JP2651884B2 - 生分解性を有する澱粉系組成物 - Google Patents

生分解性を有する澱粉系組成物

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JP2651884B2
JP2651884B2 JP5103367A JP10336793A JP2651884B2 JP 2651884 B2 JP2651884 B2 JP 2651884B2 JP 5103367 A JP5103367 A JP 5103367A JP 10336793 A JP10336793 A JP 10336793A JP 2651884 B2 JP2651884 B2 JP 2651884B2
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憲三 和田
祥子 古澤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばシートおよび
フィルムの成形、さらにはシートより食品包装容器等の
立体成形品への2次成形に使用され、廃棄後、土中にお
いて、生物あるいは微生物により分解される生分解性を
有する澱粉系組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、澱粉、あるいはポリカプロラクト
ン等の生分解性脂肪族ポリエステルを主成分とする組成
物からなるシート、さらには該シートから成形された食
品包装容器等の立体成形品は、既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
澱粉を主成分とする組成物からつくられたシートおよび
立体成形品は、安価ではあるが、耐衝撃性や耐水性に劣
り、また後者の脂肪族ポリエステルを主成分とする組成
物からつくられたシートおよび立体成形品は、生分解性
において優れているが、柔軟で機械的強度に劣り、しか
も一般に高価であるという問題があった。
【0004】また従来、生分解性を有する脂肪族ポリエ
ステルを主成分とし、これに炭酸カルシウムおよび/ま
たは炭酸マグネシウム、さらにはこれらに澱粉を加えた
微生物分解性のプラスチック成形品が提案されている
(例えば特開平4−146952号公報参照)。
【0005】この従来のプラスチック成形品は、多量の
炭酸カルシウム等の無機物質と、脂肪族ポリエステルに
対して分散性の低い澱粉を配合したものであるため、と
くに伸び特性が低く、例えばシート状物を真空成形法に
より2次成形する場合などに、成形性に劣るという問題
があった。
【0006】この発明の目的は、上記の従来技術の問題
を解決し、とくに成形シートの状態で伸び特性が良く、
成形性に優れているとともに、さらにシートより食品包
装容器等の立体成形品とした場合に耐衝撃性および剛性
などの機械的強度、および耐水性を大幅に向上すること
ができ、しかも安価である、生分解性を有する澱粉系組
成物を提供しようとするにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、澱粉質物質100重量部に対し、分
子量30000〜70000の生分解性脂肪族ポリエス
テル5〜40重量部および分子量300〜3000の低
分子量脂肪族ポリエステル1〜5重量部が配合されてい
る、生分解性を有する澱粉系組成物を要旨としている。
【0008】上記において、澱粉質物質とは、澱粉また
は変性澱粉であるが、澱粉質物質は、澱粉を主成分とし
た小麦粉等の穀粉であっても良い。
【0009】上記澱粉としては、馬鈴薯、とうもろこ
し、さつまいも、タピオカ、サゴヤシ、米、小麦などか
ら得れる澱粉を使用する。
【0010】また変性澱粉としては、これらの澱粉を一
部エーテル化、エステル化、架橋、酸化、あるいは酵素
分解して得られた変性澱粉を使用する。
【0011】エーテル化またはエステル化澱粉の置換度
は、0.01〜0.5が好ましい。ここで、置換度と
は、澱粉誘導体のグルコース1個あたりの置換水酸基の
平均値である。
【0012】また、エステル化剤としては、ギ酸、無水
ギ酸、酢酸、無水酢酸、酢酸ビニル、飽和脂肪酸、不飽
和脂肪酸、塩化アセチル、ケテン、リン酸ナトリウム、
トリポリリン酸ナトリウムなどがあげられる。エーテル
化剤としては、塩化メチル、酸化エチレン、エチレンク
ロルヒドリン、モノクロル酢酸、ジエチルアミノエチル
クロリド、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモ
ニウムクロリドがあげられる。
【0013】架橋澱粉の架橋程度は、通常、置換度0.
0003〜0.01である。ここで、架橋剤としては、
オキシ塩化リン、トリメタリン酸、アクロレイン、エピ
クロルヒドリンなどがあげられる。
【0014】酸化澱粉としては、カルボキシル基の置換
度が0.00001〜0.02程度生成したものが好ま
しい。
【0015】また、酵素分解して得られた変性澱粉と
は、澱粉を、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコ
アミラーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、ブ
ルラナーゼなどの酵素により分解したものをいう。
【0016】澱粉質物質は、澱粉を主成分とし、かつ蛋
白質、脂質および灰分等の不純物質50重量%以下が含
まれた小麦粉、米粉、玄米粉等の穀粉であっても良い。
【0017】また澱粉質物質は、のちの押出成形にさい
し、適正な糊化を達成し得るように、それ自体の含有水
分量が約7〜15%の範囲に調節される。ここで、含有
水分量が7%未満では、加工時に澱粉質物質が糊化せ
ず、押出機に過剰の負担がかゝり、成形加工が困難とな
るので好ましくない。含有水分量が15%を越えると、
糊化が過剰に進み、成形加工は容易となるものゝ、加工
された成形品の耐水性が低下するので、好ましくない。
【0018】また、上記生分解性脂肪族ポリエステルと
しては、例えばポリヒドロキシブチレート(PHB)、
ポリカプロラクトン(PCL)、ポリプロピオラクトン
(PPL)、ポリグリコリド、ポリエチレンアジペート
(PEA)、ポリエチレンスベレート(PESu)、ポ
リエチレンアゼレート(PEAz)、ポリエチレンセバ
ケート(PESE)、ポリエチレンデカメチレート(P
EDe)、ポリテトラメチレンアジペート(PBA)、
ポリテトラメチレンサクシネート(PBS)、ポリテト
ラメチレンセバケート(PBSE)、ポリヘキサメチレ
ンセバケート(PHSE)およびジカルボン酸グリコー
ル、並びに微生物生産性の3−ヒドロキシブチレート・
3−ヒドロキシバリレート共重合体=P(3HB−3H
V)、ポリ3−ヒドロキシアルカノエート=P(3H
A)、3−ヒドロキシブチレート・4−ヒドロキシブチ
レート共重合体=P(3HB−4HB)、3−ヒドロキ
シブチレート・3−ヒドロキシバリレート・4−ヒドロ
キシブチレート共重合体=P(3HB−3HV−4H
B)、3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリ
レート・5−ヒドロキシバリレート共重合体=P(3H
B−3HV−5HV)よりなる群の中から選ばれた少な
くとも1つの脂肪族ポリエステルを使用する。
【0019】なお、生分解性脂肪族ポリエステルとして
は、これらの脂肪族ポリエステルの誘導体も使用可能で
ある。
【0020】このように、生分解性脂肪族ポリエステル
は、上記の脂肪族ポリエステルおよびその誘導体であっ
て、その分子量が30000〜70000のものを使用
する。ここで、比較的高い分子量の脂肪族ポリエステル
を使用するのは、組成物から成形されるシートおよびフ
ィルム、さらにはシートより得られる食品包装容器等の
立体成形品の機械的強度を高めるためである。
【0021】澱粉質物質に対する生分解性脂肪族ポリエ
ステルの配合割合は、澱粉質物質100重量部に対し生
分解性脂肪族ポリエステル5〜40重量部、好ましくは
10〜35重量部である。ここで、生分解性脂肪族ポリ
エステルが5重量部未満では、成形体としての基材形成
ができず、また生分解性脂肪族ポリエステルが40重量
部を越えると、耐衝撃性や機械的強度のより高い向上は
認められず、かえってコスト高となり、不経済であるの
で、好ましくない。
【0022】ところで、澱粉質物質と生分解性脂肪族ポ
リエステルとは、これらだけを配合しただけでは、押出
成形法などの成形加工時に両者の分散性が悪く、成形加
工が困難となる。
【0023】そこで、この発明においては、これらの分
散性を向上するために、分散助剤として、ポリカプロラ
クトンなどよりなる低分子量の脂肪族ポリエステルを添
加した。
【0024】低分子量脂肪族ポリエステルは、分子量3
00〜3000、好ましくは350〜600を有するも
のである。ここで、低分子量脂肪族ポリエステルの分子
量が300未満では、脂肪族ポリエステルの水酸基の数
に起因して、成形品の耐水性が低下するので、好ましく
ない。また脂肪族ポリエステルの分子量が3000を越
えると、澱粉質物質と生分解性脂肪族ポリエステルとの
分散を充分に達成できず、成形性が低下するので、好ま
しくない。
【0025】なお、この低分子量脂肪族ポリエステル
は、澱粉質物質100重量部に対して1〜5重量部配合
されるが、ここで、低分子量脂肪族ポリエステルが1重
量部未満では、澱粉質物質と生分解性脂肪族ポリエステ
ルとの分散をやはり充分に達成できず、成形性が低下す
るので、好ましくない。また5重量部を越えると、成形
品が柔軟となり、機械的強度が劣るので、好ましくな
い。
【0026】さらに、この発明では、成形品の耐衝撃性
を向上するために、補強用添加剤として、タンパク質物
質および天然ガムよりなる群の中から選ばれた少なくと
も1つの物質を添加した。
【0027】ここで、補強用添加剤を構成するタンパク
質物質としては、グルテン等の植物性タンパク質物質、
並びにカゼイン、プロテイン、コラーゲンおよびゼラチ
ン等の動物性タンパク質物質よりなるものを使用する。
また補強用添加剤を構成する天然ガムとしては、キサン
タンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビ
ーンガム等の親水性の植物性多糖類およびその誘導体よ
りなるものを使用する。 澱粉質物質に対する補強用添
加剤の配合割合は、澱粉質物質100重量部に対し補強
用添加剤1〜5重量部、好ましくは1.5〜4重量部で
ある。ここで、補強用添加剤が1重量部未満では、澱粉
質物質と生分解性脂肪族ポリエステルとの分散性が向上
できず、成形品の耐衝撃性の向上を果たすことができな
い。また補強用添加剤が5重量部を越えると、分散性の
さらなる向上は認められず、成形品の耐衝撃性が向上せ
ず、かえって成形加工時の熱劣化による変色が著しくな
り、好ましくない。
【0028】なお、この発明では、さらに滑剤として、
蔗糖脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステルを添加しても
良く、また可塑剤として、グリセリン、エチレングリコ
ール、ソルビット等の糖アルコールを添加しても良い。
【0029】この発明による澱粉系組成物の成形加工に
さいしては、上記各成分を、従来公知の手段により、常
温または必要に応じて120℃以下の温度に適宜加熱し
て、混合したのち、通常の押出成形法によりシートない
しはフィルムの状態の成形品とする。
【0030】このとき、澱粉質物質の適正な糊化を達成
し、材料の熱分解を避けるために、押出機中の材料温度
をできるだけ低く保つことが望ましく、この温度は、例
えば60〜150℃の範囲が適当である。
【0031】なお、この発明による澱粉系組成物の成形
加工は、上記押出成形法のほか、射出成形法、あるいは
ブロー成形法などにより、実施することもできる。
【0032】そして、成形されたシートないしはフィル
ムは、これらをそのまゝで使用することもできるが、さ
らにシートを、真空成形法などにより2次成形して、食
品包装容器等の立体成形品として使用する。
【0033】
【作用】上記において、生分解性を有する澱粉系組成物
は、それ自体生分解性を有する澱粉質物質を主成分と
し、これに、分子量30000〜70000の生分解性
脂肪族ポリエステルと、分子量300〜3000の低分
子量脂肪族ポリエステルが配合されているだけであるか
ら、これを所定形状の成形品に成形し、その使用後に土
中に埋没廃棄しても、自然の腐敗により分解して消滅
し、あるいはまた焼却廃棄しても、熱の発生が少なく、
かつ公害を生じにくいものである。
【0034】また、上記生分解性を有する澱粉系組成物
によれば、とくに成形シートの状態で伸び特性が良く、
成形性に優れている。さらにシートより食品包装容器等
の立体成形品とした場合に、耐衝撃性および剛性などの
機械的強度、および耐水性を大幅に向上することがで
き。しかも材料費が非常に安くつき、製造コストが安く
つく。
【0035】また生分解性を有する澱粉系組成物に、さ
らにタンパク質物質および天然ガムからなる補強用添加
剤が含まれた場合には、シートあるいは食品包装容器等
の立体成形品の耐衝撃性が大幅に向上するものである。
【0036】
【実施例】つぎに、この発明の実施例を比較例と共に説
明する。
【0037】実施例1 馬鈴薯澱粉100重量部と、生分解性を有する脂肪族ポ
リエステルとして分子量40000のポリカプロラクト
ン(PCL)(商品名TONE P−787、ユニオン
カーバイド社製)10重量部と、分散助剤として分子量
540のポリカプロラクトン(PCL)(商品名TON
E 0305、ユニオンカーバイド社製)3重量部とを
混合し、得られた混合物を、口径50mmの同方向二軸押
出成形機(幸和工業株式会社製)に投入し、部分最高温
度110℃に設定して、厚さ2mmのシートに成形した。
【0038】得られたシートの弾性率(×103 kg/
cm2 )、伸び(%)、衝撃強度(kgf・cm/c
m)、および生分解性(生分解性試験により発生したC
2 の総炭素量の測定値・ppm)についての物性値
は、表1に示すとおりのものであった。
【0039】なおここで、シートの弾性率は、ASTM
D−790に基づく方法により測定した。また伸び
は、ASTM D−790に基づく方法により測定し
た。衝撃強度は、ASTM D−256に基づくアイゾ
ット試験方法により測定した。
【0040】さらに、生分解性は、下記の生分解性試験
により発生した炭酸ガス(CO2 )の総炭素量の測定値
(ppm)を表示し、生分解性の良否を判定とした。こ
こで、測定値(ppm)の大きいものが生分解性にすぐ
れているものである。
【0041】生分解性試験は、つぎのようにして実施し
た。
【0042】すなわち、本発明の澱粉系組成物を成形し
て得られた厚さ2mmのシートのサンプル1mgに、10
μモルのリン酸緩衝液0.15ml、および澱粉の分解
酵素のアミラーゼ(Aspergiluss sp.k
−27)(商品名ダビアーゼk−27、長瀬産業株式会
社製)と、脂肪族ポリエステルの分解酵素のリパーゼ
(Rhizopus Delemer)(商品名タリパ
ーゼ、田辺製薬株式会社製)とを、それぞれ0.01m
g加えた。さらに、これに界面滑性剤(商品名プライサ
ーフ A210G、第一工業製薬株式会社製)を0.0
1mg加えたのち、水を加えて、全体量を1.0mlと
し、これを37℃で16時間反応させた。そして、反応
の間に生じた炭酸ガス(CO2 )を所定量の水に吸収
し、可溶化された炭酸ガスの総炭素量を、TOC測定器
を用いて測定した。
【0043】こうしてシートサンプルについての生分解
性試験により発生した炭酸ガス(CO2 )の総炭素量の
測定値(ppm)を表1に示し、測定値の大きいものを
生分解性の良好なものと判定した。なお、該測定値から
は、上記シートサンプル、リン酸緩衝液および界面滑性
剤、並びに澱粉と脂肪族ポリエステルの分解酵素につい
てそれぞれ実施したブランクテストから得られる発生炭
酸ガス中の炭素量の測定値(ppm)は、当然のことな
がら、差し引かれている。
【0044】実施例2 馬鈴薯澱粉100重量部の代わりに、馬鈴薯澱粉80重
量部および酸化澱粉20重量部を用い、これらの澱粉
と、生分解性を有する脂肪族ポリエステルとして分子量
70000のポリカプロラクトン(PCL)(商品名P
LACCEL H−7、ダイセル社製)10重量部と、
分散助剤として実施例1と同じ分子量540のポリカプ
ロラクトン3重量部とを混合し、得られた混合物を実施
例1の場合と同様にシートに成形した。
【0045】実施例3 コーンスターチ100重量部と、生分解性を有する脂肪
族ポリエステルとして分子量40000のポリカプロラ
クトン10重量部と、分散助剤として分子量3000の
ポリカプロラクトン(PCL)(商品名TONE 32
60、ユニオンカーバイド社製)を3重量部とを混合
し、得られた混合物を、実施例1の場合と同様にシート
に成形した。なお、混合のさい、作業性が悪かったの
で、115℃の温度でホットブレンドし、分散性を向上
させた。
【0046】実施例4 コーンスターチ100重量部と、生分解性を有する脂肪
族ポリエステルとして分子量40000のポリカプロラ
クトン30重量部と、分散助剤として分子量540のポ
リカプロラクトン3重量部とを混合し、得られた混合物
を実施例1の場合と同様にシートに成形した。
【0047】実施例5 小麦粉100重量部と、生分解性を有する脂肪族ポリエ
ステルとして分子量40000のポリカプロラクトン2
0重量部と、分散助剤として分子量540のポリカプロ
ラクトン3重量部と、補強用添加剤を構成するタンパク
質物質としてグルテン2重量部とを混合し、得られた混
合物を実施例1の場合と同様にシートに成形した。
【0048】実施例6 馬鈴薯澱粉100重量部と、生分解性を有する脂肪族ポ
リエステルとして分子量70000のポリカプロラクト
ン20重量部と、分散助剤として分子量540のポリカ
プロラクトン3重量部と、補強用添加剤を構成する天然
ガムとしてタマリンドガム1.5重量部とを混合し、得
られた混合物を実施例1の場合と同様にシートに成形し
た。
【0049】なお、上記実施例2〜実施例6で得られた
シートの弾性率、伸び、衝撃強度、および生分解性を、
実施例1の場合と同様に測定し、得られた結果を表1に
まとめて示した。
【0050】比較例1〜6 また、比較のために、生分解性を有する脂肪族ポリエス
テルおよび分散助剤の種類と配合量を変え、その他の点
は、上記実施例5の場合と同様にして、生分解性を有す
る各種澱粉系組成物を製造した。
【0051】そして、上記比較例1〜比較例6で得られ
たシートの弾性率、伸び、衝撃強度、および生分解性
を、実施例1の場合と同様に測定し、得られた結果を表
1にまとめて示した。
【0052】
【表1】 上記表1に示すように、実施例1〜6のこの発明による
澱粉系組成物により得られたシートによれば、いずれの
場合も、伸び特性が良く、成形性に優れているととも
に、耐衝撃性および剛性などの機械的強度、および耐水
性を大幅に向上することができ、しかも優れた生分解性
を有するものであった。
【0053】またとくに、実施例2の澱粉系組成物で
は、酸化澱粉を添加することにより、糊化が促進され、
溶融粘度が下がり、押出加工性が向上した。しかし、物
性値にはあまり大きな差異はなかった。
【0054】また実施例4では、生分解性を有する脂肪
族ポリエステルとして分子量40000のポリカプロラ
クトン(PCL)30重量部を使用したが、融点60℃
と低いことに起因する耐熱性不足の欠点は、ほとんど認
められなかった。物性的には良好な結果を示したが、生
分解性速度は、若干遅くなった。
【0055】また実施例5の澱粉系組成物は、補強用添
加剤としてタンパク質物質であるグルテンを含むもので
あるから、シートの伸びが向上した。とりわけ真空成形
性(熱時の伸びアップ)が向上する特長がでた。さらに
成形品の耐衝撃性が向上した。
【0056】また実施例6の澱粉系組成物は、補強用添
加剤として天然ガムであるタマリンドガムを含むため、
補強効果だけでなく、ゲル化促進剤としての効果があ
り、押出加工性が向上した。
【0057】これに対し、まず比較例1では、生分解性
を有する脂肪族ポリエステルとして分子量10000の
ポリカプロラクトン(PCL)(商品名TONE P−
300、ユニオンカーバイド社製)10重量部を使用し
た。その結果、生分解性は良好であったが、衝撃強度な
どの物性が目標値をクリアすることができなかった。
【0058】比較例2では、生分解性を有する脂肪族ポ
リエステルとして分子量40000のポリカプロラクト
ンを用いるが、その量を4重量部と本発明の範囲よりも
少ないものとした。その結果、やはり衝撃強度などにお
いて所期のシート物性が得られなかった。
【0059】比較例3では、分散助剤としての低分子量
ポリカプロラクトンを添加せず、補強用添加剤を構成す
るタンパク質物質としてグルテン2重量部を混合した。
その結果、補強用添加剤の添加によりシート物性はある
程度向上したが、分散性にやゝ不足の点があり、本発明
の実施例に比べると、性能が劣るものであった。
【0060】比較例4では、分散助剤としてポリカプロ
ラクトン(PCL)のモノマー(商品名TONE Mo
nomerEC、ユニオンカーバイド社製)を3重量部
添加した。その結果、可塑化の効果があり、分散性、加
工性は向上したが、ポリカプロラクトン・モノマーは一
部揮発してしまい、シート物性の向上の点では問題が残
った。
【0061】比較例5では、分散助剤として分子量10
000のポリカプロラクトン(PCL)を3重量部添加
した。その結果、分散助剤の分子量が大きすぎるため、
分散性を向上するには至らず、単にポリカプロラクトン
(PCL)の比率が多くなっただけで、シート物性向上
の効果は認められなかった。
【0062】比較例6では、分散助剤として分子量54
0のポリカプロラクトンを用いるが、その量を15重量
部と本発明の範囲よりも多いものとした。その結果、非
常に軟質のシートが得られ、所期の物性を有する硬質の
シートが得られなかった。なお、軟質シートを得るに
は、例えばグリセリン等の他の可塑剤を使用した方が、
安価で、作業性も良いため、分散助剤としての低分子量
ポリカプロラクトンを多量に添加する効果は、認められ
なかった。
【0063】
【発明の効果】この発明による生分解性を有する澱粉系
組成物は、上述のように、澱粉質物質100重量部に対
し、分子量30000〜70000の生分解性脂肪族ポ
リエステル5〜40重量部および分子量300〜300
0の低分子量脂肪族ポリエステル1〜5重量部が配合さ
れているもので、この発明の生分解性を有する澱粉系組
成物によれば、とくに成形シートの状態で伸び特性が良
く、成形性に優れている。さらにシートより食品包装容
器等の立体成形品とした場合には、耐衝撃性および剛性
などの機械的強度、および耐水性を大幅に向上すること
ができ、しかも安価であるという効果を奏する。
【0064】なお、この発明による生分解性を有する澱
粉系組成物は、それ自体生分解性を有する澱粉質物質を
主成分とし、これに、上記生分解性脂肪族ポリエステル
と、低分子量脂肪族ポリエステルとが配合されているだ
けであるから、これをシート、フィルム、および立体成
形品とし、その使用後にこれらを土中に埋没廃棄して
も、自然の腐敗により分解して消滅し、あるいはまたこ
れらを焼却廃棄しても、熱の発生が少なく、かつ公害を
生じにくいものである。
【0065】また、この発明の生分解性を有する澱粉系
組成物は、さらにタンパク質物質および天然ガムよりな
る群の中から選ばれた少なくとも1つの物質からなる補
強用添加剤1〜5重量部が含まれているから、シートあ
るいは食品包装容器等の立体成形品の耐衝撃性が大幅に
向上するという効果を奏する。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 澱粉質物質100重量部に対し、分子量
    30000〜70000の生分解性脂肪族ポリエステル
    5〜40重量部および分子量300〜3000の低分子
    量脂肪族ポリエステル1〜5重量部が配合されている、
    生分解性を有する澱粉系組成物。
  2. 【請求項2】 澱粉質物質が、澱粉または変性澱粉であ
    る、請求項1記載の生分解性を有する澱粉系組成物。
  3. 【請求項3】 澱粉質物質が、澱粉を主成分とし、かつ
    蛋白質、脂質および灰分等の不純物質50重量%以下が
    含まれた穀粉である、請求項1記載の生分解性を有する
    澱粉系組成物。
  4. 【請求項4】 生分解性脂肪族ポリエステルが、ポリヒ
    ドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリプロピ
    オラクトン、ポリグリコリド、ポリエチレンアジペー
    ト、ポリエチレンスベレート、ポリエチレンアゼレー
    ト、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンデカメチレ
    ート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチ
    レンサクシネート、ポリテトラメチレンセバケート、ポ
    リヘキサメチレンセバケートおよびジカルボン酸グリコ
    ール、並びに微生物生産性の3−ヒドロキシブチレート
    ・3−ヒドロキシバリレート共重合体、ポリ3−ヒドロ
    キシアルカノエート、3−ヒドロキシブチレート・4−
    ヒドロキシブチレート共重合体、3−ヒドロキシブチレ
    ート・3−ヒドロキシバリレート・4−ヒドロキシブチ
    レート共重合体、3−ヒドロキシブチレート・3−ヒド
    ロキシバリレート・5−ヒドロキシバリレート共重合体
    よりなる群の中から選ばれた少なくとも1つの脂肪族ポ
    リエステルである、請求項1記載の生分解性を有する澱
    粉系組成物。
  5. 【請求項5】 低分子量脂肪族ポリエステルが、ポリカ
    プロラクトンである、請求項1記載の生分解性を有する
    澱粉系組成物。
  6. 【請求項6】 さらにタンパク質物質および天然ガムよ
    りなる群の中から選ばれた少なくとも1つの物質からな
    る補強用添加剤1〜5重量部が含まれている、請求項1
    記載の生分解性を有する澱粉系組成物。
  7. 【請求項7】 タンパク質物質が、グルテン等の植物性
    タンパク質物質並びにカゼイン、プロテイン、コラーゲ
    ンおよびゼラチン等の動物性タンパク質物質よりなるも
    のであり、天然ガムが、キサンタンガム、タマリンドガ
    ム、グアーガム、ローカストビーンガム等の親水性の植
    物性多糖類およびその誘導体よりなるものである、請求
    項6記載の生分解性を有する澱粉系組成物。
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