JP2657459B2

JP2657459B2 - 植生用ブロック

Info

Publication number: JP2657459B2
Application number: JP5240629A
Authority: JP
Inventors: 英喜岩崎
Original assignee: NISHINIPPON ENJINIARINGU KK
Current assignee: NISHINIPPON ENJINIARINGU KK
Priority date: 1993-08-31
Filing date: 1993-08-31
Publication date: 1997-09-24
Anticipated expiration: 2012-09-24
Also published as: JPH0771044A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たとえば河川の堤防な
どの斜面に、芝草等の植物を植生するためのブロックに
関し、特に、植生した植物の根腐れや枯死を防止できる
ようにした植生用ブロックに関する。

【０００２】

【従来の技術】堤防などの斜面に芝草等を植生する場合
に、土壌の崩壊や流出を防止するために、上面が開放し
た箱状のブロック(101)を、図５のように堤防(102)の斜
面に沿って列設し、ブロック中に土を充填して、植物を
植生することが行われている。

【０００３】従来の植生用ブロック(101)は、たとえば
セメントやコンクリートを用いて、図６のように、上面
が開放した箱状に形成されている。また、ブロック(10
1)の底面には、ブロック内の過剰な水分を排出するため
の排水孔(103)が設けられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】図６に示す従来の植生
用ブロック(101)は、それ自体には、隣接するブロック
と接合するための手段を備えていない。したがって、堤
防の斜面等に設置された各ブロックを、それぞれの位置
に保持するために、各ブロックの間にモルタルやコンク
リート等の充填剤を充填してそれぞれを接着している。
また、ブロック(101)の底面と堤防の斜面との間にも、
充填剤が充填されることがある。

【０００５】このため、ブロック(101)の底面に排水孔
(103)が設けられていても、ブロック(101)の内部に溜ま
った水を充分に排出することができず、ブロック(101)
に植生した芝草等が根腐れを起こす原因になっている。

【０００６】仮に、底面の下にコンクリート等が充填さ
れない場合であっても、各ブロックの間が格子状に充填
剤で塞がれているために、排水は、表面蒸発か表面浸透
によってしか行われず、排水効率がきわめて悪くなって
いる。また、ブロック(101)の４つの側面が完全に遮蔽
され、また、個々のブロックが独立して、完全に隔離さ
れているため、通気性が悪く、根腐れを起こしやすくな
り、部分的な枯死の原因を生み出している。

【０００７】本発明は、従来の植生用ブロックにおける
上記の不都合を改善した植生用ブロックを提供すること
を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明は、次のとおりに構成されている。

【０００９】底板と４面の側壁からなる正方形又は長方
形の有底箱状の前記底板に対向する上面がほぼ全面開放
され、前記箱内に土や砂利が充填されるとともに、前記
開放された上面が植生面を形成するようにそれらの側壁
が隣接するように多数配置される植生用ブロックであっ
て、各植生用ブロックの側壁には、隣接するブロックの
対応する透孔と対向させて透孔が形成されていることを
特徴とする植生用ブロック。

【００１０】各側壁に、それぞれ複数の透孔が穿設され
ていることが望ましい。

【００１１】４面の側壁の中、少なくとも隣接する２面
における透孔の上部の外面に、水平方向に延伸するスペ
ーサを突設し、スペーサ上方に充填剤を充填することが
望ましい。

【００１２】

【作用】底板や４面の側壁からなる独立した箱内に土や
砂利が独立して充填され、箱内の排水が十分でないよう
な構造であっても、各ブロックの内部の水分やガス体
が、透孔を通って互いに流通できるため、斜面に連接し
て配置したとき、内部の水分は、上部のブロックから順
次下方へ流下して効率よく排水され、さらに植生した植
物が成長すると、その根が透孔を通って隣接ブロックの
内部に進入し、互いに交錯して、各ブロックの位置保持
力を高めることができる。また、さらに箱の上面が全面
開放され、それらが同方向を向くように隣接配置される
ため、その大部分をブロック面の露出しない植生面にで
きる。

【００１３】

【実施例】図１は、本発明の植生用ブロックの一実施例
を示す斜視図であり、この実施例のブロック(10)は、従
来の植生用ブロックと同様に、セメントやコンクリート
を使用して、４面の側壁(11)と底板(12)とで、平面形が
正方形で、上面が開放した箱状に形成されている。各側
壁(11)の下半部には、それぞれ透孔(13)が透設されてい
る。

【００１４】この実施例では、各側壁(11)ごとに、左右
一対の透孔(13)が左右に並列して設けられている。各透
孔(13)は、ブロックの強度により許容される範囲で、大
きい開口面積を備えていることが望ましく、また、全側
壁に設ける必要もない。

【００１５】また、４面の側壁(11)の中、隣接する２面
の外面にスペーサ(14)が突設されている。図１では、手
前側にスペーサ(14)を設けた２面の側壁を示している。
前記スペーサ(14)は、透孔(13)の上縁より上部の位置で
水平方向に延伸し、平面形状をＬ字形として形成されて
いる。

【００１６】図２は、２個の植生用ブロック(10)を、堤
防の斜面等に設置した状態を示す部分断面図であり、各
ブロック(10)は、スペーサ(14)による間隔を設けて連接
され、それぞれの側壁(11)の透孔(13)が、互いに対向す
るように配置されている。各ブロック(10)の中には、土
(16)や砂利が充填され、芝草等の植物(17)が植生されて
おり、さらに土(16)や砂利は、隣接するブロックの側壁
(11)の間にも透孔(13)を通して充填される。

【００１７】各ブロック(10)の底板(12)と堤防等の設置
面(18)との間には、ブロック(10)中の水の排出に伴って
土(16)が流出しないように小石(16)が充填されており、
また、ブロックの内部から分離されているスペーサ(14)
の上方の隙間(19)には、モルタル等の充填剤が充填さ
れ、各々のブロック(10)同士が接着される。

【００１８】本発明の植生用ブロック(10)を上記のよう
に連接して設置した場合、隣接するブロックは、それぞ
れの透孔(13)が対向しているため、ブロック内の水分や
ガス体が各ブロックの間を、比較的自由に流通すること
ができる。

【００１９】したがって、堤防の斜面に設置した場合
に、水分は、上部のブロックから下方のブロックに順次
に流下して、充分な排水が行われ、水分の滞留による根
腐れを防止することができる。

【００２０】さらに、ブロック(10)に充填された土や砂
利は、透孔(13)を通ってブロック(10)の間の隙間にも充
填されるので、植生した芝草等(17)が成長すると、それ
らの根(20)が透孔(13)を通って、隣接するブロック内に
進入し、互いに交錯するようになり、この芝草等(17)の
根(20)によって、隣接するブロック同士がより強固に結
合される。

【００２１】図３は、本発明の第２実施例の植生用ブロ
ックを示す斜視図である。このブロック(30)は、底板(3
1)と４面の側壁(32)(33)(34)(35)とにより、平面形が正
方形又は長方形の箱状に形成されている。底板(31)の下
面には、斜面に設置されたときの上下方向に、３個の凹
溝(36)が刻設ており、また、各凹溝(36)には、ブロック
(30)の内部に連通する排水孔(37)が設けられている。

【００２２】４面の側壁の中、前側の側壁(32)の下部に
は、左右一対のボルト孔(38)が穿設され、その部分の外
面にスペーサ(39)が突設され、後側の側壁(34)には、前
側の側壁のボルト孔(38)に対向する位置に、左右一対の
ボルト孔(40)が穿設されている。

【００２３】右側の側壁(33)の下部には、中心に１個の
ボルト孔(41)が穿設され、その部分の外面に、スペーサ
(42)が突設されている。また、左側の側壁(35)には、右
側の側壁のボルト孔(41)に対向する位置に、１個のボル
ト孔(43)が穿設されている。後側及び左側の側壁(34)(3
5)の外面には、スペーサは設けられていない。

【００２４】図４は、第２実施例のブロック(30)を千鳥
状に連接して、芝草等を植生した状態を示す部分断面図
で、各ブロックは、スペーサ(39),(42)の部分で上下左
右に隣接するブロック同士が互いにボルトにより連結さ
れ、強固に結合されている。

【００２５】さらに、各側壁の透孔(44)(45)は、隣接の
ブロックの透孔と対向して設けられているので、ブロッ
ク内の水分やガス体は、ブロックの間を比較的自在に流
通することができて、底面の凹溝(36)による排水効果と
併せて、充分な排水が行われて、植生した植物の根腐れ
を防止することができる。

【００２６】この場合、各ブロック(30)の中には、土等
を充填され所要の芝草等を植生でき、さらにスペーサ(3
9)(42)により形成されるブロック間の隙間に、適宜に土
(16)又は小石(15)等が充填されれば、芝草等を植生で
き、堤防の斜面を芝草等でより完全に覆うことができ
る。また、この実施例の場合、透孔(44)、(45)を結ぶ芝
草等の根からこのブロック間の隙間に芝草等が生えるこ
とにより、特別この隙間部分に植生する必要がない。

【００２７】

【発明の効果】（ａ）底板や４面の側壁からなる独立し
た箱内に土や砂利が独立して充填され、箱内の排水が十
分でないような構造であっても、各ブロックの内部の水
分やガス体が、透孔を通って互いに流通できるため、斜
面に連接して配置したとき、内部の水分は、上部のブロ
ックから順次下方へ流下して効率よく排水され、さらに
植生した植物が成長すると、その根が透孔を通って隣接
ブロックの内部に進入し、互いに交錯して、各ブロック
の位置保持力を高めることができる。

【００２８】（ｂ）箱の上面が全面開放され、それらが
同方向を向くように隣接配置されるため、その大部分を
ブロック面の露出しない植生面にできる。

【００２９】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の植生用ブロックの一実施例を示す斜視
図である。

【図２】図１の植生用ブロックを連接して配置した状態
を示す部分断面図である。

【図３】本発明の植生用ブロックの第２の実施例を示す
斜視図である。

【図４】図３のブロックの使用状態を示す断面図であ
る。

【図５】従来の植生用ブロックを、堤防の斜面に装着し
た状態を示す斜視図である。

【図６】従来の植生用ブロックの斜視図である。

【符号の説明】

(10)植生用ブロック (11)側壁 (12)底板 (13)透孔 (14)スペーサ (15)小石 (16)土 (17)芝草等の植物 (18)設置面 (19)隙間 (20)根 (30)植生用ブロッ
ク (31)底板 (32)(33)(34)(35)側壁 (36)凹溝 (37)排水孔 (38)ボルト孔 (39)スペーサ (40)ボルト孔 (41)ボルト孔 (42)スペーサ (43)ボルト孔 (44)(45)透孔

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】底板と４面の側壁からなる正方形又は長
方形の有底箱状の前記底板に対向する上面がほぼ全面開
放され、前記箱内に土や砂利が充填されるとともに、前
記開放された上面が植生面を形成するようにそれらの側
壁が隣接するように多数配置される植生用ブロックであ
って、各植生用ブロツクの側壁には、隣接するブロック
の対応する透孔と対向させて透孔が形成されていること
を特徴とする植生用ブロック。
【請求項２】各側壁に、それぞれ複数の透孔を穿設した
ことを特徴とする請求項１に記載の植生用ブロック。
【請求項３】４面の側壁の中、少なくとも隣接する２面
における透孔の上部の外面に、水平方向に延伸するスペ
ーサを突設し、スペーサ上方に充填剤を充填したことを
特徴とする請求項１又は２に記載の植生用ブロック。