JP2636147B2 - イオンセンサ - Google Patents

イオンセンサ

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JP2636147B2
JP2636147B2 JP5259478A JP25947893A JP2636147B2 JP 2636147 B2 JP2636147 B2 JP 2636147B2 JP 5259478 A JP5259478 A JP 5259478A JP 25947893 A JP25947893 A JP 25947893A JP 2636147 B2 JP2636147 B2 JP 2636147B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン濃度を測定する
イオンセンサに関し、更に詳細には、イオンビームスパ
ッタリング法によりMOS電界効果トランジスタの表面
に炭化ホウ素又は窒化ホウ素を被覆してイオン感応膜を
構成するイオン感応電界効果トランジスタを利用したイ
オンセンサおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、溶液中のイオン濃度を測定す
る装置として、測定用感応電極にガラス膜を被覆したガ
ラス電極イオンセンサ、及び、イオン感応電解効果トラ
ンジスタのゲート上にイオン感応膜を被覆させたISF
ETイオンセンサが知られている。
【0003】ガラス電極イオンセンサは、古くからイオ
ン濃度の測定に広く用いられているイオンセンサであ
り、その特徴は、イオン濃度の測定領域が広く、また、
精確な測定値が得られるところにある。このガラス電極
イオンセンサは、ガラス膜の組成を変化させることで透
過するイオンを制限して、所望のイオンのみを微量通す
ことにより、感応電極と比較電極の間に発生するガラス
感応膜内外のイオン活量の差に起因する電圧を測定し、
かかる電圧を演算処理することにより溶液中のイオン濃
度を測定するものである。
【0004】ここで、感応電極は、外管下端に形成され
た例えば塩化カリウム等の緩衝液が封入された内管と、
緩衝液に接触する内極及び内管の下端に付着されたガラ
ス膜から構成されており、また、比較電極は内部液の封
入された外管内に内極が配置されることにより形成され
ている。今日、ガラス電極イオンセンサに関する発明は
その取扱の改善を目的とするものが多く、例えば、特公
平4−17378号、特公平4−17379号に校正作
業、保守点検を容易にするための発明が開示されてい
る。
【0005】一方、ISFETイオンセンサは、近年実
用化が進められてきた新しい形のイオンセンサである。
このISFETイオンセンサは、ガラス電極イオンセン
サと比較して構造が単純であり小型軽量、取扱いも楽で
あり、また、測定毎にpH標準液を用いたメータ表示の
校正を行う必要がないという特徴を有する。このような
特徴から、数種類のイオン濃度を測定するマルチイオン
センサとして、また、生体用のバイオセンサとして用い
られている。
【0006】このISFETイオンセンサは、イオン感
応電解効果トランジスタに形成されるゲート表面に、例
えば、酸化タンタル(Ta25)等を被覆してガラス膜
に代わるイオン感応膜を備えており、かかるイオン感応
膜は、被覆させる材料の選択、または、組成の変更によ
り所望のイオンを選択的に透過させる。また、同じくイ
オン感応電解効果トランジスタに形成されるソース電極
及びドレイン電極とを備えており、ドレイン電圧が一定
値を超えるとピンチオフによりドレイン電流は、その後
のドレイン電圧の変化にかかわらず一定値を保持する。
【0007】また、ドレイン電流は、ゲート電圧の変化
に応じて電流値が変化することを利用して、ドレイン電
流を一定値に保持した状態で、ゲート表面に形成された
イオン感応膜に陽イオン、または、陰イオンが吸着され
るとその吸着量に応じて基準電極(ゲート電極)の電圧
が変化し、その電圧変化を基にして演算処理を行い溶液
中の選択イオン濃度を測定するものである。
【0008】このようなISFETイオンセンサに関す
る発明は、そのイオン感応膜の改良に関するものが多
く、例えば、特公平5−11785号、特開平2−23
1559、特開平3−273156号に各々異なるイオ
ン感応膜を有するISFETイオンセンサが開示されて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のイオンセンサには以下の問題が存在した。先に述べ
たガラス電極イオンセンサは、感応電極に用いられるガ
ラス材が耐フッ酸性を全く備えていないため、フッ化物
共存下においては水素イオン濃度を測定できないという
問題があった。これは、フッ化物共存下において水素イ
オン濃度を測定するということはフッ酸が測定溶液中に
存在するということにほかならず、フッ酸によりガラス
材は溶解してしまい、特に0.02mm程度の厚さしか
ないガラス膜は容易に溶解してしまうからである。
【0010】従って、ガラス膜内外の電圧差により水素
イオン濃度を測定することができなくなり水素イオン濃
度の測定は不可能であるという問題が生じた。このこと
は硫酸、硝酸等の多くの化学品が、保存容器として安定
した特性を示すガラス容器に保存されているのにも拘ら
ず、フッ酸はプラスチック容器に保存されることからも
理解される。
【0011】かかる問題点を解決しようとガラス材に特
殊酸化物を混入したガラス膜を用いたガラス電極イオン
センサが提案されているものの、高価である上に、pH
2程度までの弱フッ酸しか測定できず、また、耐フッ酸
性を1週間程度維持できるにとどまっていることから実
用性に欠けるという問題があった。
【0012】また、このようなガラス電極イオンセンサ
を用いて、水素イオン濃度pHを3桁まで測定するため
には60秒程度の測定時間が必要であり、水素イオン濃
度pHを効率的に測定することができないという問題が
あった。
【0013】更に、ISFETイオンセンサにおけるイ
オン感応膜は、イオンの選択性に重点をおいて用いられ
ることから一般に耐酸性を備えていないものが多く、酸
性溶液のイオン濃度測定に向かないという問題があっ
た。かかる問題点を解決しようと表面に酸化タンタル等
を被覆してイオン感応膜を形成してなるISFETイオ
ンセンサが提案されているが、この酸化タンタルは、フ
ッ酸以外の酸には不溶であるものの耐フッ酸特性を備え
ておらず、ガラス電極水素イオンセンサと同様にフッ化
物共存下においては溶解してしまい、水素イオン濃度の
測定に使用できないという問題があった。
【0014】また、ISFETイオンセンサの製造方法
における、イオン感応膜の形成方法には、漆や高分子膜
を塗布する方法、高周波スパッタリング法等があるもの
の均一な膜厚を得られない、ISFETの静特性が著し
く悪化する等によりイオンセンサとして用いることがで
きないという問題があった。
【0015】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、イオン感応膜にフッ酸にほとん
ど不溶であるホウ素又はホウ化物を用いることにより、
フッ化物を含む測定溶液であってもイオン濃度の測定が
可能なイオンセンサを提供することを目的とし、また、
フッ化物を含む測定溶液に使用しても長期に渡りイオン
濃度を正確に測定可能なイオンセンサを提供することを
目的とし、更に、イオン濃度測定の応答時間を飛躍的に
短縮することを可能とするイオンセンサを提供すること
を目的とし、また、イオンビームスパッタリング法によ
りイオン感応膜を形成して、膜厚が均一で静特性に優れ
るイオンセンサを製造することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のイオンセンサは、MOS電界効果トランジス
タと、そのMOS電界効果トランジスタの表面に形成さ
れたイオン感応膜とを備えるイオンセンサにおいて、前
記イオン感応膜は炭化ホウ素又は窒化ホウ素を付着させ
ることにより形成される構成を備える。
【0017】また、前記イオン感応膜は、不活性ガス等
をイオン化して、イオン化された前記不活性ガス等に高
電圧を付加して加速し、1Paよりも高い真空度を保持
する真空中において、炭化ホウ素又は窒化ホウ素を含む
原材料表面に衝突させ、その衝突により前記原材料より
はじき出された前記原材料を構成する分子及び原子を、
電界効果トランジスタの表面に、前記真空中において付
着させるようにして形成されるものでもよい。
【0018】更に、MOS電界効果トランジスタの表面
イオン感応膜を形成させてイオンセンサを製造するイ
オンセンサの製造方法において、前記イオン感応膜を、
不活性ガス等をイオン化して、イオン化された前記不活
性ガス等に高電圧を付加して加速し、1Paよりも高い
真空度を保持する真空中において、炭化ホウ素又は窒化
ホウ素を含む原材料表面に衝突させ、その衝突により前
記原材料よりはじき出された前記原材料を構成する分子
及び原子を、電界効果トランジスタの表面に、前記真空
中において付着させるようにして形成してイオンセンサ
を製造する。
【0019】
【作用】上記の構成を有する本発明のイオンセンサは、
MOS電界効果トランジスタ表面に付着されたイオン感
応膜を測定溶液表面に接触させると、測定溶液中のイオ
ンがイオン感応膜に吸着される。このとき吸着されたイ
オンの正、負、及び量に応じてゲート直下のソース電極
とドレイン電極間に電子、または、ホールが発生してチ
ャンネルを形成して、MOS電界効果トランジスタに形
成されたソース電極とドレイン電極間を流れる電流値を
変化させる。従って、ドレイン電流を一定電流にすれ
ば、ゲート電圧が変化するので、その電圧値変化を制御
装置に伝達してゲート電圧とイオン濃度の応答特性デー
タに基づいて演算処理することにより溶液中のイオン濃
度が測定できる。
【0020】また、本発明のイオンセンサが備えるイオ
ン感応膜は、不活性ガス等をイオン化して、イオン化さ
れた前記不活性ガス等に高電圧を付加して加速し、1P
aよりも高い真空度を保持する真空中において、炭化ホ
ウ素又は窒化ホウ素を含む原材料表面に衝突させ、その
衝突により前記原材料よりはじき出された前記原材料を
構成する分子及び原子を、MOS型電界効果トランジス
タの表面に、真空中において付着させることにより形成
されるものであっても良い。
【0021】
【実施例】以下、本発明を水素イオンセンサに具体化し
た実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明に
係るISFET水素イオンセンサを用いた水素イオン濃
度測定の概略構成を示す説明図である。測定溶液1は、
測定用容器2内に保持されており、ISFET水素イオ
ンセンサSの測定部であるISFET9が、測定溶液1
の液面に接するように配置されており、また、ガラス電
極管等による参照電極3が測定用容器2の適所において
測定溶液1に接するように配置されている。
【0022】そして、ISFET9に形成されたドレイ
ン電極4と、ソース電極5からはリード線6が制御装置
7へと延びており、ドレイン電極4とソース電極5の間
には、ドレイン電流値が一定値を取るように4Vの初期
電圧が印加されている。更に、同一条件での測定結果を
得るため測定溶液1は、マグネティックスターラ8等に
より撹拌されると共に液温も摂氏25度±0.2度の範
囲に保持されている。
【0023】次に、図2を参照しつつISFET水素イ
オンセンサの構成を説明する。ここで、図2はISFE
T水素イオンセンサの構成を示す断面図である。p型基
板20の上にn+ イオン打ち込み層21が形成され、そ
の上部にp型エピタキシャル層22が形成されている。
p型エピタキシャル層22の上部には、酸化シリコン2
3に内包されつつドレイン領域24、ソース領域25が
形成され、その間には、ゲート領域28が形成されてお
り、酸化シリコン23の上部にはシリコン窒化膜26が
形成され絶縁性を高めイオンセンサとしての使用を可能
ならしめている。
【0024】そして、イオン感応膜27がシリコン窒化
膜26の上に形成されており、本実施例に係る水素イオ
ンセンサは、イオン感応膜27としてホウ素又はホウ化
物を後述する方法により備えている。この他のMOS電
界効果トランジスタの基本的構成については、公知の通
りであるので割愛する。
【0025】このような測定装置において、フッ酸溶液
を用いてISFET水素イオンセンサにおけるドレイン
電圧、ドレイン電流、ゲート電圧等の関係を調べた。図
3にドレイン電圧VDSとドレイン電流ID の特性図を示
す。測定は、ゲート電圧VGSを1.0V及び2.0Vの
一定電圧に維持しつつドレイン電圧VDSを変化させて行
い、横軸はドレイン電圧値を、縦軸はドレイン電流値を
表している。
【0026】このグラフにおいて、オリジナルとあるの
は、ゲート上にイオン感応膜を被覆しないISFETを
用いた水素イオンセンサであり、BNとあるのは、イオ
ン感応膜にBN(窒化ホウ素)を用いたISFET水素
イオンセンサであり、B4Cとあるのは、イオン感応膜
にB4C (炭化ホウ素)を用いたISFET水素イオン
センサである。
【0027】ここで、本実施例においてイオン感応膜と
して用いるBNとB4C の特性について説明する。BN
の中でも立方晶BNは、ダイヤモンドに次ぐ硬度を備え
ており、また、酸、アルカリに侵され難く化学的安定性
にも優れている。一方、 B4Cは、ダイヤモンド、BN
に次ぐ硬度を備えており、共有結合性が強く結晶が緻密
であるため酸、アルカリに侵され難く化学的にも安定し
ている。但し、濃硝酸、濃硫酸及び40%HFの混酸等
の強酸化性の酸には徐々に侵される。
【0028】このグラフから、BN、B4C をイオン感
応膜に用いたISFET水素イオンセンサは、オリジナ
ルのものと同様に明確なピンチオフを示しており、感応
膜形成後も良好なトランジスタ特性を保持していること
が分かる。BNをイオン感応膜に用いたISFET水素
イオンセンサは、オリジナルのISFET水素イオンセ
ンサよりも低い電圧でピンチオフを起こすことが分か
り、一方、B4C をイオン感応膜に用いたISFET水
素イオンセンサは、オリジナルのISFET水素イオン
センサよりも高い電圧でピンチオフを起こすことが分か
る。一般的に、ドレイン電圧VDSとして4.0Vを印加
すれば、充分一定電流のドレイン電流IDが得られるこ
とが分かる。
【0029】続いて、図4にゲート電圧VGSとドレイン
電流ID の特性図を示す。測定は、ドレイン電圧VDS
2.0Vの一定電圧に維持しつつゲート電圧VGSを変化
させて行い、横軸はゲート電圧値を、縦軸は対数ドレイ
ン電流値を表している。このグラフより、フラットバン
ド電位は、形成膜の種類や形成条件により若干異なるも
のの、いずれの場合もノーマルオンの特性を維持してい
ること、および負のVGSでチャンネルのピンチオフが発
生していることが分かる。すなわち、イオンビームスパ
ッタリングによりBN、B4C ゲート膜を形成すること
としたので、FETのチャンネル損傷は軽微であり、ト
ランジスタ特性に悪影響を与えていないことが分かる。
【0030】次に、ゲート電圧VGSと水素イオン濃度p
Hの応答特性を図5及び図6を参照にしつつ説明する。
この測定は、共にドレイン電圧VDSを4.0Vに固定し
て行い、これらのグラフにおいて横軸は水素イオン濃度
pHを、縦軸はゲート電圧VGSを各々表している。ここ
で、図5は炭化ホウ素をイオン感応膜として備えるIS
FET水素イオンセンサに関するゲート電圧VGSと水素
イオン濃度pHとの応答特性を示すグラフであり、白抜
き丸は、フッ化水素を含まない水溶液におけるドレイン
電流ID が10(μA)のときの測定値を、半塗丸は、
フッ酸存在下においてドレイン電流IDが15(μA)
のときの測定値を示している。
【0031】一方、図6は窒化ホウ素をイオン感応膜と
して備えるISFET水素イオンセンサに関するゲート
電圧VGSと水素イオン濃度pHとの関係を表すグラフで
あり、白抜き丸は、フッ化水素を含まない水溶液におけ
るドレイン電流ID が270(μA)のときの測定値
を、半塗丸は、フッ酸存在下においてドレイン電流ID
が430(μA)のときの測定値を示している。
【0032】これらのグラフから、ホウ化物をイオン感
応膜として用いた場合、フッ化水素を含むpH0〜pH
14までの水素イオン濃度を測定できる水素イオンセン
サとして使用可能であることが分かる。なお、上記ドレ
イン電極とソース電極の間を流れる電流値が、ゲート電
圧と連続的に比例関係にあることは、図4に示すグラフ
から分かっている。
【0033】次に、図7を参照しつつ炭化ホウ素(B4
C)の耐フッ酸性について説明する。ここで、図7は炭
化ホウ素材の化学的耐久性を示すグラフであり、横軸は
時間(日)を、縦軸は厚みの減少率を各々表している。
測定は、厚さ0.4μの炭化ホウ素膜を0.5molフ
ッ酸溶液(pH2.0)の中に放置すると共に比較のた
め純水中に同じく炭化ホウ素膜を放置して行った。
【0034】グラフから分かるように、測定開始から3
0日経過後においては、純粋中の炭化ホウ素膜において
は約1%の厚み減少が認められ、フッ酸溶液中の炭化ホ
ウ素膜においては約3%の厚み減少が認められた。従
来、ガラス電極イオンセンサにおいては、ガラス感応膜
はすぐに溶解してしまい、種々の材料を用いても1週間
程度の使用耐久性を確保するにとどまっている。従っ
て、炭化ホウ素膜をイオン感応膜として備えるISFE
T水素イオンセンサであれば、フッ酸溶液の水素イオン
濃度を測定することができると共に長期に渡り安定した
測定値を得ることができる。
【0035】図8は、MOS電界効果トランジスタのゲ
ート表面にホウ化物を蒸着させてイオン感応膜を形成す
るためのイオンビームスパッタリング装置の構成を示し
ている。箱型で完全に密封された真空チャンバ30の上
部には、イオンビーム発生装置であるイオンガン31が
付設されており、真空チャンバ30の中央付近にターゲ
ット32がイオンガン31のビームに対して45度の角
度を維持するように固定されている。
【0036】イオンガン31のビームがターゲット32
に当り正反射する方向の真空チャンバ30の側面に蒸着
対象固定具33が付設されている。蒸着対象固定具33
には蒸着対象である電解効果トランジスタ34が蒸着面
をターゲットに向けて固定されている。真空チャンバ3
0の下部には、図示しない排気ポンプに接続するパイプ
35が接続され、真空チャンバ30内の気体原子を排出
して所定の真空度を確保している。真空チャンバ30に
は真空圧を測定するための真空圧ゲージ36が取り付け
られている。
【0037】次に、その動作について説明する。イオン
ガン31の上部からスパッタリングガスとしてAr、X
e、Kr等の不活性ガスが供給される。これらの不活性
ガスに酸素、水素等の活性ガスを小量添加してもよい。
本実施例では、ターゲット32のスパッタ速度が速いこ
とからArガスを使用している。イオン化されたArガ
スは、図示しない引出し加速電極により高電圧がかけら
れて加速され、図示しない静電集束レンズ等で集束され
てイオンガン31の出口から放出され、ターゲット32
の表面に衝突する。
【0038】以上詳細に説明した通り本発明に係るイオ
ンセンサは、イオン感応膜に炭化ホウ素又は窒化ホウ素
を用いたので、フッ化物共存下においてもイオン感応膜
が測定溶液中に溶出することを防止して、フッ酸溶液の
水素イオン濃度を測定することが可能となった。また、
炭化ホウ素又は窒化ホウ素により形成されるイオン感応
膜は、繰り返しフッ化物を含む溶液のイオン濃度を測定
してもほとんど減少しないので、長期にわたり使用可能
で安定した測定結果を得ることができるイオンセンサを
提供できる。
【0039】更に、イオンセンサの製造方法において、
イオン感応膜をイオンビームスパッタリングにより形成
することとしたので、均一で薄い膜厚を有するイオン感
応膜を形成可能として測定能力を向上させると共に静電
特性に優れるイオンセンサを製造することが可能となっ
た。
【0040】また、炭化ホウ素又は窒化ホウ素により形
成されたイオン感応膜を備えるイオンセンサは、応答特
性に優れており、例えば従来のガラス電極イオンセンサ
を用いたときには、60秒程度の測定時間を要した3桁
の水素イオン濃度pHの測定も、10秒程度の測定時間
で完了することができる。従って、イオン濃度の測定を
効率的に行うことができ、他の関連する作業の効率化を
図ることができる。
【0041】以上実施例に基づいて本発明に係るイオン
センサを説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定さ
れるものでなく、その趣旨の範囲において改良変更が可
能であることは容易に推察できるものである。
【0042】また、本実施例は、水素イオンセンサとし
て具体化した場合について説明したが、他のイオン濃度
を選択的に測定するイオンセンサであってもよい。更
に、本実施例においてはイオン感応膜の形成方法として
イオンビームスパッタリングを用いているが、均一なイ
オン感応膜が得られればよく、例えば、CVD(化学蒸
着)等によって、形成されてもよい。
【0043】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の水素イオンセンサは、イオン感応膜にフッ酸にほ
とんど不溶である炭化ホウ素又は窒化ホウ素を用いるこ
とにより、フッ化物を含む測定溶液であってもイオン濃
度の測定が可能なイオンセンサを提供することが可能と
なり、また、フッ化物を含む測定溶液に使用しても長期
に渡りイオン濃度を正確に測定可能なイオンセンサを提
供することが可能となり、更に、イオン濃度測定の応答
時間を飛躍的に短縮することを可能とするイオンセンサ
を提供することができる。また、イオンビームスパッタ
リング法を用いてイオン感応膜を形成することにより膜
厚が均一で静特性に優れるイオンセンサを製造すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るISFET水素イオンセンサを用
いた水素イオン濃度測定の概略構成を示す説明図であ
る。
【図2】ISFET水素イオンセンサの構成を示す断面
図である。
【図3】ドレイン電圧VDSとドレイン電流IDの特性を
示す図である。
【図4】ゲート電圧VGSとドレイン電流IDの特性を示
す図である。
【図5】炭化ホウ素をイオン感応膜に用いたときのVGS
とpHとの関係を表すグラフ図である。
【図6】窒化ホウ素をイオン感応膜に用いたときのVGS
とpHとの関係を表すグラフ図である。
【図7】炭化ホウ素材の化学的耐久性を示すグラフ図で
ある。
【図8】MOS電界効果トランジスタのゲート表面にホ
ウ化物を蒸着させてイオン感応膜を形成するためのイオ
ンビームスパッタリング装置の構成を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 測定溶液 2 測定用容器 3 参照電極 4 ドレイン電極 5 ソース電極 7 制御装置 9 ISFET S ISFET水素イオンセンサ 20 p型基板 24 ドレイン領域 25 ソース領域 27 イオン感応膜 28 ゲート領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−133935(JP,A) 特開 平3−273156(JP,A) 特開 昭62−298753(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MOS電界効果トランジスタと、 そのMOS電界効果トランジスタの表面に形成されたイ
    オン感応膜とを備えるイオンセンサにおいて、 前記イオン感応膜は炭化ホウ素又は窒化ホウ素を付着さ
    せることにより形成されることを特徴とするイオンセン
    サ。
  2. 【請求項2】 前記イオン感応膜は、不活性ガス等をイ
    オン化して、イオン化された前記不活性ガス等に高電圧
    を付加して加速し、1Paよりも高い真空度を保持する
    真空中において、炭化ホウ素又は窒化ホウ素を含む原材
    料表面に衝突させ、その衝突により前記原材料よりはじ
    き出された前記原材料を構成する分子及び原子を、電界
    効果トランジスタの表面に、前記真空中において付着さ
    せるようにして形成されることを特徴とする請求項1に
    記載のイオンセンサ。
  3. 【請求項3】 MOS電界効果トランジスタの表面に
    オン感応膜を形成させてイオンセンサを製造するイオン
    センサの製造方法において、 前記イオン感応膜を、不活性ガス等をイオン化して、イ
    オン化された前記不活性ガス等に高電圧を付加して加速
    し、1Paよりも高い真空度を保持する真空中におい
    て、炭化ホウ素又は窒化ホウ素を含む原材料表面に衝突
    させ、その衝突により前記原材料よりはじき出された前
    記原材料を構成する分子及び原子を、電界効果トランジ
    スタの表面に、前記真空中において付着させるようにし
    て形成することを特徴とするイオンセンサの製造方法。
JP5259478A 1993-09-22 1993-09-22 イオンセンサ Expired - Lifetime JP2636147B2 (ja)

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