JP3644644B2 - 超音波治療装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、治療部位を超音波の集束エネルギによって治療する超音波治療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、腎臓結石、その他の結石や癌組織などを手術によることなく除去する方法として、所定の領域に集束する超音波を体外から照射するものが知られている。以下、従来技術の一例としてピエゾ素子(圧力振動子)を用いた超音波治療装置を簡単に説明する。
【0003】
ピエゾ素子とは、例えば厚み方向に電圧を印加することにより機械的な振動をおこすものであり、この振動により超音波が発生する。
このピエゾ素子を、例えば複数個凹面(球体の一部)状に配列し、これらのピエゾ素子に同時に電圧を印加すれば、発生した超音波は球面の幾何学的中心に集束する。被検体(患者)内の、例えば腎結石に超音波の集束位置(以下、焦点または集束点ということもある。)が一致するように前述したピエゾ素子などの超音波発生源を配置する。これにより腎結石は超音波の集束エネルギにより徐々に破砕される。実際の装置構成にあっては、人体への超音波の伝達効率を高めるために超音波発生源の発生面側に水袋を設けて、この水袋を被検体に接触させた状態で治療したり、焦点位置と治療部位とを位置合わせを容易にしたり治療経過を確認するために従来より知られている超音波イメージングやX線診断装置を併用した超音波治療装置も知られている。
【0004】
このような超音波治療装置を用いて結石などの被破砕物を治療をする際に、結石などの被破砕物の大きさに応じて集束超音波の焦点サイズを変化させることができる。これは、それぞれの振動子の電圧印加タイミングに時間差をつけることにより可能である。焦点サイズとは、超音波の圧力分布におけるピーク圧力の半値以上の圧力をもつ範囲、またはある一定以上の圧力を指す場合があるが、一般に特定された基準はいまだ定められていない。
【0005】
尚、超音波発生源としては上述したピエゾ素子の他、磁界を加えることにより機械的振動を引き起こす磁歪素子を利用した方式、磁性体に巻き付けたコイルに電流を供給することにより機械的振動を引き起こす電磁誘導方式などが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような超音波治療装置にはつぎのような問題点がある。 それは、結石などの治療部位に応じて集束超音波の焦点サイズを大きくする際、焦点サイズが大きくなるにつれ集束超音波のエネルギが分散するため治療効率が低下するということである。
【0007】
そこで本発明は上記欠点を除去するものであり、治療部位の例えば大きさや種類に応じて、効率の良い治療が行える超音波治療装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、超音波を発生する複数のピエゾ素子群と、このピエゾ素子群の駆動に際し各素子の駆動タイミングを制御することにより集束超音波の焦点サイズを変更する遅延制御部と、前記ピエゾ素子群の駆動に際し駆動電圧を制御することにより集束超音波の焦点エネルギを変更する電圧制御部と、前記焦点サイズに対するピーク圧力を所定の閾値以上にするための補正データを記憶する記憶部と、この記憶された補正データを参照し焦点サイズの変更にかかわらず前記焦点におけるピーク圧力を所定の閾値以上に保つよう制御する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また本発明の請求項2記載の超音波治療装置は、互いに異なる複数種の駆動力を供給することによりそれぞれ異なる圧力分布を持ち且つピーク圧力一定の集束超音波を発生する集束超音波源を備えることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
本発明によれば、複数個の超音波発生源に互いに異なる複数種の駆動力を供給することにより、それぞれ異なる圧力分布および焦点エネルギを有する集束超音波を発生することが可能となる。これにより、例えば治療部位の大きさや種類に応じて、効率の良い治療が行えることが可能となる。
【0011】
また、本発明によれば、複数個の超音波発生源に互いに異なる複数種の駆動力を供給することにより、それぞれ異なる圧力分布を持ち且つピーク圧力一定の集束超音波を発生することが可能となる。これにより、治療部位に応じて効率の良い治療を行うことが可能となる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明に係る第1実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係る超音波治療装置のブロック図である。図1に示す実施例装置は、患者に接触させて超音波治療を行うための治療用アプリケータ101と、集束超音波を制御する制御回路102と、超音波断層像を表示するイメージング装置103と、各ユニットの連携制御を行うCPU104と、各種の条件設定をする操作卓114から構成される。
【0013】
この様に構成される実施例装置において操作卓114について説明する。
操作卓114は超音波治療に必要な各種条件を設定するものであり、ここでは焦点サイズ、ピーク圧力、照射レート(単位時間あたりの照射パルス数)、総照射パルス数、その他超音波イメージングに必要な諸条件(周知技術を用いることができるので以下特に説明はしない。)を設定することができる。尚、特に設定されない条件は予め定められている初期値が設定される。
【0014】
つづいて、CPU104について説明する。
CPU104は、治療用アプリケータ101、制御回路102、イメージング装置103の連携制御を行うものであり、ここでは操作卓114により設定された設定条件に基づいて各ユニットの制御及び各ユニットで求められた情報を相互交換する。
【0015】
つづいて、治療用アプリケータ101の具体的構成について説明する。
治療用アプリケータ101は、超音波治療を行うための異なる音場領域を形成する超音波を送受波するものであり、ピエゾ素子群106、バッキング材107、水袋108、イメージング用超音波プローブ109によって構成される。以下、それぞれの構成要素について説明する。
【0016】
ピエゾ素子群106は、複数のリング状ピエゾ素子11〜15を同心円状にし超音波送波面が凹面をなすように配置したものである。これは、電圧パルスの供給を受けることにより超音波を発生し、例えば複数のピエゾ素子11〜15が同時に駆動されるとその超音波は球面の幾何学的中心点(ここでは、結石の位置)に集束超音波を形成する。
【0017】
超音波プローブ109は、ピエゾ素子群106の中心に挿入配置しており、先端部に振動子を有し被検体に向けて超音波を送信し反射波を受信するものである。この超音波プローブ109にはコンベックスプローブ、セクタプローブ、リニアプローブなど種々あるが、本実施例では部位が深くなるほど広く観察できるセクタプローブを用いる。
【0018】
バッキング材107は、ピエゾ素子群106の背面に備えられ、ピエゾ素子群106の背面に発生する超音波を吸収するものである。
水袋108は、ピエゾ素子群106と超音波プローブ109を覆うように設けており、水と近い音響インピーダンスを有する薄い膜で形成している。尚、この膜内に水を満たすことによりピエゾ素子群106及び超音波プローブ109と被検体との間の超音波の伝達効率を高めることができる。
【0019】
つづいて制御回路102の具体的構成について説明する。
制御回路102はピエゾ素子群106を駆動するものであり、高電圧電源部111、遅延制御部112、電圧制御部113、パルサ21〜25及びディレイ31〜35によって構成される。以下それぞれの構成要素について説明する。
【0020】
遅延制御部112は、操作卓114で設定した焦点サイズ及び焦点エネルギに応じて後段のディレイ21〜25の遅延時間を設定するものである。焦点サイズ及び焦点エネルギと遅延時間との関係については後述する。
【0021】
ディレイ31〜35は、CPU104から出力される集束超音波用トリガ信号(以下、トリガ信号と称する)を遅延制御部112によって設定された時間だけ遅延させて後段のパルサ21〜25へ出力するものである。
【0022】
パルサ21〜25はそれぞれ高圧コンデンサ(図示省略)を内蔵し、ディレイ31〜35からのトリガ信号を受けて高圧コンデンサに蓄積した高電圧を治療用アプリケータ101内のピエゾ素子11〜15に電圧パルスとして供給するものである。このパルサ21〜25への高電圧の蓄積は次の電圧制御部113及び高電圧電源部111によって行なわれる。
【0023】
電圧制御部113は、操作卓114により設定した焦点エネルギ及び焦点サイズに応じてパルサ21〜25に蓄積する電圧値を設定するものである。焦点エネルギと焦点サイズとの関係については後述する。
【0024】
高電圧電源部111は、電圧制御部113で設定した電圧値に基づいてパルサ21〜25の高圧コンデンサに対して高電圧を供給するものである。
尚、図1に示す遅延制御部112、電圧制御部113に向う矢印はそれぞれCPU104から出力された焦点サイズ及び焦点エネルギの情報であり、ディレイ31〜35に向う矢印はCPU104からディレイ31〜35に出力されるトリガ信号である。
【0025】
このように構成される制御回路402の相互関係について説明する。
遅延制御部112は、ディレイ31〜35から出力されるトリガ信号の遅延時間を設定する複数のテーブル、例えば焦点サイズの設定数3、焦点エネルギの設定数3の6つのテーブルを記憶している。ディレイ31〜35はそのテーブルに応じて所定の時間差をもってパルサ21〜25にそれぞれトリガ信号を出力する。パルサ21〜25はそれぞれピエゾ素子11〜15に電圧パルスを供給する。この時間差により集束超音波の焦点サイズを切り替えることができる。
【0026】
ここで、本実施例のピエゾ素子群106の駆動タイミング(遅延時間)とそのときの焦点サイズについて説明する。
図2は、遅延制御部112で設定したディレイ31〜35の遅延時間の一例ととそのときの焦点サイズを示したものである。
【0027】
図2aに示すようにディレイ31〜35からパルサ21〜25に同時にトリガ信号を出力すると、ピエゾ素子群106の超音波送受波面の幾何学的中心点(球面の中心点)に集束超音波を形成する。
【0028】
図2bに示すように最初にディレイ34、次にディレイ31、33、35、その後にディレイ32という順にディレイ31〜35からパルサ21〜25にトリガ信号を出力すると、図2aに示す集束超音波と同じ位置に図2aより大きい焦点サイズを有する集束超音波を形成する。
【0029】
図2cに示すように最初にディレイ31、35、次にディレイ32、34、その後ディレイ33の順にディレイ31〜35からパルサ21〜25にトリガ信号を出力すると、図2aに示す集束超音波と同じ位置に図2bより大きい焦点サイズを有する集束超音波を形成する。
【0030】
このようにしてそれぞれのピエゾ素子11〜15の駆動タイミングを制御することにより集束超音波の焦点サイズが切り替えられる。
次にこのように焦点サイズの切り替えと共に焦点エネルギの切り替えることについて説明する。
【0031】
図3は、ピーク圧力を一定にしたときの焦点サイズ及び焦点エネルギを示したものであり、図3aはピーク圧力を一定にしたときの焦点サイズの切り替えを示し、図3bはピーク圧力を一定した状態で焦点エネルギを切り替えたときの焦点エネルギを示す。
【0032】
図3aに示すようにピーク圧力を一定に保ったまま焦点サイズを切り替えるため以下のことを行う。
電圧制御部113は焦点サイズに応じて高電圧電源部111からパルサ81〜85に供給する電圧の電圧値を設定する複数の補正データ、例えば焦点サイズの切り替えの数と同数の補正データを記憶している。この補正データは、例えば焦点サイズが切り替わってもピーク圧力を所定の閾値以上にするものである。
【0033】
高電圧電源部111は、電圧制御部113からの補正データに基づいてパルサ21〜25それぞれに電圧を供給する。
パルサ21〜25は、ピーク圧力を一定に保ったまま焦点サイズを切り替えるために、内蔵したコンデンサに蓄積する電圧を変えピエゾ素子11〜15に供給する電圧パルスの大きさを変える。
【0034】
つまりCPU104を介し焦点サイズに応じて電圧制御部113の所定の補正データを選択し、パルサ21〜25に供給する電圧パルスを変えて図3aに示すようなピーク圧力を一定に保った状態で焦点サイズを切り替える。これより焦点サイズに応じた焦点エネルギになる。
【0035】
つづいて、イメージング装置103について説明する。
イメージング装置103は、超音波プローブ109を介して被検体内に超音波を送受波し、集束超音波の集束領域の超音波断層像を表示するものであり、送受信回路(図示せず)、モニタ110から構成される。
【0036】
送受信回路は、超音波プローブ109がセクタスキャンを行うように励振させると共にこのセクタスキャンに基づく超音波プローブ109からのエコー信号を受信するものである。
【0037】
モニタ110は、送受信回路の出力信号に基づいて集束超音波の集束領域を表示するものである。このモニタ110には、CPU104の制御に基づくピエゾ素子群106と、操作卓114の集束超音波の設定に基づくマーカ、超音波プローブ109の音場領域が超音波断層像として例えば扇状に表示される。尚、このマーカは、操作卓114で設定した集束超音波の焦点サイズ、焦点エネルギに応じて変化する。この変化とは、焦点サイズに応じてマーカの大きさが切り替わり、焦点エネルギに応じてマーカの色、マーカの濃淡、マーカの点滅速度のうち少なくとも一つが切り替わることをいう。
【0038】
上記のように構成する実施例装置の作用について説明する。
まず、治療用アプリケータ101の水袋108を被検体の体表(例えば、背中)に密着させる。この状態で、術者は、操作卓114に所定の操作を施し、超音波プローブ109を駆動させてモニタ110に被検体内の断層像を表示し、治療用アプリケータ101を移動させながら断層像の中から結石を探す。
【0039】
このとき、モニタ110には、CPU104からイメージング装置103に送信される信号に基づき、超音波プローブ109の位置、超音波プローブ109の音場領域の断層像及びマーカがそれぞれ固定された位置に表示されている。そして治療用アプリケータ101を移動すると、表示部位は治療用アプリケータ101の移動に伴って変化する。
【0040】
このように結石を断層像内に描写した段階で更に治療用アプリケータ101を微調整し、結石がマーカと一致するように位置決めを行い、結石像105とマーカが一致した段階で治療用アプリケータ101を固定する。
【0041】
つづいて、術者は、例えば結石105の大きさや種類に応じて焦点サイズ及び焦点エネルギを設定するために操作卓114を所定の操作を施す。
この所定の操作を施すと、CPU104から出力設定値に応じた信号がイメージング装置103、制御回路102(遅延制御部112、電圧制御部113)に送信される。
【0042】
その信号をイメージング装置103に送信すると、モニタ110に集束超音波の焦点サイズ及び焦点エネルギの大きさに応じたマーカを表示する。
一方、制御回路102はディレイ31〜35からパルサ21〜25に出力されるトリガ信号の遅延時間、高圧電源部111からパルサ21〜25の高圧コンデンサに対して供給する電圧値の大きさを制御する。
【0043】
具体的には、その信号は遅延制御部112、電圧制御部113に送られる。電圧制御部113ではその信号が入力されると高電圧電源部111からパルサ21〜25に供給する電圧値を設定する。高電圧電源部111は、電圧制御部113で設定された電圧値を受けその電圧値に応じた電圧をパルサ21〜25に供給する。
【0044】
遅延制御部112ではその信号が入力されると操作卓114の設定に応じた所定のテーブルを選択し、ディレイ31〜35からパルサ21〜25に出力するトリガ信号の遅延時間を設定する。ディレイ31〜35は、遅延制御部112で設定された出力タイミングでトリガ信号をパルサ21〜25に出力する。そしてパルサ21〜25はトリガ信号を受けると蓄積した電圧をそれぞれ独立にピエゾ素子11〜15に電圧パルスとして供給する。
【0045】
このように所定の大きさの電圧パルスが所定の時間差をもって供給されるとピエゾ素子11〜15は、それぞれ独立に超音波を送波する。送波された超音波は、結石の位置に設定された焦点サイズ及びピーク圧力を持つ集束超音波を形成する。術者は例えばこの設定で形成された集束超音波では結石を効率良く破砕できないと判断すると焦点サイズまたは焦点エネルギを切り替えて同じ動作を繰り返す。
【0046】
この結果、例えば結石の大きさや種類に応じて集束超音波の焦点サイズ及び焦点エネルギを切り替え、集束超音波の照射を何度か必要なだけ繰り返すことにより、結石全体を効率良く破砕できる。
【0047】
また、比較的大きい結石を破砕する場合、治療開始時には焦点サイズ及び焦点エネルギが大きい集束超音波を照射して結石を大きく分割し、その後その分割片に応じた焦点サイズ及び焦点エネルギを有する集束超音波を形成すると結石を効率良く破砕可能となる。
【0048】
さらに、被検体の超音波照射に対する慣れのため焦点エネルギを徐々に上げることも有効である。
以下、本発明に係る第2実施例について図面を参照しながら説明する。
【0049】
第2実施例は、第1実施例装置におけるピエゾ素子群の超音波送受波面の配置変形例である。図4は、本発明の第2実施例に係る超音波治療装置のブロック図である。尚、第1実施例と同一部分は同一符号で示し、説明は省略する。
【0050】
治療用アプリケータ401は、患者に接触させて超音波治療を行うものであり、複数のリング状ピエゾ素子41〜45を同心円状に配列し、超音波送波面が平板状をなすように配置したピエゾ素子群404と、このピエゾ素子群404の背面に備えられたバッキング材107と、ピエゾ素子群404の中心に挿入配置されるイメージング用超音波プローブ109と、ピエゾ素子群404と超音波プローブ109を覆うように設けた水袋108とから構成される。
【0051】
ピエゾ素子群404は、電圧パルスの供給を受けることにより超音波を発生するものである。このピエゾ素子群404は、超音波送波面が平板状をなしているため、第1実施例のように複数のピエゾ素子41〜45を同時に駆動しても超音波は結石の位置に集束超音波を形成しない。尚、集束超音波を形成する駆動タイミングについては、後述する。
【0052】
制御回路402は、ピエゾ素子群404を駆動するものである。この制御回路402は、ピエゾ素子群404の超音波送受波面の変形に伴い第1実施例とは異なる遅延時間と電圧値を有する電圧パルスをピエゾ素子41〜45に供給する。これは、超音波送波面が平板状のため例えば結石の位置に集束超音波を形成しようとしてもピエゾ素子群404の外周部(例えばピエゾ素子41)から発生する超音波が減衰し、集束超音波を形成しないからである。
【0053】
ここで、ピエゾ素子群404の駆動タイミング(遅延時間)について説明する。
図5は、遅延制御部405で設定したディレイ61〜65の遅延時間の一例とそのときの焦点サイズを示したものである。
【0054】
超音波送受面が凹面(球殻の一部)でないため、同時にピエゾ素子41〜45に電圧パルスを印加しても結石の位置には集束超音波を形成しない。そのため、例えば以下のように遅延をつける。
【0055】
結石105の位置に集束超音波を形成するためには、図5aに示すようにディレイ61、62、63、64、65の順にディレイ61〜65からパルサ51〜55にトリガ信号を出力する。
【0056】
また、結石の位置に図5aより大きい集束超音波を形成するためには、図5bに示すように最初にディレイ61、次にディレイ63、その次にディレイ62、65、最後にディレイ64といった順にディレイ61〜65からパルサ51〜55にトリガ信号を出力する。
【0057】
さらに、結石の位置に図5bより大きい集束超音波を形成するためには、図5cに示すように最初にディレイ61、次にディレイ62、その次にディレイ64、最後にディレイ63、65といった順にディレイ61〜65からパルサ51〜55にトリガ信号を出力する。
【0058】
このようにしてそれぞれのピエゾ素子41〜45の駆動タイミングを制御することにより第1実施例と同様に焦点サイズを切り替えられる。また、ピーク圧力を一定に保ったまま焦点サイズを切り替えるには、ピエゾ素子群404の外周部(例えばピエゾ素子41)から発する超音波を減衰させないように予め高電圧電源部407からパルサ51〜55に供給する電圧の電圧値を大きくすることにより可能となる。
【0059】
このように構成する実施例装置は、第1実施例と同様に動作するので説明は省略する。
これにより、第1実施例と同様効率良く治療部位を治療できる。
【0060】
以下、本発明に係る第3実施例について図面を参照しながら説明する。
第3実施例は、第1実施例装置における超音波源としてのピエゾ素子の変形例である。図6は、本発明の第3実施例に係る超音波治療装置のブロック図である。尚、第1実施例と同一部分は同一符号で示し、説明は省略する。
【0061】
まず、治療用アプリケータ601の具体的構成について説明する。
治療用アプリケータ601は、渦状にコイルを巻回した複数のリング状の磁性体のメンブレン71〜75(以下、単にメンブレンとして説明する。)を同心円状に配列し、超音波送波面が凹面(球殻の一部)をなすように配置したメンブレン群604と、このメンブレン群604の背面に備えられたバッキング材107と、メンブレン群604の中心に挿入配置するイメージング用超音波プローブ109と、メンブレン群604と超音波プローブ109を覆うように設けた水袋108とから構成される。
【0062】
メンブレン群604は、巻回するコイルに電流パルスの供給を受けることにより超音波を発生するものである。例えば複数のメンブレン71〜75が同時に駆動されるとその超音波は球面の幾何学的中心点の位置に集束超音波を形成する。
【0063】
つづいて制御回路602の具体的構成について説明する。
制御回路602はメンブレン群604を駆動するものであり、高電圧電源部607、遅延制御部605、電圧制御部606、パルサ81〜85及びディレイ91〜95によって構成される。以下それぞれの構成要素について説明する。
【0064】
遅延制御部605は、操作卓114により設定された焦点サイズに応じてのディレイ91〜95の遅延時間を設定するものである。
ディレイ91〜95は、CPU603から出力されるトリガ信号を遅延制御部605によって設定された時間だけ遅延させてパルサ81〜85へ出力するものである。
【0065】
パルサ81〜85はそれぞれコンデンサ(図示省略)を内蔵し、ディレイ91〜95からのトリガ信号を受けてコンデンサに蓄積された高電流を治療用アプリケータ601内のメンブレン71〜75のコイルに電流パルスとして供給するものである。このパルサ81〜85への高電流の蓄積は次の電流制御部605及び電流供給部606によって行なわれる。
【0066】
電流制御部606は、操作卓114により設定された焦点エネルギに応じてパルサ81〜85に蓄積する電流値を制御するものである。
電流供給部607は、電流制御部606で設定した電流値に基づいてパルサ81〜85のコンデンサに対して高電流を供給するものである。
【0067】
この制御回路602の遅延制御部605、ディレイ91〜95、パルサ81〜85、電流制御部606、電流供給部607の関係は、それぞれ第1実施例の遅延制御部112、ディレイ31〜35、パルサ21〜25、電圧制御部113、高電圧電源部111と同じである。また、焦点サイズ及び焦点エネルギの切り替えは第1実施例と同様に切り替えることができる。
【0068】
以上により、第1実施例と同様効率良く治療部位を治療できる。
尚、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内においてあらゆる変形が可能である。
【0069】
例えば、本実施例では、ピエゾ素子及びメンブレンなどの超音波源から超音波(パルス)を集束させ結石破砕治療を行っているが、超音波を連続波またはバースト波にすることにより癌細胞などを加温治療する温熱療法装置及び灼熱する高温度治療装置にも応用できる。
【0070】
また、本実施例ではピエゾ素子及びメンブレンを超音波を発生する超音波源として用いているが、磁界を印加すると超音波を発生する磁歪素子を用いても良い。
【0071】
さらに、焦点サイズはピーク圧力の半値以上の圧力を持つ範囲、ピーク圧力の1/4以上の圧力を持つ範囲、ある一定以上の圧力を指す範囲、圧力分布自体を示す範囲等どの範囲でも構わない。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、治療部位の例えば大きさや種類に応じて効率の良い治療を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る超音波治療装置のブロック図。
【図2】焦点サイズの切り替え説明図。
【図3】焦点エネルギの切り替え説明図。
【図4】本発明の第2実施例に係る超音波治療装置のブロック図。
【図5】焦点サイズの切り替え説明図。
【図6】本発明の第3実施例に係る超音波治療装置のブロック図。
【符号の説明】
11、12、13、14、15、41、42、43、44、45 ピエゾ素子
71、72、73、74、75 メンブレン
101、401、601 治療用アプリケータ
102、402、602 制御回路
103 イメージング装置
104 CPU
114 操作卓
112、405、605 遅延制御部
113、406 電圧制御部
606 電流制御部
Claims (1)
- 超音波を発生する複数のピエゾ素子群と、このピエゾ素子群の駆動に際し各素子の駆動タイミングを制御することにより集束超音波の焦点サイズを変更する遅延制御部と、前記ピエゾ素子群の駆動に際し駆動電圧を制御することにより集束超音波の焦点エネルギを変更する電圧制御部と、前記焦点サイズに対するピーク圧力を所定の閾値以上にするための補正データを記憶する記憶部と、この記憶された補正データを参照し焦点サイズの変更にかかわらず前記焦点におけるピーク圧力を所定の閾値以上に保つよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする超音波治療装置。
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-
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