JP2644591B2 - 電気化学的防蝕部材 - Google Patents

電気化学的防蝕部材

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JP2644591B2 JP1208614A JP20861489A JP2644591B2 JP 2644591 B2 JP2644591 B2 JP 2644591B2 JP 1208614 A JP1208614 A JP 1208614A JP 20861489 A JP20861489 A JP 20861489A JP 2644591 B2 JP2644591 B2 JP 2644591B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、地下又は海底埋設管等の防蝕部材として有
用な電気化学的防蝕部材に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 水道水やガス等を供給するパイプは、通常、そのフラ
ンジをボルト・ナットで締着して接続し、地下、水中や
海水中等に埋設されている。また上記締結用ボルト・ナ
ットは、一般に、機械的強度に優れる鉄系材料、例え
ば、鉄、鋳物、鉄合金等で形成されているものの、腐蝕
性を有する。従って、地下、淡水や海水等の厳しい腐蝕
環境下に晒されるとボルト・ナットが腐蝕し、ついに
は、その機能を果し得なくなる。またボルト・ナットが
腐蝕するとパイプ本体を緊締できなくなり、ひいては水
洩れ、ガス洩れ事故等を起す原因ともなる。
一方、鉄鋼等の金属材料の防蝕法として、金属材製
部材の外面を、樹脂や塗料材の重厚な被覆層で被覆する
方法が知られている。この方法は、被覆層により金属製
部材と外部環境とが直接接触するのを防止できるので、
地中埋設管や船舶の外板等、比較的大型の施設や構造物
の腐蝕を防止する上で有用である。しかしながら、この
防蝕法はボルト・ナットに対する有効な防蝕手段となり
得ない。すなわち、ボルト・ナットではネジ精度を確保
する必要があるため、重厚な被覆層を形成できない。ま
たネジ精度に悪影響を及ぼさない被覆層を形成できたと
しても、螺着時や取扱い時に傷が発生する。傷が発生す
ると、局部電池が形成されるので、腐蝕電流が傷部に集
中し、反って腐蝕を促進する結果となる。
また他の防蝕法として直流電源の陰極端子を被防蝕
施設や装置に接続すると共に、陽極端子をスクラップ鋼
等のアノードに接続し、継続的に直流電流を通電する外
部電源法も知られている。この方法は、外部から直流電
流を通電することにより被防蝕部材等の電位を防蝕電位
に維持できるので防蝕効果に優れており、前記と同様
に、比較的大型の施設や構造物の腐蝕を防止する上では
有用である。
しかしながら、この防蝕法では、施設や構造物の施工
に際して、専門的知識を必要とするだけでなく、多数の
ボルト・ナットを直流電源に接続する必要があるため、
作業が煩雑化し、装置が大型化し、ボルト・ナットに対
しては現実的な防蝕法とはいえない。
従って、本発明の目的は、簡単な構造にてボルト・ナ
ットを簡便かつ長期に亘り防蝕し、ボルト・ナットによ
る締結力を長期に亘り維持できる電気化学的防蝕部材を
提供することにある。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明は、少なくともネジ部が電着塗装による電気絶
縁性被膜で被覆されているボルトと前記ボルトに螺合可
能なナットとで構成された鉄系材料からなるボルト・ナ
ットと、前記ボルトのネジ部のうちナットの外側にダブ
ルナット状に螺合され且つ前記ボルト・ナットと螺合状
態で電気的に導通する螺合部材とからなる電気化学的防
蝕部材であって、前記螺合部材がボルト・ナットを構成
する材料よりも低い腐蝕電位を有する金属材料で形成さ
れているとともに、螺合部材の外面を、両端面を余して
電気絶縁性被膜で被覆することにより前記螺合部材の溶
出部位が規制されている電気化学的防蝕部材により、上
記課題を解決するものである。
上記構成の電気化学的防蝕部材によれば、螺合部材
が、ボルト・ナットを構成する鉄系材料よりも低い腐蝕
電位を有する金属材料で形成されているので、ボルト・
ナットを陰極とし、螺合部材を陽極とする電池が形成さ
れる。また、少なくともボルトのネジ部が、膜厚を小さ
くできる電着塗装で被覆されているので、ネジ精度に悪
影響を与えることなくボルトを腐蝕から保護できるとと
もに、ナットや螺合部材との螺着により、ネジ部の電着
塗膜に容易に傷が形成されるので、ボルト・ナットと螺
合部材とを導通させることができる。従って、ボルト・
ナットが地下等の厳しい腐蝕環境下に晒されても、螺合
部材をボルトの余りネジ部に螺合するだけで、ボルトの
ネジ部を被覆する電着塗膜と、ボルト・ナットと螺合部
材との電位差に基づく防蝕電流とにより、ボルト・ナッ
トの腐蝕を顕著に防止できる。また螺合部材を、ボルト
・ナットにダブルナット状に緊密に締結することによ
り、螺合部材をナットの緩み止め部材として機能させる
ことができる。
さらに、螺合部材の外面が、両端面を余して電気絶縁
性被膜で被覆されているので、螺合部材をボルト・ナッ
トに締結すると、螺合部材の両端面のうち何れの側から
螺合しても、螺着状態において、一方の露呈した端面が
ナットと接触し、他方の露呈した端面がボルトの軸方向
の外方に面する。そのため、螺合部材とナットとを確実
に導通できると共に、螺合部材を外方に面した端面から
溶出させることができる。したがって、ナットによる緊
締力及び螺合部材によるナットの緩み止め部材としての
機能を維持しつつ、ボルト及びナットに対する防蝕効果
を長期に亘り確実に発揮できる。また、鉄系材料と螺合
部材を構成する金属材料との電位差に基づき発生する電
流が、螺合部材のうち外部に露呈した表面積に比例する
ことから、電気絶縁性被膜の被覆面積を調整することに
より防蝕期間を調整できる。さらに、酸成分、アルカリ
成分等の要因による螺合部材の溶出をも抑制できる。
[実施例] 以下に、添付図面に基づいて本発明を詳細に説明す
る。
第1図は本発明の防蝕部材の一実施例を示す概略斜視
図、第2は本発明の防蝕部材の適用例を示す概略断面図
である。
この例では、鉄系材料からなる通常のTボルト(1)
が示されている。このボルト(1)は、軸部(1b)の軸
線に対して直交する方向に延出する頭部(1a)と、軸部
(1b)の端部に形成されたネジ部(1c)とで構成されて
いる。このボルト(1)は、従来と同じく上記ネジ部
(1c)に螺合されるナット(2)と組合せて使用され
る。すなわち、第2図に示されるように、水道水やガス
などを供給する複数のパイプ(4a)(4b)のフランジ
(5a)(5b)に形成された孔に上記ボルト(1)の軸部
(1b)を挿通し、必要に応じて座金等を介してネジ部
(1c)にナット(2)を螺合させ、ボルト(1)の頭部
(1a)とナット(2)とでフランジ(5a)(5b)を締結
することにより、複数のパイプ(4a)(4b)を接続でき
る。
上記鉄系材料としては、鉄単体に限らず、鉄成分を含
む種々の金属材料、例えば、ニッケル、クロム、銅、モ
リブテン、マンガンやケイ素等を少なくとも一種含んで
いてもよい鋳鉄;銅、リン、クロム、ニッケル、モリブ
デンやバナジウム等を少なくとも一種含む炭素鋼からな
る低合金鋼;マルテンサイト系やオーステナイト系等の
ステンレス鋼等の合金が例示される。なお、上記ボルト
とナットは、同種又は異種の鉄系材料で構成できる。こ
れらの鉄系材料からなるボルト及びナットの腐蝕電位
は、環境条件で左右されるが、甘コウ電極を基準電極と
するとき、5重量%の食塩水中で、通常−0.5〜−0.6
(V)程度である。なお、防蝕電位とは、被防蝕部材の
腐蝕を防止する上で必要な電位を意味し、通常その金属
の腐蝕電位よりも約0.2(V)陰分極した値に相当す
る。従って、ボルト及びナットの防蝕電位は、飽和カロ
メル電極を基準電極とするとき、天然水や土壌中で、通
常−0.75〜−0.8(V)程度である。
ボルト(1)のネジ部(1c)は電着塗装による電気絶
縁性被膜(電着塗膜)(図示せず)で被覆されている。
ボルト(1)は、少なくともネジ部(1c)が電着塗膜で
被覆されていればよい。この電着塗膜には膜厚を薄く形
成できるので、ネジ精度に悪影響を与えることなくボル
ト(1)を腐蝕から防護できる。ボルト(1)のネジ部
(1c)を被覆する電気絶縁性被膜は、後述の螺合部材を
被覆する電気絶縁性被膜を形成する材料と同様の材料を
用いて形成できる。
また上記ボルト(1)及びナット(2)の腐蝕を防止
するため、上記ナット(2)の外側には、ネジ部(1c)
に適合した螺合孔を有する螺合部材(3)が螺合され
る。そして、この螺合部材(3)は、ボルト(1)及び
ナット(2)を構成する鉄系材料よりも低い腐蝕電位を
有する金属材料で形成されていると共に、その外周面の
うち対向する箇所には平面部(3a)(3b)が形成されて
いる。また、ボルト(1)のネジ部(1c)の電着塗膜は
薄く形成できるので、ナット(2)や螺合部材(3)と
の螺合時などに前記ネジ部(1c)の電着塗膜に傷が発生
する。従って、螺合部材(3)をボルト(1)のネジ部
(1c)に螺合すると、ボルト(1)及びナット(2)と
螺合部材(3)とが容易に電気的に接続され、ボルト
(1)及びナット(2)の腐蝕を防止できる。より詳細
には、螺合部材(3)が、ボルト(1)及びナット
(2)を構成する鉄系材料よりも低い腐蝕電位を有する
金属材料で形成されているので、被防蝕体としてのボル
ト(1)及びナット(2)がカソードとして、螺合部材
(3)がアノードとして機能する。また電気的に接続さ
れた状態では、ボルト(1)及びナット(2)と螺合部
材(3)との電位差に相当する電流がボルト(1)及び
ナット(2)から螺合部材(3)へ流れると共に、上記
電位差に対応する電気化学的当量分だけ螺合部材(3)
が溶出し消費される。すなわち、螺合部材(3)は、流
電陽極法における犠牲陽極として機能する。従って、ネ
ジ部(1c)に適合した螺合孔を有するという簡単な構造
の螺合部材(3)を、ボルト(1)の余りネジ部(1c)
に螺合するという簡単な操作で、ボルト(1)及びナッ
ト(2)を防蝕することができる。
また螺合部材(3)をネジ部(1c)のうちナット
(2)の外側にダブルナット状に締結できるので、螺合
部材(3)でナット(2)の緩みを防止することができ
る。その際、螺合部材(3)の外周面に平面部(3a)
(3b)が形成されているので、スパナ等の緊締具で螺合
部材(3)とナット(2)とを容易に締着できる。さら
には、螺合部材(3)がナット(2)の外側に螺合され
るため、螺合部材(3)が溶出してもナット(2)によ
る緊締力に悪影響を及ぼすことがない。従って、長期に
亘りボルト(1)及びナット(2)を防蝕しつつ、パイ
プ(4a)(4b)を確実に接続できる。
なお、被防蝕体の防蝕期間Tは、環境条件が一定であ
ると仮定し、ボルト(1)及びナット(2)と螺合部材
(3)との電位差をΔV、螺合部材(3)のうち外部環
境に露呈する表面積をSa、螺合部材(3)の重量をWと
すると、下記式で表される。
T=f(ΔV,Sa,W) 従って、螺合部材(3)を構成する金属材料の種類、
螺合部材(3)の表面積Sa、換言すれば螺合部材(3)
の形状、及び重量Wを調整することにより、防蝕期間T
を制御できる。
本発明における螺合部材(3)を構成する金属材料と
しては、ボルト(1)及びナット(2)を構成する鉄系
材料よりも腐蝕電位が低い材料であれば特に制限されな
い。このような金属材料としては、卑な金属材料、例え
ば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属単体;
上記金属を用いた金属合金;上記金属と、ケイ素、銅、
鉄、マンガン、クロム、ニッケル、チタン、錫、インジ
ウム等を少なくとも一種含む合金等が例示される。これ
らの金属材料のうち、腐蝕電位が、鉄系材料よりも少な
くとも約0.2(V)低い材料が好ましい。より具体的に
は、上記金属材料のうち、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウ
ム−マンガン合金、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛
合金、アルミニウム−亜鉛−インジウム合金、特に亜鉛
とその合金が好ましい。これらの金属材料の腐蝕電位
は、通常、前記鉄系材料の腐蝕電位よりも約0.2(V)
以上低い。
第3図は本発明における螺合部材(3)の概略断面図
であり、螺合部材(3)の外面は、両端面を余して電気
絶縁性被膜(6)で被覆されている。すなわち、螺合部
材(3)の両端面には、電気絶縁性被膜(6)で被覆さ
れていない露呈部(3c)が存在し、この露呈部(3c)
は、ボルト・ナットの防蝕に際して、螺合部材(3)の
溶出部位となる。より詳細には、第1図および第2図に
示されるように、ボルト(1)にナット(2)を螺合す
ると共に、犠牲陽極として機能する螺合部材(3)を、
余りネジ部(1c)にダブルナット状に締結すると、螺合
部材の両端面のうち何れの側からボルトのネジ部に螺着
しても、必然的に、螺合部材(3)の両端面の2つの露
呈部(3c)のうち一方の露呈部(3c)がナット(2)と
接触し、他方の露呈部(3c)はボルト(1)の軸方向の
うち外方に面する。そのため、螺合部材(3)とナット
(2)とを一方の露呈部(3c)において確実に導通でき
るとともに、螺合部材(3)の溶出部位及び溶出方向を
規制できる。すなわち、螺合部材(3)はボルト(1)
の軸方向のうち外方に面した露呈部(3c)から溶出す
る。従って、螺合部材(3)が溶出しても、ナット
(2)による緊締力に悪影響を及ぼすことがなく、螺合
部材(3)によりナット(2)の緩みを長期に亘り防止
することができると共に、長期に亘りボルト(1)及び
ナット(2)を確実に防蝕できる。
なお、螺合部材の外面は、少なくとも両端面を余して
合成樹脂や電気絶縁性塗料等の電気絶縁性被膜で被覆さ
れていればよい。鉄系材料と螺合部材(3)を構成する
金属材料との電位差に基づき発生する電流Iが、螺合部
材のうち外部に露呈した前記表面積Saに比例するので、
上記電気絶縁性被膜の被覆面積を調整することにより、
電流I、ひいては防蝕期間を調整でき、過度の溶出を抑
制できる。また、電気絶縁性被膜で被覆することによ
り、他の要因、例えば酸成分、アルカリ成分等による螺
合部材の溶出をも抑制できる。
電気絶縁性被膜は、例えば、ポリエチレン、アイオノ
マー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体
等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、ポリアセ
タール、塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン、スチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロ
ニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、
フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、メラミン樹脂、タ
ール等の被膜形成材料で形成できる。これらの材料は、
少なくとも一種使用される。また電気絶縁性被膜は、電
気絶縁性を確保できる範囲で適宜の膜厚に形成できる。
なお、電気絶縁性被膜は、電気絶縁性に悪影響を及ぼ
さない範囲で、充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱
安定剤、可塑剤、帯電防止剤や染顔料等の種々の添加剤
を含有してもよい。
本発明におけるボルトは、通しボルト、埋込みボル
ト、押えボルト、基礎ボルト等の何れのボルトであって
もよい。なお、ボルトは、T状の頭部に限らず、六角、
四角、丸形等の頭部を有していてもよい。
また螺合部材は、腐蝕電位の異なる金属材料からなる
複数の部材が、高さ方向、すなわちボルトの軸線に対応
する方向や該方向と直交する方向に、順次、電気的に接
続した積層状態で一体に形成されていてもよい。この場
合、腐蝕電位の最も低い部材がナットの最外部に位置す
るように螺合部材を螺合すると、最外部の部材から順次
溶出させることができるので、長期に亘り防蝕効果を維
持できる。
またボルトのネジ部の腐蝕電位の異なる複数の螺合部
材を螺合してもよい。その際、腐蝕電位の低い螺合部材
がナットの最外部に位置するように、順次、螺合する
と、腐蝕電位の低い螺合部材から順次溶出するので、長
期に亘り防蝕効果及びナットの緩み止め効果を確保でき
る。
なお、螺合部材の平面図は必ずしも必要でないが、ナ
ットと同様の形状及び大きさに形成することにより、ス
パナ等の1つの緊締具で螺合部材を緊密に締着すること
ができる。またナットの緩みを防止するには螺合部材を
ナットと緊密に螺合するのが好ましいが、防蝕性を確保
するにはナットと離間した状態で螺合してもよい。上記
の例では、螺合部材としてナット形状のものを示した
が、螺合部材の形状は特に制限されるものではない。
本明細書は、螺合部材の外面が両端面を余して電気絶
縁性被膜で被覆されている電気化学的防蝕用螺合部材
が、ナットを介してボルトに螺合されている電気化学的
防蝕用螺合部材の取付構造をも開示するものである。
この取付構造によると、螺合に際してボルト及びナッ
トと螺合部材とが螺合部で電気的に接続する。その際、
螺合部材の両端面の2つの露呈部のうち、一方の露呈部
をナットと接触させることにより、ナットと確実に導通
できると共に、外方に面した他方の露呈部から螺合部材
が溶出するので、溶出方向を規制できる。従って、ボル
ト・ナットによる締結力及び螺合部材によるナットの緩
み止め作用を長期に亘り維持でき、ボルト・ナットを簡
便かつ長期に亘り防蝕できる。なお、螺合部材の螺着に
よりボルト・ナットと螺合部材との導通性を確保できる
ので、上記取付構造において、ボルト・ナットとの間に
ワッシャ、ナットと螺合部材との間には絶縁シートが介
在していてもよい。
[発明の効果] 以上のように、本発明の電気化学的防蝕部材によれ
ば、ボルト・ナットを構成する材料よりも低い腐蝕電位
を有する金属材料で形成された螺合部材が、少なくとも
ネジ部が電着塗装による電気絶縁性被膜で被覆されてい
るボルトの前記ネジ部のうちナットの外側にダブルナッ
ト状に螺合されると共に、螺合部材の外面を、両端面を
余して電気絶縁性被膜で被覆することにより前記螺合部
材の溶出部位が規制されているので、簡単な構造にてボ
ルト・ナットを簡便かつ長期に亘り防蝕できるととも
に、ボルト・ナットによる締結力を長期に亘り維持でき
る。
[実験例] 実験例1 外径20φmm、長さ110mm、ネジ部の長さ65mm、全表面
積約160cm2のTボルトであって、ネジ部にエポキシ樹脂
を膜厚20μmに電着塗装したCu−Ni低合金ダクタイル鋳
鉄Tボルトに、ナットを螺合した。また重量70g、端面
面積6.4cm2であって、一方の端面を余してポリ塩化ビニ
ルで被覆した亜鉛製螺合部材を、露呈面がボルトの軸方
向のうち外方に臨んだ状態でTボルトの余りネジ部に螺
合し、促進腐蝕試験に供した。すなわち、5重量%の食
塩水を収容する浴中に浸漬し、Tボルトを陽極、ステン
レス丸棒を陰極とし、電流0.13〜0.14A、浴電圧約4V、
通電時間8時間/サイクルの条件で、直流電流を通電
し、Tボルト及び螺合部材の腐蝕減量を重量法で測定し
た。
なお、上記の促進条件は、10年間でTボルトが約180g
が腐蝕するような電蝕環境下における腐蝕の60〜70倍に
相当する。また上記促進腐蝕試験の5サイクルは上記腐
蝕環境において3〜4ケ月経過後の腐蝕に相当する。
比較例1 実験例1のエポキシ樹脂で電着塗装したTボルトに代
えて、実験例1と同様の大きさ及び形状を有するダクタ
イル鋳鉄製Tボルトを用いる以外、実験例1と同様にし
て、Tボルト及び螺合部材の腐蝕減量を重量法で測定し
た。
比較例2 実験例1のエポキシ樹脂で電着塗装したTボルトに代
えて、タール塗装した実験例1と同様の大きさ及び形状
を有するダクタイル鋳鉄製Tボルトを用い、螺合部材を
螺着することなく、実験例1と同様にして、Tボルトの
腐蝕減量を重量法で測定した。
比較例3 実験例1のエポキシ樹脂で電着塗装したTボルトに代
えて、タール塗装した実験例1と同様の大きさ及び形状
を有するCu−Ni低合金ダクタイル鋳鉄Tボルトを用い、
螺合部材を螺着することなく、実験例1と同様にして、
Tボルトの腐蝕減量を重量法で測定した。
比較例4 実験例1のエポキシ樹脂で電着塗装したTボルトに代
えて、フッ素樹脂を塗装した実験例1と同様の大きさ及
び形状を有するCu−Ni低合金ダクタイル鋳鉄Tボルトを
用い、螺合部材を螺着することなく、実験例1と同様に
して、Tボルトの腐蝕減量を重量法で測定した。
比較例5 実験例1のエポキシ樹脂で電着塗装したTボルトに代
えて、実験例1と同様の大きさ及び形状を有するステン
レス(SUS403)製Tボルトを用い、螺合部材を螺着する
ことなく、実験例1と同様にして、Tボルトの腐蝕減量
を重量法で測定した。
結果を表及び第4図に示す。表及び第4図から明らか
なように、比較例のボルト又は防蝕部材では、ボルトの
材質やボルトまたは螺合部材の被覆の如何に拘らず、い
ずれも腐蝕が激しいのに対して、電着塗装したボルト
に、部分的にポリ塩化ビニルで被覆した螺合部材を螺着
した実験例1の防蝕部材では、ボルト・ナットの腐蝕を
著しく防止できることが判明した。なお、実験例1の防
蝕部材は、露呈部から内方に均一に溶出していた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の防蝕部材の一実施例を示す概略斜視
図、 第2図は本発明の防蝕部材の適用例を示す概略断面図、 第3図は本発明における螺合部材を示す概略断面図、 第4図は実験例における結果を示すグラフである。 (1)……ボルト、(2)……ナット、 (3)……螺合部材、(6)……電気絶縁性被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−87281(JP,A) 実開 昭58−12272(JP,U) 実開 昭58−2408(JP,U) 実開 昭61−198715(JP,U) 特公 昭39−4218(JP,B2) 特公 昭63−21753(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともネジ部が電着塗装による電気絶
    縁性被膜で被覆されているボルトと前記ボルトに螺合可
    能なナットとで構成された鉄系材料からなるボルト・ナ
    ットと、前記ボルトのネジ部のうちナットの外側にダブ
    ルナット状に螺合され且つ前記ボルト・ナットと螺合状
    態で電気的に導通する螺合部材とからなる電気化学的防
    蝕部材であって、前記螺合部材がボルト・ナットを構成
    する材料よりも低い腐蝕電位を有する金属材料で形成さ
    れているとともに、螺合部材の外面を、両端面を余して
    電気絶縁性被膜で被覆することにより前記螺合部材の溶
    出部位が規制されている電気化学的防蝕部材。
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