JP2643411B2 - スタータ - Google Patents

スタータ

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JP2643411B2
JP2643411B2 JP2656689A JP2656689A JP2643411B2 JP 2643411 B2 JP2643411 B2 JP 2643411B2 JP 2656689 A JP2656689 A JP 2656689A JP 2656689 A JP2656689 A JP 2656689A JP 2643411 B2 JP2643411 B2 JP 2643411B2
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光和 服部
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、例えば自動車用エンジンの起動のために
使用され、特にエンジンに回転力を伝達するシャフト
と、このシャフトの外周に同軸的に設定され、モータの
回転力が伝達されるチューブとの間がヘリカルスプライ
ンにより結合されるようにしたスタータの改良に関す
る。
[従来の技術] スタータモータにおいては、エンジンの起動指令に対
応して駆動されるもので、このモータの回転力が起動操
作時にエンジンに伝達されるように構成されている。こ
のため、エンジンの起動操作時においてのみ、モータの
回転力がエンジンに伝達されるようにする機構が形成さ
れるように構成される。
例えば特開昭62−168964号公報等にも示されるよう
に、モータの回転力が減速歯車機構等を介してチューブ
に伝達されるようにすると共に、このチューブの中空部
に同軸的にシャフトを設定し、このシャフトとチューブ
との間に回転力の伝達機構を設定するようにしている。
この場合、チューブの内周面にヘリカル状にしてスプ
ライン溝を形成し、さらにシャフトの外周に突条スプラ
インを形成し、この両者を歯合させることにより、相互
に回転力が伝達される。このスプライン溝に突条スプラ
インが歯合する状態で、起動指令に対応してシャフトが
移動され、このシャフトに一体的に設けられたピニオン
とエンジンに回転力を伝えるリングギアとの歯合状態が
選択的に設定されるもので、このピニオンとリングギア
とが歯合状態にされた状態で、チューブが回転されるこ
とにより、エンジンが回転され、起動操作されることに
なる。
すなわち、このような回転力伝達機構によれば、シャ
フトを軸方向に移動させることによりチューブのスプラ
イン溝とシャフトの突条スプラインとが歯合した状態で
移動される。そして、スタータスイッチ等が操作されて
起動指令が発せられた状態で、マグネット機構等により
シャフトを軸方向に移動させ、シャフトに一体的に設け
られたピニオンがエンジンの回転軸に結合されたリング
ギアに歯合され、モータによってエンジンに回転力が伝
達されるようにしている。
このように構成されるスタータにおいて、チューブの
内周面に形成されるスプライン溝は冷鍛により形成され
る。そして、このスプライン溝に沿ってシャフトが前進
し、このシャフトの突条スプラインの先端部がスプライ
ン溝の端面に当たる位置で、シャフトの軸方向の移動が
停止される。このような状態にあっては突条スプライン
とスプライン溝との結合部において、突条スプラインの
先端面がスプライン溝の端面に当たる方向に移動する力
がシャフトに作用するようになり、突条スプラインの先
端角部分がスプライン溝の端面に圧接される。
ここで、スプライン溝を冷鍛加工により製造するよう
にした場合、このスプライン溝の端面の角部分は、円弧
面にされる。これに対して突条スプラインの先端面が鋭
い角部に形成されると、この突条スプラインの先端の角
部が、スプライン溝の端面に円弧部分に圧接され、非常
に小さな面積部分に大きな力が集中した作用するように
なる。
このため、従来にあっては、突条スプラインの先端面
の角部に面取り加工を施し、突条スプラインの先端とス
プライン溝の端面とが良好に面接触されるようにしてい
る。
しかし、シャフトの外周部に形成された突条スプライ
ンの先端部の角部に、新たに面取り加工を施すことは、
製造工程を増加させることになる。
[発明が解決しようとする課題] この発明は上記のような点に鑑みなされたもので、モ
ータの回転力が伝達されるチューブと、このチューブの
内部に同軸的に設定されるシャフトとの間をヘリカルス
プラインにより結合するようにした場合、チューブ内周
面に形成されたスプライン溝の端面と、シャフトの外周
に形成した突条スプラインの先端面とが、角部で当たる
ようなことが無いようにするものであり、特にスプライ
ン溝を冷鍛加工により製造した場合において、簡単な工
程でスプライン溝の端面と突条スプラインの先端面とが
確実に面接触状態で当たるようにするスタータを提供し
ようとするものである。
[課題を解決するための手段] この発明に係るスタータにあっては、モータによって
回転されるようになるチューブの内周にヘリカル状のス
プライン溝を形成すると共に、このチューブの内部に挿
入設定され、軸方向移動制御されるシャフトの外周に上
記スプライン溝に歯合される突条スプラインを形成し、
チューブとシャフトとが結合されるようにするものであ
り、この場合スプライン溝の端面の突条スプラインの先
端角部が当たる部分に、逃がし溝を形成するようにして
いる。
[作用] このように構成されるスタータにあっては、スプライ
ン溝に突条スプラインが歯合される状態でシャフトがチ
ューブ内で移動し、突条スプラインの先端がスプライン
溝の端面に衝突するような状態となった場合、突条スプ
ラインの先端部の角部分は、スプライン溝の角部の逃が
し溝部分に対応するようになり、突条スプラインの先端
角部がスプライン溝に当たらない状態とされる。したが
って、突条スプラインの先端面とスプライン溝の端面と
が面接触されるようになり、スプラインの歯が欠ける等
の不具合の発生は確実に防止することができる。しか
も、この逃がし溝はスプラン溝の冷鍛加工時に同時に形
成できるものであり、製造工程を増加させるようなこと
はない。
[発明の実施例] 以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明す
る。第1図はスタータの構成を示すもので、図示しない
スタータスイッチが操作されることにより、モータ11が
回転される。このモータ11の出力軸にはアーマチャギア
12が設けられ、このアーマチャギア12の回転は、アイド
ルギア13を介してバレル14に伝えられるようにする。
このバレル14はチューブ15の外周に同軸的に設定され
るもので、バレル14の内部でチューブ15の外周にはカム
室141が形成され、このカム室141内にチューブ15を取り
巻くように配置して複数のローラ142が設定されてい
る。そして、モータ11が回転され、この回転がアイドル
ギア13を介してバレル14に伝達されたとき、このバレル
14の回転がローラ142を介してチューブ15に伝達され
て、このチューブ15が回転されるようにしている。そし
て、このチューブ15は軸受機構161、162により回転自在
に支持設定されている。
第2図はチューブ15を一部切り欠いた状態で示すもの
で、チューブ15の内部には、シャフト17が同軸状態で挿
入設定される。この場合、シャフト17は軸方向に移動自
在に設定されており、その先端部にはローレット機構等
によりピニオン18が嵌め込み取付けられる。このピニオ
ン18は、詳細は図示していないがエンジンの回転軸に結
合されるようになるリングギアに選択的に結合され、シ
ャフト17が回転されたとき、その回転がエンジンの回転
軸に伝えられ、エンジンが回転駆動されるようにしてい
る。
すなわち、エンジンにガソリンを供給すると共に、点
火プラグに点火信号に対応した電源が供給されるように
して、シャフト17を回転させ、ピニオン18を介してエン
ジンが回転駆動されるようにすれば、このエンジンは起
動される。
チューブ15のピニオン18と反対側の端部分の内周面に
は、第3図で切り欠いて示すようにヘリカル状にして複
数のスプライン溝191、192、…が形成される。このスプ
ライン溝191、192、…は冷鍛によって形成されるもの
で、その各溝191、192、…のそれぞれ端部分は、チュー
ブ15の端部分で開放され、チューブ15の内部方向の端部
は、端面201、202、…よりそれぞれ閉じられている。そ
して、この端面201、202、…それぞれには、その角部分
に対応して逃がし溝211、212、…が形成される。この逃
がし溝211、212、…は、スプライン溝191、192、…が形
成されるときに、冷鍛により同時に加工されるものであ
る。
また、シャフト17の外周面には、第4図に取出して示
すように複数の突条スプライン221、222、…が形成され
る。この突条スプライン221、222、…は、スプライン溝
191、192、…それぞれに第1図で示したように嵌め合せ
設定されるもので、チューブ15の回転がシャフト17に伝
達されるように相互に結合されている。
シャフト17は、前述したように軸方向移動自在に設定
されるもので、ピニオン18と反対側の端部にアクチュエ
ータ23が結合され、このアクチュエータ23はマグネット
スイッチ機構24により、シャフト17をピニオン18側の前
進方向に移動されるようにする。この場合、チューブ15
とシャフト17との間にスプリング25が介在され、シャフ
ト17に対してピニオン18と反対側の後進方向に移動する
力を常時設定しているもので、マグネットスイッチ機構
24によって、このスプリング25に抗する力を作用させ、
シャフト17を前進方向に移動させるものである。
すなわち、スタータスイッチが操作されない定常状態
では、スプリング25の反発力によって、スプライン溝19
1、192、…の開放される端部の方向に突条スプライン22
1、222、…が移動した位置にシャフト17が設定されてい
るもので、この状態ではピニオン18が図示されないリン
グギアから外れた状態に設定される。そして、スタータ
スイッチが操作された状態でマグネットスイッチ機構24
に励磁電流が供給され、アクチュエータ23が前進方向に
移動され、スプリング25に抗してシャフト17が移動され
る。このシャフト17の移動に際して、突条スプライン22
1、222、…がスプライン溝191、192、…内で移動する。
そして、ピニオン18がエンジンに結合されたリングギア
に歯合されるようになる。そして、スタータスイッチの
操作と共にモータ11が回転駆動され、このモータ11によ
ってシャフト17が回転駆動されるようになり、ピニオン
18からエンジンに結合されるリングギアに起動操作のた
めの回転力が伝えられるようになる。
このようにシャフト17が移動され、突条スプライン22
1、222、…がスプライン溝191、192、…に沿って移動さ
れてるものであるが、シャフト17が冷鍛により加工され
たスプライン溝191、192、…に沿って前進移動する場
合、シャフト17に形成した突条スプライン221、222、…
の先端方向のストッパ面261、262、…がスプライン溝19
1、192、…それぞれの端面201、202、…に当たることに
よって、シャフト17の前進移動が止められる。
この場合、スプライン溝191、192、…それぞれの角部
分に対応してそれぞれ逃がし溝211、212、…が形成され
ている。このため、シャフト17が前進移動され、突条ス
プライン221、222、…のストッパ面261、262、…がスプ
ライン溝191、192、…の端面201、202、…に衝突する状
態となった場合、すなわちエンジンの起動操作のために
モータの回転力がエンジンに伝えられる状態で、シャフ
ト17の突条スプライン221、222、…はチューブ15のスプ
ライン溝191、192、…の駆動側歯面に接触されてストッ
パ面261、262、…の方向に押される力と、マグネットス
イッチ機構24で押し出し力とによりストッパ面261、26
2、…がスプライン溝191、192、…の端面201、202、…
に強く圧接される状態となっても、ストッパ面261、26
2、…それぞれの角部分は逃がし溝211、212、…に対応
し、この角部分が端面201、202、…部に当たることがな
い。そして、スプライン溝191、192、…それぞれの端面
201、202、…と突条スプライン221、222、…それぞれの
ストッパ面261、262、…とが面接触されるようになり、
シャフト17がその最大移動位置まで確実に移動設定され
る。また突条スプライン221、222、…のストッパ面26
1、262、…の角部分等に不要に干渉する力が作用するこ
とがないものであり、突条スプライン221、222、…の角
部が欠ける等の不具合が発生することがない。
またエンジンの始動後、スタータがオーバランされた
ような場合、起動動作時とは異なり、チューブ15のスプ
ライン溝191、192、…のオーバライン側の歯面と、シャ
フト17の突条スプライン221、222、…のオーバラン側歯
面が相互に接触され、シャフト17からチューブ15に回転
力が伝達されるようになる。この状態で、マグネットス
スイッチ機構24によって、シャフト17がピニオン18方向
の前進する方向に押されていると、シャフト17の突条ス
プライン221、222、…は、チューブ15のスプライン溝19
1、192、…のオーバラン側歯面に接触された状態で、ス
トッパ面261、262、…の方向に押される。したがって、
他の実施例にあっては、このような場合ストッパ面26
1、262、…がスプライン溝191、192、…の端面201、20
2、…に強く圧接されるようになる、端面201、202、…
上で逃がし溝211、212、…と反対側に逃がし溝を設ける
ことによって、シャフト17の突条スプライン221、222、
…それぞれのストッパ面261、262、…に欠けが発生する
ことを効果的に防止することができる。
ここで、スプライン溝191、192、…それぞれの端面20
1、202、…の角部分に形成される逃がし溝211、212、…
は、冷鍛でスプライン溝191、192、…が形成される場
合、その角部分に形成される円弧部が残らない程度の深
さとこの深さを確保できる程度の幅が必要である。そし
て、この逃がし溝211、212、…の具体的な必要寸法は、
冷鍛の加工精度、すなわち角部分の円弧の最小半径の大
きさの程度、さらに加工型の寿命等により決定される。
角部分の円弧の最小限界が0.5mmの場合、逃がし溝211、
212、…それぞれの深さは0.5mm、幅は1.0mm必要とな
る。この場合、スプライン溝191、192、…の端面201、2
02、…の機能を考慮すれば、逃がし溝211、212、…の幅
は、小さい方が好ましい。
[発明の効果] 以上のようにこの発明に係るスタータにあっては、モ
ータにより回転されるチューブと、エンジンに回転力を
伝えるシャフトとがヘリカルスプラインにより結合され
る。この場合チューブに形成されるスプライ溝は冷鍛に
より加工されるもので、このスプライン溝の端面と、シ
ャフトに形成される突条スプラインのストッパ面とが、
確実に面で接触されるようになる。そして、このスプラ
イン溝の端面に突条スプラインのストッパ面が大きな力
で圧接される状態となっても、突条スプラインのストッ
パ面に不要な干渉力が作用することなく、またシャフト
の最大移動位置が正確に設定されるようになり、スター
タの動作の安定性と共に、その寿命が効果的に増大され
るようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例に係るスタータを説明する
ための断面構成図、第2図は上記スタータのチューブお
よびシャフト部分を取出して一部切り欠いて示した図、
第3図および第4図はそれぞれ上記チューブおよびシャ
フトのヘリカルスプライン部を取出して示した図であ
る。 11……モータ、14……バレル、15……チューブ、17……
シャフト、18……ピニオン、191、192、……スプライン
溝、201、202、……端面、211、212、……逃がし溝、22
1、222、……突条スプライン、24……マグネットスイッ
チ機構、261、262、……ストッパ面。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モータにより回転駆動されるチューブと、 このチューブの内周面に、上記チューブの軸線に傾斜す
    るようにして冷鍛により形成されたスプライン溝と、 上記チューブの内部に同軸的に挿入設定され、起動指令
    に対応して軸方向に移動されるようにしたシャフトと、 このシャフトの外周面に、上記スプライン溝に歯合され
    るように形成された突条スプラインと、 上記シャフトの回転をエンジンに伝達する手段とを具備
    し、 上記突条スプラインの先端面が当たるようになる上記ス
    プライン溝の端面には、この端面に当たる上記突条スプ
    ラインの角部分に対応して逃がし溝が形成されるように
    したことを特徴とするスタータ。
JP2656689A 1989-02-07 1989-02-07 スタータ Expired - Lifetime JP2643411B2 (ja)

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