JP2643314B2 - pH調整,アンモニア除去機能を有する生物細胞培養方法及びその培養装置 - Google Patents

pH調整,アンモニア除去機能を有する生物細胞培養方法及びその培養装置

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JP2643314B2
JP2643314B2 JP63143467A JP14346788A JP2643314B2 JP 2643314 B2 JP2643314 B2 JP 2643314B2 JP 63143467 A JP63143467 A JP 63143467A JP 14346788 A JP14346788 A JP 14346788A JP 2643314 B2 JP2643314 B2 JP 2643314B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は生物細胞の培養方法に係り、特に中和剤を培
養液中に添加せずに培養液のpHを調整し、かつ増殖を阻
害する代謝生成物であるアンモニアを除去することを特
徴とする生物細胞を効率よく増殖させる培養方法及びそ
の培養装置に関する。
〔従来の技術〕
動物細胞にはガラス面等に付着して生育する単層培養
される付着性細胞と、浮遊状態で生育し浮遊培養される
懸濁性細胞がある。前者には上皮性細胞、繊維芽細胞等
が含まれ、後者にはリンパ芽球様細胞、赤芽球様細胞、
腹水癌細胞等が含まれる。近年、インターフェロン等の
生理活性物質の生産にこれら動物細胞が用い得ることが
明らかになり、その大量培養に関して、多くの検討が試
みられてきた。
これらの細胞の培養には、細胞を損傷させずにpHを適
値にコントロールすること、特に、細胞は浸透圧の変化
又は適応幅が狭いため、緩衝剤の添加なしにコントロー
ルすることが望まれてきた。さらに、培養中に、細胞の
代謝に伴い各種の老廃成分が分泌されるが、その中で特
にアンモニウムイオンの阻害の影響が大きい。そのため
アンモニウムイオンを選択的に除去できることも望まれ
てきた。
従来、培養液中のpH制御に関しては、 細胞を培養液から固液分離し、フレッシュ培地に再
懸濁するいわゆる灌流培養により、酸性化の原因である
乳酸や増殖を阻害するアンモニウムイオンを除く方法。
NaHCO3を添加した培地に適当量の炭酸ガスを接触さ
せてpH7付近に調整後、密栓状態で培養する。
NaHCO3を添加した培地に細胞を接種後、炭酸ガス濃
度を5%に調整した空気気流下で培養する(特開昭58−
76086号)。
NaHCO3を添加した培地に細胞を接種後、培養槽気相
部に導入する空気中の炭酸ガス濃度を変化させながら培
養する(特開昭58−81781号)。
等の方法がとられてきた。
しかし、これらの方法はいずれもコントロールできる
pHの範囲は極くせまく、乳酸が1000ppmを越えて、pHが
低下すると対応できなくなる。
アンモニアの除去については液の入れ換え、すなわち
灌流により対応する方法のみであるが、培地には高価な
血清やアミノ酸、ビタミン類の消耗が極めて大きく得策
ではない。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記の通り、従来技術のpHコントロール方法は、乳酸
生成に伴うpH低下に対応できず、かつアンモニアを選択
的に除去することができない。
本発明者らは、細胞の連続培養中に両課題を同時に解
決する培養方法につき鋭意検討を続けた。培養中に培養
濾液をシリコンゴム配管を通してポンプで加圧移送中、
シリコンチューブ中の液がアルカリ化することに気ず
き、原因を検討した結果、炭酸ガスがシリコンゴムを透
過するためであることを見い出した。さらにアルカリ化
した培養濾液にCO2除去空気を通気したところ、アンモ
ニウムイオンを効率よく気化させうることを見出し、本
発明に到達した。
本発明の目的は、pHコントロールを緩衝剤の添加なし
にかつ細胞を損傷させずに行うと同時にアンモニアを選
択的に除去する培養方法及びそのための培養装置を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の第1の特徴は、炭酸塩を含有する培養液、培
養濾液、液体培地のいずれかを、培養槽から抜き出し、
培養槽外に配置した二酸化炭素透過性を有する膜と接触
させ、該膜の液相側の圧力を気相側の圧力に比して相対
的に高めて液中の二酸化炭素を該膜の気相側に排出する
ことにより液のpHを上昇させ、該処理液を培養槽に導入
してpHを調整しつつ培養することである。
本発明に適用できる生物細胞は主として動物細胞と植
物細胞であるが嫌気性微生物や原生動物にも適用でき
る。特に、動物細胞の培養に適している。動物細胞とし
ては、懸濁性(浮遊性)や付着性を問わず使用できる。
植物細胞も単細胞はもちろん組織培養にも適用できる。
本発明に適用できる液体培地は特に限定されないが、
炭酸水素塩もしくは炭酸塩を含む培地に特に効果的であ
る。培地は使用する細胞の種類により適宜選択される。
例えば、動物のハイブリドーマ細胞ならイーグル培地で
あるように使用動物及び使用目的及び使用条件により、
構成栄養成分の組成を適宜選択して用いる。
pH緩衝用の炭酸水素塩もしくは炭酸塩として、最も使
用しやすく、かつ経済的なものは炭酸水素ナトリウムで
あるが、培養条件によっては炭酸水素カリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウムも用いられ、併用することも可
能である。
培養方法、懸濁培養が主な対象となるが、付着性細胞
の培養に際しても、担体が微細な場合や担体と付着して
いない状態の細胞を含む培養液の場合も包含される。例
えば担体としては、ビーズ、膜、センイ等があげられ
る。
培養方法も使用細胞に適した方法が適宜選択される
が、液体培地を用いる限り、特に限定されず公知の方
法、例えば懸濁性細胞では、槽内を撹拌して混合しなが
ら、培地と酸素を供給する完全混合型懸濁培養、付着性
細胞ではマイクロビーズ付着培養、フォロファイバー付
着培養等が用いられる。pHのコントロール方法も特に限
定されるものではなく、前述したように炭酸水素塩もし
くは炭酸塩存在下で用いられる。多くは、培養槽内に通
ずる気体の一つとして二酸化炭素もしくは二酸化炭素含
有ガスが用いられる。スチーム殺菌を行う場合,膜には
少なくとも120℃で1.2kg/cm2以上の耐圧を有する硬さが
必要である。膜の形状は中空系膜型や平膜型等目的、用
途、使用条件により適宜選択して用いる。使用圧も処理
対象となる液の種類及び含有乳酸濃度により適宜選択さ
れる。液として、細胞を含まない液、例えば液体培地や
培養濾液は脱炭酸するために、必要な圧だけ加圧できる
が、細胞を含有する培養液そのものの処理では、高い圧
力で処理すると細胞が破壊や損傷をうける。そのため、
一般に2kg/cm2以下の操作圧で行われる。
処理する際の温度も適宜選択されるが、培養液では、
培養温度もしくは±5℃の温度範囲が適している。培養
濾液や培地は特に限定されないが、室温で十分目的が達
せられる。
炭酸ガス透過膜も毒性溶解成分を含まなければ炭酸ガ
ス透過性の高い膜であれば使用できる。例えば、シリコ
ンゴム、ポリエチレン、酢酸セルロース、塩化ビニル、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、フッカ有機樹脂、可
塑化フッ素樹脂、ポリスチレン、エチルセルロース、ポ
リイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルブチラール等
の公知の炭酸ガス透過性の高い有機材料の膜が用いられ
る。膜の厚さ、形状、集合化形態等は材料の種類、対象
培養液、操作条件により適宜選択される。例えば、管状
や平膜あるいは平膜の積層物、中空糸モジュール合の中
から選ばれる。
膜を介して液側から膜外の気相部に炭酸ガスとして液
中の炭酸イオンを放出するには、液を加圧したり、逆に
気相部を減圧するなど、少なくとも液側の圧が気相部の
圧よりも相対的に大きくすればよい。両相の絶対圧及び
差圧は、液の種類、膜の性質、目標とする処理効率によ
り適宜選択される。例えば、シリコンゴムの場合、0.2k
g/cm2程度の差圧でも実用性の高い除去効率を有する。
加圧や減圧は、従来公知の方法が十分適用できる。例
えば、加圧の際には、調圧弁で圧力を調節しながらポン
プで液を圧送したり、膜構造物を減圧室に収納したりす
ればよい。また、拡散を助けるため、膜気相部をファン
等で撹拌するとさらに効果的である。
圧の調節は培養槽内の液のpHをpHセンサでモニタし、
設定pHよりも上昇したときに、加圧用ポンプ又は減圧用
ポンプを作動させ、液を循環すればよい。圧力調節は通
常、設定圧でオンオフする圧力コントローラを用い弁の
開閉を上記ポンプと連動させればよい。
また、脱炭酸の対象とする液は、細胞を含む培養液そ
のものでもよいが、操作範囲が広くかつ、効率を高く望
む場合は、一旦、培養液中から細胞を除去して、これを
培養槽に返送し、細胞を除去した培養液につき、脱炭酸
を行えばよい。さらに補助的手段として、液体培地の一
部を膜で脱炭酸してアルカリ化した培地を培養槽に添加
することも可能である。これらの運転形態は、適宜、各
状況により選択して用いればよい。
尚、培養液からの細胞の除去方法は特に限定されるも
のではなく、従来公知の方法、例えば、遠心分離、濾
過、重力沈降等が適用される。
本発明の第2の特徴は、アルカリ化した培養濾液を二
酸化炭素非含有気体で曝気することにより増殖阻害成分
であるアンモニアを気化させて除去し、除去した培養濾
液を培養槽に返送することである。
アンモニア除去に適した培養濾液のpHは少なくとも7.
0以上、好ましくは7.2以上である。曝気に用いる通気ガ
スとしては二酸化炭素を含有しないでかつ生物毒でない
ガスであればよい。例えば、脱CO2空気や、酸素と窒素
の混合ガス等が用いられる。通気量も、液のpH、装置に
より適宜選択されるが、0.01cm/sec以上の通気線速度が
好ましい。
尚、培地中には血清を添加したり、培養中に生成する
蛋白や多糖類のため、試料液が発泡しやすい場合が多
い。このような場合には液面上に消泡機構が必要であ
る。例えば、ポリオルガノシリコンを含有する網を消泡
層として、液面上に設置する等の対策がとられる。
温度も適宜、選択される。アンモニアの気化からは高
い温度が好ましいが、培養濾液中の蛋白成分等が変質、
変性するため、培養温度付近かそれ以下で行うことが好
ましい。
次に、本発明の具体例をあげ以下にさらに詳しく説明
する。
1)炭酸塩を含有する培養液、培養濾液、液体培地のい
ずれか一種、もしくは二種以上を、培養槽から抜き出
し、培養槽外に配置した二酸化炭素透過性を有する膜と
接触させ、該膜の液相側の圧力を気相側の圧力に比して
相対的に高めて液中の二酸化炭素を該膜の気相側に排出
することにより液のpHを上昇させる第1工程と、第1工
程で得られる処理液を培養槽に返送する第2工程とから
なる生物細胞の培養方法。具体例を第1〜6図に示す。
2)炭酸塩を含有する培養液、培養濾液、液体培地のい
ずれか一種、もしくは二種以上を、培養槽から抜き出
し、培養槽外に配置した二酸化炭素透過性を有する膜と
接触させ、該膜の液相側の圧力を気相側の圧力に比して
相対的に高めて液中の二酸化炭素を該膜の気相側に排出
することにより液のpHを上昇させる第1工程と、第1工
程で得られる処理液を二酸化炭素非含有気体で曝気処理
してアンモニアを液中から除去する第2工程と、第2工
程で得られる処理液を培養槽に返送する第3工程とから
なる生物細胞の培養方法。具体例を第3図、第6図に示
す。
3)前記1)又は2)に於て、液側の圧力が外気圧に比
べ大きいことを特徴とする生物細胞の培養方法。
4)前記3)に於て、外圧が外気圧よりも小さいことを
特徴とする生物細胞の培養方法。
5)前記1)〜4)に於て、培養液中のpHを制御の設定
値以下の場合に、pH監視制御装置と液の処理系とを連動
化させてpHを上昇させることを特徴とする生物細胞の培
養方法。具体例を第1〜6図に示す。
6)上記1)又は2)に於て、二酸化炭素を有する膜が
シリコンゴム、ポリエチレン、酢酸セルロース、塩化ビ
ニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、可塑化フッソ
樹脂、ポリスチレン、エチルセルロース、ポリイソブチ
レン、ブチルゴム又はポリビニルブチアールであること
を特徴とする生物細胞の培養方法。
7)培養槽と、該培養槽から出て培養槽に戻るループ状
配管と、該ループ状配管の途中に設けられた二酸化炭素
透過性を有する膜と、該膜の液相側の圧力を気相側の圧
力に比して相対的に高くして液中の二酸化炭素を該膜の
気相側に排出するための手段とを備えたことを特徴とす
る生物細胞培養装置。前記二酸化炭素透過性を有する膜
の液相側の圧力を気相側の圧力に比して相対的に高くし
て液中の二酸化炭素を該膜の気相側に排出するための手
段は好ましくは、圧力調節弁と該圧力調節弁を設定圧に
調節する圧力コントローラからなる。具体例を第1〜6
図に示す。
8)前記7)に於て、該ループ状配管に少なくとも培養
液抜出しポンプ、アルカリ化培養液返送ポンプを挿設し
てなる生物細胞培養装置。具体例を第1〜6図に示す。
9)前記8)に於て、圧力調節弁を設定圧に調節する圧
力コントローラと、培養槽内培養液中に浸漬せるpHセン
サの信号により培養液抜出しポンプ及びアルカリ化培養
液返送ポンプの両ポンプの作動を調節するpHコントロー
ラの系内に装着した生物細胞の培養装置。具体例を第1
〜6図に示す。
10)前記7)に於て、該炭素ガス透過膜の気相側を減圧
室内に収納もしくは減圧室と連通してなる生物細胞の培
養装置。
11)前記7)〜10)に於て、培養液の移動するループ状
配管の途中で、炭酸ガス透過膜と培養槽との間に少なく
とも細胞分離装置を挿設してなる生物細胞の培養装置。
具体例を第2,3,5,6図に示す。
12)前記11)に於て、培養槽と細胞分離装置との間に培
養液移送ポンプ、細胞分離装置と炭酸ガス透過膜との間
に、細胞除去培養液移送ポンプを挿設し、細胞分離装置
から細胞を培養槽に返送する系路を有し、培養液移送ポ
ンプ、細胞除去液移送ポンプ、細胞除去アルカリ化培養
液移送ポンプの作動を調節するpHコントローラを系内に
配してなる生物細胞の培養装置。具体例を第2,3,4,5,6
図に示す。
13)前記12)に於て、圧力調節弁と培養槽との間にアン
モニア除去装置を挿設してなる生物細胞の培養装置。具
体例を第3,第6図に示す。
14)1)〜13)に於て、培養槽と培地貯槽との培地供給
系路に並行して、両槽間に培地移送ポンプ、炭酸ガス透
過膜、圧力調節弁を挿設したもう一つの培地供給系路を
付加し、かつ両培地供給系路の培地移送ポンプをpHコン
トローラにより作動させてなる生物細胞の培養装置。具
体例を第4,5,6図に示す。尚、培養液中から目的生産物
を分離回収する場合には、本発明なるプロセス中で適宜
実施すればよい。
例えば第2図の細胞分離装置16以降、培養槽1との間
の経路中に抗体蛋白を固定したアファニティークロマト
等による分離回収用の分岐工程を適宜挿入すればよい。
〔実施例〕
次に本発明を実施例により説明する。但し、本発明は
この実施例により限定されるものでない。
実施例1 ラット肝臓の癌細胞株JTC−1(Japan tissue cultur
e No.1株)をMEM培地5mlを分注した扁平フラスコ15ヶを
静置培養した。培養温度は37℃、気相ガスは炭酸ガスを
5%(V/V)混合添加した空気とした。3日間培養した
フラスコの表面に付着した細胞をはく離し、細胞濃度1
×105細胞/mlの種培養液75mlを得た。本培養液を遠心分
離し、上清をすて、同容量の液体培地に懸濁した。
次に、直径70mm、高さ390mm、容量1500mlの円筒形の
ガラス製培養槽に上記の種細胞懸濁液30ml、液体培地72
5ml(0.5%NaHCO3含有)、37℃に保温した。培養槽上部
には有機性珪素ポリマーを塗布したポリエチレン製網を
消泡層として配置する他、槽底部に空気吸込用ガラス製
多孔質ノズルと、槽側壁から液注のpH電極を配置した。
槽底部から滅菌した空気を通気線速度0.2cm/secで通気
してpHを監視しながら5日間培養した。
一方、同型式の培養槽を用意し、同一培地に同一バッ
チの種細胞液を接種し、通気条件、温度条件を同一とし
て培養を開始した。培養槽から培養液を抜き出し細胞を
濾過分離する装置を接続し、さらに内径2mm、外径4mm、
長さ1mのシリコンチューブを経て圧調節バルブを設け
た。
pHコントローラの設定下限pHを6.8に設定した。培養
槽内pHが6.8に達した時、培養液抜出しポンプが作動
し、圧調節バルブの設定圧1.0kg/cm2になるまでシリコ
ンチューブに圧送した。その結果、培養液のpHは7.80に
上昇し、返送ポンプにより培養槽に返送された。上述の
pH調整を培養期間中、自動的に繰り返し5日間培養を継
続して、培養液中の細胞濃度を測定した結果、5.8×106
細胞/mlであった。また、アンモニウムイオン濃度は38p
pmであった。
比較例 実施例1と同型の培養槽及び同一バッチの種細胞及び
培地を用い培養した。但し、実施例1の方式でのpHコン
トロールは行わず、培養槽気相部にCO2含有空気を通気
して、pHコントローラ(設定下限pH6.8)としてCO2濃度
制御により培養した。5日培養後、pHは6.1まで低下
し、細胞濃度は2.5×106細胞/ml、アンモニア濃度は32p
pmであった。
実施例2 ラット肝臓の癌細胞株JTC−1(Japan tissue cultur
e No.1株)をMEM培地5mlを分注した扁平フラスコ15ヶを
静置培養した。培養温度は37℃、気相ガスは炭酸ガスを
5%(V/V)混合添加した空気とした。3日間培養した
フラスコの表面に付着した細胞をはく離し、細胞濃度1
×105細胞/mlの種培養液75mlを得た。本培養液を遠心分
離し、上清をすて、同容量の液体培地に懸濁した。
次に、直径70mm、高さ390mm、容量1500mlの円筒形の
ガラス製培養槽に上記の種細胞懸濁液30ml、液体培地72
5ml(0.5%NaHCO3含有)、37℃に保温した。培養槽上部
には有機性珪素ポリマーを塗布したポリエチレン製網を
消泡層として配置する他、槽底部に空気吸込用ガラス製
多孔質ノズルと、槽側壁から液中のpH電極を配置した。
槽底部から滅菌した空気を通気線速度0.2cm/secで通気
してpHを監視しながら5日間培養した。
一方、同型式の培養槽を用意し、同一培地に同一バッ
チの種細胞液を接種し、通気条件、温度条件を同一とし
て培養を開始した。培養槽から培養液を抜き出し細胞を
濾過分離する装置を接続し、さらに内径2mm、外径4mm、
長さ1mのシリコンチューブを経て圧調節バルブを設け
た。
pHコントローラの設定下限pHを6.8に設定した。培養
槽内pHが6.8に達した時、培養液抜出したポンプが作動
し、細胞を分離した残りの培養濾液が圧調節バルブの設
定圧1.0kg/cm2になるまでシリコンチューブに圧送し
た。その結果、培養濾液のpHは7.82に上昇した。次いで
アルカリ化した培養濾液を直径2cm、長さ15cmの脱アル
カリ塔に導入し、塔底部から50ml/secで脱炭酸空気を5
分間通気して脱アンモニア化した。脱アンモニア化した
培養濾液を培養槽に返送した。培養槽内の細胞濃度及び
アンモニア濃度を測定した結果、8.2×106細胞/ml、10p
pmであった。
実施例3 本発明の装置フローを第1図に示す。
培養槽1中の培養液は培養液抜出しポンプ6により炭
酸ガス透過性膜管3に加圧送入され、炭酸ガスが減少
し、アルカリ化した液はアルカリ化培養液返送用ポンプ
12により培養槽1に返送される。培養槽にはpH電極5が
付設してあり、培養液のpHも監視、pHコントローラ4の
設定pHよりも低下した際、ポンプ6,12が作動し、中和作
業が進行する。尚、圧力調節弁8は脱炭酸に適した操作
圧になる様、圧力コントローラの設定圧で開閉を調節で
きるようになっている。
実施例4 本発明の他の装置フローを第2図に示す。
培養槽1中の培養液はポンプ6で細胞分離装置16に送
られ、精密濾過膜17により細胞含有フラクションと、培
養濾液フラクションに分離される。細胞フラクションは
培養槽に返送される。培養濾液はポンプ19で炭酸ガス透
過性膜管に加圧送入され、脱炭酸してアルカリ化した培
養濾液がポンプ12により培養槽1に返送され、pH調整が
同われる。
実施例5 本発明の他の装置フローを第3図に示す。
培養槽1中の培養液はポンプ6で細胞分離装置16に送
られ、精密濾過膜17により細胞含有フラクションと、培
養濾液フラクションに分離される。細胞フラクションは
培養槽に返送される。
培養濾液はポンプ19で炭酸ガス透過性膜管3に加圧送
入され、脱炭酸してアルカリ化される。アルカリ化した
培養濾液はアンモニア除去装置20に導入され、装置底部
から導入される脱炭酸処理空気により曝気される過程で
アンモニアが除去される。アンモニア除去したアルカリ
化培養濾液はポンプ12で培養槽1に返送され、pHコント
ロールが行われる。
実施例6 本発明の他の装置フローを第4図に示す。
培養槽1中の培養液はポンプ6で炭酸ガス透過性膜3
に、さらに培地貯槽中の培地15はポンプ13′により炭酸
ガス透過性膜管3に加圧送入される。脱炭酸によりアル
カリ化した培養液及び培地はそれぞれ培地槽1に返送さ
れる。
実施例7 本発明の他の装置フローを第5図に示す。
培養槽1中の培養液2は移送ポンプ6で細胞分離装置
19に送られ、精密濾過膜17により細胞含有フラクション
と、培養濾液フラクションに分離される。細胞フラクシ
ョンは培養槽に返送される。アルカリ化した培養濾液は
ポンプ12により培養槽に返送されpH調整が行われる。さ
らに、培地貯槽14中の培地の1部もポンプ13′で炭酸ガ
ス透過性膜管3に圧入され脱炭酸によりアルカリ化して
pH調整に用いられる。
実施例8 本発明の他の装置フローを第6図に示す。
培養槽1中の培養液2は移送ポンプ6で細胞分離装置
16に送られ、精密濾過膜17により細胞フラクションと培
養濾液フラクションとに分離される。細胞フラクション
は培養槽1に返送される。次に培養濾液はポンプ19によ
り炭酸ガス透過性膜管3に送られ脱炭酸されアルカリ化
する。アルカリ化した培養濾液は脱アンモニア装置20に
送られ、アンモニアを除去した後、培養槽1に返送され
る。
さらに、培地15の1部もポンプ13′で炭酸ガス透過性
膜管3に送られアルカリ化される。アルカリ化した培地
は培養槽1に導入され、アンモニア除去培養濾液と合せ
てpH調整のために使用される。
実施例9 ラット肝臓の癌細胞株JTC−1(Japan tissue cultur
e No.1株)をMEM培地5mlを分注した扁平フラスコ15ヶを
静置培養した。培養温度は37℃、気相ガスは炭酸ガスを
5%(V/V)混合添加した空気とした。3日間培養した
フラスコの表面に付着した細胞をはく離し、細胞濃度1
×105細胞/mlの種培養液75mlを得た。本培養液を遠心分
離し、上清をすて、同容量の液体培地に懸濁した。
次に、直径70mm、高さ390mm、容量1500mlの円筒形の
ガラス製培養槽に上記の種細胞懸濁液30ml、液体培地72
5ml(0.5%NaHCO2含有)、37℃に保温した。培養槽上部
には有機性珪素ポリマーを塗布したポリエチレン製網を
消泡層として配置する他、槽底部に空気吸込用ガラス製
多孔質ノズルと、槽側壁から液中のpH電極を配置した。
槽底部から滅菌した空気を通気線速度0.2cm/secで通気
してpHを監視しながら5日間培養した。
一方、同型式の培養槽を用意し、同一培地に同一バッ
チの種細胞液を接種し、通気条件、温度条件を同一とし
て培養を開始した。培養槽から培養液を抜き出し細胞を
濾過分離する装置を接続し、さらに内径2mm、外径4mm、
長さ1mのシリコンチューブを経て圧調節バルブを設け
た。
〔発明の効果〕
細胞の損傷させることなくpHをコントロールできかつ
増殖阻害を引きおこすアンモニウムイオンを除去して、
効率よく細胞を増殖することができる。
実施例1及び実施例2と比較例との性能比較で明らか
なように、本発明により、pHを増殖に適した値にコント
ロールでき、さらに阻害成分のアンモニアを除去するこ
とにより、増殖量を大幅に向上することができた。
【図面の簡単な説明】
第1〜6図は本発明の一実施例の培養フローを示す図で
ある。 1……培養槽,2……培養液,3……炭酸ガス透過性膜管,4
……pHコントローラ,5……pH電極,6……培養液抜出ポン
プ,7……圧力コントローラ,8……圧力調節弁,9……空
気,10……排気,11……気体フィルタ,12……アルカリ化
培養液返送ポンプ,13……培地移送ポンプ,13′……培地
移送ポンプ,14……培地貯槽,15……培地,16……細胞分
離装置,17……精密濾過膜,18……細胞返送用配管,19…
…培養濾液抜出ポンプ,20……アンモニア除去装置,21…
…脱炭酸空気,22……消泡層,23……アルカリ化培養濾液
返送用配管,23′……アルカリ化・脱アンモニア培養濾
液返送用配管

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭酸塩を含有する培養液、培養濾液、液体
    培地のいずれか一種、もしくは二種以上を、培養槽から
    抜き出し、培養槽外に配置した二酸化炭素透過性を有す
    る膜と接触させ、該膜の液相側の圧力を気相側の圧力に
    比して相対的に高めて液中の二酸化炭素を該膜の気相側
    に排出することにより液のpHを上昇させる第1工程と、
    第1工程で得られる処理液を培養槽に返送する第2工程
    とからなることを特徴とする生物細胞の培養方法。
  2. 【請求項2】炭酸塩を含有する培養液、培養濾液、液体
    培地のいずれか一種、もしくは二種以上を、培養槽から
    抜き出し、培養槽外に配置した二酸化炭素透過性を有す
    る膜と接触させ、該膜の液相側の圧力を気相側の圧力に
    比して相対的に高めて液中の二酸化炭素を該膜の気相側
    に排出することにより液のpHを上昇させる第1工程と、
    第1工程で得られる処理液を二酸化炭素非含有気体で曝
    気処理してアンモニアを液中から除去する第2工程と、
    第2工程で得られる処理液を培養槽に返送する第3工程
    とからなることを特徴とする生物細胞の培養方法。
  3. 【請求項3】別途配置した培地貯蔵槽中の培地を培地槽
    から抜き出し、培地槽外に配置した二酸化炭素透過性を
    有する膜と接触させ、該膜の液相側の圧力を気相側の圧
    力に比して相対的に高めて培地中の二酸化炭素を該膜の
    気相側に排出することにより培地のpHを上昇させ、該pH
    の上昇した培地を培養槽に添加する工程をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の生物細胞の培養
    方法。
  4. 【請求項4】二酸化炭素透過性を有する膜がシリコンゴ
    ム、ポリエチレン、酢酸セルロース、塩化ビニル、塩化
    ビニル−酢酸ビニル共重合体、可塑化フッソ樹脂、ポリ
    スチレン、エチルセルロース、ポリイソブチレン、ブチ
    ルゴム又はポリビニルブチラールであることを特徴とす
    る請求項1ないし3いずれか記載の生物細胞の培養方
    法。
  5. 【請求項5】培養槽と、該培養槽から出て培養槽に戻る
    ループ状配管と、該ループ状配管の途中に設けられた二
    酸化炭素透過性を有する膜と、該膜の液相側の圧力を気
    相側の圧力に比して相対的に高くして液中の二酸化炭素
    を該膜の気相側に排出するための手段とを備えたことを
    特徴とする生物細胞培養装置。
  6. 【請求項6】前記二酸化炭素透過性を有する膜の液相側
    の圧力を気相側の圧力に比して相対的に高くして液中の
    二酸化炭素を該膜の気相側に排出するための手段は、圧
    力調節弁と該圧力調節弁を設定圧に調節する圧力コント
    ローラからなり、さらに、前記ループ状配管の前記培養
    槽と前記二酸化炭素透過性を有する膜との間に設けた培
    養液抜出しポンプと、該膜と前記培養槽との間に設けた
    培養液返送ポンプと、前記培養槽内に設けた培養液中に
    浸漬せるpHセンサと、該pHセンサの信号により前記培養
    液抜出しポンプ及び培養液返送ポンプの両ポンプの作動
    を調節する制御手段とをさらに有していることを特徴と
    する請求項5記載の生物細胞の培養装置。
  7. 【請求項7】前記培養槽と前記二酸化炭素透過性を有す
    る膜との間にさらに細胞分離装置が設けられ、該細胞分
    離装置から細胞を培養槽に返送する系路をさらに有して
    いることを特徴とする請求項5又は6記載の生物細胞の
    培養装置。
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