JP2630111B2 - 誘電体磁器組成物およびそれを用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサ - Google Patents
誘電体磁器組成物およびそれを用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼成温度が800〜10
00℃でかつ中性雰囲気中または還元雰囲気中にて短時
間で焼成でき、誘電損失が小さい誘電体磁器組成物およ
びそれを用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサ
に関するものである。
00℃でかつ中性雰囲気中または還元雰囲気中にて短時
間で焼成でき、誘電損失が小さい誘電体磁器組成物およ
びそれを用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】小型化・大容量化が進むセラミックコン
デンサの高誘電率材料としては、チタン酸バリウムを主
成分とする材料が用いられてきた。しかし、この材料を
焼成させるには大気中でかつ焼成温度として1300℃
程度の高温が必要であるため、積層型セラミックコンデ
ンサを作製する場合に、電極材料としては高価な白金あ
るいはパラジウム等の貴金属の使用が不可欠であり、特
に大容量化にともない内部電極材料が原料費を押し上げ
る要因となっていた。
デンサの高誘電率材料としては、チタン酸バリウムを主
成分とする材料が用いられてきた。しかし、この材料を
焼成させるには大気中でかつ焼成温度として1300℃
程度の高温が必要であるため、積層型セラミックコンデ
ンサを作製する場合に、電極材料としては高価な白金あ
るいはパラジウム等の貴金属の使用が不可欠であり、特
に大容量化にともない内部電極材料が原料費を押し上げ
る要因となっていた。
【0003】これに対し、近年チタン酸バリウム系材料
に耐還元性をもたせ電極材料として安価な卑金属を用い
て酸素分圧の低い雰囲気中で焼成する方法や、鉛系誘電
体材料と安価な銀を主体とする銀−パラジウム合金の電
極材料とを用いて、1000℃前後の低温で焼成する方
法により積層セラミックコンデンサの低コスト化が図ら
れている。
に耐還元性をもたせ電極材料として安価な卑金属を用い
て酸素分圧の低い雰囲気中で焼成する方法や、鉛系誘電
体材料と安価な銀を主体とする銀−パラジウム合金の電
極材料とを用いて、1000℃前後の低温で焼成する方
法により積層セラミックコンデンサの低コスト化が図ら
れている。
【0004】一方、小型化や高信頼性が望まれる電子機
器においては、実装密度の高いハイブリッドIC化が進
められており、従来のチップコンデンサに変わって厚膜
コンデンサに対する要望が高まっている。厚膜コンデン
サを作製するには、低温、短時間焼成が可能な誘電体が
必要であり、このための材料としては主に鉛系誘電体が
用いられる。従って、積層チップコンデンサの大容量化
あるいはコンデンサの厚膜化のいずれにも対応できる低
温焼成が可能な材料として、鉛系誘電体の開発が盛んに
進められている。
器においては、実装密度の高いハイブリッドIC化が進
められており、従来のチップコンデンサに変わって厚膜
コンデンサに対する要望が高まっている。厚膜コンデン
サを作製するには、低温、短時間焼成が可能な誘電体が
必要であり、このための材料としては主に鉛系誘電体が
用いられる。従って、積層チップコンデンサの大容量化
あるいはコンデンサの厚膜化のいずれにも対応できる低
温焼成が可能な材料として、鉛系誘電体の開発が盛んに
進められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さて、PbTiO3,
Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,PbZrO3にMnO2を
添加した低誘電損失な誘電体磁器組成物は特公昭46−
42544号公報等で知られているように、強誘電率磁
器組成物であるが、誘電率を高め十分緻密な焼成体を得
るためには1250℃以上の焼成温度にて数時間保持す
る必要がある。そのため誘電体と電極を同時焼成にて形
成する場合、電極材料としては低融点の安価な卑金属が
利用できない。一方、ハイブリッドIC用の厚膜コンデ
ンサを作製する場合、低温短時間焼成が不可欠となり、
このような条件下では上記誘電体材料は未焼成となるた
め所望の特性が得られないという課題があった。
Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,PbZrO3にMnO2を
添加した低誘電損失な誘電体磁器組成物は特公昭46−
42544号公報等で知られているように、強誘電率磁
器組成物であるが、誘電率を高め十分緻密な焼成体を得
るためには1250℃以上の焼成温度にて数時間保持す
る必要がある。そのため誘電体と電極を同時焼成にて形
成する場合、電極材料としては低融点の安価な卑金属が
利用できない。一方、ハイブリッドIC用の厚膜コンデ
ンサを作製する場合、低温短時間焼成が不可欠となり、
このような条件下では上記誘電体材料は未焼成となるた
め所望の特性が得られないという課題があった。
【0006】本発明ではかかる問題に鑑み、PbTiO
3,Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,PbZrO3系固容体
の持つ誘電率を損なわず、中性雰囲気中あるいは還元雰
囲気中にて800〜1000℃で、かつ短時間焼成が可
能でかつ誘電損失の小さい誘電体磁器組成物およびそれ
を用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサを提供
することを目的とするものである。
3,Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,PbZrO3系固容体
の持つ誘電率を損なわず、中性雰囲気中あるいは還元雰
囲気中にて800〜1000℃で、かつ短時間焼成が可
能でかつ誘電損失の小さい誘電体磁器組成物およびそれ
を用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサを提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明の誘電体磁器組成物は、PbTix(Mg1/3
Nb2/3)yZrzO+mMnO2で表される磁器組成分
(ただしx+y+z=1)において、m=0.1〜3.0
wt%の範囲にあり、この範囲内のmの値に対し、Pb
TiO3,Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,PbZrO3を
頂点とする三角座標で、下記の[ ]内の数値で表され
る組成A,B,C,D,E,Fを頂点とする六角形の領
域内からなる主成分誘電体磁器組成物の仮焼粉に対し
て、副成分としてPbOを1.0〜25.0モル%と、M
gOを10.0〜250.0モル%添加するという構成を
備えたものである。
めに本発明の誘電体磁器組成物は、PbTix(Mg1/3
Nb2/3)yZrzO+mMnO2で表される磁器組成分
(ただしx+y+z=1)において、m=0.1〜3.0
wt%の範囲にあり、この範囲内のmの値に対し、Pb
TiO3,Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,PbZrO3を
頂点とする三角座標で、下記の[ ]内の数値で表され
る組成A,B,C,D,E,Fを頂点とする六角形の領
域内からなる主成分誘電体磁器組成物の仮焼粉に対し
て、副成分としてPbOを1.0〜25.0モル%と、M
gOを10.0〜250.0モル%添加するという構成を
備えたものである。
【0008】 [Aはx=0.250,y=0.125,z=0.62
5 Bはx=0.3125,y=0.0625,z=0.6
25 Cはx=0.500,y=0.0625,z=0.43
25 Dはx=0.500,y=0.450,z=0.050 Eはx=0.450,y=0.500,z=0.050 Fはx=0.250,y=0.500,z=0.25
0]
5 Bはx=0.3125,y=0.0625,z=0.6
25 Cはx=0.500,y=0.0625,z=0.43
25 Dはx=0.500,y=0.450,z=0.050 Eはx=0.450,y=0.500,z=0.050 Fはx=0.250,y=0.500,z=0.25
0]
【0009】
【作用】本発明の誘電体磁器組成物においては、ペロブ
スカイト構造を有するPbTiO3,Pb(Mg1/3Nb
2/3)O3,PbZrO3,MnO2系の仮焼粉体に、Pb
OとMgOを添加することにより、PbOとMgOの共
晶組成を利用して低温で液相を発生させ、またこれらの
添加物がA,B両サイトとに同時に固容することで誘電
体への拡散を円滑に行う。よって添加物による粒界層の
形成が抑制され、かつ誘電率の低下および誘電損失の上
昇を防ぐことができる。従って、中性雰囲気中あるいは
還元雰囲気中にて1000℃以下という低い焼成温度で
短時間に緻密に焼成可能なセラミックと厚膜コンデンサ
が得られることとなる。
スカイト構造を有するPbTiO3,Pb(Mg1/3Nb
2/3)O3,PbZrO3,MnO2系の仮焼粉体に、Pb
OとMgOを添加することにより、PbOとMgOの共
晶組成を利用して低温で液相を発生させ、またこれらの
添加物がA,B両サイトとに同時に固容することで誘電
体への拡散を円滑に行う。よって添加物による粒界層の
形成が抑制され、かつ誘電率の低下および誘電損失の上
昇を防ぐことができる。従って、中性雰囲気中あるいは
還元雰囲気中にて1000℃以下という低い焼成温度で
短時間に緻密に焼成可能なセラミックと厚膜コンデンサ
が得られることとなる。
【0010】
【実施例】(実施例1) 以下、本発明の一実施例の誘電体磁器組成物およびそれ
を用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサについ
て説明する。
を用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサについ
て説明する。
【0011】まず、出発原料としては化学的に高純度な
PbO,MgO,Nb2O5,TiO2,ZrO2,MnO2を
用いた。これらを純度補正を行った上で所定量を秤量
し、純水を加えメノウ製玉石を用いてボールミルで17
時間混合した。これを吸引ろ過して水分の大半を分離し
た後乾燥し、その後ライカイ機で充分解砕した後、粉砕
量の5wt%の純水を加え、直径60mm高さ約50mmの
円柱状に成型圧力500kg/cm2で成型した。これをア
ルミナルツボ中に入れ同質の蓋をし、750〜1150
℃で2時間仮焼した。次に、上記仮焼物をアルミナ乳鉢
で粗砕し、さらにボールミルで17時間粉砕し、吸引ろ
過した後乾燥した。以上の仮焼・粉砕・乾燥を数回くり
かえした。この粉末をX線解析法により解析し、ペロブ
スカイト相であることを確認した。
PbO,MgO,Nb2O5,TiO2,ZrO2,MnO2を
用いた。これらを純度補正を行った上で所定量を秤量
し、純水を加えメノウ製玉石を用いてボールミルで17
時間混合した。これを吸引ろ過して水分の大半を分離し
た後乾燥し、その後ライカイ機で充分解砕した後、粉砕
量の5wt%の純水を加え、直径60mm高さ約50mmの
円柱状に成型圧力500kg/cm2で成型した。これをア
ルミナルツボ中に入れ同質の蓋をし、750〜1150
℃で2時間仮焼した。次に、上記仮焼物をアルミナ乳鉢
で粗砕し、さらにボールミルで17時間粉砕し、吸引ろ
過した後乾燥した。以上の仮焼・粉砕・乾燥を数回くり
かえした。この粉末をX線解析法により解析し、ペロブ
スカイト相であることを確認した。
【0012】この誘電体粉末に副成分としてPbOと、
MgOを添加しライカイ機で混合した後、ポリビニルア
ルコール6wt%水溶液を粉体量の6wt%加え、32
メッシュふるいを通して造粒し、成型圧力500kg/cm
2で直径13mm高さ約5mmの円板状に成型した。次い
で、この成型物を大気中600℃で、1時間保持して脱
バインダーした後、マグネシア磁器容器に入れて同質の
蓋をし、雰囲気ベルト炉を用いて大気中、中性雰囲気中
または還元雰囲気中で所定温度まで2400℃/hrs
で昇温し、最高温度で10分間保持後、2400℃/h
rsで降温した。
MgOを添加しライカイ機で混合した後、ポリビニルア
ルコール6wt%水溶液を粉体量の6wt%加え、32
メッシュふるいを通して造粒し、成型圧力500kg/cm
2で直径13mm高さ約5mmの円板状に成型した。次い
で、この成型物を大気中600℃で、1時間保持して脱
バインダーした後、マグネシア磁器容器に入れて同質の
蓋をし、雰囲気ベルト炉を用いて大気中、中性雰囲気中
または還元雰囲気中で所定温度まで2400℃/hrs
で昇温し、最高温度で10分間保持後、2400℃/h
rsで降温した。
【0013】以上のようにして得られた焼成物を厚さ1
mmの円板状に加工し、両面を電極としてCr−Agを蒸
着し、誘電率、tanδを1MHz、1V/mmの電界下で
測定した。
mmの円板状に加工し、両面を電極としてCr−Agを蒸
着し、誘電率、tanδを1MHz、1V/mmの電界下で
測定した。
【0014】下記の(表1)に本実施例の材料組成と、
大気中での焼成物の誘電特性、誘電損失を示す。
大気中での焼成物の誘電特性、誘電損失を示す。
【0015】
【表1】
【0016】また、焼成雰囲気を中性雰囲気である窒素
中とした焼成物および焼成雰囲気を10−8atm以上
の酸素分圧を有する窒素−水素混合ガス中とした場合の
誘電体磁器組成物の誘電特性および誘電損失を下記の
(表2),(表3)に示す。
中とした焼成物および焼成雰囲気を10−8atm以上
の酸素分圧を有する窒素−水素混合ガス中とした場合の
誘電体磁器組成物の誘電特性および誘電損失を下記の
(表2),(表3)に示す。
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】上記(表1)に示すように、実施例によれ
ば、800〜1000℃短時間焼成にもかかわらず、助
剤にPbOとMgOあるいはMnO2を添加すること
で、大気中において、高い誘電率で低誘電損失の緻密な
焼成体が得られるものである。また、大気中焼成におけ
る特許請求の範囲内の組成物は、(表2),(表3)の
中性雰囲気、還元性雰囲気による焼成においても上記の
特徴を持った焼結体が得られた。
ば、800〜1000℃短時間焼成にもかかわらず、助
剤にPbOとMgOあるいはMnO2を添加すること
で、大気中において、高い誘電率で低誘電損失の緻密な
焼成体が得られるものである。また、大気中焼成におけ
る特許請求の範囲内の組成物は、(表2),(表3)の
中性雰囲気、還元性雰囲気による焼成においても上記の
特徴を持った焼結体が得られた。
【0020】図1は本発明の主成分の組成範囲を、Pb
TiO3,Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,Pb(Ni1/2
W1/2)O3を主成分とする三角組成図中に示したもので
あるが、ここで、本発明において特許請求の範囲を、P
bTix(Mg1/3Nb2/3)ZrzO3+mMnO2で表さ
れる磁器組成分(ただしx+y+z=1)において、m
=0.1〜3.0wt%の範囲にあり、この範囲内のm
の値に対し、PbTiO3,Pb(Mg1/3Nb2/3)
O3,Pb(Ni1/2W1/2)O3を頂点とする三角座標標
で、下記の[ ]内の数値で表される組成A,B,C,
D,E,Fを頂点とする六角形の領域内からなる主成分
誘電体磁器組成物の仮焼粉に対して、副成分としてPb
Oを1.0〜25.0モル%と、MgOを10.0〜2
50.0モル%添加することを特徴とする誘電体磁器組
成物、 [Aはx=0.250,y=0.125,z=0.62
5 Bはx=0.3125,y=0.0625,z=0.6
25 Cはx=0.500,y=0.0625,z=0.43
25 Dはx=0.500,y=0.450,z=0.050 Eはx=0.450,y=0.500,z=0.050 Fはx=0.250,y=0.500,z=0.25
0] と具体的に限定した理由を述べる。(表1),(表
2),(表3)の比較例に示すように、発明の範囲外の
組成物においては、助剤の添加量が少ない組成および8
00℃より低い焼成温度では焼成が不十分となり緻密な
焼成体が得られず、助剤の添加量の多い組成および10
00℃より高い焼成温度では、助剤の誘電体への反応に
より誘電率が低下し、また、誘電損失が大きくなる難点
を有している。また、x,y,zが限定の範囲外の組成
物では高い誘電率および低い誘電損失が得られない難点
を有している。以上のように、限定範囲外の組成では具
体的には、本焼成条件で焼成体の誘電率が200以下、
誘電損失が1.0%以上となり、コンデンサとしての所
望の特性が得られないためである。
TiO3,Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,Pb(Ni1/2
W1/2)O3を主成分とする三角組成図中に示したもので
あるが、ここで、本発明において特許請求の範囲を、P
bTix(Mg1/3Nb2/3)ZrzO3+mMnO2で表さ
れる磁器組成分(ただしx+y+z=1)において、m
=0.1〜3.0wt%の範囲にあり、この範囲内のm
の値に対し、PbTiO3,Pb(Mg1/3Nb2/3)
O3,Pb(Ni1/2W1/2)O3を頂点とする三角座標標
で、下記の[ ]内の数値で表される組成A,B,C,
D,E,Fを頂点とする六角形の領域内からなる主成分
誘電体磁器組成物の仮焼粉に対して、副成分としてPb
Oを1.0〜25.0モル%と、MgOを10.0〜2
50.0モル%添加することを特徴とする誘電体磁器組
成物、 [Aはx=0.250,y=0.125,z=0.62
5 Bはx=0.3125,y=0.0625,z=0.6
25 Cはx=0.500,y=0.0625,z=0.43
25 Dはx=0.500,y=0.450,z=0.050 Eはx=0.450,y=0.500,z=0.050 Fはx=0.250,y=0.500,z=0.25
0] と具体的に限定した理由を述べる。(表1),(表
2),(表3)の比較例に示すように、発明の範囲外の
組成物においては、助剤の添加量が少ない組成および8
00℃より低い焼成温度では焼成が不十分となり緻密な
焼成体が得られず、助剤の添加量の多い組成および10
00℃より高い焼成温度では、助剤の誘電体への反応に
より誘電率が低下し、また、誘電損失が大きくなる難点
を有している。また、x,y,zが限定の範囲外の組成
物では高い誘電率および低い誘電損失が得られない難点
を有している。以上のように、限定範囲外の組成では具
体的には、本焼成条件で焼成体の誘電率が200以下、
誘電損失が1.0%以上となり、コンデンサとしての所
望の特性が得られないためである。
【0021】(実施例2) 上記実施例1と同様に仮焼・粉砕・乾燥した誘電体粉末
に、副成分としてPbOとMgOまたはMnO2を添加
し、ボールミルにて湿式混合した後乾燥し、エチルセル
ロースを主成分とする樹脂を溶媒で溶かしたビヒクルを
加え、三段ロールにて混練し誘電体ペーストを作製し
た。一方、純度96%のアルミナ基板上に2×2mm2の
形状を有する厚膜コンデンサを形成するために、下部電
極として電極ペーストを印刷し乾燥させた。次に、誘電
体層として上記誘電体ペーストを厚み0.050〜0.
060mmになるように二度印刷乾燥を行い、さらに上部
電極として下部電極と同じ電極ペーストを印刷し乾燥す
ることにより、電極−誘電体−電極の三層構造の印刷厚
膜を形成し、ベルト炉を用いて最高温度800〜100
0℃、保持時間10分間焼成した。このようにして得ら
れた厚膜コンデンサの誘電率、tanδを1KHz、1V
/mmの電界下で測定した。(表4)に本実施例の材料組
成と、大気中900℃で焼成した焼成物の誘電特性、誘
電損失を示す。
に、副成分としてPbOとMgOまたはMnO2を添加
し、ボールミルにて湿式混合した後乾燥し、エチルセル
ロースを主成分とする樹脂を溶媒で溶かしたビヒクルを
加え、三段ロールにて混練し誘電体ペーストを作製し
た。一方、純度96%のアルミナ基板上に2×2mm2の
形状を有する厚膜コンデンサを形成するために、下部電
極として電極ペーストを印刷し乾燥させた。次に、誘電
体層として上記誘電体ペーストを厚み0.050〜0.
060mmになるように二度印刷乾燥を行い、さらに上部
電極として下部電極と同じ電極ペーストを印刷し乾燥す
ることにより、電極−誘電体−電極の三層構造の印刷厚
膜を形成し、ベルト炉を用いて最高温度800〜100
0℃、保持時間10分間焼成した。このようにして得ら
れた厚膜コンデンサの誘電率、tanδを1KHz、1V
/mmの電界下で測定した。(表4)に本実施例の材料組
成と、大気中900℃で焼成した焼成物の誘電特性、誘
電損失を示す。
【0022】
【表4】
【0023】上記(表4)に示すように、本実施例の材
料組成にかかる焼成物は、短時間低温焼成にもかかわら
ず、緻密な焼成体からなる高誘電率でかつ低い誘電損失
を有する厚膜コンデンサが得られるものである。
料組成にかかる焼成物は、短時間低温焼成にもかかわら
ず、緻密な焼成体からなる高誘電率でかつ低い誘電損失
を有する厚膜コンデンサが得られるものである。
【0024】また(表5)に本実施例の材料組成と、窒
素中900℃で焼成した焼成物の誘電特性、誘電損失を
示す。
素中900℃で焼成した焼成物の誘電特性、誘電損失を
示す。
【0025】
【表5】
【0026】上記(表5)に示すように、本実施例の材
料組成にかかる焼成物は、短時間低温焼成にもかかわら
ず、緻密な焼成体からなる高誘電率でかつ低い誘電損失
を有する厚膜コンデンサが得られるものである。
料組成にかかる焼成物は、短時間低温焼成にもかかわら
ず、緻密な焼成体からなる高誘電率でかつ低い誘電損失
を有する厚膜コンデンサが得られるものである。
【0027】特許請求の範囲を限定した理由は、実施例
1と同様に、(表4),(表5)の比較例に示すよう
に、限定範囲外の組成では、本焼成条件で焼成体の誘電
率が200以下、あるいは誘電損失が1.0%以上とな
り、厚膜コンデンサとしての所望の特性が得られないた
めである。
1と同様に、(表4),(表5)の比較例に示すよう
に、限定範囲外の組成では、本焼成条件で焼成体の誘電
率が200以下、あるいは誘電損失が1.0%以上とな
り、厚膜コンデンサとしての所望の特性が得られないた
めである。
【0028】本実施例では窒素中にて焼成が可能である
ことを示したが、アルゴン、ヘリウム等の中性雰囲気中
でも焼成が可能であることが容易に推察される。
ことを示したが、アルゴン、ヘリウム等の中性雰囲気中
でも焼成が可能であることが容易に推察される。
【0029】なお、本実施例で用いられる電極として
は、大気中、中性雰囲気中あるいは還元雰囲気中にて8
00〜1000℃で焼成可能な電極が適宜選択され、使
用されるものである。
は、大気中、中性雰囲気中あるいは還元雰囲気中にて8
00〜1000℃で焼成可能な電極が適宜選択され、使
用されるものである。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、80
0〜1000℃の温度にて短時間でかつ中性雰囲気中あ
るいは還元雰囲気中においても焼成可能な高誘電率を有
し、かつ誘電損失の小さい積層セラミックコンデンサお
よび厚膜コンデンサを提供し得る誘電体磁器組成物を実
現できるという優れた効果を発揮するものである。
0〜1000℃の温度にて短時間でかつ中性雰囲気中あ
るいは還元雰囲気中においても焼成可能な高誘電率を有
し、かつ誘電損失の小さい積層セラミックコンデンサお
よび厚膜コンデンサを提供し得る誘電体磁器組成物を実
現できるという優れた効果を発揮するものである。
【図1】本発明の一実施例の誘電体磁器組成物の組成範
囲を示すPbTiO 3 ,Pb(Mg 1/3 Nb 2/3 )O 3 ,P
bZrO 3 を主成分とする三角組成図
囲を示すPbTiO 3 ,Pb(Mg 1/3 Nb 2/3 )O 3 ,P
bZrO 3 を主成分とする三角組成図
フロントページの続き (72)発明者 小平 恵吾 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 沖中 秀行 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−157155(JP,A) 特開 平2−9750(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】 PbTi x (Mg 1/3 Nb 2/3 ) y Zr z O 3
+mMnO 2 で表される磁器組成分(ただしx+y+z
=1)において、m=0.1〜3.0wt%の範囲にあ
り、この範囲内のmの値に対し、PbTiO 3 ,Pb
(Mg 1/3 Nb 2/3 )O 3 ,PbZrO 3 を頂点とする三角
座標で、下記の[ ]内の数値で表される組成A,B,
C,D,E,Fを頂点とする六角形の領域内からなる主
成分誘電体磁器組成物の仮焼粉に対して、副成分として
PbOを1.0〜25.0モル%と、MgOを10.0
〜250.0モル%添加することを特徴とする誘電体磁
器組成物。 [Aはx=0.250,y=0.125,z=0.62
5 Bはx=0.3125,y=0.0625,z=0.6
25 Cはx=0.500,y=0.0625,z=0.43
25 Dはx=0.500,y=0.450,z=0.050 Eはx=0.450,y=0.500,z=0.050 Fはx=0.250,y=0.500,z=0.25
0] - 【請求項2】 請求項1記載の誘電体磁器組成物からな
る誘電体層と、中性雰囲気中あるいは還元雰囲気中にて
800〜1000℃で焼成可能な電極とで構成されたこ
とを特徴とするセラミックコンデンサ。 - 【請求項3】 セラミック基板上に、請求項1記載の誘
電体磁器組成物からなる誘電体層と、800〜1000
℃で焼成可能な電極とから構成されたことを特徴とする
厚膜コンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3126263A JP2630111B2 (ja) | 1991-05-29 | 1991-05-29 | 誘電体磁器組成物およびそれを用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3126263A JP2630111B2 (ja) | 1991-05-29 | 1991-05-29 | 誘電体磁器組成物およびそれを用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04351804A JPH04351804A (ja) | 1992-12-07 |
JP2630111B2 true JP2630111B2 (ja) | 1997-07-16 |
Family
ID=14930858
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3126263A Expired - Fee Related JP2630111B2 (ja) | 1991-05-29 | 1991-05-29 | 誘電体磁器組成物およびそれを用いたセラミックコンデンサと厚膜コンデンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2630111B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR19980040840A (ko) * | 1996-11-29 | 1998-08-17 | 조희재 | 저온 소결용 유전체 세라믹스 조성물 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH029750A (ja) * | 1988-06-27 | 1990-01-12 | Tdk Corp | 高誘電率セラミックス組成物 |
JP2757402B2 (ja) * | 1988-12-07 | 1998-05-25 | 松下電器産業株式会社 | 高誘電率系誘電体磁器組成物の製造方法 |
-
1991
- 1991-05-29 JP JP3126263A patent/JP2630111B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH04351804A (ja) | 1992-12-07 |
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