JP2652498B2 - 流動層ごみ焼却炉並びに該焼却炉における層温度制御方法及び排出物燃焼方法 - Google Patents

流動層ごみ焼却炉並びに該焼却炉における層温度制御方法及び排出物燃焼方法

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JP2652498B2
JP2652498B2 JP5082769A JP8276993A JP2652498B2 JP 2652498 B2 JP2652498 B2 JP 2652498B2 JP 5082769 A JP5082769 A JP 5082769A JP 8276993 A JP8276993 A JP 8276993A JP 2652498 B2 JP2652498 B2 JP 2652498B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩素化合物を含有する
ごみを焼却する際に、発生した塩化水素(HCl)を炉
内で除去する2段式又は3段式の炉内脱塩流動層ごみ焼
却炉並びに該焼却炉における層温度制御方法及び排出物
燃焼方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ごみ中に占めるプラスチック類の
割合が増加しており、そのために、ストーカ炉等に比べ
て、プラスチック類の燃焼に適している流動層ごみ焼却
炉が注目を集めている。従来の流動層ごみ焼却炉におい
て、燃焼排ガス中の塩化水素を除去するために、燃焼さ
せた後の排ガス中に生石灰(CaO)や消石灰(Ca
(OH)2 )を噴霧し塩化カルシウム(CaCl2 )に
して、このCaCl2 をフィルタで捕集していた(例え
ば、特公昭60−25179号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】燃焼排ガス中の塩化水
素を除去するためには、燃焼温度に比して低い温度が必
要である。このため、熱交換器により、又は/及び水の
噴霧により排ガス温度を低下させてから、排ガス中に消
石灰等を噴霧していた。
【0004】このため、エネルギーの有効利用の観点か
ら、ごみの発熱量を利用した発電システムに対応しよう
とする場合、高温域での排ガス中に塩化水素が存在する
と、伝熱管が腐食するという問題が生じるので、高温の
水蒸気を得ることができない。また、従来の塩化水素除
去方式は、多量の水を必要とし、しかも、燃焼が不安定
であるため、総空気比を大きくする必要があり、排ガス
量が増大してエネルギー損失が大きいという問題点を有
している。
【0005】また、ごみ中の塩化ビニール等のHCl発
生源の嵩比重が小さいので、ごみを流動層燃焼させる場
合、HCl発生源は表面燃焼しがちであり、流動媒体の
一部又は全部をCaOなどのアルカリ金属酸化物とし、
これらアルカリ酸化物とHClとの接触により脱塩しよ
うとすれば、脱塩剤とHClとが十分に接触しないおそ
れがある。なお、HClを除去するためにCaOを用い
る場合、CaOとHClとの接触温度が低い方がCaO
にHClが吸収され易い。
【0006】また、流動層の温度が高くなり過ぎた場
合、発生した塩化水素ガスがアルカリ金属酸化物に効率
よく吸収されない虞れがある。
【0007】また、ごみ焼却炉を2段の流動層で構成す
ることが考えられるが、この場合、下段流動層に供給す
る空気の空気比を小さくすることにより、ごみを燃焼さ
せるのではなくガス化されているために、及び塩化水素
を効率よく除去するために、下段流動層の温度を下げて
いるので、下段流動層から排出される排出物中に若干の
未燃分が含まれることがある。また、この場合は、灰が
黒色となって環境上好ましくない。
【0008】本発明は、上記の諸点に鑑みなされたもの
で、ごみを一度ガス化してから燃焼する方式を採用し、
ガス化をアルカリ金属酸化物を流動媒体の一部とする流
動層で低温で行うことにより、炉内で塩化水素を効率よ
く除去することができ、かつ、高温域で伝熱管を腐食さ
せることなく熱回収を行なうことができる流動層ごみ焼
却炉を提供することを目的とするものである。
【0009】本発明の他の目的は、ごみを一度ガス化し
てから燃焼する方式を採用し、ガス化をアルカリ金属酸
化物を流動媒体の一部とする下段流動層で低温で行い、
さらにアルカリ金属酸化物を流動媒体とする中段流動層
を設けることにより、炉内で塩化水素を効率よく除去す
ることができ、かつ、高温域(上段流動層)で伝熱管を
腐食させることなく熱回収を行なうことができる流動層
ごみ焼却炉を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、下段流動層の温度を
最適温度に制御する方法及び装置を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、排出物中の不燃分を完
全に燃え切らせる(後燃え)方法及び装置を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成する
ために、本発明の流動層ごみ焼却炉は、図1に示すよう
に、アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なくとも一部と
する下段流動層10を備え、投入された塩素化合物を含
有するごみを還元雰囲気でガス化するとともに、発生し
た塩化水素を除去し、不燃物を排出するための流動層ガ
ス化炉12と、この流動層ガス化炉12の上部に連結さ
れ、流動層ガス化炉12で発生したガスを高温で完全
焼させるとともに、熱回収を行なう、投入されたアルカ
リ金属炭酸塩を脱炭酸したアルカリ金属酸化物を流動媒
体とする上段流動層16を備えた流動層燃焼炉14と
らなる流動層ごみ焼却炉であって流動層燃焼炉14の
上段流動層16と流動層ガス化炉12の下段流動層10
とを、上段流動層16から下段流動層10へアルカリ金
属酸化物を供給するためのアルカリ金属酸化物供給管1
8を介して接続したことを特徴としている。
【0012】 上記のように、流動層燃焼炉14の上段
流動層16、投入された石灰石(CaCO)、ドロ
マイト等のアルカリ金属炭酸塩を脱炭酸したアルカリ金
属酸化物を流動媒体とする流動層を形成するような構成
とする。また、上記のように、流動層燃焼炉14の上段
流動層16と、流動層ガス化炉12の下段流動層10と
を、生石灰(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)等
のアルカリ金属酸化物を上段流動層16から下段流動層
10へ供給するためのアルカリ金属酸化物供給管18を
介して接続する。
【0013】 また、本発明の他の流動層ごみ焼却炉
は、図2に示すように、アルカリ金属酸化物を流動媒体
の少なくとも一部とする下段流動層10を備え、投入さ
れた塩素化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化す
るとともに、発生した塩化水素を除去し、不燃物を排出
するための流動層ガス化炉12と、この流動層ガス化炉
12の上部に連結され、未反応の塩化水素を除去するた
めの、アルカリ金属酸化物を流動媒体とする中段流動層
49と、この中段流動層49の上部に連結され、流動層
ガス化炉12で発生したガスを高温で完全燃焼させると
ともに、熱回収を行なう、投入されたアルカリ金属炭酸
塩を脱炭酸したアルカリ金属酸化物を流動媒体とする
段流動層16を備えた流動層燃焼炉14とからなる流動
層ごみ焼却炉であって流動層燃焼炉14の上段流動層
16と中段流動層49及び流動層ガス化炉12の下段流
動層10とを、上段流動層16から中段流動層49及び
下段流動層10へアルカリ金属酸化物を供給するための
アルカリ金属酸化物供給管18を介して接続したことを
特徴としている。
【0014】 上記のように、流動層燃焼炉14の上段
流動層16、投入された石灰石(CaCO)、ドロ
マイト等のアルカリ金属炭酸塩を脱炭酸したアルカリ金
属酸化物を流動媒体とする流動層を形成するような構成
とする。また、上記のように、流動層燃焼炉14の上段
流動層16と、中段流動層49及び流動層ガス化炉12
の下段流動層10とを、生石灰(CaO)、酸化マグネ
シウム(MgO)等のアルカリ金属酸化物を上段流動層
16から中段流動層49及び下段流動層10へ供給する
ためのアルカリ金属酸化物供給管18を介して接続す
る。
【0015】 また、下段流動層10の下部又は/及び
中段流動層49の下部に、下段流動層10又は/及び中
段流動層49内の温度を低くして塩化水素のアルカリ金
属酸化物への吸収を良くするための、冷却された排ガス
を供給するための冷却排ガス循環供給導管50を接続す
るのが好ましい。
【0016】 本発明の他の流動層ごみ焼却炉は、図3
に示すように、アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なく
とも一部とする下段流動層10を備え、投入された塩素
化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化するととも
に、発生した塩化水素を除去し、不燃物を排出するため
の流動層ガス化炉12と、この流動層ガス化炉12の上
部に連結され、流動層ガス化炉12で発生したガスを
温で完全燃焼させるとともに、熱回収を行なう流動層燃
焼炉14と、下段流動層10の空気供給管62に設けら
れた、下段流動層10内の温度を低くして塩化水素のア
ルカリ金属酸化物への吸収を良くするための空気量制御
手段66と、下段流動層10の空気供給管62又は風箱
20に接続された、下段流動層10内の温度を低くして
塩化水素のアルカリ金属酸化物への吸収を良くするため
冷却排ガス循環供給導管64と、下段流動層10の周
壁を被覆して設けられた、下段流動層10内の温度を低
くして塩化水素のアルカリ金属酸化物への吸収を良くす
るための蒸発管群60と、からなることを特徴としてい
る。
【0017】 図3に示す炉において、アルカリ金属酸
化物を流動媒体の少なくとも一部とする下段流動層10
で、投入された塩素化合物を含有するごみを還元雰囲気
ガス化するとともに、発生した塩化水素を除去し、か
つ、不燃物を排出し、下段流動層10で発生したガスを
上段流動層16で高温で完全燃焼させるとともに、熱回
収を行なうに際し、下段流動層10に供給する空気量の
ごみ供給量に対する比を調節し、発熱量を制御して下段
流動層10の温度を低く抑え、塩化水素のアルカリ金属
酸化物への吸収を良くすることにより、層温度を制御す
ることができる。
【0018】 また、図3に示す炉において、下段流動
層10の周壁を蒸発管群60で被覆して熱を吸収させ
下段流動層10の温度を低く抑え、塩化水素のアルカリ
金属酸化物への吸収を良くすることにより、層温度を制
御することができる。また、図3に示す炉において、冷
却された排ガスを下段流動層10に循環供給して下段流
動層10の温度を低く抑え、塩化水素のアルカリ金属酸
化物への吸収を良くすることにより、層温度を制御する
ことができる。さらに、これらの方法に加えて、下段流
動層10に注水して下段流動層10の温度を低く抑え、
塩化水素のアルカリ金属酸化物への吸収を良くすること
により、層温度を制御する場合もある。
【0019】 本発明のさらに他の流動層ごみ焼却炉
は、図4に示すように、アルカリ金属酸化物を流動媒体
の少なくとも一部とする下段流動層10を備え、投入さ
れた塩素化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化す
るとともに、発生した塩化水素を除去し、不燃物を排出
するための流動層ガス化炉12と、この流動層ガス化炉
12の上部に連結され、流動層ガス化炉12で発生した
ガスを高温で完全燃焼させるとともに、熱回収を行なう
流動層燃焼炉14と、下段流動層10に接続された不燃
物・CaCl排出導管32と、この不燃物・CaCl
排出導管32に接続された、不燃物・CaCl 排出
導管32内の排出物中の未燃分を完全燃焼させるための
空気を供給する空気供給管70、72と、からなること
を特徴としている。
【0020】 図4に示す炉において、アルカリ金属酸
化物を流動媒体の少なくとも一部とする下段流動層10
で、投入された塩素化合物を含有するごみを還元雰囲気
ガス化するとともに、発生した塩化水素を除去し、か
つ、不燃物・CaCl排出導管32から不燃物を排出
し、下段流動層10で発生したガスを上段流動層16で
高温で完全燃焼させるとともに、熱回収を行なうに際
し、不燃物・CaCl排出導管32に空気を供給し
て、排出物中の未燃分を燃え切らせることにより、排出
物を完全に燃焼させることができる。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例
を詳細に説明する。ただし、この実施例に記載されてい
る構成部材の形状、その相対配置などは、とくに特定的
な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定
する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。 実施例1 図1は、本実施例における流動層ごみ焼却炉を示してい
る。図1においては、アルカリ金属酸化物として生石灰
(CaO)を使用する場合を示している。12は、投入
された塩素化合物含有ごみをガス化するとともに、発生
した塩化水素を除去し、不燃物及びCaCl2 を排出す
るための流動層ガス化炉であり、生石灰を流動媒体の一
部又は全部とする下段流動層10を備えている。生石灰
を流動媒体の一部とする場合は、流動媒体の残部は砂等
が用いられる。
【0022】14は、流動層ガス化炉12の上部に連結
され、流動層ガス化炉12で発生したガスを燃焼させる
とともに、熱回収を行なうための流動層燃焼炉である。
流動層ガス化炉12は、下部に燃焼用空気を導入するた
めの風箱20を有し、この風箱の上側に不燃物・CaC
2 排出口22を備えた空気分散板24を介して下段流
動層10を有し、上部に排ガス出口26を、上側部にご
み投入口28を有している。30は空気供給口、32は
不燃物・CaCl2 排出口22に接続された不燃物・C
aCl2 排出導管である。
【0023】流動層燃焼炉14は、下部に二次空気を導
入するための二次空気供給管34を有し、この二次空気
供給管の上側に空気分散板40を介して伝熱管42を埋
設した上段流動層16を有し、上部に排ガス出口44を
有し、上側部にアルカリ金属炭酸塩投入管46を有して
いる。さらに、流動層燃焼炉14の上段流動層16と流
動層ガス化炉12の下段流動層10とは、Lバルブ48
を備えたアルカリ金属酸化物供給管18を介して接続さ
れている。
【0024】つぎに、上記実施例1の作用について説明
する。下段の流動層ガス化炉12の空気分散板24から
吹き込まれた空気により流動化している生石灰を流動媒
体の一部あるいは全部とする下段流動層10内に、ごみ
投入口28から塩素化合物含有ごみを投入する。下段流
動層10の温度は、450〜550℃に設定されてお
り、炉内に投入されたごみは還元雰囲気で一部燃焼しつ
つ、残りはガス化する。下段流動層10の流動媒体の一
部あるいは全部を生石灰としているので、ごみの中の塩
化ビニール等から発生した塩化水素は、2HCl+Ca
O→CaCl2 +H2 Oの反応によって塩化カルシウム
(CaCl2 )となって塩素は固定化される。この塩化
カルシウムは不燃物とともに、不燃物・CaCl2 排出
導管32から系外に抜き出される。
【0025】流動層ガス化炉12で発生した脱塩された
燃料ガスは、空気分散板40から流動層燃焼炉14の上
段流動層16に導入され、そこで二次空気供給管34か
ら上段流動層16に吹き込まれる二次空気と上段流動層
16内にて混合される。上段流動層16の温度は、80
0〜900℃に設定されており、二次空気と混合したガ
スの完全燃焼が行なわれ、流動媒体である生石灰(Ca
O)と層内伝熱管42との間で熱交換が行われる。上段
流動層16には石灰石(CaCO3 )が定量供給され、
焼成されて、CaCO3 →CaO+CO2 の反応が起こ
る。このように、800〜900℃の温度で脱炭酸が進
むと、活性の高い生石灰が生成され、アルカリ金属酸化
物供給管18により、下段流動層10に投入されて、速
やかな脱塩反応が行われる。
【0026】したがって、ガス化されたガス中における
塩化水素ガスは数十〜数ppm 以下になり、上段流動層1
6で酸化され完全燃焼により800〜900℃のガスに
なっても塩化水素は少ないので、伝熱管42を腐食させ
ることなく熱交換することができる。一方、下段流動層
10で摩滅したCaCl2 の一部は、ガスに同伴されて
上段流動層16を通過する。このとき、ガス中の水分と
反応して塩化水素が再生するが、後流に設置されたバグ
フィルタ(図示せず)内等で、上段流動層16にて摩滅
しバグフィルタ等に飛散したCaOと再び反応して脱塩
される。
【0027】実施例1における流動層ごみ焼却炉は上記
のように構成されているので、つぎのような効果を奏す
る。 (1) 2つの流動層炉を上下に直列に配置し、下段流
動層の流動媒体の一部あるいは全部を生石灰としたガス
化炉とし、上段を燃焼炉としているので、下段炉内で効
率よく塩化水素を除去することができる。 (2) 上段流動層に導入されるガスは、塩化水素が除
去されているので、層内伝熱管の腐食が大幅に低減す
る。 (3) 上段流動層の温度を高温にすることができ、高
温域に伝熱管を入れることができるので、高効率の発電
システム等を構成することが可能になる。
【0028】(4) 上段流動層において、ガスは安定
した酸素存在下で高温度で燃焼するので、ダイオキシ
ン、COの発生が抑制される。 (5) 流動層ガス化炉では、還元雰囲気でガス化させ
るため、空気供給量が少なくなり、流動層ガス化炉での
発熱量が少なくなるため、下段流動層にほとんど注水す
ることなく流動層温度を調整することが可能になり、エ
ネルギー損失が小さくなる。 (6) 上段流動層に石灰石を投入する場合は、従来の
砂の場合に比べて、伝熱管の摩耗量が大幅に減少する。 (7) 上段流動層に石灰石を投入し、脱炭酸・焼成さ
れた生石灰を下段流動層に供給する場合は、フレッシュ
な活性の高い生石灰が下段流動層に供給されることにな
り、脱塩反応を効率よく行うことができる。
【0029】実施例2 図2は、本実施例における流動層ごみ焼却炉を示してい
る。図2においては、アルカリ金属酸化物として生石灰
(CaO)を使用する場合を示している。12は、投入
された塩素化合物含有ごみをガス化するとともに、発生
した塩化水素を除去し、不燃物及びCaCl2 を排出す
るための流動層ガス化炉であり、生石灰を流動媒体の一
部又は全部とする下段流動層10を備えている。生石灰
を流動媒体の一部とする場合は、流動媒体の残部は砂等
が用いられる。
【0030】49は中段流動層で、流動層ガス化炉12
の上部に連結され、未反応の塩化水素を除去するための
ものである。中段流動層49の流動媒体はアルカリ金属
酸化物(例えば、CaO)である。中段流動層49の空
気分散板52の下側には、冷却された排ガスを導入する
ための冷却排ガス循環供給導管50が設けられている。
この冷却排ガス循環供給導管50は、図示していない
が、排ガス出口44から排出された燃焼排ガスを、蒸発
管、空気加熱器等の熱交換器を通して冷却した後の燃焼
排ガスを循環導入するものである。また、中段流動層4
9の側壁には、CaCl2 を排出するためのCaCl2
排出管56が設けられている。
【0031】14は、中段流動層49の上部に連結さ
れ、流動層ガス化炉12で発生したガスを燃焼させると
ともに、熱回収を行なうための、上段流動層16を備え
た流動層燃焼炉である。流動層ガス化炉12は、下部に
燃焼用空気を導入するための風箱20を有し、この風箱
の上側に不燃物・CaCl2 排出口22を備えた空気分
散板24を介して下段流動層10を有し、上部に排ガス
出口26を、上側部にごみ投入口28を有している。空
気分散板24の下側には、冷却された排ガスを導入する
ための冷却排ガス循環供給導管50が設けられる。な
お、冷却排ガス循環供給導管50は、中段流動層49の
下側と下段流動層10の下側のいずれか一方、又は両方
に設けられる。30は空気供給口、32は不燃物・Ca
Cl2 排出口22に接続された不燃物・CaCl2 排出
導管である。
【0032】流動層燃焼炉14は、下部に二次空気を導
入するための二次空気供給管34を有し、この二次空気
供給管の上側に空気分散板40を介して伝熱管42を埋
設した上段流動層16を有し、上部に排ガス出口44を
有し、上側部にアルカリ金属炭酸塩投入管46を有して
いる。さらに、流動層燃焼炉14の上段流動層16と、
中段流動層49及び流動層ガス化炉12の下段流動層1
0とは、Lバルブ48を備えたアルカリ金属酸化物供給
管18を介して接続されている。
【0033】つぎに、上記実施例2の作用について説明
する。下段の流動層ガス化炉12の空気分散板24から
吹き込まれた空気により流動化している生石灰を流動媒
体の一部あるいは全部とする下段流動層10内に、ごみ
投入口28から塩素化合物含有ごみを投入する。下段流
動層10の温度は、450〜550℃に設定されてお
り、炉内に投入されたごみは還元雰囲気で一部燃焼しつ
つ、残りはガス化する。下段流動層10の流動媒体の一
部あるいは全部を生石灰としているので、ごみの中の塩
化ビニール等から発生した塩化水素は、2HCl+Ca
O→CaCl2 +H2 Oの反応によって塩化カルシウム
(CaCl2 )となって塩素は固定化される。この場
合、下段流動層10内の温度を低くしてHClのCaO
への吸収を良くするために、蒸発管等の熱交換器(図示
せず)で冷却された燃焼排ガスを冷却排ガス循環供給導
管50を介して下段流動層10の下部から循環供給する
のが効果的である。この塩化カルシウムは不燃物ととも
に、不燃物・CaCl2 排出導管32から系外に抜き出
される。
【0034】ごみの嵩比重が小さくて、ごみが下段流動
層10内に巻き込まれず、層表面で燃焼した場合は、H
ClがCaOに十分吸収されない。このような時は、未
反応のHClは中段流動層49内に導入されて、ここで
HClはCaOに吸収される。この場合、中段流動層4
9内の温度を低くしてHClのCaOへの吸収を良くす
るために、蒸発管、空気加熱器等の熱交換器(図示せ
ず)で冷却された燃焼排ガスを、冷却排ガス循環供給導
管50を介して中段流動層49の下部から循環供給する
のが効果的である。
【0035】流動層ガス化炉12で発生し、中段流動層
49で完全に脱塩された燃料ガスは、空気分散板40か
ら流動層燃焼炉14の上段流動層16に導入され、そこ
で二次空気供給管34から上段流動層16に吹き込まれ
る二次空気と上段流動層16内にて混合される。上段流
動層16の温度は、800〜900℃に設定されてお
り、二次空気と混合したガスの完全燃焼が行なわれ、流
動媒体である生石灰(CaO)と層内伝熱管42との間
で熱交換が行われる。上段流動層16には石灰石(Ca
CO3 )が定量供給され、焼成されて、CaCO3 →C
aO+CO2 の反応が起こる。このように、800〜9
00℃の温度で脱炭酸が進むと、活性の高い生石灰が生
成され、アルカリ金属酸化物供給管18により、中段流
動層49及び下段流動層10に投入されて、速やかな脱
塩反応が行われる。
【0036】したがって、ガス化されたガス中における
塩化水素ガスは数十〜数ppm 以下になり、上段流動層1
6で酸化され完全燃焼により800〜900℃のガスに
なっても塩化水素は少ないので、伝熱管42を腐食させ
ることなく熱交換することができる。一方、下段流動層
10及び中段流動層49で摩滅したCaCl2 の一部
は、ガスに同伴されて上段流動層16を通過する。この
とき、ガス中の水分と反応して塩化水素が再生するが、
後流に設置されたバグフィルタ(図示せず)内等で、上
段流動層16にて摩滅しバグフィルタ等に飛散したCa
Oと再び反応して脱塩される。
【0037】実施例2における流動層ごみ焼却炉は上記
のように構成されているので、つぎのような効果を奏す
る。 (1) 3つの流動層を上中下に直列に配置し、下段流
動層の流動媒体の一部あるいは全部を生石灰としたガス
化炉とし、中段流動層を塩化水素吸収用とし、上段流動
層を燃焼炉としているので、下段流動層内及び中段流動
層内で効率よく塩化水素を除去することができる。 (2) 上段流動層に導入されるガスは、塩化水素が除
去されているので、層内伝熱管の腐食が大幅に低減す
る。 (3) 上段流動層の温度を高温にすることができ、高
温域に伝熱管を入れることができるので、高効率の発電
システム等を構成することが可能になる。
【0038】(4) 上段流動層において、ガスは安定
した酸素存在下で高温度で燃焼するので、ダイオキシ
ン、COの発生が抑制される。 (5) 流動層ガス化炉では、還元雰囲気でガス化させ
るため、空気供給量が少なくなり、流動層ガス化炉での
発熱量が少なくなるため、下段流動層にほとんど注水す
ることなく流動層温度を調整することが可能になり、エ
ネルギー損失が小さくなる。 (6) 上段流動層に石灰石を投入する場合は、従来の
砂の場合に比べて、伝熱管の摩耗量が大幅に減少する。 (7) 上段流動層に石灰石を投入し、脱炭酸・焼成さ
れた生石灰を中段流動層及び下段流動層に供給する場合
は、フレッシュな活性の高い生石灰が中段流動層及び下
段流動層に供給されることになり、脱塩反応を効率よく
行うことができる。 (8) 下段流動層又は/及び中段流動層に冷却された
排ガスを循環供給する場合は、中段流動層の温度を容易
に低下させて、塩化水素を効率よく吸収除去することが
できる。
【0039】実施例3 図3は、本実施例における流動層ごみ焼却炉を示してい
る。図3においては、アルカリ金属酸化物として生石灰
(CaO)を使用する場合を示している。12は、投入
された塩素化合物含有ごみをガス化するとともに、発生
した塩化水素を除去し、不燃物及びCaCl2 を排出す
るための流動層ガス化炉であり、生石灰を流動媒体の一
部又は全部とする下段流動層10を備えている。生石灰
を流動媒体の一部とする場合は、流動媒体の残部は砂等
が用いられる。
【0040】14は、流動層ガス化炉12の上部に連結
され、流動層ガス化炉12で発生したガスを燃焼させる
とともに、熱回収を行なうための流動層燃焼炉である。
流動層ガス化炉12は、下部に燃焼用空気を導入するた
めの風箱20を有し、この風箱の上側に不燃物・CaC
2 排出口22を備えた空気分散板24を介して下段流
動層10を有し、上部に排ガス出口26を、上側部にご
み投入口28を有している。30は空気供給口、32は
不燃物・CaCl2 排出口22に接続された不燃物・C
aCl2 排出導管である。
【0041】流動層燃焼炉14は、下部に二次空気を導
入するための二次空気供給管34を有し、この二次空気
供給管の上側に空気分散板40を介して伝熱管42を埋
設した上段流動層16を有し、上部に排ガス出口44を
有し、上側部にアルカリ金属炭酸塩投入管46を有して
いる。さらに、流動層燃焼炉14の上段流動層16と流
動層ガス化炉12の下段流動層10とは、Lバルブ48
を備えたアルカリ金属酸化物供給管18を介して接続さ
れている。
【0042】下段流動層10に供給する空気量を調節す
ることにより、下段流動層10での発熱量を下げること
ができ、下段流動層10の層温度を低くすることができ
る。さらに、下段流動層10の周壁が蒸発管群(メンブ
レンウォール)60で被覆されているため、下段流動層
10で発生する熱量の一部を回収することが可能であ
り、下段流動層10の温度を低くすることができる。こ
の際、流動媒体の一部又は全部としてアルカリ金属酸化
物を用いているので、伝熱管表面は腐食されにくい。ま
た、空気供給管62には冷却排ガス循環供給導管64が
接続されている。この冷却排ガス循環供給導管64は、
蒸発管、空気加熱器等の熱交換器(図示せず)で冷却さ
れた燃焼排ガスを、下段流動層10の下部から循環供給
するためのものである。66、68は弁、ダンパー等の
空気量制御手段である。なお、冷却排ガス循環供給導管
64を風箱20に接続する場合もある。
【0043】つぎに、上記実施例3の作用について説明
する。下段の流動層ガス化炉12の空気分散板24から
吹き込まれた空気により流動化している生石灰を流動媒
体の一部あるいは全部とする下段流動層10内に、ごみ
投入口28から塩素化合物含有ごみを投入する。下段流
動層10の温度は、450〜550℃に設定されてお
り、炉内に投入されたごみは還元雰囲気で一部燃焼しつ
つ、残りはガス化する。下段流動層10の流動媒体の一
部あるいは全部を生石灰としているので、ごみの中の塩
化ビニール等から発生した塩化水素は、2HCl+Ca
O→CaCl2 +H2 Oの反応によって塩化カルシウム
(CaCl2 )となって塩素は固定化される。この塩化
カルシウムは不燃物とともに、不燃物・CaCl2 排出
導管32から系外に抜き出される。
【0044】下段流動層10に供給される空気量のごみ
供給量に対する比を小さくすることにより、ごみを燃焼
させるのではなく、ガス化させることによって発熱量を
低下させて下段流動層10の温度を低く抑え、かつ、下
段流動層10の回りを蒸発管群(メンブレンウォール)
60で被覆して、下段流動層10で発生する熱量の一部
を回収することにより、さらに、下段流動層の温度を低
くすることができる。また、冷却排ガス循環供給導管6
4から冷却された燃焼排ガスを下段流動層10に循環供
給することにより、下段流動層10温度を低く抑えるこ
とができる。下段流動層温度をさらに下げる必要がある
場合は、下段流動層10に注水する。
【0045】流動層ガス化炉12で発生した脱塩された
燃料ガスは、空気分散板40から流動層燃焼炉14の上
段流動層16に導入され、そこで二次空気供給管34か
ら上段流動層16に吹き込まれる二次空気と上段流動層
16内にて混合される。上段流動層16の温度は、80
0〜900℃に設定されており、二次空気と混合したガ
スの完全燃焼が行なわれ、流動媒体である生石灰(Ca
O)と層内伝熱管42との間で熱交換が行われる。上段
流動層16には石灰石(CaCO3 )が定量供給され、
焼成されて、CaCO3 →CaO+CO2 の反応が起こ
る。このように、800〜900℃の温度で脱炭酸が進
むと、活性の高い生石灰が生成され、アルカリ金属酸化
物供給管18により、下段流動層10に投入されて、速
やかな脱塩反応が行われる。
【0046】したがって、ガス化されたガス中における
塩化水素ガスは数十〜数ppm 以下になり、上段流動層1
6で酸化され完全燃焼により800〜900℃のガスに
なっても塩化水素は少ないので、伝熱管42を腐食させ
ることなく熱交換することができる。一方、下段流動層
10で摩滅したCaCl2 の一部は、ガスに同伴されて
上段流動層16を通過する。このとき、ガス中の水分と
反応して塩化水素が再生するが、後流に設置されたバグ
フィルタ(図示せず)内等で、上段流動層16にて摩滅
しバグフィルタ等に飛散したCaOと再び反応して脱塩
される。
【0047】実施例3における流動層ごみ焼却炉は上記
のように構成されているので、つぎのような効果を奏す
る。 (1) 下段流動層に供給する空気の空気比を小さくす
ることによりごみを燃焼させるのでなく、ガス化させる
ことによって発熱量を低下させ、下段流動層の温度を低
く抑え、塩化水素をアルカリ金属酸化物に効率よく吸収
させることができる。 (2) 下段流動層回りを蒸発管群で被覆することによ
り熱吸収させ、層温度を低下させることができる。 (3) 冷却された排ガスを下段流動層に循環供給する
ことによっても、下段流動層の温度を低く抑えることが
できる。 (4) 下段流動層に注水すれば、下段流動層温度をさ
らに低く抑えることができる。
【0048】実施例4 図4は、本実施例における流動層ごみ焼却炉を示してい
る。図4においては、アルカリ金属酸化物として生石灰
(CaO)を使用する場合を示している。12は、投入
された塩素化合物含有ごみをガス化するとともに、発生
した塩化水素を除去し、不燃物及びCaCl2 を排出す
るための流動層ガス化炉であり、生石灰を流動媒体の一
部又は全部とする下段流動層10を備えている。生石灰
を流動媒体の一部とする場合は、流動媒体の残部は砂等
が用いられる。
【0049】14は、流動層ガス化炉12の上部に連結
され、流動層ガス化炉12で発生したガスを燃焼させる
とともに、熱回収を行なうための流動層燃焼炉である。
流動層ガス化炉12は、下部に燃焼用空気を導入するた
めの風箱20を有し、この風箱の上側に不燃物・CaC
2 排出口22を備えた空気分散板24を介して下段流
動層10を有し、上部に排ガス出口26を、上側部にご
み投入口28を有している。30は空気供給口、32は
不燃物・CaCl2 排出口22に接続された不燃物・C
aCl2 排出導管である。
【0050】流動層燃焼炉14は、下部に二次空気を導
入するための二次空気供給管34を有し、この二次空気
供給管の上側に空気分散板40を介して伝熱管42を埋
設した上段流動層16を有し、上部に排ガス出口44を
有し、上側部にアルカリ金属炭酸塩投入管46を有して
いる。さらに、流動層燃焼炉14の上段流動層16と流
動層ガス化炉12の下段流動層10とは、Lバルブ48
を備えたアルカリ金属酸化物供給管18を介して接続さ
れている。
【0051】不燃物・CaCl2 排出導管32には、空
気供給管70、72が接続されている。図4において
は、空気供給管を2段に設ける場合を示しているが、1
段又は3段以上とすることができる。2段の場合は、上
段の空気供給管70から供給される加圧空気で、排出物
中の未燃分の一部を燃焼し、さらに、下段の空気供給管
72からの加圧空気で未燃分を完全に燃え切らせる。す
なわち、不燃物・CaCl2 排出導管32内に排出物中
の未燃分が完全燃焼するに要する空気を供給して、未燃
分を完全燃焼させた後、系外に排出する。不燃物・Ca
Cl2 排出導管32の占める断面積は下段流動層の断面
積全体の数十分の一程度と少ないため、多少の空気を投
入しても層内全体の空気比に与える影響は少なく問題は
ない。
【0052】つぎに、上記実施例4の作用について説明
する。下段の流動層ガス化炉12の空気分散板24から
吹き込まれた空気により流動化している生石灰を流動媒
体の一部あるいは全部とする下段流動層10内に、ごみ
投入口28から塩素化合物含有ごみを投入する。下段流
動層10の温度は、450〜550℃に設定されてお
り、炉内に投入されたごみは還元雰囲気で一部燃焼しつ
つ、残りはガス化する。下段流動層10の流動媒体の一
部あるいは全部を生石灰としているので、ごみの中の塩
化ビニール等から発生した塩化水素は、2HCl+Ca
O→CaCl2 +H2 Oの反応によって塩化カルシウム
(CaCl2 )となって塩素は固定化される。この塩化
カルシウムは不燃物とともに、不燃物・CaCl2 導管
32から系外に抜き出される。
【0053】不燃物・CaCl2 排出口22から不燃物
・CaCl2 排出導管32内に落下した排出物は、空気
供給管70、72から噴出される加圧空気と接触して、
未燃物が後燃焼して完全に燃え切った後、系外に排出さ
れる。
【0054】流動層ガス化炉12で発生した脱塩された
燃料ガスは、空気分散板40から流動層燃焼炉14の上
段流動層16に導入され、そこで二次空気供給管34か
ら上段流動層16に吹き込まれる二次空気と上段流動層
16内にて混合される。上段流動層16の温度は、80
0〜900℃に設定されており、二次空気と混合したガ
スの完全燃焼が行なわれ、流動媒体である生石灰(Ca
O)と層内伝熱管42との間で熱交換が行われる。上段
流動層16には石灰石(CaCO3 )が定量供給され、
焼成されて、CaCO3 →CaO+CO2 の反応が起こ
る。このように、800〜900℃の温度で脱炭酸が進
むと、活性の高い生石灰が生成され、アルカリ金属酸化
物供給管18により、下段流動層10に投入されて、速
やかな脱塩反応が行われる。
【0055】したがって、ガス化されたガス中における
塩化水素ガスは数十〜数ppm 以下になり、上段流動層1
6で酸化され完全燃焼により800〜900℃のガスに
なっても塩化水素は少ないので、伝熱管42を腐食させ
ることなく熱交換することができる。一方、下段流動層
10で摩滅したCaCl2 の一部は、ガスに同伴されて
上段流動層16を通過する。このとき、ガス中の水分と
反応して塩化水素が再生するが、後流に設置されたバグ
フィルタ(図示せず)内等で、上段流動層16にて摩滅
しバグフィルタ等に飛散したCaOと再び反応して脱塩
される。
【0056】実施例4における流動層ごみ焼却炉は上記
のように構成されているので、つぎのような効果を奏す
る。 (1) 不燃物・CaCl2 排出導管に空気を供給する
ものであるから、排出物中の未燃分を完全に燃え切らせ
ることができる。このため、排出される灰は白色とな
り、環境上も好ましくなる。
【0057】
【発明の効果】 本発明は上記のように構成されている
ので、つぎのような効果を奏する。 (1) 2つの流動層炉を上下に直列に配置し、下段流
動層の流動媒体の一部又は全部をアルカリ金属酸化物
(一例として、生石灰としたガス化炉とし、上段を燃
焼炉としているので、下段炉内で効率よく塩化水素を除
去することができる。 (2) 上段流動層に導入されるガスは、塩化水素が除
去されているので、層内伝熱管の腐食が大幅に低減す
る。 (3) 上段流動層の温度を高温にすることができ、高
温域に伝熱管を入れることができるので、高効率の発電
システム等を構成することが可能になる。
【0058】(4) 上段流動層において、ガスは安定
した酸素存在下で高温度で燃焼するので、ダイオキシ
ン、COの発生が抑制される。 (5) 流動層ガス化炉では、還元雰囲気でガス化させ
るため、空気供給量が少なくなり、流動層ガス化炉での
発熱量が少なくなるため、流動層温度を調整することが
可能になり、エネルギー損失が小さくなる。 (6) 上段流動層に石灰石を投入する場合は、従来の
砂の場合に比べて、伝熱管の摩耗量が大幅に減少する。 (7) 上段流動層に石灰石を投入し、脱炭酸・焼成さ
れた生石灰を下段流動層に供給する場合は、フレッシュ
な活性の高い生石灰が下段流動層に供給されることにな
り、脱塩反応を効率よく行うことができる。
【0059】(8) 3つの流動層を上中下に直列に配
置し、下段流動層の流動媒体の一部又は全部をアルカリ
金属酸化物(一例として、生石灰としたガス化炉と
し、中段流動層を塩化水素吸収用とし、上段流動層を燃
焼炉とする場合は、下段流動層内及び中段流動層内で効
率よく塩化水素を除去することができる。また、下段流
動層又は/及び中段流動層に冷却された排ガスを循環供
給する場合は、中段流動層の温度を容易に低下させて、
塩化水素を効率よく吸収除去することができる。
【0060】(9) 段流動層の周壁を蒸発管群で
覆して熱を吸収させること、冷却された排ガスを下段流
動層に循環供給すること、又は/及び下段流動層に注水
する場合は、下段流動層の温度を低く抑え、塩化水素の
アルカリ金属酸化物(一例として、生石灰)への吸収を
良くすることにより、流動層温度を容易に最適温度に制
御することができる。
【0061】(10) 不燃物・CaCl2 排出導管に
空気を供給する場合は、排出物中の未燃分を完全に燃え
切らせることができ、排出される灰が白色となり環境上
好ましくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流動層ごみ焼却炉の一実施例を示す断
面説明図である。
【図2】本発明の流動層ごみ焼却炉の他の実施例を示す
断面説明図である。
【図3】本発明の流動層ごみ焼却炉の他の実施例を示す
断面説明図である。
【図4】本発明の流動層ごみ焼却炉のさらに他の実施例
を示す断面説明図である。
【符号の説明】
10 下段流動層 12 流動層ガス化炉 14 流動層燃焼炉 16 上段流動層 18 アルカリ金属酸化物供給管 20 風箱 22 不燃物・CaCl2 排出口 28 ごみ投入口 32 不燃物・CaCl2 排出導管 42 伝熱管 46 アルカリ金属炭酸塩投入管 49 中段流動層 50 冷却排ガス循環供給導管 56 CaCl2 排出管 60 蒸発管群 62 空気供給管 64 冷却排ガス循環供給導管 66 空気量制御手段 70 空気供給管 72 空気供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F23G 5/50 ZAB F23G 7/00 ZABG 7/00 ZAB 7/12 ZABZ 7/12 ZAB B01D 53/34 118Z (72)発明者 村岡 利紀 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (56)参考文献 特開 平2−309103(JP,A) 特開 昭59−4808(JP,A) 特開 昭54−141073(JP,A) 特開 平1−131809(JP,A) 特開 平2−176313(JP,A) 実開 昭61−63506(JP,U)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なく
    とも一部とする下段流動層(10)を備え、投入された
    塩素化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化すると
    ともに、発生した塩化水素を除去し、不燃物を排出する
    ための流動層ガス化炉(12)と、 この流動層ガス化炉(12)の上部に連結され、流動層
    ガス化炉(12)で発生したガスを高温で完全燃焼させ
    るとともに、熱回収を行なう、投入されたアルカリ金属
    炭酸塩を脱炭酸したアルカリ金属酸化物を流動媒体とす
    る上段流動層(16)を備えた流動層燃焼炉(14)と
    からなる流動層ごみ焼却炉であって流動層燃焼炉(14)の上段流動層(16)と流動層ガ
    ス化炉(12)の下段流動層(10)とを、上段流動層
    (16)から下段流動層(10)へアルカリ金属酸化物
    を供給するためのアルカリ金属酸化物供給管(18)を
    介して接続した ことを特徴とする流動層ごみ焼却炉
  2. 【請求項2】 アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なく
    とも一部とする下段流動層(10)を備え、投入された
    塩素化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化すると
    ともに、発生した塩化水素を除去し、不燃物を排出する
    ための流動層ガス化炉(12)と、 この流動層ガス化炉(12)の上部に連結され、未反応
    の塩化水素を除去するための、アルカリ金属酸化物を流
    動媒体とする中段流動層(49)と、 この中段流動層(49)の上部に連結され、流動層ガス
    化炉(12)で発生したガスを高温で完全燃焼させると
    ともに、熱回収を行なう、投入されたアルカリ金属炭酸
    塩を脱炭酸したアルカリ金属酸化物を流動媒体とする
    段流動層(16)を備えた流動層燃焼炉(14)とから
    なる流動層ごみ焼却炉であって流動層燃焼炉(14)の上段流動層(16)と中段流動
    層(49)及び流動層ガス化炉(12)の下段流動層
    (10)とを、上段流動層(16)から中段流動層(4
    9)及び下段流動層(10)へアルカリ金属酸化物を供
    給するためのアルカリ金属酸化物供給管(18)を介し
    て接続した ことを特徴とする流動層ごみ焼却炉。
  3. 【請求項3】 下段流動層(10)の下部又は/及び中
    段流動層(49)の下部に、下段流動層(10)又は/
    及び中段流動層(49)内の温度を低くして塩化水素の
    アルカリ金属酸化物への吸収を良くするための、冷却さ
    れた排ガスを供給する冷却排ガス循環供給導管(50)
    を接続した請求項記載の流動層ごみ焼却炉。
  4. 【請求項4】 アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なく
    とも一部とする下段流動層(10)を備え、投入された
    塩素化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化すると
    ともに、発生した塩化水素を除去し、不燃物を排出する
    ための流動層ガス化炉(12)と、 この流動層ガス化炉(12)の上部に連結され、流動層
    ガス化炉(12)で発生したガスを高温で完全燃焼させ
    るとともに、熱回収を行なう流動層燃焼炉(14)と、 下段流動層(10)の空気供給管(62)に設けられ
    、下段流動層(10)内の温度を低くして塩化水素の
    アルカリ金属酸化物への吸収を良くするための空気量制
    御手段(66)と、 下段流動層(10)の空気供給管(62)又は風箱(2
    0)に接続された、下段流動層(10)内の温度を低く
    して塩化水素のアルカリ金属酸化物への吸収を良くする
    ための冷却排ガス循環供給導管(64)と、 下段流動層(10)の周壁を被覆して設けられた、下段
    流動層(10)内の温度を低くして塩化水素のアルカリ
    金属酸化物への吸収を良くするための蒸発管群(60)
    と、 からなることを特徴とする流動層ごみ焼却炉。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なく
    とも一部とする下段流動層(10)を備え、投入された
    塩素化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化すると
    ともに、発生した塩化水素を除去し、不燃物を排出する
    ための流動層ガス化炉(12)と、 この流動層ガス化炉(12)の上部に連結され、流動層
    ガス化炉(12)で発生したガスを高温で完全燃焼させ
    るとともに、熱回収を行なう流動層燃焼炉(14)と、 下段流動層(10)に接続された不燃物・CaCl
    出導管(32)と、 この不燃物・CaCl排出導管(32)に接続され
    、不燃物・CaCl 排出導管(32)内の排出物中
    の未燃分を完全燃焼させるための空気を供給する空気供
    給管(70)、(72)と、 からなることを特徴とする流動層ごみ焼却炉。
  6. 【請求項6】 アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なく
    とも一部とする下段流動層(10)で、投入された塩素
    化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化するととも
    に、発生した塩化水素を除去し、かつ、不燃物を排出
    し、下段流動層(10)で発生したガスを上段流動層
    (16)で高温で完全燃焼させるとともに、熱回収を行
    なうに際し、 下段流動層(10)の周壁を蒸発管群(60)で被覆し
    て熱を吸収させて下段流動層(10)の温度を低く抑
    え、塩化水素のアルカリ金属酸化物への吸収を良くす
    ことを特徴とする流動層ごみ焼却炉における層温度制御
    方法。
  7. 【請求項7】 アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なく
    とも一部とする下段流動層(10)で、投入された塩素
    化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化するととも
    に、発生した塩化水素を除去し、かつ、不燃物を排出
    し、下段流動層(10)で発生したガスを上段流動層
    (16)で高温で完全燃焼させるとともに、熱回収を行
    なうに際し、 冷却された排ガスを下段流動層(10)に循環供給して
    下段流動層(10)の温度を低く抑え、塩化水素のアル
    カリ金属酸化物への吸収を良くすることを特徴とする流
    動層ごみ焼却炉における層温度制御方法。
  8. 【請求項8】 さらに、下段流動層(10)に注水して
    下段流動層(10)の温度を低く抑え、塩化水素のアル
    カリ金属酸化物への吸収を良くる請求項又は記載
    の流動層ごみ焼却炉における層温度制御方法。
  9. 【請求項9】 アルカリ金属酸化物を流動媒体の少なく
    とも一部とする下段流動層(10)で、投入された塩素
    化合物を含有するごみを還元雰囲気でガス化するととも
    に、発生した塩化水素を除去し、かつ、不燃物・CaC
    排出導管(32)から不燃物を排出し、下段流動層
    (10)で発生したガスを上段流動層(16)で高温で
    完全燃焼させるとともに、熱回収を行なうに際し、 不燃物・CaCl排出導管(32)に空気を供給し
    て、排出物中の未燃分を燃え切らせることを特徴とする
    流動層ごみ焼却炉における排出物燃焼方法。
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