JP2953142B2 - 優れた転動抵抗を有するゴム組成物 - Google Patents

優れた転動抵抗を有するゴム組成物

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JP2953142B2
JP2953142B2 JP27538391A JP27538391A JP2953142B2 JP 2953142 B2 JP2953142 B2 JP 2953142B2 JP 27538391 A JP27538391 A JP 27538391A JP 27538391 A JP27538391 A JP 27538391A JP 2953142 B2 JP2953142 B2 JP 2953142B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイヤ用として好適
な、特に優れた転動抵抗ならびにウェットグリップおよ
びアイスグリップ性能を有するゴム組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車分野においては、走行安定
性、ブレーキ制動性など安全性の向上とともに、省資
源、省エネルギーといった観点からの低燃費化が重要な
課題となってきている。それに伴い、タイヤ用のゴム材
料に対する要求は一段と厳しいものに変化してきてい
る。
【0003】かかるタイヤ用ゴム材料に対する要求とし
ては、次のようなものが挙げられている。(1) 耐摩耗性
などの破壊特性に優れること、(2)低燃費化に対応して
転動抵抗が小さいこと、(3) 湿潤路面でのブレーキ制動
性(ウェットグリップ性)および雪上または氷結路面で
のブレーキ制動性(アイスグリップ性)に優れること。
これらのうち、 (2)の転動抵抗および (3)のウェットグ
リップ性とアイスグリップ性は、ゴムのヒステリシスロ
スに起因する物性であるといわれている。
【0004】すなわち転動抵抗は、タイヤ走行時にゴム
が比較的低周波数の周期的変形を受ける際のエネルギー
散逸に対応し、これを低下させるためには、ゴム組成物
のヒステリシスロスを小さくする必要がある。一方、ウ
ェットグリップ性とアイスグリップ性は、制動時におけ
るタイヤトレッドと路面の微細な凹凸の間で生じる高周
波数の周期的変形を受ける際のエネルギー散逸に対応
し、それらを向上させるためには、ゴム組成物のヒステ
リシスロスを大きくしなければならない。したがって、
上記二つの物性は相反するものと考えられていた。
【0005】しかしながら、走行時と制動時とではタイ
ヤが周期的変形を受ける際の周波数が大きく異なり、ウ
ィリアムス−ランデル−フェリーの温度換算則により変
形周波数を温度に換算すると、転動抵抗は60℃付近の
tanδ(損失係数:ヒステリシスロスの尺度)と、ウェ
ットグリップ性は0℃付近の tanδと、またアイスグリ
ップ性は−20℃付近の tanδとそれぞれ良い相関が得
られることが知られている。したがって、低転動抵抗、
高ウェットグリップ性および高アイスグリップ性を同時
に満たすためには、0℃および−20℃付近の低温にお
ける tanδを大きくし、60℃付近の高温における tan
δを小さくすればよいことがわかる。
【0006】従来、トレッドゴム材料に対するこのよう
な要求に対して、例えば溶液重合で得られるブタジエン
部のビニル結合含量が高いポリブタジエンゴムまたはス
チレン/ブタジエン共重合ゴムをベースゴムとして用い
る方法、特定のガラス転移温度を有する多種のゴムをブ
レンドする方法、分子鎖中にスズ−炭素結合を有するポ
リブタジエンゴムまたはスチレン/ブタジエン共重合ゴ
ムや、アミノ基含有ベンゾフェノン類をポリマー鎖に付
加したポリブタジエンゴムまたはスチレン/ブタジエン
共重合ゴムをベースゴムとして用いる方法、さらには改
質カーボンブラックを配合する方法や改質剤を配合する
方法などが提案されている。
【0007】これらの方法のうち、改質剤を添加する方
法は、他の方法に比べて簡単にゴムに諸物性を付与でき
ることや、天然ゴムにも適用できることなどから注目さ
れている。このような改質剤として、特開昭 63-23942
号公報や特開平 1-247437 号公報には、下記一般式
(I)で示されるジニトロジアミン類が提案されてい
る。
【0008】
【化3】
【0009】(式中、Xは2価の鎖状脂肪族基、環状脂
肪族基または芳香族基であって、基中にハロゲンまたは
酸素を含むことができ; R1 は水素原子、鎖状脂肪族
基、環状脂肪族基または芳香族基であるが、XおよびR
1 がいずれも鎖状脂肪族基である場合は、R1 を介して
窒素原子同士が互いにさらに連結してもよく; R2
よびR3 はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜
12のアルキル基であり、R2 とR3 が結合して環を形
成してもよい)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このジニトロジアミン
類は、タイヤ用ゴムの低温特性や発熱性の改良、さらに
は転動抵抗の低下を達成しうる改質剤として知られてい
る。したがってこのジニトロジアミン類は、タイヤ用ゴ
ムへの適用がはかられてきているが、近年厳しさを増し
ているアイスグリップ、ウェットグリップといった低温
特性の一層の向上および低燃費化の要求に対して、さら
なる改良が望まれていた。
【0011】このような背景から本発明者らは、前記ジ
ニトロジアミン類による物性向上効果が一層有効に発揮
され、低温特性および転動抵抗においてバランンスのと
れたゴム組成物を開発すべく、鋭意研究を行った結果、
本発明を完成した。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定のス
チレン/ブタジエン共重合体、すなわちスズカップリン
グされたスチレン/ブタジエン共重合体であって、スチ
レン単位とブタジエン単位の割合が一定範囲にあり、か
つ特定のミクロ構造およびムーニー粘度を有するものを
用い、前記一般式(I)で示されるジニトロジアミン類
とともに特定の化合物を配合することにより、ジニトロ
ジアミン類の添加効果が一層有効に発揮され、低温特性
および転動抵抗の優れたゴム組成物が得られることを見
出した。
【0013】すなわち本発明は、次の(A)、(B)、
(C)、(D)の各成分を含有してなるゴム組成物を提
供するものである。 (A)スズカップリングされたスチレン/ブタジエン共
重合体であって、(1)スチレン単位が3〜30重量
%、ブタジエン単位が97〜70重量%であり、これら
がランダムに結合しており、(2)ブタジエン部分のビ
ニル結合量が30重量%以上であり、(3)スズ−ブタ
ジエニル結合を有する分岐状共重合体の割合が30重量
%以上であり、かつ(4)ML1+4(100℃)で表され
るムーニー粘度が30〜80であるスチレン/ブタジエ
ン共重合体を主体とする原料ゴム、 (B)カーボンブラック、 (C)前記原料ゴム100重量部あたり、 0.1〜10重
量部の前記一般式(I)で示されるジニトロジアミン
類、ならびに (D)それぞれ前記原料ゴム100重量部あたり、(D
1) 0.1〜3重量部の2,3,5,6−テトラクロロ−
1,4−ベンゾキノン、(D2) 0.01 〜1重量部の1,
1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン、および(D3) 0.1〜1重量部の
一般式(II)
【0014】
【化4】
【0015】(式中、Qは炭素数1〜12の脂肪族基ま
たは水酸基であり、yは1〜6の数であり、nは1〜2
0の数である)で示される置換フェノールスルフィド樹
脂から選ばれる成分。
【0016】本発明において原料ゴムの主体となるの
は、スズカップリングされたスチレン/ブタジエン共重
合体であって、(1)スチレン単位が3〜30重量%、
ブタジエン単位が97〜70重量%であり、これらがラ
ンダムに結合しており、(2)ブタジエン部分のビニル
結合量が30重量%以上であり、(3)スズ−ブタジエ
ニル結合を有する分岐状共重合体の割合が30重量%以
上であり、かつ(4)ML1+4(100℃)で表されるム
ーニー粘度が30〜80のものである。
【0017】ここで、スチレン単位が3重量%未満で
は、破壊強度が劣り、30重量%を越えると、転動抵抗
が十分に改良されない。またブタジエン部分のビニル結
合量が30重量%を下回ると、ウェットグリップ性能が
劣り、スズ−ブタジエニル結合を有する分岐状共重合体
の割合が30重量%未満になると、転動抵抗および破壊
特性が劣ってくるので好ましくない。さらには、ML
1+4(100℃)で表されるムーニー粘度が30未満にな
ると、破壊強度が劣り、一方、このムーニー粘度が80
を越えると、加工性に問題が出てくるので好ましくな
い。
【0018】このようなスズカップリングされたスチレ
ン/ブタジエン共重合体は、公知の方法、例えば特開昭
63-308011号公報などに記載される方法によって、製造
することができる。すなわち、炭化水素溶媒中、有機リ
チウム化合物を重合開始剤として用いる溶液重合法(い
わゆるリビング重合法)により、スチレンとブタジエン
を共重合させて、重合末端にブタジエニル−リチウム結
合を有する共重合体とし、次いでハロゲン化スズ化合物
にてカップリング反応させることにより、製造すること
ができる。
【0019】なお、共重合終了時に少量のブタジエンを
添加して、ブタジエニル−リチウム結合を形成させるの
が好ましい。カップリング反応に用いるハロゲン化スズ
化合物としては、四塩化スズ、三塩化フェニルスズなど
が挙げられ、特に四塩化スズが好ましく用いられる。ま
た、ブタジエン部分のビニル結合量は、エーテルまたは
第三級アミンの如きルイス塩基を用い、それらの種類や
使用量を変化させることにより、あるいは重合温度など
を適宜選択することにより、調節することができる。
【0020】重合温度は、目標とするミクロ構造により
変化しうるが、経済性および副反応の観点から、0〜1
50℃程度が好ましい。カップリング反応に用いるハロ
ゲン化スズ化合物の量は、重合末端リチウム原子1当量
に対し、 0.08 〜0.5 当量程度の割合が好ましい。
【0021】本発明における原料ゴムは、以上説明した
ようなスズカップリングされたスチレン/ブタジエン共
重合体を主体とするものであるが、このカップリング共
重合体を単独で用いることもできるし、またこのカップ
リング共重合体を50重量%以上含有し、50重量%ま
での範囲で他のジエン系ゴムをブレンドしたものを用い
ることもできる。
【0022】ブレンドするのに適したジエン系ゴムとし
ては、天然ゴム、イソプレンゴム、カップリングされて
いないスチレン/ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴ
ムなどが挙げられる。これらのジエン系ゴムをブレンド
する場合は、原料ゴム全体の重量を基準として5重量%
以上配合するのが好ましく、したがってブレンド系にお
ける好ましい配合割合は、上記カップリング共重合体5
0〜95重量%および他のジエン系ゴム50〜5重量%
である。
【0023】本発明で用いるカーボンブラックとして
は、従来より使用されている補強性の異なる種々のカー
ボンブラック、例えば、SAF、ISAF、HAF、F
EF、SRF、GPF、MTなどが挙げられ、その種類
は特に限定されない。なおこれらのなかでも、窒素吸着
比表面積30〜130m2/g程度のカーボンブラック、
例えばISAF、HAF、FEFなどを用いるのが好ま
しい。カーボンブラックの添加量も特に制限されない
が、通常はゴム100重量部あたり10〜150重量部
程度が好ましく、より好ましくはゴム100重量部あた
り10〜80重量部程度である。
【0024】本発明で用いる前記一般式(I)のジニト
ロジアミン類として、具体的には以下の化合物が例示さ
れる。なお以下の例示において、−Zは次の基を表す。
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】このように、前記一般式(I)における連
結基Xは、2価の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基または芳
香族基であり、上記第33例および第34例のように基
中にハロゲンを含むことができ、また第40例〜第43
例のように基中に酸素を含むことができる。これらのな
かでも、Xが鎖状脂肪族基、とりわけ炭素数4〜12の
鎖状脂肪族基、特にアルキレンである化合物が好適に使
用される。その他の好ましいXとしては、芳香族基、例
えばフェニレンやジフェニルメタン(二つのベンゼン環
のそれぞれから結合手が出る)が挙げられる。
【0032】また一般式(I)におけるR1 は、水素原
子、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基または芳香族基であ
り、XおよびR1 がいずれも鎖状脂肪族基である場合に
は、上記第23例および第24例のようにR1 を介して
窒素原子同士がさらに連結し、X、R1 および2個の窒
素原子によって、環、例えばピペラジン環の如き6員環
を形成したものも包含される。
【0033】さらに、一般式(I)におけるR2 および
3は、互いに同じであってもまた異なってもよく、そ
れぞれ水素原子または炭素数1〜12のアルキル基であ
る。なお、上記第12例、第13例、第22例および第
30例のように、R2 とR3 が結合して、両者が結合す
る炭素原子とともに環、例えば6員環を形成したものも
包含される。
【0034】このようなジニトロジアミン類をゴムに配
合する場合の形態は任意であって、それぞれの化合物単
体、複数化合物の混合体、ゴム物性に影響を与えないク
レーなどの担体と混合したもの、さらには後述する各種
の配合剤と混合したものなどの形態がとりうる。したが
って、これらのいずれの形でも、スズカップリングされ
た共重合体ゴムを主体とする原料ゴムに添加することが
できる。
【0035】ジニトロジアミン類の使用量は、原料ゴム
100重量部あたり 0.1〜10重量部であって、その量
があまり少ないと効果が不十分であり、また多すぎても
不経済となる。ジニトロジアミン類は、好ましくは原料
ゴム100重量部あたり 0.2〜3重量部の範囲で使用さ
れる。
【0036】本発明においては、さらに(D1)2,3,
5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、(D2)
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、および(D3)前記一般式
(II)で示される置換フェノールスルフィド樹脂から選
ばれる成分(D)が配合される。これらのうち、少なく
とも一種を用いればよいが、もちろん二種以上組み合わ
せて用いることも可能である。
【0037】(D1)成分である2,3,5,6−テトラ
クロロ−1,4−ベンゾキノンを用いる場合は、原料ゴ
ム100重量部あたり、 0.1〜3重量部の範囲とする。
その量があまり少ないと、転動抵抗の低下効果に乏し
く、また多すぎると、ゴムの機械的物性を低下させるな
どの悪影響が出てくる。
【0038】(D2)成分である1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ンを用いる場合は、原料ゴム100重量部あたり、0.01
〜1重量部の範囲とする。好ましくは、原料ゴム100
重量部あたり、0.01〜0.3 重量部の範囲で使用される。
その量があまり少ないと、転動抵抗の低下効果に乏し
く、また多すぎると、ゴムの機械的物性を低下させるな
どの悪影響が出てくる。
【0039】(D3)成分である前記一般式(II)で示さ
れる置換フェノールスルフィド樹脂は、一般にハロゲン
化ブチルゴムなどの架橋剤として、あるいは各種ゴムの
接着剤として知られている。一般式(II)において、y
は1〜6の数、nは1〜20の数であるが、通常yおよ
びnがこれらの範囲内にある混合物として得られ、また
市販されている。一般式(II)におけるQは、炭素数1
〜12の脂肪族基または水酸基であり、この式で示され
る置換フェノールスルフィド樹脂の具体例としては、p
−ペンチルフェノールスルフィド樹脂、p−オクチルフ
ェノールスルフィド樹脂、レゾルシンスルフィド樹脂な
どが挙げられる。これら置換フェノールスルフィド樹脂
のなかでは、Qがアルキル基であるものが好ましく、と
りわけQが炭素数3〜10程度のアルキル基であるもの
がより好ましい。
【0040】これらの置換フェノールスルフィド樹脂を
用いる場合は、原料ゴム100重量部あたり、 0.1〜1
重量部の範囲とする。その量があまり少ないと、転動抵
抗の低下効果に乏しく、また多すぎると、ゴムの機械的
物性を低下させるなどの悪影響が出てくる。
【0041】また本発明においては、ゴム業界で常用さ
れているその他の各種配合剤も、目的に応じて使用する
ことができる。通常、チアゾール類、チウラム類、ジチ
オ酸類、グアニジン類のような各種加硫促進剤、無水フ
タル酸、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドのよ
うなスコーチリターダー、その他イオウ、充填剤、ステ
アリン酸、しゃく解剤、亜鉛華、プロセスオイル、加工
助剤、老化防止剤、オゾン劣化防止剤、ワックスなどが
適宜使用される。これら配合剤の種類や量は、必要に応
じて選択することができ、本発明において特に限定され
るものでない。
【0042】なお、一般に天然ゴムや合成ゴムに配合剤
を配合する場合、その配合は基本的に二つの工程で行わ
れる。すなわち、カーボンブラックその他の充填剤、プ
ロセスオイル、ステアリン酸などは、ゴム温度120〜
220℃程度の比較的高温の第一工程で添加され、加硫
促進剤や加硫剤は、ゴム温度40〜120℃程度の比較
的低温の第二工程で添加される。
【0043】本発明により、(C)成分である前記一般
式(I)のジニトロジアミン類ならびに、前記(D1)、
(D2)および(D3)から選ばれる(D)成分を、前記ス
ズカップリングされた共重合体ゴムに配合するにあたっ
て、その配合時期は特に制限されず、それぞれを同時に
または別々に、上記第一工程および第二工程のいずれか
で配合することができ、さらにはこれらと異なる別の工
程で配合することもできる。しかし一般には両成分と
も、カーボンブラックなどが配合される第一工程で添加
するのが好ましく、その際の配合温度は、高温であるほ
うがゴム物性の改良効果が大きいので、通常140〜2
00℃程度が好ましく、さらには170℃以上がより好
ましい。
【0044】本発明のゴム組成物は、例えばタイヤの各
種部材、特にトレッド部として好ましく使用される。例
えばこのゴム組成物をトレッド部あるいはその他の部材
に適用し、タイヤ業界で通常行われている方法により成
形して、タイヤとすることができる。
【0045】
【実施例】次に実施例を示して、本発明をさらに詳細に
説明するが、これらは本発明の好ましい具体例を示すも
のであって、なんら本発明の範囲を限定するものでな
い。なお、以下の例において、量を表す%および部は、
特にことわらないかぎりそれぞれ重量%および重量部を
意味する。
【0046】実施例で用いたジニトロジアミン類および
助剤は次表のとおりであり、以下それぞれの記号で表示
する。
【0047】
【表1】ジニトロジアミン類 A: N,N′−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピ
ル)−1,6−ジアミノヘキサン B: N,N′−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピ
ル)−1,4−ジアミノブタン C: N,N′−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピ
ル)−1,12−ジアミノドデカン D: N,N′−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピ
ル)−1,4−ジアミノベンゼン
【0048】
【表2】助 剤 U: 2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾ
キノン V: 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン W: p−ペンチルフェノールスルフィド樹脂 〔“スミファイン AP”;住友化学工業(株)製、軟
化点90〜110℃、イオウ含量25〜28%〕 X: p−オクチルフェノールスルフィド樹脂 〔“スミファイン V−200”;住友化学工業(株)
製、軟化点90〜110℃、イオウ含量22〜26%〕
【0049】また以下の例において、ゴム物性の試験は
次の方法により行った。ムーニー粘度 原料ゴムにつき、 JIS K-6300 に準拠して、温度100
℃で測定した。ムーニースコーチ性 加硫前のゴム配合物につき、 JIS K-6300 に準拠して、
135℃で最低値より5ポイント上昇するまでの時間を
スコーチタイムとした。Tan δ(損失係数) 岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用い、静的
歪10%、振動数10Hz、動的歪振幅 0.25 %の条件
で、60℃、0℃および−20℃における値を測定し
た。60℃における tanδは転動抵抗に対応し、値が小
さいほど転動抵抗の低下効果が大きいことを意味し、一
方、0℃における tanδはウェットグリップ性に対応
し、また−20℃における tanδはアイスグリップ性に
対応し、それぞれ値が大きいほどグリップ性の向上効果
が大きいことを意味する。引張応力(M300 JIS K-6301 に準拠し、ダンベル状試験片にて測定し
た。
【0050】スズカップリングスチレン/ブタジエン共
重合ゴムの合成例 攪拌機およびジャケット付きの反応器を用い、窒素雰囲
気下で、シクロヘキサン、1,3−ブタジエン、テトラ
ヒドロフランおよびスチレンを仕込み、30℃に調節し
たあとn−ブチルリチウムを添加し、重合を開始する。
70℃まで昇温後、2時間重合を行い、重合転化率10
0%に到達したあと、少量の1,3−ブタジエンを添加
して重合末端をブタジエニルアニオンとし、次いで四塩
化スズを加え、70℃で30分間カップリング反応を行
う。得られる共重合体溶液に2,6−ジ−t−ブチル−
p−クレゾールを添加したあと、スチームストリッピン
グにより脱溶媒し、さらに110℃の熱ロールで乾燥す
ることにより、目的とする共重合体を得る。共重合体の
スチレン含量およびビニル結合量は、赤外分光光度計を
用いて測定した。また分岐状共重合体の割合は、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって
測定された分子量分布から、該当ピークの高さの相対比
として求めた。以上の操作に従って、1,3−ブタジエ
ン、スチレン、テトラヒドロフラン、n−ブチルリチウ
ムおよび四塩化スズを変量することにより、以下に示す
スズカップリングスチレン/ブタジエン共重合ゴムを製
造した。
【0051】 SBR−1: スチレン含量 24% ビニル結合量 30% ムーニー粘度 55ML1+4(100℃) 分岐状共重合体の割合 38% SBR−2: スチレン含量 15% ビニル結合量 49% ムーニー粘度 64ML1+4(100℃) 分岐状共重合体の割合 48%
【0052】実施例1
【0053】
【表3】 〈配合処方〉 スチレン/ブタジエンゴム(SBR−1またはSBR−2) 100部 ISAFブラック(N220) 45部 ステアリン酸 3部 亜 鉛 華 2部 老化防止剤 2部 (N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン) 加硫促進剤 1部 (N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド) イ オ ウ 2部 ジニトロジアミン類 表4〜8記載 助 剤 表4〜8記載
【0054】バンバリーミキサーとして東洋精機製の2
50mlラボプラストミルを用い、オイルバス温度180
℃で、上記配合処方に基づきスチレン/ブタジエンゴム
に、ジニトロジアミン類、助剤、カーボンブラック、ス
テアリン酸および亜鉛華を投入し、60rpm のミキサー
回転数で10分間混練した。このときのゴム温度は、1
75〜190℃であった。
【0055】次にこの配合物をオープンミルに移し、6
0〜70℃の温度で、上記配合処方に示した老化防止
剤、加硫促進剤およびイオウを添加し、混練した。混練
後の試料の一部を前記ムーニースコーチ性の試験に供
し、また混練後の試料の残りは、加硫プレスにより17
0℃で25分間加硫したあと、前記 tanδおよび引張応
力の測定に供した。これらの試験結果を、配合処方の変
量値とともに表4〜表8に示した。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】実施例2
【0062】
【表9】 〈配合処方〉 スチレン/ブタジエンゴム(SBR−1) 70部 天然ゴム(RSS#1)または 30部 ブタジエンゴム(BR01:日本合成ゴム(株)製) HAFブラック(N330) 50部 ステアリン酸 2部 亜 鉛 華 3部 老化防止剤 2部 (N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン) 加硫促進剤 1部 (N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド) イ オ ウ 2部 ジニトロジアミン類 表10記載 助 剤 表10記載
【0063】原料ゴムをスチレン/ブタジエンゴムと天
然ゴムまたはブタジエンゴムとのブレンド系にした上記
配合処方に基づき、実施例1と同様の実験を行った。実
験結果を、配合処方の変量値とともに表10に示した。
【0064】
【表10】
【0065】
【発明の効果】本発明のゴム組成物を採用したタイヤ
は、転動抵抗が小さく、しかも湿潤路面ならびに雪上お
よび氷結路面でのブレーキ制動性に優れたものとなる。
すなわち本発明に従って、特定のスチレン/ブタジエン
ゴムを用い、ジニトロジアミン類および特定の化合物を
配合することにより、 転動抵抗に対応する60℃付近
のtanδを低下させるとともに、アイスグリップ性およ
びウェットグリップ性に対応する−20℃付近および0
℃付近の tanδを上昇させることができる。したがって
かかるゴム組成物を、タイヤ部材、例えばトレッド部に
適用した場合には、車の低燃費化による経済性の改善が
期待されるとともに、湿潤路面ならびに雪上および氷結
路面でのブレーキ制動性の向上による安全性の改善が期
待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C08K 13/02 3:04 5:32 5:14) (C08K 13/02 3:04 5:32 5:36) (C08L 9/06 81:02) (C08L 9/06 81:04) (72)発明者 若槻 築 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 辻 光慈 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−223353(JP,A) 特開 昭58−162603(JP,A) 特開 昭60−23409(JP,A) 特開 昭63−308011(JP,A) 特開 平4−110334(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 7/00 - 21/02 C08K 3/04,5/14 C08K 5/32,5/36,13/02 C08L 81/02,81/04

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)スズカップリングされたスチレン/
    ブタジエン共重合体であって、 (1)スチレン単位が3〜30重量%、ブタジエン単位
    が97〜70重量%であり、これらがランダムに結合し
    ており、 (2)ブタジエン部分のビニル結合量が30重量%以上
    であり、 (3)スズ−ブタジエニル結合を有する分岐状共重合体
    の割合が30重量%以上であり、かつ (4)ML1+4(100℃)で表されるムーニー粘度が3
    0〜80であるスチレン/ブタジエン共重合体を主体と
    する原料ゴム、 (B)カーボンブラック、 (C)前記原料ゴム100重量部あたり、 0.1〜10重
    量部の一般式(I) 【化1】 (式中、Xは2価の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基または
    芳香族基であって、基中にハロゲンまたは酸素を含むこ
    とができ; R1 は水素原子、鎖状脂肪族基、環状脂肪
    族基または芳香族基であるが、XおよびR1 がいずれも
    鎖状脂肪族基である場合は、R1 を介して窒素原子同士
    が互いにさらに連結してもよく; R2およびR3 はそ
    れぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜12のアルキ
    ル基であり、R2 とR3 が結合して環を形成してもよ
    い)で示されるジニトロジアミン類、ならびに (D)それぞれ前記原料ゴム100重量部あたり D
    2) 0.01 〜1重量部の1,1−ビス(t−ブチルパー
    オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、お
    よび(D3) 0.1〜1重量部の一般式(II) 【化2】 (式中、Qは炭素数1〜12の脂肪族基または水酸基で
    あり、yは1〜6の数であり、nは1〜20の数であ
    る)で示される置換フェノールスルフィド樹脂から選ば
    れる成分を含有してなることを特徴とするゴム組成物。
  2. 【請求項2】原料ゴムが、実質的に前記スズカップリン
    グされたスチレン/ブタジエン共重合体からなる請求項
    1記載のゴム組成物。
  3. 【請求項3】原料ゴムが、前記スズカップリングされた
    スチレン/ブタジエン共重合体50重量%以上、および
    他のジエン系ゴム50重量%以下からなる請求項1記載
    のゴム組成物。
  4. 【請求項4】原料ゴムが、前記スズカップリングされた
    スチレン/ブタジエン共重合体50〜95重量%、およ
    び他のジエン系ゴム50〜5重量%のブレンド系である
    請求項3記載のゴム組成物。
  5. 【請求項5】他のジエン系ゴムが、天然ゴム、イソプレ
    ンゴム、スズカップリングされていないスチレン/ブタ
    ジエン共重合ゴム、およびブタジエンゴムから選ばれる
    請求項3または4記載のゴム組成物。
  6. 【請求項6】一般式(I)におけるXが炭素数4〜12
    の鎖状脂肪族基である請求項1〜5のいずれかに記載の
    ゴム組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成
    物から製造されたタイヤ。
  8. 【請求項8】当該ゴム組成物をトレッド部に用いた請求
    項7記載のタイヤ。
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