JP2624894B2 - 天然のコンホメーションを保持している精製gp120組成物 - Google Patents

天然のコンホメーションを保持している精製gp120組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、一般に、タンパク質の精製の分野に関し、
より詳しくはワクチンの生産において有用なHIV-1由来
抗原の精製に関する。
背景 HIV-1に対するワクチンをつくる試みは、HIV-1に対し
て血清陽性であるヒトの免疫応答に類似するかまたは同
等の免疫応答を動物において達成するという基準により
判断すると、制限された成功に直面する。従来達成され
ていない主要な目標は、感染した個体からのヒト血清中
に認められるレベルと複雑性の両方に達する力価におい
て、試験管内でウイルス中和性である抗体(すなわち、
複数の単離物を中和する能力)の生産であった。ヒトの
中和性抗体はすべて、エンベロープタンパク質、gp16
0、またはその構成部分(gp120またはgp41)にマッピン
グされ、よって大部分のワクチンの努力はエンベロープ
タンパク質関連抗原の開発に集中している。
このような抗原の5つの型が開発された:(1)HIV
感染した組織培養細胞から誘導された精製gp120(本明
細書中では「ウイルス由来gp120」と呼称する);
(2)組換えウイルス、例えば、ワクシニアまたはバキ
ュロウイルスに感染した細胞中で作られるgp120(「生
ウイルスベクター由来gp120およびgp160」と呼称す
る);(3)哺乳動物細胞の中で作られた組換えgp120
(「組換え哺乳動物gp120」、時には不正確に組換え生
来gp120と呼称する);(4)gp120およびgp41の全部ま
たは種々の部分を表す、組換え変性ポリペプチド(「組
換え変性抗原」);および(5)gp120およびgp41の小
セグメントを表すペプチド(「ペプチド」)。
免疫原性実験はこれらの型の抗原のすべてに関して完
結され、かなり均一な結果が得られている。一般に、抗
原は様々な種においてアジュバント添加すると高度に抗
原性である。それらはHIV-1の相同性単離物を中和する
ことができる抗体を産生したが、非相同性単離物を貧弱
に中和するかあるいは全く中和しない。中和のレベル
は、また、感染したヒトにおいて見いだされる中和力価
レベルに(一般に)到達しなかった。
例えば、ウイルスから精製されたまたは遺伝子操作さ
れた哺乳動物細胞により産生された完全にグリコシル化
された天然のgp120、酵母中で産生された非グリコシル
化gp120、およびE.コリ中で産生されたgp120の断片は、
すべて、実験動物においてHIV-1中和性抗体を惹起せし
めることができる。大部分について、ウイルス粒子また
は組換えgp120抗原で免疫処置した動物の応答は、gp120
抗原が由来するウイルス単離物のみを中和する際に有効
である。1つの例外はBermanら(下の参考文献1)の研
究であり、遺伝子操作したチャイニーズハムスター卵巣
細胞により分泌された精製された組換えHIV-1 gp120が
チンパンジーにおいて群特異的中和性抗体を惹起したこ
とを示す研究である。
HIV-1ワクチンを調製する時にとくに困難であった他
の要因は配列多様性である。HIV-1およびHIV-2は、エン
ベロープのgp120部分において最も顕著である非常に高
レベルの配列多様性を有することによって特徴づけられ
る。この配列多様性は、超可変領域として知られる領域
に密集する。種々のHIV単離物から誘導された抗原物質
を含むワクチンカクテルを使用して、広範囲の感染源に
対する保護を提供することを、多数のグループが提案し
ている。
従って、HIV-1ウイルス粒子上に提示されるとき、gp1
20の免疫学的および他のタンパク質/タンパク質結合特
性を有する抗原物質が必要とされている。特に、好まし
くは、種々の野外単離物に対して中和抗体を誘発する単
一の根本材料を使用して、中和抗体を誘発することがで
きる抗原物質が非常に望ましい。
関連文献 次の刊行物はすべて、上述の5つの型のワクチン候補
に関する: (1)Bermanら、“Human Immunodeficiency Virus Typ
e I Challenge of Chimpanzees Immunized with Recomb
inat Envelope Glycoprotein gp120,"Proc.Natl.Acad.S
ci.USA(1988)85:5200-5204; (2)Bermanら、“Expression and Immunogenicity of
the Extracellular Domain of the Human Immunodefic
iency Virus Type I Envelope Glycoprotein,gp160,"Jo
unal of Virology(1989)63:3489-3498; (3)Naraら、“Purified Envelope Glycoproteins fr
om Human Immunodeficiency Virus Type I Variance In
duced Individual,Type-Specific Neutralizing Antibo
dies,"Jounal of Virology(1988)62:2622-2628; (4)Arthurら、“Serological Responses in Chimpan
zees Inoculated with Human Immunodeficiency virus
Glycoprotein(gp120)Subunit Vaccine,"Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA(1987)84:8583-8587; (5)Evansら、“An Engineered Polio Virus Chimaer
a Elicits Broadly Reactive HIV-1 Neutralizing Anti
bodies,"Nature(1989)339:385-388; (6)Barrettら、“Large-Scale Production and Puri
fication of a Vaccinia Recombinant-Derived HIV-1 g
p160 and Analysis of its Immunogenicity,"AIDS Rese
arch and Human Retroviruses(1989)5:159-171; (7)Earlら、“Isolate-and Group-Specific Immune
Response to the Envelope Protein of Human Immunode
ficiency Virus Induced by a Live Recombinant Vacci
nia Virus in Macaques,"AIDS Research and Human Ret
roviruses(1989)5:23-32; (8)Putneyら、“HTLV-III/LAV-Neutralizing Antibo
dies to an E.coli-prduced Fragment of the Virus En
velope,"Science(1986)234:1392-1395; (9)Steimerら、“Genetically Engineered Human Im
munodeficiency Envelope Glycoprotein gp120 Produce
d in Yeast is the Target of Neutralizing Antibodie
s,"Vaccines 87(1987)236-241; (10)Steimerら、“Recombinant env and gag Polypep
tides in Characterizing HIV-1-Neutralizing Antibod
ies,"Vaccines 88(1988)347-355; (11)Hoら、“Human Immunodeficiency Virus Neutral
izing Antibodies Recognize Several Conserved Domai
ns on the Envelope Glycoproteins,"Jounal of Virolo
gy(1987)61:2024-2028;および (12)Palkerら、“Type-Specific Neutralization of
the Human Immunodeficiency Virus with Antibodies t
o env‐Encoded Synthetic Peptides,"Proc.Natl.Acad.
Sci.USA(1988)851932-1936。
発明の要約 本発明の目的は、天然のウイルスHIV gp120と実質的
に同じタンパク質/タンパク質結合特性を有する糖ペプ
チドを提供するようなHIV gp120の精製方法を提供する
ことである。
本発明の目的はまた、精製された全長の(組換え体な
らば非融合の)HIV gp120糖タンパク質を含んで成り、
その分子の大部分がHIVウイルス上に提示されるgp120と
実質的に同じのタンパク質/タンパク質相互作用特性を
有する、組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、多数のHIV単離物による感染を
中和することができる抗体の形成を刺激する方法を提供
することである。
本発明の更に他の目的は、哺乳動物被検体に投与した
時、種々の源からHIVウイルスによる感染に対するその
被検体の感受性を減少させるワクチン組成物を提供する
ことである。
本発明の更なる目的は、HIV-1に感染した哺乳動物被
検体に投与した時に治療効果を有するワクチン組成物を
提供することである。
本発明のこれらおよび他の目的は、以後一層明らかと
なるように、1つの実施態様では、全長の非融合のグリ
コシル化gp120タンパク質を含有する媒質からgp120を精
製する方法であって、(1)イオン交換クロマトグラフ
ィー、(2)疎水的相互作用クロマトグラフィー、およ
び(3)サイズ排除濾過(サイズ排除クロマトグラフィ
ーまたはゲル濾過クロマトグラフィー)を使ってgp120
含有媒質を順次分画し、各段階においてCD4ペプチドに
対して特異的結合親和力を示す画分を集めることを含ん
で成る方法により達成される。これらの技術から精製段
階を選択しそしてアフィニティークロマトグラフィーお
よび逆相HPLCを回避することによって、変性されていな
いか、あるいは苛酷な溶媒条件、例えば、gp120に対し
て高い特異的親和力を有する抗体または他の結合性分子
を使用するアフィニティークロマトグラフィーにおいて
起こるであろう溶媒条件に暴露されていない、精製gp12
0分子を得ることが可能である。本発明のgp120は、コン
ホメーション保持されたgp120と呼び、ウイルス粒子に
より提示されたとき、従来入手可能であったよりも天然
のgp120に一層密接に類似するCD4レセプターへの結合特
性を保持している。よって、本発明の他の実施態様は、
gp120の大部分がコンホメーション保持されたgp120であ
る、gp120を含んで成る組成物である。本発明の追加の
実施態様は、免疫学的方法、例えば、抗HIV抗体につい
てのイムノアッセイ、抗HIV抗血清の生産およびワクチ
ンにおける、改良されたgp120組成物の利用を包含す
る。
図面の説明 本発明は、本明細書の部分である図面と組み合わせて
次の特定の実施態様の説明を参照することによって、よ
り一層理解されるであろう。
第1図は、組換えHIV-1 gp120(rgp120)の生産のた
めの例示的発現プラスミドの略図である。
第2図は、指摘した定常(C)および可変(D)領域
をもつ種々のHIV-1単離物についての整列されたアミノ
酸配列の表である。HXB2配列についての潜在的N−結合
グリコシル化部位のみを[]により示す;システイン残
基はこの図面においてそれらの上に*を有する。この配
列データは、Human Retroviruses and AIDS 1988,A Com
pilation and Analysis of Nucleic Acid and Amino Ac
id Sequences,Gerald Myersら、Theoretical Biology a
nd Biophysics Group発行、T-10、メイルストップK71
0、ロスアラモスナショナルラボラトリーズ、ロスアラ
モス、ニューメキシコ、87545。同じ発行元により発行
された1989年版も存在する。
第3A図は、精製段階においてフェニルHICカラムを使
って得られた生成物画分を示すグラフである。
第3B図は、精製段階においてエーテルHICカラムを使
って得られた生成物画分を示すグラフである。
第3C図は、精製段階においてゲル濾過クロマトグラフ
ィーを使って得られた生成物画分を示すグラフである。
第4図は、ゲル濾過HPLCを使ったCD4-gp120複合体の
形成を示すグラフである。
第5図は、0,5,6,7,8および9回のgp120での免疫処置
後に分析した、ヒヒ2964血清からのHIV-ZR6中和データ
を示すグラフである。
第6図は、実施例6の免疫処理ヒヒ2958およびgp120
免疫処置ヒヒ2964からの全血清試料の中和力価を示す1
組のグラフである。
第7図は、霊長類の中断された免疫処置計画の略図で
ある。
特定の実施態様の説明 精製の一般原理 本発明は、一部分、従来の精製技術からアフィニティ
ークロマトグラフィーを排除すると、より優れたCD4結
合特性をもつgp120糖ペプチドが生成することを実証し
た本発明者らの実験室における研究から端を発した。ア
フィニティー精製は、従来、高純度が要求されるワクチ
ンに使用するgp120の精製において必須であると考えら
れていた。
アフィニティークロマトグラフィーおよび他の型のア
フィニティー分離技術は、あるタンパク質が見い出され
る媒質中に存在する他の分子からそのタンパク質を分離
するために、抗体とタンパク質との間(またはレクチン
と糖タンパク質との間)の強力で且つ特異的な結合相互
作用に頼る。次いで、適当な技術、例えば、溶出媒質の
イオン強度またはpHの変化を使用してタンパク質から抗
体を解離させ、こうして抗体が取り付けられたカラムま
たは他の支持材料から他の汚染タンパク質を洗浄除去し
た後、精製されたタンパク質を得ることができる。アフ
ィニティークロマトグラフィーは生化学分野において20
年以上の間利用されているが、その使用は1970年代の初
期に高特異性のモノクローナル抗体の出現と共に急激に
増加した。この技術の概観については、Freifelder,Phy
sical Biochemistry:Applications to Biochemistry an
d Molecular Biology,第2版,W.H.Freeman & Co.,
サンフランシスコ,1982,pp.257-262を参照のこと。
しかしながら、本発明者らは、gp120分子の精製にア
フィニティークロマトグラフィーを使用すると、明らか
なコンホメーション変化が結合/除去の2段階法におい
て起こり、その結果生ずるgp120タンパク質は精製され
るが、抗体形成を誘発することまたはタンパク質/タン
パク質結合相互作用、例えばCD4分子との結合を行うこ
とについてウイルスgp120分子と同じエピトープを提示
しないことを発見した。こうして、アフィニティー精製
されたgp120は、ウイルス粒子により提示されると、こ
のように精製されたタンパク質を、例えば効率的なワク
チンにおいて望ましい程度の中和抗体の誘発に使用でき
るようにするのに十分な程はgp120に類似しない。
認識されるように、特定の性質、例えば、CD4へ結合
する能力または無能力を有するとしてgp120の特定組成
物を論ずることは、全体としての組成物であって、分子
レベルで組成物中の各gp120分子それぞれの性質を意味
するのではない。例えば、発表された技術を使って精製
されたgp120の組成物は、HIV-1ウイルス上に提示される
と、天然gp120のCD4結合能力の例えば10%を有するとし
て、gp120の組成物を言及することができる。このこと
は、各分子の結合親和力は90%減少されているが、幾つ
かの分子はそれらのもとのコンホメーションおよび結合
親和性を保持し、分子の大部分は何らかの方法で変更さ
れており(例えば、コンホメーションが変化してい
る)、その結果それらはそれらの結合親和力の全部また
は一部分を損失している可能性が多いことを意味し得
る。従って、異なる性質を有する種々のgp120分子がgp1
20組成物中に存在するようであり、そして天然の結合特
性を保持する際の精製技術の有効性は全体としての組成
物の結合特性により最もよく判断される。
本発明者らは、HIV gp120を精製して、天然のウイル
スHIV gp120と実質的に同じタンパク質/タンパク質結
合特性(特にCD4結合)を有する糖ペプチド組成物を提
供できることを発見した。本発明の組成物では、分子の
50%以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以
上がCD4分子への結合を可能にするコンホメーションを
有するが、これに対して、いくつかの発表された技術に
より生成された未精製の組成物では、その比率はgp120
の約10%以下である。
本発明の方法は、gp120源、例えば、gp120分子がその
中に分泌されている細胞培地または細胞もしくはウイル
ス溶解物を使って開始する。本発明は、細胞培地中に分
泌された全長の非融合のグリコシル化組換えgp120タン
パク質を、天然のコンホメーションを保持している純粋
な形態で提供するために、および精製するために、特に
有用である。ここで「組換えgp120タンパク質」とは、
トランスフェクション、染色体挿入、プラスミドの保
持、またはタンパク質を発現する他の手段の結果とし
て、細胞が適当なgp120遺伝子を含有するかどうかにか
かわらず、非HIV感染細胞により生産されるタンパク質
を意味する。しかしながら、ウイルス源からのgp120も
使用することができる。gp120を含有するもとの粗組成
物の調製は本発明のより広い観点の一部分ではない。な
ぜなら、gp120は組換えおよびウイルス源の両方から以
前に調製されているからである。従って、gp120源の説
明は、本発明の好ましい実施態様を説明する本明細書の
後の章まで延長する。
アフィニティークロマトグラフィー(および逆相HPLC
または有機溶媒を使用する他の技術)を、gp120分子の
所望のコンホメーションを破壊しない分離技術で置き換
えることが必要である。驚くべきことに、疎水的相互作
用クロマトグラフィー(HIC)は、イオン交換クロマト
グラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーと組み合
わせて使用すると、所望の精製を提供することが発見さ
れた。この発見は予期せざることであった。なぜなら、
gp120は22個の既知のグリコシル化部位をもつ糖タンパ
ク質であって高度に親水性(疎水性というよりも)であ
ると予想されるからである。gp120は、HIC精製段階を使
って汚染物からの良好な分離を可能にするのに十分な少
なくとも1つの疎水性領域を有することが発見された。
例えば、ほぼ10倍の精製がフェニルHICカラムにより達
成された。第3A図は、gp120がこのカラムから溶出する
最後の画分であったことを示す。アミノ酸配列中に疎水
性領域が存在することは従来知られている(疎水性プロ
ットから)が、HICを使用してgp120を他のタンパク質か
ら分離することを可能にするのに十分な疎水性がグリコ
シル化後に保持されることは知られていなかったし示唆
されていなかった。
精製方法の各段階を下に詳細に記載する。一般に、精
製方法は、典型的には水および他の小さい分子を除去す
ることにより、細胞培地または他のgp120源を濃縮してg
p120の濃度を増加させ、;濃縮された細胞培地をイオン
交換材料により分画し、そしてCD4ペプチドに対する特
異的結合親和力を示す画分を集め;この第1分画を疎水
的相互作用クロマトグラフィー(好ましくは2つのHIC
段階)により分画して、適切なCD4結合親和力を示す第
2画分を提供し;そして第2分画をサイズ排除濾過また
はクロマトグラフィーにより分画して所望の精製された
タンパク質を提供することを含んで成る。この説明は、
一般に、細胞培地が最も普通の源であるので、細胞培地
をgp120源と呼ぶ。しかしながら、gp120の他の源を細胞
培地と互換的に使用することができる。
濃縮段階は、種々の源から多数のタンパク質を精製す
る、すなわち、細胞培地から水および他の小さい分子を
除去することによって次の精製段階を比較的少量の材料
上で実施できるようにするのに使用される通常の最初の
段階である。従って、種々のサイズ分画技術のいずれも
使用することができる。透析および限外濾過が好ましい
技術である。最初の濃縮段階は、単に水または他の小分
子、例えば1,000以下の分子量を有する分子を除去する
ことができるか、あるいはgp120分子より小さい分子の
一部または実質的に全部を除去する技術を使用すること
ができる。例えば、種々のカットオフ値、例えば10,00
0、20,000、30,000、50,000または100,000の分子量カッ
トオフ値を有する膜を使って限外濾過を実施することが
できる。10,000〜50,000の範囲、好ましくは約30,000の
分子量カットオフが好ましい。
細胞培地を濃縮して小分子を排除した後、カットオフ
サイズより大きい分子を含有する濃縮された細胞培地を
イオン交換材料により分画する。異なる源からのペプチ
ドは、電荷が異なるために、イオン交換分画時に異なっ
て挙動することがある。例えば、HIV-SF2単離物から本
来分離された遺伝物質を使って得られたgp120はDEAEセ
ファデックス(Sephadex)カラム上に0.1MNaCl中pH8に
おいて保持されないが、単離物HIV-HTLV-IIIBからのgp1
20は同一条件下でカラムに結合し、そして0.1〜0.5MNaC
lの塩勾配で溶出させることができる。しかしながら、
特定のgp120分子がカラムへ付くかどうか重要ではな
い。なぜなら、溶離を包含するイオン交換工程は免疫学
的または他のタンパク質/タンパク質結合特性に悪影響
を及ぼさないように思えるからである。
イオン交換段階は単一段階であるかまたは2以上の段
階に分割することができる。アニオン交換樹脂での処理
は少なくとも1つの副段階に(あるいは唯一のイオン交
換段階として)好ましい。アニオン交換体は、典型的に
は芳香族または脂肪族アミノ基を含み、そしてDEAE-SEP
HADEX(これはジエチルアミノエチル置換デキストラン
である)、またはAG-3(これはエポキシアミン樹脂上に
第3アミノ置換基を有する)を包含する。これらの弱塩
基性物質の代替物として、完全な正電荷を示す第四アン
モニウムイオンおよび他の交換体、例えばQ-SEPHAROSE-
HP(セファロースカラムに結合した第四アンモニウムイ
オンを有するPharmaciaの製品)を使用することができ
る。アニオン交換段階には、典型的にはpH7〜9範囲、
好ましくは約pH8の緩衝液が使われる。典型的な緩衝液
の例は、0.02MTrisである。イオン強度は通常約0.05〜
0.2M(NaClとして表示)の範囲、好ましくは約0.1Mであ
る。制御すべき他の条件としては、温度(例えば、約0
〜25℃)、カラムに適用する物質の総伝導度(例えば、
約15mS-cm)、およびタンパク質負荷容量/樹脂容量の
比(例えば、約15〜20g/L)が挙げられる。これらの値
はDEAE-SEPHADEXカラムについて好ましい値であり、製
造業者の指示に従い他のカラム材料について変化させる
ことができる。
あるいは、細胞培地は、弱または強酸性交換基、例え
ばそれぞれカルボン酸またはスルホン酸の基を使ったカ
チオン交換クロマトグラフィーにより、精製することが
できるが、このような分離はアニオン交換体の使用より
好ましくない。典型的な強酸性系、例えばスルホプロピ
ルイオン交換樹脂、例えばSP-SEPHADEXを使用すること
ができる。gp120を含有する細胞培地を添加し、そして
典型的にはpH約6〜約8の範囲、好ましくはpH約7にお
いて溶離する。他の条件はアニオン交換カラムについて
使用条件に類似する。
所望のgp120分子を含有する画分は、gp120を同定する
多数の既知技術、例えば抗体による認識、CD4ペプチド
による結合、またはSDSゲル電気泳動のいずれによって
も同定することができる。gp120分子を含有する画分
は、各画分から取ったアリコートにおいて分析を行うこ
とによって同定することができる。分画パターンを確立
した後、試験しないで画分を集めることができるように
イオン交換操作を十分に反復する。本発明の各新規段階
をこの方法に組み込むとき、CD4結合を、その各段階に
ついてチェックし、そしてCD4結合を使用して、本明細
書中に記載する特定の好ましい条件からの任意の変更
(例えば、カラム支持材料、温度、緩衝液などを変え
る)が本発明の範囲内のgp120組成物を提供するかどう
かを確かめることができる。CD4とgp120との間の結合の
測定についての追加の詳細を、本明細書の後の節に記載
する。
gp120について最も明確な試験はCD4ペプチドの結合で
ある。CD4ペプチドへの結合は、典型的には、下の実施
例に記載するような放射性免疫沈澱またはゲル濾過HPLC
により確かめることができる。gp120物質を含有する画
分を、個々にまたは画分を一緒にした後に精製し、後の
精製段階に使用するプールした材料を提供することがで
きる。
特定の画分中のCD4ペプチドに結合するgp120分子の能
力について一般に言及するが、このような言語の使用は
CD4ペプチドについての実際の結合アッセイを各段階に
おいて実施することを意味しない。むしろ、この言語
は、この段階か異なる段階についてかいずれにせよ、CD
4ペプチドに結合するgp120の能力が分離技術のいずれか
の段階において損失されないようにその状態が維持され
ることを指摘するために用いられる。
次の精製段階は疎水的相互作用クロマトグラフィーを
包含し、この場合、カラムを通る分子の通過はカラム支
持材料(または支持材料に結合した物質)と分画されて
いる分子との間の疎水的相互作用により遅延される。こ
のような分画方法の典型的な例は、疎水性カラムを使う
高性能液体クロマトグラフィー法である。典型的なカラ
ムはエーテルHICカラムまたはフェニルHICカラムであ
る。エーテルHICカラムはカラム支持体にエーテル結合
により結合した脂肪族基を含有し、フェニルHICカラム
は支持体に結合したフェニル基を含有する。HIC技術の
当業者が理解するように、カラムへの試料の添加および
溶離は、該カラムに使用する樹脂表面に、分離されてい
る物質を「粘着(stick)」させるのに十分なイオン強
度(ある分子にはゼロであってもよい)を有する溶液を
使って行われる。溶離液のイオン強度を下げる(すなわ
ち、溶離液中の塩濃度を下げる)と、疎水性物質がカラ
ムにより保持される傾向が減少する。
典型的なgp120の精製では、イオン交換クロマトグラ
フイーにより得られた画分を硫酸アンモニウム中35〜45
%、好ましくは約40%飽和にし、そして不溶物を遠心に
より除去した後、上清をHICカラムに適用する。例え
ば、40%飽和硫酸アンモニウムでイオン交換クロマトグ
ラフィー画分を処理することは、該方法のこの時点で多
少の汚染タンパク質を沈澱させるのに有用であるが、そ
れは要求されない。gp120分子それ自体は、今日まで試
験した単離物の全ての株および突然変異体について、40
%飽和硫酸アンモニウム中で沈澱しない。他の単離物か
らのgp120が万一40%硫酸アンモニウムで沈澱するなら
ば、gp120を沈澱させるのに必要なものより低いがgp120
をHICカラムに結合させるイオン強度を与える程十分に
高い濃度を選択することができる。必要に応じて、他の
塩を硫酸アンモニウムの代わりに使用することができ
る。この節において説明する塩濃度は例示であり、この
分野で知られているように、流速、温度および溶出時間
を変化させることによって他の塩および塩濃度を使用す
ることができる。硫酸アンモニウムは、高濃度で存在す
るとタンパク質構造を安定化するので、好ましい。
種々の疎水的相互作用クロマトグラフィーを使用する
ことができ、そして本発明は特定の樹脂に限定されな
い。典型的なHICカラムの例としては、ブチル(butyl F
oyo Perl,Toyo Soda)、オクチル(octyl Sepharose,Ph
armacia)およびフェニル(Pheny Sepharose,Pharmaci
a)が挙げられる。イオン交換クロマトグラフィーと同
様、疎水的相互作用に基づく分離はタンパク質のコンホ
メーションに悪影響を及ぼすとは思われない。
それらのカラムを使用する条件は、当業界において知
られているように特定のカラムによって変化する。典型
的な条件としては次のものが挙げられる:pH約5〜約7
(例えば、0.02M酢酸ナトリウム、pH5.0);約0.05〜2.
0M(NaClとして表示)、好ましくは0.1Mのイオン強度;
および40%硫酸アンモニウム(または前述のような種々
の初期濃度)から0%硫酸アンモニウムまで減少する勾
配を使った溶出。
単一HIC段階を使用することができるが、少なくとも
2つのHIC副段階が好ましく、好ましくは異なるHIC支持
体(例えば、フェニルHICカラム上での分離に次いでエ
ーテルHICカラム上での分離)を使用する。しかしなが
ら、同一カラム(例えば、フェニルHICカラム)上での
2回の分離を使用することができる。既知の技術を使っ
て条件を調節して、所望の活性を有するタンパク質のピ
ークをイオン交換クロマトグラフィーにより精製された
画分中になお存在する別のタンパク質含有ピークから分
離するのに備えることができる。上記と同様、所望の活
性を含有する画分を集め、そしてそのような活性を含ま
ない画分から分離する。
疎水的相互作用クロマトグラフィーから得られた所望
の活性を含有する画分を、ゲル濾過(ゲル浸透クロマト
グラフィーとしても知られており、ゲル濾過HPLC技術を
包含する)にかける。純度がHIC後十分である場合、最
後のHICカラムからの溶出液をゲル濾過カラムに直接適
用することができる。純度はゲル電気泳動およびクーマ
シーブルー染色により測定され、そして少なくとも5
%、好ましくは少なくとも50%(存在するタンパク質の
重量による)であるべきである。しかしながら、所望の
レベルの純度がこの段階で達成されない場合、HIC溶出
液をゲル濾過前にイオン交換クロマトグラフィーにかけ
ることによって本発明の方法を実施することができる。
非効率的な発現系を使用した結果初期の細胞培地が他の
タンパク質と比較して比較的少量のgp120を含有する場
合、この段階において低純度が時折見られる。アンモニ
ウムイオン側基をもつ支持体を使用するHPLCイオン交換
クロマトグラフィーは、高い効能のアニオン交換樹脂を
用いるイオン交換または中圧クロマトグラフィー、例え
ばPharmaciaのQ−セファロース高性能クロマトグラフ
ィーがこの段階において必要である場合、特に好まし
い。
精製工程のこの時点において(すなわち、HICおよ
び、必要ならば第2イオン交換段階後)、除去され得る
不純物は大部分が低分子量不純物である。同じく、使用
する特定の材料および条件は特に制限されない。デキス
トラン、ポリアクリルアミドまたはアガロースゲルはす
べて使用することができる。10K〜500K、好ましくは50K
〜200Kの分子量分画範囲を典型的には選択する。HPLCと
ともに使われる特に好ましいカラムはSUPERDEX 200(Ph
armacia)である。それの使用条件は、典型的には0.1M
のリン酸ナトリウム、pH6.7である。ゲル排除クロマト
グラフィーは、中和抗体の形成の誘発に必要なエピトー
プの提示に悪影響を及ぼすとは思われない。
プロテインGのアフィニティー精製は、本法の任意の
段階において、例えばイオン交換クロマトグラフィー後
およびHIC前に実施して、当業界において知られている
ようにIgG汚染を減少または排除することができる。プ
ロテインGのアフィニティー精製を実施する適当な方法
は当業界において知られており、そしてアフィニティー
カラムは、例えばプロテインGセファロースファースト
フロー(Fast Flow)、Pharmaciaなどの使用を包含す
る。非限定的例により、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH
7を使用することができるが、任意の常用の緩衝液を使
用することができる。
前述の精製段階のすべてにおいて、分離段階により生
成した画分の収集および取り扱いの間を包含する、変性
を最小にするように条件を維持すべきである。したがっ
て、すべての溶液のpHは約4〜約9、好ましくは5〜8
の範囲であるべきである。イオン強度は、前述したよう
により高いことがある硫酸アンモニウムを除外して、0.
02〜0.5M(NaCl当量)、好ましくは0.05〜0.3Mであるべ
きである。温度は0〜25℃、好ましくは2〜8℃である
べきである。洗浄剤および有機溶媒は完全に回避すべき
である。
上記段階のいずれかにより得られた画分は、所望によ
り限外濾過または他の濃縮技術により濃縮して溶媒およ
び他の小分子を除去することができる。このような限外
濾過は、一般に、gp120ピークが数画分にわたって広が
る時に起こり得るように、分画工程がgp120含有画分を
希釈することがない限り、要求されない。
要約すると、前述の精製手順は、CD4結合が低下しな
いことを保証するために各新規段階後に試験することに
よって達せられた。タンパク質を変性条件、例えば逆相
および免疫アフィニティークロマトグラフィーに暴露し
うる段階は回避された。精製の多くは、硫酸アンモニウ
ムの存在下での2つの異なる疎水性樹脂へのgp120の強
い結合を活用することによって達成された。さらに、精
製されたタンパク質は、0.1MNaCl中で中性pHにおいて疎
水的様式で、名目上のゲル濾過樹脂であるSuperoseR12
に強く結合した。この挙動は、炭水化物の親水性および
gp120が50重量%以上炭水化物であるという事実から見
て幾分驚くべきことであった。
生産手順は、ここに記載するように、40Lスケール(4
0Lの培養上清を使用して出発する)で反復して実施し
た。この手順は、0.4Lから少なくとも200Lの細胞培養上
清の範囲の適当な大きさのカラムを使用する、より小ス
ケールおよびより大スケールでも使用した。生産物の収
率および純度はこの範囲のスケールに渡りほぼ一定であ
った。最近、細胞の生産は連続懸濁培養において実施さ
れている。この改良はgp120の大量生産を容易にする。
出発材料として回転瓶または連続培養上清を使った時、
ロット間での生産物の挙動の有意な差は検出されなかっ
た。
実際の精製方法の詳細な説明は下の実施例に記載す
る。本発明はその特定の実施例に限定されないが、その
実施例は本発明の範囲内に含まれる完全な分離のための
特定のパラメーターを示すことによって追加の手引を提
供する。
精製方法により生成されたgp120の特徴 本発明の方法により生成されたgp120糖タンパク質
は、クーマシーブルー染色を使用するSDSゲル電気泳動
により評価すると純粋であり、そしてCD4結合アッセイ
において完全な活性を保持する。ほぼ95%の純度のレベ
ルが推定される。ここで純度とは他のタンパク質の不存
在を意味する。なぜなら、純粋なgp120は、異なるgp120
分子で炭水化物含量に差があるために、不均質組成物で
あるからである。本発明の精製方法の生産物は、ウイル
ス源から得られるgp120の天然のコンホメーションと区
別することができないように思われる。精製されたgp12
0が本発明において得られる物質のコンホメーションを
有するかどうかを決定するために使用できるアッセイの
特定の例は、下の実施例に記載されている。一般に、こ
れらの試験は、CD4結合、ゲル濾過HPLC(酸化条件下と
還元条件下の両方)、およびgp120特異的抗血清との反
応を包含する。
他の研究者らは、ここに特定する以外の種々の技術に
より精製された組換えgp120がCD4レセプターへの結合親
和力の減少を示すことを報告している。この結合親和力
の減少の理由は確実には知られていないが、それは精製
の間の分子のコンホメーションの変化を表すと思われ
る。例えば、本発明者らがgp120について最初に試みた
1つの精製計画はアフィニティークロマトグラフィーお
よび逆相HPLCを使用した。その手順により精製された物
質はほぼ80%の純度であり、そしてgp120に特異的なモ
ノクローナル抗体を使ったELISAアッセイにおいて期待
した反応性レベルを示した。しかしながら、試験管内で
測定したCD4レセプターに対する結合活性はほぼ1/10に
下落した。本発明の系は、従来入手可能なgp120と同程
度の高さであるかあるいはそれより高い純度であると同
時に完全なCD4結合活性を保持しているgp120を提供す
る。さらに、この精製技術は穏当な収率の生産物を提供
し、そしてgp120の大量生産(数100mgまたはそれ以上の
範囲における)に適当である。アフィニティークロマト
グラフィーまたは逆相HPLCのいずれも必要とせず、従っ
てそれらの精製に関連するコンホメーション変化(高イ
オン強度および有機溶媒との接触により引き起こされ
る)を排除する。完全な活性はELISAおよびCD4レセプタ
ー結合アッセイにおいて観測された。精製された物質
は、本明細書中「コンホメーション保持されたgp120の
天然コンホメーション」と表示し、ウイルス粒子上に提
示されるとgp120と識別不可能であるように見える。
例えば、HIV-SF2から望まれるコンフォメーション保
持した組換えgp120は、ウイルスのHIV-SF2 gp120と識別
不可能であった。該タンパク質はSDSゲル上で非常によ
く似た移動度を有した。それらは、アッセイしたすべて
の血清に関して、免疫沈澱、ウエスタンブロット、およ
び固相捕捉アッセイにおいて同等の免疫反応性を示し
た。
精製されたタンパク質は還元または非還元SDSゲルに
おいて120Kの分子量を示した;よってポリペプチド鎖は
完全である。中性pHの非変性緩衝液中でのゲル濾過HPLC
は130Kの分子量推定値を与え、精製されたタンパク質が
これらの条件下では凝集する傾向が少ないことを示し
た。このタンパク質は、いくつかのカラム上での挙動に
より明らかなように、驚くべき疎水性の性質を有した。
CD4への組換えgp120の結合をゲル濾過HPLCアッセイに
おいて直接研究した。ウイルスgp120と同様、gp120はCD
4に高親和力および1:1の化学量論で結合した。このアッ
セイにより測定すると、精製されたgp120分子の少なく
とも90%がCD4に結合することができた。最後に、精製
されたタンパク質はCD4についてH6.9nMのKdを有する。
この値はウイルスのgp120および他の精製された調製物
のCD4レセプターへの結合について測定された親和力の
範囲内にある(Smithら、Science(1987)238:1704およ
びLaskyら、Cell(1987)50:975参照)。
精製のためのgp120源 本発明の広い局面は、gp120分子を含有する源媒質を
調製する段階を包含する。組換え技術によるgp120の調
製はどこかに記載されており、例えば本明細書の背景の
項目において挙げた刊行物およびそれらの中に引用され
た刊行物中に記載されている。本発明の技術は、異なる
gp120分子を生産する異なるHIV単離物からの遺伝物質を
含有する、種々の細胞系からのgp120順化培地に適用さ
れた。非組換え源からのgp120を使用することもできる
(例えば、ウイルスに感染した細胞系)。gp120の特定
の源を下の実施例において同定し、そしてgp120の発現
のための細胞培養の一般的説明を下記に記載するが、本
発明はこのような源に限定されない。
SF2-gp120は、本発明の精製方法を開発するためのモ
デルとして働いた。幾つかの他のクローン化gp120遺伝
子は、HIV-1の他の単離物並びにgp120遺伝子の試験管内
突然変異誘発により作られた幾つかの変形について入手
可能である。例えば、15の異なるHIV-1単離物(SF2,HXB
2,BRU,MN,SC,NY5,CDC4,WMJ2,RF,MAL,ELI,Z96,Z3,Z321,
およびJY1)からのクローン化遺伝子によりコードされ
るアミノ酸の完全配列は、Myersら、Human Retroviruse
s and Aids,1990(1990),Los Alamos,New Mexco:Los A
lamos National Laboratoryに報告されており、その開
示全体をここに引用によって加える。7つの配列(それ
らのうちの6つは90/02568に示されるものと異なる)
は、Modrowら、J.Virol.(1987)61:570-578に示されて
いる。Srinivasanら、Gener(1987)52:71-82は、ザイ
ールにおいて単離された追加のHIV-1単離物の配列を報
告している。これらの刊行物の両者もここに引用によっ
て加える。今日までの本発明者らの経験は、配列および
アミノ酸組成がSF2-gp120とかなり異なることがあるけ
れども、本明細書に記載の方法が他の単離物からのgp12
0タンパク質並びに該遺伝子の突然変異形に使用できる
ことを示した。
組換え源に加えて、gp120の天然ウイルス源を使用す
ることができる。HIVを保有する細胞系は、アメリカン
・タイプ・カルチャー・コレクション(the American T
ype Culture Collection)(米国メリーランド州ロック
ビル)から入手可能である(ATCC CRL8543)。この細胞
系は米国特許4,520,113号に記載されている。他のウイ
ルス単離物は、Tersmetteら、J.Virol.(1988)62:2206
-2032およびPopovicら、Science(1984)224:497-500に
記載されている。
組換え源は、生産が容易であり且つ活性HIV-1ウイル
スによる感染の危険を回避するので好ましい。全長の組
換えgp120は、多数の既知発現系のいずれかを使用して
調製することができる。すべてのこのような系は成熟gp
120のアミノ酸のすべてをコードする指令を含有するで
あろう(例えば、SF2中のenv遺伝子のアミノ酸30または
31〜509)。
HIV gp120核酸配列は、組換えDNA法により、例えばmR
NAの逆転写物をスクリーニングすることにより、あるい
は任意の細胞からのゲノムライブラリーをスクリーニン
グすることにより得ることができる。該DNAは、発表さ
れた配列から常用技術およびDNA合成装置を使ってDNAを
合成することにより得ることができる。ユニーク制限部
位をDNAの調製時に導入することができ、それによって
そうでなければ天然源中に存在しない制限部位を含有す
るベクター中での遺伝子の使用を促進するため、合成が
有利であろう。さらに、DNA中の任意の所望の部位の修
飾を、突然変異誘発によりDNAを更に修飾する必要なし
に、合成により導入することができる。
一般に、新規株からのHIV gp120ポリペプチドをコー
ドするDNAは、野外または実験室単離物から得られたmRN
AからcDNAライブラリーを作製し、そして(1)cDNAラ
イブラリー中の相同配列を含有するクローンを検出する
ために、エンベロープタンパク質の部分をコードする標
識DNAプローブを用いてスクリーニングし、あるいは
(2)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用してcDNAを
増幅し、そして標識DNAプローブを用いてサブクローニ
ングおよびスクリーニングすることにより得ることがで
きる。次いで、クローンを制限酵素分析および核酸配列
決定により分析して全長のクローンを同定し、全長のク
ローンが該ライブラリーの中に存在しない場合には、適
当な断片を種々のクローンから回収し、そしてクローン
に共通の制限部位でそれらを連結して、全長の分子をコ
ードするクローンを構築する。DNAプローブは、付随の
実施例に記載する遺伝物質から調製することができる。
HIV gp120 cDNAの5′末端から失われている配列は、鋳
型としてmRNAを使用してHIV gp120配列に相補的な合成
オリゴヌクレオチドの3′伸長(いわゆるプライマー伸
長)により得るすることができ、あるいは相同性配列を
既知のcDNAから供給することができる。
本発明の方法による精製のためのgp120の生産は、特
記しない限り、当業者の技術の範囲内の従来の分子生物
学、微生物学および組換えDNA技術を使用するであろ
う。このような技術は文献中に詳細に記載されている。
例えば、Maniatis,Fritsch & Sambrook,“Molecular
Cloning:A Laboratory Manual"第2版(1989);“DNA
Cloning:A Practical Approach,"Vol.IおよびII(D.N.
Glover編、1985);“Oligonucleotide Synthesis"(M.
J.Gait編、1984);“Nucleic Acid Hybridization"
(B.D.Hames & S.J.Higgins編、1985);“Transcri
ption And Translation"(B.D.Hames & S.J.Higgins
編、1984);“Animal Cell Culture"(R.I.Freshney
編、1986);“Immobilized Cells And Enzymes"(IRL
Press,1986);B.Perbal,“A Practical Guide To Molec
ular Cloning"(1984)を参照のこと。
本発明の方法による精製のための組換えgp120の調製
に使用する遺伝物質の説明において、次の用語を下に記
載する定義に従い使用する。
「レプリコン」は、生体内の自己DNA複製単位として
機能する、すなわち、それ自身の支配下で複製すること
ができる、遺伝要素(例えば、プラスミド、染色体、ウ
イルス)である。
「ベクター」は、他のDNAセグメントを取り付けて、
取り付けられたセグメントの複製を引き起こすことがで
きるレプリコン、例えばプラスミド、ファージまたはコ
スミドである。
「DNA分子」は、一本鎖形態または二本鎖らせんのデ
オキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミジ
ンおよび/またはシトシン)の重合形態を言う。この用
語は分子の一次および二次構造のみに対して言及し、そ
れを特定の三次形態に限定しない。従って、この用語
は、特に直鎖状DNA分子(例えば、制限断片)、ウイル
ス、プラスミドおよび染色体の中に見いだされる二本鎖
DNAを包含する。特定の二本鎖DNA分子の構造を論じる際
には、配列はDNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに相同的
な配列を有する鎖)に沿って5′→3′方向において配
列を与える通常の慣習に従い記載することができる。
DNA「コード配列」は、適当な調節配列の支配下に置
かれたとき、生体内で転写されポリペプチドに翻訳され
る二本鎖DNA配列である。コード配列の境界は、5′
(アミノ)末端の開始コドンおよび3′(カルボキシ)
末端の翻訳終結コドンにより決定される。コード配列は
次のものを包含することができるが、これらに限定され
ない:原核生物の配列、真核生物のmRNAからのcDNA、真
核生物(例えば哺乳動物)のDNAからのゲノムDNA配列、
ウイルスDNA、および更には合成DNA配列。ポリアデニル
化シグナルおよび転写終結配列は、通常、コード配列の
3′側に位置するであろう。
転写および翻訳調節配列は、DNA調節配列、例えばプ
ロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、
ターミネーターなどであり、これらは宿主細胞における
コード配列の発現に備える。
「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼ
と結合し、そして下流(3′方向)のコード配列の転写
を開始させることができるDNA調節領域である。本発明
を定義する目的上、プロモーター配列は3末端では転写
開始部位に境を接しており(包含的に)そして上流
(5′方向)には、バックグラウンドより上の検出可能
なレベルにおいて転写を開始するために必要な最小の数
の塩基または要素を包含する。プロモーター配列内に
は、転写開始部位(便利には、ヌクレアーゼS1でマッピ
ングすることによって定められる)、並びにRNAポリメ
ラーゼ結合の原因となるタンパク質結合領域(共通配
列)が見いだされるだろう。真核プロモーターは、常に
ではないが、しばしば、「TATA」ボックスおよび「CA
T」ボックスを含む。
コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNA
に転写し、次いでこれがコード配列によりコードされる
タンパク質に翻訳される時、細胞中で転写および翻訳調
節配列の「支配下に」ある。
「シグナル配列」は、コード配列の前に含まれること
ができる。この配列は、ポリペプチドのN末端にあるシ
グナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドは宿
主細胞と共同してポリペプチドを細胞表面に差し向ける
かまたはポリペプチドを媒質中に分泌させ、そしてこの
シグナルペプチドはタンパク質が細胞を離れる前に宿主
細胞により切り取られる。シグナル配列は原核生物およ
び真核生物に生来ある種々のタンパク質と関連して発見
することができる。例えば、生来の酵母菌タンパク質で
あるα因子は酵母菌から分泌され、そしてそのシグナル
配列は媒質中に分泌させようとする異種タンパク質に取
り付けることができる(米国特許第4,546,082号、EPO 0
116 201号、1983年1月12日公開)。さらに、α因子お
よびその類似体は、種々の酵母菌、例えばサッカロミセ
ス(Saccharomyces)およびクルイベロミセス(Kluyber
omyces)から異種タンパク質を分泌させることが発見さ
れている(EPO 8831206.9号、1988年12月23日出願;EPO
0 324 274号、およびEPO公開番号0 301 669号、1989年
2月1日公開)。哺乳動物細胞における使用例は、第VI
IIc因子軽鎖の発現に使用するtPAシグナルである。
外因性または異種DNAが細胞の内側に導入されたと
き、細胞はこのようなDNAにより「形質転換」されてい
る。形質転換するDNAは、細胞のゲノムを構成する染色
体DNA中に組み込まれ(共有結合される)ても組み込ま
れなくてもよい。例えば、原核生物では、形質転換する
DNAはエピソーム要素、例えばプラスミドまたはウイル
スのベクター上に維持され得る。BPVにより形質転換さ
れた細胞は安定であり、そしてエピソームのままであ
る。真核細胞については、安定に形質転換された細胞
は、形質転換するDNAが染色体の複製を通して娘細胞に
より遺伝されるように染色体中に組み込まれるようにな
る細胞である。この安定性は、形質転換するDNAを含有
する娘細胞の集団から構成された細胞系またはクローン
を確立する真核細胞の能力により実証される。「クロー
ン」は、単一細胞または共通の祖先からの有糸分裂によ
り誘導される細胞の集団である。
「細胞系」は、多数の世代に渡り試験管内で安定に増
殖することができる一次細胞のクローンである。
2つのDNA配列が、ヌクレオチドの少なくとも約85%
(好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なく
とも約95%)がDNA配列の定められた長さにわたって合
致するとき、「実質的に相同」である。実質的に相同で
ある配列は、例えば特定の系について定められたような
緊縮条件下で、サザンハイブリダイゼーション実験にお
いて同定することができる。適当なハイブリダイゼーシ
ョン条件を定めることは当業者の技量の範囲内である。
例えば、Maniatisら、前掲;DNA Cloning,Vol.I &II,
前掲;Nucleic Acid Hybridization,前掲を参照のこと。
DNA構成物の「異種」領域は、天然では大分子に関連
して見いだされないような、より大きいDNA分子内のDNA
の同定可能なセグメントである。異種領域が哺乳動物遺
伝子をコードするとき、該遺伝子は通常、起源生物のゲ
ノム中では哺乳動物ゲノムDNAを隣接しないDNAによって
隣接されるだろう。異種コード配列の他の例は、コード
配列それ自体が天然に見いだされない構成物(例えば、
ゲノムコード配列がイントロンを含有するcDNA、または
生来の遺伝子と異なるコドンを有する合成配列)であ
る。対立遺伝子変異型または天然に存在する突然変異の
現象は、ここに定義するDNAの異種領域を引き起こさな
い。
「A」を含んで成る組成物(ここで「A」は単一のタ
ンパク質、DNA分子、ベクターなどである)は「B」
(ここで「B」は1または複数の汚染タンパク質、DNA
分子、ベクターなどである)を実質的に含有しない時に
は、組成物の中のタンパク質、DNA、ベクター(Aおよ
びBが属する種のカテゴリーに依存する)の少なくとも
約75%が「A」である。好ましくは、「A」は組成物中
においてA+B種の少なくとも約90重量%、最も好まし
くは少なくとも99重量%である。また、汚染物質を実質
的に含有しない組成物は、着目の種の活性または特性を
有する単一分子量種(糖タンパク質のポリペプチド部
分、例えば、gp120に関して)のみを含有することが好
ましい。
「抗体」は特異的エピトープに結合する任意の免疫グ
ロブリンであり、抗体およびその断片を包含する。この
用語は、なかでも、ポリクローナル抗体、モノクローナ
ル抗体およびキメラ抗体を包含する。キメラ抗体につい
ては、米国特許第4,816,397号および米国特許第4,816,5
67号を参照のこと。
それ以上のプロセシング用の大量のDNAの調製(クロ
ーニングベクター)またはHIV gp120遺伝子ポリペプチ
ドの発現(発現ベクター)のため、HIV gp120遺伝子ポ
リペプチドをコードするDNAの操作を簡素化するのにベ
クターが使われる。ベクターは、プラスミド、ウイルス
(ファージを包含する)、および組み込み可能なDNA断
片、すなわち組換えにより宿主ゲノム中に組み込まれる
断片を含む。クローニングベクターは発現調節配列を含
む必要はない。しかしながら、発現ベクター中の調節配
列は、転写および翻訳調節配列、例えば、転写プロモー
ター、適当なリボソーム結合部位をコードする配列、お
よび転写および翻訳終結の調節配列を含む。発現ベクタ
ーは、好ましくはHIV gp120遺伝子の安定な発現を促進
するためおよび/または形質転換体を同定するため選択
遺伝子を含むであろう。しかしながら、発現を維持する
ための選択遺伝子は、真核宿主細胞を使った同時形質転
換方式において別個のベクターにより供給することがで
きる。
適当なベクターは、一般に、レプリコン(複製開始
点、非組込み型ベクターにおいて使用する)および意図
する発現宿主と適合性である種から誘導された調節配列
を含有するであろう。用語「複製可能な」ベクターと
は、本明細書中で使用するとき、そのようなレプリコン
を含有するベクター並びに宿主ゲノムの中への組み込み
により複製されるベクターを包含することを意図する。
形質転換された宿主細胞は、HIV gp120遺伝子をコード
するDNAを含有するベクターにより形質転換またはトラ
ンスフェクションされた細胞である。発現されたHIV gp
120は、発現されるペプチド中の適当なプロセシングシ
グナル、例えば同種または異種シグナル配列の支配下
で、培養上清中に分泌されるであろう。分泌されたタン
パク質のみが完全にグリコシル化され、そして完全にCD
4結合を行うことができる。Fennieら、J.Virol.(198
9)63:639-646参照。
宿主細胞のための発現ベクターは、通常、複製開始
点、HIV gp120遺伝子コード配列の上流に置かれたプロ
モーター、並びにリボソーム結合部位、ポリアデニル化
部位、および転写停止配列を含む。当業者は、これらの
配列のあるものがある種の宿主中での発現には必要でな
いことを認識するだろう。微生物と共に使用する発現ベ
クターは、宿主により認識される複製開始点、宿主中で
機能するプロモーター、および選択遺伝子を含有するこ
とのみを必要とする。
汎用されるプロモーターは、ポリオーマ、ウシ乳頭腫
ウイルス、CMV(ウシまたはヒトのいずれかのサイトメ
ガロウイルス)、ラウス肉腫ウイルス、アデノウイル
ス、およびシミアンウイルス40(SV40)に由来する。他
の調節配列(例えば、ターミネーター、ポリA、エンハ
ンサーまたは増幅配列)を使用することもできる。
発現ベクターは、HIV gp120遺伝子コード配列が適当
な調節配列と共にベクター中に置かれるように作製さ
れ、調節配列に関するコード配列の位置および向きは、
コード配列が調節配列の「支配」下に転写および翻訳さ
れるようなものである(すなわち、調節配列のところで
該DNA分子に結合するRNAポリメラーゼがコード配列を転
写する)。調節配列は、ベクター、例えば前述のクロー
ニングベクター中への挿入の前に、コード配列に連結せ
しめることができる。あるいは、調節配列および適当な
制限部位を既に含有する発現ベクターの中にコード配列
を直接クローニングすることができる。選択した宿主細
胞が哺乳動物細胞である場合、調節配列はHIV gp120遺
伝子コード配列に対して同種または異種であることがで
き、そしてコード配列はイントロンを含有するゲノムDN
AまたはcDNAであることができる。
高等真核細胞を脊椎動物または無脊椎動物細胞(昆虫
を含む)のいずれにせよ使用することができ、そしてそ
れらの増殖方法は知られている。例えば、Tissue Cultu
re,Academic Press,KruseおよびPatterson編(1973)を
参照のこと。
高等真核生物中でHIV gp120遺伝子を発現せしめるの
に適当な宿主細胞としては、次のものが揚げられる:SV4
0により形質転換されたサル腎臓CVI系(COS-7,ATCC CRL
1651);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK,ATCC CRL1
0);チャイニーズハムスター卵巣細胞−DHFR(Urlaub
およびChasin,PNAS(USA)77:4216(1980)に記載され
ている);マウスセルトーリ細胞(TM4;Mather,J.P.,Bi
ol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CVI
ATCC CCL 70);アフリカミドリサル腎臓細胞(VER076,
ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA,ATCC CCL
2);イヌ腎臓細胞(MDCK,ATCC CCL34);バッファロラ
ット肝細胞(BRL3A,ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W13
8、ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB8065);マウ
ス乳癌(MMT 060652,ATCC CCL 51);ラット肝癌細胞
(HTC,M1;54、Baumann,M.ら、J,Cele Biol.85:1-8(198
0))およびTRI細胞(Mather,J.P.ら、Annals N.Y.Aca
d.Sci.383:44-68(1982))。
哺乳動物組織中で発現される時、組換えHIV gp120遺
伝子産物がグリコシル化のためにより高い分子量を有す
ることがあることは理解されるであろう。したがって、
120kDと多少異なる分子量を有するHIV gp120の部分的ま
たは完全なグリコシル化形態は本発明の範囲内にある。
他の好ましい発現ベクターは真核系において使われる
ものである。真核発現系の例は、この分野においてよく
知られているワクシニアウイルスを使用する系である。
例えば、Macketら(1984)J.Viro.49:857;“DNA Clonin
g,"Vol.II,pp.191-211,前掲;PCT公開番号W086/07593を
参照のこと。酵母発現ベクターは当業界において周知で
ある。例えば、米国特許第4,446,235号、米国特許第4,4
43,539号;米国特許第4,430,428号;欧州特許公開番号1
03,409号;同100,561号;同96,491号を参照のこと。他
の好ましい発現系は、チャイニーズハムスター卵巣細胞
を形質転換するベクターpHSlである。PCT公開番号W087/
02062号を参照のこと。哺乳動物組織は選択可能なマー
カー、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)または
チミジンキナーゼをコードするDNAとHIV gp120をコード
するDNAとで同時形質転換せしめることができる。野生
型DHFR遺伝子を使用する場合、DHFR欠損であって従って
ヒポキサンチン、グリシンおよびチミジンを欠くhgt培
地中での好結果のトランスフェクションのためのマーカ
ーとしてDHFRコード配列の使用を可能にするような宿主
細胞を選択することは好ましい。この場合において適当
な宿主細胞はDHFR活性を欠損するチャイニーズハムスタ
ー卵巣(CHO)細胞系であり、これはUrlaubおよびChasi
n,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4216に記載さ
れているようにして調製されそして増殖される。
選択した発現系および宿主に依存して、HIV gp120
は、外因性または異種のDNA構成物、例えば前述の発現
ベクターにより形質転換された宿主細胞を、HIV gp120
タンパク質が発現される条件下で増殖させることによっ
て生産される。次いで、HIV gp120を宿主細胞から分離
し、そして精製する。発現系がHIV gp120遺伝子を増殖
培地中に分泌する場合、前述したように無細胞培地から
タンパク質を直接精製することができる。適当な増殖条
件および初期の粗製物回収法の選択は、当業者の技量の
範囲内である。
HIV gp120のコード配列がいったん調製または単離さ
れれば、それを任意の適当なベクターの中にクローニン
グし、これによりHIV gp120遺伝子コード配列を含有し
ない細胞を実質的に含まない(例えば、他のライブラリ
ークローンを含まない)細胞の組成物中で維持すること
ができる。多数のクローニングベクターが当業者に既知
である。クローニング用の組換えDNAベクターおよびそ
れらが形質転換することができる宿主細胞としては、種
々のバクテリオファージλベクター(E.コリ)、pBR322
(E.コリ)、pACYC177(E.コリ)、pKT230(グラム陰性
菌)、pGV1106(グラム陰性菌)、pLAFR1(グラム陰性
菌)、pME290(非E.コリグラム陰性菌)、pHV14〔E.コ
リおよびバシラス・ザブチリス(Bacillus subtili
s)〕、pBD9(バシラス)、pIJ61〔ストレプトマイセス
Streptomyces)〕、pUC6(ストレプトマイセス)、ア
クチノファージ、fC31(ストレプトマイセス)、YIpS
(サッカロミセス)、YCp19(サッカロミセス)、およ
びウシ乳頭腫ウイルス(哺乳動物細胞)が揚げられる。
一般に、DNA Cloning:Vol.I&II,前掲;T.Maniatisら、
前掲;B.Perbal,前掲を参照のこと。
開裂部位の挿入のための部位特異的突然変異誘発(必
要な時)は、所望の突然変異を示す限定されたミスマッ
チ以外は、突然変異誘発しようとする一本鎖ファージDN
Aに相補的である合成オリゴヌクレオチドからなるプラ
イマーを使って行われる。簡単に述べると、合成オリゴ
ヌクレオチドをプライマーとして使用してファージに相
補的な鎖の合成を指令し、そして生じた二本鎖DNAをフ
ァージ保持宿主細菌中に形質転換せしめる。形質転換さ
れた細菌の培養物をトップアガー中に塗抹し、ファージ
を収容する単一細胞からのブラーク形成を可能にする。
理論的には、新しいプラークの50%は、一本鎖とし
て、変異形態を有するファージを含むであろう;50%は
もとの配列を有するであろう。得られたプラークを、正
確な合致のハイブリダイゼーションを可能にするが、も
との鎖との不一致がハイブリダイゼーションを防ぐのに
十分である温度で、リン酸化された合成プライマーとハ
イブリダイズせしめる。次いで、プローブとハイブリダ
イズするプラークを取り上げ、培養し、そしてDNAを回
収する。
タンパク質の中への非天然アミノ酸の部位特異的組り
込みのための一般的方法は、Christopher J.Noren,Spen
cer J.Anthony-Cahill,Michael C.Griffith,Peter G.Sc
hultz(1989年4月),Science,244巻、182-188頁に記載
されている。この方法を使用して、非天然アミノ酸をも
つ類似体をつくることができる。
本発明の精製方法は、哺乳動物細胞の増殖に典型的に
使用される、ウシ胎児血清を含有する細胞培地上で実施
することができるけれども、比較的少量のFCSを含有す
る細胞培地を使用することが好ましい。例えば、gp120
遺伝子を含有するプラスミド構成物によりトランスフェ
クトされたCOS細胞をgp120源として使用することができ
る。このようなgp120を一時的に発現する細胞は、抗生
物質、ピルビン酸ナトリウム、グルタミンおよび1%
(通常の5〜6%の代わりに)のウシ胎児血清を含有す
るかまたは含有しないダルベッコ改良必須培地(DMEM)
中で増殖させることができる。トランスフェクション後
様々な時間間隔からプールした細胞培地を本発明の精製
方法にかけることができる。
gp120の発現のために本発明者らが実験的に使用した
発現糸は、1987年12月24日出願の米国特許出願第138,89
4号(その開示をここに引用によって加える)に詳しく
記載されている。使用した特定のベクターはpCMV6a120-
SF2(米国特許出願第138,894号ではpCMV6ARV120tpaと呼
ばれている)およびAd-dhfrと表示する。それらのベク
ターを使用してCHO細胞系をトランスフェクトせしめ、C
HO-A-6a120-145-0.1-22と命名されたgp120生産者を得
た。他の技術により調製される他のgp120産生物を上回
る利点は、この細胞系の使用において認められない。
粗製形態のgp120の産生に使用される、特定の方法、
細胞系、または遺伝単離物は任意の他の技術よりも好ま
しいと思われないことを認識すべきである。本発明の精
製技術は、全長のグリコシル化された非融合gp120を含
有する任意の源から、コンホメーション保持されたgp12
0を生産するであろうことが期待される。下の実施例の
項目におけるgp120生産に関する特定の実施例は、多く
の場合便宜のためにのみなされた決定から生ずる。特定
の遺伝物質、細胞系、増殖条件などは、発明者らに最も
良く知られておりかつ容易に入手可能であるものから選
択され、そして本発明者らは特定の文献に記載されてい
るかまたは後で開発される任意のgp120源を本発明の精
製方法の実施において等しく良好に使用できると思う。
gp120/CD4結合の標準物として使用されるCD4ペプチド源 gp120組成物が本明細書に記載の結合特性を有するか
どうかを試験するために有用であるCD4分子は、天然源
からの分離を包含する種々の方法で、および遺伝子操作
の技術により調製することができる。gp120分子に結合
することができる可溶性ヒトCD4断片は、PCT出願第8903
222号(1989年4月20日公開および1988年10月5日出
願)に記載されている。gp120結合を示す修飾されたCD4
分子は、PCT出願第8902922号(1989年4月6日公開およ
び1988年10月3日出願)に記載されている。下の実施例
において使用するCD4の調製において源として使用する
細胞系に類似したCD4分泌細胞系は、ERCバイオサービス
・コーポレーション(BioService Corporation)、米国
メリーランド州20850ロックビル、ロフトランドレーン6
49Aから入手することができ、そしてAIDS Research and
Reference Reagent Program Catalogue、1990年1月
版、U.S.D.H.H.S.のNational Institutes of Health発
行に、細胞系CHO ST4.2として記載されている。CD4の他
の源および精製技術は、例えば、Smithら、Science(19
87)238:1704-1707;Laskyら、Cell(1987)50:975-985;
Maddonら、Cell(1985)42:93-104;およびLittmanら、N
ature(1987)325:453-455に記載されている。細胞培地
からのCD4の精製は、典型的には、固体支持体、例えば
セファロース4BにカップリングしたコンカナバリンAへ
のCD4(および他の炭水化物含有分子)の結合に次いで
イオン交換クロマトグラフィーを包含する。CD4分子特
異的なモノクローナル抗体を使用するアフィニティーク
ロマトグラフィーによる更なる精製を所望により実施す
ることができる。gp120とは異なり、CD4を精製するのに
アフィニティークロマトグラフィーを使用する際に問題
は全くない。
本発明のgp120の用途 本発明のコンホメーション保持されたgp120の重要な
用途の1つはワクチンとしてであるが、多数の他の利用
法もまた存在する。例えば、コンホメーション保持され
たgp120は、CD4分子に対するgp120分子上の結合部位が
ぴったり合う抗id抗体の調製においてとくに有用であ
る。他の用途としては、HIV-1ウイルス粒子の存在につ
いての競争結合アッセイにおける標準物としての用途が
挙げられる。事実、本発明のgp120糖タンパク質は、従
来入手可能なgp120分子が使用されている任意の方法に
おいて使用することができるが、それがウイルス粒子中
に天然に見いだされる形態のgp120とより近似している
だろう。
本発明のgp120組成物の1つの明らかな有用性は、HIV
ポリペプチドに対する抗HIV抗体、特に抗gp120抗体およ
びウイルスgp120についてのイムノアッセイにおける有
用性である。イムノアッセイの設計はこの分野において
かなりの変形を受ける。従って次の説明は単に例示であ
り、限定的ではない。しかしながら、一般的には、米国
特許第4,743,678号、米国特許第4,661,445号および米国
特許第4,753,873号並びにEPO公開第181,150号およびEPO
公開第216,191号を参照のこと。
ウイルスgp120についてのイムノアッセイは、例え
ば、ウイルスのエピトープに対して向けられたモノクロ
ーナル抗体、ウイルスgp120のエピトープに対して向け
られたモノクローナル抗体の組み合わせ、ウイルスgp12
0のエピトープに対して向けられたポリクローナル抗
体、またはモノクローナル抗体とポリクローナル抗体と
の組み合わせを使用することができる。
イムノアッセイのプロトコルは、例えば、組成、直接
反応、またはサンドイッチ型アッセイに基づくことがで
きる。プロトコルはまた、例えば、不均一であって固体
の支持体を使用することができ、あるいは均一であって
溶液中の免疫反応を伴うことができる。大部分のアッセ
イは標識された抗体またはポリペプチドの使用を伴っ
た。標識は、例えば、蛍光性、化学発光性、放射性、ま
たは染色性の分子であることができる。プローブからの
シグナルを増幅するアッセイも知られている。そのよう
なアッセイの例は、ビオチンとアビジンを利用するも
の、並びに酵素標識および酵素媒介イムノアッセイ、例
えばELISAアッセイである。
典型的には、抗HIV抗体のイムノアッセイは、試験試
料、例えば生物学的試料を選択および調製し、次いでそ
れを本発明のgp120組成物と共に、抗原−抗体複合体の
形成を可能にする条件下でインキュベートすることを包
含するであろう。そのような条件は当業者で公知であ
る。例えば、不均一形式では、gp120を固体支持体に結
合させ、インキュベーション後の試料とポリペプチドと
の分離を促進する。使用できる固体支持体の例として
は、膜またはマイクロタイターウエルの形態のニトロセ
ルロース、シートまたはマイクロタイターウエルの形態
のポリ塩化ビニル、ビーズまたはマイクロタイタープレ
ートの形態のポリスチレンラテックス、ImmobulonRとし
て知られているポリフッ化ビニリデン、ジアゾ化紙、ナ
イロン膜、活性ビーズ、およびプロテインAビーズが挙
げられる。最も好ましくは、ダイナテック社のImmulonR
1マイクロタイタープレートまたはPrecision Plastic
Ballにより仕上げられた0.25インチのポリスチレンビー
ズであるSpecが不均一形式において使われる。典型的に
は、固体支持体を試験試料から分離後に洗浄する。他
方、均一形式では、試験試料を溶液中でgp120抗原と共
に、当業界で知られているように、形成される抗原−抗
体複合体を沈澱させるような条件下でインキュベートす
る。次いで、沈澱した複合体を例えば遠心により試験試
料から分離する。次いで、抗HIV抗体を含む複合体を任
意の数の技術により検出する。形式に依存して、複合体
は標識した抗異種間Igで検出することができ、あるい
は、競合形式を使用する場合には、結合した標識競合抗
体量を測定することにより検出することができる。
ウイルスgp120ポリペプチドが分析物であるイムノア
ッセイでは、試験試料、典型的には生物学試料を、抗原
−抗体複合体の形成を可能にする条件下で、抗gp120抗
体と共にインキュベートする。種々の形式、例えば「サ
ンドイッチ」アッセイを使用することができる。このサ
ンドイッチアッセイでは、固体支持体に結合させた抗体
を試験試料と共にインキュベートし、洗浄し、該分析物
に対する第2の標識抗体と共にインキュートし、そして
支持体を再び洗浄する。第2抗体が支持体に結合するか
どうかを決定することによって分析物を検出する。競争
形式では通常(不均一または均一であることができ
る)、試験試料を抗体および標識競争抗原と共に、順次
または同時にインキュベートする。
ワクチンにおいて使用するとき、本発明のgp120糖タ
ンパク質は、しばしば「サブユニット」ワクチンと呼ば
れる。なぜなら、gp120はHIVウイルスのサブユニットで
あるからである。それ自体、本発明のgp120糖タンパク
質は生産の安全性およびコストの点から従来のワクチン
を上回る有意な利点を有する;しかしながら、サブユニ
ットワクチンは全ウイルスワクチンより免疫原性がしば
しば低く、そして病気の予防においてそれらの完全な効
力に到達するために、有意な免疫刺激能力をもつアジュ
バントが必要であると予想される。しかしながら、今日
までに試験した全アジュバントが、本発明のコンホメー
ション保持されたgp120と共に使用すると、多種単離物
中和抗体の形成を誘発する能力を示すので、特定のアジ
ュバントは本発明のより広い面の部分を構成しない。し
かしながら、ある種のアジュバントは、それら自身のも
つ有利な性質のために好ましい。
現在、米国においてヒトへの使用が認可されている唯
一のアジュバントはアルミニウム塩(明礬)である。そ
れらのアジュバントは、B型肝炎、ジフテリア、ポリ
オ、狂犬病およびインフルエンザを包含する幾つかのワ
クチンに有用である。
完全フロイントアジュバント(CFA)は、実験的基準
において多数の抗原とともに好結果に使用されている強
力な免疫刺激剤である。CFAは、鉱油、乳化剤、例えばA
rlacel A、および死ミコバクテリア、例えば、ヒト型結
核菌(Mycobacterium tuberculosis)から構成されてい
る。水性抗原溶液をこれらの成分と混合して油中水型乳
剤をつくる。しかしながら、CFAは深刻な副作用、例え
ば痛み、膿瘍形成および熱を引き起こし、このためヒト
または獣医学用ワクチンにおいてその使用が妨げられ
る。副作用は主としてCFAのミコバクテリア成分に対す
る患者の反応のためである。
不完全フロイドアジュバント(IFA)は細菌成分をも
たないCFAに類似する。米国では使用が認可されていな
いが、IFAは他国で幾つかの型のワクチンに利用されて
いる。IFAはヒトのインフルエンザおよびポリオワクチ
ンで、並びに幾つかの動物ワクチン、例えば、狂犬病、
イヌのジステンパーおよび口蹄疫ワクチンで好結果に使
用されている。IFA中に使用される油および乳化剤は共
にマウスにおいて腫瘍を引き起こすことが実験から明ら
かになり、ヒトへの使用には代替アジュバントが良い選
択であることを指摘している。
ムラミルジペプチド(MDP)は、CFAを使って観察され
るアジュバント活性を発生する、ミコバクテリアの細胞
壁複合体の最小単位を表す〔Ellouzら(1984)Biochem.
Biophys.Res.Comm.,59:1317を参照のこと〕。MDPの多数
の合成類似体が作製されており、これらは広範囲のアジ
ュバント効力および副作用を示す〔Chedidら(1978)Pr
og.Allergy,25:63に概説されている〕。ワクチンアジュ
バントとして特に有用であるだろう3つの類似体は、MD
Pのスレオニル誘導体〔Byarsら(1987)Vaccine,5:223
参照〕、MDPのn−ブチル誘導体〔Chedidら(1982)Inf
ect.and Immun.,35:417参照〕、およびムラミルトリペ
プチドの親油性誘導体〔Gislerら(1981)Immunomodula
tions of Microbial Products and Related Synthetic
Compounds,Y.ヤマムラおよびS.コタニ編、Excerpta Med
ica,アムステルダム,p.167参照〕である。これらの化合
物は、体液性および細胞性免疫を効果的に刺激し、そし
て低レベルの毒性を示す。
MDPの1つの有望な親油性誘導体は、N−アセチルム
ラミル−L−アラニル−D−イソグルタミル−L−アラ
ニン−2−〔1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3
−(ヒドロキシホスホリルオキシ)〕エチルアミド(MT
P-PE)である。このムラミルペプチドは該分子の疎水性
部分と脂性環境との会合を可能にするリン脂質テールを
有する一方、ムラミルペプチド部分は水性環境と会合す
る。よって、MTP-PEそれ自体は、安定な水中油型乳剤を
生成する乳化剤として作用することができる。
マウスにおける実験では、MTP-PEは単純ヘルペス(He
rpes Simplex)ウイルスgD抗原に対する抗HSV gD抗体価
を刺激するアジュバントとして有効であることが示され
ており、そしてMTP-PEおよびgDが水溶液よりむしろ油
(IFA)中で供給された場合、その効力が大幅に改良さ
れた。IFAはヒトへの使用が許可されないので、MTP-PE
および抗原のための他の油供給系が研究されている。4
%スクアレン、0.008%Tween80およびHSVgDの乳剤は、
モルモットにおいて非常にすぐれた結果を与えた。この
製剤MTP-PE-LO(低油分)を皮下注射針に通過させて乳
化すると非常に不安定であった。それにもかかわらず、
MTP-PE-LOはモルモットにおいて高い抗体価、および免
疫処置モルモットのHSVチャレンジにおいて優れた保護
を与えた〔Sanchez-Pescadorら(1988)J.Immunology,1
41:1720-1727およびTechnological Advances in Vaccin
e Development(1988)Laskyら編、Alan R.Liss,Inc.,
p.445-469を参照のこと〕。MTP-PE-L0製剤は、モルモッ
トにおいて酵母生産HIVエンベロープタンパク質に対す
る免疫反応を刺激するのにも有効であった。ELISA抗体
価およびウイルス中和抗体価の両者が、MTP-PE製剤で高
レベルに刺激された。しかしながら、同製剤を大型の動
物、例えばヤギおよびヒヒにおいて試験すると、この組
成物はそれほど有効でなかった。それにもかかわらず、
この系はgp120抗原と共に使用される有効なアジュバン
トを意味する。
代謝可能な油と乳化剤を含んで成り、油および乳化剤
が油滴を有する水中型乳剤の形態で存在し、実質的に全
ての油滴が1ミクロンより小さい直径を有するアジュバ
ント組成物は、ワクチンの効能を増加するための有効な
アジュバント組成物であることが実験から実証された。
このようなアジュバント組成物は、油滴が有意に大きい
油および乳化剤を含有するアジュバント組成物よりも驚
くほど優れているアジュバント組成物であることが研究
から示された。これらの優れたアジュバント組成物は別
の特許出願EPO 0 399 843号刊行物の主題であり、その
開示をここに引用によって加える。
アジュバント製剤は、一般にアジュバントとgp120抗
原とを混合する前に前述の成分から調製される。gp120
抗原は、動物の組織に接近すると、特異的抗体の形成を
刺激し、そして生体内または試験管内でこのような抗体
と特異的に反応する。そのうえ、抗原はその抗原のため
のレセプターをもつT−リンパ球の増殖を刺激し、そし
てリンパ球と反応して細胞性免疫と呼ばれる応答の系列
を開始することができる。
本発明のワクチン製剤は有効量のgp120抗原を使用す
るであろう。すなわち、アジュバントと組み合わせる
と、被検体に特異的で且つ十分な免疫応答を生じさせ、
HIVウイルスへのその後の暴露からの被検体の保護を付
与するであろう量の抗原を含む。
1つの好ましいアジュバント製剤は、MF-59と称し、
0.40μg/mlのMTP-PEを含有するMTP-PE溶液中の0.5%Twe
en-80、0.5%Span、5.0%スクアレンからなる。この乳
剤成物を微流動化装置(Microfluidizer)に10,000psi
で0℃において10回通過させる。生じた物質を0.2ミク
ロンのフィルターに通過させ、4℃においてアルゴン雰
囲気下で貯蔵する。
ワクチンとして使用できる各gp120製剤について特別
の手引を提供するような単一投与量を指定することはで
きない。抗原の有効量はその固有の活性および純度の関
数であり、単離物毎に変化するであろう。ワクチン製剤
の成分の初期比率についての手引は実施例の項目から得
られ、この実施例の項目は中和抗体の刺激に有効である
ことが証明された種々の製剤を示す。これらの比率は、
当業者において公知であるように、天然のコンホメーシ
ョン保持されたgp120の個々の調製物について調整され
るであろう。
本発明のワクチン組成物はHIV-1感染の予防に有用で
ある。HIV-1に苦しむことがある全ての動物はこの方法
で処置することができるが、本発明は、もちろん特にヒ
トへの本発明のワクチンの予防的および治療的利用に向
けられる。しばしば、所望の予防または治療効果を引き
起こすのに複数の投与が要求される;正確なプロトコル
(投与量および頻度)は標準臨床的手順により確立する
ことができる。ワクチン組成物は、ワクチンを動物中に
導入する任意の常法、通常は注射により投与される。経
口投与のために、ワクチン組成物は他のタンパク様物
質、例えばインスリンの経口投与に使われるものと同様
な形式で投与することができる。前述したように、予防
および治療に使用する正確な量および製剤は、抗原の固
有の純度および活性、追加の成分または担体、投与方法
などの状況に応じて変化することがある。非限定的例示
により、投与されるワクチンの用量は、典型的にはgp12
0抗原に関して、約0.1mg/投与の最小量、より典型的に
は約1mg/投与の最小量、およびしばしば約10mg/投与の
最小量であろう。最大量は典型的には重要でない。しか
しながら、通常、用量は約1mg/投与以下、典型的には50
0mg/投与以下、しばしば250mg/投与以下であろう。これ
らの用量は、該用量を担持するのに十分な容量の任意の
適当な医薬賦形剤または担体の中に懸濁させることがで
きる。一般に、最終容量は、担体、アジュバントなどを
包含して、少なくとも0.1ml、典型的には少なくとも約
0.2mlであろう。上限は実際に投与すべき量により左右
され、一般に約0.5ml〜約1.0ml以下である。
上記から、本発明は、動物におけるHIV-1感染の予防
のための本発明のワクチン組成物の使用方法、およびHI
V-1に既に感染した動物の治療的処置のための本発明の
ワクチン組成物の使用方法を包含する。動物は、哺乳動
物、例えば霊長類、例えばチンパンジー、ヒヒおよびヒ
トを包含する。
本発明をここで全体的に説明したが、本発明は次の詳
細な実施例を参照することによってより良く理解される
であろう。これらの実施例は例示のみを目的とし、そし
て特記しない限り、本発明を限定するものと見なすべき
でない。
実施例1 哺乳動物細胞中でのHIV gp120の突然変異誘発および
発現 HIV-SF2のgp160をコードするエンベロープ遺伝子を、
gp120天然gp140プロセシング部位のArg509の後ろに停止
コドンを導入することによって、gp120配列の発現のた
めに操作した。この遺伝子の5′末端を修飾して、Glu3
1をコードする配列の5′側にNheI制限エンドヌクレア
ーゼ部位を挿入し、こうして天然のシグナル配列を他の
シグナル配列で置換して、哺乳動物細胞からの改良され
た分泌について試験することができるようにした。哺乳
動物細胞中で分泌糖タンパク質としてgp120を生産する
ために、HIVシグナル配列および5′非翻訳配列を、tPA
シグナルDNAの3′末端付近にNheI部位を配置してAla S
erをコードするように突然変異誘発したヒトt-PAのもの
と置き換えた。得られた遺伝子構成物を1系列のプロモ
ーターに融合せしめた。COS-7細胞中へ発現ベクターを
トランスフェクションせしめそして分泌されたgp120の
レベルをヤギ捕捉ELISA(下に記載する)およびウェス
タンブロットにより比較した後、gp120の一時的発現を
評価した。発現の最高レベルは、CMV IE-1プロモーター
を使った時に見られ、SV40の初期プロモーターを使った
時より少なくとも50倍高かった。永久細胞系の作製のた
めに、発現プラスミドpCMV6aSF2-120(第1図)をdhfr
発現プラスミドと共に、CHOdhfr−細胞(dg44;下記参
照)中ヘリン酸カルシウム共沈法により同時トランスフ
ェクトせしめた。生じた細胞系を、クローンをgp120ヤ
ギ−捕捉ELISAでスクリーニングすることによって特徴
づけた。最大発現細胞系をプール中のメトトレキセート
の中で増幅させた。クローンを0.1mMレベルで単離し
た。標準として精製タンパク質を使用して、細胞系はT
フラスコレベルにおいて5mg/リットルの範囲でgp120を
分泌することが示された。
gp120遺伝子の発現に使用した細胞は、本来、チロン
・コーポレーションのLeslie Rall博士から1985年9月
にほぼ100継代において入手した。これらの細胞は、ニ
ューヨークのコロンビア大学Gail Urlaub博士およびLaw
rence Chasin博士により最初に単離され、そしてUrlaub
ら、Cell(1983)33:45に記載されている。これらの細
胞をDG44を命名した。それらは、二重欠失によりジヒド
ロ葉酸レダクターゼ欠損(dhfr-)にしたチャイニーズ
ハムスター卵巣(CHO)K-1細胞から誘導した。
CHO dhfr-細胞を次の培地中で連続培養した:10%透析
済ウシ胎児血清、200mg/mlのストレプトマイシンが補足
されたHams F-12培地。この培地および血清はカリフォ
ルニア州サンフランシスコのカリフォルニア大学、サン
フランシスコ・セルカルチャー・ファシリティ(San Fr
ancisco Cell Culture Facility)から入手した。すべ
ての他の成分はシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma
Chemical Co.ミズーリ州セントルイス)により供給され
た。細胞は週2回T-75フラスコ中で1:10分割で継代培養
することによって維持した。
貯蔵のために、細胞のアリコートをウシ胎児血清(FC
S)、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)の中で凍結
し、そして液体窒素の気相中で−80RCにおいて貯蔵し
た。この目的で、T-75フラスコの細胞を集密まで増殖さ
せた(約107細胞/T-75フラスコ)。細胞をトリプシン処
理し、遠心し、そして氷冷FCS中10%DMSOに約5×106
胞/mlの濃度で再懸濁した。1mlアリコートを凍結保存用
バイアルに移した。細胞を必要とするとき、アリコート
を37RC水浴中で解凍し、そして連続培養および継代のた
めに細胞をT-75中に接種した。
HIV-1エンベロープ関連抗原を検出するため上述のよ
うに使う2つのアッセイを次の方法で実施した。両アッ
セイには、精製されたCHO由来gp120を標準として、200n
g/ml1〜0.195nm/mlの倍々希釈で使用した。
(a)ヤギ捕捉ELISA:このアッセイのための捕捉試薬
は、下に記載する精製env-2-3(SF2)(HIV-SF2ウイル
ス単離物のgp120のアミノ酸配列に相当する酵母中で生
産された非グリコシル化ポリペプチド)で高度免疫処置
したヤギからのプロテインA−セファロース−アフィニ
ティー精製免疫グロブリンであった。捕捉された抗原の
検出に使用した試薬は、同一抗原に対してウサギ中で惹
起せしめたポリクローナル抗血清であった。プレートを
5mg/mlのenv-2-3(SF2)に対するヤギ免疫グロブリンで
コーティングし、ウイルス溶解物または哺乳動物由来gp
120抗原の希釈液とインキュベートし、次いで補足され
た抗原を1/100に希釈したenv-2-3(SF2)に対するウサ
ギポリクローナル抗血清、次いで接合体およびABTS基質
により検出した。
(b)ヒト捕捉ELISA:このアッセイは前述の「ヤギ捕捉
ELISA」と同一であるが、ただし捕捉試薬はHIV-1血清陽
性血液提供者から入手したヒト血清からのプロテインA-
セファロース−精製免疫グロブリンであった。
実施例2 細胞の生産 実施例1に記載のように得られた1つの細胞系、CHO-
A-6a120-145-0.1-22を、回転瓶中での低血清および無メ
トトレキセート培地中での生産のために選択した。回転
瓶培養物(850cm2)を確立し、そして6%ウシ胎児血清
(FCS)が補足された培地(ダルベッコ改良イーグル培
地およびハムF-12,1:1)中で集密まで増殖させた。生産
のために、補足物を1%FCSおよび0.03%HB-CHO(Hana
Biologics,カリフォルニア州)に切り替えた。順化培地
(200ml)を24〜48毎に集め、2〜8℃で貯蔵し、プー
ルし、そして0.45ミクロンのカプセルフィルター(Gelm
an)を通して濾過することよって清浄した。細胞は2回
の生産実験の各々において2ヵ月以上維持され、gp120
の生産の明白な低下はなかった。発現レベルは5〜20mg
/lであった。
実施例3 精製 (1)濃縮。実施例2からの細胞培養上清(40リット
ル)の濃縮は、行きどまり濾過(0.45ミクロンのカプセ
ルフィルター、Gelman)および30Kカットオフの中空繊
維限外濾過器(AG Technology #UFP-30-C-6;6ft2およ
び0.5mmの繊維内径)を使用し容量形ポンプ(Waukesha
#18)により駆動される交差流限外濾過を使用して実
施した。透過速度は、ほぼ12リットル/分の再循環速度
および26psiの圧力においてほぼ150ml/分であった。保
持液容量が1〜2リットルに到達するまで濾過を続け
た。濾過工程は低温室内で2〜8℃において実施した。
限外濾過濃縮物は褐色の透明な液体であった。
(2)DEAEクロマトグラフィー。DEAEセファデックスA-
50(Pharmacia)を詰めたイオン交換カラム(直径11.4c
m×15cm)を緩衝液(0.02M Tris-Cl,pH8.0,0.1M NaCl)
中平衝化し、次いで35ml/分の流速で室温において濃縮
物をカラムに適用した。限外濾過濃縮物を2リットルの
体積にし、そして塩化ナトリウム(4M原溶液)の添加に
より1.4mSの伝導度にした。生産物を含有する未吸着の
画分を25ml画分でIsco FoxyRフラクションコレクターに
より集めた。血清アルブミン、他のタンパク質および褐
色物質の大半はカラムに結合し、そして1M NaClの段階
的勾配で溶出された。これらの画分は少ないが、可変量
の生産物を含有した;結合画分からの生産物の回収は試
みなかった。DEAEセファデックスA-50樹脂を各使用後廃
棄した。素通り画分はELISAアッセイにより大半の生産
物を含有することが示された。この段階では、SDSゲル
上の拡散gp120バンドを位置づけることは困難であっ
た。
(3)フェニル疎水的相互作用クロマトグラフィー。DE
AE画分を、固体の硫酸アンモニウムの添加により、硫酸
アンモニウム中40%飽和にした。よく混合した後、少量
の沈澱物を遠心により除去した。TSKフェニル−5PW HIC
カラム(直径5.5cm×20cm)を少なくとも2容積の水でG
ilson分取用HPLCにより洗浄した。次いで、カラムを2
以上の容積の緩衝液A(0.02M酢酸ナトリウム、pH5.0、
40%飽和硫酸アンモニウム)で平衡化した。カラムの平
衡は流出液の伝導度測定により確かめた。硫酸アンモニ
ウムの添加後の上清画分をポンプAを通して30ml/分で
供給することによってカラムに適用し、次いでカラムを
ベースラインが安定化するまで(通常約15〜20分)緩衝
液Aで洗浄した。勾配をかけて40分間に渡り0.02M酢酸
ナトリウム、pH5.0にして生産物を溶出させた。ODピー
クの下の画分をSDSゲル電気泳動によりPharmaciaのPhas
tRシステムを使ってアッセイし、生産物を位置決定し
た。この純度段階において、gp120バンドは明瞭に判別
することができた。生産物を含有する画分を次の段階の
クロマトグラフィーのためにプールした (第3A図参照)。
(d)エーテル疎水的相互作用クロマトグラフィー。第
2のHIC段階を、TSKエーテル−5PW HPLCカラム(直径5.
5cm×20cm)上で、フェニルHICカラムについて使用した
のと同一の手順に従い実施した。このカラムを少なくと
も2カラム容積の水で洗浄し、次いで緩衝液A(40%飽
和硫酸アンモニウム、0.02M酢酸ナトリウム、pH5.0)で
平衡化した。フェニルカラムからの生産物プールを硫酸
アンモニウムの添加により165S/cmの伝導度にし、次い
で12,000rpmにおいて10分間遠心した。この試料を負荷
し、そして100%緩衝液Aから100%緩衝液Bまでの40分
間の勾配を使って前述したように溶離した。生産物を含
有する画分(第3B図参照)をPhastR系のSDSゲル電気泳
動により位置決定し、次いでゲル濾過クロマトグラフィ
ーのためにプールした。エーテルカラムからのgp120ピ
ークは主としてgp120であり、少量の低分子量汚染物を
含んだ。これらの汚染物はゲル濾過クロマトグラフィー
(下)により分離された。
(5)ゲル濾過クロマトグラフィー。エーテルHIC画分
を限外濾過膜(Amicon YM-30)で濃縮して、0.6の吸光
係数=1mg/mlと仮定してA-280により測定した時ほぼ10m
g/mlのタンパク質濃度にし、次いで少なくとも5容の0.
1Mリン酸ナトリウム、pH6.9に対して透析した。試料を
ゲル濾過カラム(SuperdexR200,Pharmacia,直径1.6cm×
60cm)にカラム容積の4%以下の量で10mg/ml以下の総
タンパク質濃度で適用し、そして0.1Mリン酸ナトリウ
ム、pH6.9で溶出させた。1mlの画分を集め、SDSゲル電
気泳動にかけ、クーマシー・ブリリアント・ブルーR350
によりPhast系で染色し、そしてデュポンGF-450カラム
上でのゲル濾過HPLC(展開緩衝液:0.2Mリン酸ナトリウ
ム、pH6.7、1ml/分)にかけて2量体を含有する画分を
探し、次いでプールした。gp120ピークのリーディング
端は純粋なgp120を含有したが、テーリング端をゲル濾
過カラム上で再クロマトグラフィーにかけた。生産物の
プールをAmicon YM-30膜で濃縮し、5容の蒸留水に対し
て透析濾過し、そして10ミクロンより低い圧力において
少なくとも2日間凍結乾燥した。
(6)精製結果の要約。表1は、40リットルの細胞培養
上清を使って出発した典型的な精製の結果を要約する。
これらのデータが示すように、250倍の精製が20〜25%
の収率で達成される。生産物はSDSゲルにおいてH120 KD
で移動する幅広のバンドとして現れた。デンシトメトリ
ーは、染色強度の80〜90%がgp120のバンドに存在する
ことを明らかにした。多分これは、gp120結合の染色が
弱いので、この調製物の純度の最小評価値を表す。BSA
と比較してほぼ7/1のクーマシーブリリアントブルーが
タンパク質1mg当りに結合した。ゲルのバンドの出現
は、試料を2−メルカプトエタノールまたはジチオスレ
イトールで前処理することによって変更せず、タンパク
質は内部で切断しないことが示された。高温における逆
相HPLC分析は、また、産生物の純度が90%を越えること
を示唆した。
実施例4 (1)精製SF-2rgp120とウイルスgp120との比較。精製g
p120をSDSポリアクリルアミドゲルの電気泳動にかけて
サイズと純度を評価した。該タンパク質は、糖タンパク
質の幅広の染色バンド特性をもつ120Kタンパク質の予測
位置で移動した。この幅広のバンドは、他の単離物につ
いて記載されている、22個の推定N−結合グリコシル化
部位において予想される炭水化物不均一性と一致する。
組換えgp120をウイルス粒子中に見いだされるものと比
較するために、HIV-SF2感染HUT-78細胞の溶解物を調製
し、そしてHIV陽性ヒトおよびgp120特異的動物血清を使
用するウエスタンブロットにより検査した。観察される
パターンは保存されたコンホメーションと一致した。
(2)N末端配列決定。アミノ末端のアミノ酸配列を自
動エドマン分解により決定した。観察された配列および
推定された配列は次の通りであった: 観察された配列 EKLWVTVYYGVPVWK... 推定された配列 TEKLWVTVYYGVPVWK... この配列は、異種シグナルがシグナルペプチドにより該
シグナルのセリンの後で正しくプロセシングされ、そし
てタンパク質がいずれの追加のアミノ酸にも融合しない
ことを示す。この配列はHTLVIIIB単離物からのウイルス
gp120上に見いだされるN末端スレオニンを欠く(Roby
ら、PNAS(1986)83:7023-7027)。N末端アミノ酸配列
は、この単離物のDNA配列から推定されるHIV-SF2エンベ
ロープ配列と、少なくとも最初の15アミノ酸について合
致する。
(3)アミノ酸組成。実施例3に記載のように精製した
gp120の5つのロットにおいてアミノ酸分析を実施し
た。それらの値の平均は、DNA配列から予想される組成
と、ile(観察値33.5対予想値39)およびser(観察値3
2.7対予想値24)を除く全てのアミノ酸について実験誤
差の範囲内で一致した。ser値は5ロット内で変動性で
あり、そしてこれは多分セリンに富んだ汚染物を意味す
る。
(4)未変性ゲル電気泳動およびIEF。gp120の電荷不均
質性は、等電点電気泳動及び未変性ゲル電気泳動におい
て明白であった。等電点電気泳動は、エンベロープpH5
〜7内で複数のバンドの存在を明らかにした。このタン
パク質は未変性ポリアクリルアミドゲルでは単一の幅広
のバンドとして移動した。
(5)ゲル濾過HPLC。組換えgp120の分子量はSDSの存在
下で120Kであった;SDSの不存在下の分子量はゲル濾過HP
LCにより測定した。中イオン強度緩衝液中で中性pHで
は、精製gp120は単一の主ピークとして溶出され、保持
容量はH130Kの分子量に相当した。少量の2量体も存在
した;2量体の画分は溶液中で貯蔵すると合計gp120の10
〜20に増加した。2量体画分をゲル濾過段階において単
離し、そして別々に分析した。この画分は、還元剤の存
在下でSDSゲル電気泳動により分析すると単量体として
移動したが、還元剤(2−メルカプトエタノールまたは
ジチオスレイトール)の不存在下では2量体として移動
したので、それは多分ジスルフィドド結合により結合し
ていた。2量体画分のアミノ酸組成は単量体画分のそれ
と区別できなかった。2量体画分はまた、放射線免疫沈
澱アッセイにより試験するとCD4を結合した。gp120ゲル
濾過HPLCピークは、この分子量のタンパク質について予
想されるより広かった。gp120について得られた余分の
ピーク幅は、炭水化物成分の不均一性に帰することがで
きる。存在する不純物に関してgp120の分子量が高いこ
とは、フェニルHIC段階後の精製アッセイとしてゲル濾
過HPLCの使用を可能にする。それは生産物のプールから
gp120 2量体含有画分を排除するためのゲル濾過段階に
おけるアッセイとして日常的に使われた。
(6)CD4結合。この実施例において使用するCD4は、外
部領域全体をコードする発現プラスミドによりトランス
フェクトされたCHO細胞系から誘導された組換えの可溶
性CD4であった。結合標準として使用するCD4の生産につ
いての詳細は実施例5に記載されている。結合実験はゲ
ル濾過HPLCによる放射線免疫沈澱により実施した。
(a)放射線免疫沈澱の一般技術。(例えば)gp120を
生産する細胞の集密的単層を、システインとメチオニン
を含まないダルベッコ改良イーグル培地(cys-met-DM
E)中で標識した。100mCi/mlの各35S metおよびcysを有
する5mlのcys-met-DMEを各T75フラスコに6〜8時間の
間添加した。標識された試料を収得し、遠心して細胞を
除去し、そして使用するまで−80Cで貯蔵した。沈澱を
行う試料を1×溶解緩衝液〔0.1M NaCl、0.02M Tris pH
7.5、1mM EDTA、0.5%NP40、0.5%デオキシコール酸
塩、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、1mMフェニルメ
チルスルホニルフルオライド(PMSF)、17mg/mlのアプ
ロチニン〕に調整した。試料を1/10容の正常ヤギ血清で
4℃にて30分間予備浄化し、次いでプロテインAセファ
ロース(PAS)(1/2容の20%懸濁液)で4RCにて30分間
沈澱させた。高度免疫処置動物またはHIV陽性ヒト血清
試料からの免疫グロブリンを、標準技術によりPASを使
用してアフィニティー精製した。血清を最良のシグナル
/ノイズ比について滴定した;大部分の免疫グロブリン
画分を5〜10mg/試料で使用した。免疫沈澱は4Cにおい
て1〜12時間であった。すべての試料を実験中同容量に
調整した。PASをBSA不含有溶解緩衝液で洗浄し、次いで
0.12MTris pH7で洗浄し、そしてペレットを1ランムリ
ー試料緩衝液中で可溶化し、沸騰させ、そしてゲルに適
用した。ゲルをEn3HanceRで処理し、乾燥し、そして蛍
光光度測定した。
(b)放射線免疫沈澱によるCD4結合。CD4を前述したよ
うに35Sで標識し、そしてCD4の濃度を、CD4に対して惹
起されたモノクローナル抗体およびポリクローナルウサ
ギ血清を使用する捕捉ELISAにより決定した。共沈実験
のために、CD4を増加する量で固定量のgp120(1mg)に
添加して飽和量を決定し、次いで抗gp120抗血清で共沈
させた。この量のCD4をgp120滴定実験に使用した。標識
したCD4を前述したように正常血清で予備浄化した。標
識成分を予備浄化した後、CD4およびgp120を4Cにおいて
1時間の間複合体形成せしめ、次いで未標識の成分に対
する抗体を4RCにおいて1時間の間添加した(10mg/試
料)。OKT4はOrth Diagnosticsから購入した。PASを4RC
において1時間添加し、そして複合体を浄化し、前述し
たように電気泳動用に調製した。
精製前および精製後のgp120は、等量の添加したgp120
に対するバンド強度が同等であることにより示されるよ
うに、このアッセイによるCD4への結合において両方と
も有効であった。酵母中で生産されたgp120の非グリコ
シル化類似体(env2-3;米国特許出願第138,894号、1987
年12月24日出願)は、このアッセイにおいてCD4に結合
することができなかった。SuperdexR200カラムから単離
されたgp120の2量体形は、このアッセイにより同じくC
D4に結合した。結合の飽和はグラフで決定した。1/2飽
和レベルから、6.9nMのKdが測定された。
(c)ゲル濾過HPLCによるCD4結合。精製gp120および未
標準のCD4を、0.3Mリン酸カリウムpH6.8を含む60ml中で
混合した。混合後、試料の一部分(45ml)をデュポンGF
-450ゲル濾過HPLC上に、ウォーターズWISP 712試料イン
ジェクターを使って注入し、0.4Mリン酸カリウム、6.8
中で1ml/分の流速で展開した。光学濃度を215nmにおい
てモニターし、そしてデータをウォーターズのMaxima82
0Rクロマトグラフィーソフトウェアを使って記録した。
CD4およびgp120をゲル濾過HPLCカラムに別々に適用し
たとき、各成分は予想される溶出時間のところで単一ピ
ークを与えた(第4図参照;トレースAはCD4のみ、ト
レースBはgp120のみである)。成分をクロマトグラフ
ィー前に一緒に混合したとき、160Kに相当する溶出時間
に新しいピークが現れ、そして120Kおよび40Kのところ
のピークは減少した(第4図;トレースC)。この結果
はCD4とgp120との間の1:1複合体の形成の直接的物証を
提供する。CD4とgp120の比を変えてそして反応体の異な
る濃度で追加の実験を実施した。これらの実験の結果
は、CD4の1分子とgp120の1分子との間の高親和性複合
体の存在を支持した。
実施例5 CHO細胞をAD-dhfrと可溶性組換えヒトCD4(完全な外
部領域)をコードする発現プラスミドとを用いて同時ト
ランスフェクトせしめた。発現ベクターは、CD4をコー
ドする配列(UCSFのD.Littman博士から入手した)をpCM
V6a(gp120コード配列を欠くpCMV6a120-SF2)中にクロ
ーニングすることによって作製した。可溶性CD4を分泌
する細胞系を単離したCHO ST4.2と表示する得られた細
胞系は前述したように一般に入手可能である。クローニ
ングした遺伝子ST4.2は、経膜境界までの4つの細胞外
領域に相当する380アミノ酸をコードする。このタンパ
ク質の精製工程は2つのカラムを必要とする。まず、CH
O細胞の上清をS.セファロースカオチン交換カラム上に
負荷し、そしてそれから溶出せしめた。1リットルのCH
O上清を再蒸留水で15リットルに希釈し、そして0.2×PB
S/2.5mM EDTA,pH7.0(伝導度3.6ohm-1cm-1)中で平衡化
した300mlの膨潤樹脂上に3.6リットル/時の負荷速度で
室温において負荷した。このカラムを500mlの0.2×PBS/
2.5mM EDTAおよび200mlのNaCl 0.2×PBS 12.5mM EDTAで
洗浄した。1リットルの200mM NaCl 10.2×PBS 12.5mM
EDTAを用いて溶出を行った。次いで、このS.セファロー
スカラムからの溶出液をモノクローナル抗体アフィニテ
ィーカラム上に流した。この精製に使用したモノクロー
ナル抗体(25-10-F5.5Cl;以後25-10-F5と呼ぶ)は、CD4
の細胞外領域のアミノ末端半分(最初の2つの免疫グロ
ブリン様ドメイン内)の中のコンホメーションエピトー
プを認識する。同一領域内のエピトープに対する特異性
をもつ他の抗体も同じく有効であろう。このS.セファロ
ース溶出液を濾過し(0.45ミクロン)そして1ml/分また
はそれより小さい流速でアフィニティーカラム上に負荷
した。負荷したカラムを蒸留水(25×樹脂容量)で洗浄
し、そして5mMギ酸トリエチルアミンを用いて10ml溶出
緩衝液/4mgゲル樹脂で溶出せしめた。mAb溶出液のpHを1
MTris(pH8.0)でpH7に調整した。アフィニティーカラ
ムから溶出された画分を透析し、そして濃縮した。表2
は精製手順の各段階における収率を示す。
種々の画分中の活性CD4のレベルは、捕捉ELISAによ
り、捕捉試薬としてモノクローナル抗体25-10-F5および
検出試薬として精製ST4.2に対して惹起されたウサギボ
リクローナル抗血清を使用して決定した。各カラムから
の画分および洗浄液を最初の上清および既知のCD4標準
物と比較した。これにより、どれだけ多くの活性CD4が
各段階において回収されたかを定量することができた。
それはまた、精製の各段階後の純度の増加を評価するこ
とができた。これは、ELISAにより決定した活性CD4の合
計量(mg)を、Pierceタンパク質微量アッセイにより決
定したタンパク質の合計ミリグラム数と比較することに
よって行った。これらの技術を使用して、S.セファロー
スカラムについての収率は76%であり、そしてアフィニ
イティーカラムは74%であり、56%の全体収率が得られ
た。S.セファロースカラムは、単独で31倍精製をもたら
し、第1段階直後に93%CD4である溶液を与えることに
注目すべきである。アフィニティーカラムはS.セファロ
ースカラム溶出液の純度を本質的に均質にまで増加させ
た。
これらの最後の画分の純度を2つの方法で分析した。
まず、タンパク質を12%SDSゲル上で展開し、そしてク
ーマシー・ブリリアント・ブルーで染色した。この視的
分析は、タンパク質が高度に精製されたことを示した;
最終生成物の少なくとも95%はCD4であった。アミノ酸
分析をこのプロトコルに従い精製したST4.2試料におい
て実施すると、この物質が高度に精製されたことが示さ
れた。
精製ST4.2のgp120結合能力を、ELISAおよびgp120カラ
ムの両者により分析した。ST4.2はマイクロタイタープ
レート上にコーティングすることができ、そしてgp120
結合活性を保持するであろう。CD4の種々のロットのgp1
20結合を試験するために、マイクロタイタープレートを
各ロットからの様々な濃度のCD4と共にインキュベート
し、次いで一定濃度のgp120を全てのウエルに添加し
た。結合したgp120を、gp120に対するウサギポリクロー
ナル抗血清(Rb抗env2-3血清)を使って検出した。プレ
ート上にコーティングされたST4.2の量が減少するにつ
れて、力価決定される強いシグナルが見られた。gp120
結合は、精製ST4.2をgp120のアフィニティーカラム上に
流すことによって、2つのロットについて評価した。各
画分のCD4含量は、前述のST4.2に対するポリクローナル
ウサギ抗血清を使った種々の画分のイムノブロット分析
により決定した。これらの結果は、CD4免疫反応性物質
の100%近くがカラム母材上のgp120に吸着され、そして
特定のピークとして溶出されることを示した。
未変性および変性ST4.2をマイクロタイタープレート
上にコーティングし、そして種々のCD4特異的免疫試薬
が該タンパク質の2形態を認識する能力を比較した。精
製ST4.2で免疫処置することによって調製されたウサギ
ポリクローナル血清は、CD4の未変性および変性形態の
両者を認識した;コンホメーションエピトープを認識す
ることが知られているOKT4Aは、未変性CD4と明瞭に反応
したが、変性されているタンパク質とは反応しなかっ
た。モノクローナル抗体25-10-F5はOKT4Aに類似した反
応性パターンを示した。
精製ST4.2の調製物を−80℃および4℃において貯蔵
し、そして(1)未変性および変性CD4の両者を認識す
るウサギポリクローナル抗血清との免疫反応性、(2)
未変性CD4とのみ反応するOKT4Aおよび25-10-F5による認
識、並びに(3)gp120結合について周期的に試験し
た。OKT4Aおよび25-10-F5モノクローナル抗体並びにgp1
20により評価された活性の有意な低下が4℃での貯蔵時
に観察された。しかしながら、−80℃で貯蔵した物質は
完全な活性を保持した。さらに、精製ST4.2は反復して
凍結および解凍すると活性を損失することも認められ
た。
実施例6 免疫処置実験を実施して、コンホメーションが保持さ
れる本発明のgp120組成物を使った中和抗体の生産を、
コンホメーションが変わることが知られている他のgp12
0分子のものと比較した。酵母中で調製され、変性され
ておりそしてグリコシル化されていないgp120類似体(e
nv2-3)を比較抗原として使用した。両者のgp120物質は
同一遺伝子源であるHIV-ISF-2単離物から誘導した。抗
体産生をヒヒにおいて表3に示す免疫処置スケジュール
を使用して測定した。
免疫原は次の方法で調製した: (1)グループ1および2:1部の抗原(gp120またはenv2
-3)を2部の不完全フロインドアジュバント(ICFA)に
添加し、注射器により混合し、そして500ml/動物を注射
した。
(2)グループ3および4:抗原/MTP-PEアジュバントの
バイアルを室温に加温し、1分間渦動撹拌し、そして50
0ml/動物を30分以内に注射した(必要に応じて再混合し
た)。
(3)グループ5および6:抗原/ミョウバンのバイアル
を室温に加温し、1分間渦動撹拌し、そして500ml/動物
を30分以内に注射した(必要に応じて再混合した)。
免疫処置は実験の開始時並びに実験開始後4,8,12およ
び20週目に実施した。血液試料を実験の開始時(採血
前)および結果を報告する表(下)に示す時間に採取し
た。
結果を添付した表4および表5に要約する。env2-3で
免疫処置した動物は、全てのアジュバント群において相
同単離物HIV-SF-2に対して中和活性を示し、そして1つ
のアジュバント群(IFA-MTP)においてHIV-MNに対する
中和を示す(7匹の動物のうちの3匹)。この抗原でHI
V-HTLV-IIIBに対して検出可能な中和を示す動物は1匹
である。
対照的に、gp120で免疫処置した動物のすべてが、4
回および5回の免疫処置後、3つのアジュバント群全て
においてHIV-SF2およびHIV-MNに対する中和活性を示
す。8匹のgp120免疫処置動物のうちの6匹は、HIV-HTL
BIIIBに対しても有意な中和活性を有し、そして該動物
は3つのアジュバント群全てからのものである。
若い成体(雄/雌)のヒヒ(Papio)を2つのアジュ
バントの1つの中に配合した55mgのgp120で免疫処置し
た:水酸化アルミニウム(ミョウバン、0.8mg/投与);
または不完全フロインドアジュバント+250mgのムラミ
ルトリペプチド(IFA-MTP)。動物をほぼ4週毎に免疫
処置し、そして血清をエンベロープ特異的力価の損失に
ついてモニターした。この標準における各動物について
の抗原特異的応答を要約するデータを表6および表7に
記載する。エンベロープ特異的力価は各追加免疫後にピ
ークとなり、次いで下降した。ミョウバンおよびIFA-MT
Pの力価はほぼ10倍異なることに注目すべきである。ベ
ースライン力価は休止の6ヵ月後に到達し、次いで動物
を1月の間隔で再追加免役した。ウイルスの中和におけ
るエンベロープ抗体の有効性をを測定するために、血清
を、試験管内中和アッセイにおいて、相同HIV-SF2およ
び異種ウイルス単離物の両者に対して試験した。血清は
既知の高エンベロープウイルス中和力価の時点、10週目
(3回の免疫化後)、休止前23週目(5回の免疫化
後)、および休止後の追加免疫後57週目(6回の免疫化
後)において試験した。次の2つのウイルス中和アッセ
イを使用した:p24gag阻害アッセイ〔Haigwoodら、AIDS
Res.Hum.Retrov.(1990)6:855-869およびSteimerら、V
accine(1988)、H.Gimsbergら編、Cold Spring Harbor
Laboratory Press、p347-355に記載されている〕およ
び感染性中心阻害アッセイ〔Naraら、AIDS Res.Hum.Ret
rov.(1987)3:238-302〕。表6に示すように、HIV-SF2
およびHIV-Mnに対して有効な中和抗体は、両者のアジュ
バント群において、3回の免疫処置後のみにおいて発生
し、そして力価はそれ以上の追加免疫後に維持される
か、あるいは増加した。表7において、HIV-BRUおよびH
IV-HTLVIIIB特異的中和抗体は5回および6回の免疫化
後に再現的に観察された;6回の免疫処置後、HIV-ZR6に
対する力価は観察されなかった。全体的に、相同SF2お
よび異種の中和力価は、ミョウバンの動物よりIFA-MTP
において高かった。
6回の免疫処置後最高に応答するgp120免疫処置ヒヒ
から集めた血清を、さらに、追加の単離物HIV-SF2、HIV
-MN、HIV-RF、HIV-CC、HIV-ZR6およびHIV-NDKを中和す
る能力について試験した(表8a)。HIV-SF2中和力価はp
24gag阻害アッセイにより決定したが、HIV-MN中和はNar
aらの感染中心プロトコルによりアッセイしたことに注
意すべきである。こうして、これらの2つの単離物の中
和における顕著な差は、一部分、使用した2つの異なる
アッセイにより説明することができる。
このデータが実証するように、物質のコンホメーショ
ンを保持するgp120タンパク質は、天然のコンホメショ
ンを保持しない形態よりも、交差中和抗体の産生におい
ていっそう有望である。
実施例7 ヒヒのIFA-MTP群の反復した免疫処置を実施して、組
換えの天然のグリコシル化gp120への追加の繰返し暴露
がなお広範囲の単離物の中和において有効な抗体を生じ
うるかどうかを決定した。繰返し免疫処置は、HIV-SF
2、HIV-MN、HIV-RF、またはHIV-CCに対する中和抗体の
力価を著しく変更しなかった。しかしながら、繰返し免
疫処置は、アフリカ単離物HIV-ZR6およびHIV-NDKに対す
る低力価の中和抗体の出現を引き起こした(表8b)。HI
V-ZR6中和の一時的発生は、組換えの天然のグリコシル
化gp120で0,5,6,7,8および9回免疫処置した後に分析し
たヒヒ2964の血清からのウイルス中和データ(第5図)
をグラフにすることによって検査した。
実験の血清を含有するウェル中の合胞体形成単位/ml
(sfu/ml)の数(Vn、二重反復実験のウェルの平均)を
測定し、そしてこの数をsfu/mlのウイルス単独(Vo、8
つの複製ウェルの平均)で割ることによって、中和を記
録した。この分数Vn/Voを血清試料の希釈に対してプロ
ットし、そしてVnの90%の減少、すなわち、Vn/Vo=0.1
を可能にする血清希釈を認めることによって中和を記録
した。試料は右の凡例により示し、ここで数は採血に対
応する。採血0は採血前であり、これはウイルス中和を
示さない。採血12は5回の免疫処置後;採血22は6回の
免疫処置後;採血24は7回の免疫処置後;採血27は8回
の免疫処置後;採血22は9回の免疫処置後である。
第5図において明らかなように、繰り返し追加免疫は
中和曲線の傾斜をシフトし、こうして中和は採血32(9
回の免疫処置後)に検出された。これらの結果が実証す
るように、抗体産生性クローンについて選択した繰返し
追加免疫はより広い特異性を有する。
実施例8 3頭の個々のヒヒ2964および2958からのすべての血清
試料の分析を、組み換え変性した、比グリコシル化タン
パク質および組み換え自然、グリコシル化(gp120)免
疫化動物における差を線描写した(第6図)。ヒヒ2964
を組み換え自然グリコシル化タンパク質でワクチン接種
し、そしてヒヒ2958を組み換え、変性、非グリコシル化
タンパク質でワクチン接種した。HIV-SF2の中和は、Hig
wood et al.,AIDS.Res.and Hum.Retrov.(1990)6:855
-869に記載されているp25gag阻害アッセイによりアッセ
イした。すべての他の分離物は感染性癌の阻害アッセイ
によりアッセイした。各採血からの血清をHIV-SF2、HIV
-MNおよびHIV-HYLVIIIBに対してウイルス中和活性につ
いてアッセイした。変性、非グリコシル化タンパク質を
使用するそれ以上の促進は抗体または中和力価を週10で
測定したレベルを越えて増加させず、そしてHIV-HYLVII
IBの検出可能な中和は存在しなかった。gp120免疫化動
物において、HIV-SF2、HIV-MNおよびHIV-HTLIIIB力価は
各促進後増加し、最大の増加は休止後に観測された。中
和する活性のパターンはすべての3つのウイルスについ
て類似するが、応答の大きさは異なった。HIV-HTLIIIB
の中和の出現は他の2つの分離物に関して遅延した。下
の実施例9に記載するヒヒにおける追加の実験におい
て、MF59中で配合した組み換え変性、非グリコシル化タ
ンパク質はHIV-MNまたはHIV-BRUの中和活性に対して中
和を誘発することができないことをわれわれは実証した
(データは示されていない);gp120血清はこれらの3つ
の分離物ならびにHIV-ZR6を反復した促進後中和した
(表9)。
第6図は、変性、非グリコシル化gp120で免疫化した
ヒヒ2958、および自然、グリコシル化gp120で免疫化し
たヒヒ2964からのすべての血清試料の中和力価を示す、
1組のグラフである。これらの動物の免疫化は実施例6
に記載されている。
実施例9 ヒヒは次のものと配合した55mgのgp120で免疫化し
た:ムラミルトリペプチド−ホスファチジルエタノール
アミン、100mg、を含有するミクロ流動化乳濁液(MF5
9);または不完全フロインドアジュバント(IFA)。MF
59の処方は水中の5%のスクアレン、0.5%のTween-8
0、0.5%のSpan-85および内因性MTP-PE 0.4mg/mlであ
り、これをマイクロフラッダイザーで乳化し、そしてア
ルゴン雰囲気下に使用するまで貯蔵した。次いで、それ
を抗原と震盪により混合し、そして注射した。ヒヒにつ
いての抗原特異的応答を要約するデータを表9に示す。
gp120特異的力価は、また、この研究において各促進
後、ピークとなり、次いで傾斜した。より高い力価はIF
AよりMF59を使用して達成された。ウイルスの中和はウ
イルスの相同性または異種の分離物について試験し、週
10、24および38、それぞれ、3,4および5回の免疫化後
において決定した。これらのアッセイの結果を表9に要
約する。この研究において、MF59群の動物は、IFA群よ
り、高い力価およびその群において陽性の動物の大きい
比率を有した。HIV-SF2およびHIV-MNに対して有効な中
和力価は3回の免疫化後に、そしてHIV-HTLIIIBおよびH
IV-ZR6に対して5回の免疫化後に観測された。MF59中の
組み換え自然、グリコシル化gp120で免疫化した動物
は、5回のみの免疫化後HIV-BRUおよびHIV-ZR6の中和に
おいて有効な抗体で応答した。前の研究において、アフ
リカの分離物の中和は8回(HIV-NDK)または9回(HIV
-ZR6)の免疫化後にのみ達成された。さらに、実施例9
においてアジュバントMF59中の組み換え自然、グリコシ
ル化gp120でHIV-ZR6に対して達成された力価はより高か
った。また、HIV-BRUおよびHIV-ZR6に対して有効な中和
性抗体の出現は、前述の実施例6と対照的に、この研究
において同時であった。この結果はアジュバントまたは
免疫化の養生法のためであり、これは実施例6における
単一の長い休止期間と比較して、実施例9において2つ
のより短い休止期間を可能とした。
実施例10 ヒヒについて前述した手順に類似する手順に従い、4
頭のチンパンジー(Pan troglodytes)を55mgのgp120+
アジュバント2XMF59(2頭の動物)、アジュバント単独
(1頭の動物)で免疫処置するか、あるいは免疫処置し
ないで、この種の霊長類、人間に最も近い生存動物にお
けるタンパク質の免疫原性を決定した。実験計画は第7
図に記載する。第7図において、陰影を付したバーは3
つの研究の各についての時間線(免疫処置スケジュー
ル)を表す:実施例6のヒヒ(上部の線)、実施例9の
ヒヒ(中央の線)、および実施例10のチンバンジー(下
の線)。時間の目盛り(週)はこの図面の下に示されて
いる。免疫処置は垂直線により示し、上の番号は注射の
時間の線上の位置において免疫処置の数を示す。実施例
6におけるヒヒは第0,4,8,12,21,55,59,65および80週に
おいて免疫化したが、ただしヒヒ2964は第80週の代わり
に第82週に免疫処置した。実施例9におけるヒヒは第0,
4,8,22および36週に免疫処置した。チンパンジーは第0,
4,8および28週に免疫処置した。2XMF59の処方は10%ス
クアレン、1%Tween-80、1%Span-85および内因性MTP
-PE(0.4mg/ml)であり、これを微流動化装置で乳化
し、そしてアルゴン雰囲気下に使用するまで貯蔵した。
次いで、それを振盪により抗原と混合し、そして注射し
た。動物を1ヵ月の間隔で筋肉内注射し、そして血清を
各免疫処置後の採血のエンベロープ特異的力価およびウ
イルス中和抗体について分析した。組換えの天然グリコ
シル化で免疫処置した2頭のチンパンジーについてのデ
ータを表10に要約する。他方の対照のチアンパンジーは
gp120特異的抗体または中和抗体のいずれも発生しなか
った(データは示されていない)。組換え天然グリコシ
ル化タンパク質で免疫処置した両者の動物は免疫処置抗
原に対してすぐれた応答を示し、そして両者の動物はHI
V-SF2およびHIV-MNに対して有効なウイルス中和抗体を
有する。チンパンジーの1つからの血清は、また、3回
の免疫処置後HIV-HTLVIIIBを中和した。チンパンジーを
6ヵ月の休止期間後に追加免疫し、そして血清をこの免
疫処置に分析する。HIV-SF2に対するウイルス中和力価
が十分に高いとき、動物はHIV-SF2のチンパンジー力価
測定ストックでチャレンジする。チンパンジーをチャレ
ンジの2週前に再免疫処置する。異種単離物に対して有
効な中和抗体の存在を仮定すれば、これらの同一動物に
おいて異種ウイルスチャレンジに対する可能性も存在す
る。
本発明を今まで十分に記載したが、多数の変更および
改良を添付の請求の範囲の精神および範囲から逸脱しな
いで行うことができることは当業者にとって明白であろ
う。
生物学的材料の寄託 次の代表的材料は、1990年11月7日に、アメリカン・
タイプ・カルチャー・コレクション(the American Typ
e Culture Collection,米国メリーランド州ロックビ
ル)に寄託され、そして指摘のように命名された。これ
らの寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認
に関するブダペスト条約の規定に従って維持されるであ
ろう。寄託物 ATCC番号 寄託日 チャイニーズハムスター卵巣細胞 CHO-6a120-145-0.1-22CRL 10379 1990年3月9日 チャイニーズハムスター卵巣細胞 CHO-DG44 CRL 10378 1990年3月8日 E.コリ HB101(pCMV6a120-SF2)68249 1990年3月8日 これらの寄託物は当業者にとって単に便宜性のために
提供され、そして寄託物が35U.S.C.112の下に要求され
るという許可ではない。これらのプラスミドの該酸配
列、並びにそれらによりコードされるポリペプチドのア
ミノ酸配列はここに参考として加えられ、そして本明細
書の記載と矛盾する場合には照らし合わせている。寄託
物を製造、使用、または販売するためにはライセンスが
要求され、そしてこのようなライセンスはここで許され
ていない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 C12P 21/08 //(C12P 21/02 C12R 1:91) (56)参考文献 Cell,50(1987−9−11)P. 975−985 Proc,Natl,Acad,Sc i,USA,85(1988−7)P.5200− 5204

Claims (35)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】HIVgp120を精製して、天然のウイルスHIVg
    p120と実質的に同じタンパク質/タンパク質結合特性を
    有する精製されたgp120糖ペプチドを調製する方法であ
    って、 a.全長のグリコシル化gp120を含有する粗gp120調製物を
    イオン交換クロマトグラフィーにより分画して、第1画
    分収集物を提供し、 b.前記第1収集物から、CD4ペプチドに対して特異的結
    合親和力を示す画分を選択し、これにより第1の分画さ
    れた物質を生成せしめ、 c.前記第1の分画された物質を疎水的相互作用クロマト
    グラフィーにより分画して、第2画分収集物を提供し、 d.前記第2収集物から、CD4ペプチドに対して特異的結
    合親和力を示す画分を選択し、これにより第2の分画さ
    れた物質を生成せしめ、 e.前記第2の分画された物質をサイズ排除クロマトグラ
    フィーにより分画して、第3画分収集物を形成せしめ、
    そして f.前記第3収集物から、CD4ペプチドに対して特異的結
    合規和力を示す画分を選択し、これにより前記精製され
    たgp120を提供する、 ことを含んで成る方法。
  2. 【請求項2】前記イオン交換クロマトグラフィーが第三
    アミン交換基を有する固体支持体上で実施される、請求
    項1の方法。
  3. 【請求項3】前記固体支持体がジエチルアミノエチル置
    換デキストランである、請求項2の方法。
  4. 【請求項4】前記クロマトグラフィーがHPLCである、請
    求項3の方法。
  5. 【請求項5】段階(a)における分離がpH6〜において
    実施される、請求項4の方法。
  6. 【請求項6】前記疎水的相互作用クロマトグラフィーが
    フェニルまたは脂肪族側基を有する固体支持体上で実施
    される、請求項1の方法。
  7. 【請求項7】前記疎水的相互作用クロマトグラフィーが
    2つの副段階において実施され、第1副段階において固
    体支持体はフェニルアガロースであり、そして第2副段
    階において固体支持体は脂肪族工−テルアガロースであ
    る、請求項6の方法。
  8. 【請求項8】副段階が共にHPLCである、請求項7の方
    法。
  9. 【請求項9】段階(c)における前記分離が減少する硫
    酸アンモニウム勾配を使って実施され、初期濃度は約40
    %飽和である、請求項8の方法。
  10. 【請求項10】前記ゲル濾過クロマトグラフィーがgp12
    0より小さい分子を遅延することができる支持体を使用
    する、請求項1の方法。
  11. 【請求項11】前記ゲル濾過の支持体が約50,000〜200,
    000の分画範囲を有する、請求項10の方法。
  12. 【請求項12】前記ゲル濾過クロマトグラフィーがHPLC
    である、請求項11の方法。
  13. 【請求項13】次の段階: a.全長の非融合のグリコシル化gp120タンパク質を含有
    する細胞培地を集め、前記細胞培地は前記gp120を発現
    する非HIV感染細胞と接触している順化培地であり、そ
    して b.gp120の分子量より小さい分子量を有する分子を前記
    培地から除去することによって前記培地を濃縮し、これ
    により前記粗調製物として使用される濃縮細胞培地を生
    成する、を更に含んで成る、請求項1の方法。
  14. 【請求項14】前記第2の分画された物質を、段階
    (e)の前に、強アニオン交換クロマトグラフィーにか
    ける、請求項1の方法。
  15. 【請求項15】前記強アニオン交換クロマトグラフィー
    が、第四アンモニウム交換基を有する固体支持体を使用
    する、請求項14の方法。
  16. 【請求項16】前記強アニオン交換クロマトグラフィー
    がpH7〜9において実施される、請求項15の方法。
  17. 【請求項17】HIVウイルス上に提示されるgp120と実質
    的に両じタンパク質/タンパク質相互作用特性を有し、
    そして他のタンパク質を実質的に含有しない、精製され
    た全長の非融合組換えHIVgp120糖タンパク質。
  18. 【請求項18】前記特性が、 a.CD4に対する結合親和力; b.HIV感染性を中和することができる抗体に対する結合
    親和力;または c.gp41に対する結合親和力 を含んで成る、請求項17の糖タンパク質。
  19. 【請求項19】CD4に対する結合親和力が、ゲル濾過ア
    ッセイを使ってCD4に結合するgp120の画分を決定するこ
    とによって測定される、請求項18の糖タンパク質。
  20. 【請求項20】前記抗体がチンパンジーまたはヒトの抗
    体である、請求項19の糖タンパク質。
  21. 【請求項21】前記糖タンパク質が、 a.全長のグリコシル化gp120を含有する粗gp120調製物を
    イオン交換クロマトグラフィーにより分画して、第1画
    分収集物を提供し、 b.前記第1収集物から、CD4ペプチドに対して特異的結
    合親和力を示す画分を選択し、これにより第1の分画さ
    れた物質を生成せしめ、 c.前記第1の分画された物質を疎水的相互作用クロマト
    グラフィーにより分画して、第2画分収集物を提供し、 d.前記第2収集物から、CD4ペプチドに対する特異的結
    合親和力を示す画分を選択し、これにより第2の分画さ
    れた物質を生成せしめ、 e.前記第2の分画された物質をサイズ排除クロマトグラ
    フィーにより分画して、第3画分収集物を提供し、そし
    て f.前記第3収集物から、CD4ペプチドに対する特異的結
    合親和カを示す画分を選択し、これにより前記精製され
    たgp120を調製する、 ことを含んで成る方法により調製される、請求項17の糖
    タンパク質。
  22. 【請求項22】(1)HIVウイルス上に提示されるとgp1
    20と実質的に両じCD4結合特性を有する、精製された全
    長の非融合gp120糖タンパク質および(2)アジュバン
    トを含むワクチン。
  23. 【請求項23】前記特性が、 a.CD4に対する結合親和力; b.HIV感染性を中和することができる抗体に対する結合
    親和力;または c.gp41に対する結合親和力 を含んで成る、請求項22のワクチン。
  24. 【請求項24】前記ワクチンが、 a.全長のグリコシル化gp120を含有する粗gp120調製物を
    イオン交換クロマトグラフィーにより分画して、第1画
    分収集物を提供し、 b.前記第1収集物から、CD4ペプチドに対する特異的結
    合親和力を示す画分を選択し、これにより第1の分画さ
    れた物質を生成せしめ、 c.前記第1の分画された物質を疎水的相互作用クロマト
    グラフィーにより分画して、第2画分収集物を提供し、 d.前記第2収集物から、CD4ペプチドに対する特異的結
    合親和力を示す画分を選択し、これにより第2の分画さ
    れた物質を生成せしめ、 e.前記第2の分画された物質をサイズ排除クロマトグラ
    フィーにより分画して、第3画分収集物を提供し、そし
    て f.前記第3収集物から、CD4ペプチドに対する特異的結
    合親和力を示す画分を選択し、これにより前記精製され
    たgp120を調製する、 ことを含んで成る方法により調製される、請求項22のワ
    クチン。
  25. 【請求項25】抗体を発現することができる系を上記の
    糖タンパク質と接触させることを含んで成る、少なくと
    も1つのヒト以外の哺乳動物種においてHIVウイルス単
    離物による感染を中和することができる抗体の形成を刺
    激する方法。
  26. 【請求項26】前記系が試験管内系である、請求項25の
    方法。
  27. 【請求項27】前記哺乳動物が霊長類である、請求項25
    の方法。
  28. 【請求項28】全長のグリコシル化組換えgp120を精製
    する方法において、細胞培地から得られた前記gp120
    を、SDSゲル電気泳動により測定した時少なくとも95%
    の純度に精製し、ここで前記精製はゲル濾過、イオン交
    換および疎水的相互作用クロマトグラフィー技術を使用
    し、ただし 抗体と前記gp120との間の結合相互作用が前記精製の間
    のいずれの時点においても起こらない、ことを含んで成
    る精製方法。
  29. 【請求項29】有機溶媒と前記gp120との間の接触が前
    記精製の間のいずれの時点においても起こらないという
    前提を更に有する、請求項28の方法。
  30. 【請求項30】前記精製が(1)カチオン交換クロマト
    グラフィー、(2)疎水的相互作用クロマトグラフィ
    ー、および(3)ゲル濾過の順次段階を前記細胞培地に
    適用することを含んで成る、請求項28の方法。
  31. 【請求項31】前記段階がすべてHPLC段階である、請求
    項30の方法。
  32. 【請求項32】治療的有効量の請求項22のワクチンを含
    んで成る、治療によるHIV-1感染動物の処置に使われる
    組成物。
  33. 【請求項33】有効量の請求項22のワクチンを含んで成
    る、動物におけるHIV-1感染の予防に使われる組成物。
  34. 【請求項34】HIV-1感染を減少または排除するために
    治療を必要とするヒト以外の動物に治療的有効量の請求
    項22または32の組成物を投与することを含んで成る、治
    療によるヒト以外の動物の処置方法。
  35. 【請求項35】有効量の請求項22または33の組成物を動
    物に投与することを含んで成る、ヒト以外の動物におけ
    るHIV-1感染の予防方法。
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