JP2653583B2 - 表面にポリアミック酸層を有するポリイミドフィルム及びこれを用いたフレキシブル印刷回路用基板 - Google Patents

表面にポリアミック酸層を有するポリイミドフィルム及びこれを用いたフレキシブル印刷回路用基板

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JP2653583B2 JP3236177A JP23617791A JP2653583B2 JP 2653583 B2 JP2653583 B2 JP 2653583B2 JP 3236177 A JP3236177 A JP 3236177A JP 23617791 A JP23617791 A JP 23617791A JP 2653583 B2 JP2653583 B2 JP 2653583B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面にポリアミック酸
層を有するポリイミドフィルム及びこれを用いたポリイ
ミド以外の樹脂層を持たないフレキシブル印刷回路用基
板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド以外の樹脂層を持たない2層
フレキシブル印刷回路用基板は、電子機器の小型・軽量
化が進むにつれ、ますます用途が拡大し、同様に接着剤
層を持たないフィルムカバーレイの開発、さらに最近で
は従来の様な配線基板としてだけでなく、TAB用キャ
リアテ−プの様な支持フィルムに穴のあいた基板の利用
も増大してきている。
【0003】2層フレキシブル印刷回路基板用のポリイ
ミド以外の樹脂層を持たないカバーレイの製造方法とし
ては、2層フレキシブル印刷回路基板上にポリイミド前
駆体インクをスクリーン印刷法等で直接塗布・乾燥させ
る方法等が試みられているが、ポリイミド前駆体ワニス
をインクとして使用するには、チキソ性を上げるために
フィラー等を混入させる必要があり、基材であるフィラ
ーを持たないポリイミドフィルム層とフィラーの入った
ポリイミドカバーレイ層間でバランスを取ることが難し
く、そのために得られたカバーレイ付フレキシブル印刷
回路基板は耐折性が充分ではなかった。
【0004】一方、TAB等に用いられる支持フィルム
層に孔加工がされ、かつ導体配線を有するフレキシブル
印刷回路用基板の製造方法としては、予め支持フィルム
層にパンチング等で孔加工を行い、接着剤を用いて導体
層を貼合わせた後、配線回路を形成する方法や、導体層
にポリアミック酸溶液を直接塗布し、乾燥・イミド化を
行うか、支持フィルム層に蒸着法やスパッタリング法に
よって導体層を形成した後、レーザーあるいは強アルカ
リ性溶液によって支持フィルム層に孔加工を行い、その
後配線回路を形成する方法が用いられている。
【0005】しかし、従来用いられているこれらの方法
においては、それぞれに耐熱性、密着力、加工性、耐薬
品性に欠点を有している。先ず、接着剤層を持つ3層フ
レキシブル印刷回路用基板では、接着剤層の耐熱性が低
いため、支持フィルムにポリイミドを用いても、フレキ
シブル印刷回路用基板としての耐熱性は接着剤層の耐熱
性によって決定されるという欠点を有している。導体層
を蒸着やスパッタリング法で形成した場合、支持フィル
ム層と導体層の密着力が低いという欠点、あるいは樹脂
層を厚くしていった場合、たとえば導体層に直接ポリア
ミック酸を塗布・乾燥させ、厚膜を形成させるとイミド
化に伴う収縮による応力が導体層の支持力を上回り、乾
燥中に大きなカールを生じる。一方、導体層にポリアミ
ック酸溶液を直接何度か繰り返し塗布・乾燥し、さらに
イミド化すると工程中のカールは軽減されるが、導体層
に近い部分と導体層の反対側の部分では熱履歴が異なる
ためフィルム中のイミド化率及び溶剤残留量に差が生
じ、銅箔エッチング後のフィルムのカール・寸法変化率
等が大きくなる。またレーザーを用いる場合、特にエキ
シマレーザーを用いると微細加工性に優れ銅箔へのダメ
−ジも少ないが、強固なイミド結合を切断しなければな
らず、加工に時間を要し生産性が低いため、ランニング
コストが高いという問題点を有している。あるいはイミ
ド化後にアルカリエッチング可能な分子構造をもつポリ
イミドは、耐溶剤性が若干落ち、かつエッチング液とし
て強アルカリ性溶液を用いるために、危険性が高くまた
安易に廃液処理ができないという欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、表面にポリアミック酸層を有するポリイミドフ
ィルムと、これを用いることにより、ポリイミド以外の
樹脂層のないフレキシブル印刷回路板の本来持っている
耐アルカリ性、耐溶剤性、耐熱性、電気特性を低下させ
ることなく、フレキシブル印刷回路用基板を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に、イミ
ド化率10%以上50%以下の、半硬化状態のポリアミ
ック酸層を有するポリイミドフィルム及びこのフィルム
を支持フィルムとするフレキシブル印刷回路用基板であ
る。
【0008】本発明において、ポリイミドフィルム上に
半硬化状態のポリアミック酸フィルムを形成する方法
は、ポリイミドフィルム上にロータリーコーター、ナイ
フコーター、ドクターブレード、フローコーター等の公
知の塗布手段でポリイミドフィルム上端から1〜100μm
の均一な厚さに流延塗布した後、加熱乾燥することによ
り得ることが出来る。
【0009】ポリアミック酸層付ポリイミドフィルムの
ポリアミック酸面を導体箔に重ねて加熱・圧着後、充分
にイミド化を行う。
【0010】本発明において、ポリアミック酸溶液を乾
燥させ、半硬化状態のポリアミック酸フィルムを形成さ
せる条件としては、80〜200℃、5〜30分が適当である。
これより温度が低く時間が短い場合、導体箔と加熱圧着
する際、流動性が大きく、開孔部でのにじみ、しみ出し
が大きく、フィルム厚のバラツキも大きくなり、イミド
化後の寸法変化が大きくなる。またこれより温度が高く
時間が長い場合導体箔と加熱・圧着する際、流動性が小
さすぎ、導体箔もしくはフレキシブル印刷回路基板との
ピ−ル強度が低下し、ボイドの発生が多くなる。アミッ
ク酸の塗布厚みとしては、イミド化後の状態で50μm以
下が適当である。これより厚い場合は、イミド化に伴う
収縮による応力がポリイミドフィルムの支持力を上回
り、乾燥中に大きなカールを生じさせる。またフィルム
層が厚いため溶剤の蒸発速度が遅く、生産性が著しく低
下する。
【0011】本発明におけるポリアミック酸は、通常ジ
アミンと酸無水物とを反応させることにより得られる。
ジアミンとしては、フェニレンジアミン、ジアミノジフ
ェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノ
ジフェニルエ−テルなどを、酸無水物としては、トリメ
リット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物などを使用することができ、それぞれ1
種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ
る。ポリアミック酸フィルムの状態におけるイミド化率
は10〜50%、望むべくは20〜40%が望ましい。イミド化
率が10%未満ではタック性が残り作業性が悪いばかり
か、巻取った後に、離型フィルム背面に接着しフィルム
を一枚ずつ単離することが難しくなり、また50%以上イ
ミド化を施すと溶融特性が悪くなりアミック酸面を合わ
せて熱圧着しても充分に一体化しなくなる。
【0012】ポリイミドフィルムとして用いることので
きる材料としては、カプトン(東レ・デュポン社製)、
ユーピレックスS(宇部興産製)など市販のポリイミド
フィルムの他にフィルム形成能があるポリイミドで作ら
れたフィルムであれば、特に限定されない。
【0013】導体層として用いることのできる材料とし
ては、銅、アルミニウム、コンスタンタン、ニッケル等
の金属箔が挙げられる。
【0014】
【作用】本発明は、半硬化状態のポリアミック酸層付ポ
リイミドフィルム及びこれを用いたフレキシブル印刷回
路用基板に係るものであり、このポリアミック酸層付ポ
リイミドフィルムのポリアミック酸側を内側にして導体
箔もしくはフレキシブル印刷回路基板に熱圧着すること
により、容易にかつ安価に、生産性・収率よくフレキシ
ブル印刷回路用基板を得ることが出来る。
【0015】
【実施例】(実施例1)温度計、撹拌装置、還流コンデ
ンサ−及び乾燥窒素ガス吹込み口を備えた4つ口セパラ
ブルフラスコに、精製した無水のパラフェニレンジアミ
ン108gと4,4'-ジアミノジフェニルエ−テル200gをと
り、これに無水のN-メチル-2-ピロリドン90重量%とト
ルエン10重量%の混合溶剤を、全仕込原料中の固形分割
合が20重量%になるだけの量を加えて溶解した。乾燥窒
素ガスは反応の準備段階より生成物取り出しまでの全工
程にわたり流しておいた。次いで、精製した無水の3,
3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物294gと
ピロメリット酸二無水物218gを撹拌しながら少量ずつ
添加するが、発熱反応であるため、外部水槽に約15℃の
冷水を循環させてこれを冷却した。添加後、内部温度を
20℃に設定し、5時間撹拌し、反応を終了してポリアミ
ック酸溶液を得た。
【0016】市販のカプトン200Hフィルム上に、こ
のポリアミック酸溶液をスピンナ−でイミド化後の厚み
が25μmになるように塗布し、110℃、15分乾燥を行
い、ポリアミック酸層の付いたポリイミドフィルムとし
た。
【0017】次いで、市販の銅箔粗化面上にポリアミッ
ク酸面を重ね合わせ、90℃、40kg/cm2、15分加熱・圧
着を行った。その後、380℃で1時間加熱を行い、イミ
ド化を完結した。
【0018】得られたフレキシブル印刷回路用基板の特
性は、通常の方法で銅箔上に直接塗布、乾燥、イミド化
を行い作製したものと同等以上の特性を有していた。
【0019】(実施例2)市販のユーピレックスSフィ
ルム上に、実施例1と同様のポリアミック酸溶液をスピ
ンナーでイミド化後の厚みが25μmになるように塗布
し、110℃、15分乾燥を行い、ポリアミック酸層の付い
たポリイミドフィルムを得た。次いで市販の銅箔粗化面
上にポリアミック酸フィルム面を重ね合わせ、プレスを
用いて90℃、40kg/cm2、15分加熱・圧着を行った。そ
の後、380℃で1時間加熱を行い、イミド化を完結し
た。
【0020】(実施例3)温度計、撹拌装置、還流コン
デンサ−及び乾燥窒素ガス吹込み口を備えた4つ口セパ
ラブルフラスコに、精製した無水の4,4'-ジアミノジフ
ェニルエ−テル200gをとり、これに無水のN-メチル-2-
ピロリドン90重量%とトルエン10重量%の混合溶剤を、
全仕込原料中の固形分割合が20重量%になるだけの量を
加えて溶解した。乾燥窒素ガスは反応の準備段階より生
成物取り出しまでの全工程にわたり流しておいた。次い
で、精製した無水のピロメリット酸二無水物218gを撹
拌しながら少量ずつ添加するが、発熱反応であるため、
外部水槽に約15℃の冷水を循環させてこれを冷却した。
添加後、内部温度を20℃に設定し、5時間撹拌し、反応
を終了してポリアミック酸溶液を得た。
【0021】市販のカプトン200Hフィルム上に、こ
のポリアミック酸溶液をスピンナ−でイミド化後の厚み
が25μmになるように塗布し、110℃、10分乾燥を行
い、ポリアミック酸層の付いたカプトンフィルムを得
た。次に、市販の銅箔粗化面上にポリアミック酸フィル
ム面を重ね合わせ、プレスを用いて90℃、40kg/cm2、1
5分加熱・圧着を行った。最後に、380℃で1時間加熱を
行い、イミド化を完結した。
【0022】
【発明の効果】本発明のフィルムを用いることにより、
膜厚の厚いフレキシブル印刷回路用基板を得ることがで
き、さらにイミド化完結後も他の特性を損なうことな
く、寸法変化率の低下及びカール発生の低減等の効果も
得ることができた。
【0023】本発明は、連続シートを用いたフレキシブ
ル印刷回路用基板の連続工程にも容易に適用できるな
ど、工業的なフレキシブル印刷回路基板用のフィルムと
して好適なものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に、イミド化率10%以上50%以
    下の半硬化状態のポリアミック酸層を有するポリイミド
    フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフィルムを支持フィルム
    とするフレキシブル印刷回路用基板。
JP3236177A 1991-09-17 1991-09-17 表面にポリアミック酸層を有するポリイミドフィルム及びこれを用いたフレキシブル印刷回路用基板 Expired - Lifetime JP2653583B2 (ja)

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