JP2633339B2 - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JP2633339B2
JP2633339B2 JP1003780A JP378089A JP2633339B2 JP 2633339 B2 JP2633339 B2 JP 2633339B2 JP 1003780 A JP1003780 A JP 1003780A JP 378089 A JP378089 A JP 378089A JP 2633339 B2 JP2633339 B2 JP 2633339B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はポリカーボネートの製造方法に関し、特にそ
の回収工程の簡素化とともに、色相改善並びに残留溶媒
量を低減したポリカーボネートの製造方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
ポリカーボネートの工業的な方法としては、一般にホ
スゲン法あるいは溶融エステル交換法が採用されてい
る。しかし溶融エステル交換法は、高温下での処理時間
が長く、製品の色が悪くなるために現在ではホスゲン法
が主流となっている。
しかしながらこのホスゲン法は、重合により生成した
ポリカーボネート溶液(ポリマー溶液)の洗浄後に、濃
縮(フレーク化)工程,乾燥(溶媒除去)工程,造粒
(ペレット化)工程をそれぞれの装置により順次行なう
必要がある。これらの工程中では濃縮,乾燥工程の負担
が大きく、ニーダーやドライヤーなどの大型機器を必要
とし、かつ用役費が多大である。
従って、この両工程の簡素化が望まれており、ポリマ
ー溶液からポリマーを回収する方法として種々の方法が
提案されている。
例えば、ポリマー溶液に貧溶媒を加えてポリマーを単
離する方法が、特公昭37−5599号公報,特公昭37−1839
9号公報,特公昭39−1959号公報,特公昭42−14474号公
報などに記載されている。また、ニーダーなどによりポ
リマー溶液をゲル化粉砕する方法が特公昭53−15899号
公報に記載され、さらにポリマー溶液を熱水と接触させ
て溶媒を水蒸気と共に留去し、ポリマーをスラリーとし
て得る方法が特開昭60−115625号公報に記載さている。
これらのポリマーの回収方法は、それぞれ一長一短を有
するものであるが、いずれの方法によっても多数の工程
を必要とし、建設時のコスト及びランニングコストが多
大であった。
これらの欠点を解決する簡素かつ経済的なポリカーボ
ネートの製造方法として、特開昭62−183801号公報に
は、ポリマー溶液を特定の熱交換器で加熱して脱揮し、
溶融状態でポリカーボネートを得る方法が開示されてい
る。しかし、この方法にあっては、ポリカーボネートの
熱劣化による着色と回収ポリカーボネート中の残留溶媒
が問題となる。
周知の如く、ポリカーボネートは、特にその透明性を
特徴としており、上記熱劣化による透明性の悪化、すな
わち色相が悪いということは重大な欠点となり得る。こ
の熱劣化の問題を解決するためには、加熱脱揮時の温度
を可能な限り低くし、かつ加熱時間を短くすれば良い
が、このような条件下では残留溶媒が増加してしまう。
そのため残留溶媒を充分に除去するには脱揮温度を高く
するとともに脱揮時間を長くする必要がある。
従って上記方法では、色相に優れると同時に残留溶媒
についても問題のないポリカーボネートを得ることが困
難であった。
〔課題を解決するための手段〕
そこで本発明者らは、上記従来技術の欠点を解消し、
建設コストやランニングコトスの低減,回収ポリカーボ
ネートの色相改善,回収ポリカーボネートの残留溶媒の
低減が可能なポリカーボネートの製造方法を開発すべく
鋭意研究を重ねた。その結果、特定の溶媒除去装置を用
いるとともに、熱交換器内でポリカーボネート溶液の溶
媒量を制御することにより、所期の目的を達成できるこ
とを見出した。本発明はかかる知見に基いて完成したも
のである。
すなわち本発明は、不活性溶媒にポリカーボネートが
5〜35重量%溶解してなり、かつ水分500重量ppm以下及
び/又は酸素30重量ppm以下であるポリカーボネート溶
液を、プレートフィン型あるいはフィンチューブ型の熱
交換器を備えた溶媒除去装置に導入し、前記熱交換器内
にて温度240℃〜350℃の条件下ポリカーボネート溶液中
の不活性溶媒を15重量%以下に蒸発除去するとともに、
ポリカーボネートを溶融状態とすることを特徴とするポ
リカーボネートの製造方法を提供するものである。
本発明において、原料として用いられるポリカーボネ
ート溶液は、通常の重縮合反応によって得られるもので
あり、例えばホスゲン法によれば、ビスフェノールAと
ホスゲンをメチレンクロライド等の不活性溶媒中て第三
級アミン(トリエチルアミンなど)の触媒の存在下で反
応させることにより得ることができる。
また、原料として、ビスフェノールAの一部又は全部
をビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン等の化合物
やハロゲン化ビスフェノール類等の他の二価フェノール
に代えて重縮合反応させることにより得られるポリカー
ボネート溶液を適用することもできる。
上述の不活性溶媒は、ポリカーボネートに対して実質
的に不活性であり、さらに使用温度で実質的に安定であ
って、ポリカーボネートを溶解するものであればよい
が、沸点の高いものは溶媒の脱揮を効率よく行うために
ポリカーボネート溶液の加熱温度を高くする必要がある
ため、200℃以下の沸点を有する溶媒を用いることが好
ましい。この溶媒として用いられるものは、通常好まし
く使用されるメチレンクロライドのほか、例えばテトラ
クロロエタン,トリクロロエタン,ジクロロエタン,ト
リクロロエチレン,ジクロロエチレン,クロロホルム,
チオフェン,ジオキサン,テトラヒドロフラン,クロロ
ベンゼン,o−,m−あるいはp−ジクロロベンゼン及びこ
れらの二種以上の混合物及びこれらを主成分とする混合
物等が挙げられる。
上記溶媒に溶解されるポリカーボネートの濃度は、5
〜35重量%が適当である。この濃度が5重量%未満では
回収する溶媒量が多くなるために大型の溶媒除去装置が
必要となり、建設コストが上昇する。逆に35重量%を超
えるとポリカーボネートが析出してしまい、ゲル化状
態、すなわち半固体状態となり、流動状態が保持できず
に溶媒除去装置への供給や、運転が困難となる。
さらにポリカーボネート溶液中の水分や酸素が多いと
溶媒の分解に伴い不純物が生成したり、ポリカーボネー
トの色相を悪化させることがある。そのため、溶媒除去
装置に導入する前のポリカーボネート溶液中の水分を50
0重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下及び/又は酸
素濃度を30重量ppm以下、好ましくは15重量ppm以下とし
ておくことが良い。特に溶媒としてハロゲン化物を使用
する場合には、不純物の生成の抑制、及び色相の悪化の
制御に効果的である。ポリカーボネート溶液中の水分の
除去は、公知の方法、例えばモレキュラーシーブなどの
吸着剤により水分を吸着除去することより行なうことが
できる。また酸素濃度の制御は、ポリカーボネート溶液
に窒素ガスをバブリングしたり、加熱した不活性溶媒の
一部とともに酸素を蒸発除去することにより行なうこと
ができる。
さらにポリカーボネートに対して貧溶媒をポリカーボ
ネート溶液中に混入したり、不活性ガス、例えば窒素ガ
スなどを混入することにより脱揮効率を向上させること
ができる。また酸化防止剤を添加することにより色相を
さらに改善することができる。
以下、本発明の方法を図面に基いてさらに具体的に説
明する。
第1図は本発明のポリカーボネートの製造方法の流れ
図を示すもので、不活性溶媒にポリカーボネートが5〜
35wt%溶解しているポリカーボネート溶液(ポリマー溶
液)は、通常のホスゲン法による重縮合反応の後、金属
塩触媒等が洗浄除去された後に溶媒除去装置10の上部に
導入され、溶媒が除去されて、下部から溶融状のポリカ
ーボネートが導出され、ペレット化される。
上記溶媒除去装置10は、第2図に示すように、本体11
の内部上方に熱交換器12を配設し、下部に排出口13を形
成している。この本体11は、ジャケット14に覆われてお
り、該ジャケット14内に供給される熱媒体により所定の
温度に加熱される。また本体11の上部には、真空ポンプ
等に接続された排気口15が設けられており、本体11内を
所定の減圧状態とするとともに、蒸発した溶媒を排出し
ている。さらに本体11内には、適所に温度検出器16が設
けられている。
ここで、前記熱交換器12は、熱交換効率が極めて良好
でしかも短時間で熱交換処理を行える形式のものが用い
られる。このような熱交換器として、プレートフィン型
あるいはフィンチューブ型が特に好ましい。プレートフ
ィン型は、第3図に示すように、仕切板(プレート)17
を垂直方向に平行に多数枚設け、各仕切板17間に凹凸状
あるいは波状の金属板(フィン)18を交互に方向を変え
て直交するように設けて横方向の流路を加熱室19とし、
縦方向の流路を溶液室20としたものである。加熱室19の
入口側及び出口側には、加熱室19の各流路に均一に熱媒
体を分配するためのヘッダーが設けられており、溶液室
20の出口側には、同様にポリカーボネート溶液を分配す
るためのヘッダーが設けられている。また溶液室20の出
口側は、各流路から溶液が抵抗なく流下するように解放
されている。加熱室19を流れる熱媒体の熱は仕切板17及
び金属板18を伝わって速やかに溶液室20の溶液に伝えら
れ、溶液を加熱する。
また、プレートフィン型熱交換器は、第2図におい
て、上下90℃に回転して設置し、縦方向の流路に熱媒体
を、横方向の流路にポリカーボネート溶液を供給するこ
とにより、設置面積を低減し、装置の小型化を図ること
もできる。さらに、本体11の外部上方に設置することも
できる。
第4図(a)〜(e)は、上記金属板18の各種形状を
示すものである。第4図(a)に示す金属板18aは、1
枚の板材を波形に屈曲成形したもの、第4図(b)及び
(c)に示す金属板18b,18cは、細長い板材を波形に屈
曲成形したものの波の位相をずらして隣接配置したも
の、第4図(d)に示す金属板18dは、第4図(a)の
金属板18aに通孔18fを形成して流路間の流量バランスの
向上を図ったもの、そして第4図(e)に示す金属板18
eは、板材を波形に屈曲するとともに、流路方向にも波
形に屈曲させたものである。これらの各種金属板は、熱
交換器12の大きさやポリカーボネート溶液の単位流量な
どにより適宜最適なものを用いることができる。
一方、フィンチューブ型は、第5図(a),(b)に
示すように、僅かな間隔を設けて多数のディスクプレー
ト21を積層し、該ディスクプレート21の外周部(フィン
部)21aに加熱管(チューブ)22を設け、各ディスクプ
レート21間を溶液室23としたもので、上部に溶液の導入
口23aが設けられている。ポリカーボネート溶液は、こ
の導入口23aから溶液室23内に流入し、加熱管22内を流
れる熱媒体とディスクプレート21を介して熱交換して加
熱される。加熱されたポリカーボネート溶液から蒸発す
る溶媒蒸気は、上部のディスクプレート21間から排出さ
れるとともに、溶媒が蒸発して濃縮されたポリカーボネ
ートは、下部のディスクプレート21間から流下する。
いずれの熱交換器形式においても、ポリカーボネート
溶液を一様に加熱できる構造であることが望ましく、ポ
リカーボネートの加熱部に温度分布を生じると熱交換器
12内での閉塞の原因となる。
また本体11内壁にポリカーボネートが付着すると、熱
劣化を受けるので、これが回収ポリカーボネートに混入
するとポリカーボネートの色相悪化の原因となる。従っ
て、本体11内壁への溶融ポリカーボネートの付着を防止
するためには、熱交換器12の排出口を垂直方向下向きと
することが望ましい。
さらに熱交換器12の有効伝熱面積(A)と、溶液室2
0、すなわちポリカーボネート流路の空間部体積(V)
との比、すなわちA/V〔m-1〕は70以上、特に100〜2000
の範囲とすることが望ましい。このA/Vが70以下では熱
交換器12で溶媒を除去してポリカーボネートを溶融する
段階において、ポリカーボネートが固化して熱交換器12
内を閉塞したり、あるいは溶媒が適度に除去されないう
ちに熱交換器12からポリカーボネートが排出されたりし
て、所期の目的が達成されないことがある。逆にA/Vが2
000を超える場合は、熱交換器12内のポリカーボネート
流路を非常に狭くする必要があり、この部分での差圧が
高くなってポリカーボネート溶液の供給に困難を来たす
ことがある。
この熱交換器12におけるポリカーボネート溶液の加熱
温度は、240〜350℃、好ましくは240〜320℃の範囲であ
る。この加熱温度が240℃未満ではポリカーボネートが
熱交換器12内に析出し、ポリカーボネート流路が閉塞さ
れて運転不能となることがある。逆に350℃を超える高
温にするとポリカーボネートの劣化を生じるなどの不都
合がある。
上記A/V比や加熱温度は、ポリカーボネート溶液の粘
度や熱交換器12に送給するポリカーボネート溶液の単位
流量、さらには後述する本体11内の圧力などにより適宜
設定すべきものであり、熱交換器12で加熱される排出さ
れる溶融ポリカーボネート中の溶媒量が15重量%以下と
なるように設定する必要がある。この溶媒量が15重量%
を超えると、溶融ポリカーボネート中の溶媒が熱交換器
12から排出された時点で急激に発泡し、この発泡により
溶融ポリカーボネートが本体11内に飛散付着して滞留後
劣化し、これが回収ポリカーボネートに混入してポリカ
ーボネートの色相を悪化させる。
さらに熱交換器12内での溶媒の蒸発が充分に行われな
い場合には、上述の如く熱交換器12から排出されると同
時に溶媒が激しく蒸発する。そのため、溶媒の蒸発潜熱
によりポリカーボネートの温度が急激に低下し、溶媒除
去が効率的に行えないだけでなく、本体11下部に滞留す
ると同時に発泡して飛散し、上記同様に本体11内壁の溶
融ポリカーボネートの流れの無い部分に付着して劣化
し、ポリカーボネートの色相悪化の原因となる。また溶
媒除去が完全に行われないポリカーボネートが溶媒除去
装置10から排出され、回収したポリカーボネート中の残
存溶媒量を増加させてしまう。
次に、上記の如く熱交換器12で加熱され、溶媒を15重
量%以下に除去された溶融ポリカーボネートが流下する
溶媒除去装置10の本体11内の圧力は、−760〜−10mmH
g、特に−760〜−50mmHgの範囲とすることが好ましい。
この本体11内の圧力が−50mmHg以上、特に−10mmHg以
上、すなわち本体11内の真空度が低いと、熱交換器12を
出た後の溶融ポリカーボネートからの溶融除去が効率よ
く行えず、残存溶媒量が増加することがある。
本発明の方法では、ポリカーボネートは、薄いシート
状あるいは紐状となって溶融状態で下部の排出口13に流
下する。
このように、不活性溶媒が除去されて溶媒除去装置10
の排出口13から導出される溶融状態のポリカーボネート
は、不活性溶媒をほとんど含まないため、排出口13にペ
レタイザーを接続して、そのままペレット化するなどし
て冷却固化されて製品となる。また必要により溶媒除去
装置に混練機等を連続的に配置して、添加剤を添加して
混練を行ったり、さらにごく微量の溶媒を取り出したい
場合には、押出機等を併用することも可能である。
また溶融ポリカーボネートの脱揮効率をさらに向上さ
せるために、溶媒除去装置10を二段直列に配置して、そ
れぞれ適当な条件に設定して溶媒の除去を行うこともで
きる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例及び比較例により更に詳しく説
明する。
実施例1 使用した溶媒除去装置は、前記第2図に示す構成のも
のであり、本体は、上部の最大径が500mm,高さが2000m
m,内容積が約0.2m3である。また本体下部には溶融ポリ
カーボネートを排出するポリマーポンプを設けた。
使用した熱交換器12は、プレートフィン型であって、
第6図に示すように、厚さ0.2mm,波高さ5mmの波形の金
属板(スレートフィンプレート)18,19を直角に組合
せ、ポリカーボネート溶液の流路側の金属板18を10枚,
熱媒体の通路側の金属板19を11枚とし、22枚の厚さ0.2m
mの仕切板(チューブプレート)17を介して両端に熱媒
体の通路、すなわち加熱室を配置するようにして両者を
積層した。この熱交換器ユニットは、外形を約縦(L)
105×横(V)150×高さ(H)70(mm)の大きさとし、
高さ方向にポリカーボネート溶液が流下するように配置
した。
またポリカーボネート溶液側の溶液室の有効伝熱面積
は約0.38m2、その体積は0.000525m3となり、A/V=670
〔m-1〕である。
上記の如く構成した溶媒除去装置の熱交換器及び本体
を300℃に加熱し、かつ本体を−740mmHgの減圧度に調整
した。そして、この溶媒除去装置に、メチレンクロライ
ドを溶媒として粘度平均分子量26000のポリカーボネー
トを溶解し、濃度約20重量%に調整したポリカーボネー
ト溶液を毎時5の割合で供給した。このポリカーボネ
ートの溶液中の水分量は6重量ppm以下、溶存酸素濃度
は50重量ppmであった。
ポリカーボネート溶液供給後、ほどなく本体下部にポ
リマーポンプよりポリカーボネートの溶融物を得ること
ができた。またこの溶媒除去装置の排出口にペレタイザ
ーを取り付け、得られたポリカーボネートをペレット化
した。得られたポリカーボネート中の残留メチレンクロ
ライド量は50重量ppmと少なく、色調も透過型YI(黄色
度)で2.2と良質なものであった。また分子量も25800で
あって低下すること無く、良好な物性のものが得られ
た。この運転を約5時間実施したが、運転中に熱交換器
の閉塞なども発生せず、安定した運転を行うことができ
た。
また本体の内面壁へのポリカーボネートの付着もほと
んど無く、熱交換器から排出されるポリカーボネート
は、本体上面に取りつけられた覗き窓から観察したこと
ろ、気泡は残っているものの激しく発泡している様子は
無く、本体下部の溶融ポリカーボネート排出口上部にお
いても同様であった。
この状態で、熱交換器から排出された直後の溶融ポリ
カーボネートをサンプリングして残留溶媒量を測定した
ところ6.7重量%であった。この結果から熱交換器から
排出された後も本体内部で脱揮が進んでいることがわか
った。
比較例1 メチレンクロライドに粘度平均分子量15000のポリカ
ーボネートが10重量%溶解した溶液を、熱交換器温度25
0℃、本体の減圧度−400mmHgとした前記実施例1と同じ
溶媒除去装置に毎時7の割合で導入し、溶媒除去装置
下部から溶融状態で導入されたポリカーボネートをその
ままペット化した。なおポリカーボネート溶液中の水分
量は1400重量ppm、溶存酸素量は45重量ppmであった。
得られたポリカーボネートペレット中の残留メチレン
クロライド量は、150重量ppm、色調は透過型YI(黄色
度)で4.1と良好なものであった。また分子量も14900で
あって低下することなく、良好な物性を有するものが得
られた。さらに実施例1と同様に、熱交換器から排出さ
れた直後の溶融ポリカーボネート中の残留溶媒量を測定
したところ、約11.6重量%であった。
実施例2 実施例1と同じ条件とし、ポリカーボネート溶液中の
水分量のみを34重量ppmに調整してポリカーボネートを
ペレット化したところ、得られたポリカーボネートペレ
ット中の残留メチレンクロライド量は55重量ppm、色調
も透過型YI(黄色度)で2.5となった。
また、熱交換器から排出される溶融ポリカーボネート
中の残留溶媒量は6.5重量%であった。
実施例3 実施例1と同じ条件とし、ポリカーボネート溶液中の
水分量のみを380重量ppmに調整してポリカーボネートを
ペレット化したところ、得られたポリカーボネートペレ
ット中の残留メチレンクロライド量は、49重量ppm、色
調も透過型YI(黄色度)で3.1となった。
また、熱交換器から排出される溶融ポリカーボネート
中の残留溶媒量は6.3重量%であった。
この結果からポリカーボネート溶液中の水分量を100
重量ppm以下とすることにより、回収ポリカーボネート
の色調改善効果を更に向上できることがわかる。
実施例4 実施例1と同じポリカーボネートをメチレンクロライ
ドに溶解し、濃度17重量%ポリカーボネート溶液を調製
した。このポリカーボネート溶液を40℃に加熱し、窒素
雰囲気下としてメチレントロライドとともに溶存酸素を
蒸発除去し、ポリカーボネートの濃度を20重量%に調整
した。この溶液中の水分量は1300重量ppmであって、溶
存酸素を測定したところ5重量ppm以下であった。
次いで実施例1と同様の操作を行って、このポリカー
ボネート溶液からポリカーボネートペレットを得た。得
られたポリカーボネート中の残留メチレンクロライド量
は55重量ppmと少なく、色調も透過型YI(黄色度)で2.6
と良好なものであり、また分子量も25700であって低下
すること無く、良好な物性のものが得られた。
また、熱交換器から排出される溶融ポリカーボネート
中の残留溶媒量は7.1重量%であった。
実施例5 ポリカーボネート溶液中の溶存酸素を8重量ppmに調
整した以外は、実施例4と同様に操作を行い、ポリカー
ボネートをペレット化したところ、得られたポリカーボ
ネート中の残留メチレンクロライド量は54重量ppmと少
なく、色調も透過型YI(黄色度)で2.3となった。ま
た、熱交換器から排出される溶融ポリカーボネート中の
残留溶媒量は7.0重量%であった。
実施例6 ポリカーボネート溶液中の溶存酸素を30重量ppmに調
整した以外は、実施例4と同様に操作を行い、ポリカー
ボネートをペレット化したところ、得られたポリカーボ
ネート中の残留メチレンクロライド量は60重量ppm、色
調は透過型YI(黄色度)で3.3となった。また、熱交換
器から排出される溶融ポリカーボネート中の残留溶媒量
は7.1重量%であった。この結果からポリカーボネート
溶液中の酸素量を約15重量ppm以下にすることによっ
て、回収ポリカーボネートの色調改善効果をさらに向上
できることがわかる。
実施例7 実施例4と同様の操作を行って、ポリカーボネート溶
液中の酸素量を5重量ppm以下とし、さらにモレキュラ
ーシーブによって水分量も6重量ppm以下とした。この
ポリカーボネート溶液を実施例4と同様の操作を行って
ペレット化した。得られたポリカーボネート中の残留メ
チレンクロライド量は53重量ppm、色調は透過型YI(黄
色度)で1.9となった。また、熱交換器から排出される
溶融ポリカーボネート中の残留溶媒量は6.5重量%であ
った。
比較例2 実施例1において、ポリカーボネート溶液の流量を毎
時15とした以外は、同様の操作を行いポリカーボネー
トをペレット化した。この時、熱交換器出口から排出さ
れている溶融ポリカーボネートが激しく発泡しているの
が観察され、本体下部においても滞留した溶融ポリカー
ボネートが発泡しているのが観察された。また運転開始
30分後から次第に得られるペレットの透過型YI値が上昇
し、徐々に着色していく様子が観察された。
運転開始1時間後に測定したペレット中の残留メチレ
ンクロライド量は6700重量ppmであり、YI値は24.5であ
った。さらに運転開始2時間後に運転を終了して、溶媒
除去装置の内部を開放点検したところ、本回内側壁面に
多量の劣化したポリカーボネートが付着していた。
また熱交換器出口の溶融ポリカーボネート中の残留溶
媒量を測定したところ、17.1重量%であった。
比較例3 実施例1において、熱交換器の温度を220℃としたこ
と以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。しかし
運転開始10分後から次第に熱交換器に送るポリカーボネ
ート溶液の圧力が上昇し、運転が困難になった。また熱
交換器からは断続的に殆ど溶媒の除去されていないよう
に見られるポリカーボネート溶液が排出され、本体の排
出口上部に堆積し、激しく発泡していた。そのため15分
後には運転を中止した。
比較例4 実施例1において、熱交換器の温度を360℃としたこ
と以外は、実施例1と同様の操作を行いポリカーボネー
トをペレット化した。得られたポリカーボネート中の残
留メチレンクロライド量は47重量ppmと少ないが、色調
は透過型YI(黄色)で7.8と悪化しており、分子量も232
00に低下していた。
比較例5 実施例1において、本体の真空度を−10mmHgとした以
外は、実施例1と同様の操作を行いポリカーボネートを
ペレット化した。得られたポリカーボネート中の残留メ
チレンクロライド量は1580重量ppmと多く、色調は透過
型YI(黄色)で7.1と悪化していた。分子量は25500であ
った。また、熱交換器から排出される溶融ポリカーボネ
ート中の残留溶媒量は16.1重量%であった。
なお、上記の実施例及び比較例の結果をまとめて下表
に示す。
〔発明の効果〕 叙上の如く、本発明によれば、簡単な装置並びに操作
で、ポリカーボネート溶液から不活性溶媒を蒸発除去
し、ポリカーボネートを溶融状態で導出して固化させる
ことができる。また同時に、回収したポリカーボネート
の色相を改善することができ、残留溶媒量も低減させる
ことができる。そのため、工程の簡素化が達成され、建
設コストやランニングコストの低減とともに、良質のポ
リカーボネートを安定して製造することが可能となる。
なお、本発明の方法は、ポリエステル,ポリスルホネ
ート,ポリアミド,ポリフェニレンオキシドなどの重合
体を製造する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のポリカーボネートの製造方法を簡略に
示す流れ図、第2図は本発明の方法に使用する溶媒除去
装置の構成例を示す断面図、第3図はプレートフィン型
熱交換器の内部構造を示す要部の斜視図、第4図は金属
板の形状例を示す斜視図、第5図はフィンチューブ型熱
交換器を示すものであり、第5図(a)は内部構造を示
す断面図、第5図(b)はディスクプレートの平面図、
第6図は実施例で用いた熱交換器ユニットの説明図であ
る。 10:溶媒除去装置,11:本体, 12:熱交換器,13:排出口, 14:ジャケット,15:排気口, 16:温度検出器,17:仕切板, 18,18a,18b,18c,18d,18e:金属板,18f:通孔,19:加熱室, 20:溶液室,21:ディスクプレート, 22:加熱管,23:溶液室,24:導入口, 25:溶媒用配管

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不活性溶媒にポリカーボネートが5〜35重
    量%溶解してなり、かつ水分500重量ppm以下及び/又は
    酸素30重量ppm以下であるポリカーボネート溶液を、プ
    レートフィン型あるいはフィンチューブ型の熱交換器を
    備えた溶媒除去装置に導入し、前記熱交換器内にて温度
    240℃〜350℃の条件下ポリカーボネート溶液中の不活性
    溶媒を15重量%以下に蒸発除去するとともに、ポリカー
    ボネートを溶融状態とすることを特徴とするポリカーボ
    ネートの製造方法。
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