JP2635391B2 - 銀面用湿式積層不織布及びその製造方法 - Google Patents

銀面用湿式積層不織布及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は銀面用湿式積層不織布及びその製造方法に関
する。より詳しくは、柔軟にして高い剥離強度、引裂強
度等を示し且つ銀面形成性に優れた銀面用湿式積層不織
布及びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
近年、不織布はその優れた性能と高生産性の特徴を生
かして、従来の編織物等の代替用途あるいは編織物等で
は対応できない機能的用途等に用いられ。著しい発展を
示している。不織布には種々の種類が知られているが、
代表的なものとしては、スパンボンド法、フラッシュ紡
糸法等の繊維形成性高分子重合体を直接紡糸すると同時
に空気、ガス等でフィラメントを牽引し集積して得られ
る長繊維乾式不織布、メルトブローイング法によって得
られる比較的長い繊維長の短繊維乾式不織布、短繊維を
カーディングした後クロスレイヤー、エアーレイヤー等
でシート化し目的に応じてニードルパンチや接着剤、熱
融着繊維等で接合して得られる短繊維乾式不織布、およ
び抄造法によって得られる湿式不織布等が知られてい
る。更に、これらの不織布を加工し銀面用基体に適用し
ようとする試みも多数提案されている。例えば、特開昭
58−13785号公報では、メルトブローウェブの三次元交
絡不織布に高分子弾性体を含浸固化したものを銀面用基
体とする事が提案されている。又、特開昭56−43479号
公報、56−43480号公報では極細繊維束がニードルパン
チにより絡合された短繊維乾式不織布にポリウレタンエ
ラストマーを主体とする多孔質重合体を含浸した基体に
銀面加工する事が提案されている。しかしながら、この
種の不織布自体では引張強度、引裂強度、剥離強度面で
銀面用の基体としては充分で無く、これを補う為にどう
してもポリウレタンエラストマー等の高分子弾性体を大
量に含浸する必要があり、この場合どうしても風合が硬
くなったり、ゴム状反撥感が強調されるという欠点があ
った。
一方、湿式不織布は極めて短かい繊維を水中に分散さ
せてシート形成する為に乾式不織布に比べ比較にならな
い程均一性が良いという特徴を有する。しかしながら、
水中に繊維を均一に分散させる為には繊維長は一般に3
〜7mm程度の極めて短かい長さが要求される為、この方
法で得られた不織布は極めて強度が小さく、用途も余り
強度の要求されない分野に限定されている。しかし特公
昭52−107368号公報には、抄造法で得られたシートの間
に編織物等の補強材を挿入し、高圧水流等により一体交
絡させた不織布が開示されている。この場合引張強度、
引裂強度等の機械強度は編織物の依存する為、編織物を
適宜選択する事によって銀面用基体に要求される強度を
付与する事が可能であるが、しかし、挿入される編織物
と抄造短繊維との絡合には限度が有り充分な剥離強度を
得る事が出来ず、この場合も他の不織布同様高分子弾性
体を含浸する事で剥離強度を確保せざるを得ない。その
ために風合硬化は避けられないという欠点を有してい
た。この様に従来、編織物に替わる銀面用基体としては
不織布に高分子弾性体を含浸し補強したものが使用され
るのが普通であり、不織布自体で均一性に優れ、各種機
械強度が大きく、かつソフトな風合と良好な銀面形成性
を兼ね備えたものは未だ無いのが現状であった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、湿式不織布において、その優れた均一性と
いった特徴を生しながら、その欠点である強度が弱い点
を克服し、且つ高分子弾性体等を含浸せずに又は極少量
を付着するのみで充分な剥離強度等の物性を充足し且つ
極めて柔軟な風合と良好な銀面形成性を有する新規な銀
面用湿式積層不織布とその製造方法を提供することを目
的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記課題について鋭意検討し本発明に
到達した。すなわち本発明の前述の目的は、平均単繊維
繊度0.5デニール以下の極細短繊維が三次元交絡した不
織布層(A)と下記(1)式、(2)式を共に満たす短
繊維が三次元交絡した不織布層(B)からなる積層不織
布であって、前記不織布層(A)と(B)はその各々の
層を構成する短繊維の1部同士の相互の交絡により一体
に結合されており、少く共不織布層(B)を構成する短
繊維の繊維交絡点間距離が300μm以下である銀面用湿
式積層不織布によって達成される。
短繊維の単糸の直径:D 短繊維の繊維長 :L (1)式……7μm≦D≦25μm (2)式……0.8×103≦L/D≦2.0×103 前記本発明による銀面用湿式積層不織布を得るための
不織布の製造方法は平均単繊維繊度0.5デニール以下の
極細短繊維から抄造法により得たシートの片面に、下記
(1)式、(2)式を共に満たす短繊維から得た抄造シ
ート又は該短繊維と前記極細短繊維の混合された抄造シ
ートを積層し、次いで高速流体流を積層シートの両面か
ら交互に処理することにより、前記二種の短繊維同士及
び相互に三次元交絡させることを特徴とする。
なお短繊維といえば通常1本の繊維を示す。しかし不
織布に関連する技術分野では複数本の短繊維の集束体を
単に短繊維と総称する場合がある。そこで本明細書では
特にその差を明確にする必要がある場合には1本の繊維
の場合「短繊維の単糸」又は「単糸」と称する。
本発明の銀面用湿式積層不織布に於いて、不織布層
(A)を構成する繊維は、平均単繊維繊が0.5デニール
以下の極細繊維が必要である。0.5デニール越える繊維
の場合は表面が疎で荒く平滑にならない為、該表面に直
接高分子弾性体の非多孔膜をコーティングして銀面を形
成したり、或は該表面に湿式凝固等による発泡層を形成
し、その上に非多孔層を積層する方法で銀面を形成した
りした場合でも、均一で平滑な銀面表面は得られず、表
面の凹凸いわゆる「あらび」という欠点を発生し好まし
くない。即ち、均一で優美な銀面を形成する為にはその
表面が平滑で緻密な層から成る必要があるのであり、こ
れを達成する為に、不織布層(A)は0.5デニール以下
の繊維を用いる事を必要とし、ナイロン6、ナイロン66
などのポリアミド繊維及びポリエチレンテレフタレート
繊維が好適に用いられる。これ以外に、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨ
ン、アクリル繊維であっても、前記平均単繊維の条件を
みたす限り本発明の不織布層(A)用の繊維として用い
ることが出来る。次に本発明の銀面用湿式積層不織布に
於ける不織布層(B)は該不織布の引張強度、引裂強度
等の機械強度発現に寄与するものであるので、その不織
布層(B)を構成する繊維は単糸直径が7〜25μm、繊
維長Lと単糸直径Dとの比L/Dが0.8×103〜2.0×103
二つの要素を共に満たすことが必要である。単糸直径が
7μm未満であると、L/Dが前記の範囲であっても、単
糸強力が余りにも低い為に、特に引張強度、引裂強度等
の強力が低く高強度が得られない。銀面用基体に求めら
れる単糸直径が25μmを超えると、L/Dが本発明の範囲
であっても余りに繊維が太い為に不織布の表面の均一
性、緻密さが失なわれ、風合も硬くなり、本発明の目的
を達成することが出来ない。単糸直径の好ましい範囲は
強度、(均一性)柔軟性の点からみて7〜25μmであ
る。
次に、繊維のL/Dは前記の繊維直径の範囲内で0.8×10
3〜2.0×103である必要がある。繊維のL/Dは、繊維同士
の交絡のしやすさと重要な関係があることが本発明者ら
の検討により見い出され、L/Dが0.8×103未満である場
合、及び2.0×103を超える場合はいずれも目的とする不
織布強度が得られず、本発明の0.8×103〜2.0×103の範
囲で始めて実用的な高強度が得られる。この驚くべき事
実は次の様に推定される。即ち、繊維の柱状水流等によ
る動き易さはL/Dが小さい、即ち太く短かい程大きく、
繊維相互の絡みは大きくなる。一方、繊維間相互の接触
点の数は繊維が細く長い、即ちL/Dが大きい程多くな
る。しかしながらL/Dが大きすぎると交絡時に於ける繊
維の動きが抑制され繊維相互の絡みは逆に小さくなる。
したがって繊維同士の交絡密度が最大になる最適範囲の
L/Dが存在し、この範囲が0.8×103〜2.0×103であると
理解される。
本発明の銀面用積層湿式不織布は均一で「あらび」等
の欠点を生じない銀面層を形成する為に構成繊維が0.5
デニール以下の極細短繊維が三次元交絡した不織布層
(A)と高分子弾性体の接合剤を含浸する事なしに充分
に強い強度の発現に寄与する為に上記の特定された繊維
直径、L/Dを有する短繊維が三次元交絡された不織布層
(B)が積層されてなる湿式不織布であって、該不織布
層(A)と不織布層(B)はその各々の層を構成する短
繊維一部同士の三次元交絡により一体に結合されている
事が本発明の重要の構成要件である。更に、本発明の必
須の構成要件として、少く共不織布層(B)を構成する
短繊維の繊維交絡点間距離300μm以下の状態まで緻密
に三次元交絡していなければならない。
不織布層(A)及び不織布層(B)を構成する短繊維
の形状が本発明の構成要件を満たしていたとしても短繊
維の三次元交絡が不充分で少なく共不織布層(B)の繊
維交絡点間距離が300μmを超える様な比較的ルーズな
交絡状態は本発明の目的とする銀面用の基体として供す
るに充分な強度が得られず、本発明に含まれない。
本発明を構成する単糸の直径は、単糸の断面が円形で
あっても、非円形の種々の異形断面であっても良い。円
形の場合は直接的にその直径を測定した値でもって単糸
の直径とし、異形断面糸の場合の単糸の直径は、重量法
によりその繊度(デニール)を測定し、このデニールを
単糸が円形と仮定した場合の下記式で得られる平均直径
でもって表わすこととする。
(ここで R=単糸の直径(μm) S=単糸を構成する高分子重合体の密度(g/cm3) d=単糸の繊度(デニール) π=円周率) ここでいう繊維交絡点間距離とは、特開昭58−191280
で公知のつぎの方法で測定した値のことであり、繊維間
相互の交絡密度を示す1つの尺度として値が小さいほど
交絡が緻密であることを示すものである。第1図は、湿
式不織布における構成繊維を平面方向に表面から観察し
たときの構成繊維の拡大模式図である。構成繊維をf1,f
2,f3…とし、そのうちの任意の2本の繊維f1,f2が交絡
する点をa1とし、上になっている繊維f2が他の繊維の下
になる形で交差する点までたどっていき、その交差した
点をa2とする。同様にa3,a4…とする。つぎにこのよう
にして求めた交絡点の間の直線水平距離a1a2,a2a3,…を
測定し、これら多数の測定値の平均値を求めこれを繊維
交絡点間距離とする。
本発明の湿式積層不織布の不織布層(B)を構成する
原糸は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などの
ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリプロ
ピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン繊維、レーヨ
ン等の再生セルロース繊維等が、本発明の繊維直径及び
L/Dの範囲内で好ましく用いられる。また、原糸のヤン
グ率は50〜700kg/cm2、とりわけ50〜500kg/mm2の範囲で
あることが好ましい。700kg/mm2を超える様な高ヤング
率の原糸は曲げ剛性も大きく、本発明でいう交絡点間距
離300μm以下の交絡状態になる為には、大きい交絡力
(例えば非常に高い圧力の柱状水流)が必要である等の
問題が生ずることがある。
本発明の銀面用湿式積層不織布に於いて、不織布層
(A)を構成する極細短繊維と不織布層(B)を構成す
る特定形状の短繊維の目付比率は10/90〜70/30が好まし
い。極細短繊維が10%以下になると銀面層を形成する表
面層の均一性、平滑性が充分得られず、美麗な銀面層が
得られない。一方極細短繊維が70%を超えると、銀面用
基体としての充分な引裂、引張強度を得る事が出来な
い。本発明の湿式積層不織布はそのまま銀面用基体とし
て用い、不織布層(A)の表面にポリウレタン、塩化ビ
ニール、SBR、NBR、MBR等の弾性重合体の溶液、或いは
エマルジョンをグラビア、ドクターナイフ等で塗布する
ことにより強度の高い銀面様人工皮革を得ることができ
る。本発明の湿式積層不織布はそのままで非常に高い引
張、引裂、剥離強度を有する為、銀面層を形成する前に
接合剤としてポリウレタン等の弾性重合体を含浸し、乾
式、或は湿式凝固させ充填する必要が無いので極めてソ
フトな風合の銀面様人工皮革を得る事が出来るが、裏面
の摩耗強度や充実感の有るソフトな風合を得る為に少量
の弾性重合体を本発明の湿式積層不織布に充填した後に
銀面層を形成する事は何ら本発明を左右するものでは無
い。この場合、弾性重合体の含浸量は不織布重量の20%
以下が好ましい。
又、本発明の不織布層(B)に0.5デニール以下の極
細繊維を混合する事はより均一で緻密な不織布を得るに
好ましいが、多量に極細繊維を混合する事は強度低下を
起こし好しくない。不織布層(B)に於ける極細繊維の
混合比率は0/100〜50/50(極細短繊維/特定形状短繊
維)の範囲が好適である。
次に本発明の銀面用積層不織布の製造方法について説
明する。
まず、0.5デニール以下の極細繊維を短繊維にカット
する。カット長は水に対する均一分散性の面から単糸デ
ニールによって異なるが一般的に0.1〜0.5デニールであ
れば3〜5mm、0.1デニール以下であれば3mm以下の長さ
が選択される。得られた極細短繊維を0.1〜3%の濃度
になるように水に分散させスラリーを調整する。この際
少量の分散剤を加えることが好ましい。このスラリーを
長網式或は丸網式に抄造機にて抄造シートを形成する。
次に単糸直径7〜25μm、L/D0.8×103〜2×103の特定
の形状を持った短繊維を準備する。この繊維を用いて上
記極細短繊維と同様に抄造シートを形成する。
或は、先の極細短繊維と単糸直径7〜25μm、L/D0.8
×103〜2×103の特定形状を持った短繊維との、混抄シ
ートを形成する。この場合、極細短繊維と特定形状を持
った短繊維の割合は0:100〜50:50の範囲で50:50を越え
て極細短繊維を混抄すると不織布層(B)の短繊維の強
度が小さくなる為、積層不織布の強度発現が不充分とな
り引張強度、引裂強度が低下し銀面用基体として好まし
くない場合がある。以上の様にして得た極細短繊維の抄
造シートと特定形状を持った短繊維の抄造シート又は、
特定形状を持った短繊維と極細短繊維の混抄シートを積
層し高速流体流にて交絡させる。ここでいう流体とは、
流体或は気体であるが、取り扱いやすさ、コスト、流体
としての衝突エネルギーの大きさなどの点から水が最も
好ましい。水を用いる場合、水圧は用いる原糸の種類及
び積層抄造シートの目付量によって異なるが、少く共不
織布層(B)の短繊維からなる繊維層の繊維交絡点間距
離300μmを得る為には5〜200kg/cm2、好ましくは10〜
80kgの範囲で積層シートを両面から交互に衝突させる。
同一原料繊維組成の場合、低目付程水圧は低く、高目付
になる程高水圧に設定すればよい。また、同一目付の場
合ヤング率の高い原糸を特定形状を有する短繊維として
使用している場合にはより高圧の水流で処理することが
本発明の目的とする高強度が得られる。水流を噴射する
ノズルの径は0.01〜1mmが好ましい。水流の軌跡形状は
抄造シートの進行方向に対し平行な直線状であっても良
いし、ノズルを取り付けたヘッダーの回転運動やシート
の進行方向に直角に往復する振動運動によって得られる
曲線形状であっても良い。回転運動により得られる幾重
にも重なった円形状の水流軌跡の交絡は、ノズル1錘当
りのシートに対する水流の噴射面積が大きくなり効率的
であると同時に、用途によっては商品価値を低下させる
水流軌跡の斑が見えにくい、更には不織布の経緯の強度
比が小さい等の利点があり好ましい。抄造シートに対す
る高速水流の処理回数は目的に応じて最適条件を選択す
ればよい。これら積層抄造シートの柱状流処理の水圧条
件は、極細短繊維同士の三次元交絡、単糸直径7〜25μ
m、L/D0.8×103〜2×103の特定形状短繊維同士の交
絡、及び極細繊維と特定形状短繊維の繊維層間の交絡が
達成され、主に特定形状短繊維からなる不織布層(B)
の繊維交絡点間距離が300μm以下を得る様に及び、均
一性を得る様な条件下で選択される。
〔実施例〕
以下、実施例でもって本発明をさらに詳しく説明す
る。
実施例中、測定値は以下の方法によって測定したもの
であり、%は全て重量%である。
1)引張強度:JISL1096 ストリップ法 2)引裂強度:JISL1096 シングルタング法 3)剥離強度:JISL6328 ゴム引布のはく離試験法 4)柔軟度:JISL1096 45゜カンチレバー法 5)繊維交絡点間距離:走査型電子顕微鏡で100倍の倍
率で測定し、50個の平均値をとった。
実施例1 単糸繊度0.1デニール、繊維長5mmのポリエチレンテレ
フタレート繊維から得た100g/m2の極細短繊維抄造シー
トと、ナイロン6繊維の1.5デニール(13.1μm)、繊
維長12.5mm(L/D=0.95×103)を用い抄造した200g/m2
のシートを積層し、この積層抄造シートを、ノズル径:
0.2mm、ノズルピッチ:5mm、ノズル列数18列、積層抄造
シートとノズルの間隔30mm、ノズルヘッダ回転数:150rp
m、シート速度5m/分で柱状流処理を極細短繊維側からと
ナイロン6繊維側からとそれぞれ各1回行った。この交
絡積層不織布のナイロン6繊維の繊維交絡点間距離は10
0μmであって、該不織布の強度物性は下記の様に高い
値を示した。
引張強度(タテ/ヨコ)12.9/11.6kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) 5.7/ 5.2kg 剥離強度(ヨコ) 2.1kg/cm この積層不織布の極細繊維層表面に、グラビアロール
にてポリブチレンアジペート、P.P′−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、エチレングルコールの組成からな
る30%ジメチルホルムアミドをコーティングし、水中で
凝固、ついで乾燥した。さらにこの面にポリエチレング
リコール、P.P′ジフェニレメタンジイソシアネート、
エチレンジアミンのメチルエチルチトンとイソプロピル
アルコールの混合溶媒の40%溶液をグラビアロールにて
コーティングし、130℃で溶媒を乾燥除去した。こうし
て得られた銀面様シート状物はポリウレタンの銀面層の
表面平滑性を極めて良好で、風合の柔軟性に優れ、物性
も下記に示す様に例えばスポーツシューズ用にも適用し
得る程度に迄十分な強度を有していた。
引張強度(タテ/ヨコ)25.2/24.5kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) 5.3/ 5.0kg/cm 剥離強度(ヨコ) 6.5kg 柔軟度 78mm 実施例2 ナイロン6繊維0.2デニール、5mmの極細短繊維からな
る60g/m2の抄造シートと、ナイロン66繊維の1デニール
(10.7μm)、10mm(L/D=0.93×103)の短繊維からな
る抄造シートを積層した。これを実施例1と同じ条件
(水圧条件のみ変更)で柱状流処理をし積層不織布を得
た。この積層不織布のナイロン66繊維層面から観察した
繊維交絡点間距離は90μmであった。又、得られた積層
不織布の強度を下記に示した。
引張強度(タテ/ヨコ)9.5/8.7kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ)3.8/3.4kg 剥離強度(ヨコ) 1.6kg この積層不織布のナイロン6極細繊維層表面に実施例
1と同様にポリウレタンの銀面層を形成した。得られた
銀面様人工皮革の表面は平滑で均一であると共に、極め
てソフトな風合と下記に示した物性を示し、例えば婦人
靴アッパー材、及び靴裏材として充分適用し得るもので
あった。
引張強度:17.0/15.1kg/cm 引裂強度: 4.3/ 4.1kg 剥離強度: 1.6kg 柔軟度 : 58mm 実施例3 PET0.15デニール、繊維長3mmの繊維から得た120g/m2
の抄造シートに、ナイロン6繊維1.5デニール(13.1μ
m)、繊維長12.5mm(L/D=0.95×103)繊維とPET0.15
デニール、繊維長5mmの極細繊維を重量比N6:PET=7:3で
混合して得た250g/m2の混抄シートを積層した。これを
実施例1と同様の条件で(水圧条件のみ変更)柱状流処
理を行って積層不織布を得た。この積層不織布のナイロ
ン6繊維とPET極細繊維の混合シート層側の繊維交絡点
間距離200μmであった。又、この不織布の強度物性は
下記に示した。
引張強度(タテ/ヨコ)18.1/17.5kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) 7.2/ 6.5kg 剥離強度(ヨコ) 2.6kg/cm 更に、この積層不織布を気体に無黄変タイプのポリウ
レタンエラストマー(「クリスボン3355」大日本インキ
化学工業KK製)の10%溶液(イソプロピルアルコール/
トルエン=1:1混合溶媒)に褐色顔料を樹脂に対して15
%添加したものをグラビアロールで塗布し乾燥した。さ
らに、この着色層の上に無黄変タイプのポリウレタンエ
ラストマーのイソプロピルアルコール/トルエン/DMF
(=5/5/1)溶液(樹脂濃度10%)をグラビアコートし
乾燥した。次いでエンボス加工、もみ加工を行って仕上
げた。
得られた銀面用シート状物は、均一な折れシボの表面
を有し、極めて高強度の物性(下記)とソフトな風合を
示し例えば紳士靴用のアッパー材、スポーツ靴用アッパ
ー材として適用し得るものであった。
引張強度(タテ/ヨコ)30.1/28.6kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) 6.3/ 5.7kg 剥離強度(ヨコ) 8.2kg 柔軟度 82mm 〔発明の効果〕 本発明の銀面用湿式積層不織布は極細短繊維層と特定
された短繊維層が積層され、且つ一定の三次元交絡構造
を有しているため、従来の湿式不織布では得られなかっ
た非常に高い強度と柔軟な風合を有し、且つ均一で平滑
な不織布表面層を有している為、均一で「あらび」等の
欠点を生じない優れた銀面表面を形成することが出来
る。
又、その不織布の剥離強度は特異的に高い為に、銀面
用基体として用いる場合、従来の不織布では必須であっ
た接合剤の充填を殆んど必要としないほどの優れた特徴
を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の不織布の平面方向の一方の表面から観
察したときの構成繊維の拡大模式図である。 f1〜f7……構成繊維、 a1〜a7……構成繊維同士の交絡点。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均単繊維繊度0.5デニール以下の極細短
    繊維が三次元交絡した不織布層(A)と下記(1)式、
    (2)式を共に満たす短繊維が三次元交絡した不織布層
    (B)からなる積層不織布であって、前記不織布層
    (A)と(B)はその各々の層を構成する短繊維の1部
    同士の相互の交絡により一体に結合されており、少く共
    不織布層(B)を構成する短繊維の繊維交絡点間距離が
    300μm以下である銀面用湿式積層不織布。 短繊維の単糸の直径:D 短繊維の繊維長 :L (1)式……7μm≦D≦25μm (2)式……0.8×103≦L/D≦2.0×103
  2. 【請求項2】平均単繊維繊度0.5デニール以下の極細短
    繊維から抄造法により得たシートの片面に、下記(1)
    式、(2)式を共に満たす短繊維から得た抄造シート又
    は該短繊維と前記極細短繊維の混合された抄造シートを
    積層し、次いで高速流体流を積層シートの両面から交互
    に処理することにより、前記二種の短繊維同士及び相互
    に三次元交絡させることを特徴とする銀面用湿式積層不
    織布の製造方法。
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