JP2640068B2 - 間欠曝気式の汚水の浄化装置 - Google Patents

間欠曝気式の汚水の浄化装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生活排水・産業排水等
の有機物を含む汚水を、曝気槽において曝気し、活性汚
泥を生育せしめて処理する、活性汚泥法を用いた汚水の
浄化装置において、曝気槽に設ける曝気装置を間欠作動
させることで、曝気行程と曝気行程との間の非曝気の嫌
気状態の行程において、脱窒作動を行なわすようにする
間欠曝気式の汚水の浄化装置についての改良に関する。
【0002】
【従来の技術】有機物を含む汚水の浄化処理は、通常、
活性汚泥法による処理手段で行なわれている。この汚水
の処理手段は、汚水を曝気槽に入れ、曝気装置により曝
気を行なうことで、活性汚泥を生育させて、BOD、C
ODを除去する手段で、優れた性能を発揮し、多くの設
置実績を有している。
【0003】また、この活性汚泥法による汚水の浄化処
理手段は、従前にあっては曝気装置の運転を連続させ
て、曝気作動が連続する状態としているが、この曝気作
動を間欠的に行なうことで、曝気行程と曝気行程との間
の非曝気の嫌気状態の行程により、汚水中に含まれる窒
素が窒素ガスとして放出されて、50〜90%程度の脱
窒が得られるようになることが判ってきている。
【0004】このことから、特開平1−293192号
公報にあるように、有機性排水の処理槽内に、モーター
に直結する中空シャフトの先端側を、中空のカバーで囲
って突入させ、その中空シャフトの先端に、処理槽内の
有機性排水を撹拌するスクリューを取付け、中空のカバ
ーの基端部には、一端側に外気に開放する空気取入口を
具備せしめた吸気管の他端側を連通し、それの一端側の
空気取入口に開閉制御されるバルブを設けておいて、そ
のバルブを開弁した状態でモーターを駆動することによ
り、スクリューの回転作動で吸気管から空気を吸引し排
水中に放出して曝気作動を行なわせ、次いで、バルブを
閉弁して、モーターを、インバーター制御により回転数
を落して作動させることで、曝気作動を停止せしめて撹
拌だけを行なわせ、これを繰返すことにより、曝気を間
欠的に作動させる手段が提案されている。
【0005】また、特開昭63−302995号公報に
あるように、嫌気性固定床を装備する第1生物反応層と
好気・嫌気両用型固定床を装備する第2生物反応槽と、
好気性固定床を装備せる第3生物反応槽および第4生物
反応槽とを、その順に並列させて設置して、それらを配
管により接続するとともに、これら生物反応槽のうちの
第2〜第4生物反応槽に、インバーターにより制御され
たブロウと通ずる送気管を接続し、かつ、第2生物反応
槽と通ずる送気管には開閉する空気開閉バルブを設けて
おいて、そのバルブを閉弁して第2生物反応槽を嫌気的
な状態に切換えたときに、ブロワーの回転数がインバー
ター制御により低下して、第3・第4生物反応槽に送給
する空気量を適正に保持するようにする手段もある。
【0006】ところで、汚水の浄化装置Aには、図3に
示している如く、流入管1を介して流入してくる汚水を
受入れる曝気槽2内に、空気を噴出する散気管32とそ
れに送風機30から送り出される空気を導く送気管31
とからなる曝気装置3を装備させておき、この曝気槽2
に、そこで曝気処理を受けた汚水を受入れる沈澱槽4を
並列させて設置し、その沈澱槽4内には、それの底部に
沈降してくる汚泥を、送風機30’から送気管60を介
して送給される空気により揚送するエアーリフト6を装
備せしめて、それにより揚送した汚泥を曝気槽2に返送
するようにする形態のものがある。
【0007】そして、この形態のものにあっては、曝気
槽2における間欠曝気を、曝気装置3に空気を送給する
送風機30の作動を間欠的にすることで行なわれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】汚水の浄化装置におい
て、曝気槽における曝気作動が間欠的に行なわれるよう
にするには、例えば、前述の特開平1−293192号
公報または特開昭63−302995号公報にあるよう
に、曝気処理した汚水を沈澱槽に順次流出させるように
して、再び曝気槽に返送することを行なわない形態のも
のにあっては、曝気装置に対する空気の送給を間欠的に
することで行なえる。
【0009】また、曝気槽で曝気処理して沈澱槽に流入
させた汚泥を、エアーリフトにより、再び曝気槽に返送
する形態のものにあっては、曝気装置とエアーリフトと
に空気を送給する送風機が各別に装備されていること
で、曝気装置に対する空気の送給を間欠的にすることで
簡単に行なえる。
【0010】しかし、このエアーリフトを用いて沈澱槽
に沈降してくる汚泥を曝気槽に返送する形態の浄化装置
において、間欠曝気が行なわれるようにする手段にあっ
ては、曝気装置に対する空気の送給を停止したときに、
曝気装置用の送風機が遊ぶことになって、この曝気装置
用の送風機の利用効率を悪くする問題がでてくる。
【0011】本発明は、この沈澱槽に沈降してくる汚泥
をエアーリフトにより曝気槽に返送する形態の汚水の浄
化装置において、それの曝気槽における曝気作動を間欠
作動させるようにした場合に生ずる上述の問題を解消せ
しめるためになされたものであって、曝気装置用の送風
機の利用効率を高めながら、エアーリフトにより沈澱槽
から曝気槽に返送する汚泥の量を、適切な所定の量に保
持せしめ得るようにする新たな手段を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明は、上
述の目的を達成するために種々の研究を重ねて得られた
知見に基いて完成したものである。
【0013】即ち、曝気槽に並設する沈澱槽にエアーリ
フトを装備せしめて、沈澱槽に沈澱してくる汚泥をその
エアーリフトにより曝気槽に返送する形態の汚水浄化装
置において、曝気槽における曝気作動が間欠的に行なわ
れるようにしたときに生ずる曝気用の送風機の利用効率
を悪くする問題の対策としては、図1にあるように、曝
気槽2に装備せしめる曝気装置3の送気管31を、制御
弁Vを介して送風機30に接続し、沈澱槽4に装備せし
めるエアーリフト6に空気を送給する送気管60を、前
述の制御弁Vよりも上流側において曝気装置3の送気管
31に合流させて前述の曝気装置3用の送風機30に接
続させて、その送風機30を曝気装置3用とエアーリフ
ト6用とに共用させれば良いことに想到したことから、
このように構成して、制御バルブVの開閉により曝気装
置3を間欠作動させるようにしたところ、曝気槽2内の
汚泥の曝気作用に不調をきたすとともに非曝気時におけ
る脱窒作動が不調になり、かつ、沈澱槽4が汚泥を沈殿
させる沈澱槽として機能しないようになってくる、とい
う別の問題が生じてきた。
【0014】このため、この点についてさらに検討を加
えたところ、この問題は、制御バルブVを閉じて、曝気
装置3の作動を停止させたときに、送風機30から吐出
する圧風の全てがエアーリフト6に吹き込まれること
で、エアーリフト6に対する送気量が過剰になって、沈
澱槽4から曝気槽2への汚泥の返送量が多くなりすぎる
ことによるものであることが判った。
【0015】そこで、前記図1に示す手段の送風機30
の駆動モーターを、インバーターモーターとし、それの
回転数を、制御弁Vの開閉作動に連動させて、送風機3
0を、曝気装置3とエアーリフト6との両者の同時作動
に適応する能力とする回転数と、エアーリフト6だけの
作動に適応する能力とする回転数とに、切換わるように
制御せしめたところ、曝気槽2内における汚泥の曝気作
用が安定し、かつ、非曝気時における曝気槽2内での汚
泥の脱窒作用および沈澱槽4内における汚泥の沈澱が所
定の如く行なわれるようになる結果が得られた。
【0016】そして、このことから、本発明において
は、前述の目的を達成するための手段として、曝気槽2
に装備せしめる曝気装置3の送気管31を、制御弁Vを
介して送風機30に接続し、沈澱槽4に装備せしめるエ
アーリフト6に空気を送給する送気管60の上流側を、
前記曝気装置3の送気管31に前記制御弁Vよりも上流
側において合流させて、前述送風機30に接続し、その
送風機30の駆動モーターを回転速度の変更可能なモー
ターとし、それの回転速度を、制御盤7に設けた制御回
路により制御弁Vを開閉する作動に連動せしめて、前記
送風機30を曝気装置3とエアーリフト6との両者の同
時作動に適応する能力とする回転数と、前記送風機30
をエアーリフト6だけの作動に適応する能力とする回転
数とに、切換わるよう制御せしめたことを特徴とする間
欠曝気式の汚水の浄化装置を提起するものである。
【0017】
【作用】このように構成せる本発明による間欠曝気式の
汚水の浄化装置Aは、制御弁Vが開弁しているときは、
曝気槽2内の曝気装置3用の送風機30が、沈澱槽4内
に沈澱する汚泥を曝気槽2に返送するエアーリフト6用
の送風機と共用され、制御弁Vが閉弁しているときは、
曝気装置3用の送風機30がエアーリフト6専用の送風
機として利用されるので、曝気装置3用の送風機30の
利用効率が高められる。
【0018】そして、制御弁Vの閉弁により、曝気槽2
における曝気作動を停止させたときに、送風機30の駆
動モーターMの回転数が、送風機30をエアーリフト6
だけを作動させるのに適応する能力とする回転数に低下
してくるので、エアーリフト6により沈澱槽4から曝気
槽2に返送する汚泥の量を、所定量に保持するようにな
って、曝気槽2内における汚泥の曝気作動を安定させる
とともに、非曝気時の曝気槽2内における汚泥の脱窒作
動および沈澱槽4における汚泥の沈殿作動に不調をきた
すことがなくなる。
【0019】
【実施例】次に実施例を図面に従い詳述する。なお、図
面符号は図3に示した従前手段のものと同効の構成部材
については同一の符号を用いるものとする。
【0020】図1は、本発明による間欠曝気式の汚水の
浄化装置Aの基本構成を示す展開した縦断面図で、同図
において、1は汚水を導く流入管、2は流入管1で送ら
れてくる汚水を受入れる曝気槽、3はコンプレッサーま
たは圧風ブロワー等の圧風を吐出する送風機30とその
送風機30から吐出する圧風を導く送気管31とその送
気管31で導いたエアーを噴出させる散気管32等によ
り構成して曝気槽2に装備せしめる曝気装置、4は曝気
槽2内において前記曝気装置3により曝気処理した汚水
を受入れて汚泥と上澄水とに分離させるよう曝気槽2に
並置した沈澱槽、5は沈澱槽4から上澄水を流出させる
流出管、6は沈澱槽4内の底部に沈澱してくる汚泥を前
述の曝気槽2に返送するエアーリフト、60はエアーリ
フト6を作動させるようにそれに一端側を接続せる送気
管で 他端側は前述の曝気装置3の送気管31の上流側
の端部と合流して、その曝気装置3の送風機30の吐出
口に接続している。Vは曝気槽2内における曝気装置3
の曝気作動を間欠的に行なわすために設けた制御弁で、
曝気装置3の送気管31に対し、その送気管31とエア
ーリフト6用の送気管60との合流部よりも下流側に位
置する部位に接続してある。
【0021】そして、これにより、この汚水の浄化装置
Aは、制御弁Vの開閉制御によって、曝気装置3の送風
機30をエアーリフト6の送風機と共用させた形態とし
て間欠曝気が行なわれるようになる。
【0022】次に図2は、上述の図1に示す汚水の浄化
装置Aにおいて、制御弁Vを閉弁して非曝気としたとき
に、エアーリフト6の汚泥の揚送作動が、過剰になるの
を抑止して、汚泥の返送量を適切に保持するために、こ
の図1の汚水の浄化装置Aにエアーリフトの揚送作動の
制御手段を装備せしめて構成した本発明による汚水の浄
化装置Aを示す。
【0023】この図2に示す浄化装置Aは、基本的な構
成は図1に示す浄化装置Aと同じである。しかし、それ
の送風機30の駆動モーターMには、インバーターモー
ター等の回転速度の変更制御が行なわれるモーターが使
用され、かつ、そのモーターの回転速度の変更制御が、
接続する制御盤7の制御回路により、制御弁Vを開・閉
させる作動に連動させて、その制御弁Vを開弁作動させ
たときには、送風機30を曝気装置3とエアーリフト6
との両者を同時に作動させるのに適応する能力とする回
転数とし、また、制御弁Vを閉弁作動させたときには、
送風機30をエアーリフト6だけを作動させるのに適応
する能力とする回転数となるように制御せしめてある。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による間欠
曝気式の汚水の浄化装置Aは,曝気槽2に装備せしめる
曝気装置3の送気管31を、制御弁Vを介して送風機3
0に接続し、沈澱槽4に装備せしめるエアーリフト6に
空気を送給する送気管60の上流側を、前記曝気装置3
の送気管31に前記制御弁Vよりも上流側において合流
させて、前述送風機30に接続し、その送風機30の駆
動モーターを回転速度の変更可能なモーターとし、それ
の回転速度を、制御盤7に設けた制御回路により制御弁
Vを開閉する作動に連動せしめて、前記送風機30を曝
気装置3とエアーリフト6との両者の同時作動に適応す
る能力とする回転数と、前記送風機30をエアーリフト
6だけの作動に適応する能力とする回転数とに、切換わ
るよう制御せしめているのだから、制御弁Vが開弁して
いるときは、曝気槽2内の曝気装置3用の送風機30
が、沈澱槽4内に沈澱する汚泥を曝気槽2に返送するエ
アーリフト6用の送風機と共用され、制御弁Vが閉弁し
ているときは、曝気装置3用の送風機30がエアーリフ
ト6専用の送風機として利用されるので、曝気装置3用
の送風機30の利用効率が高められる。
【0025】そして、制御弁Vの閉弁により、曝気槽2
における曝気作動を停止させたときに、送風機30の駆
動モーターMの回転数が、送風機30をエアーリフト6
だけを作動させるのに適応する能力とする回転数に低下
してくるので、エアーリフト6により沈澱槽4から曝気
槽2に返送する汚泥の量を、所定量に保持するようにな
って、曝気槽2内における汚泥の曝気作動が安定し、ま
た、非曝気時の曝気槽2内における汚泥の脱窒作動およ
び沈澱槽4における汚泥の沈澱作用に不調をきたすこと
がなくなる。
【0026】従って、曝気用の送風機30の利用効率を
高めながらエアーリフトによる曝気槽2への汚泥の返送
が適切に行なわれるようになる間欠曝気式の汚水の浄化
装置が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による汚水の浄化装置の基本構成の説明
図である。
【図2】本発明による間欠曝気式の汚水の浄化装置の展
開した縦断側面図である。
【図3】従前の汚水の浄化装置の説明図である。
【符号の説明】
A…浄化装置、V…制御弁、M…駆動モーター、1…流
入管、2…曝気槽、3…曝気装置、30・30’…送風
機、31…送気管、32…散気管、4…沈澱槽、5…流
出管、6…エアーリフト、60…送気管、7…制御盤、
70・71…配線。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 曝気槽2に装備せしめる曝気装置3の
    気管31を、制御弁Vを介して送風機30に接続し、沈
    澱槽4に装備せしめるエアーリフト6に空気を送給する
    送気管60の上流側を、前記曝気装置3の送気管31に
    前記制御弁Vよりも上流側において合流させて、前述送
    風機30に接続し、その送風機30の駆動モーターを回
    転速度の変更可能なモーターとし、それの回転速度を、
    制御盤7に設けた制御回路により制御弁Vを開閉する作
    動に連動せしめて、前記送風機30を曝気装置3とエア
    ーリフト6との両者の同時作動に適応する能力とする回
    転数と、前記送風機30をエアーリフト6だけの作動に
    適応する能力とする回転数とに、切換わるよう制御せし
    めたことを特徴とする間欠曝気式の汚水の浄化装置。
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