JP2628965C - - Google Patents

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JP2628965C
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川崎製鉄株式会社
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法、特に最終スタ
ンド出側におけるストリップの板プロフィールを目標値に高精度に的中させるこ
とができるホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 ホットストリップ仕上圧延機では、板厚と共に幅方向の板厚分布(板プロフィ
ール)や板の平坦度等を調整する制御が行われている。 【0003】 板プロフィール(板クラウン)の制御では、最終スタンド出側における板プロ
フィールを目標値に一致させるべく、仕上圧延機を構成する各圧延スタンドに設
置されているクラウン制御装置を制御している。 【0004】 そのため、通常、板プロフィールを実測するための板プロフィールメータを仕
上圧延機の最終スタンド出側に設置し、該板プロフィールメータによる測定結果
を用いて、最終スタンドで圧延された製品の板プロフィールの管理を行ったり、
又、板プロフィール制御用モデルの学習を行うことにより、次回の圧延材に対す
る制御偏差を減少させることが行われている。 【0005】 上記板プロフィール制御では、例えば、次の(1)式で表わされる制御モデル
式を用いることができ、スタンド数がNのタンデム圧延機の場合は、各スタンド
について(1)式に相当する式を立て、合計N本の式を連立させることにより、
最終スタンド出側の板プロフィールを求めることができる。 【0006】 Cri=αi・Crmi+βi・Cri-1 …(1) 【0007】 上記(1)式において、Criは上流側から数えてi 番目の圧延スタンド出側の
板プロフィール、Crmiは同スタンドの、いわゆるメカニカルクラウン、Cri-1
はi −1番目、即ち前段スタンド出側における板プロフィール、αiは上記メカ
ニカルクラウンの転写率、βiは上記前段スタンドの板プロフィールについての
遺伝係数である。以下、これらについて順に説明する。 【0008】 前記(1)式のメカニカルクラウンCrmiは、圧延荷重によるロールの撓み、
ロール熱膨脹又はロール摩耗によって生じるロール間隔の幅方向分布の機械的な
変化量である。今、圧延荷重によるロールの撓みに起因するクラウンをCmpi
ロールの熱膨脹によるクラウンをCmRhi、ロール摩耗によるクラウンをCmRwi
おくと、上記メカニカルクラウンCrmiは次の(2)式で表わされる。 【0009】 Crmi=Cmpi+CmRhi+CmRwi …(2) 【0010】 上記(2)式においてロールの撓みによるクラウンCmpiは、幅方向荷重分布
に基づき、(i )ワークロール、バックアップロールの撓み(クラウン制御装置
出力による変化を含む)と、(ii)ロールのイニシャルクラウン等を考慮した、
次の(3)式で表わされる関数 f1で与えられる。但し、この計算式で、Pは圧
延荷重、b は材料幅、x はクラウン制御装置出力である。 【0011】 Cmpi= f1(P,b ,x ) …(3) 【0012】 又、前記ロールの熱膨脹によるクラウン(ヒートクラウン)CmRhiは、圧延の
進行や圧延後の冷却に伴うロールクラウンの変化を一次応答遅れ近似等の方法で
数式化し、各時定数、比例定数等を実験データから回帰により求めることにより
決定できる。 【0013】 上記ヒートクラウンを決定する際、ロールの表面状態が、例えばホットストリ ップ仕上圧延機で圧延の進行に伴って黒皮が生成したり脱落したりして変化し、
摩擦係数及び熱伝達係数が変化することにより、ストリップからロールへの入熱
が変化すると、これがヒートクラウン推定誤差の要因となるが、この入熱の変化
を測定することはできない。 【0014】 又、前記ロール摩耗によるクラウンCmRwiは、関数 f2を含む次の(4)式で
表わされる。但し、Cf は摩耗係数、Lは圧延長さ、Dはロール径である。 【0015】 CmRWi=Cf ・ f2(P,L,b ,D) …(4) 【0016】 上記(4)式においてCf は、圧延結果の回帰により決定されるが、ロールの
摩耗程度が材料特性やロールの表面状態により変化するため、これが上記ロール
摩耗によるクラウンCmRwiを椎定する際の誤差要因となる。 【0017】 又、前記(1)式において、転写率αiは次の(5)式で表わされる関数 f3
与えられる。 【0018】 αi= f3(h ,Ld ,Kch,ξ) …(5) 【0019】 ここで、h は出側板厚、Ld は接触弧長、Kchは、板幅、接触弧長、変形抵抗
等により変化する回帰係数、ξは、次の(6)式で表わされる関数 f4で与えら
れる形状変化係数である。 【0020】 ξ= f4(D,h ,b ) …(6) 【0021】 又、前記遺伝係数βiは次の(7)式で表わされる関数 f5で与えられる。なお
、Hは入側板厚である。 【0022】 βi= f5(Kch,Ld ,ξ,h ,H) …(7) 【0023】 上記(5)式の転写率αi及び上記(7)式の遺伝係数βiは、いずれも回帰係
数Kchと、同じく回帰的に求められる形状変化係数ξを変数としていることから
、αi、βiはそれぞれ実験結果に基づいて回帰的に決定される。 【0024】 以下、前記(1)式を用いる場合の従来の一般的な板プロフィール制御方法に
ついて、第1スタンドF1〜第7スタンドF7からなる全7スタンドのホットス
トリップ仕上圧延機の場合を具体例として説明する。 【0025】 まず、仕上圧延を行う際のパス(通板)スケジュールを想定し、各スタンドに
対する圧延荷重を予測計算し、且つ仕上圧延機の出側板厚、即ち第7スタンドの
出側板厚 h7と該第7スタンドの目標板クラウンCr7 Aimにより最終的な目標比率
クラウンRc7 Aim(=Cr7 Aim/ h7)を求めると共に、これを用いて上記パスス
ケジュールより各スタンド出側の目標クラウンCri Aim(=Rc7 Aim× hi)を決
定する。 【0026】 次いで、前記(1)式に基づいて、各スタンドについて目標板クラウンCri Ai
mを達成するための目標メカニカルクラウンCrmi Aimを決めると共に、該目標メ
カニカルクラウンを達成するためのクラウン制御装置の出力を決定する。 【0027】 その後、実際の板圧延を行い、最終スタンドF7の出側板クラウンCr7を同ス
タンド出側に設置されている板プロフィールメータで測定し、その実測出側板ク
ラウンCr7から実績比率クラウンRc7(=Cr7/ h7)を求める。 【0028】 次いで、各スタンド出側の比率クラウンが第7スタンドF7出側の前記実績比
率クラウンRc7に等しかったものと仮定し、各スタンドにおける圧延荷重実績と
実績比率クラウンRc7より、各スタンドにおける前記(1)式からの誤差Si
求める。即ち、第i スタンドの出側板クラウンCriをRc7× hiとして求め、次
の(8)式を成立させる誤差Siを求める。なお、メカニカルクラウンCrmiは 圧延荷重実績を用いて算出する。 【0029】 Cri=αi・Crmi+βi・Cri-1+Si …(8) 【0030】 上述の如くして各スタンドについて(8)式を求めたら、該(8)式を次材の
クラウン設定に用いるための学習を行う。又、上記誤差Siを用いて各スタンド
の出側板クラウンを目標値に一致させるための適切なメカニカルクラウンCmri
を求め、該メカニカルクラウンに一致するように各スタンドに対するクラウン制
御装置出力を変更し、フィードバック制御を行う。 【0031】 以上、一例を挙げて具体的に説明した如く、従来のホットストリップ仕上圧延
機では、最終スタンドの出側に設置した板プロフィールメータによる測定結果に
基づいて各スタンドの板プロフィール制御装置を制御する方法がとられていた。 【0032】 これと実質的に同一の技術としては、例えば、特開昭60−223605に、
板クラウンと板形状を同時に所望の値に制御するために、仕上ミル最終スタンド
と最終スタンドより1つ上流スタンドの2スタンドの板プロフィール制御装置を
使って最終スタンドの板プロフィールと板形状を制御することで板クラウンと板
形状の両方を目標通りに圧延する方法が開示さている。しかし、この方法では最
終スタンドと最終スタンドより1つ上流のスタンド間での形状が乱れ、操業に支
障をきたすという恐れがあった。 【0033】 そこで、途中スタンドで形状を乱さないようにするために、より上流側のスタ
ンドから制御する方法が特開昭60−127013、特開昭63−199099
、特開平1−266909に開示されている。一般に、熱間圧延では、後段スタ
ンドでは板厚が薄くクラウン制御能力が小さいため、仕上ミル中段以前での制御
が有効である。従って、この点に関してはこれら各公報に開示されている方法は
、上流スタンドまで溯って制御していることから有効な制御方法である。 【0034】 又、特開昭62−168608、特開平2−37908には、タンデム圧延機
の入側に板プロフィールメータを設置して制御する方法も開示されている。 【0035】 更に、特開昭59−39410には、前段スタンドで板プロフィールを計測し
、その計測値をもとに前段スタンドで板プロフィールを制御するとと共に、後段
スタンドで形状を粗制御し、最終スタンド出側で平坦度を計測し、その計測値を
基に後段スタンドで平坦度を精密制御する方法が開示されている。 【0036】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、前記特開昭60−127013等に開示されている方法では、
各スタンド間の移送時間が長いので無駄時間の大きい制御系となり、応答の悪い
制御しかできないという問題がある。 【0037】 又、前記特開昭62−168608等に開示されてれいる方法では、熱間圧延
においては前段スタンドで板幅方向のメタルフローが大きく、タンデム圧延機の
入側の板プロフィール変動の影響は小さいため、板プロフィール制御効果は殆ど
ないという問題がある。 【0038】 更に、前記特開昭59−39410に開示されている方法では、板プロフィー
ルの制御は、先端部が前段スタンド通過後に前段スタンドでのフィードバック制
御を行っているため、先端部の板プロフィール制御には効果がないという問題が
ある。 【0039】 本発明は、前記従来の問題点を解決するべく成されたもので、ストリップに形
状不良を発生させることなく、最終スタンド出側の板プロフィールを先端部を含
めて高精度で目標値に的中させることができる、応答性の高いホットストリップ
仕上圧延機における圧延制御方法を提供することを課題とする。 【0040】 【課題を解決するための手段】 本発明は、複数の圧延スタンドが連設されてなるホットストリップ仕上圧延機
における圧延制御方法において、スタンド間に設置した板プロフィールメータで
該スタンド間を通過するストリップの板プロフィールを実測し、その実測板プロ
フィールに基づいて上記板プロフィールメータ設置スタンド間より下流側の圧延
スタンドを、各圧延スタンドにおける比率クラウン変更量が比率クラウン変更限
界を超えない範囲で制御し、最終スタンド出側における板プロフィールを目標値
に一致させると共に、前記板プロフィールメータ設置スタンド間で得られた実測
板プロフィールと、該スタンド間について予め求めてある目標板プロフィールと
の偏差を求め、該偏差を減少させるように該スタンド間より上流側の圧延スタン
ドを制御することにより、前記課題を達成したものである。 【0041】 本発明は、又、ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法において、
前記板プロフィールメータ設置スタンド間で得られた実測板プロフィールと、該
スタンド間について予め求めてある目標板プロフィールとの偏差を求め、該偏差
に基づいて前記下流側の圧延スタンドを、各圧延スタンドにおける比率クラウン
変更量が比率クラウン変更限界を超えない範囲で制御することにより、同様に前
記課題を達成したものである。 【0042】 本発明は、又、ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法において、
前記板プロフィールメータ設置スタンド間で得られた実測板プロフィールに基づ
いて最終スタンド出側における板プロフィールを予測し、その予測板プロフィー
ルと最終スタンド出側における目標板プロフィールとの誤差を減少させるように
前記下流側の圧延スタンドを、各圧延スタンドにおける比率クラウン変更量が比
率クラウン変更限界を超えない範囲で制御することにより、同様に前記課題を達
成したものである。 【0043】 【0044】 【作用】 初めに、本発明においてスタンド間に設置する板プロフィールメータの好まし い設置位置について説明する。但し、本発明は、この位置に板プロフィールメー
タを設置するものに限定されるものではない。 【0045】 前述の如く、ホットストリップ仕上圧延機の後段においては、板プロフィール
を大幅に変更することは製品に板形状不良を生じさせることから極めて困難であ
る。 【0046】 一般に、板形状を乱すことなく圧延するためには、板の比率クラウンを常に一
定にした状態で圧延する必要がある。 【0047】 本発明者は、圧延現象を種々検討した結果、ある程度の板厚があれば、比率ク
ラウン一定の状態から外れることに起因して幅方向に分布する残留応力が生じて
も、板形状に乱れを生じさせることなく圧延できることを知見した。 【0048】 図1は、上記知見の根拠となった板形状を乱すことのない板厚と比率クラウン
変更限界の関係の一例を具体的に示した線図であり、この図1より比率クラウン
変更限界は板厚が2mm以上となると大きくなり、4mmを超えると次第に飽和する
ことが分かる。 【0049】 ここで、比率クラウン変更限界とは、第i スタンドの入側の比率クラウン(ク
ラウンを中央部の板厚で割った値)Rci-1と、同スタンドの出側の比率クラウン
ciとの差である比率クラウン変化率ΔRci(=Rci-1−Rci)に許容される最
大値である。 【0050】 上記図1は実験結果であるが、上記のように板厚4mmを超えると比率クラウン
変更限界が飽和する理由は、以下のように推定される。板厚の厚い領域では比率
クラウンを変えても内部応力によるバックリングは生じにくいが、逆に内部応力
の存在が比率クラウンを変化させにくくしていると考えられる。 【0051】 例えば、比率クラウンが小さくなる方向で比率クラウンを変更させた場合、幅
方向中央部に圧縮が、幅方向端部に引張りが作用する。その結果、幅方向中央部
は圧延荷重が増加し、逆にエッジ部では圧延荷重が減少する。この傾向は板厚が
大きいほど強いため、比率クラウンを変えようとしても結果的に圧延荷重の幅方
向分布が変わってしまい、これが比率クラウンの変化代を制限することになって
いると考えられる。 【0052】 又、当然、クラウン制御装置のクラウン変更可能量の制限もある。これも板厚
の厚い側で比率クラウン変更量を制限する要因になっていると考えられる。 【0053】 又、図2に示す前記(1)式の遺伝係数βi と板厚の関係の一例から、板厚が
大きいとβiが小さいが、以降の圧延による外乱が大きくなるために最終スタン
ド出側までの圧延で板プロフィールが変化してしまい、結果として最終製品の板
プロフィール制御能力が低下してしまうことからも、余り板厚が大きい段階の板
プロフィールを実測しても、その実測値を有効に制御に活用できない。 【0054】 従って、板プロフィールメータを設置するスタンド間としては、比率クラウン
をある程度変化させても板形状の乱れが発生しない、通過するストリップの板厚
が2mm以上となるスタンド間が好ましく、2mm以上、4mm以下となるスタンド間
が特に好ましい。 【0055】 本発明においては、最終スタンドの出側ではなく、スタンド間に設置した板プ
ロフィールメータで該スタンド間を通過するストリップの板プロフィールを実測
し、その実測板プロフィールに基づいて上記板プロフィールメータ設置スタンド
間より下流側の圧延スタンドを、各圧延スタンドにおける比率クラウン変更量が
比率クラウン変更限界の超えない範囲でフィードフォワード制御するようにした
ので、上記板プロフィールメータの設置スタンド間を適切に選択することにより
、最終スタンド出側における板プロフィールを目標値に一致させることができる
。このフィードフォワード制御は、圧延スタンドのプロフィール制御装置(ロー
ル ベンダ又はロール交差角調整装置)を動作させることにより行うことができる。 【0056】 又、本発明において、前記板プロフィールメータ設置スタンド間で得られた実
測板プロフィールと、該スタンド間について予め求めてある目標板プロフィール
との偏差に基づいて前記下流側の圧延スタンドを、各圧延スタンドにおける比率
クラウン変更量が比率クラウン変更限界を超えない範囲で制御する場合には、測
定結果から実績比率クラウンを求め、これと目標比率クラウンとの間の偏差に応
じて、例えば前記図1に示した許容範囲内で比率クラウンを変更することができ
るので、板プロフィールメータ設置スタンド間より下流側の圧延スタンドに対し
て上記許容範囲内で比率クラウンを変更することにより、板形状に乱れを生じさ
せることなく、最終スタンド出側の板プロフィールを目標値に的中させることが
可能となる。その際の下流側スタンドに対して与える板クラウンの変更量は次の
ようにして求めることができる。 【0057】 例えば、第4スタンドF4出側の板クラウンを測定し、この実測板クラウンC
r4と同スタンドF4出側の目標板クラウンCr4 Aimとの偏差分ΔCr4を第5スタ
ンドF5で修正する場合について説明すると、該第5スタンドF5出側の板クラ
ウン変更量ΔCr5は、次の(9)式で求めることができる。 【0058】 ΔCr5=β5ΔCr4 …(9) 但し;ΔCr4=Cr4−Cr4 Aim 【0059】 なお、このように第5スタンドF5だけで板クラウンを変更して制御すると形
状が乱れるような場合には、第5スタンドF5と第6スタンドF6又は第5〜第
7スタンドF5〜F7の複数スタンドのそれぞれに板クラウン変更量を分担させ
て制御してもよい。又、第6スタンドF6だけ、第7スタンドF7だけで制御す
ることもできる。 【0060】 又、本発明において、前記板プロフィールメータ設置スタンド間で得られた実 測板プロフィールに基づいて最終スタンド出側における板プロフィールを予測し
、その予測板プロフィールと最終スタンド出側における目標板プロフィールとの
誤差を減少させるように前記板プロフィールメータ設置スタンド間より下流側の
圧延スタンドを、各圧延スタンドにおける比率クラウン変更量が比率クラウン変
更限界を超えない範囲で制御する場合には、同様に最終スタンド出側の板プロフ
ィールを目標値に的中させることができる。 【0061】 その際、実測板プロフィールに基づいて最終スタンド出側における予測板プロ
フィールを求めるには、前記(1)〜(7)式を用いる。 【0062】 又、求めた上記予測板プロフィールと目標板プロフィールとの誤差を減少させ
るために、上記下流側の圧延スタンドに対して与える板クラウンの変更量は、次
のようにして求めることができる。 【0063】 同様に第4スタンドF4出側の板クラウンを測定する場合について説明すると
、同第4スタンドF4出側の実測板クラウンCr4から第7スタンドF7出側の板
クラウンを予測計算するには、前記(1)〜(7)式を用いる。 【0064】 予測した第7スタンドF7出側の板クラウンCr7が同スタンド出側の目標板ク
ラウンCr7 Aimになるように、例えば第5スタンドF5出側の板クラウンを次の
(10)式で求められる変更量ΔCr5だけ変更する。 【0065】 ΔCr5=(1/β6β7)ΔCr7 …(10) 但し;ΔCr7=Cr7−Cr7 Aim 【0066】 なお、このように第5スタンドF5だけで制御すると形状が乱れるような場合
には、第4スタンドF4の実測板クラウンと目標板クラウンとの偏差を用いて下
流側スタンドを変更する場合と同様に複数スタンドに分担させて制御してもよい
。 【0067】 ここで、前記(9)式に基づく制御方法と前記(10)式に基づく制御方法と
の違いについて説明する。 【0068】 (9)式による方法は、第4スタンドF4出側で検出した誤差(偏差)ΔCr4
=Cr4−Cr4 Aimに起因して第5スタンドF5以降で生じる誤差をなくす方法で
ある。ストリップ先端部の板プロフィール制御の際は、第5スタンドF5以降の
実績データがないので(ストリップを噛み込んでいないため)、第7スタンドF
7までの板クラウンを予測することは意味がないためこの方法がとられる。 【0069】 一方、(10)式による方法は、実測した第4スタンド出側の板クラウンCr4
を基に第7スタンド出側の板クラウンCr7を予測する。この予測においては、設
定計算時の予測とは異なり、圧延中の実績値を用いてCr7を予測する。即ち、(
9)式による方法では、第4スタンドF4までで生じる外乱を打ち消すだけの制
御であるのに対し、(10)式による方法は、圧延実績を使ってCr7を予測する
ことで、第5スタンドF5以降で生じる外乱の影響も考慮していることになる。 【0070】 又、本発明においては、前記フィードフォワード制御と共に、前記板プロフィ
ールメータ設置スタンド間で得られた実測板プロフィールと、該スタンド間につ
いて予め求めてある目標板プロフィールとの偏差を求め、該偏差を減少させるよ
うに該スタンド間により上流側の圧延スタンドを制御するようにしたので、前述
した板プロフィールメータ設置スタンド間より下流側のスタンドに対するフィー
ドフォワード制御と共に、上流側スタンドに対してフィードバック制御を行うこ
とができる。 【0071】 このフィードバック制御は、通板時に上記板プロフィールメータでスタンド間
を通過するストリップの板プロフィールを測定すると共に、製品の目標板プロフ
ィールから目標比率クラウンを決定し、この目標比率クラウンに上記スタンド間
におけるプロフィール測定結果から求めた実績比率クラウンが一致するように、
上記板プロフィールメータ設置位置より上流側の圧延スタンドのプロフィール制 御装置(ロールベンダ又はロール交差角調整装置)を動作させることで行うこと
ができる。 【0072】 このフィードバック制御を行うことにより、例えばストリップの先端部を上記
板プロフィールメータで測定した結果、実測板プロフィールとその位置の目標板
プロフィールとの間に偏差が存在している場合であっても、その時点より後は板
プロフィール測定位置のスタンド間では常にストリップを目標板プロフィールに
制御することが可能となり、従ってその後は比率クラウン一定の条件で圧延する
ことにより、仕上圧延機出側における製品の板プロフィールを目標値に精度良く
的中させることが可能となる。 【0073】 【実施例】 以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。 【0074】 図3は、本発明に係る一実施例の圧延制御方法に適用されるホットストリップ
仕上圧延機の一部を示した概略構成図である。 【0075】 本実施例に用いられる上記仕上圧延機は、第1スタンドF1〜第7スタンドF
7の全7スタンドからなる連続圧延機であり、図3には第4スタンドF4〜第7
スタンドF7までが示してある。 【0076】 上記連続圧延機では、各スタンドが板プロフィール制御装置10と、荷重計1
2と、板厚制御装置14とを備えている。なお、これらについては、第4スタン
ドF4〜第7スタンドF7について、上記符号にそれぞれA〜Dの添字を付して
図示してあるが、省略されている第1スタンドF1〜第3スタンドF3も同一の
構成を有している。 【0077】 上記第4スタンドF4〜第7スタンドF7の板プロフィール制御装置10A〜
10Dには、板プロフィール制御演算装置16が接続され、該演算装置16から これら板プロフィール制御装置10A〜10Dそれぞれに板プロフィールを制御
するための制御信号が入力されるようになっている。 【0078】 又、上記板厚制御装置14A〜14Dには、板厚制御演算装置18が接続され
、該演算装置18からこれら板厚制御装置14A〜14Dのそれぞれに対して板
厚を制御するための制御信号が入力されるようになっている。 【0079】 又、第4スタンドF4と第5スタンドF5の間である第4スタンド間、第5ス
タンドF5と第6スタンドF6の間である第5スタンド間、及び最終の第7スタ
ンドF7の出側には、第1板プロフィールメータ20A、第2板プロフィールメ
ータ20B及び第3板プロフィールメータ20Cがそれぞれ配設され、これら第
1〜第3板プロフィールメータ20A〜20Cにより測定された実測板プロフィ
ールが、前記板プロフィール制御演算装置16に入力されるようになっている。
又、第5スタンドF5のワークロールには、ロールプロフィールメータ22が設
置され、該ロールプロフィールメータ22により測定された実測ロールプロフィ
ールが、同様に上記板プロフィール制御演算装置16に入力されるようになって
いる。 【0080】 又、第6スタンドF6と第7スタンドF7の間である第6スタンド間、及び第
7スタンドF7の出側に、第1板厚計24A及び第2板厚計24Bがそれぞれ設
置され、これら板厚計24A、24Bにより測定される実測板厚が前記板厚制御
演算装置18に入力されるようになっている。 【0081】 更に、上記第4、第5及び第6の各スタンド間にはそれぞれ平坦度計26が設
置され、これらスタンド間を通過するストリップの平坦度を測定することができ
るようになっている。 【0082】 次に本実施例の作用を、板プロフィール制御式として前記(1)を用いる場合
について説明する。 【0083】 本実施例においては、第4スタンドF4と第5スタンドF5との間(第4スタ
ンド間)を通過するストリップ、即ち第4スタンドF4で圧延されるストリップ
の板厚は4mm以下、2mm以上となるようにパススケジュールが設定されている。 【0084】 本実施例では、前記板プロフィールメータ20Aが設置されている第4スタン
ド間より上流側の第1スタンド〜第4スタンドF1〜F4で圧延されたストリッ
プ(被圧延材)Sは、その先端が上記板プロフィールメータ20Aに到達すると
、その先端の板プロフィールが測定される。 【0085】 上記第4スタンド間の第1プロフィールメータ20Aで第4スタンドF4の出
側に到達したストリップSについて、板プロフィールCr4とその中央部板厚 h4
とを測定すると、これら実測値は板プロフィール制御演算装置16に入力され、
該演算装置16において比率クラウンRc4に変換される。この実測値に基づく第
4スタンドF4出側の比率クラウンが予め求めてある目標比率クラウンRc4 Aim
に一致するように、第4スタンド以前の板プロフィール制御装置10A及び図示
しない第1〜第3スタンドの板プロフィール制御装置に板プロフィール制御演算
装置16から制御変更量を出力し、フィードバック制御を行う。 【0086】 上記フィードバック制御により、前記第4スタンド間でストリップの先端の板
プロフィールを測定した以降は、第4スタンドF4出側の板プロフィールを、同
スタンドF4出側の目標比率クラウンに一致させることが可能となる。従って、
これ以降は、比率クラウン一定の条件で下流側スタンドF5〜F7による圧延を
進めることが可能となり、第7スタンドF7により圧延される製品ストリップを
、平坦度の乱れを生じさせることなく目標板プロフィールに的中させることが可
能となる。 【0087】 このように、本実施例においては、第4スタンドF4と第5スタンドF5の間
に板プロフィールメータ12Aを設置しているので、該第4スタンド出側の板ク ラウンCr4を、従来のような仮定値ではなく実績値として求めることができるた
め、大幅に板プロフィールの制御精度を向上させることが可能となる。 【0088】 又、上記板プロフィールメータ20Aが設置されている第4スタンド間を通過
するストリップの板厚が4mm以下、2mm以上になるように設定されているため、
上流側スタンドF1〜F4では板形状に乱れを生じさせることなくクラウンを変
更する自由度が高い。従って、前記(8)式を用いて前述したと同様の方法によ
り第4スタンドF4における誤差S4を直接算出し、該誤差S4を減少させ、該ス
タンドにおける実測比率クラウンRc4を同スタンドにおける目標比率クラウンR
c4 Aimに一致させるように、圧延荷重によるロールの撓みCmp4を修正するべくク
ラウン制御量を変更することにより、応答性の高いフィードバック制御を実行す
ることが可能となる。 【0089】 上記フィードバック制御を行うと共に、第4スタンド間において、実測に基づ
く比率クラウンと目標値との間に偏差が生じている場合には、最終製品板プロフ
ィールと第7スタンド出側における目標板プロフィールとの偏差を減少させるよ
うに、板プロフィール制御演算装置16から第4スタンドF4より下流側のスタ
ンド、即ち第5スタンドF5、第6スタンドF6及び第7スタンドF7に付設さ
れている荷重計12B、12C及び12Dに制御変更量を出力し、フィードフォ
ワード制御を行う。 【0090】 即ち、ストリップ先端部の実測に基づく比率クラウンと目標比率クラウンの偏
差に応じて、第1板プロフィールメータ20Aの下流側に位置する圧延スタンド
F5〜F7にそれぞれ配設されている板プロフィール制御装置10B〜10Dに
対してもストリップ先端の板プロフィールを修正するべく、前記板プロフィール
制御演算装置16で算出した必要制御量をそれぞれ出力する。但し、これら下流
側圧延スタンド10B〜10Dでは、前述した如く板プロフィールの制御可能量
は小さいため、上記板プロフィール制御装置10B〜10Dに対する出力につい
ては、平坦度の許容範囲内になるように前記制御演算装置16で演算による制限 を加える必要がある。 【0091】 しかし、本実施例では、前記板プロフィールメータ12Aで板プロフィールを
測定するストリップは、その板厚が4mm、2mm以上なるようにしてあるため、前
記図1に例示した比率クラウン変更限界から上記平坦度の許容範囲を比較的大き
く確保することができるため、板形状(平坦度)不良を生じさせることなく確実
に板プロフィール制御を行うことができる。 【0092】 上述した第4スタンド出側の実測比率クラウンRc4に基づいて、上記下流側ス
タンドF5〜F7に対して最終比率クラウンを目標値に近付ける制御を行う方法
としては、次の2つの方法を挙げることができる。 【0093】 第1の方法は、第4スタンドF4出側における実測板プロフィール(板クラウ
ン)Cr4から求まる比率クラウンRc4と、同スタンド出側における目標比率クラ
ウンRc4 Aimとの偏差に起因して下流側スタンドF5〜F7で生じる板クラウン
誤差を相殺するように制御する方法である。この場合の下流側スタンドF5〜F
7それぞれに対するクラウン比率の変更量は前記(9)式で求めることができる
。 【0094】 第2の方法は、実測板プロフィールから求まる上記比率クラウンRc4に基づい
て予め設定してあるパススケジュールに従って最終スタンドまで圧延を進めた場
合の該最終スタンド出側の板プロフィールを予測し、予測したこの出側板プロフ
ィールを目標値に近付けるために下流側スタンドF5〜F7を制御する方法であ
る。この場合の最終スタンド出側における予測板プロフィールは、前記(1)〜
(7)式で求めることができ、又、各スタンドF5〜F7に対する比率クラウン
変更量は前記(10)式で求めることができる。 【0095】 ストリップの板厚が薄くなる後段スタンドでは、前述の通り形状が乱れ易いた
め、後段の第i スタンドにおける比率クラウンRciの変更可能量は制限を受ける
。従って、下記(11)式により求められる上記比率クラウンの変更可能量ΔR
ci で決まる制限の中で、いかに目標に近付けるかを考慮することが通板性を確保す
る上で重要である。 【0096】 ΔRci= f6(h ,b ,D) …(11) 【0097】 【0098】 又、本実施例では、ストリップの先端が前記第4スタンド間を通過した後も、
板プロフィールメータ20Aで計測を継続することにより、該スタンド間を通過
するストリップの板プロフィールがロールの熱膨脹や摩耗進行等によって変化し
、実測板プロフィールと目標値との間に偏差が生じる場合でも、該偏差を補正す
ることが可能となるため、製品の板プロフィールを常に目標値に一致させること
が可能となる。 【0099】 次に、前記第1板プロフィールメータ20Aによる実測板プロフィールを用い
る制御方法の効果を明らかにするために実際に板プロフィール制御を行った結果
について説明する。 【0100】 板厚30mmのシートバーを、次の表1及び表2に示したパススケジュールに従
ってそれぞれ圧延する際に、板プロフィールメータを設置するスタンド間を変更
し、板厚が異なる位置でその板プロフィールを測定すると共に、その実測板プロ
フィールに基づいて板プロフィールメータ設置位置より上流側のスタンドについ
てフィードバック制御を行い、板プロフィールメータ設置位置より下流側のスタ
ンドについては比率クラウン一定の条件の下でフィードフォワード制御を行う、
板プロフィール制御を行った。 【0101】 【表1】 【0102】 【表2】 【0103】 図4は、上記板プロフィール制御を行った際に得られた最終スタンド出側にお
ける実測板プロフィールと目標値との誤差を板プロフィール制御精度(μm )と
し、これと板プロフィールメータを設置したスタンド間における通過板厚(mm)
との相関を表わした図である。 【0104】 上記図4より明らかなように、上記通過板厚が2mm以上となると制御精度が向
上し、4mmを超えると制御精度が低下していき、最終的には制御効果が無くなる
。 【0105】 このように制御精度が板厚2mm以上で向上することは、前記図1に示したよう
に、形状限界から決まる比率クラウン変更限界が急速に高まることによると、又
、板厚4mmを超えると低下することは、前記図2に示したように遺伝係数βi
小さくなると共に、最終製品に到達するまでの圧延回数が増加することによると
、 理解される。 【0106】 以上の説明より、フィードバック制御、フィードフォワード制御に用いる板プ
ロフィールを測定するための板プロフィールメータの設置位置は、通過するスト
リップの板厚が4mm以下、2mm以上となるスタンド間が好適であることが判る。 【0107】 本実施例においては、第4スタンド間に前記第1板プロフィールメータ20A
を設置すると共に、該第4スタンド間に連続する第5スタンド間に第2板プロフ
ィールメータ20Bを設置してあるので、第1板プロフィールメータ20Aで得
られる実測板プロフィールに基づいて前述した板プロフィール制御を行う際に、
第2板プロフィールメータ20Bで得られる第5スタンドF5出側の実測板クラ
ウンCr5を用いて該第5スタンドに対する制御を行うことが可能となる。 【0108】 従って、上記第5スタンドF5でも、仮定値ではなく実測値に基づいて板プロ
フィール制御を行うことが可能となるため制御精度を更に向上することが可能と
なる。 【0109】 又、本実施例では、前述した如く、第1板プロフィール計20Aで第4スタン
ドF4出側の板クラウンCr4を測定すると共に、第2板プロフィールメータ20
Bで第5スタンドF5出側の板クラウンCr5を、又、ロールプロフィールメータ
22で同スタンドF5のワークロールのロールプロフィールCmr5を、更に荷重
計12Bで同スタンドF5の圧延荷重P5をそれぞれ測定し、これら実測値を板
プロフィール制御演算装置16に入力する。 【0110】 この演算装置16において、第5スタンドF5の上記圧延荷重P5から前記(
6)式により同スタンドF5のロール撓みによるクラウンCmp5を計算により求
め、これを上記実測値と共に前記(1)式のモデル式に適用することにより、回
帰的手法により前記(5)式のメカニカルクラウン転写率αi、前記(7)式の
遺伝係数βiを求め、これら計算モデル式の中の学習修正係数(回帰係数Kch、 形状変化係数ξ)を変更することにより、次の圧延材の初期設定の精度を上げる
ことが可能となる。 【0111】 これを更に詳細に説明すると、本実施例のように、ロールプロフィールメータ
を備えた1台の圧延スタンドを挟む2つのスタンド間に板プロフィールメータ2
0A、20Bを設置する配列にすることにより、前記(1)式によるクラウン計
算に必要な、対象スタンドFi(i =4)出側の板クラウンCri、その前段スタ
ンド出側の板クラウンCri-1、同対象スタンドFiのロールの熱膨脹によるクラ
ウンとロール摩耗によるクラウンとの和(CmRhi+CmRwi)等を全て実測できる
ため、結果的に誤差要素は転写率αiと遺伝係数βiのみとなる。従って、回帰的
手法等により容易にこれら転写率αi、遺伝係数βiを最適化することが可能とな
る。なお、上記転写率αi及び遺伝係数βiは材料の幅方向温度分布、材料特性等
により変化するものであり、スタンドの違いによる変化は小さいため、特定スタ
ンドでこれを求めておくことにより、他のスタンドにこれを適用しても特別に大
きな問題は生じない。 【0112】 又、本実施例では、前記第1板プロフィール計20A及び第2板プロフィール
計20Bで、第4スタンドF4出側における中央部板厚 h4及び第5スタンドF
5出側における中央部板厚 h5を測定すると共に、板厚計24により第6スタン
ドF6出側における中央部板厚 h6を測定することができるので、これら各実測
板厚を上記板厚制御演算装置18に入力し、該演算装置18でこれら実測値と予
め設定してあるスタンド間目標板厚と比較し、その偏差が減少するように板厚制
御装置14に対する制御量を変更することにより、板厚の制御をも高精度で行う
ことが可能となる。 【0113】 又、前述の如く、下流側から数えて3つ目の第4スタンド間に第1プロフィー
ルメータ20Aを設置することにより、その測定位置を通過するストリップにつ
いて幅方向の板厚の差をも検出できる。この第4スタンド間は、未だ板プロフィ
ールを修正できる位置であるため、幅方向に板厚の差が生じている場合には、そ の下流側に位置する第5スタンドF5、第6スタンドF6及び第7スタンドF7
について、幅方向に生じている板厚の偏差を解消するようにフィードフォワード
制御することにより、ストリップSの最終製品に蛇行が生じることを防止するこ
とができる。このようにストリップSの蛇行を改善することにより、先端及び後
端が通板する際の絞り込み等の通板トラブルを減少することが可能となる。 【0114】 更に、本実施例においては、スタンド間に平坦度計26をそれぞれ配設してあ
るので、これら平坦度計26でスタンド間を通過するストリップSの板形状を測
定し、その実測板形状を前記板プロフィール制御演算装置16に入力し、これら
検出値から制御修正量の補正を行うことにより、板プロフィール過制御による板
形状の乱れが発生することを適切に防止することができる。 【0115】 以上詳述した如く、本実施例によれば、通過するストリップの板厚が4mm以下
、2mm以上となるスタンド間に板プロフィールメータ20Aを設置したので、該
板プロフィールメータ20Aによる測定結果に基づいて、該板プロフィールメー
タ20Aの設置位置より上流側の圧延スタンドに対してフィードバック制御を行
うことにより、上記スタンド間を通過するストリップをその位置における目標板
プロフィールに一致させることができると共に、下流側スタンドにフィードフォ
ワード制御を行うことにより、上記板プロフィールメータ20Aによる測定結果
と目標値との間に偏差が生じている場合でも、最終スタンド出側における製品板
プロフィールを目標値に的中させることができる。実際に、従来方法では板プロ
フィール制御精度の誤差が30μm あったものを10μm 以下にすることができ
た。 【0116】 又、上記フィードバック制御によれば、従来のようにタンデム圧延機の出側又
はその近傍に板プロフィールメータを設置していた場合に比べ、フィードバック
制御をかけるまでに必要とされる材料の長さを大幅に短縮することができる。因
に、第4スタンド出側から第7スタンド出側までをストリップ長さに換算すると
、例えば約20m になる。 【0117】 又、上記フィードフォワード制御によれば、板プロフィールメータ20Aで測
定した実測値に基づいて板プロフィール制御を行うことが可能となるため、従来
のような予測制御に比較して大幅に制御精度を向上させることが可能となる。 【0118】 又、本実施例によれば、従来は不明であったスタンド間の板プロフィールが判
明すると共に、板プロフィールメータを設置した連続する2つのスタンド間に挟
まれている圧延スタンドに設置したロールプロフィールメータにより該圧延スタ
ンドについてのロールプロフィールを実測値として求めることができることから
、同圧延スタンドの入側と出側の板プロフィール、及びロールプロフィールの状
況を直接測定できるようになる。 【0119】 従って、メカニカルクラウンの転写率αi、遺伝係数βiのモデル式との乖離を
定量的且つ直接的に把握する可能となるため、制御モデル式の精度を大幅に向上
することが可能となり、次材圧延時の各制御機器に対する初期設定精度を大幅に
向上することが可能となる。 【0120】 以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に示したも
のに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。 【0121】 例えば、前記実施例では、仕上圧延機が7スタンドからなるものについて説明
したが、これに限定されない。 【0122】 又、前記7スタンドからなる仕上圧延機では、第1板プロフィールメータ20
Aを、通過板厚が4mm以下、2mm以上となる第4スタンド間に設置したが、これ
に限定されない。 【0123】 又、板プロフィールメータ、ロールプロフィールメータ及び平坦度計の設置位
置及びその数は、前記実施例に示したものに限られるものでなく、任意に変更可
能であり、板プロフィールメータを設置するスタンド間も連続している場合に限 定されない。 【0124】 又、前記実施例では、最終の第7スタンド前の第6スタンド間に板厚計を設置
した場合を示したが、この板厚計に変えて板プロフィールメータを設置してもよ
い。但し、このスタンド間では通常板厚が薄くなりすぎているため、板プロフィ
ール制御の自由度は極めて低い。従って、最終スタンド間には、前記実施例のよ
うに板厚計を設置することが経済的な面からも有利である。 【0125】 【発明の効果】 以上説明した通り、本発明によれば、ストリップに形状不良を発生させること
なく、最終スタンド出側の板プロフィールを先端部を含めて高精度で目標値に的
中させることができる、応答性の高い板プロフィール制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 スタンド間を通過する板の厚さと比率クラウン変更限界の関係を示す線図 【図2】 遺伝係数と板厚の関係を示す線図 【図3】 本発明に係る一実施例のホットストリップ仕上圧延機の設備配列の一部を示す
概略構成図 【図4】 スタンド間板プロフィールメータ設置位置の板厚と制御精度の関係を示す線図 【符号の説明】 10…板プロフィール制御装置 12…荷重計 14…板厚制御装置 16…板プロフィール制御演算装置 18…板厚制御演算装置 20…板プロフィールメータ 22…ロールプロフィールメータ 24…板厚計 26…平坦度計

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数の圧延スタンドが連設されてなるホットストリップ仕上圧延機における圧
    延制御方法において、 スタンド間に設置した板プロフィールメータで該スタンド間を通過するストリ
    ップの板プロフィールを実測し、 その実測板プロフィールに基づいて上記板プロフィールメータ設置スタンド間
    より下流側の圧延スタンドを、各圧延スタンドにおける比率クラウン変更量が比
    率クラウン変更限界を超えない範囲で制御し、最終スタンド出側における板プロ
    フィールを目標値に一致させると共に、 前記板プロフィールメータ設置スタンド間で得られた実測板プロフィールと、
    該スタンド間について予め求めてある目標板プロフィールとの偏差を求め、該偏
    差を減少させるように該スタンド間より上流側の圧延スタンドを制御することを
    特徴とするホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法。 【請求項2】 請求項1において、 前記板プロフィールメータ設置スタンド間で得られた実測板プロフィールと、
    該スタンド間について予め求めてある目標板プロフィールとの偏差を求め、該偏
    差に基づいて前記下流側の圧延スタンドを、各圧延スタンドにおける比率クラウ
    ン変更量が比率クラウン変更限界を超えない範囲で制御することを特徴とするホ
    ットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法。 【請求項3】 請求項1において、 前記板プロフィールメータ設置スタンド間で得られた実測板プロフィールに基
    づいて最終スタンド出側における板プロフィールを予測し、 その予測板プロフィールと最終スタンド出側における目標板プロフィールとの
    誤差を減少させるように前記下流側の圧延スタンドを、各圧延スタンドにおける 比率クラウン変更量が比率クラウン変更限界を超えない範囲で制御することを特
    徴とするホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法。

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