JP2624700B2 - カラー映像信号処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はカラー映像信号処理装置、特にNTSC方式のカ
ラーテレビジョン信号から輝度（Ｙ）信号とクロマ
（Ｃ）信号とを分離する装置（YC分離装置）に関するも
のである。

［従来の技術］ 従来、NTSC方式のテレビジョン信号のYC分離装置とし
ては第５図に示すようなものが知られている。第５図に
おいて、ａはNTSC方式のテレビジョン信号、１は遅延フ
ィルタ、２はクロマフィルタであって、NTSC方式のテレ
ビジョン信号ａは遅延フィルタ１とクロマフィルタ２と
に入力される。クロマフィルタ２の出力信号は１水平走
査期間（1H）遅延線３と減算器４とに入力され、1H遅延
線３の出力信号も減算器４に入力される。減算器４の出
力端からはクロマ信号Ｃが出力される。一方、減算器５
には、遅延フィルタ１の出力信号と減算器４の出力信号
とが入力され、同減算器５からは輝度信号ｂが出力され
る。従来このような構成によって所謂くし型フィルタが
形成され、YC分離が行なわれていた。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、かかる従来装置においては、1H前後の
クロマ（色）信号に相関がある場合にのみ、正常に輝度
信号とクロマ信号との分離が可能であり、1H前後でクロ
マ信号に相関のない場合、つまり再生画面上水平方向に
色のエッヂがある場合には、色の変り目の部分において
水平方向にクロマ信号のぬけ残りが発生し、画面上にド
ット妨害が発生して、画質を低下させていた。特に近
年、大画面テレビの普及などにともなって、上述のドッ
ト妨害は、重要な画質劣化原因となっていた。

本発明は上述の問題を解消し、カラー映像信号の相関
状態に応じて適応的にカラー映像信号より輝度信号とク
ロマ信号とを分離することができるカラー映像信号処理
装置を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本発明のカラー映像信号処理装置は、くし型フィルタ
によってカラー映像信号から輝度信号およびクロマ信号
を分離する第１の分離手段と、くし型フィルタによらず
にカラー映像信号から輝度信号およびクロマ信号を分離
する第２の分離手段と、前記第１の分離手段において分
離された輝度信号およびクロマ信号と前記第２の分離手
段において分離された輝度信号とを用いて、カラー映像
信号における隣接走査線間の相関性を判定する判定手段
と、前記判定手段における判定結果に従って前記第１の
分離手段あるいは前記第２の分離手段のいずれか一方か
ら出力される輝度信号およびクロマ信号を選択し、出力
する選択出力手段とを具えたものである。

［作 用］ 以上の構成によれば、カラー映像信号の相関状態の検
出結果に応じて、くし型フィルタによるYC分離手段か、
くし型フィルタによらないYC分離手段かのいずれか一方
により分離された輝度信号およびクロマ信号を選択出力
することができ、カラー映像信号の相関状態に応じて適
応的なYC分離を行なうことができる。

［実施例］ 第１図は本発明の実施例を示し、ここにおいて、ａは
入力されるNTSC方式のテレビジョン信号、１はNTSC方式
のテレビジョン信号ａを全帯域にわたって遅延する遅延
フィルタ、２はクロマ信号帯域のみを通過させるクロマ
フィルタ、３は１水平周期の期間、信号を遅延する1H遅
延線、４は減算器、５は減算器である。クロマフィルタ
２によってNTSC方式のテレビジョン信号ａからクロマ信
号帯域成分のみの信号がとり出され、1H遅延線３および
減算器４に入力される。減算器４では1H遅延線３の出力
信号からクロマフィルタ２の出力信号を減算することに
よってクロマ信号が得られる。一方、減算器５では遅延
フィルタ１を通過したNTSC方式のテレビジョン信号から
減算器４の出力であるクロマ信号が減算され、その結果
輝度信号が減算器５から出力される。以上によってくし
型フィルタが構成されている。

６はNTSC信号ａからクロマ信号帯域成分を減衰させる
クロマノッチフィルタであって、その出力に輝度信号が
得られる。減算器５の出力信号およびクロマノッフィル
タ６の出力信号は、スイッチ７の各入力端子に入力され
る。減算器４の出力信号およびクロマフィルタ２の出力
信号はスイッチ８の各入力端に入力される。

９はコンパレータ、10はモノマルチバイブレータであ
り、減算器４の出力であるクロマ信号は、コンパレータ
９で一定電圧と比較されて、２値化（0,1）され、つい
でその立上りあるいは立下りにおいてモノマルチバイブ
レータ10を起動する。このモノマルチバイブレータ10
は、カラーサブキャリア周期より多少長い時間幅のパル
スを発生する。11はクロマフィルタ、12はコンバレー
タ、13はモノマルチバイブレータであり、クロマフィル
タ11によって減算器５の出力信号（輝度信号）からクロ
マ信号帯域成分のみがとり出され、このとり出された信
号は、コンバレータ12で一定電圧と比較されて２値化さ
れ、この２値化信号の立上りあるいは立下りにおいてモ
ノマルチバイブレータ13が起動される。このモノマルチ
バイブレータ13は、カラーサブキャリア周期より多少長
い時間幅のパルスを発生する。14はハイパスフィルタ、
15はコンパレータ、16はモノマルチバイブレータであ
り、ハイパスフィルタ14によってクロマノッチフィルタ
６の出力信号から高周波成分のみがとり出され、このと
り出された信号はコンパレータ15で一定電圧と比較され
て２値化される。モノマルチ16はコンパレータ15の出力
信号に対応して起動し、ある一定時間のバルスを発生す
る。17は判定器であって、各モノマルチバイブレータ1
0,13,16の出力信号を入力して該各出力信号の状態から
スイッチ７およびスイッチ８に当該スイッチを制御する
ための制御信号を入力する。

スイッチ７は判定器17からの制御信号に従い、クロマ
ノッチフィルタ６の出力信号あるいは減算器５の出力信
号を選択して輝度信号ｂとして出力する。またスイッチ
８は判定器17からの制御信号に従い、クロマフィルタ２
の出力信号あるいは、減算器４の出力信号を選択してク
ロマ信号Ｃとして出力する。

第２図（１）は減算器４の出力であるクロマ信号波形
を示し、第２図（２）はコンパレータ９の出力信号波形
を示す。なお、コンパレータ９ではクロマ信号のゼロク
ロスレベルv₀からずれた電圧v₁にコンパレータレベルを
設定することによって、ある一定値以上のクロマ信号に
対してのみ信号を出力する。第２図（３）はモノマルチ
バイブレータ10の出力信号波形を示す。なお、モノマル
チバイブレータ10においては、出力パルス幅をおよそ35
0nsecとした場合、クロマ信号が一定レベル以上の時に
コンパレータ９が約280nsecごとに立上りのエッジをも
つ信号を出力するものとすると、第２図（３）に示すよ
うなリトリガ動作による信号を出力する。したがって、
以上に述べたようにコンパレータ９およびモノマルチバ
イブレータ10によってクロマ信号の検出動作が行なわれ
る。

次にクロマフィルタ11によって減算器５の出力である
輝度信号からクロマ信号帯域成分のみがとり出され、こ
れがコンパレータ12にて一定電圧と比較されて２値化信
号に変換される。さらにコンパレータ12の出力信号をモ
ノマルチバイブレータ13に入力する。このモノマルチバ
イブレータ13のパルス幅をカラーサブキャリア周期より
多少長い時間に設定すると、モノマルチバイブレータ13
からは、減算器５の出力にある一定値以上のクロマ信号
がもれ込んでいる場合、その期間を示すパルスが出力さ
れる。以上に述べたようにクロマフィルタ11,コンパレ
ータ12およびモノマルチバイブレータ13によって、減算
器５の出力信号におけるクロマ信号のもれ込みの検出が
行われる。

次にハイパスフィルタ14によってクロマノッチフィル
タ６の出力である輝度信号から高域成分がとり出され、
これがコンパレータ15にて一定電圧と比較されて２値化
信号に変換される。モノマルチバイブレータ16ではコン
パレータ15の出力信号に応じてある一定時間幅のパルス
を出力する。これによって輝度信号中の急峻なエッヂ部
の検出が行なわれる。このようすを第３図に示す。第３
図（１）はクロマノッチフィルタ６の出力の輝度信号波
形であり、ハイパスフィルタ14を通過した後は第３図
（２）のごとき波形の信号が得られる。コンパレータ15
では、入力信号を第３図（２）に示す立上りコンパレー
トレベルおよび立下りコンパレートレベルと比較し、第
３図（３）に示す波形の信号を出力する。モノマルチ16
では、コンパレータ15の出力信号の立上りに起動し、第
３図（４）のような一定時間幅のパルスを出力する。以
上、ハイパスフィルタ14,コンパレータ15およびモノマ
ルチバイブレータ16による輝度信号エッヂ部の検出動作
について述べた。

以上、減算器4,減算器５およびクロマノッチフィルタ
６の各出力信号からの信号状態の検出動作について述べ
たが、次にその結果をもとに判定器17の動作について表
１を用いて述べる。

判定器17はNTSC方式のテレビジョン信号ａに関し、ラ
イン相関の有無を判定するものであって、特に、ライン
相関の無い場合を選択的に判定しようとする。つまり、
各モノマルチバイブレータ10,13,16の出力の意味を考え
ると、モノマルチバイブレータ10の出力２値化レベルが
“1"の場合はクロマ信号があるレベル以上で存在するこ
とを示す。次に、モノマルチバイブレータ13の出力２値
化レベルが“1"の場合、クロマ信号のライン相関による
除去が不充分であること、あるいは輝度信号中にクロマ
信号帯域の強い成分があることを示す。また、輝度信号
の急峻なエッヂ部でも同バイブレータ13の出力２値化レ
ベルは“1"を示す。さらにモノマルチバイブレータ16に
おいては、輝度信号に急峻なエッヂがある場合に“1"が
出力される。

以上をまとめたものが表１であり、この中の状態２が
ライン相関の無い場合と判定できる。つまり、状態２で
は、モノマルチバイブレータ10の出力が１であって、ク
ロマ信号が検出されているのにもかかわらず、モノマル
チバイブレータ13の出力が“1"であって、クロマ信号を
検出しており、かつモノマルチバイブレータ16の出力が
“0"であることから、輝度信号の水平方向の急峻なエッ
ヂによるクロマ信号のぬけ残りではないと考えられ、ラ
イン相関が無いと判定する。以上述べたように判定器17
でライン相関の有無が判定され、スイッチ７およびスイ
ッチ８を判定器17からの制御信号によって制御する。

スイッチ７およびスイッチ８は、相関ライン有りとし
て判定器17が０を判定信号として出力した場合、輝度信
号ｂとして減算器５の出力信号を、クロマ信号ｃとして
減算器４の出力信号をそれぞれ選択し、ライン相関無し
として判定器17が“1"を出力した場合、輝度信号ｂとし
てクロマノッチフィルタ６の出力信号を、クロマ信号ｃ
としてクロマフィルタ２の出力信号をそれぞれ選択する
ように動作する。かくして、クロマライン相関の無い部
分で水平方向に発生するクロマドット妨害を有効に検出
し除去できる。

本実施例では、コンパレータとモノマルチバイブレー
タの組み合せにより高速にライン相関の状態が判定でき
るという特徴をもつ。

第４図は本発明の他の実施例を示す。NTSC方式のテレ
ビジョン信号ａは遅延フィルタ１、CCD1H遅延線18、ク
ロマノッチフィルタ６、クロマフィルタ２にそれぞれ入
力される。1HCCD遅延線18の出力信号は、減算器19,加算
器20に入力される。

一方、遅延フィルタ１の出力信号も減算器19および加
算器20にそれぞれ入力され、減算器19の出力には1H前後
の差信号，加算器20の出力には1H前後の和信号が各々得
られる。減算器19の出力である差信号は、ローパスフィ
ルタ22,クロマフィルタ23にそれぞれ入力され、ローパ
スフィルタ22の出力信号は垂直輪郭補正信号として21の
加算器において加算器20の出力信号に加えられ、加算器
21の出力には輝度信号が得られる。さらに減算器19の出
力信号はクロマフィルタ23を通過してクロマ信号とな
る。

一方、クロマノッチフィルタ６およびクロマフィルタ
２の出力にはそれぞれ輝度信号およびクロマ信号が得ら
れる。そして加算器21とクロマノッチフィルタ６の出力
信号はスイッチ７に、クロマフィルタ23とクロマフィル
タ２の出力信号はスイッチ８に各々入力される。

次に検波器24によってクロマフィルタ23の出力信号か
らクロマ信号が検波され、これがコンパレータ９によっ
て一定レベルでコンパレートされる。クロマフィルタ11
によって加算器21の出力信号からクロマ信号帯域成分の
みがとり出され、これから検波器25によってクロマ信号
が検波され、この検波信号がコンパレータ21によって一
定レベルでコンパレートされる。

以上のようにして得られたコンパレータ９およびコン
パレータ12の各出力信号は、判定器17に入力され、判定
器17は各入力信号に基づいてスイッチ７およびスイッチ
８を制御する。

すなわち、判定器17はコンパレータ９出力が“?"、コ
ンパレータ12の出力が、“?"のときにライン相関無し、
他の場合はライン相関有りと判定し、前記実施例同様に
スイッチ７および８を制御する。

本実施例では、クロマ信号の検出に、例えばダイオー
ド検波等を適用した後にその出力レベルが一定値以上に
なる場合をコンパレータで検知することによって、加算
器21の出力の輝度信号中の水平方向の急峻な輝度変化に
対するクロマ信号のぬけ残りがあった場合でも応答をし
ないようにすることができる。

［発明の効果］ 以上述べたように本発明のカラー映像信号処理装置に
よれば、カラー映像信号の相関状態に応じて適応的にカ
ラー映像信号より輝度信号とクロマ信号とを分離するこ
とができ、ライン相関の無い部分において水平方向に発
生するクロマドット妨害を比較的簡単な構成にて有効に
検出し除去する事ができ、YC分離後の画質の向上をはか
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すブロック図、 第２図は本発明一実施例におけるクロマ信号検出動作を
説明する信号波形図、 第３図は本発明一実施例における輝度エッヂ検出動作を
説明する信号波形図、 第４図は本発明の他の実施例を示すブロック図、 第５図は従来技術例を示すブロック図である。 ａ……NTSC方式のテレビジョン信号、 ｂ……輝度信号、 ｃ……クロマ信号、 １……遅延フィルタ、 ２……クロマフィルタ、 ３……1H遅延線、 ４……減算器、 ５……減算器、 ６……クロマノッチフィルタ、 ７……スイッチ、 ８……スイッチ、 ９……コンパレータ、 10……モノマルチバイブレータ、 11……クロマフィルタ、 12……コンパレータ、 13……モノマルチバイブレータ、 14……ハイパスフィルタ、 15……コンパレータ、 16……モノマルチバイブレータ、 17……判定器、 18……CCD1H遅延線、 19……減算器、 20……加算器、 21……加算器、 22……ローパスフィルタ、 23……クロマフィルタ、 24……検波器、 25……検波器。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】くし型フィルタによってカラー映像信号か
   ら輝度信号およびクロマ信号を分離する第１の分離手段
   と、 くし型フィルタによらずにカラー映像信号から輝度信号
   およびクロマ信号を分離する第２の分離手段と、 前記第１の分離手段において分離された輝度信号および
   クロマ信号と前記第２の分離手段において分離された輝
   度信号とを用いて、カラー映像信号における隣接走査線
   間の相関性を判定する判定手段と、 前記判定手段における判定結果に従って前記第１の分離
   手段あるいは前記第２の分離手段のいずれか一方から出
   力される輝度信号およびクロマ信号を選択し、出力する
   選択出力手段とを具えたことを特徴とするカラー映像信
   号処理装置。
2. 【請求項２】前記判定手段は、前記第１の分離手段にお
   いて分離された輝度信号およびクロマ信号におけるサブ
   キャリア成分の信号を各々検出する手段と、前記第２の
   分離手段において分離された輝度信号の高周波成分の信
   号を検出する手段とを有することを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載のカラー映像信号処理装置。