JP2631177B2 - メモリー型液晶調光パネル - Google Patents

メモリー型液晶調光パネル

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JP2631177B2
JP2631177B2 JP4225077A JP22507792A JP2631177B2 JP 2631177 B2 JP2631177 B2 JP 2631177B2 JP 4225077 A JP4225077 A JP 4225077A JP 22507792 A JP22507792 A JP 22507792A JP 2631177 B2 JP2631177 B2 JP 2631177B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電圧の印加または除去
により液晶の光散乱状態を変化させる電気光学効果を利
用して、パネルの光の透過、散乱を行う液晶調光パネル
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶の電気光学効果を利用した液
晶調光パネルが多数提案されている。中でも、液晶をポ
リマーマトリックス中に微分散した液晶分散ポリマー層
を用いたものは、偏光板や配向膜などが不要なために比
較的容易に明るく大きな画面が得られる為に、近年注目
を集めており、特公平3−52843号、特公表昭63
−501512号などの公報には、液晶分散ポリマー層
を透明電極で挟持してなる液晶調光パネルが提案されて
いる。
【0003】また本発明の液晶調光パネルと同様の構成
の液晶調光パネルとして、特開平2−304418号の
公報により、透明フィルム1、透明導電層2、絶縁性薄
層3および液晶材料層4が、1/2/3/4/3/2/
1の順序で配置されてなる液晶調光パネルの提案がなさ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特公平3−52843
号の公報に開示された液晶調光パネルでは、ネマチック
液晶等をポリビニルアルコール等の水溶性高分子水溶液
中に微分散し、乾燥し、液晶分散ポリマー層を形成する
ものであるが、この液晶調光パネルの液晶分散ポリマー
層はその体積抵抗率、特に吸湿時の体積抵抗率が低く、
そのために電圧を液晶分散ポリマー層に印加している間
は液晶調光パネルが透明状態にあるものの、電圧の印加
をやめると電荷が液晶分散ポリマー層を電流として流れ
てしまい、液晶分散ポリマー層中の液晶の配向状態が元
に戻り、不透明状態に戻ってしまう。つまりメモリー性
がない為に、連続して透明状態を維持するためには交流
電圧を印加し続ける必要があり、経済面からは不経済な
ものであった。
【0005】特公表昭63−501512号の公報に記
載された液晶調光パネルは、液晶分散ポリマー層のポリ
マーマトリックスにエポキシ樹脂を用いたもので、液晶
分散ポリマー層に印加した交流もしくは直流電圧を取り
除いても、液晶分散ポリマー層の上下で電荷を維持して
液晶の配向状態を維持し透明状態を維持する、つまりメ
モリー性があるという旨の記載があるが、本発明者らが
この液晶調光パネルについて鋭意検討したところによれ
ば、液晶分散ポリマー層中の液晶の比率が5割以上を占
めているために、液晶分散ポリマー層はその体積抵抗
率、特に吸湿時の体積抵抗率が低く、本来液晶分散ポリ
マー層の上下で維持されるはずの電荷が全て電流として
流れてしまうので、交流もしくは直流電圧を取り除く
と、直ぐ白濁状態に戻ってしまい、メモリー性がある液
晶調光パネルではなかった。
【0006】また、特開平2−304418号の公報に
記載された液晶調光パネルは、その発明の狙いを、液晶
材料層と透明導電性層の間に導電性を損なわない厚さの
絶縁性薄層を設けることにより、液晶材料層と透明導電
性層との間の化学反応を防ぎ、液晶調光パネルとしての
耐久性を向上させることとしている。ところで、前記液
晶調光パネルは本発明の液晶調光パネルと層構造に近い
ものがあるが、本発明の透明高電気抵抗層は1013Ω・
cm以上という高い体積抵抗率を有し、逆に層の導電性を
損なわして電荷の移動を防ぎ、液晶調光パネルのメモリ
ー性の向上を狙ったものであり、従って、前記絶縁性薄
層は本発明の透明高電気抵抗層とは異なり、メモリー性
を向上させるものではない。
【0007】また、従来の液晶調光パネルは直流電流が
液晶層や液晶分散ポリマー層に流れると、電極と液晶の
間で反応が起き、その結果として電極および液晶が劣化
すると言った現象が起きる為に、直流電圧ではなく両方
向の電流のそれぞれの平均値が等しい交流電圧で駆動さ
せる必要があった。しかし、このようなきれいな電流を
作るのが難しい上、液晶調光パネルの面積が変わるとそ
れに併せて回路そのものを変更する必要があるなどとい
った問題点があった。
【0008】本発明の目的は前記の問題点を解決し、直
流電圧および交流電圧の印加による駆動ができ、電圧を
取り除いても液晶分散ポリマー層が白濁状態に戻らずに
透明状態を維持するメモリー性を有し、消費電力が少な
く、かつ実用上の耐久性の高いメモリー型液晶調光パネ
ルを提供することにある。
【0009】 本発明者らは、前記目的を達成するため
に液晶調光パネルについて鋭意検討した。その結果、次
のような組成および層構造にすることによって、本発明
者らが目的とする性能が得られるメモリー型液晶調光パ
ネルを作製できることを見出して、本発明に至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、液晶を架橋構
造を有するポリマーマトリックス中に独立液滴状態に微
分散してなり、気温20℃で相対湿度90%時における
体積抵抗率が1013Ω・cm以上である液晶分散ポリマー
層を、少なくとも一方が透明である二枚の電極間に配置
し、電圧を印加する事により透明状態となり、その透明
状態を電圧の無印加時においても連続的に維持させてな
るメモリー型液晶調光パネルである。更には、液晶分散
ポリマー層と透明電極の間に、気温20℃で相対湿度9
0%時における体積抵抗率が1013Ω・cm以上である透
明高電気抵抗層を配してなるメモリー型液晶調光パネル
である。
【0011】液晶分散ポリマー層において、液晶分散ポ
リマー層を構成するポリマーマトリックスに架橋反応で
得られたポリマーを用いると、本発明の液晶調光パネル
を高温状態においても架橋ポリマーと液晶は全く相溶せ
ず、安定した液晶微分散構造を維持できる。そのため、
経時変化に対しても性能劣下のない耐久性を有したメモ
リー型液晶調光パネルを得る事ができる。また、液晶を
ポリマーマトリックス中に独立液滴状態に微分散する
と、液晶分散ポリマー層の体積抵抗率を向上させること
ができる。液晶を分散させる方法としては、高分子−液
晶共通溶媒相分離法(共通溶媒キャスティング法)、液
晶−高分子前駆体混合体より高分子を光もしくは熱によ
り重合させる重合相分離法、液晶と高分子を加熱溶融状
態より冷却する溶融冷却相分離法などがある。
【0012】ここで使用できる架橋構造を有するポリマ
ーとは、例えば架橋剤がジおよびポリイソシアネート化
合物で、該架橋剤と反応し得る化合物としてポリビニ
ルアルキラール、エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ア
クリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などがあ
り、これらを反応して得られる架橋ポリマーである。該
架橋ポリマーはは前記両成分を混合し、必要に応じて溶
媒を加えた後、乾燥加温(20〜100℃)して得られ
る。こうして得られた液晶分散ポリマ−層のうち、体積
抵抗率が気温20℃で相対湿度90%時において1013
Ω・cm以上のものを用いる。その理由は、日本の季節に
は梅雨の時期があり、例え乾燥時に、液晶分散ポリマー
層の体積抵抗率が10 13 Ω・cm以上であっても、高湿度
の環境下(梅雨の時期)で体積抵抗率が10 13 Ω・cm未
満では、印加した電荷が液晶分散ポリマー層の上下で保
持されずに電流として流れてしまい、結果としてメモリ
ー性が得られないからである。
【0013】本発明で使用する液晶はネマチック液晶で
あるが、液晶相としては、調光パネルとしての実用上か
ら−10〜100℃程度の温度範囲を有し、しかも、O
FF時の白濁性を良くするために複屈折率△nが0,2
以上のものが好ましい。用途に応じて二色性染料を添加
して使用しても良い。液晶をポリマーに微分散する配合
比率は、液晶分散ポリマ−層の前記した体積抵抗率が得
られるならば、ポリマー/液晶比が任意で良いが、一般
的に、液晶比が少ないと液晶調光パネルとして充分な遮
光性を得にくく、液晶比が大きいと液晶分散ポリマー層
の体積抵抗率が低くなってしまうので、7/3〜5/5
が好適である。微分散された液晶滴は、大き過ぎても小
さ過ぎてもOFF時の白濁性が低下してくるので、好ま
しくは0.1〜10μm程度が良く、こうして得られた
液晶分散ポリマー層の厚さは1〜50μmの範囲が好適
である。
【0014】本発明でいう透明高電気抵抗層とは、気温
20℃で相対湿度90%時における体積抵抗率が1013
Ω・cm以上のものをいう。この透明高電気抵抗層を透明
電極と液晶分散ポリマー層の間に介在させると、透明電
極からの液晶分散ポリマー層への電荷の移動が防止さ
れ、さらにメモリー性を向上させる事が出来る。この層
は層材料溶液を塗布、反応性材料溶液を塗布、反応した
り、あるいは高電気抵抗のフィルムを粘着剤や接着剤を
用いて積層するなどして得られる。反応性材料の例とし
ては例えば架橋剤がジおよびポリイソシアネート化合物
で、該架橋剤と反応する化合物がポリビニルアルキラー
ル、エポキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などである。
【0015】高電気抵抗のフィルムとしては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスル
ホン、ポリフェニレンオキサイド、アイオノマー、ポリ
カーボネート、ナイロンおよびフッ素樹脂、二酸化ケイ
素膜などがある。透明高電気抵抗層の厚さは0,4〜1
0μmの範囲で好適である。こうして得られた透明高電
気抵抗層の体積抵抗率は、気温20℃で相対湿度90%
時において1013Ω・cm以上のものが好ましいが、その
理由は、その値以下では、前述したように電荷の移動を
充分に阻止できず、結果としてメモリー性を向上させる
事ができないからである。
【0016】
【作用】本発明のメモリー型液晶調光パネルは、液晶分
散ポリマー層への電界の有無により透明、不透明状態を
切り替えるものであり、その作用は次の説明のようであ
る。ポリマーマトリックス中に微分散された液晶の分子
はポリマー壁に沿って配向するので、電界の発生してい
ない時にはポリマーと液晶の屈折率の差により光散乱を
生じ、液晶調光パネルは白濁の不透明状態である。次
に、電圧を印加し、液晶分散ポリマー層に電界が発生す
ると電界方向に液晶分子が配向し、ポリマーと液晶の屈
折率がほぼ一致し、その結果、光散乱が生じなくなり液
晶調光パネルは透明状態となる。ここで電圧の印加をや
めても、液晶分散ポリマー層が高抵抗のために電荷は液
晶分散ポリマー層の上下で維持されて電界が生じ続け、
その結果、液晶調光パネルは透明状態を維持する。もと
の白濁状態に戻すには、両方の透明導電層を電気的に接
続して同電位とし、電荷を除去する事により電界が消失
し、液晶調光パネルがもとの白濁状態となる。
【0017】本発明の液晶調光パネルはメモリー型なの
で、一瞬の電圧印加で連続的に透明状態を維持するため
に、両方向の電流のそれぞれの平均値が等しい交流電圧
を印加し続ける必要がない。液晶分散ポリマー層を構成
するポリマーマトリックスとして架橋反応で得られたポ
リマーを用いているので、高温状態においても架橋ポリ
マーと液晶は全く相溶せず、経時変化による性能劣下が
ない。さらに液晶分散ポリマー層の体積抵抗率が高いた
めに、液晶分散ポリマー層に電流が流れにくく、その為
に通常の液晶調光パネルに良くみられる、液晶と電極の
反応による液晶および電極の劣化がない。吸湿時におい
ての液晶分散ポリマー層の体積抵抗率が高いので、従来
の液晶調光パネルのように調光パネルをガラスで板で挾
持し、断面にシールを行って水分の侵入を防ぐ必要性が
ない。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 <実施例1>透明電極としてセレックK−LC(ダイセ
ル化学工業株式会社製:透明導電フィルム)上に液晶分
散ポリマー層として、次の組成よりなる溶液を、乾燥膜
厚が11μmとなる様に塗布・乾燥・硬化を行った。 ビニレックKー624(チッソ株式会社製:ポリビニルホルマール樹脂)1 0%エタノール・トルエン混合溶液 1g タケネートD110N(武田薬品工業株式会社製:ポリイソシアネート) 0.133g E44(MERCK社製:ネマチック液晶) 0.133g 上記液晶分散ポリマー層上に透明電極としてもう一枚の
セレックK−LCをホットメルト接着剤及びラミネータ
ーを用いて積層して本発明のメモリー型液晶調光パネル
を作製した。
【0019】気温20℃、相対湿度90%に調湿した下
記の層について、直流電源(トリオ株式会社製:PR−
630)、エレクトロメータ(タケダ理研工業株式会社
製:TR8651)、絶縁抵抗測定試料箱(株式会社ア
ドバンテスト製:TR42)を用いて、体積抵抗率を測
定したところ、以下の様な値を示した。 液晶分散ポリマー層 1.2×1014Ω・cm さらに、本メモリー型液晶調光パネルに、直流電圧源よ
り500ボルトの電圧を印加し、電圧無印加時と電圧印
加時のヘーズ値をヘーズメーター(東京電色株式会社
製:TC−HIII )を用いて測定したところ、以下のよ
うな値を得た。 電圧無印加時 Haze 91.5% 電圧印加時 Haze 18.6%
【0020】<実施例2>実施例1と同様の透明電極上
に透明高電気抵抗層として、次の組成よりなる溶液を、
乾燥膜厚が1μmとなる様に塗布・乾燥・硬化を行っ
た。 デンカホルマール#20(電気化学工業株式会社製:ポリビニルホルマール 樹脂)10%テトラヒドロフラン溶液 3g タケネートD110N(武田薬品工業株式会社製:ポリイソシアネート) 0.133g 上記塗膜上に液晶分散ポリマー層として、次の組成より
なる溶液を、乾燥膜厚が13μmとなる様に塗布・乾燥
・硬化を行って、一方を作製した。 ビニレックK−624(チッソ株式会社製:ポリビニルホルマール樹脂)1 0%エタノール・トルエン混合溶液 1g タケネートD110N(武田薬品工業株式会社製:ポリイソシアネート) 0.133g E44(MERCK社製:ネマチック液晶) 0.133g また、他方を、実施例1と同じ透明電極上に透明高電気
抵抗層として、次の組成よりなる溶液を、乾燥膜厚が1
μmとなる様に塗布・乾燥・硬化を行って作製した。 デンカホルマール#20(電気化学工業株式会社製:ポリビニルホルマール 樹脂)10%テトラヒドロフラン溶液 3g タケネートD110N(武田薬品工業株式会社製:ポリイソシアネート) 0.133g この他方のフィルムを一方の上記液晶分散ポリマー層上
に実施例1と同様にして積層し、本発明のメモリー型液
晶調光パネルを得た。
【0021】実施例1と同様にして、以下の層の体積抵
抗率を測定した。 透明高電気抵抗層 1.5×1014Ω・cm 液晶分散ポリマー層 1.2×1014Ω・cm さらにこのメモリー型液晶調光パネルの電圧無印加時と
電圧印加時のヘーズ値を実施例1と同様にして測定した
ところ、以下のような値を得た。 電圧無印加時 Haze 93.2% 電圧印加時 Haze 20.8%
【0022】<実施例3>次の組成からなる溶液を乾燥
膜厚が11μmとなる様に塗布・乾燥・硬化を行って、
液晶分散ポリマー層を形成した以外は、実施例1と同様
にして本発明のメモリー型液晶調光パネルを作製した。 ビニレックKー624(チッソ株式会社製:ポリビニルホルマール樹脂)1 0%エタノール・トルエン混合溶液 1g タケネートD110N(武田薬品工業株式会社製:ポリイソシアネート) 0.133g E44(MERCK社製:ネマチック液晶) 0.2g
【0023】実施例1と同様にして、以下の層の体積抵
抗率を測定した。 液晶分散ポリマー層 1.2×1013Ω・cm さらにこのメモリー型液晶調光パネルの電圧無印加時と
電圧印加時のヘーズ値を実施例1と同様にして測定した
ところ、以下のような値を得た。 電圧無印加時 Haze 93.9% 電圧印加時 Haze 23.9%
【0024】<実施例4>次の組成からなる溶液を乾燥
膜厚が12μmとなる様に塗布・乾燥・硬化を行って、
液晶分散ポリマー層を形成した以外は、実施例1と同様
にして本発明のメモリー型液晶調光パネルを作製した。 ビニレックKー624(チッソ株式会社製:ポリビニルホルマール樹脂)1 0%エタノール・トルエン混合溶液 1g タケネートD110N(武田薬品工業株式会社製:ポリイソシアネート) 0.133g E44(MERCK社製:ネマチック液晶) 0.133g M−370(三井東圧染料株式会社製:二色性染料) 0.001g
【0025】実施例1と同様にして、以下の層の体積抵
抗率を測定した。 液晶分散ポリマー層 1.2×1014Ω・cm さらにこのメモリー型液晶調光パネルの電圧無印加時と
電圧印加時のヘーズ値を実施例1と同様にして測定した
ところ、以下のような値を得た。 電圧無印加時 Haze 90.9% 電圧印加時 Haze 27.9%
【0026】<比較例1>実施例1と同様の透明電極上
に、次の組成よりなる溶液を塗工し、塗膜上にもう一枚
のセレックK−LCをラミネートした後、加圧し、フィ
ルム間の間隙を一定にした。 トリメチロールプロパントリアクリレート 1.2g n−ブチルアクリレート 1.8g ベンゾインイソプロピルエーテル 0.06g E8(MERCK社製:ネマチック液晶) 7.0g MBX−12S(積水化成品工業株式会社製:12μm球状粒子) 0.005g これに400W水銀灯より、1.5mW/cm2 の紫外線
を1分間照射したところ、混合物の液晶物質と硬化物の
相分離が固定されて、層厚が12μmの液晶分散ポリマ
ー層を形成し、白濁した液晶調光パネルを得た。
【0027】実施例1と同様にして、以下の層の体積抵
抗率を測定した。 液晶分散ポリマー層 5.6×109 Ω・cm さらにこの液晶調光パネルに交流電圧源より50ボルト
の電圧を印加し、電圧無印加時と電圧印加時のヘーズ値
を実施例1と同様にして測定したところ、以下のような
値を得た。 電圧無印加時 Haze 92.9% 電圧印加時 Haze 23.5%
【0028】<比較例2>次の組成からなる溶液を超音
波分散機で液晶滴の平均粒径が1μmとなるように乳化
を行い、乾燥膜厚が13μmとなる様に塗布・乾燥を行
って、液晶分散ポリマー層を形成した以外は、実施例1
と同様にして液晶調光パネルを作製した。 ゴーセノールGH−17(日本合成化学工業株式会社製:ポリビニルアルコ ール)7%水溶液 0.86g E7(MERCK社製:ネマチック液晶) 0.14g ユニダインDS−301(ダイキン化学工業株式会社製:フッ素系界面活性 剤) 0.001g
【0029】実施例1と同様にして、以下の層の体積抵
抗率を測定した。 液晶分散ポリマー層 3.1×1010Ω・cm さらにこの液晶調光パネルに交流電圧源より200ボル
トの電圧を印加し、電圧無印加時と電圧印加時のヘーズ
値を実施例1と同様にして測定したところ、以下のよう
な値を得た。 電圧無印加時 Haze 94.2% 電圧印加時 Haze 25.5%
【0030】<比較例3>実施例1と同様の透明導電層
上に、次の組成よりなる溶液を乾燥膜厚が0.1μmと
なるように塗布・乾燥・硬化を行って、絶縁性薄層を形
成した。 KBM−403(信越化学工業株式会社製:γ−グリシドキシプロピルトリ メトキシシラン) 0.5g メチルエチルケトン 7.0g n−ブタノール 1.5g イソプロピルアルコール 1.0g この絶縁性薄層の導電性をテスターを用いて測定したと
ころ、導電性を維持していた。次に、上記絶縁性薄層上
に、次の組成よりなる溶液を乾燥膜厚が13μmとなる
ように塗布・乾燥を行って、液晶分散ポリマー層を形成
した。 BR−80(三菱レイヨン株式会社製:アクリル樹脂)20%メチルエチル ケトン溶液 1.5g E8(MERCK社製:ネマチック液晶) 0.6g また、実施例1と同様にして透明導電層上に絶縁性薄層
として、次の組成よりなる溶液を乾燥膜厚が0.1μm
となるように塗布・乾燥・硬化を行った。 KBM−403(信越化学工業株式会社製:γ−グリシドキシプロピルトリ メトキシシラン) 0.5g メチルエチルケトン 7.0g n−ブタノール 1.5g イソプロピルアルコール 1.0g このフイルムを上記液晶分散ポリマー層上に実施例1と
同様にして積層し、液晶調光パネルを得た。
【0031】実施例1と同様にして、以下の層の体積抵
抗率を測定した。 液晶分散ポリマー層 5.5×1010Ω・cm さらにこの液晶調光パネルに交流電圧源より150ボル
トの電圧を印加し、電圧無印加時と電圧印加時のヘーズ
値を実施例1と同様にして測定したところ、以下のよう
な値を得た。 電圧無印加時 Haze 94.1% 電圧印加時 Haze 18.5%
【0032】<評価方法>前記実施例及び比較例の各液
晶調光パネルのメモリー性及び耐久性について、下記に
示すような試験を行い、評価した。 (1)メモリー性 乾燥時:各液晶調光パネルに1秒間直流電圧を印加、透
明状態とした後、電圧印加をやめ、室内環境中(気温2
0℃、相対湿度50%)に放置して、10分毎にHaz
e値を測定し、そのHaze値が30%を越えた値にな
った経過時間により評価した。尚、比較例1〜比較例3
については、本来の交流電圧で駆動させた場合と同等の
透明度となる直流電圧を印加し、駆動を行った。 吸湿時:各液晶調光パネルを気温20℃、相対湿度90
%に調湿した後、乾燥時と同様に電圧を印加、駆動さ
せ、高湿環境中(気温20℃、相対湿度90%)に放置
して、前記と同様にHaze値を測定して、評価した。 評価結果: ○・・・・・Haze値が30%を越えた値になった経
過時間が30分以上の場合。 △・・・・・Haze値が30%を越えた値になった経
過時間が30分未満の場合。 ×・・・・・電圧の印加をやめると瞬時にHaze値が
30%を越えた値になった場合。
【0033】(2)耐久性 乾燥時:各液晶調光パネルに駆動電圧と同じ電圧の直流
電圧を30分間連続して印加し続けた後、液晶調光パネ
ルに変色などの変化が目視で確認できたかどうかにより
評価した。 吸湿時:各液晶調光パネルを気温20℃、相対湿度90
%に調湿した後、乾燥時と同様に電圧を印加し続けた
後、液晶調光パネルに変色などの変化が目視で確認でき
たかどうかにより評価した。 注)尚、比較例1〜比較例3については、本来の交流電
圧で駆動させた場合と同等の透明度となる直流電圧を3
0分間連続して印加し続けて、試験した。 評価結果: ○・・・・・変化無し。 △・・・・・注意して観察すると変化が認められる。 ×・・・・・はっきりと変化が認められる。
【0034】(3)消費電力 各液晶調光パネルを駆動させ、30分間、Haze値が
30%未満の、透明状態を維持させるのに必要な時間当
たりの一定面積(1cm2 )の消費電力(W・H/cm2
を体積抵抗率より計算し、比較検討した。尚、実施例1
〜4については、直流電圧を1秒間印加した後放置、比
較例1〜3については本来の交流電圧を連続して印加し
続けた。
【0035】<結果>評価結果を表に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明のメモリー型液晶調光パネルは、
液晶分散ポリマー層が液晶を架橋構造を有するポリマー
マトリックス中に独立液滴状態に微分散してなり、気温
20℃で相対湿度90%時における体積抵抗率が1013
Ω・cm以上のものを用いた構造なので、一瞬の電圧の印
加で連続的に透明状態を維持し、両方向の電流のそれぞ
れの平均値が等しい交流電圧を印加し続ける必要がな
く、透明状態を維持するための消費電力が従来の液晶調
光パネルに比べて非常に少なくてすむ、という利点があ
り、さらには、直流あるいは交流といった電源を限定す
る必要がないなどの利点もある。
【0038】また、液晶分散ポリマー層は、ポリマーが
架橋構造を有しているので高温状態において液晶と全く
相溶せず、経時変化による性能劣下がない。さらに、
晶分散ポリマー層の体積抵抗率が吸湿時においても高い
ために、液晶分散ポリマー層に電流が流れにくく、その
為に通常の液晶調光パネルに良くみられる液晶と電極の
反応による液晶および電極の劣化がないので、耐久性も
高い。さらに、従来の液晶調光パネルのように、調光パ
ネルをガラス板で挟持し断面にシールを行って水分の侵
入を防ぐ必要性がないので、フィルム状で供給できるた
め、軽量で、かつ柔軟性のあるメモリー型液晶調光パネ
ルを提供することもできるなど、性能面、経済面、製品
展開上などの多方面にわたって利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−18824(JP,A) 特開 昭53−131044(JP,A) 特開 平3−2824(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶を架橋構造を有するポリマーマトリ
    ックス中に独立液滴状態に微分散してなり、気温20℃
    で相対湿度90%時における体積抵抗率が1013Ω・cm
    以上である液晶分散ポリマー層を、少なくとも一方が透
    明である二枚の電極間に配置し、電圧を印加する事によ
    り透明状態となり、その透明状態を電圧の無印加時にお
    いても連続的に維持させてなるメモリー型液晶調光パネ
    ル。
  2. 【請求項2】 液晶分散ポリマー層と電極の間に、気温
    20℃で相対湿度90%時における体積抵抗率が1013
    Ω・cm以上である透明高電気抵抗層を配してなる請求項
    1に記載のメモリー型液晶調光パネル。
  3. 【請求項3】 高電気抵抗層が架橋反応で得られたポリ
    マーである請求項2に記載のメモリー型液晶調光パネ
    ル。
  4. 【請求項4】 高電気抵抗層がフィルムからなる請求項
    2に記載のメモリー型液晶調光パネル。
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