JP2628963C - - Google Patents

Info

Publication number
JP2628963C
JP2628963C JP2628963C JP 2628963 C JP2628963 C JP 2628963C JP 2628963 C JP2628963 C JP 2628963C
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stand
plate
crown
control
stands
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
Other languages
English (en)
Original Assignee
川崎製鉄株式会社
Publication date

Links

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、ホットストリップ仕上圧延機の設備配列、特に最終スタンド出側に おけるストリップの板プロフィールと板厚を共に目標値に高精度に的中させるこ
とができるホットストリップ仕上圧延機の設備配列に関する。 【0002】 【従来の技術】 ホットストリップ仕上圧延機では、板厚と共に幅方向の板厚分布(板プロフィ
ール)や板の平坦度等を調整する制御が行われている。 【0003】 板プロフィール(板クラウン)の制御では、最終スタンド出側における板プロ
フィールを目標値に一致させるべく、仕上圧延機を構成する各圧延スタンドに設
置されているクラウン制御装置を制御している。 【0004】 そのため、通常、板プロフィールを実測するための板プロフィールメータを仕
上圧延機の最終スタンド出側に設置し、該板プロフィールメータによる測定結果
を用いて、最終スタンドで圧延された製品の板プロフィールの管理を行ったり、
又、板プロフィール制御用モデルの学習を行うことにより、次回の圧延材に対す
る制御偏差を減少させることが行われている。 【0005】 上記板プロフィール制御では、例えば、次の(1)式で表わされる制御モデル
式を用いることができ、スタンド数がNのタンデム圧延機の場合は、各スタンド
について(1)式に相当する式を立て、合計N本の式を連立させることにより、
最終スタンド出側の板プロフィールを求めることができる。 【0006】 Cri=α・Crmi+β・Cri-1 …(1) 【0007】 上記(1)式において、Criは上流側から数えてi 番目の圧延スタンド出側の
板プロフィール、Crmiは同スタンドの、いわゆるメカニカルクラウン、Cri-1
はi −1番目、即ち前段スタンド出側における板プロフィール、αは上記メカニ
カルクラウンの転写率、βは上記前段スタンドの板プロフィールについての遺伝
係数である。以下、これらについて順に説明する。 【0008】 前記(1)式のメカニカルクラウンCrmiは、圧延荷重によるロールの撓み、
ロール熱膨脹又はロール摩耗によって生じるロール間隔の幅方向分布の機械的な
変化量である。今、圧延荷重によるロールの撓みに起因するクラウンをCmpi
ロールの熱膨脹によるクラウンをCmRhi、ロール摩耗によるクラウンをCmRwi
おくと、上記メカニカルクラウンCrmiは次の(2)式で表わされる。 【0009】 Crmi=Cmpi+CmRhi+CmRwi …(2) 【0010】 上記(2)式においてロールの撓みによるクラウンCmpiは、幅方向荷重分布
に基づき、(i )ワークロール、バックアップロールの撓み(クラウン制御装置
出力による変化を含む)と、(ii)ロールのイニシャルクラウン等を考慮した、
次の(3)式で表わされる関数f1で与えられる。但し、この計算式で、Pは圧延
荷重、bは材料幅、xはクラウン制御装置出力である。 【0011】 Cmpi=f1(P,b,x) …(3) 【0012】 又、前記ロールの熱膨脹によるクラウン(ヒートクラウン)CmRhiは、圧延の
進行や圧延後の冷却に伴うロールクラウンの変化を一次応答遅れ近似等の方法で
数式化し、各時定数、比例定数等を実験データから回帰により求めることにより
決定できる。 【0013】 上記ヒートクラウンを決定する際、ロールの表面状態が、例えばホットストリ
ップ仕上圧延機で圧延の進行に伴って黒皮が生成したり脱落したりして変化し、
摩擦係数及び熱伝達係数が変化することにより、ストリップからロールへの入熱
が変化すると、これがヒートクラウン椎定誤差の要因となるが、この入熱の変化
を測定することはできない。 【0014】 又、前記ロール摩耗によるクラウンCmRwiは、関数f2を含む次の(4)式で 表わされる。但し、Cf は摩耗係数、Lは圧延長さ、Dはロール径である。 【0015】 CmRwi=Cf ・f2(P,L,b,D) …(4) 【0016】 上記(4)式においてCf は、圧延結果の回帰により決定されるが、ロールの
摩耗程度が材料特性やロールの表面状態により変化するため、これが上記ロール
摩耗によるクラウンCmRwiを推定する際の誤差要因となる。 【0017】 又、前記(1)式において、転写率αは次の(5)式で表わされる関数f3で与
えられる。 【0018】 α=f3(h,Ld,Kch,ξ) …(5) 【0019】 ここで、h は出側板厚、Ld は接触弧長、Kchは、板幅、接触弧長、変形抵抗
等により変化する回帰係数、ξは、次の(6)式で表わされる関数f4で与えられ
る形状変化係数である。 【0020】 ξ=f4(D,h,b) …(6) 【0021】 又、前記遺伝係数βは次の(7)式で表わされる関数f5で与えられる。なお、
Hは入側板厚である。 【0022】 β=f5(Kch,Ld,ξ,h,H) …(7) 【0023】 上記(5)式の転写率α及び上記(7)式の遺伝係数βは、いずれも回帰係数
Kchと、同じく回帰的に求められる形状変化係数ξを変数としていることから、
α、βはそれぞれ実験結果に基づいて回帰的に決定される。 【0024】 以上詳述した前記(1)式で表わされるモデル式を基本制御式として用いるタ ンデム仕上圧延機におけるクラウン制御としては、例えば特公昭63−2584
5に、圧延後に実測された先行材の板クラウン及び板形状のいずれか一方、若し
くは双方と、該先行材の圧延条件を用いて計算される板クラウン及び板形状のい
ずれか一方相互の若しくは双方の差異をロールプロフィールの推定誤差に起因す
るものとし、該ロールプロフィール推定誤差を算出、学習し、後行材の設定計算
に用いる方法が開示されている。 【0025】 又、板プロフィール計を用いる制御技術としては、特公昭63−35325に
、連続式圧延機において、該圧延機の出側に板平坦度検出器及び板クラウン検出
器を設けると共に、各スタンドに圧延荷重検出器をそれぞれ設け、これら各検出
器の信号に基づいて各スタンドの出側板平坦度及び板クラウンが目標値若しくは
許容範囲になるように制御するものが開示されている。 【0026】 前記公報に開示されている技術を初めとする一般的なホットストリップ仕上圧
延機による板プロフィール制御では、最終スタンドの出側又はその近傍で板クラ
ウンを実測し、その実測値を用いて制御を行っている。 【0027】 以下、従来の一般的な板プロフィール制御方法について、第1スタンドF1〜
第7スタンドF7からなる全7スタンドのホットストリップ仕上圧延機の場合を
具体例として説明する。 【0028】 まず、仕上圧延を行う際のパス(通板)スケジュールを想定し、各スタンドに
対する圧延荷重を予測計算し、且つ仕上圧延機の出側板厚、即ち第7スタンドの
出側板厚h7と該第7スタンド目標クラウンCr7 Aimにより最終的な目標比率クラ
ウンRc7 Aim(=Cr7 Aim/h7)を求めると共に、これを用いて上記パススケジュ
ールより各スタンド出側の目標クラウンCri Aim(=Rc7 Aim×hi)を決定する。 【0029】 次いで、前記(1)式に基づいて、各スタンドについて目標クラウンCri Aim を達成するための目標メカニカルクラウンCrmi Aimを決めると共に、該目標メカ
ニカルクラウンを達成するためのクラウン制御装置の出力を決定する。 【0030】 その後、実際の板圧延を行い、最終スタンドF7の出側板クラウンCr7を同ス
タンド出側に設置されている板プロフィールメータで測定し、その実測出側板ク
ラウンCr7から実績比率クラウンRc7(=Cr7/h7)を求める。 【0031】 次いで、各スタンド出側の比率クラウンが第7スタンドF7出側の前記実績比
率クラウンRc7に等しかったものと仮定し、各スタンドにおける圧延荷重実績と
実績比率クラウンRc7より、各スタンドにおける前記(1)式からの誤差Si
求める。即ち、第i スタンドの出側板クラウンCriをRc7×hiとして求め、次の
(8)式を成立させる誤差Siを求める。なお、メカニカルクラウンCrmiは圧延
荷重実績を用いて算出する。 【0032】 Cri=α・Crmi+β・Cri-1+Si …(8) 【0033】 上述の如くして各スタンドについて(8)式を求めたら、該(8)式を次材の
クラウン設定に用いるための学習を行う。又、上記誤差Siを用いて各スタンド
の出側板クラウンを目標値に一致させるための適切なメカニカルクラウンCmri
を求め、該メカニカルクラウンに一致するように各スタンドに対するクラウン制
御装置出力を変更し、フィードバック制御を行う。 【0034】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、前述した従来の板プロフィール制御では、板プロフィール(板
クラウン)を仕上圧延機の出側又はその近傍で実測しているため、以下の問題が
ある。 【0035】 板プロフィール制御には前記(1)式の制御モデル式を用いるが、該モデル式
を構成する各式は、前述の如く回帰により決定され、又、各式の誤差要因がそれ ぞれ異なっているにも拘らず、誤差要因の特定は不可能であるため、次材に前記
(8)式を適用しても必ずしも精度の高い制御結果が得られず、板プロフィール
制御精度のばらつきを大きくする要因となっていた。 【0036】 又、前記フィードバック制御を行う際にも、各スタンドにおける制御実体は不
明であることから、前述の如く各スタンド間のクラウン比率が最終スタンド出側
の実績比率クラウンに等しいものと仮定して制御を行わざるを得ないため、同様
にクラウン制御精度を低下させる要因となっていた。 【0037】 又、圧延スタンドで比率クラウンを変更する場合は、その変更を適切に行わな
いと幅方向残留応力分布の変化による板形状不良(平坦度不良)が生じる。即ち
、第i スタンド出側における比率クラウンRci(=Cri/hi)の同スタンドにお
ける変化可能量ΔRci(=Rci-1−Rci)は板形状による制限を受ける。板形状
の乱れは、ストリップ(板)の幅方向分布内部応力により板がバックリングを起
こすことにより生じる。従って、クラウン比率を変化させることによる形状の乱
れ易さは、板厚が薄い程顕著であり、各スタンド間で比率クラウンが等しいとい
う前記仮定が正しくない場合には大きな形状の乱れを生じてしまう恐れがある。 【0038】 従って、従来は上記形状の乱れの発生を防止するために、板厚が比較的厚く、
それ故に形状不良が発生し難い中段スタンド又はそれより上流側のスタンドのメ
カニカルクラウンCmriを変更する方法が取られていたが、この場合には、メカ
ニカルクラウンを変更したスタンドから最終スタンドまでの過程が長いために、
逆にその間の圧延により新たに板プロフィール制御不良が発生し易いという問題
があった。 【0039】 更に、各スタンド間のクラウン比率が最終スタンド出側のクラウン比率に等し
いという前記仮定の信頼性が低いため、制御ゲイン自体も低く抑制する必要があ
り、その結果制御の応答性が低くならざるを得ない状態にあった。 【0040】 本発明は、前記従来の問題点を解決するべく成されたもので、ストリップに形
状不良を発生させることなく、最終スタンド出側の板プロフィールと板厚とを高
精度で目標値に的中させることができるホットストリップ仕上圧延機の設備配列
を提供することを課題とする。 【0041】 【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、複数の圧延スタンドが連設されているホットストリップ仕
上圧延機の設備配列において、板厚計を最終スタンド間に、板プロフィールメー
タを(最終−1)スタンド間及び(最終−2)スタンド間にそれぞれ設置し、且
つ少なくとも(最終−2)スタンドにロールプロフィールメータを設置すること
により、前記課題を達成したものである。 【0042】 請求項2の発明は、複数の圧延スタンドが連設されているホットストリップ仕
上圧延機の設備配列において、板厚計を最終スタンド間に、板プロフィールメー
タを(最終−1)スタンド間及び(最終−2)スタンド間にそれぞれ設置すると
ともに、最終スタンド出側の板厚が1.2〜2.0mmになるように設定されてい
ることにより、同様に前記課題を達成したものである。 【0043】 請求項3の発明は、請求項1又は2のホットストリップ仕上圧延機の設備配列
において、スタンド間に平坦度計を設置することにより、同様に前記課題を達成
したものである。 【0044】 請求項4の発明は、請求項2のホットストリップ仕上圧延機の設備配列におい
て、圧延スタンドにロールプロフィールメータを設置することにより、同様に前
記課題を達成したものである。 【0045】 【作用】 初めに、本発明においてスタンド間に設置する板プロフィールメータの好まし い設置位置について説明する。但し、本発明は、この位置に板プロフィールメー
タを設置するものに限定されるものではない。 【0046】 前述の如く、ホットストリップ仕上圧延機の後段においては、板プロフィール
を大幅に変更することは製品に板形状不良を生じさせることから極めて困難であ
る。 【0047】 一般に、板形状を乱すことなく圧延するためには、板の比率クラウンを常に一
定にした状態で圧延する必要がある。 【0048】 本発明者は、圧延現象を種々検討した結果、ある程度の板厚があれば、比率ク
ラウン一定の状態から外れることに起因して幅方向に分布する残留応力が生じて
も、板形状に乱れを生じさせることなく圧延できることを知見した。 【0049】 図1は、上記知見の根拠となった板形状を乱すことのない板厚と比率クラウン
変更限界の関係の一例を具体的に示した線図であり、この図1より比率クラウン
変更限界は板厚が2mm以上となると大きくなり、4mmを超えると次第に飽和する
ことが分かる。 【0050】 ここで、比率クラウン変更限界とは、第i スタンドの入側の比率クラウン(ク
ラウンを中央部の板厚で割った値)Rci-1と、同スタンドの出側の比率クラウン
ciとの差である比率クラウン変化率ΔRci(=Rci-1−Rci)に許容される最
大値である。 【0051】 上記図1は実験結果であるが、上記のように板厚4mmを超えると比率クラウン
変更限界が飽和する理由は、以下のように推定される。板厚の厚い領域では比率
クラウンを変えても内部応力によるバックリングは生じにくいが、逆に内部応力
の存在が比率クラウンを変化させにくくしていると考えられる。 【0052】 例えば、比率クラウンが小さくなる方向で比率クラウンを変更させた場合、幅
方向中央部に圧縮が、幅方向端部に引張りが作用する。その結果、幅方向中央部
は圧延荷重が増加し、逆にエッジ部では圧延荷重が減少する。この傾向は板厚が
大きいほど強いため、比率クラウンを変えようとしても結果的に圧延荷重の幅方
向分布が変わってしまい、これが比率クラウンの変化代を制限することになって
いると考えられる。 【0053】 又、当然、クラウン制御装置のクラウン変更可能量の制限もある。これも板厚
の厚い側で比率クラウン変更量を制限する要因になっていると考えられる。 【0054】 又、図2に示す前記(1)式の遺伝係数βと板厚の関係の一例から、板厚が大
きいとβが小さいが、以降の圧延による外乱が大きくなるために最終スタンド出
側までの圧延で板プロフィールが変化してしまい、結果として最終製品の板プロ
フィール制御能力が低下してしまうことからも、余り板厚が大きい段階の板プロ
フィールを実測しても、その実測値を有効に制御に活用できない。 【0055】 従って、板プロフィールメータを設置するスタンド間としては、比率クラウン
をある程度変化させても板形状の乱れが発生しない、通過するストリップの板厚
が2mm以上となるスタンド間が好ましく、2mm以上、4mm以下となるスタンド間
が特に好ましい。又、このように、板プロフィールメータ設置スタンド間を、通
過するストリップの板厚が4mm以下、2mm以上とする場合には、この範囲内で最
も上流側のスタンド間とした方が、測定位置より下流側のスタンドで比率クラウ
ンを変更する自由度を大きく確保することができるので更に好ましい。 【0056】 本発明においては、板プロフィールメータを、仕上圧延機の出側でなくスタン
ド間に設置するので、通板時に上記板プロフィールメータでスタンド間を通過す
るストリップの板プロフィールを測定すると共に、製品の目標板プロフィールか
ら目標比率クラウンを決定し、この目標比率クラウンに上記スタンド間における
プロフィール測定結果から求めた実績比率クラウンが一致するように、上記板プ ロフィールメータ設置位置より上流側の圧延スタンドのプロフィール制御装置(
ロールベンダ又はロール交差角調整装置)を動作させ、フィードバック制御を行
う。 【0057】 このフィードバック制御を行うことにより、板プロフィール測定位置のスタン
ド間では常にストリップを目標板プロフィールに制御することが可能となり、そ
の後は比率クラウン一定の条件で圧延することにより、仕上圧延機出側における
製品の板プロフィールを目標値に精度良く的中させることが可能となる。 【0058】 一方、上記スタンド間に設置した板プロフィールメータによる測定結果から求
めた実績比率クラウンと該スタンド間における目標比率クラウンとの間に偏差が
生じている場合には、前記図1に示した許容範囲内で比率クラウンを変更するこ
とができるので、板プロフィールメータ設置位置より下流側の圧延スタンドでは
上記許容範囲内で比率クラウンを変更して圧延することにより、板形状に乱れを
生じさせることなく、最終スタンド出側の板プロフィールを目標値に的中させる
ことが可能となる。 【0059】 本発明においては、板プロフィールメータを設置する2つのスタンド間が連続
するようにしてあるので、連設された後段スタンドと前段スタンドの出側でそれ
ぞれ板プロフィールCri、Cri-1を直接測定できるため、板プロフィールの2つ
の実測値に基づいてそれぞれ前述したフィードバック制御、フィードフォワード
制御を行うことができると共に、得られる測定データを用いてオンライン又はオ
フラインの回帰分析により、前記(1)式のモデル式における遺伝係数βについ
ても精度向上を図ることができる。前述の如く遺伝係数βによる影響は小さいも
ののモデル式の誤差要因にはなっているので、該遺伝係数βの精度向上は望まし
い。 【0060】 又、本発明においては、連続する(最終−2)スタンド間と(最終−1)スタ
ンド間の2つのスタンド間にそれぞれ板プロフィールメータを設置すると共に、 これら連続2スタンド間より下流側の最終スタンド間に板厚計を設置したので、
前記板プロフィール制御に加えて板厚制御も同時に行うことが可能となる。これ
を、第i −1スタンドと第i スタンドとの間(第i −1スタンド間)が(最終−
2)スタンド間、第i スタンドと第i +1スタンドとの間(第i スタンド間)が
(最終−1)スタンド間で、第i +1スタンドと第i +2スタンドとの間(第i
+1スタンド間)が最終スタンド間であるとして以下に説明する。ここで、圧延
スタンドの番号を表わすi は、2以上の整数であり、上記のように第i +2スタ
ンドが最終スタンドであり、該スタンドの番号より1少ない番号の第i +1スタ
ンド間が最終スタンド間である。因に、後述する実施例で示す図3の設備配列は
、i=5で、最終スタンドがi +2の第7スタンドの場合に当り、最終スタンド
間は、最終スタンドの番号7より1つ少ない第6スタンド間である。 【0061】 板プロフィールメータが設置されている第i −1スタンド間と第i スタンド間
では各板プロフィールメータで同時に板厚も測定できるため、第i −1スタンド
と第i スタンドについてはその実測板厚と予め求めておいた目標板厚との偏差を
用いて該偏差を減少させるための板厚制御を行うことがてきるが、第i +1スタ
ンド間に板厚を測定する手段がない場合には、該第i +1スタンド間における板
厚制御は、上記第i スタンド間における実測板厚hiと、例えば最終スタンド出側
における実測板厚hlとを用いて、第i +1スタンド間における板厚hi+1を次の(
9)式で推定し、(10)式で表わされる制御モデル式に基づく予測制御を行わ
ざるを得ない。 【0062】 hi+1 P=(hi−hi Aim)・m/(m +M)+hi+1 Aim …(9) 【0063】 ここで、hi Aimは第i スタンドの出側目標板厚、Mはミル定数、m は塑性定数
、hi+1 Pは第i +1スタンドの予測板厚である。 【0064】 ΔSi+1=(m /M)(hi+1 P−hi+1 Aim) …(10) 【0065】 ここで、ΔSi+1は第i +1スタンドの圧下位置修正量である。 【0066】 しかし、前記の如く、第i +1スタンド間に板厚計を設置することにより、上
記(9)式で推定した同スタンド間における前記板厚を実測値として求めること
が可能となるため、第i +1スタンドについても、上記(10)式の制御モデル
式の精度を向上し、板厚の制御精度を向上することが可能となる。 【0067】 【0068】 又、板厚計を設置するスタンド間は、板プロフィールを変更することが困難な
板厚の薄い段階である最終スタンド間が有効である。即ち、前述した如く、板厚
は板プロフィールメータによっても測定可能であるため、板厚計の代りに板プロ
フィールメータを設置することも可能であるが、最終スタンド間に板プロフィー
ル計を導入することは、この位置での板プロフィールの制御効果が小さいので板
プロフィールを実測する意味は余りなく、板厚を制御するためには板厚計で十分
である。又、板プロフィールメータは、複数のX線発生源が必要であり、又、幅
方向のアジャスト機能が必要である等の理由から板厚計に比較して高価であるた
め、経済的な面からも板厚計を設置する方が有利である。 【0069】 以上説明した如く、本発明によれば、前記板プロフィール制御と同時に、板厚
制御をも高精度で行うことが可能となる。 【0070】 又、本発明において、スタンド間に平坦度計を設置する場合には、上述した高
精度の板プロフィール制御に加えて、例えば板プロフィールメータ設置位置より
下流側の圧延スタンドに対して板プロフィールのフィードフォワード制御を行う
際に、上記スタンド間における板形状の乱れを検出することにより、該検出結果
に基づいて板プロフィール制御を適切に行うことが可能となる。 【0071】 又、本発明において、スタンド間に設置した前記板プロフィールメータに加え
て、圧延スタンドにロールプロフィールメータを設置する場合には、該ロールプ ロフィールメータによる実測値を板プロフィール制御に反映させることができる
ので、上記フィードバック制御又はフィードフォワード制御の制御精度を大幅に
向上させることができる。 【0072】 これを具体的に説明すると、ロールプロフィールメータがない場合には、前記
(8)式における誤差Siの要素を特定することができないが、本発明の如くロ
ールプロフィールメータを圧延スタンドに併せて設置することにより、その圧延
スタンドにおける熱膨脹によるクラウンCmRhiとロール摩耗によるクラウンCmR
wiの誤差を、その合計として直接検出することが可能となる。従って、残る誤差
要素は、メカニカルクラウンの転写率α、遺伝係数β及び前段スタンド出側の板
クラウンCri-1となる。 【0073】 一方、板厚が厚い領域では、前記図2に示すように、上記遺伝係数βの値は小
さいため、ロールプロフィールメータを適切な圧延スタンドに設置することによ
り、結果として前段スタンドの出側板クラウンCri-1の誤差の影響を小さくする
ことができる。このことから、遺伝係数βを学習により修正し、現在圧延してい
る材料のその後の制御、又は次材圧延条件の設定に用いることにより、大幅に制
御精度を向上させることが可能となる。 【0074】 更に、ロールプロフィールメータを板プロフィールメータが設置された連続す
るスタンド間に挟まれた圧延スタンドに設置する場合には、前記(1)式による
クラウン計算に必要な、対象スタンドFi出側の板クラウンCri、その前段スタ
ンド出側の板クラウンCri-1、同対象スタンドFiのロールの熱膨脹によるクラ
ウンとロール摩耗によるクラウンとの和(CmRhi+CmRwi)等を全て実測できる
ため、結果的に誤差要素は転写率αと遺伝係数βのみとなる。従って、回帰的手
法等により容易にこれら転写率α、遺伝係数βを最適化することが可能となるた
め、モデル式の学習精度を更に向上でき、次材圧延条件の初期設定精度を向上で
きる。 【0075】 【実施例】 以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。 【0076】 図3は、本発明に係る一実施例のホットストリップ仕上圧延機の設備配列の一
部を示した概略構成図である。 【0077】 本実施例の上記設備配列は、第1スタンドF1〜第7スタンドF7の全7スタ
ンドからなる連続圧延機であり、図3には第4スタンドF4〜第7スタンドF7
までが示してある。 【0078】 上記連続圧延機では、各スタンドが板プロフィール制御装置10と、荷重計1
2と、板厚制御装置14とを備えている。なお、これらについては、第4スタン
ドF4〜第7スタンドF7について、上記符号にそれぞれA〜Dの添字を付して
図示してあるが、省略されている第1スタンドF1〜第3スタンドF3も同一の
構成を有している。 【0079】 上記第4スタンドF4〜第7スタンドF7の板プロフィール制御装置10A〜
10Dには、板プロフィール制御演算装置16が接続され、該演算装置16から
これら板プロフィール制御装置10A〜10Dそれぞれに板プロフィールを制御
するための制御信号が入力されるようになっている。 【0080】 又、上記板厚制御装置14A〜14Dには、板厚制御演算装置18が接続され
、該演算装置18からこれら板厚制御装置14A〜14Dのそれぞれに対して板
厚を制御するための制御信号が入力されるようになっている。 【0081】 又、第4スタンドF4と第5スタンドF5の間である第4スタンド間((最終
−2)スタンド間)、第5スタンドF5と第6スタンドF6の間である第5スタ
ンド間((最終−1)スタンド間)、及び最終の第7スタンドF7の出側には、
第1板プロフィールメータ20A、第2板プロフィールメータ20B及び第3板 プロフィールメータ20Cがそれぞれ配設され、これら第1〜第3板プロフィー
ルメータ20A〜20Cにより測定された実測板プロフィールが、前記板プロフ
ィール制御演算装置16に入力されるようになっている。又、(最終−2)スタ
ンドである第5スタンドF5のワークロールには、ロールプロフィールメータ2
2が設置され、該ロールプロフィールメータ22により測定された実測ロールプ
ロフィールが、同様に上記板プロフィール制御演算装置16に入力されるように
なっている。 【0082】 又、第6スタンドF6と第7スタンドF7の間である第6スタンド間(最終ス
タンド間)、及び第7スタンドF7の出側に、第1板厚計24A及び第2板厚計
24Bがそれぞれ設置され、これら板厚計24A、24Bにより測定される実測
板厚が前記板厚制御演算装置18に入力されるようになっている。 【0083】 更に、上記第4、第5及び第6の各スタンド間にはそれぞれ平坦度計26が設
置され、これらスタンド間を通過するストリップの平坦度を測定することができ
るようになっている。 【0084】 次に本実施例の作用を説明する。 【0085】 本実施例においては、第4スタンドF4と第5スタンドF5との間(第4スタ
ンド間)を通過するストリップ、即ち第4スタンドF4で圧延されるストリップ
の板厚は4mm以下、3mm以上となるようにパススケジュールが設定されている。 【0086】 本実施例では、前記板プロフィールメータ20Aが設置されている第4スタン
ド間より上流側の第1スタンド〜第4スタンドF1〜F4で圧延されたストリッ
プ(被圧延材)Sは、その先端が上記板プロフィールメータ20Aに到達すると
、その先端の板プロフィールが測定される。 【0087】 上記第4スタンド間の第1プロフィールメータ20Aで第4スタンドF4の出 側に到達したストリップSについて、板プロフィールCr4とその中央部板厚h4
を測定すると、これら実測値は板プロフィール制御演算装置16に入力され、該
演算装置16において比率クラウンRc4に変換される。この実測値に基づく第4
スタンドF4出側の比率クラウンが予め求めてある目標比率クラウンRc4 Aim
一致するように、第4スタンド以前の板プロフィール制御装置10A及び図示し
ない第1〜第3スタンドの板プロフィール制御装置に板プロフィール制御演算装
置16から制御変更量を出力し、フィードバック制御を行う。 【0088】 上記フィードバック制御により、前記第4スタンド間でストリップの先端の板
プロフィールを測定した以降は、第4スタンドF4出側の板プロフィールを、同
スタンドF4出側の目標比率クラウンに一致させることが可能となる。従って、
これ以降は、比率クラウン一定の条件で下流側スタンドF5〜F7による圧延を
進めることが可能となり、第7スタンドF7により圧延される製品ストリップを
、平坦度の乱れを生じさせることなく目標板プロフィールに的中させることが可
能となる。 【0089】 このように、本実施例においては、第4スタンドF4と第5スタンドF5の間
に板プロフィールメータ20Aを設置しているので、該第4スタンド出側の板ク
ラウンCr4を、従来のような仮定値ではなく実績値として求めることができるた
め、大幅に板プロフィールの制御精度を向上させることが可能となる。 【0090】 又、上記板プロフィールメータ20Aが設置されている第4スタンド間を通過
するストリップの板厚が4mm以下、3mm以上になるように設定されているため、
上流側スタンドF1〜F4では板形状に乱れを生じさせることなくクラウンを変
更する自由度が高い。従って、前記(8)式を用いて前述したと同様の方法によ
り第4スタンドF4における誤差S4を直接算出し、該誤差S4を減少させ、該ス
タンドにおける実測比率クラウンRc4を同スタンドにおける目標比率クラウンR
c4 Aimに一致させるように、圧延荷重によるロールの撓みCmp4を修正するべくク
ラウン制御量を変更することにより、応答性の高いフィードバック制御を実 行することが可能となる。 【0091】 上記フィードバック制御を行うと共に、第4スタンド間において、実測に基づ
く比率クラウンと目標値との間に偏差が生じている場合には、最終製品クラウン
と第7スタンド出側における目標クラウンとの偏差を減少させるように、板プロ
フィール制御演算装置16から第4スタンドF4より下流側のスタンド、即ち第
5スタンドF5、第6スタンドF6及び第7スタンドF7に付設されている荷重
計12B、12C及び12Dに制御変更量を出力し、フィードフォワード制御を
行う。 【0092】 即ち、ストリップ先端部の実測に基づく比率クラウンと目標比率クラウンの偏
差に応じて、プロフィールメータ20Aの下流側に位置する圧延スタンドF5〜
F7にそれぞれ配設されている板プロフィール制御装置10B〜10Dに対して
もストリップ先端の板プロフィールを修正するべく、前記板プロフィール制御演
算装置16で算出した必要制御量をそれぞれ出力する。但し、これら下流側圧延
スタンド10B〜10Dでは、前述した如く板プロフィールの制御可能量は小さ
いため、上記板プロフィール制御装置10B〜10Dに対する出力については、
平坦度の許容範囲内になるように前記制御演算装置16で演算による制限を加え
る必要がある。 【0093】 しかし、本実施例では、前記板プロフィールメータ20Aで板プロフィールを
測定するストリップは、その板厚が4mm、3mm以上なるようにしてあるため、前
記図1に例示した比率クラウン変更限界から上記平坦度の許容範囲を比較的大き
く確保することができるため、板形状(平坦度)不良を生じさせることなく確実
に板プロフィール制御を行うことができる。 【0094】 上述した第4スタンド出側の実測比率クラウンRc4に基づいて、上記下流側ス
タンドF5〜F7に対して最終比率クラウンを目標値に近付ける制御を行う方法
としては、次の2つの方法を挙げることができる。 【0095】 第1の方法は、第4スタンドF4出側の比率クラウンRc4と同スタンド出側に
おける目標比率クラウンRc4 Aimの偏差に基づく比例積分制御を、単純に後段ス
タンドF5〜F7に適用して制御する方法である。 【0096】 第2の方法は、上記比率クラウンRc4に基づいて予め設定してあるパススケジ
ュールに従って最終スタンドまで圧延を進めた場合の該最終スタンド出側の板プ
ロフィールを予測し、子測したこの出側板プロフィールを目標値に近付けるため
に下流側スタンドF5〜F7を制御する方法である。 【0097】 ストリップの板厚が薄くなる後段スタンドでは、前述の通り形状が乱れ易いた
め、後段の第i スタンドにおける比率クラウンRciの変更可能量は制限を受ける
。従って、下記(11)式により求められる上記比率クラウンの変更可能量ΔR
ciで決まる制限の中で、いかに目標に近付けるかを考慮することが通板性を確保
する上で重要である。 【0098】 ΔRci=f6(h,b,D) …(11) 【0099】 前記第1の方法では、上記下流側スタンドにおける比率クラウンの変更可能量
を考慮することができないが、前記第2の方法では、これを考慮することができ
るので、該第2の方法の方が第1の方法に比べて有利である。 【0100】 又、本実施例では、ストリップの先端が前記第4スタンド間を通過した後も、
板プロフィールメータ20Aで計測を継続することにより、該スタンド間を通過
するストリップの板プロフィールがロールの熱膨脹や摩耗進行等によって変化し
、実測板プロフィールと目標値との間に偏差が生じる場合でも、該偏差を補正す
ることが可能となるため、製品の板プロフィールを常に目標値に一致させること
が可能となる。 【0101】 次に、前記第1板プロフィールメータ20Aによる実測板プロフィールを用い
るようにした制御方法の効果を明らかにするために実際に板プロフィール制御を
行った結果について説明する。 【0102】 板厚30mmのシートバーを、次の表1及び表2に示したパススケジュールに従
ってそれぞれ圧延する際に、板プロフィールメータを設置するスタンド間を変更
し、板厚が異なる位置でその板プロフィールを測定すると共に、その実測板プロ
フィールに基づいて板プロフィールメータ設置位置より上流側のスタンドについ
てフィードバック制御を行い、板プロフィールメータ設置位置より下流側のスタ
ンドについては比率クラウン一定の条件の下でフィードフォワード制御を行う、
板プロフィール制御を行った。 【0103】 【表1】 【0104】 【表2】 【0105】 図4は、上記板プロフィール制御を行った際に得られた最終スタンド出側にお ける実測板プロフィールと目標値との誤差を板プロフィール制御精度(μm)と
し、これと板プロフィールメータを設置したスタンド間における通過板厚(mm)
との相関を表わした図である。 【0106】 上記図4より明らかなように、上記通過板厚が3mm以上となると制御精度が向
上し、4mmを超えると制御精度が低下していき、最終的には制御効果が無くなる
。即ち、板厚が4mm以下、3mm以上で顕著な制御効果が現れている。 【0107】 このように制御精度が板厚3mm以上で向上することは、前記図1に示したよう
に、形状限界から決まる比率クラウン変更限界が急速に高まることによると、又
、板厚4mmを超えると低下することは、前記図2に示したように遺伝係数βが小
さくなると共に、最終製品に到達するまでの圧延回数が増加することによると理
解される。 【0108】 以上の説明より、フィードバック制御、フィードフォワード制御に用いる板プ
ロフィールを測定するための板プロフィールメータの設置位置は、通過するスト
リップの板厚が4mm以下、3mm以上となるスタンド間が好適であることが判る。 【0109】 本実施例においては、第4スタンド間に前記第1板プロフィールメータ20A
を設置すると共に、該第4スタンド間に連続する第5スタンド間に第2板プロフ
ィールメータ20Bを設置してあるので、第1板プロフィールメータ20Aで得
られる実測板プロフィールに基づいて前述した板プロフィール制御を行う際に、
第2板プロフィールメータ20Bで得られる第5スタンドF5出側の実測板クラ
ウンCr5を用いて該第5スタンドに対する制御を行うことが可能となる。 【0110】 従って、上記第5スタンドF5でも、仮定値ではなく実測値に基づいて板プロ
フィール制御を行うことが可能となるため制御精度を更に向上することが可能と
なる。 【0111】 又、本実施例では、前述した如く、第1板プロフィール計20Aで第4スタン
ドF4出側の板クラウンCr4を測定すると共に、第2板プロフィールメータ20
Bで第5スタンドF5出側の板クラウンCr5を、又、ロールプロフィールメータ
22で同スタンドF5のワークロールのロールプロフィールCmr5を、更に荷重
計12Bで同スタンドF5の圧延荷重P5をそれぞれ測定し、これら実測値を板
プロフィール制御演算装置16に入力する。 【0112】 この演算装置16において、第5スタンドF5の上記圧延荷重P5から前記(
6)式により同スタンドF5のロール撓みによるクラウンCmp5を計算により求
め、これを上記実測値と共に前記(1)式のモデル式に適用することにより、回
帰的手法により前記(5)式のメカニカルクラウン転写率α、前記(7)式の遺
伝係数βを求め、これら計算モデル式の中の学習修正係数(回帰係数Kch、形状
変化係数ξ)を変更することにより、次の圧延材の初期設定の精度を上げること
が可能となる。 【0113】 これを更に詳細に説明すると、本実施例のように、ロールプロフィールメータ
を備えた1台の圧延スタンドを挾む2つのスタンド間に板プロフィールメータ2
0A、20Bを設置する配列にすることにより、前記(1)式によるクラウン計
算に必要な、対象スタンドFi (i=5)出側の板クラウンCri、その前段スタ
ンド出側の板クラウンCri-1、同対象スタンドFi のロールの熱膨脹によるクラ
ウンとロール摩耗によるクラウンとの和(CmRhi+CmRwi)等を全て実測できる
ため、結果的に誤差要素は転写率αと遺伝係数βのみとなる。従って、回帰的手
法等により容易にこれら転写率α、遺伝係数βを最適化することが可能となる。
なお、上記転写率α及び遺伝係数βは材料の幅方向温度分布、材料特性等により
変化するものであり、スタンドの違いによる変化は小さいため、特定スタンドで
これを求めておくことにより、他のスタンドにこれを適用しても特別に大きな問
題は生じない。 【0114】 又、本実施例においては、連続する第4スタンド間及び第5スタンド間にそれ ぞれ1板プロフィール計20A及び第2板プロフィール計20Bを設置し、且つ
第6スタンド間及び第7スタンド出側に第1板厚計24Aを設置したので、前記
第1板プロフィール計20A及び第2板プロフィール計20Bで、第4スタンド
F4出側における中央部板厚h4及び第5スタンドF5出側における中央部板厚h5
を測定すると共に、第1板厚計24Aにより第6スタンドF6出側における中央
部板厚h6を測定することができ、しかも、第2板厚計24Bで第7スタンドF7
の出側における中央板厚h7をも測定することができる。 【0115】 従って、これら各実測板厚を上記板厚制御演算装置18に入力し、該演算装置
18でこれら実測値と予め設定してある各スタンド間における目標板厚と比較し
、その偏差が減少するように板厚制御装置14A〜14Dに対する制御量を変更
することができるので、第4スタンドF4〜第7スタンドF7の全てについて実
測板厚に基づいて板厚の制御をも高精度で行うことが可能となる。その際、第4
スタンドF4〜第7スタンドF7に配設されている各板厚制御装置14A〜14
Dに対する制御変更量の算出は、前記(10)式を用いて行うことができる。 【0116】 又、前述の如く、下流側から数えて3つ目の第4スタンド間に第1プロフィー
ルメータ20Aを設置することにより、その測定位置を通過するストリップにつ
いて幅方向の板厚の差をも検出できる。この第4スタンド間は、未だ板プロフィ
ールを修正できる位置であるため、幅方向に板厚の差が生じている場合には、そ
の下流側に位置する第5スタンドF5、第6スタンドF6及び第7スタンドF7
について、幅方向に生じている板厚の偏差を解消するようにフィードフォワード
制御することにより、ストリップSの最終製品に蛇行が生じることを防止するこ
とができる。このようにストリップSの蛇行を改善することにより、先端及び後
端が通板する際の絞り込み等の通板トラブルを減少することが可能となる。 【0117】 更に、本実施例においては、スタンド間に平坦度計26をそれぞれ配設してあ
るので、これら平坦度計26でスタンド間を通過するストリップSの板形状を測
定し、その実測板形状を前記板プロフィール制御演算装置16に入力し、これら 検出値から制御修正量の補正を行うことにより、板プロフィール過制御による板
形状の乱れが発生することを適切に防止することができる。 【0118】 以上詳述した如く、本実施例によれば、前述した板プロフィール制御と共に、
第4スタンドF4〜第7スタンドF7の全てについて板厚制御を高精度で行うこ
とができるので、第7スタンド出側における製品ストリップの板プロフィールと
板厚をともに目標値に高精度で適中させることが可能となる。 【0119】 又、本実施例によれば、前述した如く、通過するストリップの板厚が4mm以下
、3mm以上となるスタンド間に板プロフィールメータ20Aを設置したので、該
板プロフィールメータ20Aによる測定結果に基づいて、該板プロフィールメー
タ20Aの設置位置より上流側の圧延スタンドに対してフィートバック制御を行
うことにより、上記スタンド間を通過するストリップをその位置における目標板
プロフィールに一致させることができると共に、下流側スタンドにフィードフォ
ワード制御を行うことにより、上記板プロフィールメータ20Aによる測定結果
と目標値との間に偏差が生じている場合でも、最終スタンド出側における製品板
プロフィールを目標値に的中させることができる。実際に、従来方法では板プロ
フィール制御精度の誤差が30μmあったものを10μm以下にすることができた
。 【0120】 又、上記フィードバック制御によれば、従来のようにタンデム圧延機の出側又
はその近傍に板プロフィールメータを設置していた場合に比べ、フィードバック
制御をかけるまでに必要とされる材料の長さを大幅に短縮することができる。因
に、第4スタンド出側から第7スタンド出側までをストリップ長さに換算すると
、例えば約20m になる。 【0121】 又、上記フィードフォワード制御によれば、板プロフィールメータ20Aで測
定した実測値に基づいて板プロフィール制御を行うことが可能となるため、従来
のようなタンデム圧延機出側又はその近傍で測定した板プロフィールを用いて行 う予測制御に比較して大幅に制御精度を向上させることが可能となる。 【0122】 又、本実施例によれば、従来は不明であったスタンド間の板プロフィールが判
明すると共に、板プロフィールメータを設置した連続する2つのスタンド間に挟
まれている圧延スタンドに設置したロールプロフィールメータにより該圧延スタ
ンドについてのロールプロフィールを実測値として求めることができることから
、同圧延スタンドの入側と出側の板プロフィール、及びロールプロフィールの状
況を直接測定できるようになる。 【0123】 従って、メカニカルクラウンの転写率α、遺伝係数βのモデル式との乖離を定
量的且つ直接的に把握する可能となるため、制御モデル式の精度を大幅に向上す
ることが可能となり、次材圧延時の各制御機器に対する初期設定精度を大幅に向
上することが可能となる。 【0124】 以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に示したも
のに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。 【0125】 例えば、前記実施例では、仕上圧延機が7スタンドからなるものについて説明
したが、これに限定されない。 【0126】 又、前記7スタンドからなる仕上圧延機では、第1板プロフィールメータ20
Aを、通過板厚が4mm以下、3mm以上となる第4スタンド間に設置したが、これ
に限定されない。 【0127】 【0128】 又、ロールプロフィールメータ及び平坦温度計の設置位置及びその数は、前記
実施例に示したものに限られるものでなく、任意に変更可能である。 【0129】 【発明の効果】 以上説明した通り、本発明によれば、ストリップに形状不良を発生させること
なく、最終スタンド出側の板プロフィールと板厚とを高精度で目標値に的中させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 スタンド間を通過する板の厚さと比率クラウン変更限界の関係を示す線図 【図2】 遺伝係数βと板厚の関係を示す線図 【図3】 本発明に係る一実施例のホットストリップ仕上圧延機の設備配列の一部を示す
概略構成図 【図4】 スタンド間板プロフィールメータ設置位置の板厚と制御精度の関係を示す線図 【符号の説明】 10…板プロフィール制御装置 12…荷重計 14…板厚制御装置 16…板プロフィール制御演算装置 18…板厚制御演算装置 20…板プロフィールメータ 22…ロールプロフィールメータ 24…板厚計 26…平坦度計

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数の圧延スタンドが連設されているホットストリップ仕上圧延機の設備配列
    において、 板厚計を最終スタンド間に、板プロフィールメータを(最終−1)スタンド間
    及び(最終−2)スタンド間にそれぞれ設置し、且つ少なくとも(最終−2)ス
    タンドにロールプロフィールメータを設置することを特徴とするホットストリッ
    プ仕上圧延機の設備配列。 【請求項2】 複数の圧延スタンドが連設されているホットストリップ仕上圧延機の設備配列
    において、 板厚計を最終スタンド間に、板プロフィールメータを(最終−1)スタンド間
    及び(最終−2)スタンド間にそれぞれ設置するとともに、最終スタンド出側の
    板厚が1.2〜2.0mmになるように設定されていることを特徴とするホットス
    トリップ仕上圧延機の設備配列。 【請求項3】 請求項1又は2において、 スタンド間に平坦度計を設置することを特徴とするホットストリップ仕上圧延
    機の設備配列。 【請求項4】 請求項2において、 圧延スタンドにロールプロフィールメータを設置することを特徴とするホット
    ストリップ仕上圧延機の設備配列。

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2587172B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機の設備配列
JP2628963B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機の設備配列
JP2628963C (ja)
JP2956933B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法
JP2956934B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法
JP2587172C (ja)
JP2628964C (ja)
JP2587173B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法
JP2628964B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機の設備配列
JP2628965B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法
JP2628966B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法
JP2628965C (ja)
JP2587171C (ja)
JP2587173C (ja)
JP2002336906A (ja) 圧延機の制御方法および装置
JP2968637B2 (ja) 熱間圧延における板幅制御法
JP2587171B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機の設備配列
JP3205130B2 (ja) 熱間圧延における板幅制御方法
JP2587174B2 (ja) ホットストリップ仕上圧延機における圧延制御方法
JP2968647B2 (ja) 熱間圧延における板幅制御法
WO2024033983A1 (ja) 圧延機の板厚制御方法および剛性監視方法
JP3205175B2 (ja) 熱間圧延における板幅制御方法
KR100207139B1 (ko) 핫스트립 마무리압연기와 그 제어방법
JPH09122724A (ja) 熱間仕上圧延機における板クラウン制御方法
JPH0763747B2 (ja) 熱間連続圧延機における通板時の板厚制御方法