JP2640124B2 - 衝撃工具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、ビットを軸方向に打撃する衝撃工具に関す
る。

［従来の技術］ ビットを軸方向に打撃する衝撃工具は、ビットの先端
がコンクリート等の堅い部材に当接しているため、軸方
向に打撃されるとその反力がビットの打撃と反対の方向
に発生する。

この様な反力は、衝撃工具本体に伝わるため、激しい
振動として作業者の手に感じられ、作業者に種々の障害
を発生することになる。

このため、衝撃工具の本体とハンドル部分との間にク
ッションゴム等の緩衝部材を介在することが試みられて
いるが、振動を十分吸収するために容量の大きい緩衝部
材を採用するとハンドルの操作性に問題を生じるため、
緩衝部材による消極的な振動の吸収には限界があった。

「発明が解決しようとする問題点」 本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであ
り、緩衝部材などの消極的な振動の吸収に代えて能動的
に振動の発生を阻止し、作業者を保護することができる
衝撃工具を提供することを目的としている。

「問題点を解決するための手段」 本発明は、ビットを打撃する打撃体に周方向に着磁さ
れた第１磁石を打撃の軸方向に揺動するようスプリング
を介して備え、この第１磁石に対向する第２磁石を前記
の打撃体を駆動する電動機の回転と同期して回転するよ
う、かつ軸方向に移動しないよう固定して備えたことに
よって問題点を解決している。

［作用］ 打撃体がビットを打撃する際、この打撃と同期の関係
を有し第２磁石が回転する。

そして、周方向に着磁された第１磁石が対向して回転
する第２磁石によって軸方向の振動を発生する。

この第１磁石の振動は、第２磁石が回転することによ
ってその磁気吸引力及び反発力によって軸方向の力を発
生するもので、その軸方向の力が打撃体との間に備えら
れたスプリングを介して打撃体に伝達され、打撃体から
スプリングを介して第１磁石に伝達される振動と相殺関
係になる。

したがって、負荷を有するビットが打撃されることに
よりその反力が打撃体に伝達されるが、打撃体に備えら
れた第１磁石が第２磁石によって軸方向に振動され、こ
の第１磁石の振動がビットによる打撃体の振動と相殺関
係になることによって振動の発生が減少する。

［実施例］ 本発明を図面に示された一実施例に基づいて説明する
と、第１図は、本発明の一実施例による衝撃工具の要部
縦断面図であり、第２図は、その要部拡大縦断面図であ
る。

第１図において、衝撃工具は、フレーム１の後端部に
ハンドル２が備えられており、先端部には、ビット３が
備えられている。

そして、ビット３は、打撃体４に備えられており、打
撃体４は、クランクや斜板カムどの機構からなり、電動
機５の回転が往復運動に変換される機構を構成し、電動
機５の回転数に同期した打撃を行うよう構成されてい
る。

さらに、打撃体４に動力を伝達する軸６上に振動体７
が備えられており、電動機５の回転に同期した振動を発
生するように構成されている。

第２図において、振動体７は、打撃体４の軸方向端部
にスプリング８を介して周方向に着磁された第１磁石９
が備えられており、この第１磁石９に対向して同じく周
方向に着磁された第２磁石10が軸６に固定されている。

この様な構成において、衝撃工具は、電動機５が回転
することにより、打撃体４が動作してビット３を打撃
し、ビット３によってコンクリートなどの堅い部材を破
砕あるいは穿孔することができる。

そして、ビット３がコンクリート等の負荷物に当接さ
れた状態で打撃されると、打撃の反力がビット３を介し
て打撃体４に伝達される。

しかしながら、打撃体４には、第１磁石９がスプリン
グ８を介して備えられており、この第１磁石９が第２磁
石10によって軸方向の振動を発生し、この振動が打撃体
４の振動と反対方向になることによって打撃機構４の振
動が減衰し、しかも、フレーム１のビット３側から後端
部のハンドル２の方向へ伝達されなくなる。

この様な第１磁石９の振動は、第１磁石９が周方向に
着磁されており、しかも、第２磁石10が対向して回転す
るため、第１磁石９と第２磁石10との間に磁気吸引及び
反発が周期的に発生し、第２磁石10が軸方向に固定され
ているため、第１磁石９が軸方向に振動することにな
る。

そして、第１磁石９は、スプリング８を介して打撃体
４に備えられているため、ビット３の反力である打撃体
４のエネルギーと第１磁石９のエネルギーとがスプリン
グ８の部分で緩衝されることになる。

この様な動作は、フレーム１の振動体７と打撃体４と
の間でビット３の振動の遮断を行うとができるものであ
り、ビット３の振動がフレーム１を介してハンドル２へ
伝達されることを阻止し、ハンドル２を把持する作業者
の手に振動を感じさせなくなる。

第１磁石９と打撃体４との振動の同期は、いずれも電
動機５によって駆動されているため、容易に同期させる
ことができ、ビット３の負荷が大きくなるなど電動機５
の回転数が変動しても同期が損なわれることがなく、安
定した動作を行うことができる。

［発明の効果］ 本発明によれば、第１磁石を打撃体に備え、かつビッ
トの打撃に同期して振動するように構成したため、ビッ
トの反力で発生する振動を能動的に減衰、遮断させるこ
とができ、ハンドルに伝達される振動が少なくなり、作
業者が保護されることになり、その効果は極めて大きい
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例による衝撃工具の要部縦断
面図であり、第２図は、その要部拡大縦断面図である。 １…フレーム、２…ハンドル、３…ビット、４…打撃
体、５…電動機、７…振動体、８…スプリング、９…第
１磁石、10…第２磁石。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ビットを軸方向に打撃する衝撃工具におい
   て、ビットを打撃する打撃体に周方向に着磁された第１
   磁石を打撃の軸方向に揺動するようスプリングを介して
   備え、この第１磁石に対向する第２磁石を前記の打撃体
   を駆動する電動機の回転と同期して回転するよう、かつ
   軸方向に移動しないよう固定して備えたことを特徴とす
   る衝撃工具。