JP2635144B2 - 汚染物質除去法 - Google Patents

汚染物質除去法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、表面から望ましくない汚染物質の除去を容
易にする方法に関する。端的に云えば、本発明は清浄な
表面を多糖類のフイルムによって保護するという考え方
に基づくもので、表面の汚染の後でこの多糖類フイルム
は、該多糖類に適当な溶媒で処理することによって部分
的にか又は完全に除去されうるものである。
環境に暴露される多くの表面は望ましくない沈着物、
例えばすす、グリース、粉じん、交通公害物等によって
連続して汚染されている。更に、食卓布、カーペツト、
布等のような物の上には偶然のしみがつくられる可能性
がある。しみの中には除去することがきわめて困難であ
るか又は不可能でさえあるものがある。近年壁その他の
構造物上の故意の落書きの問題が大きくなっているがこ
れはいわゆる「掻き絵」(graffiti)にその起原を有し
ている。ペイント工場、印刷作業場及びラツカー工業に
おいては容器、装置等の洗浄は困難を伴ない、強いアル
カリ性溶液又は有機溶媒を全く一般的に必要とし、それ
らは健康の被害及び環境の問題をおこす。ラツカーがけ
作業においてマスクする操作は、曲った又は不規則な表
面上で行なうことが困難である。
本発明は、上に示された問題を避けるか又は少なくと
も大いに減少させることができる新しい技術を提供する
ことを一目的とする。
本発明の他の一目的は、健康被害その他の環境上の不
都合を含まない方法論を提供することである。
これらその他の本発明の目的は、以下のことから明ら
かになるものであり、まず処理される清浄な表面を多糖
類のフイルムでカバーすることによって得られる。この
フイルムは該多糖類に対する溶媒を含有する液と接触す
る時再溶解又は膨潤することができる。このようにして
関係する表面に施工された多糖類のフイルムは直接の汚
染物質から該表面を保護する。汚染された時にはフイル
ムを再溶解するか又はフイルムを膨潤させることができ
る液で汚染された表面を処理することによって望ましく
ない汚染物質を容易に除去することができ、その後でフ
イルムの少なくとも溶解又は膨潤した表面を除去するこ
とによって望ましくない汚染物質を除去することができ
る。上記の除去は、噴霧、ブラシがけ、ふき取り、こす
り取り、洗浄等のような適当な技術のいずれによっても
得ることができる。
即ち、本発明は次の工程を包含する表面からの望まし
くない汚染物質の除去を容易にする方法を提供する。
a) 表面が汚染を受ける前に該表面に多糖類及びその
溶媒を含有する溶液施工し、ただし上記多糖類は乾燥す
ると再溶解可能又は膨潤する固形フイルムを形成するも
のとし、 b) 施工した溶液を乾燥させて該表面上固形フイルム
を形成させ、 c) フイルムを再溶解するか又はそれを膨潤させるこ
とができる液で被覆された表面を処理し、そして d) フイルムの溶解又は膨潤した表面層を除去するこ
とによって望ましくない汚染物質を除去する。
別の操作によれば表面から上記の望ましくない汚染物
質の除去を容易にする方法は次の工程を包含してよい。
a) 該表面に予め形成された多糖類のフイルムを施工
し、ただし上記フイルムは、該多糖類に対する溶媒を含
有する液と接触される時再溶解又は膨潤することができ
るものとし、 b) フイルムを再溶解するか又はそれを膨潤させるこ
とができる液で被覆された表面を処理し、そして c) フイルムの溶解又は膨潤した表面の層を除去する
ことによって望ましくない汚染物質を除去する。
この別操作においてはこのようにして多糖類に対する
適当な溶媒で処理する時再溶解又は膨潤することができ
るという点で望ましい性質を有している予め形成された
多糖類のフイルムが使用される。
本発明の方法中使用される多糖類の溶液については水
溶液を使用することが好ましい。即ち、上記の溶液中使
用するのに水溶性の多糖類が好ましい。「水溶性多糖
類」なる用語は液状の水に可溶性である多糖類を意味す
る。
使用される多糖類が満足できる結果を生じるために
は、その溶液を表面に施工した時、可逆的に溶解可能か
又は多糖類のための溶媒と接触した時に膨潤することが
できるフイルムを形成しうるべきである。
多糖類のフイルムは溶媒の蒸発、湿式のキヤステイン
グ又はモルデイングによって得ることができる。多糖類
フイルムは支持された又は支持されていないフイルムと
して存在することができる。支持されたフイルムは、そ
のままの使用には十分な機械的強度を有さないが、固形
基体上に支持された低分子量炭化水素から得ることがで
きる。
支持されていないフイルムは高分子量多糖類の場合に
典型的なものである。104〜2×104ダルトンの分子量を
有する上記多糖類は一般に支持されていないフイルムを
形成する。分枝状多糖類は支持されていないフイルムを
形成するのに線状のものより高い分子量を必要とする。
比較的極性の小さい多糖類誘導体、例えばメチルエーテ
ルは約8×103ダルトンの分子量で支持されていないフ
イルムを形成してよい。機械的強度は一般に105〜106
ルトンの分子量まで鎖長の増大と共に大きくなる。
「完全乾燥」多糖類フイルムは水素結合部位の多重性
のために硬くてもろいが、普通の条件下では約5〜20重
量%の量の水が存在し、所望の軟化効果を与える。最大
の機械的強度を得るためには約5〜20重量%の可塑剤が
通常必要である。水に暴露されると大部分の多糖類は膨
潤化を受け、膨潤の程度はフイルム中結晶性領域の拡が
りによってきまる。
大部分の多糖類は屋内の適用において本発明中使用す
るのに適しているが、屋外の使用はフイルム中多糖類の
実質的な戻り(retrogradation)を必要とする。適当な
多糖類の中に次の群を挙げることができる。
ヘミセルロース(例えばアラビノキシラン、グルコマ
ンナン) 植物ガム(例えばグアガム(guar gum)、イナゴマメ
ガム) セルロース及びその誘導体(例えばエチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース) デンプン及びデンプン誘導体(例えばヒドロキシエチ
ルデンプン) 微生物多糖類(例えばキサンタンガム、カードラン、
プルラン、デキストラン) 藻類多糖類(例えばカンテン、カラゲナン、アルギン
酸) キチン、キトサン及びそれらの誘導体。
多糖類の中には蒸発下に水溶液から析出させることに
よってフイルムとするのが都合がよいものがある(例え
ばイナゴマメガム、デキストラン、キサンタン)。他の
多糖類はアルカリ性媒質中で可溶化しなければならない
(例えばカードランその他のβ−1,3−グルカン)。中
和する時これらの中には蒸発するとフイルムを形成する
ことができる過飽和溶液を形成するものがある。多糖類
の中にはゲル状態を経て後フイルムを形成するものがあ
る。
溶液中使用される多糖類は広い限度内で変ってよく、
溶液は溶液の重量を基にして約25重量%までの多糖類を
含有していてよい。溶液は約10重量%を超える多糖類を
含有しないことが好ましく、1〜2重量%の程度の濃度
を使用することが特に好ましい。
勿論、所望の場合には2種又はそれ以上の多糖類の混
合物を使用してよく、そのうち一方がある温度において
他方より高い水中溶解性を有する2種の多糖類の組合せ
は、この2種の多糖類の有利な相互作用の故に好まし
い。上記の組合せは次のものを包含するか又は本質的に
次のものよりなる。
少なくとも置換β−1,4−結合型グリカンより構成さ
れるガラクタンを除く第一成分a)(ただしある温度の
水に可溶性であり、そして5・104ダルトン、好まし
くは105ダルトン、特に106ダルトンの分子量(
w)を有する)、及び 少なくとも置換β−1,4−結合型グリカンより構成さ
れる同じくガラクタンを除く第二成分b)(ただし該温
度において該第一成分より溶解するのが困難であり、又
は寒天もしくはカラゲナンである)。
上記の組成物においては成分a)は置換β−1,4−結
合型グルカン、グルコマンナン、キシラン、マンナン又
は2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノ
ース又は2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコヒラノ
ース体よりなるβ−1,4−結合型多糖類であることが好
ましい。成分a)のグリカンの置換は好ましくはモノ−
又はオリゴ糖基又はヒドロキシアルキル、カルボキシア
ルキル、アミノアルキル、アルキル、アシル又はヒドロ
キシアルキル(アルキルオキシ)アルキルより構成され
る。
本発明の組成物中成分b)は好ましくは置換β−1,4
−結合型グルカン、グルコマンナン、キシラン、マンナ
ン又は2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピ
ラノース−又は2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコ
ピラノース体よりなるβ−1,4−結合型多糖類、又は寒
天もしくはカラゲナンである。成分b)のグリカンの置
換は成分a)のそれと同じであってよい。
本発明の組成物の好ましい一実施態様においては成分
b)は置換β−1,4−結合型グルカン、、グルコマンナ
ン、キシラン、マンナン又は2−アセトアミド−2−デ
オキシ−D−グルコピラノース又は2−アミノ−2−デ
オキシ−D−グルコピラノース体よりなるβ−1,4−結
合型多糖類、又は寒天もしくはカラゲナンであり、置換
はモノ−又はオリゴ糖基又はヒドロキシアルキル、カル
ボキシアルキル、アミノアルキル、アルキル、アシル又
はヒドロキシアルキル(アルキルオキシ)アルキルより
なる。
更に別の本発明の一実施態様によれば成分a)は置換
β−1,4−結合型グルカン又はマンナン、キチン又はキ
トサンであり、成分b)もこれらから、又はカンテン及
びカラゲナンから選択される多糖類である。上記の組成
物において置換は好ましくはモノ−又はオリゴ−糖基、
ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキル、
アシル又はヒドロキシメチル(メチルオキシ)メチルで
ある。
本発明の他の一実施態様によれば成分a)及びb)は
ガラクトマンナン、セルロース誘導体、キチン誘導体及
びキトサン誘導体から選択される。上記の組成物におい
て成分a)及びb)は適当にはガラクトマンナン、ヒド
ロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロー
スから選択される。成分a)及びb)は特にガラクトマ
ンナン、例えばガーゴム及びイナゴマメガムから選択さ
れる。
ある温度の水中溶解性についての成分a)及びb)の
特性に関しては、この温度はその水準については決定的
ではなく、水中溶解性について2種の成分の間の境界画
定線をつくっている。しかし、普通の環境温度において
本発明の組成物の普通の使用の場合には、実用的な温度
範囲は約30〜約50℃であるが、これも限定的な範囲では
ない。普通の室温における実際的な境界温度は約40℃で
ある。
実際に利用される時本発明の方法は、多糖類が本質的
に不定形の状態で存在する固形フイルムを生じることを
特記することが重要である。
本発明はカバーするものでない望ましくない汚染、例
えば掻き絵又は落書き型の汚染、特にインク又はペイン
ト型の汚染、殊にラツカーベース型のもの、又は環境析
出物、例えばすす、粉じん等の除去に関して使用するの
に特に適している。処理される表面の構造は、光沢のあ
る表面、例えばガラス又は金属ないし高度に多孔質の表
面、例えばコンクリート又はモルタルの表面までにわた
って変動することが可能である。その洗浄が普通実質的
に不可能である多孔質の表面上に使用される時には、本
発明はそれからの汚染物質の除去をおおいに容易にし、
事実本発明は上記汚染物質の除去の問題に対する最初の
実用的解決であるということもできる。
次に非限定的である特定の実施例によって本発明を更
に説明する。
実施例 1 この実施例はコンクリートの壁から望ましくない落書
き又は掻き絵を除去するための本発明の使用を例示す
る。この実施例においてはグアガム20重量%とイナゴマ
メガム80重量%との混合物約1重量%を含有する水性多
糖類溶液が使用される。イナゴマメガムは米国セントル
イスのSigma Chemical Corporationによって販売されて
おり、Seratonia Siliquaの種子起源のガラクトマンナ
ン多糖類である。使用されたグアガムは同じ会社によっ
て販売されている。
上述した溶液を約1リツトル/m2の量で3層でコンク
リート壁に施工する。各施工の後に施工された層を乾燥
させる。最後の層の乾燥後フイルムの透明性によって下
層のコンクリート壁は完全に見える。
次に保護された壁に2成分ラツカー及び3成分ラツカ
ーを共に含む異なった品種のラツカーペイントを噴霧し
た。壁の他の部分に耐水性フエルトペンを使用して落書
きをした。数日乾燥後水でこすることによるか又は高圧
ホースを使用することによって容易に汚染された壁を清
浄にすることができた。水を加熱して高温にすると清浄
化は更に容易になった。乾燥後コンクリート壁上汚染物
質は見ることができなかった。
実施例 2 1%(重量/重量)水溶液のグアガムを使用して実施
例1の実験をくり返し、同様な結果が得られた。
実施例 3 イナゴマメガム(1%重量/重量)の溶液を使用して
実施例1の実験をくり返し、同様な結果が得られた。
実施例 4 れんが壁に多糖類溶液を施工して実施例1をくり返
す。同様な結果が得られる。
実施例 5 試験面として亜鉛メツキスチールを使用して実施例2
をくり返す。同じ有用な結果が得られる。
実施例 6 約2重量%の濃度の可溶性じゃがいもデンプン(Sigm
a)を使用して実施例1をくり返す。同様な結果が得ら
れる。
実施例 7 0.5N AcOH中1重量%溶液としてキトサン(Sigma)を
使用して実施例1をくり返す。実質的に同じ結果が得ら
れる。
実施例 8 多糖類としてヒドロキシエチルセルロース(Cellosiz
e WP−40)を使用して実施例1をくり返す。同様な結果
が得られる。
実施例 9 5重量%溶液として天然デキストラン(スエーデンの
Pharmacia)を使用して実施例1をくり返す。実質的に
同等の結果が得られる。
実施例 10 1重量%の水溶液としてキサンタンガム(Sigma)を
使用して実施例1をくり返す。同様な結果が得られる。
実施例 11 1重量%の水溶液としてプルラン(Sigma)を使用し
て実施例1をくり返す。実質的に同等な結果が得られ
る。
実施例 12 2重量%の濃度、水溶液でペクチン(Sigma)を使用
して実施例1をくり返す。同様な結果が得られる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程、 a) 表面が汚染を受ける前に該表面に多糖類及びその
    溶媒を含有する溶液を施工し、ただし該多糖類は乾燥す
    ると再溶解可能又は膨潤する固形フイルムを形成するも
    のとし、 b) 施工した溶液を乾燥させて該表面上固形フイルム
    を形成させ、 c) フイルムを再溶解するか又はそれを膨潤させるこ
    とができる液で被覆された表面を処理し、そして d) フイルムの溶解又は膨潤した表面層を除去するこ
    とによって望ましくない汚染物質を除去する、 ことからなる表面から望ましくない汚染物質の除去を容
    易にする方法。
  2. 【請求項2】少なくとも約1000の分子量を有する多糖類
    が使用される請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】溶液が10重量%までの多糖類を含有する請
    求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】多糖類がセルロース及びその誘導体、デン
    プン及びその誘導体、植物ガス、莢膜微生物多糖類、ペ
    クチン、イヌリン、並びに藻類多糖類よりなる群から選
    択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】表面上の落書き型の望ましくない汚染の除
    去を容易にする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
    法。
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