JP2627441B2 - 1―アセトキシム―2―ニトロイミダゾール誘導体 - Google Patents

1―アセトキシム―2―ニトロイミダゾール誘導体

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JP2627441B2 JP1168589A JP1168589A JP2627441B2 JP 2627441 B2 JP2627441 B2 JP 2627441B2 JP 1168589 A JP1168589 A JP 1168589A JP 1168589 A JP1168589 A JP 1168589A JP 2627441 B2 JP2627441 B2 JP 2627441B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、新規は1−アセトキシム−2−ニトロイミ
ダゾール誘導体に関し、これらは放射線増感剤として有
用である。
(従来の技術) 癌治療において、放射線療法は、外科療法や化学療法
とともに、重要な地位を占めている。しかし、固形癌中
に存在する低酸素細胞は放射線照射に対して強く抵抗す
るため、放射線照射だけで癌組織を完全に破壊すること
は困難である。そこで、この低酸素細胞の放射線感受性
を高める薬物(放射線増感剤)の開発努力が行われてい
る。例えば、ミソニダゾールやメトロニダゾールのよう
なニトロイミダゾール誘導体が知られている。ミソニダ
ゾールは細胞レベルでの増感実験では10mMの濃度で酸素
下と同等の増感効果を示した。その後、ミソニダゾール
の臨床応用が開始され、その効果が検討されたが、効果
所要量において、知覚障害、嘔気、嘔吐、聴力障害、痙
攣等の神経障害の発現が観察された結果、臨床的に使用
できないことが明らかにされている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は上記ミソニダゾールよりも低毒性で、
且つ強力な放射線増感効果を有する化合物を提供するこ
とにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は一般式 (式中、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アシル
基を示す)で表わされる1−アセトキシム−2−ニトロ
イミダゾール誘導体及びその塩に係る。
上記一般式中、Rで示される低級アルキル基として
は、炭素数1〜6の直鎖又は分枝状のアルキル基が好ま
しく、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル基等であり、低級アシル基としては、炭素
数2〜6の直鎖又は分枝状のアシル基が好ましく、具体
的には、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリ
ル、ピバロイル基等である。
本発明に包含される塩としては薬学的に許容される酸
付加塩であればいずれでもよく、当該薬学分野で通常使
用される塩がこれに該当する。具体的には、ナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ
金属、或いはアルカリ土類金属塩等である。
本発明化合物は下記の反応工程式に従い製造すること
ができる。尚、出発原料となる2−ニトロイミダゾール
−1−酢酸メチルエステルは公知の化合物であり、公知
の方法によって容易に製造される〔A.G.Beaman等Antiim
icrobial Agent & Chemotherapy−1967,520(196
8)〕。
以下に、上記反応工程について詳細に述べる。
化合物(2)の2−ニトロイミダゾール−1−酢酸メ
チルエステルを無水エーテル中、水素化ジイソブチルア
ルミニウムと反応させ化合物(3)の1−アセトアルデ
ヒド−2−ニトロイミダゾールを得る。反応の割合は化
合物(2)に対し、水素化ジイソブチルアルミニウムを
約2〜4倍モル用いるのが好ましい。反応温度及び反応
時間は−78〜−52℃、0.5〜2時間が好ましい。次に得
られた化合物(3)にヒドロキシルアミンあるいはその
誘導体を溶媒中、酢酸ナトリウム又は酢酸カリウム等の
存在下に反応させることにより本発明化合物(1)は製
造される。反応の割合は化合物(3)に対し、ヒドロキ
シルアミン類を約1〜2倍モル、酢酸ナトリウム又は酢
酸カリウム等を約1〜3倍モル用いるのが好ましい。反
応温度及び反応時間は0〜30℃、0.5〜2時間程度が好
ましい。溶媒としては本反応に影響を与えないものであ
ればいずれでも良く、例えばメタノール、エタノール等
のアルコール類及びそれらと水との混合溶媒が例示でき
る。かくして得られた本発明の1−アセトキシム−2−
ニトロイミダゾール誘導体は、再結晶、カラムクロマト
グラフイー等の通常の分離精製手段で単離することがで
きる。
(実施例) 次に、本発明の1−アセトキシム−2−ニトロイミダ
ゾール誘導体の実施例、薬理試験結果を示す。
実施例1 1−アセトキシム−2−ニトロイミゾールの
合成 窒素気流下、2−ニトロイミダゾール−1−酢酸メチ
ルエステル500mg(2.7mmole)を、無水エーテル100mlに
懸濁させ、−78℃にて1M水素化ジイソブチルアルミニウ
ム−ヘキサン溶液8.1ml(8.1mmol)を徐々に加えこのま
ま30分間更に−52℃で30分間撹拌した。これに飽和塩化
カンモニウム溶液を加え0℃で10分間撹拌後、10%塩酸
−氷を加えて沈殿物を完全に溶かし、塩析下酢酸エチル
にて抽出、食塩水で洗浄後、乾燥、溶媒を留去した。得
られた残渣310mgをメタノール2ml、水1mlに溶かしたヒ
ドロキシルアミン塩酸塩153mg(2.2mmole)、酢酸ナト
リウム544mg(4mmole)を加え、室温にて40分間撹拌し
た。溶媒を除去後、再結晶、カラムクロマトグラフイー
(展開溶媒、酢酸エチル:ヘキサン=2:1)等により、
淡黄色結晶の1−アセトキシム−2−ニトロイミダゾー
ルを139mg(収率30.3%)得た。
融点 153〜154℃ 赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 1860,1545,1495,1375 EI−MS m/z 171(M++1) CI−MS m/z 171(M++1)1 H−NMR (CDCl3) δ(ppm); syn体に帰属 5.17(2H,d,J=4.8Hz), 7.16,7.21(2H,ABq,J=1.1Hz), 7.60(1H,t,J=4.8Hz) anti体に帰属 5.31(2H,d,J=4.4Hz), 6.88(1H,t,J=4.4Hz), 7.18,7.27(2H,ABq,J=1.1Hz), syn,anti共通 3.20(1H,brs) syn:anti=4:3 実施例2 1−(2′−アセトキシイミノエチル)−2
−ニトロイミダゾールの合成 実施例1にて合成した1−アセトキシム−2−ニトロ
イミダゾール77mg(0.45mmole)を、0℃にて無水酢酸
0.5mlに懸濁させ、ピリジン数滴を加え、室温で5分間
撹拌し溶解させた。これを希塩酸−氷にあけ、塩化メチ
レンにて抽出し、炭酸水素ナトリウム、食塩水で洗浄
後、乾燥し溶媒を留去した。得られた残渣にメタノール
約5mlを加え、メタノール溶出液から溶媒を留去して得
られた残渣をカラムクロマトグラフイー(展開溶媒 酢
酸エチル:ヘキサン=1:1)にて精製し淡黄色油状の1
−(2′−アセトキシイミノエチル)−2−ニトロイミ
ダゾールを88mg(収率92%)得た。
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 1765,1540,1495,13581 H−NMR(CDCl3) δ(ppm); 2.10(3H,s),5.26(2H,d,J=5.1Hz), 7.13(1H,d,J=1.1Hz), 7.15(1H,d,J=1.1Hz) 7.91(1H,t,J=5.1Hz) 実施例3 1−(2′−メトキシイミノエチル)−2−
ニトロイミダゾールの合成 窒素気流下、2−ニトロイミダゾール−1−酢酸メチ
ルエステル486mg(2.62mmole)を、無水エーテル100ml
に懸濁させ、−78℃にて1M水素化ジイソブチルアルミニ
ウム−ヘキサン溶液7.9ml(7.9mmol)を徐々に加えこの
まま30分間更に−52℃で30分間撹拌した。これに飽和塩
化アンモニウム溶液を加え0℃で10分間撹拌後、10%塩
酸−氷を加えて沈殿物を完全に溶かし、塩析下酢酸エチ
ルにて抽出、食塩水で洗浄後、乾燥、溶媒を留去した。
得られた残渣270mgをメタノール1ml、水1mlに溶かしO
−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩160mg(1.92mmol
e)、酢酸ナトリウム474mg(3.48mmole)を加え、室温
にて2時間撹拌した。溶媒を除去後、酢酸エチルにて抽
出し、カラムクロマトグラフイー(展開溶媒 塩化メチ
レン)にて精製し、淡黄色固体の1−(2′−メトキシ
イミノエチル)−2−ニトロイミダゾールを202mg(収
率42%)得た。
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 1538,1485,13601 H−NMR(CDCl3) δ(ppm); syn体に帰属 3.85(3H,s),5.15(2H,d,J=5.1Hz), 7.57(1H,t,J=5.1Hz), anti体に帰属 3.98(3H,s),5.24(2H,d,J=4.0Hz), 6.83(1H,t,J=4.0Hz), syn,anti共通 7.13(1H,brs),7.19(1H,brs) syn:anti=1:1.3 <放射線増感効果> (1)E.Coliに対する放射線増感効果 各々、毒性を発現しない濃度の薬剤溶液に大腸菌B/r
を加えた懸濁液(約2.0×106cells/ml)に窒素ガスを18
G注射針を使用し、30分間バブリングさせることにより
調整した後、三菱医療用電子LINAC,ML−6MA型を用い、
照射条件は6MVX線で5.36Gy/minにし、照射線量60Gyで照
射した。その後、それぞれの検体の懸濁液を希釈し、そ
の0.1mlをプレート上に拡げ、37℃の培養液で15時間培
養し、プレート上に形成したコロニーをカウントし、同
一条件下における照射群(薬剤を入れないもの)と比較
し、セルサバイバルはこれらのコロニー形成により判断
した。薬剤の放射線増感効果の程度を比較するため、増
感効率を次式より判定した。結果を第1表に示す。
増感効率=N/N0(対象群)/N/N0(薬剤東与群) N/N0=生存率 (2)腫瘍細胞に対する放射線増感効果 Balb/cマウス由来EMT6/KU細胞を使用しsingle cellに
よるスクリーニングを行つた。
各々、毒性を発現しない濃度の薬剤溶液に対数増殖期
の細胞を使用し試験管内に浮遊の状態で照射を行つた。
低酸素条件の場合には混合チツ素ガス(5%CO2)を試
験管内に60分間流した後60Co−γ線(線量率;1.17Gy/mi
n)照射した。照射後薬液を取り除き希釈後シャーレに
まきコロニー形成法により生存率を求めた。結果を第2
表に示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アシル
    基を示す)で表わされる1−アセトキシム−2−ニトロ
    イミダゾール誘導体及びその塩。
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