JP2630625B2 - オレフイン類重合用触媒 - Google Patents

オレフイン類重合用触媒

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JP2630625B2 JP12484288A JP12484288A JP2630625B2 JP 2630625 B2 JP2630625 B2 JP 2630625B2 JP 12484288 A JP12484288 A JP 12484288A JP 12484288 A JP12484288 A JP 12484288A JP 2630625 B2 JP2630625 B2 JP 2630625B2
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稔 寺野
弘和 曽我
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、オレフイン類の重合に供した際に、高活性
に作用し、しかも形状の整つた高立体規則性重合体を得
ることのできる高性能触媒に係るものである。更に詳し
く言えば、本発明は、後に詳述する如き、特殊な固体触
媒成分(I)と特定のケイ素化合物(II)と有機アルミ
ニウム化合物(III)とからなるオレフイン類重合用触
媒を提供するものである。
〔従来技術とその問題点〕
近時、プロピレンをはじめとするオレフイン類重合用
触媒における固体触媒成分として従来周知の三塩化チタ
ン触媒成分に代り、新しい型の触媒成分として活性成分
であるチタンを塩化マグネシウムに電子供与体と共に担
持したものが数多く開発され提案されている。
これらの中で最も初期に開発されたものとしては電子
供与体としての有機モノカルボン酸エステルと四塩化チ
タンとの錯体を塩化マグネシウムと共粉砕したものがあ
り、あるいは電子供与体としての有機モノカルボン酸エ
ステルと塩化マグネシウムの共粉砕生成物を四塩化チタ
ンで処理したものがある。
しかし、これらは有機アルミニウム化合物と組合せて
用いてオレフイン類の重合、特にプロピレン、1−ブテ
ン等の立体規則性重合を工業的に行なう場合、重合反応
を行なう際に電子供与体として有機モノカルボン酸エス
テルを用いることが必須とされており、しかもこの場合
有機モノカルボン酸エステルを極めて多量に用いること
が必要であるため、生成重合体に特有のエステル臭を付
与するという問題点が存在した。
さらに、これらの触媒においては、重合初期の活性は
高いものの経時的失活が大きくプロセス操作上問題とな
ると共に、ブロツク共重合等の重合時間をより長くする
場合、実質上それを使用することは不可能であつた。
この点を改良するものとして特開昭54−94590号公報
では、マグネシウムジハロゲン化物を出発原料として触
媒成分を調整し、有機アルミニウム化合物、有機カルボ
ン酸エステルおよびM−O−R基を有する化合物などを
組合せてオレフイン類の重合に用いる方法が開示されて
いるが、同公報の記載からも明らかなようにこの場合、
触媒調製時ならびに重合時にも有機カルボン酸エステル
を用いることが必要とされている。一般に、触媒中に含
まれる有機カルボン酸エステルは、チタンハロゲン化物
による処理あるいは有機溶媒による洗浄などにより、生
成重合体の臭いの問題を無視し得る程度の量となつてい
る。しかし、重合時に用いる有機カルボン酸エステルは
前述のように触媒中に含まれる量に比して極めて多量で
あり、なおかつ液体あるいは気体のモノマー中で重合を
行なつた場合、その殆んど全てが生成重合体中に含まれ
てしまうのが現状であり、従つて、生成重合体の臭いの
問題は重合時に有機カルボン酸エステルを用いる限り解
決し得ないものといえる。また同公報に開示されている
方法は、その実施例からも判るように、非常に煩雑な操
作を必要とすると共に得られた触媒は性能的にも活性の
持続性においても実用上充分なものとはいえないのが実
状である。
〔発明の開示〕
本発明者らは、上記の如き従来技術における種々の問
題点を解決するため、鋭意研究を行なつたところ、本発
明により高度の立体規則性を有する重合体を得られる高
性能触媒を提供することに成功した。
すなわち、本発明は下記(I)の固体触媒成分および
下記(II)のケイ素化合物および下記(III)の有機ア
ルミニウム化合物よりなることを特徴とするオレフイン
類重合用触媒を提供するものである。
(I) 金属マグネシウム粉末と2倍モル以上のアルキ
ルモノハロゲン化物を、有機溶媒の不存在下、ヨウ素の
存在下で反応させて得られる物質(a)及びテトラアル
コキシチタン(b)を粉砕した後、得られた生成物に脂
肪族炭化水素(c)の存在下、100℃上でテトラアルコ
キシチタン(b)、脂肪族アルコール(d)及びフタル
酸ジエステル(e)を順次加えてそれぞれ処理を行な
い、得られた生成物に四塩化チタン(f)を加えて、さ
らに処理することにより得られる固体触媒成分; (II) 一般式 SiRm(OR′)4-m(式中Rはアルキル
基、シクロアルキル基、ビニル基またはアリール基であ
り、R′はアルキル基である。Rがアルキル基の場合
は、そのアルキル基はR′と同一であってもよい。mは
0≦m<4である。)で表されるケイ素化合物および (III)一般式RnAlX3(式中Rは炭素数1〜4のア
ルキル基、Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかで
あり、nは0<n≦3である。)で表される有機アルミ
ニウム化合物(以下単に「有機アルミニウム化合物」と
いう。) よりなるオレフイン類重合用触媒を提供するものであ
る。
以下に本発明のオレフイン類重合用触媒につき、さら
に詳細に説明する。
まず、前記(I)の固体触媒成分について説明する。
前記(a)の金属マグネシウム粉末とアルキルモノハ
ロゲン化物をヨウ素の存在下での反応によつて得られる
物質(以下単に(a)物質という)を得るには、市販の
金属マグネシウム粉末と、、アルキルモノハロゲン化物
とを有機溶媒の不存在下、ヨウ素の存在下で反応させる
が、この際、アルキルモノハロゲン化物は金属マグネシ
ウム粉末1モルに対して2モル以上用いることが必要で
ある。また、反応温度及び反応時間は、上記の反応が充
分に進む限り任意であり、特に限定されるものではない
が、通常200℃以上で10分間以上、好ましくは40℃以上
で30分間以上行なわれる。この反応は、グリニア型の反
応であり、反応によつて得られた(a)物質のIRスペク
トルを測定するとアルキル基の吸収が見られる。
上記(a)物質の製造に用いられるアルキルモノハロ
ゲン化物としては、常温で液体の脂肪族炭化水素の塩化
物が好ましく、その例としては、例えばn−プロピルク
ロライド、イソプロピルクロライド、n−ブチルクロラ
イド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、ヘ
キシルクロライドおよびオクチルクロライド等があげら
れる。
前記(b)のテトラアルコキシチタン(以下単に
(b)物質という)としては、そのアルコキシ基とし
て、炭素原子数1〜10のアルコキシ基のものが用いら
れ、特に炭素原子数3又は4のものが好ましく用いられ
る。
このテトラアルコキシチタンは1種又は2種以上を用
いることができる。(b)物質の使用量は通常、(a)
物質1gに対し、合計0.1〜10gの範囲である。
前記(c)の脂肪族炭化水素(以下単に(c)物質と
いう)および前記(d)の脂肪族アルコール(以下単に
(d)物質という)は、いずれも−30℃〜50℃において
液体のものである。
(c)物質の好ましい例としては炭素原子数5〜12の
脂肪族炭化水素例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、ノナン、デカン、ドデカンおよびこれらの異
性体などがあげられ、(d)物質の好ましい例としては
炭素原子数2〜10の脂肪族アルコール、例えばエタノー
ル、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサ
ノール、オクタノールおよびこれらの異性体などがあげ
られる。
前記(e)のフタル酸ジエステル(以下単に(e)物
質という)としてはジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジイソプロピルフタレート、ジプロピルフタレ
ート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、
ジアミルフタレート、ジイソアミルフタレート、エチル
ブチルフタレート、エチルイソブチルフタレートおよび
エチルプロピルフタレート等を例としてあげることがで
きる。
上記の(e)物質は、(a)物質1gに対し0.1ml以上
好ましくは、0.2〜1.0mlの割合で用いられる。
本発明において用いられる四塩化チタン(f)は
(a)物質1gに対して1g以上、好ましくは5g以上の割合
で用いられる。
この際の接触温度は、通常は0℃以上130℃以下であ
る。接触時間は10分間以上、好ましくは30分間以上であ
る。
得られた固体触媒成分(I)は必要に応じn−ヘプタ
ン、トルエン等の有機溶媒を用いて洗浄してもよく、ま
た、繰り返し四塩化チタン(f)で処理してもよい。
これらの態様は、いずれも本発明の実施における一態
様に包含される。
本発明における上記(I)の固体触媒成分の調製に関
する一連の操作は酸素および水分等の不存在下に行なわ
れることが好ましい。
以上の如くして調製された前記(I)の固体触媒成分
は、前記(II)のケイ素化合物および前記(III)の有
機アルミニウム化合物と組合わされ、本発明に係るオレ
フイン類重合用触媒を構成するが、前記(II)のケイ素
化合物としてはアルコキシシラン、フエニルアルコキシ
シラン、アルキルアルコキシシラン、シクロアルキルア
ルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシ
ランなどがあげられるが具体的にはテトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、フエニルトリメトキシシラ
ン、フエニルトリエトキシシラン、フエニルトリプロポ
キシシラン、フエニルトリイソプロポキシシラン、ジフ
エニルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、エチルトリイソプロポキシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジ
エトキシシラン、ジビニルジメトキシシランなどをあげ
ることができる。
前記(III)の有機アルミニウム化合物としては、ト
リアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハラ
イド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアル
ミニウムセスキハライドおよびこれ等の混合物をあげる
ことができるが、中でも、トリアルキルアルミニウムが
好ましく、さらに、トリエチルアルミニウムおよびトリ
イソブチルアルミニウムが特に好ましい。
前記(III)の有機アルミニウム化合物は、固体触媒
成分中のチタンg原子当り1〜1000モルで用いられ、該
ケイ素化合物は有機アルミニウム化合物に対するモル比
において1以下、好ましくは0.005〜1.0の範囲で用いら
れる。
本発明に係る重合用触媒を用いての重合反応は有機溶
媒の存在下でもあるいは不存在下でも行なうことがで
き、また、使用するオレフイン単量体は気体および液体
のいずれの状態でも用いることができる。重合温度は20
0℃以下好ましくは100℃以下であり、重合圧力は100kg/
cm2・G以下好ましくは50kg/cm2・G以下である。
本発明に係るオレフイン類重合用触媒を用いて単独重
合または共重合されるオレフイン類はエチレン、プロピ
レン、1−ブテン等である。
〔発明の効果〕
本発明に係るオレフイン類重合用触媒は、これを用い
て、オレフイン類の重合を行なつた場合、従来予期し得
ない程の高い活性を示すため生成重合体中に存在する触
媒残渣量を極めて低くおさえることができ、しかも残留
塩素が極めて微量であるために生成物については脱灰工
程を全く必要としない程度にまで塩素の影響を低減する
ことができる。
生成重合体中に残存する塩素は造粒、成形などの工程
に用いる機器の腐食の原因となると共に生成重合体その
ものの劣化、黄変等の原因ともなるものであるので、こ
の課題を解決し得ることは当該技術分野に対し大きな利
益をもたらすものである。
また、本発明の触媒によれば重合時に有機カルボン酸
エステルを添加しないことにより生成重合体に対するエ
ステル臭の付着という大きな問題をも解決することがで
きる。
さらに、従来、触媒の単位時間当りの活性が、重合の
経過に伴なつて大幅に低下するという、いわゆる高活性
担持型触媒における共通の欠点が存在したが、本発明に
係る触媒においては、重合時間の経過に伴なう活性の低
下が、従来公知の触媒に比較し、極めて小さいため、共
重合等重合時間をより長くする場合にも有用であり、か
つ、より高い重合圧力を採用した場合における活性の増
加が大きいため、最近注目されているバルク重合および
気相重合にも幅広く用いることができる。
しかも、本発明に係る触媒によれば、形状の整つた高
度の立体規則性を有する重合体が得られる。
さらに付言すると、工業的なオレフイン重合体の製造
においては重合時に水素を共存させることがMI制御など
の点から一般的とされているが、従来の塩化マグネシウ
ムを担体とし、有機カルボン酸エステルを用いた触媒は
水素共存下では活性および立体規則性が大幅に低下する
という欠点を有していた。しかし、本発明に係る触媒を
用いて水素共存下にオレフインの重合を行なつた場合、
生成重合体のMIが極めて高い場合においても、活性およ
び立体規則性は低下しない。かかる効果は、当業者にと
つて強く望まれていたものであつた。
また、ポリオレフインの製造工程に好ましくない微粉
状重合体が生成せず、最近注目されている気相重合にも
適し、また流動性に優れているためポンプ輸送や遠心分
離などのいわゆる重合後処理工程を容易にすると共に、
粒子形状が優れているため造粒工程をも省略できるなど
種々の効果を奏することができる。
〔実施例〕
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
実施例1 (1) (a)物質の調製 撹拌機を具備した容量2.0の丸底フラスコを用い、
これを窒素ガスで充分に置換した後、金属マグネシウム
粉末30g、ヨウ素1.0gおよびn−ブチルクロライド1.2
を装入し、n−ブチルクロライドの沸点下で5時間反応
させた。反応終了後上澄液を除去し、生成物を500mlの
n−ブチルクロライドで3回洗浄した後、減圧乾燥して
粉末状の物質を得た。
(2) 固体触媒成分の調製 上記(1)で得られた粉末状物質30g及びテトラブト
キシチタン2.0mlを窒素ガス雰囲気下で、25mmφのステ
ンレスボールを全容積の4/5充填した容量1.0の振動ミ
ルポツトに装入し、振動数1430v.p.m、振巾3.5mmで17時
間粉砕した。
撹拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに窒素ガ
ス雰囲気下で上記粉砕生成物10g、n−デカン75mlおよ
びテトラブトキシチタン10mlを装入し、125℃に昇温し
て撹拌下で1時間の処理を行なつた。次いでこれにn−
ヘプタン25mlと2−エチルヘキシルアルコール6.8mlを
混合した溶液を30分間の時間を要して滴下し、125℃の
温度を保ちつつ1時間反応させた。その後70℃まで冷却
し、更にn−ヘプタン25mlとn−ブチルフタレート1.9m
lの混合溶液を30分間の時間を要して滴下し、90℃に昇
温して1時間処理した。得られた生成物を200mlのヘプ
タンで5回洗浄し、その後TiCl475mlを加えて115℃で3
時間反応させた。反応終了後200mlのヘプタンで10回洗
浄して固体触媒成分を得た。
なお、この際、該固体触媒成分中のチタン含有率を測
定したところ4.72重量%であつた。
(3) プロピレンの重合 内容積2.0の撹拌装置付オートクレープを用い、こ
れを窒素ガスで完全に置換した後、トリエチルアルミニ
ウム200mg、ジフエニルジメトキシシラン45mgおよび前
記固体触媒成分5.0mgを装入した。その後、水素ガス1.8
、液化プロピレン1.4を装入し、70℃で1時間重合
反応を行なつた。重合反応終了後、生成した重合体を80
℃で減圧乾燥し、得られたものの量を(A)とする。ま
たこのものを沸騰n−ヘプタンで6時間抽出してn−ヘ
プタンに不溶解の重合体を得、このものの量を(B)と
する。
使用した固体触媒成分当りの重合活性(C)を以下の
式で表わす。
また全結晶性重合体の収率(D)を下記の式で表わ
す。
さらに生成重合体中の残留塩素量を(E)、生成重合
体のMIを(F)で表わし、得られた結果を第1表に示
す。
実施例2 重合時間を30分間とした以外は実施例1と同様にして
実験を行なつた。得られた結果は、第1表に示す通りで
ある。
実施例3 ジブチルフタレートの代りに同量のジプロピルフタレ
ートを用いた以外は実施例1と同様にして実験を行なつ
た。なお、この際の固体触媒成分中のチタン含有率は4.
88重量%であつた。重合に際しては実施例1と同様にし
て実験を行なつた。得られた結果は第1表に示す通りで
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の理解を助けるための模式的図面であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(I)金属マグネシウム粉末と2倍モル以
    上のアルキルモノハロゲン化物を有機溶媒の不存在下、
    ヨウ素の存在下で反応させて得られる物質(a)及びテ
    トラアルコキシチタン(b)を粉砕した後、得られた生
    成物に脂肪族炭化水素(c)の存在下、100℃以上でテ
    トラアルコキシチタン(b)、脂肪族アルコール(d)
    及びフタル酸ジエステル(e)を順次加えてそれぞれ処
    理を行い、得られた生成物に四塩化チタン(f)を加え
    て、さらに処理することにより得られる固体触媒成分; (II)一般式 SiRm(OR′)4-m(式中Rはアルキル
    基、シクロアルキル基、ビニル基またはアリール基であ
    り、R′はアルキル基である。Rがアルキル基の場合
    は、そのアルキル基はRと同一であってもよい。mは0
    ≦m<4である。)で表されるケイ素化合物 および (III)一般式RnAlX3−n(式中Rは炭素数1〜4のア
    ルキル基、Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかで
    あり、nは0<n≦3である。)で表される有機アルミ
    ニウム化合物よりなることを特徴とするオレフィン類重
    合用触媒。
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