理面積A0及びこの
A0に基づく各処理槽10の処理液の劣化を回復するため必
要な補充処理液量VROを演算し、これを感光材料Fの処
理枚数又は処理面積に応じて積算し積算値VRを求める
(ステツプ102、104、106)。
感光材料Fの処理量が一例としてネガフイルム50本分
になると、補充液の処理タイミングであると判断される
と(ステツプ108)、ステツプ110へ移行して補充液が供
給され、次のステツプ112で継続処理するか否かが判断
され、肯定判定の場合はステツプ100へ移行する。ま
た、ステツプ108で補充タイミングではないと判断され
ると、ステツプ108からステツプ114へ移行して稼働状
態、すなわち現在運転中であるのか、スタンバイ中であ
るのか或いは休止中であるのかを判断して、その時間を
それぞれTD、TS、TOへ積算し、ステツプ100へ移行す
る。
このような補充液補充を繰返すことによって常に処理
液を所定の濃度に維持することができる。
次にステツプ100の加水制御サブルーチンについて説
明する。第3図に示される如く、ステツプ200では、加
水時期であるか否かを判断する。本実施例では、装置の
メイン電源スイツチがオンされた時を加水時期として判
断している。ここで、否定判定された場合は、加水の必
要がないので、リターンする。また、肯定判定された場
合は加水時期であるので、ステツプ204へ移行して環境
の判断をし、補正係数のfiのiの数値を定める。
次のステツプ206では、TD、TS、TOの値が別個に読み
込まれ、次いでステツプ208でこれらの変数TD、TS、TO
の値がクリアされる。次のステツプ210では制御装置78
のRAM84に記憶されている第1表のVS、VD、VO及びfi、
αが読み出され、ステツプ212へ移行して前述の演算式
((1)式参照)に基づいて演算が行われる。次にステ
ツプ214では演算によって得られた値の加水量に基づい
て、ポンプを駆動させ、加水を行う。
この加水処理は、必要な各処理毎に行われ(ステツプ
210、212、214の繰り返し)、ステツプ216で各処理槽へ
の加水が終了したと判断されると、メインルーチンへリ
ターンする。
なお、第3表は前記演算式と第1表の条件パラメータ
とに基づいて各種運転条件における本実施例の適用され
た自動現像機の蒸発補正に必要な1日の加水量を演算し
た結果を示す。この演算結果と第2表の蒸発量とを比較
すると、両者は近似し効果的な蒸発補正が行われること
が分かる。従って、本実施例のような演算によって得ら
れた加水量を加水することにより、1日に一定量を加水
する場合に比較して、極めて効果的な加水がなされ、処
理液の濃度をほぼ一定に保持することができ、安定した
現像処理を行うことができる。
なお、本実施例では各種の環境条件に基づく蒸発補正
データをさらに自動現像機の稼働状態(運転、スタンバ
イ、停止)毎に別個に定めたが、自動現像機の各稼働状
態の時間で加水量を定めるのみでも一定量の加水を行う
場合に比べ、より適正な加水制御を行うことができる。
また、環境を温度及び湿度によって区別したが、ウエ
ツト、標準、ドライ等の地域別や季節で区別することに
よって補正するだけでも、一定量の加水よりも効果的に
加水制御を行うことができる。
〔発明の効果〕
以上説明した如く本発明に係る感光材料処理装置の加
水方法は、装置自体に蒸発量を得るための装備が不要で
信頼正の高い適正な加水量を得ることができ、かつ管
理、メンテナンス性を向上することができるという優れ
た効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明が適用された自動現像機を示す概略断面
図で、第2図はメインルーチンを示す制御フローチヤー
ト、第3図は加水制御サブルーチンを示すフローチヤー
トである。 F……感光材料、 12……現像槽、 14……漂白槽、 16……漂白定着槽、 18……定着槽、 32、38、46……ポンプ、 36……水タンク。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】感光材料処理装置に用いられ感光材料を処
    理する処理液が貯留された処理槽からの蒸発分を加水し
    て処理液の濃度を一定に保持するための感光材料処理装
    置の加水方法であって、前記処理槽から蒸発する蒸発量
    データを前記感光材料処理装置の運転時間中、スタンバ
    イ時間中及び停止時間中のそれぞれにおいて、各種の環
    境条件で予め測定しておき、この測定された蒸発量デー
    タと感光材料処理装置の稼働状態及び稼働時の環境とに
    基づいて加水量を定めることを特徴とする感光材料処理
    装置の加水方法。
  2. 【請求項2】前記請求項1記載の感光材料処理装置の加
    水方法であって、前記感光材料処理装置の稼働状態であ
    る運転、スタンバイ及び停止のそれぞれの継続時間に基
    づいて加水量を定めることを特徴とする感光材料処理装
    置の加水方法。
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