JP2627270B2 - 復調位相誤差を減じるための回路 - Google Patents

復調位相誤差を減じるための回路

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の利用分野] この発明は、マルチパス(多重通路)歪み成分を含ん
でいるような無線周波数(RF)信号を処理するための方
式における復調位相誤差を少なくするための回路に関す
るもので、この回路はマルチパス歪み成分による復調さ
れた複合ビデオ信号中の位相誤差を実質的に補償するも
のである。
[発明の背景] 従来、テレビジョン信号の受信はマルチパス歪みによ
る悪影響を受けていた。即ち、テレビジョン受信時に、
望ましくないマルチパス信号が受信されてしまう。この
ような不所望な信号はビル等の大きな物からの反射とか
成端の不完全ケーブルネットワークなどによって生じ、
直接テレビジョン信号の遅延した形で現われ、通常はゴ
ースト信号と呼ばれている。
ゴースト信号はそのゴースト信号と直接信号との間の
信号通路長の関係の関数として、直接信号から遅延して
いる。この信号通路長の関係は受像機の設置場所によっ
て異るために、ゴースト搬送波信号(即ち、直接搬送波
信号の遅延したもの)の位相は直接搬送波信号の位相に
対していかなる位相関係でも取り得るということにな
る。
多くの自動ゴースト消去方式では、入来テレビジョン
信号は画像搬送波信号と同相で同期復調される。この型
式の例は、「IEEE Transactions on Consumer Electoro
nics」(1977年5月)の175〜181頁のセディク(H.Thed
ick)氏による「TV放送用アダブティブ・マルチパス等
化法(Adaptive Multipath Equalization for T.V.Broa
dcasting)」と題する論文、米国特許第4,285,006号及
び米国特許第4,374,400号に記載されている。
この型式の方式の1つの典型例においては、画像搬送
波信号は中間周波(IF)増幅器により与えられる変調さ
れたテレビジョン信号から取出される。この搬送波信号
は再生された案層波信号を供給する位相ロックループ
(PLL)の同期化に用いられる。同期検波器がこの再生
搬送波信号とIF増幅器により供給される変調テレビジョ
ン信号とに応答して、それぞれがIF信号の同相変調成分
と直角位相変調成分とを表わす2つのベースバンド信号
IとQを生成する。このI信号とQ信号とを用いて、同
期復調されたI信号の同相ゴースト信号成分と直角位相
ゴースト信号成分とを打消す。
入来テレビジョン信号が、直接信号の搬送波の位相と
異なる遅延直接搬送波位相を持つ比較的強いゴースト信
号成分を含んでいる時は、上記の方法により生成された
I及びQ信号の直接信号成分は歪んでいる可能性があ
る。この歪みは、入来テレビジョン信号のIF搬送波信号
が直接搬送波信号と遅延直接搬送波信号(即ち、ゴース
ト搬送波信号)とのベクトル和であり、従って、直接搬
送波信号と異る位相を持つために生じる。
取出された搬送波信号をIF増幅器により供給されるテ
レビジョン信号の同期復調に用いると、それにより生成
されたベースバンド信号は、変調されたテレビジョン信
号の直角成分によるクロストークによって歪んでしま
う。テレビジョン信号というのは残留側波帯変調信号な
ので、この直角位相成分は1MHzより高い周波数を持った
同相成分のヒルベルト変換である。この直角位相成分に
よって生じる歪みは、直角成分が同相成分を増強する傾
向のものであるか打消すようなものであるかにより、再
生画像中に垂直端縁部の過度のピーキングとして、また
は、水平解像度の見掛上の低下として現われる。
[発明の概要] この発明の原理によれば、無線周波数テレビジョン信
号を処理するための装置における復調位相誤差を減少さ
せるための回路が供給される。この処理装置には、直接
搬送波信号を含む直接信号成分と遅延した直接搬送波信
号を含む遅延した直接信号成分とを有する無線周波数テ
レビジョン信号を供給するための入力端子(チューナ10
またはIF増幅器12の出力)が設けられている。無線周波
数テレビジョン信号は直接搬送波信号と遅延直接搬送波
信号のベクトル和である搬送波信号を含んでいる。上記
の入力端子には、無線周波数テレビジョン信号から搬送
波信号を抽出するための手段(14)が結合されている。
この搬送波信号抽出手段(14)には、位相ロックループ
回路(16)を含み、抽出された搬送波信号によって決ま
る周波数と位相とを持った発振信号を発生する手段(1
6)が結合されている。上記位相ロックループ回路(1
6)は、抽出された搬送波信号と発振信号と応動して、
これらの信号間の位相差を表わす位相差信号を発生する
位相比較手段(310)を備えている。入力端子には、無
線周波数テレビジョン信号と発振信号とに応答して、各
々が直接信号成分と遅延直接信号成分とを有する第1の
ベースバンド信号(I)と第2のベースバンド信号
(Q)とを発生する検波手段(18、22)が結合されてい
る。この第1と第2のベースバンド信号(I、Q)の直
接信号成分にはレシプロカルクロストーク歪み成分が含
まれている可能性がある。具体的には上記第1のベース
バンド信号(I)には、直接信号成分と遅延直接信号成
分とを有し上記第2のベースバンド信号とのクロストー
クによって生じる歪み成分を含まれている可能性があ
り、また、上記第2のベースバンド信号(Q)には、直
接信号成分と遅延直接信号成分とを有し上記第1のベー
スバンド信号とのクロストークによって生じる歪み成分
を含まれている可能性がある。ベースバンド信号は無線
周波数テレビジョン信号によって担持された振幅変調情
報を表わす。上記の検波手段(18、22)には、上記ベー
スバンド信号の少なくとも一方のもの(Q)に応答し
て、直接搬送波信号と、この直接搬送波信号と遅延直接
搬送波信号とのベクトル和との間の位相差を実質的に比
例した位相制御信号を発生する手段(26、630)が結合
されている。最後に、この位相制御信号に応答する位相
修正回路(312、314;628)が、上記位相差信号と第1の
ベースバンド信号の一方を変更して、クロストーク歪み
成分が実質的に減少した修正された第1のベースバンド
信号を発生する。
この発明の1つの実施例(第1図、第3図)において
は、位相修正回路は加算器(312)を有しこれが電圧制
御発振器(318)に結合されていて、位相制御信号がこ
の位相制御信号の大きさが減じられる方向に発振信号の
位相を変更するように働く。
さらに、この発明の別の実施例(第6図)において
は、位相修正回路は、位相修正信号を発生する手段(63
0)と共働する、位相修正信号と第1のベースバンド信
号とを組合わせる手段(628)を構成している。
[実施例の説明] 第1図を参照すると、無線周波数(RF)信号はアンテ
ナ8で受信され、チューナ回路10に供給される。チュー
ナ回路10は、通常構成のものでもよく、RF信号を局部発
振器により生成された信号とヘテロダインして、IF信号
を発生する。このIF信号にはIF搬送波を変調している複
合ビデオ信号が含まれている。IF信号はIF増幅器12に供
給され増幅されて、搬送波基準信号抽出回路14に供給さ
れる。この回路14は、例えば、IF搬送波周波数を中心と
した狭帯域幅の周波数応答特性を持つ通常の帯域通過フ
ィルタでもよい。
回路14からの信号は変調成分が相対的に除去されたIF
搬送波信号である。このIF搬送波信号は、この搬送波信
号と同じ周波数を持ちかつこの搬送波信号を位相ロック
された発振信号を生成する位相ロックループ(PLL)16
に供給される。PLL16については、第3図を参照して後
に詳述する。
PLL16で生成された信号は同期検波器18の一方の入力
端子と移相回路20とに供給される。移相回路20はPLL16
から供給される再生された搬送波信号と直角位相関係の
信号を生成する。この直角位相搬送波信号は同期検波器
22の一方の入力端子に供給される。同期検波器18と22は
IF増幅器12から供給されるIF信号と、それぞれ、同相搬
送波信号及び直角位相搬送波信号との乗算を行って、IF
信号の同相変調信号成分と直角位相変調信号成分とそれ
ぞれ表わすベースバンド信号I及びQとを生成する。
I信号とQ信号は自動ゴースト消去回路24に供給され
る。ゴースト消去回路24は、例えば、前述したセディッ
ク氏論文や米国特許明細書に記載されたものと同様のも
のを用いてもよく、I信号を処理してマルチパス歪み成
分を実質的に除去し、その出力端子にゴーストが消去さ
れた信号I′を生成する。
上述したように、直接信号の搬送波の位相と異なる搬
送波位相を有するゴースト信号があると、入来信号の搬
送波位相は直接信号の搬送波位相と異なったものとな
る。ゴースト信号は遅延した直接搬送波信号を含む遅延
した直接信号成分である。この位相の差はチューナ10と
IF増幅器12中を伝播し、従って、搬送波基準信号抽出回
路14で抽出される搬送波信号の位相が直接信号のIF搬送
波の位相が整合しなくなる可能性がある。抽出された搬
送波信号は直接搬送波信号と遅延した直接搬送波信号と
のベクトル和となるであろう。PLL16によって生成され
る信号は抽出された搬送波信号に位相ロックされている
から、同期検波器18によって生成されるI信号は直接信
号の直角位相成分からのクロストーク成分を含むであろ
う。さらに、同期検波器22により生成されるQ信号は直
接信号の同相成分からのクロストーク成分を含むであろ
う。さらに、自動ゴースト消去回路24はクロストーク歪
みを修正しないので、自動ゴースト消去回路24から供給
されるI′信号も歪んでいるであろう。
この歪みの影響を第4図A〜Eに示す。第4図A及び
Bは、直接信号についての垂直同期パルスの前縁の同相
成分と直角位相成分とをそれぞれ表わす波形図である。
垂直同期の前縁部は、普通自動ゴースト消去装置に用い
られるトレーニング信号である。第4図A〜Eの波形は
どれもゴースト信号成分を含んでいない。この実施例に
おいては、復調位相誤差を生ずるゴースト信号は、第4
図Bの波形中の点AとBの間の時間2τよりも長い時
間、直接信号から遅れているものと考える。
第4図Aに示すように、直接信号の同相成分は点Cに
おける黒レベルに対応する値から点Dにおける同期チッ
プレベルに対応する値への滑らかな方向が変らない遷移
である。第4図Bに示す波形は信号の直角位相成分で、
1MHzより高い周波数を持つ第4図Aの信号成分のヒルベ
ルト変換である。
第4図D及びEは復調位相誤差がI信号とQ信号に及
ぼす影響を示す。第4図Dにおいて、直接信号のI波形
は点C′からD′にかけて方向が変らない滑らかな波形
ではなくなっている。第4図EのQ波形は垂直同期信号
の前縁部における点A′の前と点B′の後とでレベルが
異なっている。この発明では、この垂直同期パルスの前
縁部の直角位相成分の歪を利用して、復調位相誤差の検
出と修正を行っている。
第1図を参照すると、同期検波器22から供給されるQ
信号は復調位相誤差検出器26の1つの入力端子に供給さ
れる。例えば、垂直同期信号分離回路(図示せず)によ
って生成される信号VSYNCが復調位相誤差検出器26の別
の入力端子に供給される。この信号VSYNCは第4図Cに
示されており、例えば、復調された複合ビデオ信号の垂
直同期パルス成分の前縁部と実質的に同時に生ずる各フ
ィールド毎に1個のパルスから成る。
第2図は検出器26として用いるに適した復調位相誤差
検出器のブロック図である。同期検波器22からのQ信号
はサンプル−ホールド(S/H)回路210の信号入力ポート
に供給される。信号VSYNCが遅延素子216に加えられ、時
間量τだけ遅延され回路210の制御入力端子に供給され
る。遅延素子216の出力は制御入力信号として働く。サ
ンプル−ホールド回路210は制御入力信号が高の時にQ
信号をサンプリングし、制御入力信号が低の間、このサ
ンプルの値を保持する。回路210によって保持されるサ
ンプル値は減算器218の第1の入力端子に供給される。
Q入力信号は実質的に2τの期間に等しい時間遅延を
与える遅延素子212にも供給される。遅延素子212により
供給される信号は第2のサンプル−ホールド回路214に
与えられる。このサンプル−ホールド回路214も遅延素
子216から供給される遅延VSYNC信号により制御される。
サンプル−ホールド回路214からの出力サンプル値は減
算器218の第2の入力端子に供給される。減算器218は回
路210からのサンプル値から回路214により供給されるサ
ンプル値を減算し、第4図Bの点Aと点Bのレベル差、
あるいはその第4図Eの点A′と点B′のレベル差を表
わす値をもった信号を位相制御信号としてPLL16に供給
する。この位相制御信号は直接搬送波信号と、この直接
搬送波信号と遅延直接搬送波信号のベクトル和との間の
位相差に実質的に比例したものである。
第3図はPLL16として用いるのに適した位相ロックル
ープのブロック図である。第1図の搬送波基準信号抽出
回路14からの基準信号が位相比較器310の一方の入力端
子に供給され、電圧制御発振器(VCO)318の出力信号が
他方の入力端子に供給される。位相比較器310の出力信
号は上記2つの信号の位相差に比例する。この位相差信
号は加算器312の一方の入力端子に与えられる。加算器3
12の他方の入力端子は、スケーリング回路314において
係数Kでスケーリングされた復調位相誤差検出器26の出
力信号を受けるように接続されている。
加算器312は位相差信号とスケーリングされた位相誤
差信号の和をPLLのループフィルタである低減通過フィ
ルタ316の入力端子に供給する。低域通過フィルタ316は
その入力端子に供給される信号を積分して、その出力端
子にVCO318用の制御信号を発生する。VCO318は従来設計
のものでもよいが、IF搬送波周波数にほぼ等しい自走周
波数を持つ。低減通過フィルタ316から供給される信号
は、VCO318により生成される信号の周波数と位相を、IF
信号の直接搬送波信号成分と実質的に同じ周波数と位相
になるまで調整する。従って、加算器312とスケーリン
グ回路314は位相修正回路として働いている。前述のよ
うに位相比較器310に帰還されるこのVCO318の出力がPLL
16の出力として働く。
これを理解するために、第4図A〜Eを再び参照す
る。第4図Bの波形は、PLL16から供給される信号が直
接搬送波信号と同じ周波数と位相を持つ時の垂直同期パ
ルスの前縁部に対応する復調された直角位相信号Qの部
分を示している。点AとBサンプル−ホールド回路214
と210のそれぞれに保持されている値に対応する。これ
らの値はほぼ等しいから、復調位相誤差検出器26からPL
L16へ供給される信号はほぼ0に等しく加算器312から低
域通過フィルタ316へ供給される位相誤差信号に対する
割合はあまり大きくない。
PLL16から供給される信号の位相が直接搬送波信号の
位相と異なる時は、直角位相信号波形上の対応する点、
即ち、第4図Eの波形上の点A′とB′は異なる値を持
つ。この場合は、復調位相誤差検出器26によって与えら
れる値は0にならず、従って、加算器312により生成さ
れる位相調整信号に対して相当な影響を持つことにな
る。前述したように、この信号は低域通過フィルタ316
で積分されてVCO318に対する周波数制御信号が生成され
る。位相調整信号の振幅と極性は位相比較器310とスケ
ーリング回路314とによって、VCO318により生成される
信号が直接搬送波信号の周波数と位相に収斂するように
制御される。
前述した如く、この実施例で用いられる復調位相誤差
信号は、垂直同期パルスの前縁部の前と後におけるQ信
号の値の差である。この装置が振幅の異なる信号に対し
ても良好に動作するようにするためには、テレビジョン
装置が復調位相誤差検出器26よりも前段に自動利得制御
(AGC)回路を備えていることが好ましい。AGC回路を用
いると、同じ大きさの位相誤差が生じると、実質的に同
じ大きさの修正信号が確実に生成される。
第5図はAGC回路を用いなくても良好な動作を行う復
調位相誤差検出器のブロック図である。この復調位相誤
差検出器は、各々が第2図に示した復調位相誤差検出器
と同じである2つの回路500と530を備えている。この実
施例においては、I信号が回路530に供給される。この
接続は第1図に検波器18から検出器26への点線によって
示されている。回路500は、その出力部の減算器518に、
垂直同期パルスの前縁部の前後におけるQ信号の振幅の
差を表わす値を生成する。回路530は、その出力減算器5
28に、垂直同期パルスの前縁部の前後におけるI信号の
振幅の差を表わす値を生成する。
減算器518と528からの出力信号は除算器540に加えら
れ、Q信号の振幅値の差がI信号振幅値の差で割算され
る。除算器540から供給される値は、IF搬送波と直接搬
送波間の位相角のタンジェントである。この値はI及び
Q信号が占める振幅値の範囲と実質的に無関係である。
除算器540から供給される値をもった信号は前述したよ
うに位相制御信号としてPLL16に供給される。この位相
制御信号も直接搬送波信号と、この直接搬送波信号と遅
延直接搬送波信号のベクトル和との間の位相差に実質的
に比例したものである。
復調位相誤差検出器の動作の理解にとって基本的なも
のとして、残留側波帯変調信号の搬送波から角度θだけ
位相が異なる再生された搬送波を用いたこの残留側波帯
変調信号の同相成分I′と直角位相成分Q′の同期変調
を表わす式がある。これらの式は周知であり、次のよう
に表わすことができる。
I′=Icosθ−Qsinθ (1) Q′=Isinθ+Qcosθ (2) ここで、I及びQは、再生された搬送波が所望の信号
の搬送波と同じ位相の時に得られるようなベースバンド
同相信号成分とベースバンド直角位相成分である。この
場合、所望信号というのはIFテレビジョン信号の直接信
号成分であり、θは合成された直接及び遅延直接(ゴー
スト)テレビジョン信号のIF搬送波と直接信号のIF搬送
波との位相角の差である。式(2)を用いると、第4図
EのA′とB′の値は第4図Bの値AとB及び第4図A
の値CとDの関数として次のように表わすことができ
る。
A′=Csinθ+Acosθ (3) B′=Dsinθ+Bcosθ (4) 同様に、式(1)を用いると、第4図Dの値C′と
D′は次のように表わせる。
C′=Ccosθ−Asinθ (5) D′=Dcosθ−Bsinθ (6) 第5図の除算器540からの出力信号は次の式で表わす
ことができる。
tanθ=(B′−A′)/(D′−C′) (7) この式(7)に式(3)〜(6)を代入して、同類項
をまとめると、次の式が得られる。
tanθ={(D−C)sinθ +(B−A)cosθ}/{(D−C)cosθ −(B−A)sinθ} (8) 第4図Bから、A=Bであることがわかる。これを式
(8)に代入すると、次の式が得られる。
tanθ=(D−C)sinθ/(D−C)cosθ (9) 式(9)の分子と分母の係数(D−C)は消去される
から、式(9)は周知の等式 tanθ=sinθ/cosθ (10) となる。
上述した実施例はすべて、アナログ信号とアナログ回
路構成とを用いている。第6図〜第8図に示す実施例
は、この発明をデジタル信号及びデジタル回路を用いて
実施したものである。
第6図〜第8図を参照すると、第1図〜第5図に示し
た素子と同じ素子には同じ参照番号を付して示す。
第6図〜第8図において、太い矢印は複数ビットの並
列デジタル信号用のバスを表わし、細い矢印付の線はア
ナログ信号又は1ビットからなるデジタル信号を伝送す
る接続を表わす。設置の処理速度によっては、信号路の
あるものに補償用遅延回路を必要とする場合がある。デ
ジタル信号処理回路設計技術分野の当業者には、与えら
れた装置のどの部分にそのような遅延回路を設ける必要
があるかは理解できよう。
第6図を参照すると、アンテナ8によって受信された
RF信号はチューナ回路10に供給される。チューナ10はRF
信号を局部発振器(図示せず)からの信号とヘテロダイ
ンして、IF搬送波を変調している複合ビデオ信号を含ん
だIF信号を発生する。このIF信号はIF増幅器12で増幅さ
れ、搬送波基準信号抽出回路14に供給される。これらの
動作は第1図の回路について説明したと同様である。
回路14から供給される信号は、変調成分が比較的排除
されたIF搬送波信号である。この搬送波信号は位相ロッ
クループ(PLL)16に供給される。PLL16は抽出された搬
送波信号に周波数と位相がロックされた比較的安定した
発振信号を発生する。この発振信号は同期検波器18の一
方の入力端子と90゜移相回路20とに供給される。回路20
はPLL16から供給される発振信号に関係した直角位相の
信号を生成する。
この直角位相の発振信号は同期検波器22の一方の入力
端子に供給される。IF増幅器12からの信号が同期検波器
18と22の各々の第2の入力端子に供給される。同期検波
器18と22はIF信号にそれぞれ同相の発振信号と直角位相
発振信号を掛けて(乗算して)、それぞれ、ベースバン
ド信号I及びQを生成する。信号IとQは、それぞれ、
IF信号の同相変調成分と直角位相変調成分を表わす。
検波器18と22からのI及びQ信号は、それぞれアナロ
グ−デジタル変換器(ADC)626及び624に加えられてデ
ジタル化される。デジタル化されたI及びQ信号は複素
乗算器628と復調位相誤差検出器630とに供給される。検
出器630には第4図Cに示されたVSYNC信号も供給され
る。復調位相誤差検出器630と読出し専用メモリ(ROM)
632が修正信号CIとCQを発生する。これらの修正信号は
乗算器628に供給され、そこで、デジタル化された信号
IとQに組合わされて、それぞれ、同相信号I′と直角
位相信号Q′が生成される。信号I′とQ′は直接信号
のクロストーク歪み成分を実質的に含んでいない。即ち
この場合、複素乗算器628は位相修正回路として働いて
いる。信号I′とQ′とは自動ゴースト消去回路634に
加えられる。この自動ゴースト消去回路34は、例えば、
前述したセディック氏論文や米国特許明細書に記載のも
のを使用してもよい。この回路34はI′信号を処理して
マルチパス歪み成分を実質的に取除き、その出力端子に
ゴースト消去された信号I″を生成する。
第7図は検出器630として使用するのに適した復調位
相誤差検出器のブロック図である。第7図に示す検出器
は2個のサンプル差回路700と730とを含んでおり、この
サンプル差回路700と730は垂直同期パルスの前後でとっ
たQ信号とI信号のそれぞれのものゝのサンプル値の差
を表わす信号を生成する。回路700と730は同じものであ
るから、以下、一方の回路700のみについて詳述する。
信号Qを表わすデジタルサンプルはレジスタ710のデ
ータ入力ポートに供給される。信号VSYNCが遅延素子716
に供給されて時間τの遅延を受け、レジスタ710のクロ
ック入力端子(CK)に供給される。レジスタ710はVSYNC
パルスの前縁部と同時にそのデータ入力ポートに供給さ
れるサンプル値をロードし、次にVSYNCパルスが生じる
までこのサンプル値を保持(ホールド)する。レジスタ
710によって保持されたサンプル値は減算器718の第1の
入力端子に供給される。
デジタル化されたQ信号は、時間2τに実質的に等し
い時間遅延を与える遅延素子712にも供給される。遅延
素子712から供給される信号は、遅延素子716により供給
される遅延したVSYNC信号によってクロックされるレジ
スタ714に供給される。レジスタ714によって保持されて
いるサンプル値は減算器718の第2の入力端子に供給さ
れる。減算器718はレジスタ710によって保持されたサン
プル値からレジスタ714によって保持されたサンプル値
を減じて、その結果をサンプル除算回路740に供給す
る。
回路700から供給されるサンプル値は垂直同期パルス
の前縁部の前後におけるQ信号の振幅の差(即ち、第4
図EにおけるB′−A′)を表わす。同様に、回路730
は減算器728から、垂直同期パルスの前縁部の前と後に
おけるI信号の振幅の差(即ち、第4図DにおけるD′
−C′)を表わすサンプル値をサンプル除算回路740の
第2の入力ポートに供給する。
サンプル除算回路740では、Qサンプル値の差(B′
−A′)がIサンプル値の差(D′−C′)で除算され
る。除算回路740によって供給される信号PEは第6図に
示す復調位相誤差検出器630の出力信号に相当し、抽出
されたIF搬送波と直接IF搬送波との間の位相角のタンジ
ェントに実質的に等しい。この信号は、第5図につい
て、除算器540からの出力として説明した信号と同様の
信号で、直接搬送波信号と、この直接搬送波信号と遅延
直接搬送波信号のベクトル和との間の位相差に実質的に
比例したものである。式(1)〜(10)がこの場合も同
じように適用できる。この信号PEはROM632に供給され、
ROM632は複素乗算器628に供給される修正信号CIとCQ
を生成する。
復調位相誤差検出器630からの信号PEは、2つの伝達
関数TCIとTCQとを供給するようにプログラムされたROM6
32のアドレス入力ポートに供給される。伝達関数TC1
供給されたアドレスコードのアークタンジェントのコサ
インに等しく、TCQは供給されたアドレスコードのアー
クタンジェントのマイナスのサインに等しい。アドレス
コードはθのタンジェントに等しいから、伝達関数TCI
とTCQは次のように修正信号CIとCQを与える。
CI=cosθ (11) CQ=−sinθ (12) これらの修正信号と同期復調された信号IとQとは、
各々が同相信号と直角位相信号にそれぞれ対応する実数
部と虚数部とを有する2つの複素信号と考えることがで
きる。複素乗算器628はこれらの2つの複素信号を組合
わせて、実数部I′と虚数部Q′とを有する位相修正さ
れた複素信号を生成する。
第8図は複素乗算器628のブロック図である。ADC624
からのデジタル信号Qは通常のデジタル乗算器810の一
方の入力ポートに加えられる。ROM632からのデジタル信
号CQ乗算器810の他方の入力ポートに供給されている。
乗算器810は信号QとCQとの積を形成して、その積を減
算器814の一方の入力ポートに供給する。同様に、信号
IとCIの積が乗算器812で形成され、減算器814の他方の
入力ポートに供給される。減算器814は信号IとCIの積
から信号QとCQの積を減算して、修正された同相信号
I′を生成する。
別の乗算器816と818とにより、信号IとCQ及びQとCI
のそれぞれの積が求められる。これらの乗算器816と818
の出力信号は加算器820に加えられ、その和が求められ
て、修正された直角位相信号Q′が生成される。
複素乗算器628により生成される信号I′とQ′は式
(1)、(2)、(11)及び(12)に基づいて、次の式
で表わすことができる。
I′=(i cosθ−q sinθ)cosθ −(i sinθ+q cosθ)(−sinθ) (13) Q′=(i sinθ+q cosθ)cosθ +(i cosθ−q sinθ)(−sinθ) (14) 式(13)と(14)とを展開すると、 I′=i cosθcosθ−q sinθcosθ +i sinθsinθ+q cosθsinθ (15) I′=i(cos2θ+sin2θ) (16) I′=i (17) Q′=i sinθcosθ+q cosθcosθ −i cosθsinθ+q sinθsinθ (18) Q′=q(cos2θ+sin2θ) (19) Q′=q (20) 従って、複素乗算器628により生成される信号I′と
Q′の直接信号成分には、復調位相誤差成分は実質的に
含まれていない。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を含むテレビジョン受像機の
一部のブロック回路図、第2図は第1図に示したテレビ
ジョン受像機の部分に用いることのできる復調位相誤差
検出器のブロック回路図、第3図は第1図に示したテレ
ビジョン受像機の部分で使用できる位相ロックループの
ブロック回路図、第4図は第1図に示したテレビジョン
受像機の部分の動作説明のための振幅対時間関係を示す
信号波形図、第5図は第1図に示したテレビジョン受像
機の部分で使用できる別の形の復調位相誤差検出器のブ
ロック回路図、第6図はこの発明の別の実施例のブロッ
ク回路図、第7図は第6図に示した実施例で使用可能な
復調位相誤差検出器のブロック回路図、第8図は第6図
の実施例で使用される複素乗算器のブロック回路図であ
る。 14……搬送波基準信号抽出回路、16……位相ロックルー
プ、310……位相比較器、18、22……同期検波器、26、6
30……復調位相誤差検出器、24、634……自動ゴースト
消去回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−5559(JP,A) 特開 昭50−151025(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直接搬送波信号を含む直接信号成分と遅延
    した直接搬送波信号を含む遅延した直接信号成分とを含
    み、上記直接搬送波信号と上記遅延直接搬送波信号との
    ベクトル和である搬送波信号を有する無線周波数テレビ
    ジョン信号を供給する入力端子を備えた無線周波数テレ
    ビジョン信号を処理するための装置における復調位相誤
    差を減じるためのものであって; 上記入力端子に結合されており、上記無線周波数テレビ
    ジョン信号から上記搬送波信号を抽出するための手段
    と、 上記搬送波信号抽出手段に結合されており、上記抽出さ
    れた搬送波信号によって決まる周波数と位相を有する発
    振信号を発生する位相ロックループ回路であって、上記
    抽出された搬送波信号と上記発振信号とに応答してこの
    抽出された搬送波信号と発振信号との間の位相の差を表
    わす位相差信号を生成する位相比較器手段を含む位相ロ
    ックループ回路を有する手段と、 上記入力端子に結合されており、上記無線周波数テレビ
    ジョン信号と上記発振信号とに応答して、上記無線周波
    数テレビジョン信号によって搬送された振幅変調された
    情報を表わす第1と第2のベースバンド信号として、直
    接信号成分と遅延直接信号成分とを有し、その直接信号
    成分および遅延直接信号成分が上記第2のベースバンド
    信号とのクロストークによって生じる歪み成分を含んで
    いる可能性のある上記第1のベースバンド信号と、直接
    信号成分と遅延直接信号成分とを有し、その直接信号成
    分および遅延直接信号成分が上記第1のベースバンド信
    号とのクロストークによって生じる歪み成分を含んでい
    る可能性のある上記第2のベースバンド信号とを発生す
    る検波手段と、 上記検波手段に結合されており、上記第1と第2のベー
    スバンド信号の少なくとも一方に応答して、上記直接搬
    送波信号と該直接搬送波信号と遅延直接搬送波信号のベ
    クトル和との間の位相の差に実質的に比例する位相制御
    信号を発生する手段と、 上記検波手段と上記位相ロックループ回路のうちの選ば
    れた一方に結合されており、上記位相制御信号に応答し
    て、上記位相差信号と上記第1のベースバンド信号のう
    ちの一方を修正して、クロストーク歪み成分が実質的に
    減少した修正された第1のベースバンド信号を発生する
    位相修正回路と、 を備えた復調位相誤差を減じるための回路。
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US06/878,260 US4688096A (en) 1986-06-25 1986-06-25 Demodulation phase error compensation circuitry as for an automatic deghosting system

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