JP2627535B2 - ゴム組成物 - Google Patents

ゴム組成物

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正宏 半田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は改善された反ぱつ弾性を有するゴム組成物に
関するものであり、より詳しくは、高分子鎖中にOH基と
窒素原子とを有するビニルモノマーを共重合したジエン
系共重合体ゴムをゴム成分とするゴム組成物に関するも
のである。
(従来の技術) 近年、自動車タイマの低燃費化の要求と走行安全性の
要求から、自動車タイヤトレッド用ゴムとして転がり摩
擦抵抗が小さく、ウェットスキッド抵抗の大きいゴム材
料が強く望まれている。転が摩擦抵抗を小さくするに
は、ゴム材料の反ぱつ弾性をより高くする必要がある。
しかし、この二つの特性は相反するものであり、この二
特性の調和をはかるために種々の重合体の改良法が提案
されている。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体の
ビニル量とスチレン含有量を特定割合にする方法(特開
昭54−62248)、特定のスチレン連鎖分布にする方法
(特開昭56−143209)、特定のビニル結合連鎖分布にす
る方法(特開昭56−149413)、分子鎖中にジエニル−ス
ズ結合を導入する方法(特開昭57−87407)等が提案さ
れている。
又アルカリ金属付加ジエン系重合体と分子中に 結合(式中MはO又はS)を有する化合物とを反応させ
て特定の原子団を重合体鎖中に導入したジエン系重合体
は前記の特性が改善されることが報告されている(特開
昭60−137913号公報)。
本発明者等は、更に改善された高い反ぱつ弾性を有す
る共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとの共重
合体を開発すべく、前記の特定の原子団導入方法の改良
を種々検討して来た。
その結果、ジエニル−アルカリ金属結合末端を有する
該共重合体と特定の化合物とを反応させることによっ
て、転がり抵抗(反ぱつ弾性)とウェットスキッド抵抗
のバランスのより優れたジエン系共重合体ゴムが得られ
ることを見出した(特開昭60−103902号公報)。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、さらに反ぱつ弾性を改善すべく鋭意検
討した結果、分子中にOH基と窒素原子とを共に有するビ
ニルモノマーを共重合により高分子鎖中に導入すること
により、末端だけに特定の原子団を導入した場合より
も、さらに転がり抵抗(反ぱつ弾性)とウエットスキッ
ド抵抗のバランスが改善されることを見出し、本発明に
到達した。
本発明の目的は転がり抵抗(反ぱつ弾性)とウエット
スキッド抵抗のバランスに優れたゴム組成物を提供する
ことにある。
(課題を解決するための手段) かかる本発明によれば、置換基として少なくともOH基
とビニル基を有する、窒素原子を1つ含む5員又は6員
の複素環式重合性単量体及び/又は一般式 (式中Xはビニル残基、アリル残基または共役ジエン残
基を、R1及びR2は共にアミノ基又は置換アミノ基、もし
くは一方が前記の置換基で、他方は水素を、R3及びR4
水素又は前記以外の置換基を、m及びnは0又は整数の
それぞれ表わす。) で示される重合性単量体を0.1〜15重量%(重合体基
準)共重合させた共役ジエン系共重合体ゴムをゴム成分
として少なくとも10重量%含むゴム組成物が提供され
る。
本発明の特徴は前記の特定の単量体(以下では官能性
単量体と称することがある)を共重合した共役ジエン系
共重合体ゴムを原料ゴムとして使用することにあり、ウ
ェットスキッド抵抗を低下させることなく、前記の特定
の原子団を重合体鎖の末端に導入した場合よりもさらに
反ぱつ弾性が改善されるものである。
本発明で使用する共役ジエン系共重合体ゴムは1,3−
ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジ
メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共
役ジエン単量体の少なくとも1種あるいは共役ジエン単
量体の少なくとも1種とスチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフ
タレンなどの芳香族ビニル化合物の少なくとも1種と以
下に記す単量体との共重合体ゴムである。
共役ジエン単量体、芳香族ビニル化合物と共重合させ
る官能性単量体の1つは置換基として少なくともOH基と
ビニル基を有する、窒素原子を1つ含む5員又は6員の
複素環式単量体である。該置換基は窒素原子及び/又は
該複素環に結合しているものである。また、これら以外
の置換基が結合しても構わない。具体的にはN−ビニル
−2−ヒドロキシ−ピロリジン、N−ビニル−2−ヒド
ロキシ−ピペリジン、N−ヒドロキシ−2−ビニルピリ
ジン、N−ヒドロキシ−4−ビニルピリジン、ビス−p
−ピリジル−p−ビニルフェニル−メタノール、5−ヒ
ドロキシ−2−ビニルピリジン、5−ヒドロキシメチル
−2−ビニルピリジン、3−ヒドロキシ−4−ビニルピ
リジン、3−ヒドロキシメチル−4−ビニルピリジンな
どが例示される。
もう1種の官能性単量体は、一般式 (式中Xはビニル残基、アリル残基または共役ジエン残
基を、R1及びR2は共にアミノ基又は置換アミノ基、もし
くは一方が前記の置換基で、他方は水素を、R3及びR4
前記以外の置換基を、m及びnは0又は整数のそれぞれ
表わす。)で示される重合性単量体である。置換アミノ
基としてはアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基が特
に好ましいがこれらに限定されるものではない。不飽和
残基Xはビニル残基、アリル残基、共役ジエン残基など
の重合性不飽和残基を示し、上記一般式で示される原子
団に直接あるいはアルキレン基、フェニレン基、ケトン
基、エステル基、エーテル基、アミド基などの基を介し
て結合しているものであってもよい。
また置換基R3及びR4はアミノ基、置換アミノ基以外の
置換基であり、同じでも異なってもよく特に限定はされ
ない。例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニ
ル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などである。
m及びnは0又は1〜5の整数である。この単量体の具
体例としてはビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−
p−ビニルフェニル−メタノール、ビス−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−p−ビニルフェニル−エタノー
ル、1−ヒドロキシ−1,1−ビス(4−アミノフェニ
ル)−2−(4−ビニルフェニル)エタン、1−ヒドロ
キシ−1,1−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)2−
(4−ビニルフェニル)エタン、1−ヒドロキシ−1,1
−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−2−(4−ビ
ニルフェニル)エタン、ヒドロキシ−ビス−(4−アミ
ノフェニル)−(4−ビニルフェニル)メタン、ビトロ
キシ−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−(4−ビ
ニルフェニル)メタン、ヒドロキシ−ビス(4−ジエチ
ルアミノフェニル)−(4−ビニルフェニル)メタン、
4−ヒドキシ−4,4−ビス(ジメチルアミノフェニル)
ブテン−1、4−ヒドロキ−4,4−ビス(ジエチルアミ
ノフェニル)ブテン−1、1−ヒドロキシ−1,1−ビス
(ジメチルアミノフェニル)ヘキサジエン−3,5、1−
ヒドロキシ−1,1−ビス(ジエチルアミノフェニル)ヘ
キサジエン−3,5、2−〔ヒドロキシ−2,2−ビス(4−
ジメチルアミノフェニル)エチル〕ブタジエン−1,3、
2−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(4−ジエチルアミ
ノフェニル)エチル〕ブタジエン−1,3、1−ヒドロキ
シ−1,1−ビス(ジメチルアミノフェニル)ペンタジエ
ン−2,4、1−ヒドロキシ−1,1−ビス(ジエチルアミノ
フェニル)ペンタジエン−2,4、2−ヒドロキシ−2,2−
ビス(ジメチルアミノフェニル)エチルビニルエーテ
ル、2−ヒドロキシ−2,2−ビス(ジエチルアミノフェ
ニル)エチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2,2−
ビス(ジメチルアミノフェニル)エチルアリルエーテ
ル、2−ヒドロキシ−2,2−ビス(ジエチルアミノフェ
ニル)エチルアリルエーテル、2−ヒドロキシ−2,2−
ビス(ジメチルアミノフェニル)エチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシ−2,2−ビス(ジエチルアミノ
フェニル)エチル(メタ)アクリレート、N−〔2−ヒ
ドロキシ−2,2−ビス(ジメチルアミノフェニル)エチ
ル〕アクリルアミド、N−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビ
ス(ジエチルアミノフェニル)エチル〕アクリルアミ
ド、ビニル−2−ヒドロキシ−2,2−ビス(ジメチルア
ミノフェニル)プロピオネート、ビニル−2−ヒドロキ
シ−2,2−ビス(ジエチルアミノフェニル)プロピオネ
ートなどが挙げられる。
全単量体中の各単量体の使用割合は、官能性単量体0.
1〜15重量%、共役ジエン単量体45〜99.1重量%、及び
芳香族ビニル化合物0〜45重量%の範囲が好ましい。官
能性単量体の使用量が0.1重量%未満では反ぱつ弾性の
改善は少なく、15重量%を越えるとゲル含量が増加し、
耐摩耗性が低下する。より好ましくは0.5〜12重量%の
範囲である。
共役ジエン単量体の使用量が45重量%以下では耐摩耗
性が低下する。より好ましくは55〜99.5重量%の範囲で
ある。芳香族ビニル化合物の使用量からは反ぱつ弾性及
び耐摩耗性の点から35重量%以下の使用が望ましい。
本発明の共役ジエン系重合体ゴムは上記の単量体を通
常の乳化重合、溶液重合の処方によって共重合すること
によって製造することができる。得られる共役ジエン系
共重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は通常20
〜150の範囲である。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として本発明の共役
ジエン系共重合体ゴム単独、あるいはこれと他のジエン
系ゴム、例えば天然ゴム、シス1,4−ポリイソプレン、
ポリブタジエン(低ビニル〜高ビニル)、スチレン−ブ
タジエン共重合ゴムなどの少なくとも1種との混合ゴム
が使用される。混合する場合には全ゴム成分中の本発明
の共役ジエン系共重合体ゴムの割合は少なくとも10重量
%であり、10重量%未満では本発明の効果は達せられな
い。
ゴム成分は通常ゴム工業で使用される加硫剤、加硫促
進剤、老化防止剤、軟化剤、各種グレードのカーボンブ
ラック等と混合して使用される。
(実施例) 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1〜6、比較例1〜3 (1) 内容積1.7のステンレス製重合反応器を洗
浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に、第1表に示す重
合処方により溶液重合を行ない共重合体ゴムを得た。
(A〜G) (2) (1)と同様の反応器を用い、第2表に示す重
合処方により乳化重合を行ない共重合体ゴムを得た。
(H,I) 得られた共重合体のブタジエン部のビニル結合含有率
及びステンレス含有率は、赤外分光分析法(Hampton,An
al.Chem,21,923 1949)により求めた。測定結果を共重
合体のムーニー粘度と共に第1表,第2表にそれぞれ併
記した。
これらの共重合体ゴムを第3表の配合処方に従い混練
混合して配合ゴム組成物を得、これらを160℃×25分の
加硫条件で加硫して物性測定用の試験片を作成した。
JIS K 6301に従って引張試験を行った。またポータブ
ルスキッドテスター(英国スタンレー社製)でウェット
スキッド抵抗を測定した。以上の結果を第4表に示し
た。
第4表より、実施例1〜6に見られるように、本発明
に従う共重合体ゴムの加硫物は、改善された反ぱつ弾性
を有し、さらに反ぱつ弾性とウェットスキッド抵抗のバ
ランスにも優れ、低燃費用タイヤのスレッドゴム組成物
として好適であることがわかる。
これに対して比較例1〜3は、反ぱつ弾性とウェット
スキッド抵抗のバランスに劣り、前記のようなタイヤレ
ッドゴム組成物として適当でないことがわかる。
(発明の効果) この発明によるジエン系共重合体ゴムは従来技術によ
って得られるものと比較して、反ぱつ弾性とウェットス
キッド抵抗のバラスが非常に優れた低燃費用タイヤトレ
ッドゴム材料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋田 修一 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目2番1 号 日本ゼオン株式会社研究開発センタ ー内 (72)発明者 渡辺 浩志 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目2番1 号 日本ゼオン株式会社研究開発センタ ー内 審査官 鐘尾 みや子

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】置換基として少なくともOH基とビニル基を
    有する、窒素原子を1つ含む5員または6員の複素環式
    重合性単量体及び/又は一般式 (式中Xはビニル残基、アリル残基または共役ジエン残
    基を、R1及びR2は共にアミノ基又は置換アミノ基、もし
    くは一方が前記の置換基で、他方は水素を、R3及びR4
    水素又は前記以外の置換基を、m及びnは0又は整数を
    それぞれ表わす。) で示される重合性単量体を0.1〜15重量%(重合体基
    準)共重合させた共役ジエン系共重合体ゴムをゴム成分
    として少なくとも10重量%含むゴム組成物。
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