JP2645132B2 - 治療装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、癌組織や結石等の被治療物を、超音波送波
等によって得られる衝撃波により破砕する衝撃波治療装
置、並びに、連続超音波の集束エネルギーによる熱作用
で癌組織等を破壊し治療する温熱治療装置に関する。

（従来の技術） この種の装置として、超音波送波によって衝撃波を発
生するものが知られている。また、この超音波による衝
撃波治療装置には、衝撃波発生源として超音波振動子を
高電圧で駆動して生体内の被治療物を衝撃波により破砕
する衝撃波パルスの発生前に、前記衝撃波発生源として
の超音波振動子を低電圧で駆動して受波情報を得る超音
波パルスを送波し、さらに超音波振動子群を断層像生成
のため所謂Ｂモード駆動して断層像（Ｂモード像情報）
を得ることができるようにしているものがある。このよ
うな装置では、前記被治療物と前記衝撃波焦点との一致
度を、前記受波情報及び前記断層像で知ることができ
る。また、この種の装置のものは、超音波イメージング
プローブによる断層像（Ｂモード像）を見ながら操作者
は何時でも衝撃波発生スイッチを押して衝撃波を発生す
ることができる。

（発明が解決しようとする課題） 生体内の被治療物を衝撃波により破砕する原理は、例
えば超音波ビームの集束エネルギーによる物理的破砕に
よるものであるが、被治療物である癌組織や結石等に衝
撃波が照射されるならば、治療となり得るが、被治療物
でない正常組織等に衝撃波が照射されると、生体損傷に
つながる。

この場合、従来の装置では、衝撃波照射ボタンを押す
と、衝撃波発生源としての超音波振動子が高電圧で駆動
し、このとき、衝撃波焦点が被治療物の位置に一致して
いないのに、衝撃波が発生し、被治療物でない正常組織
等に衝撃波が照射されることがあり、生体損傷につなが
りかねない問題があった。また、以上の説明は、振動子
から衝撃波を発生するものの例であるが、駆動回路を連
続超音波を発生できるものに代えると温熱治療を行なえ
るものになり、やはり、この場合も誤照射の問題が生じ
ることになった。

そこで本発明の目的は、衝撃波の誤照射を防止し得る
衝撃波治療装置、並びに、連続超音波の誤照射を防止し
得る温熱治療装置を提供することにある。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 本発明の治療装置は上記課題を解決するため、焦点位
置へ収束超音波を照射及び送受波するための超音波振動
子群と、前記超音波振動子群を高電圧駆動することによ
り前記焦点位置へ治療用超音波の照射を行い、前記超音
波振動子群を低電圧駆動することにより前記焦点位置へ
受波情報生成用超音波の送受信を行うための送受信手段
と、前記送受信手段にて得られた受波情報に基づき被治
療物の位置と前記焦点位置とが一致するよう前記焦点位
置の位置決めを行うための位置決めモードと前記焦点位
置へ治療用超音波を照射するための治療モードとを切り
換えるための切り換え手段と、前記切り換え手段により
前記治療モードが選択されていて且つ前記受波情報が前
記被治療物の位置と前記焦点位置との一致状態を示して
いる場合のみ前記超音波振動子群を高電圧駆動すること
が可能となるよう前記送受信手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする。

（作用） 本発明の治療装置によれば、位置決めモードと治療モ
ードとを切り換えるための切り換え手段を有し、切り換
え手段により治療モードが選択されていて且つ受波情報
が被治療物の位置と焦点位置との一致状態を示している
場合のみ超音波振動子群を高電圧駆動することが可能と
なるよう送受信手段を制御する制御手段を備えているの
で、被治療物以外に焦点位置があるような位置決めの最
中に操作者が誤って超音波振動子群を高電圧駆動させて
しまうことを防止し、治療超音波の誤照射を未然に防止
することができ、安全な治療を行うことができる。

（実施例） 以下本発明にかかる衝撃波治療装置の一実施例を第１
図〜第３図を参照して説明する。第１図は同実施例のブ
ロック図、第２図は同実施例の動作流れ図、第３図は同
実施例の動作タイミング図である。

本実施例の衝撃波治療装置は、アプリケータと称され
る媒質容器に、超音波による衝撃波を発生させ且つ超音
波エコーによる包絡線波形を得るための第１の超音波振
動子群と、超音波エコーによる断層像を得るための第２
の超音波振動子群とを設けた超音波による衝撃波治療装
置である。

第１図に示すように、アプリケータ10は、略中央部に
抜孔を有する凹面体12に、蛇腹機構14の一端部が固定さ
れ、この蛇腹機構14の他端部には可とう性の隔膜16が取
付けられ、前記抜孔には例えばモータ及びエンコーダを
含む位置決め機構18を介して摺動可能な断層像生成用棒
状プローブ20が設けられ、凹面体12,蛇腹機構14,隔膜16
により形成される内空間は、液密構造となっている。こ
の液密構造の内空間には、超音波媒質の一つである水Ｗ
が収容されており、図示しないタンク内から給排可能に
なっている。

ここで、凹面体12には、超音波による衝撃波を発生さ
せ且つ超音波エコーによる包絡線波形を得るための第１
の超音波振動子群22が設けられ、棒状プローブ20の先端
には超音波エコーによる断層像を得るための第２の超音
波振動子群24が設けられている。ここで、第１の超音波
振動子群22の超音波送受波による口径は大きいものであ
り、第２の超音波振動子群24の超音波送受波における口
径は小さいものであり、しかも、第１の超音波振動子群
22におけるビーム焦点は、内空間に収容される水Ｗの量
により所望の深さに設定できるものとなっている。この
場合、水Ｗの量の増減に伴い、蛇腹機構14は伸縮し、隔
膜16は常に患者Ｐの体表に密着するものとなっている。

図示、26は第１の超音波振動子群22の超音波ビームを
示し、28は第２の超音波振動子群24の超音波ビームを示
し、30は第１の超音波振動子群22のビーム焦点を示して
いる。従って、棒状プローブ20を上下することにより第
２の超音波振動子群24の超音波ビーム26の上下すなわち
断層像のイメージング部位を上下することができ、水Ｗ
を内空間つまりアプリケータ10から給排することによ
り、第１の超音波振動子群22のビーム焦点30を上下する
ことができる。

本実施例装置の電気回路の構成は、断層像装置40と、
第１の振動子群送受信回路50と、マイクロプロセッサを
含み両装置40,50を統括制御するコントローラ60と、こ
のコントローラ60を介し両装置40,50等に対して操作指
令を与える操作卓70と、両装置40,50からの画像情報等
を表示するディスプレイ80と、位置決め装置18に対する
動作信号及び帰還信号を送受して棒状プローブ20の位置
を設定するための位置コントローラ90とにより構成され
ている。

断層像装置40は、第２の超音波振動子群24を電子走査
型アレイプローブとした所謂電子走査型断層像映像化装
置であり、送受信の切換えを行うマルチプレクサ41と、
送信回路42と、Ｂモード用の低電圧パルスを発生する第
１のパルサ43と、受信回路44と、断層像生成のための信
号処理を行う信号処理回路45と、この信号処理回路45よ
り生成された断層像を保持する画像メモリ46と、この画
像メモリ46に保持された断層像に対して例えば画素値認
識処理等の画像処理を加える画像処理回路47とから構成
されている。

第１の振動子群送受信回路50は、第１の超音波振動子
群22を高電圧で駆動することにより超音波ビームの集束
エネルギーによる衝撃波を生体に照射し、この衝撃波に
より被治療物を破砕する治療モードを実行することと、
第１の超音波振動子群22を低電圧で駆動することにより
超音波エコーによる包絡線波形等の受波情報を得ること
ができる装置であり、送受信の切換えを行うマルチプレ
クサ51と、送信回路52と、衝撃波発生用の高電圧パルス
と受波情報生成用の低電圧パルスとを発生する第２のパ
ルサ53と、この第２のパルサ53により低電圧パルスを与
えたときの受波情報を受信する受信回路54と、この受信
回路54による受波情報を信号処理して包絡線波形等を得
る信号処理回路55とから構成されている。

コントローラ60は、断層像装置40,第１の振動子群送
受信回路50,操作卓70,ディスプレイ80,位置コントロー
ラ90の制御を行うものであり、例えば第２図に示す流れ
図に従った動作及び第３図に示すようなタイミングに従
った動作をするように、例えば制御プログラムを内蔵
し、該プログラムが実行可能になっている。

操作卓70は、図示しない複数のスイッチ，ダイヤル，
キー等を備え、断層像装置40の条件設定及びその起動、
第１の振動子群送受信回路50の条件設定及びその起動、
水Ｗの給排設定及びその起動、棒状プローブ20の上下設
定及びその起動等を前記複数のスイッチ，ダイヤル，キ
ーを操作者が操作することにより行うことができるよう
になっている。ここで、本実施例装置の操作卓70は、位
置決めモードから治療モードへの切換スイッチ71及び衝
撃波照射ボタン72を有し、しかも、衝撃波照射ボタン72
は、切換スイッチ71を操作して位置決めモードから治療
モードへ切換えないとオン動作しない構成となってい
る。

上記の如く構成された本実施例の動作を第２図及び第
３図を参照して説明する。すなわち、図において、ステ
ップS1で電源をONし、次ぎに、ステップS2でアプリケー
タ10内に水Ｗを入れる。このとき、コントローラ60は断
層像モード装置40を起動させ、、以降にあってディスプ
レイ80上には常に断層像が表示される。アプリケータセ
ットスイッチをONし、準備が整うと、アプリケータレデ
ィLED（発光ダイオード）が点灯する。このとき、操作
卓70に備わっている位置決めモードスイッチLED及び治
療モードスイッチLEDは点灯せず、Ｂモード超音波のみ
が送波され、照射ボタン72を押しても衝撃波は発生しな
い。

そして、ステップS3にて、アプリケータレディLEDが
点灯すると、コントローラ60は、位置決めモードスイッ
チLEDを点灯し、位置決め／治療モード装置50の第２の
パルサ53に低電圧パルストリガを与え、これにより、第
１の超音波振動子群22を低電圧で駆動することにより超
音波エコーによる包絡線波形等の受波情報を得、ディス
プレイ80上に包絡線波形等の受波情報が表示される。こ
のとき、照射ボタン72を押しても、位置決めモードから
治療モードへの切換スイッチ71が切換っていないので、
第２のパルサ53に高電圧パルストリガは与えられず、よ
って衝撃波は発生しない。この状態で、ディスプレイ80
上に表示した画像焦点マーカ及び信号処理回路55により
作られ表示された結石−焦点一致度グラフを見ながら、
被治療物と衝撃波焦点とを一致させるための位置決めを
行う。これは、アプリケータ10内の水Ｗの給排やアプリ
ケータ10の移動により行なうことができる。

次に、ステップS4にて、治療モードにおける駆動電
圧，パルスレート，衝撃波照射数等の衝撃波照射条件を
設定する。

次に、ステップS5にて、位置決めが終了し（結石と焦
点マーカーとが一致し）、位置決めモードから治療モー
ドへの切換スイッチ71を操作すると、その切換スイッチ
71に備わっているLEDが点灯し、位置決めモードLEDは消
灯する。

次に、ステップS6にて、Ｂモード系，アプリケータ移
動系，アプリケータ内水循環系，パルサ系等がレディー
であり、且つ治療モードであれば、照射スタンバイLED
が点灯し、、照射ボタン72を押し、そのとき、結石−焦
点一致度グラフが一致状態を示していれば、、第１の超
音波振動子群22は高電圧で駆動され衝撃波が所定回数発
生し、例えば結石に照射される。

次に、ステップS7にて、衝撃波照射を修了して、破砕
効果を調べるには、位置決めモードスイッチを押し、第
２の超音波振動子群24による超音波断層像を得、第１の
超音波振動子群22を低電圧で駆動することにより超音波
エコーによる包絡線波形等の受波情報を得、ディスプレ
イ80上に包絡線波形等の受波情報を表示する。

以上で一連の手順は終了し、ステップS8として、次ぎ
の患者に移る。

以上のように、本実施例によれば、位置決めモードか
ら治療モードへの切換スイッチ71及び衝撃波照射ボタン
72を有し、しかも、衝撃波照射ボタン72は、切換スイッ
チ71を操作して位置決めモードから治療モードへ切換え
ないとオン動作しない構成となっているので、位置決め
モードを設定し被治療物と衝撃波焦点との位置を確認し
ている最中に、第１の超音波振動子群22を高電圧で駆動
するための照射ボタン72を、たとえ間違ってオン操作し
たとしても、第１の超音波振動子群22は高電圧駆動され
ないので、衝撃波は発生せず、よって、衝撃波焦点が被
治療物に合っていないとき、誤照射が未然に防止され、
安全である。

上記の実施例において、第２のパルサ53,52に代え
て、連続超音波を発生できる連続超音波送信器を用いる
ことにより、温熱治療装置として構成される。

この他、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種種変形して実施
できるものである。

［発明の効果］ 本発明の治療装置によれば、位置決めモードと治療モ
ードとを切り換えるための切り換え手段を有し、切り換
え手段により治療モードが選択されていて且つ受波情報
が被治療物の位置と焦点位置との一致状態を示している
場合のみ超音波振動子群を高電圧駆動することが可能と
なるよう送受信手段を制御する制御手段を備えているの
で、従来装置のように位置決めの最中であっても何時で
も超音波振動子群を高電圧駆動させることができるもの
とは異なり、被治療物以外に焦点位置があるような位置
決めの最中に操作者が誤って超音波振動子群を高電圧駆
動させてしまうことを防止し、治療超音波の誤照射を未
然に防止することができ、安全な治療を行うことができ
るようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかる衝撃波治療装置の一実施例のブ
ロック図、第２図は同実施例の動作流れ図、第３図は同
実施例の動作タイミング図である。 10……アプリケータ、12……凹面体、14……蛇腹機構、
16……隔膜、18……位置決め機構、20……断層像生成、
22……第１の超音波振動子群、24……第２の超音波振動
子群、40……断層像装置、50……第１の振動子群送受信
回路、60……コントローラ、70……５操作卓、71……切
換スイッチ、72……照射ボタン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−183049（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−62150（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−49843（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】焦点位置へ収束超音波を照射及び送受波す
   るための超音波振動子群と、 前記超音波振動子群を高電圧駆動することにより前記焦
   点位置へ治療用超音波の照射を行い、前記超音波振動子
   群を低電圧駆動することにより前記焦点位置へ受波情報
   生成用超音波の送受信を行うための送受信手段と、 前記送受信手段にて得られた受波情報に基づき被治療物
   の位置と前記焦点位置とが一致するよう前記焦点位置の
   位置決めを行うための位置決めモードと前記焦点位置へ
   治療用超音波を照射するための治療モードとを切り換え
   るための切り換え手段と、 前記切り換え手段により前記治療モードが選択されてい
   て且つ前記受波情報が前記被治療物の位置と前記焦点位
   置との一致状態を示している場合のみ前記超音波振動子
   群を高電圧駆動することが可能となるよう前記送受信手
   段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする治療
   装置。
2. 【請求項２】前記治療用超音波は破砕用衝撃波または温
   熱治療用連続超音波であることを特徴とする請求項１記
   載の治療装置。