JP2631398B2 - 工具用ダイヤモンドチップ及びダイヤモンドチップを用いた切削工具 - Google Patents

工具用ダイヤモンドチップ及びダイヤモンドチップを用いた切削工具

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JP2631398B2 JP30481788A JP30481788A JP2631398B2 JP 2631398 B2 JP2631398 B2 JP 2631398B2 JP 30481788 A JP30481788 A JP 30481788A JP 30481788 A JP30481788 A JP 30481788A JP 2631398 B2 JP2631398 B2 JP 2631398B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、天然ダイヤモンド単結晶を用いた工具用
ダイヤモンドチップと、そのダイヤモンドチップを用い
た切削工具に関するものである。
〔技術的な背景〕
ダイヤモンド単結晶は、実在する物質の中で最も硬度
が高く工具として最適な特性を備えている反面、極めて
衝撃に弱く、へき開性等の結晶に特有の欠陥特性も持っ
ている。
また、同一の結晶においても、結晶面ごとに、また同
じ結晶面であっても結晶方向の違いにより研磨特性や強
度特性が大きく異なることが知られている。第7図はダ
イヤモンド結晶における研磨性の難易度の違いを模型的
に示したものであり、結晶面ごとに研磨のしやすさを数
値の大きさで表わしている。図中、実線の矢印は易研
磨、破線の矢印は難研磨の方向を示しており、同一結晶
面でも方向によって研磨特性に大きな相違のあることが
わかる。
このように結晶面や方向ごとに特有な性質をもつダイ
ヤモンド単結晶を用いて、高い切削性能と安定した長寿
命を実現するダイヤモンド工具を得るためには、衝撃的
な切削力に対して充分な強度を持つ切刃形状と共に、結
晶面や結晶方位の特性を切刃の形状に正しく生かした切
刃設計が必要になる。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来より、セラミックス加工等に用いられているダイ
ヤモンド切削工具は、ダイヤモンド単結晶のチップをホ
ルダーの先端にロウ付等により取付け、このチップを研
磨加工して切刃を形成し使用されている。
しかし、この構造のものでは結晶原石の結晶面や結晶
方向を全く考慮せずに切刃を形成させるために、切刃と
なる結晶面や結晶方向が変わるごとに切削性能に大きな
ばらつきが生じる欠点があった。
また、上記従来の切刃は、くさび角がほぼ90゜程度に
されているが、セラミックスのような脆性材料を切削す
る場合切削力の変動が激しくなるために、上記くさび角
では切刃強度が不十分になり、切削中切刃の欠けやチッ
ピングが生じ易く、長時間にわたって安定した切削寿命
が得られない欠点がある。
このような従来工具の欠点に対処するため、天然ダイ
ヤモンドの12面体や8面体の結晶を未加工のまま工具用
チップとして使用する方法が提案されている。これは、
ダイヤモンド結晶原石のコーナー部を自然のままで切削
工具の切刃として使用し、各コーナー部を使用した後は
次の新しい結晶原石に交換するもので、単結晶をそのま
まツールホルダーに取付けるものである。
上記構造において、12面体単結晶を用いた場合、結晶
のコーナー部の結晶面が鈍角に交差しているため、切刃
として使用した場合大きなくさび角が得られる利点があ
る。例えば第8図に示すように、4つの結晶面({11
0}面)11、11、11、11が交わるコーナー部12を切刃先
端にとり、切削方向を<110>方向にとると、大きな切
刃強度が得られる。
ところが、通常の天然ダイヤモンドの12面体結晶は、
幾何学的に正確な形状に整ったものがきわめて少なく、
特にコーナー部は欠けたり丸みを帯びて明確なコーナー
形状になっていないことが多い。このため、結晶原石の
コーナー部をそのまま用いて鋭利な切刃を得るのが非常
に難しいのが実状である。また、研磨加工を施してより
鋭利なコーナー部を形成しようとすると、コーナー部を
形成する4つの結晶面を全て平面研削する必要があり、
このような平面研削は加工コストが高くなるという不具
合がある。
これに対して、天然8面体結晶は、原石の形状が比較
的明瞭でコーナー部も鋭利なものが得やすい利点がある
が、コーナー部のくさび角が天然12面体結晶に比べて小
さいために、摩耗のスピードが早く寿命が短いという欠
点がある。
〔発明の目的] この発明は、形が比較的明瞭で鋭利なコーナーが得や
すい8面体結晶の特徴に着目し、この8面体結晶に簡単
な加工を施すことにより、12面体結晶のコーナー部が鋭
利な場合に相当する切刃コーナーを具備した工具用ダイ
ヤモンドチップを提供することを第1の目的とする。
また、第2の目的は、上記ダイヤモンドチップを用い
て結晶特性の利点を切削切刃に生かした高寿命の切削工
具を提供することにある。
〔目的を達成するための手段〕
上記の第1の目的を達成するため、この発明は、第1
図及び第2図に示すごとく、天然ダイヤモンド8面体単
結晶1のコーナ部に集まる4本の全ての稜線2に、その
稜線と単結晶中心Oを含む面に対して直角な面({11
0}面)3、3、3、3をそれぞれ面取りし、この面取
りした面3、3、3、3と面取りした面3の交差点4と
で切刃を構成したものである。
なお、稜線2の面取りは、図示のように稜線全体に施
すのではなく、切刃として使用する少なくともコーナー
部近傍部だけに施すようにしてもよい。
上記のように面取りした面3、3、3、3は、第1図
と第8図を対照すると解るように、12面体結晶10の4つ
の結晶面({110}面)11、11、11、11と同一の結晶面
となる。すなわち、この面取り面3、3、3、3とその
面取り面の交差点4を切刃とすると、第8図の12面体結
晶のコーナー部を切刃とした場合と同等の結晶方位にな
り、くさび角とすくい面も12面体結晶と同様のものが得
られ、大きな切刃強度を得ることができる。また、上記
の場合、切刃の頂点部となる面取り面3の交差点4が加
工により形成されるので、鋭利な切刃部が得られ、コー
ナー部を未加工のまま使用する場合に比べてはるかに切
削性能に優れる利点がある。
また、上記のごとき面取り加工は、稜線を削り取って
平面に形成するものである。そのため、研磨加工も平面
を研磨するのに比べて著しく容易であるから、低コスト
で形成できる利点がある。
なお、上記ダイヤモンドチップ1は、8面体結晶の6
つのコーナー部全部を切刃として利用できるので、従来
構造の1原石1切刃のものよりかなりの経済性が得られ
る。6つのコーナー部が全部摩耗すれば、新しいチップ
に交換するようにする。また、摩耗したものは再研磨し
て使用する。
一方、第2の目的を達成するため、この発明は、第3
図に示すごとくホルダー5の先端に、上記ダイヤモンド
チップ1を、その面取り面3の交差点4を各面取り面
3、3、3、3が回転する被削材9の仕上げ面に対して
等角度で配置されるように被削材9方向に向け、<110
>結晶方向を切削方向に向けて取付けた構造を採用した
ものである。
この内容について以下説明する。
通常、ダイヤモンド結晶を工具用チップとして使用す
る場合、すくい面には、3主要面{100}{110}{11
1}のうち、主として加工性の点から{100}面又は{11
0}面の2つの結晶面のいずれかが用いられている。本
発明者等は、この両結晶面について研磨難易度を比較
し、第5図に示すような結果を得た。
すなわち、第5図(a)(b)は、それぞれ結晶面
{110}と{100}において研磨方向を変化させて得られ
た研磨量の大きさを示しており、図により結晶面{11
0}は{100}に比べて研磨量が大きく、かつ、(a)
(b)いずれも<100>方向で易研磨、<110>方向で難
研磨であることが示されている。
また、第5図(b)に示すように結晶面{100}上で
は研磨量は<100>方向で比較的大きく、<110>方向で
は非常に少なく、<110>方向では非常に難研磨性であ
ることを示している。
このように難研磨特性を示す結晶面は、研磨盤との接
触において、削り取られる量が少ないことを示し、当然
切削加工時においても摩耗量が少ないと想定される。そ
こで、本発明者等は、研磨量が小さく難研磨性の結晶面
及び結晶方向を、切削的に摩耗が生じ易い工具の個所と
一致させて選ぶことにより、耐摩耗性の高い工具を形成
できると考えた。すなわち、耐摩耗性の高い結晶面
({110}面ではなく{100}面)を工具のにげ面摩耗が
発生する面とし、耐摩耗性の高い結晶方向(<100>方
向ではなく<110>方向)を切削方向(仕上げ面創成方
向)に一致させたのである。
第1図に示したチップ1において、{100}面は、面
取り面3、3、3、3とは等角度の平面であり、その面
において<110>方向は、A線に示す方向である。この
考案の切削工具では、ダイヤモンドチップ1を、上記
{100}面を被削材9の仕上げ面と平行する方向に位置
させ、かつA線を切削方向に向けてホルダー5の先端に
取付けて形成される。この状態で、第4図に示すように
切刃のすくい角αは−60゜、逃げ角βは30゜となり、切
削方向のくさび角Cが120゜の刃先が得られる。
なお、第6図は、ダイヤモンドチップをホルダーに固
定するクランプ装置の一例を示したものである。このク
ランプ装置は、鋼材で形成されるホルダー5とクランプ
用板金6の間に口金8、8を介してダイヤモンドチップ
1をはさむ構造のものである。口金8、8は、第3図に
示すようにチップ1の形状に沿ってチップ1を固定でき
る溝状の加工が施されており、その後、ボルト7で板金
6を締め付けてダイヤモンドチップ1をホルダー5に固
定する。
したがって、上記構造において、口金8はダイヤモン
ドチップ1を第3図の説明で述べた位置に正確に位置決
めする作用をする。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明は、整った形状の得や
すい8面体結晶の稜線を面取りすることにより12面体の
コーナー切刃を作り出すものであるから、安価なコスト
で常に安定した刃先形状を得ることができ、長寿命で安
定した切削性能を有するダイヤモンドチップを提供する
ことができる。
また、上記ダイヤモンドチップのコーナー部や切削方
向を結晶の難研磨方向に合わせることにより、高い耐摩
耗性を切刃に与えることが可能になり、極めて高い切刃
寿命を持つ切削工具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に係るダイヤモンドチップを示す斜視
図、第2図は同上の構成説明図、第3図はこの発明に係
る切削工具及び被削材との位置関係を示す図、第4図は
同上の切刃部分を示す図、第5図(a)、(b)はそれ
ぞれ結晶面{110}と{100}の研磨特性を示す図、第6
図はクランプ装置の一例を示す側断面図、第7図はダイ
ヤモンド結晶の研磨特性を模式的に示した図、第8図は
12面体結晶を示す斜視図である。 1……ダイヤモンドチップ、 2……稜線、3……面取り面、 4……交差点、5……ホルダー、 9……被削材。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然ダイヤモンド8面体単結晶のコーナ部
    に集まる4本の全ての稜線を、少なくとも前記コーナー
    部近傍においてその稜線と単結晶中心を含む面に対して
    直角な面にそれぞれ面取りし、この面取り面と面取り面
    が交差する交差点とで切刃を構成して成る工具用ダイヤ
    モンドチップ。
  2. 【請求項2】請求項(1)記載のダイヤモンドチップ
    を、その面取り面の交差点を各面取り面が被削材の仕上
    げ面に対して等角度で配置されるように被削材方向に向
    け、<110>結晶方向を切削方向に向けてホルダに取付
    けて成るダイヤモンドチップを用いた切削工具。
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JP4556383B2 (ja) * 2002-11-29 2010-10-06 コニカミノルタホールディングス株式会社 転写光学面の加工方法
JP5031500B2 (ja) * 2007-09-18 2012-09-19 オーエスジー株式会社 ダイヤモンド切削部材の製造方法
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