JP2632122B2 - 希土類永久磁石の製造方法 - Google Patents

希土類永久磁石の製造方法

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JP2632122B2 JP5091655A JP9165593A JP2632122B2 JP 2632122 B2 JP2632122 B2 JP 2632122B2 JP 5091655 A JP5091655 A JP 5091655A JP 9165593 A JP9165593 A JP 9165593A JP 2632122 B2 JP2632122 B2 JP 2632122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、R2 14B金属間化合
物結晶粒子の表面を、該結晶粒子のR値よりも高い組成
値を有するRT固溶体相が覆う焼結型永久磁石とその粉
末冶金による製造方法に関し、特に結晶性R2 14B金
属間化合物粉末と液体急冷合金粉末とを用い、その磁石
特性、温度特性及び耐酸化性の優れた希土類永久磁石の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】R2 14B希土類永久磁石を代表する磁
石であるNd-Fe-B系磁石を、粉末冶金法により製造す
る焼結型磁石に関する文献としては、磁気特性の改良に
関する特開昭59-46008号公報又は日本応用磁気学会第35
回研究資料(昭和59年5 月) がある。
【0003】また、温度特性の改良に関しては、Fe の
一部をCo で置換することによりキューリー温度を上げ
た特開昭59-64733号公報が挙げられる。
【0004】これら上述した文献には、インゴットを粉
砕して得られた微粉末を成形した圧粉体を焼結する方法
が記述してある。
【0005】上述の文献等に記載される希土類永久磁石
の粉末冶金法による製造工程は、溶解、粉砕、磁場中配
向、圧縮成形、焼結、熱処理等の順に進められる。溶解
は、アーク、高周波等を用いて真空又は不活性雰囲気中
で行われ、R2 14B系インゴットを作製する。インゴ
ットの粗粉砕は、ボールミル、振動ミル、ジェットミル
等で行われる。磁場中配向及び圧縮成形は、金型を用い
て磁場中で同時に行われるのが通例である。焼結は、10
00〜1150℃の範囲で不活性雰囲気中又は真空中で行われ
る。熱処理は、必要に応じて300 〜900 ℃程度の温度で
行われる。
【0006】ここで、Nd-Fe-B系磁石の磁石特性の決
定に最も大きな影響を与える粉末冶金法における焼結工
程について、図面を用いてさらに詳細に説明する。
【0007】図6は佐川ら(1) によるNd-Fe-B3元系
状態図を示したものである。図7は図6においてA( N
d2Fe14 B)-Nd で切断した場合の擬2元Nd2Fe14 B
- Nd の模式的な状態図である。
【0008】一般のR2 14B希土類永久磁石は、図6
に示される斜線の部分の組成領域に該当する出発原料粉
末より生成されている。この出発原料を図7におけるC
点とし、このC点の組成より成る圧粉体を焼結するとす
る。
【0009】常温における固相( Nd2Fe14 B金属間化
合物結晶粒子)と液相の核(Nd-Fe 固溶体)との比
は、AC:BCで示される。焼結時の昇温過程では、N
2 Fe14B固相とNd-Fe 固溶体相との共相点である
F点において、液相の核であるNd-Fe 固溶体が溶解す
る。この時の固相に対する液相の核の量比は、ほぼAC
/CBに近い。
【0010】今、焼結温度をT(℃)とすると、液相の
組成は、焼結時の昇温に伴い、液相線に従って増加する
方向に変化し、焼結温度T1℃では、Dの組成と成る。
一方、固相であるNd2 Fe14B相はF点で溶解したN
d-Fe-B融液に溶解しながら、その体積を減じつつA’
点へたどり着く。この焼結温度T1℃では固相:液相の
量比は、CD:ACで示される。
【0011】ここで、所定時間保持することにより、液
相焼結が進行し、液相が固相粉末の間に入込むことによ
り、固相粉末粒子間のブリッジを潰し、無用な空隙を無
くし、緻密化が促される。
【0012】そして、冷却過程では、上述の説明を逆に
辿って常温に至り、固相を成すR214B磁性結晶粒子
の界面が、液相を成すNd-Fe 固溶体相に覆われる構造
を呈する希土類永久磁石が生成される。
【0013】すなわち、図6に示される斜線の部分の組
成領域で、上述の液相焼結を以て製造されるため、磁性
相であり固相でもあるNd2Fe14 B相の他に液相より晶
出するNd-Fe 固溶体相、Nd Fe4B4 相、及び酸化物
相が併存することになり、これら各相の存在比に対応し
て、磁石特性(Br,Hc,(BH) max)も変化すること
になる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように、R2 14
B希土類永久磁石ではその焼結体の緻密化を図るために
は、焼結温度が高く焼結時間が長いこと、液相の体
積構成比が大きいこと、が条件とされる。
【0015】一方、Nd2Fe14 B希土類永久磁石の磁石
特性を向上させる条件は液相の体積構成比を減らし、固
相を成すR2 14B相の割合を増加させる必要がある。
このため、焼結温度が低く焼結時間が短いこと、液
相の体積構成比が小さいこと、が条件とされる。
【0016】よって、従来のR2 14B希土類永久磁石
では、焼結体の緻密化とその磁石特性の向上化を促す焼
結条件が二律背反の関係となり、満足な永久磁石を得る
ことが出来なかった。
【0017】一方、従来のR2 14B希土類永久磁石で
は液相は、体積構成比で15%以上をも占める融液を形
成する。しかも、従来法による液相成分を構成するNd-
Fe固溶体相は、物理的に被粉砕性に劣り、粗粉状に存
在する。
【0018】このため、焼結過程においては、焼結体の
緻密化に寄与せず無駄になるだけでなく、磁性粒子占積
率を小さくして、Brを低減させてしまう欠点がある。
【0019】また、冷却過程においては、液相焼結時の
液相融液の分布が不均一になり、結果的に大きな融液の
プールが発生してしまう為、焼結体の異方性に何等寄与
しないばかりか、却って、妨げてしまうランダムに配向
したR2 14B相を発生させる問題がある。
【0020】すなわち、液相より晶出するR2 14B金
属間化合物相(磁性結晶成分)は、その晶出時に存在す
る融液プールの場では磁場配向したR2 14B金属間化
合物結晶粒子(磁性結晶粒子)に係わりなく、別個独立
に晶出してしまう結果、液相より晶出する磁性結晶成分
は、融液プール中に、実質上、ランダムな配向状態を以
て晶出してしまい、何等磁性結晶粒子の磁気配向に関与
せず、異方性の高い磁石を得ることができないという問
題が有った。
【0021】また、従来の出発原料粉末を用いて生成さ
れたNd-Fe 固溶体相は、他の相に比べ、その存在量が
極めて少なく(34wt%Nd-1wt %B- 残部Fe)に存在す
るNd-Fe 固溶体相量は6vol %以下である。)、しか
も延性に富むために、被粉砕性が極度に悪い。このため
に、粒度分布が広くなってしまい、焼結時の液相の核で
あるNd-Fe 固溶体粉末と、固相であるNd2Fe14 B相
粉末との均一混合が困難である。
【0022】係る不均一性を解決する方法として、液体
の核の量比、即ち、出発原料粉末のNd-Fe 固溶体相量
を増加させることにより、焼結時の液相の分布を向上さ
せるものがある。ところが、この方法では、同時に、い
わゆる非磁性相となるNd-Fe 固溶体相も増加するた
め、Br,(BH)maxの減少を伴う欠点がある。
【0023】また、液相の分散性を向上させるために、
焼結温度を上昇させる方法がある。換言すれば、図2に
おいて、C点の組成の圧粉体をT1 とT2 の焼結温度で
比較した場合、焼結時の液相量は、T1 の場合、A’
C’/C’D’,T2 の場合、A”C”/C”G”とす
ると、T2 の方が固相量に対する液相量が増加するた
め、液相の分散性は見掛上向上させるものである。
【0024】ところが、この方法では、焼結温度の上昇
に伴う磁性結晶粒子の粒成長により、減磁カーブの角型
性、 iHc の劣化が生じるという欠点がある。
【0025】また、上述した焼結時の液相量を増加させ
る方法では、焼結温度から冷却する過程において、記述
したように、融液のプールが形成されるため、磁場中配
向により配向した固相の磁性結晶粒子とは異なる結晶方
位を持つR2 14B磁性結晶粒子が、液相より晶出する
割合が増加するため、焼結体の持つ配向度の低下による
磁石特性の劣化が生じる問題もある。
【0026】このように、圧粉体中の液相の核の分布状
態の不均一性の問題は難しく、その解決が強く望まれる
ものであった。
【0027】一方、温度特性を向上させるために、Fe
の一部をCoに置換したR・Fe,Co・B系焼結体中に
は、先に述べた各相の他に、磁気的に軟磁性を示すラー
フェス相と称されるRCo2相が存在するため、低磁場で
の逆磁区の発生源となり、焼結体のHcを著しく低下さ
せる欠点が有る。そのため、Hcを向上させる対策とし
て種々の元素を添加することも試みられるが、Hc の向
上率自体が低いばかりでなく、Brの低下をも伴うた
め、磁石特性の向上の対策としては好ましくない。
【0028】しかも、本系希土類磁石は、R(Nd)富裕
相を必然的に多く含む為に、製造プロセスにおいて非常
に酸化しやすいという欠点がある。
【0029】そこで、本発明の技術的課題は、上記欠点
に鑑み、液相量の体積構成比を低減させて、焼結体中
の磁性相(固相)の相対的な量を増加させると共に、液
相より晶出する未配向の磁性結晶粒子の量を低減させ
て、Br,(BH)maxの向上を図る、液相である融液の
プールを無くすることにより、固相を形成する予め磁場
配向した磁性結晶粒子(R2 14B金属間化合物結晶粒
子)とは別個独立に発生する液相より晶出する未配向の
磁性結晶粒子の出現を抑制し、液相より晶出する磁性結
晶成分(R2 14B金属間結晶相)を、予め磁場配向し
た磁性結晶粒子の表面に成長させて当該磁性結晶粒子と
一体化し、これにより磁場配向を一致させ、異方性の向
上を図る、焼結時に液相と成る成分に、被粉砕性及び
耐酸化性に優れた出発原料(液体急冷合金)を選択する
ことにより、製造工程における酸化を抑制し、焼結温度
を低下させ、減磁特性の角型性及びHc の向上を図る、
好ましくは、キュリー点を上昇させることにより、B
r の温度係数の改善を図る、好ましくは、焼結体中に
存在するラーフェス相であるRCo2相を減少させること
により、焼結体のHc の向上を図る、酸素含有量の少
ない出発原料を用いることにより、製造プロセスにおけ
る耐酸化性の向上を図る、焼結時に液相の核となり、
また、液相の主成分となるR- Fe-B粉末のFe-の一部
を遷移金属(Co,Ni,Cr,V,Ti,Mn,Cu,Zn,Zr,N
b,Mo,Hf,Ta,W)に置換した非晶質合金粉末又は微結
晶質合金粉末を用いることにより、磁性相界面付近にの
み、これら元素を濃縮させることにより、これら元素の
持つ特性を生かし、例えば、Nd,W等は、減磁カーブの
角型性を向上させる、また、Zn,Cu,Ni,Co 等は耐触
性向上に有効であり、更に、全ての場合において、Br
の低下を極力抑える、ことができる希土類永久磁石とそ
の製造方法を提供することである。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、磁場配
向されたR2 14B金属間化合物結晶粒子(ここで、R
はYを含む希土類元素Tは遷移金属を表す。)と、T,
Bから選択された少なくとも一つの元素とRとを含む液
体急冷合金より晶出して成るRT固溶体相及びR2 14
B金属間化合物相とを有し、前記液体急冷合金は前記R
2 14B金属間化合物結晶粒子よりも高いR組成値より
成り、前記R2 14B金属間化合物結晶相は前記R2
14B金属間化合物結晶粒子の表面に成長され、前記R2
14B金属間化合物結晶粒子間には前記RT固溶体相を
有しており、酸素含有量が2000ppm 以下であることを特
徴とする希土類永久磁石が得られる。
【0031】さらに、本発明によれば、R2 14B金属
間化合物粉末(ここで、RはYを含む希土類元素、Tは
遷移金属を表す。)に、T,Bから選択された少なくと
も一つの元素と前記R2 14B金属間化合物粉末よりも
高い組成値を有するRとを含む液体急冷合金粉末を混合
して混合粉末を形成する混合工程と、該混合粉末を磁場
中成形して液相焼結する焼結工程とを有することを特徴
とする希土類永久磁石の製造方法が得られる。
【0032】また混合工程では、体積構成比で0〜70
%(0を含まず)の液体急冷合金粉末と、残部のR2
14B金属間化合物粉末とを混合し、係る液体急冷合金粉
末は、実質的に32〜100重量%(100を含まず)
のR組成値を有する非晶質又は、微結晶質合金であるこ
とが好ましい。
【0033】すなわち、本発明は、液体急冷合金粉末及
び薄帯(アモルファス、微結晶質)より得られる非晶質
合金粉末又は微結晶質合金粉末と、R2 14B固相成分
を構成するインゴットを粉砕して得られるR2 14B系
金属間化合物粉末とを混合した圧粉体を液相焼結するこ
とにより、以下の効果を利用するものである。
【0034】非晶質合金粉末又は微結晶質合金粉末か
らなる液体急冷合金粉末は、従来の延性の高いインゴッ
トの粉末よりも、被粉砕性が高く、しかも耐酸化性に優
れているという特徴を有している。
【0035】そこで、希土類系永久磁石における耐酸化
性及び焼結温度に対し、大きな決定因子となっている含
有酸素量を、本発明においては、液体急冷合金粉末を出
発原料として用いることにより、製造プロセスにおける
酸化を抑えることができる。
【0036】即ち、酸素含有量を2000ppm 以下とするこ
とにより、最大エネルギー積は45MGOe 以上が得ら
れる。また、1500ppm 以下とすることにより、50MG
Oe以上が得られ、更に、1000ppm 以下にすることによ
り、55MGOe を得ることもできる。
【0037】よって、粉砕粒度分布がシャープで、しか
も、酸素含有量の低い原料粉末を用いることにより、焼
結性を向上させ、焼結温度を低下させることができ、か
つ、磁石特性を向上させることもできる。
【0038】換言すれば、液体急冷合金は、耐酸化性に
優れ、しかも、微少な粒径の粉末粒子とすることができ
るから、焼結温度を低下させて減磁特性の角型性及びH
c の向上を図ると共に、液相焼結時の融液をより均一に
分散させ、実質的に、融液のプールの発生を防止するこ
とができる。
【0039】また、非晶質合金又は微結晶質合金から
なる液体急冷合金粉末を、出発原料として用いることか
ら、焼結時の液相状態をそのまま固体化することが簡単
にできる為、例えば、図7において、C点における組成
を有する永久磁石を作成するとすれば、A(Nd2Fe14
B)相である粉末と、図中のE点の組成からなる液体急
冷状態の第2の粉末とを秤量混合して、C点の組成にし
た混合粉末圧粉体を作成して、焼結させる場合、焼結時
の昇温工程で、共晶温度(F点)にて、液相の核となる
E点の組成の液体急冷粉末が一斉に溶解し始める。その
結果、E点の組成の液体急冷粉末が液相となるため、常
温での固相と液相の核との量比は、CE:ACとなる。
【0040】従って、本発明によれば、前述した通りの
従来の方法に於ける固相:液相の比が、CB:ACであ
るのに比べ、固相に対する液相の核の比が多くなること
が分かる。
【0041】換言すれば、液相自体の量を増加させるこ
となく、一定量の液相下でより多くの液相の核を生成す
ることができ、しかも、上述したように、その原料とな
る粉末粒子の粒度分布はシャープであるために、更に従
来の方法に比べ、固相に対する液相の核の均一分散性を
より向上させることができる。
【0042】また、上述の通り、液相自体の量を増加
させることなく、一定量の液相下でより多くの液相の核
を生成することができるから、逆に、液相量の体積構成
比を、より低減することで、焼結に、融液のプールの発
生を防止し、融液プールを無くすことができるから、液
相より晶出する磁性結晶成分を、予め磁場配向した固相
である磁性結晶粒子(R2 14B金属間化合物結晶粒
子)の表面に成長させることができる。
【0043】このため、液相より晶出する未配向の磁性
結晶粒子が発生することがなく、予め磁場配向した固相
であるR2 14B磁性結晶粒子(R2 14B金属間化合
物結晶粒子)と一体に成長し、配向方向の調和した構造
を得ることができるから、より異方性の高い焼結体を製
造することができる。体中の固相である磁性結晶粒子
(R2 14B金属間化合物結晶粒子)の相対的な量を増
加させることができる。
【0044】よって、液相より晶出する未配向の磁性結
晶粒子の量を低減させ、Br,( BH)maxの向上を図るこ
とができる。
【0045】しかも液体急冷合金の優れた被粉砕性に
より、液相焼結時の融液をより均一に分散させ、実質的
に、融液のプールの発生を防止し、より小さな融液プー
ルを生成することができるから、液相より晶出した未配
向の磁性結晶成分を、予め磁場配向した固相である磁性
結晶粒子(R2 14B金属間化合物結晶粒子)の表面に
成長させることができる。
【0046】このため、液相より晶出する未配向の磁性
結晶粒子が発生することがなく、予め磁場配向した固相
であるR2 14B磁性結晶粒子(R2 14B金属間化合
物結晶粒子)と一体に成長し、配向方向の調和した構造
を得ることができるから、より異方性の高い焼結体を製
造することができる。
【0047】尚、好ましくは、固相を構成するR2
14B金属間化合物粉末において、Fe の一部をCo で置
換することにより、磁石のキュリー点を向上させること
ができるため、Br の温度係数の改善を図ることができ
る。
【0048】また、従来のR・Fe,Co ・B系合金同
志の混合により得られる焼結体中には、軟磁性を示すラ
ーフェス相を成すR( Fe,Co)2 相が多数存在するた
め、 iHc が低いが、本発明では、焼結時に液相の核と
なる液体急冷合金粉末にR・Fe ・B粉末を用いること
ができるから、ラーフェス相を減少させることができ、
iHc の向上をはかることもできる。
【0049】更に、本発明によれば、一方を焼結時に
固相である主相を形成するR2 14B粉末とし、他方を
焼結時に液相状態で固体化させた組成成分からなる液体
急冷合金粉末とするRの組成値がことなる2種類の粉末
を用いて粉末冶金法を行うことにより、液体急冷合金粉
末及びR2 14B金属間化合物粉末のどちらか一方にの
み、Fe の一部をCoに置換した遷移金属を添加するこ
とができる。
【0050】このことは、どちらか一方にのみFe の一
部をCoで置換することで、十分にキュリー点を上昇さ
せ、Br の温度計数を改善することができるという目的
と、双方でCo で置換したことによる焼結時のラーフェ
ス相( R( Fe,Co)2相)の発生の可能性を未然に回
避するという目的とを、同時に達成することができる。
【0051】また、液体急冷合金は、リボン状でも良
く、また、粉末状でも良い。しかも、リボンにキズ、穴
等の欠陥が有っても良いため、製造条件も簡易である。
【0052】本発明において、液体急冷合金粉末又は薄
帯(アモルファス及び微結晶)を有する非晶質合金又は
微結晶質合金粉末のR組成値を、R2 14B金属間化合
物粉末よりもR-rich の組成とし、32wt% 以上とした
のは、これよりも低いR組成の合金では、焼結温度まで
の昇温過程において、非晶質合金粉末又は微結晶質合金
粉末より析出する固相の量が多すぎ焼結性を阻害し特性
劣化を生ずるためである。
【0053】また、非晶質合金粉末又は微結晶質合金粉
末の添加量を0〜70vol%(0は含まず)としたのは、
70vol%を越えた領域では、固相粉末が少なすぎ成形時
の磁場配向の効果の低下によるBr の減少が著しくなる
ためである。
【0054】一方、Co は、Nd ・Fe ・B系磁石のキ
ュリー点を向上させ、Br の温度係数の改善に大きく寄
与するため、有効である。このCo 置換に関する文献と
して、既述したように、特開昭59-64733号公報がある。
この文献によれば、Co の添加に伴い iHc が著しく減
少するため、Fe の一部を置換する場合、好ましくは
0.5モル以下とする必要があるとしている。ここで本
発明による製法では、実質的に、磁性結晶粒子を形成す
るR2 14B相(第1の粉末)とRT固溶体相である界
面層を形成するR・T又はR・T・B相(第2の粉末)
とを別々に製造して、混合することが可能なため、第2
の粉末のFe をCo にて1モル置換即ち全量置換して
も、磁石焼結体としては、0.5モル以下にすることも
2 14B相(主相)の選択により可能である。それ
故、Co の置換量を0〜1.0モル分率としてある。
【0055】尚、Ni,Cr,V,Ti,Mn を0.7モル分
率、Cu,Zn を0.6モル分率、Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,
Wを0.4モル分率より多く置換すると、本発明による
磁石においては、上記遷移金属が磁性相であるR2 14
B相に過剰に拡散し、含有されるため、Br 、 iHc な
どの磁石としての諸特性の劣化が著しくなるため、上記
置換量以下とする必要がある。
【0056】
【実施例】(実施例1)界面層となるRT固溶体相を形
成する非晶質合金粉末のR( Nd)組成値に係る本発明の
実施例について述べる。
【0057】純度99wt% 以上のNd ・Fe ・Bを用い
アルゴン雰囲気中で高周波加熱によりNd 組成が23、
25、27、29、31wt% Nd (Bは1.0、1.2
wt%の2種類Febal) を有する結晶性R2 14B相を主
相とする粉末のインゴットを得た。次にこれらインゴッ
トを粗粉砕した。これら8種類の結晶性R2 14B相を
主相とする粗粉末を第1の粉末とした。
【0058】次に、上記同様のNd ・Fe ・Bを用い、
アルゴン雰囲気中にてその単ロール法を用い、超急冷に
よる非晶質合金でその組成、32Nd −1.0B、40
Nd−1.0B、54Nd −0.8B、65Nd −0.
6B、74Nd −0.6B、80Nd −0.3B、87
Nd −0.2B、95Nd −0.1B(いずれもFeba
l、wt% )の組成を有するアモルファス(非晶質合金)
リボンを得た。これら、非晶質合金を粉砕し、非晶質合
金粉末とした。そしてこれらアモルファスリボンより得
た8種類の粗粉末を第2の粉末とした。そしてこれらア
モルファスリボンより得た第2の粉末は配合比で、8vo
l%とし、残部92vol%は第1の粉末より選び、混合して
配合組成で(第1の粉末を2種以上組み合わせた試料も
ある)31Nd −1.0B−Febal(wt% )を有する8
種類の粗粉末を得た。次にこれら第1及び第2の粉末を
混合した粗粉末をボールミルを用いて平均粒径3〜5μ
m に微粉砕した。また、比較のために、31Nd −1.
0B−Febalを有するインゴット法のみによって得た粉
末を得、以下同様に焼結したものを比較例とした。これ
ら粉末を(20)koeの磁界中1. 0t/cm2 の圧力で
成形し、1000〜1100度で2時間Ar 中焼結し、炉冷し
た。
【0059】その後、時効処理として、これら焼結体を
500 〜600 ℃で1時間加熱した後急冷した。
【0060】図1に、非晶質合金粉末のNd の組成を変
化させ、その組成値に応じた焼結温度(1000〜11
00℃)で得られた焼結体の中で最も高い磁石特性の値
(○印)を示す。また比較例として、31Nd −1.0
B−Febal一種のインゴットより得た焼結体の磁石特性
の値(●印)も図中に記載した。結晶性R2 14B相を
主相とする粉末よりもR−rich、即ちNd −richである
Nd 組成32〜95wt% の非晶質合金粉末を混合して得
られた本発明の焼結体で磁石特性の向上が認められた。
【0061】図1の実施例では、最終的な組成は、31
Nd −1.0B−Febalとしたにもかかわらず、インゴ
ット法のみの粉末により得た比較例とインゴット法粉末
である結晶性R2 14B粉末と非晶質合金粉末とを混合
して得られた本発明の試料とでは格段の改善がなされて
いることが明らかである。
【0062】即ち、残留磁束密度Br では、比較例は1
3.8KGaussであるのに対し、本発明のものは14G
aussを越え、多きいものは15KGaussにも達してい
る。また、保持力 iHc では、比較例は5.3koeがせ
いぜいであったのが、本発明のものは8koe以上と大き
く改善され、高いものは10koeにも達している。
【0063】また、最大エネルギー積(BH)max で
は、比較例は33(MGOe )に対し、本発明は46
(MGOe )以上で、安定して50(MGOe )以上が
得られ最高のものは55(MGOe )にも達し、特開昭
59-46008号での(BH)max 35(MGOe )とは大き
な飛躍である。この値は本発明においてはじめてなし得
るものであった。
【0064】図1において、非晶質合金である第2の粉
末のNd の量は32wt% 以上が良く、これ以下ではBr
の改善は見られなかった。なお、特に第2の粉末のNd
値は50〜80wt% の時がBr, iHc (BH)max とも
大きく好ましい値である。これはインゴット法による磁
性相を形成する結晶性R2 14Bの固相と非晶質合金と
が最適に配合されることにより、非晶質合金が低温で液
相となるため、液相焼結を促進するためと考えられる。
【0065】(実施例2)界面層となるRT固溶体相を
形成する非晶質合金粉末の体積混合比に係る本発明の実
施例について述べる。
【0066】実施例1と同様にして、Nd 組成が28、
29、30、31wt% Nd (Bは1.0wt% −Febal)
を有するR2 14B相を主相とするインゴットの粗粉末
を第1の粉末とした。次に、実施例1で得られた第2の
粉末である32Nd −1.0B−Febal(wt% )の組成
を有する非晶質合金粉末は、配合比率で5〜75vol%
(5、10、20、30、40、50、60、70、7
5各vol%)とし、残部は第1の粉末より選び、配合組成
で31Nd −1.0B−Febal(wt% )の組成を有する
9種類の粗粉末を得た。これら粗粉末を、実施例−1と
同様に微粉砕、磁場中成形、焼結を行った後、時効処理
として、500〜600℃で1時間加熱後急冷した。
【0067】図2にアモルファスリボンにより得られた
第2の粉末の混合量を変化させ、その混合量に応じた焼
結温度(1000〜1100℃)で得られた焼結体の中
で、最も高い磁石特性の値(○印)を示す。ここで混合
量0vol%は前記実施例1で得られた比較例(●印)の3
1Nd −1.0B−Febalのインゴットより得られた焼
結体を示している。
【0068】図2に示すとおり、32Nd −1.0B−
Febal(wt% )のアモルファスリボンより得られた非晶
質合金粉末の混合量が0〜70vol%(0は含まず)の間
で磁石特性の向上が認められる。即ち、非晶質(アモル
ファス)合金の粉末を混合することによりBr 、 iHc
また(BH)max も向上していることが明らかである
が、インゴットの粉末に対して5〜70vol%以上の混合
比であれば、特性改善が図られる。特に(BH)max が
40(MGOe )以上とするには混合比は5〜60vol%
の範囲で可能であり、さらに好ましくは5〜50vol%と
すれば45(MGOe )以上とすることが可能である。
これらは本発明のように結晶質R2 14B粉末であるイ
ンゴット粉末と非晶質合金又は微結晶合金の粉末とを所
定の体積比で混合して焼結することによって可能とした
ものである。
【0069】(実施例3)Fe の一部をCo で置換した
結晶性R2 14B粉末に混合する非晶質合金粉末のR
(Nd)組成値に係る本発明の実施例について説明する。
【0070】純度95wt% 以上のNd:Fe:Co:Bを用い
て、Ar 雰囲気中で高周波加熱により23Nd −15.
8Co −1.0B−Febal、25Nd −15.4Co −
1.0B−Febal、27Nd −15.0Co −1.0B
−Febal、29Nd −14.8Co −1.0B−Feba
l、の組成を有する4種類のインゴットを得た。いずれ
もFe を0.2モルのCo で置換した。これらインゴッ
トをディスクミルを用いて粗粉砕し第1の粉末とした。
【0071】次に上記同等のNd ・Fe ・Bを用いて、
32Nd −1.0B−Febal、40Nd −1.0B−F
ebal、54Nd −1.0B−Febal、65Nd −1.0
B−Febal、74Nd −1.0B−Febal、 80Nd
−1.0B−Febal、92Nd −1.0B−Febal、9
7Nd −1.0B−Febal、(いずれもwt% )の組成を
有するアモルファスリボン細片を得た。これらアモルフ
ァスリボン細片を粗粉砕し、得られた8種類の非晶質合
金粉末を第2の粉末とした。そして、これら第2の粉末
は配合比で8vol%とし、残部92vol%は第1の粉末より
選び混合して、配合組成で30Nd −14.4Co −
1.0B−Febal、(wt% )の組成を有するインゴット
のみを得て、粗粉砕して、以下同様に焼結したものを比
較例とした。次に、これら粗粉末をボールミルを用い
て、平均粒径3〜5μmに微粉砕した。これら粉末を2
0koeの磁界中1.0t /cm2 の圧力で成形した。これ
ら圧粉体を1000〜1100℃で、1時間Ar 中で焼
結した。
【0072】その後これら焼結体を、時効処理として、
500〜700℃で1時間加熱後急冷した。
【0073】図3に、非晶質合金粉末組成を変化させ、
その組成値に応じた焼結温度(1000〜1100℃)
で得られた焼結体の中で最も高い磁石特性の値(○印)
を示す。また、比較例の30Nd −14.4Co −1.
0B−Febal一種類のインゴットより得た焼結体の磁石
特性の値(●印)も、図中に記載した。Nd 組成32〜
97wt% の非晶質合金粉末を混合して得られた焼結体で
磁石特性の向上が認められる。
【0074】(実施例4)Fe の一部をCo に置換した
結晶性R2 14B相を主相とする粉末との非晶質合金粉
末の体積混合比に係る本発明の実施例について述べる。
【0075】実施例3で得られた第2の粉末アモルファ
スリボン細片の粉末を配合比率で0〜75vol%まで変化
させ、残部は第1の粉末とし、配合組成で、30Nd −
14.4Co −1.0B−Febal(wt% )となるよう
に、第1の粉末、第2の粉末より粉末を選び、配合し、
8種類の粗粉末を得た。次に、これら粗粉末を実施例3
と同様にして、圧粉体を得た。これら圧粉体を1000
〜1100℃で2時間Ar 中で焼結した。その後これら
焼結体を、時効処理として、500〜700℃で1時間
加熱した後急冷した。
【0076】図4にアモルファスリボンより得られた非
晶質合金粉末の混合量を変化させ、その混合量に応じた
焼結温度(1000〜1100℃)で得られた焼結体の
中で最も高い磁石特性の値(○印)を示す。ここで混合
量0vol%は、実施例3で得られた比較例(●印)の30
Nd −14.4Co −1.0B−Febalのインゴットよ
り得られた焼結体を示している。その結果アモルファス
リボンより得られた非晶質合金粉末の混合量が、0〜7
0vol%(0を含まず)の間で磁石特性の向上が認められ
る。
【0077】(実施例5)結晶性R2 14B粉末におけ
るCo 置換量に係る本発明の実施例について述べる。
【0078】純度95wt% 以上のNd ・Fe ・Co ・B
を用いてAr 雰囲気中で高周波加熱により、27Nd −
1.0B−Febal、27Nd −1.0B−7.6Co −
Febal、27Nd −1.0B−15.0Co −Febal、
27Nd −1.0B−22.5Co −Febal、27Nd
−1.0B−29.8Co −Febal、27Nd −1.0
B−37Co −Febal、27Nd −1.0B−44Co
−Febal、27Nd −1.0B−51.2Co −Feba
l、(各wt% )の組成を有する8種類のインゴットを得
た。尚、Fe のCo による置換基は、0、0.1、0.
2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7モル分率
とした。これらインゴットを、ディスクミルを用い粗粉
砕し、8種類の粗粉末を得、これを第1の粉末とした。
【0079】また、上記と同様のNd ・Fe ・Bを用
い、アルゴン雰囲気中にて単ロール法により、74Nd
−1.0B−Febal(wt% )の組成を有するアモルファ
スリボン細片を得た。そして、このリボン細片を粗粉砕
しこれを第2の粉末とした。
【0080】次に、第1の粉末の8種類の粗粉末おのお
のに、第2の粉末を混合し30Nd−1.0B−(Fe
Co )bal (wt% )の配合組成を有する8種類の粗粉末
を得た。
【0081】次にこれら粉末より、実施例3と同様にし
て圧粉体を得た。
【0082】これら圧粉体を、1000〜1100℃で
1時間Ar 焼結した。その後、これら焼結体を時効処理
として、500〜700℃で1時間加熱した後急冷し
た。また、これらの焼結体のキュリー温度をVSMを用
いて測定した。
【0083】図5にCo 置換量を0〜0.7モル分率ま
で変化させた時のキュリー温度を示す。Co 置換量が0
〜0.7(0は含まず)モル分率の間で、キュリー温度
の向上が認められた。
【0084】(実施例6)Fe の一部をCo で置換した
磁性結晶粒子を形成する結晶質R2 14B粉末と、種々
の遷移金属(Co を除く)を変化させた界面層を形成す
る非晶質合金粉末とを混合した場合の本発明に係る実施
例を述べる。
【0085】純度95wt% 以上のNd ・Fe ・Co ・B
を用いて、Ar 中雰囲気中で高周波加熱により27Nd
−1.0B−15Co −Febal wt%(Co 0.2 モル分率
の置換)の組成を有するインゴットを得た。このインゴ
ットをディスクミルで粗粉砕し、第1の粉末とした。次
の、上記同等のNd ・Fe ・B・Ni,Cr,V,Ti,Mn,
Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W) の組成を有する13
種類のアモルファスリボン細片を単ロール法を用いて製
造した。これらアモルファスリボン細片を粗粉砕して、
得られた13種類の非晶質合金粉末を第2の粉末とし
た。そして、第1の粉末は、重量配合比で88.4wt%
とし、残部11.6wt% は第2の粉末の13種類のおの
おのより選び混合して、13種類の組成を有する混合粉
末を得た。次に、これら粗粉末をボールミルを用いて平
均粒径3〜5μmに粉砕した。
【0086】これら微粉末を20koeの磁界中1.0t
/cm2 の圧力で成形した。これら圧粉体を1000〜1100℃
で2時間Ar 中で焼結した。その後、これら焼結体を、
時効処理として、500〜700℃で1時間加熱し急冷
した。
【0087】下記の表1にこれら粉末組成より得られた
焼結体の磁石特性を示す。その結果、いずれもフェライ
ト磁石、Sm-Co 系磁石よりも高いエネルギー積を示
し、優れた永久磁石材料であることが認められた。
【0088】
【表1】
【0089】(実施例7)非晶質金属粉末のFe の一部
をCo 又はその他の遷移金属で置換した場合の本発明に
係る実施例を述べる。
【0090】純度95wt% 以上のNd ・Fe ・Bを用
い、Ar 雰囲気中で高周波加熱により、27Nd −1.
0B−Febal(wt% )の組成を有するインゴットを得
た。
【0091】このインゴットをディスクミルを用い粗粉
砕し第1の粉末とする。次に、上記同等のNd ,Fe ,
B,Co ,Ni ,Cr ,V,Ti , Mn , Cu,Zn , Z
r ,Nb , Mo , Hf , Ta , Wを用いて、70Nd −
1.0B−(Fe 0.8,T 0.2)bol wt% (T=Co,Ni,
Cr,V,Ti,Mn,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W)の
組成を有する14種類のアモルファスリボン細片を、単
ロール法を用い製造した。これらアモルファスリボン細
片を粗粉砕し、第2の粉末とした。
【0092】そして、第1の粉末は、重量配合比で8
8.4wt% とし、残部11.6wt% は基材の14種類の
おのおのより選び、混合して混合粉末を得た。次に、こ
れら混合粉末をボールミルを用いて、平均粒径3〜5μ
mに微粉砕した。これら粉末を20koeの磁界中1.0
6/cm2 の圧力で成形した。これら圧粉体を1000〜
1100℃で2時間Ar 中で焼結した。その後、これら
焼結体を、時効処理として、500〜700℃で1時間
加熱し急冷した。
【0093】下記の表2に、これら粉末組成より得られ
た焼結体の磁石特性を示す。その結果、いずれもSm-C
o 系磁石よりも高いエネルギー積を示し優れた永久磁石
材料であることが認められた。
【0094】
【表2】
【0095】(実施例8)実施例1において、得られた
焼結体についてその含有酸素量と磁石特性の関係を明確
にするため、焼結体の含有酸素量の分析を行った。第3
表に得られた磁石特性とその焼結体の含有酸素量を示
す。
【0096】下記の表3よりわかるように、高性能磁石
焼結体を得るためには、その含有酸素量も重要な因子で
あり45MGOe 以上を得るためには、2000ppm 以下、
50MGOe 以上を得るためには、1500ppm 以下、そし
て55MGOe を得るためには、1000ppm 以下とする必
要があることがわかる。
【0097】
【表3】
【0098】(実施例9)純度99wt% 以上のNd ・F
e ・Bを用い、26.7Nd ・ 1.0B・Febal(wt%)の組
成を有するインゴットを、Ar 中高周波溶解により得
た。また、上記と同等のNd ・Fe ・B及びCu , Co,
Ni を用い、60Nd −1.0B−20.4Co (0.
5mol 置換)−Febal、60Nd −1.0B−12.8
Co (0.3mol 置換)−Febal、60Nd −1.0B
−13.1Ni (0.3mol 置換)−Febalの組成を有
するアモルファスリボン細片を実施例−1と同様にして
得た。これらアモルファスリボンを粉砕して得た粉末お
のおのに、前記インゴットより得た粗粉末を混合して、
Nd 値が31wt% となるようにした。これら粗粉末を実
施例−1と同様に粉砕熱処理を行い、試料を得た。さら
に、これら試験片に電解Ni メッキを施した。さらに比
較例として、実施例1での比較材の31Nd −1.0B
−Febalの試料に対しても電解Ni メッキを施した。こ
れらメッキ厚さを測定したところ最小で7μm最大で2
5μmであった。これら試験片を用いて60℃×90%
の恒温恒湿試験を300hr 行った。これら耐食テスト
の結果及び磁石特性を下記の表4に示す。
【0099】表4よりわかるように本発明の磁石は従来
のものに比べ、磁石特性が、優れているだけでなく、そ
の耐食性にも優れていることがわかる。
【0100】※ 参考文献 (1)M.Sagawa et. al; Jeurnal ofAPPLIED PHYSI
CIS vol. 24, NO. 8(1985)635
【表4】
【0101】
【発明の効果】以上の説明通り、本発明によれば、 粉砕粒度分布がシャープで、しかも、酸素含有量の
低い液体急冷合金粉末を用いることにより、焼結性を向
上させ、焼結温度を低下させ、減磁特性の角型性及びH
c の向上を図ると共に、液相焼結時の融液をより均一に
分散させ、実質的に融液のプールの発生を 防止するこ
とができる。
【0102】 また、一定量の液相下でより多くの液
相の核を生成することができるから、逆に、液相量の体
積構成比を、より低減することで、焼結体中の固相であ
る磁性結晶粒子(R2 14B金属間化合物結晶粒子)の
相対的な量を増加させて、液相より焼結晶出する未配向
の磁性結晶粒子の量を低減させ、Br(BH)max の向上
を図ることができる。
【0103】 更に、液体急冷合金の優れた被粉砕性
により、液相焼結時の融液をより均一に分散させ、且
つ、磁性結晶粒子の表面を均一に濡らして、実質的に、
融液のプールの発生を防止し、焼結後の冷却過程におい
ては、液相より磁性結晶成分を、予め磁場配向した固相
である磁性結晶粒子(R2 14B金属間化合物結晶粒
子)の表面に晶出成長させ、磁性結晶粒子と一体のもの
とした配向方向の調和した構造を得ることができるか
ら、より異方性の高い焼結体を提供することができる。
【0104】 焼結時に液相の核となる液体急冷合金
粉末にR・Fe ・B粉末を用いることができるから、ラ
ーフェス相を減少させることができ、 iHc の向上を図
ることもできる。
【0105】 尚、好ましくは、固相を構成するR2
14B金属間化合物粉末において、Fe の一部をCo で
置換することにより、磁石のキュリー点を向上させるこ
とにより、磁石のキュリー点を向上させることができる
ため、Br の温度係数の改善を図ることができる。
【0106】 液体急冷合金粉末及びR2 14B金属
間化合物粉末のどちらか一方にのみ、Fe の一部をCo
に置換した遷移金属を添加することができ、十分にキュ
リー点を上昇させ、Br の温度計数を改善することがで
きるという目的と、双方でCo で置換したことによる焼
結時のラーフェス相(R(Fe ,Co )2相)の発生の
可能性を未然に回避するという目的とを、同時に達成す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるNd ・Fe ・B系イ
ンゴットを粗粉砕して得られる結晶性R2 14B相を主
相とする粉末(第1の粉末)とNd ・Fe ・B系アモル
ファスリボンより得られる非晶質合金粉末(第2の粉
末)を混合して焼結体を得た時のアモルファスリボンよ
り得た粉末(第2の粉末)のNd 組成値と磁石特性との
相関図。
【図2】本発明の実施例2におけるNd ・Fe ・B系イ
ンゴットを粗粉砕して得られる結晶性R2 14B粉末
(第1の粉末)に対する、32Nd −1.0B−Febal
(wt% )のNd ・Fe ・B系のアモルファスリボンより
得た非晶質合金粉末(第2の粉末)の体積混合比と磁石
特性との相関図。
【図3】本発明の実施例3におけるNd ・Fe ・Co ・
B系インゴットを粗粉砕して、得られる結晶性R2 14
B粉末(第1の粉末)と、Nd ・Fe ・B系アモルファ
スリボンより得た非晶質合金粉末(第2の粉末)の組成
値と、磁石特性との相関図。
【図4】実施例4におけるNd ・Fe ・Co ・B系イン
ゴットを粗粉砕して得られる結晶性R2 14B粉末(第
1の粉末)に対するNd ・Fe ・B系アモルファスリボ
ンより得た非晶質合金粉末(第2の粉末)の混合比と磁
石特性との相関図。
【図5】本発明の実施例5におけるCo 置換量を変化さ
せた結晶性R2 14B相を主相とする粉末(第1の粉
末)と、非晶質合金粉末(74Nd −1.08B−Feb
alwt% )とを混合して得られた焼結体のCo 置換量と、
キュリー温度との相関図。
【図6】図6はNd ・Fe ・B3系状態図。
【図7】図7は図6においてA(Nd2Fe14 B)−Nd
で切断した場合の擬2元Nd2Fe14B−Nd の模式的
な状態図。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R2 14B金属間化合物粉末( ここで、
    RはYを含む希土類元素、Tは遷移金属を表す。)に、
    T,Bから選択された少なくとも一つの元素と前記R2
    14B金属間化合物粉末よりも高い組成値を有するRと
    を含む液体急冷合金粉末を混合して混合粉末を形成する
    混合工程と、該混合粉末を磁場中成形して液相焼結する
    焼結工程とを有することを特徴とする希土類永久磁石の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 特許請求の範囲第1項記載の希土類永久
    磁石の製造方法において、前記混合工程は、体積比で、
    0〜70%(0は含まず)の前記液体急冷合金粉末と、残
    部の前記R2 14B金属間化合物粉末とを混合し、当該
    液体急冷合金粉末は、実質的に32〜 100重量%(100 を
    含まず)のR組成値を有する非晶質合金または微結晶質
    合金より成ることを特徴とする希土類永久磁石の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 特許請求の範囲第1項又は第2項記載の
    希土類永久磁石の製造方法において、前記液体急冷合金
    粉末に含まれるTは、Feであることを特徴とする希土
    類永久磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 特許請求の範囲第1項又は第2項記載の
    希土類永久磁石の製造方法において、前記液体急冷合金
    粉末に含まれるTは、Feの一部を当該他の遷移金属
    (Co,Ni,Cr,V,Ti,Mn,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Hf,
    Ta,W)で置換して成ることを特徴とする希土類永久磁
    石の製造方法。
  5. 【請求項5】 特許請求の範囲第4項記載の希土類永久
    磁石の製造方法において、前記置換した遷移金属の置換
    比は、 Co; 0〜1.0 mol 分率、 Ni,Cr,V,Ti,Mn; 0〜0.7 mol 分率、 Cu,Zn; 0〜0.6 mol 分率 Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W ; 0〜0.4 mol 分率、 (0を含まず)であることを特徴とする希土類永久磁石
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 特許請求の範囲第1項〜第4項記載のい
    ずれかの希土類永久磁石の製造方法において、前記R2
    14B金属間化合物粉末に含まれるTは、Feの一部を
    0〜1.0 mol 分率(0を含まず)の置換比で、Coで置
    換したものであることを特徴とする希土類永久磁石の製
    造方法。
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